| 【発明の名称】 |
レ―ザ―硬化ケ―スをもつ差動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】ガーレット ダブリュ.ゲージ
【氏名】ラリイ ジー.ヘイスク
|
| 【要約】 |
【課題】自動車の差動装置の差動装置ケースにおいて、ギヤーと差動装置ケースとの間の磨耗を減少させるため、ギヤーを収納するギヤーポケットまたは他の部分を少ない費用と時間で硬化させる方法を提供する。
【解決手段】本発明は、差動装置ケースのギヤーポケットを、レーザーエネルギーを使用して硬化させる方法に関する。各ギヤーポケットは複数個の硬化トラックをその壁面に形成されている。レーザー硬化トラックは、ギヤーポケットの壁面と、その中に回転可能に搭載されたギヤーとの間に生じる磨耗損傷を軽減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央室と、該中央室に連通し、ピニオンギヤーを支持するようになったポケットとを有するドラムを備えた差動装置組立体の差動装置ケースにおいて、前記ポケットの壁面に、壁面とピニオンギヤーとの間の磨耗を減少させるため、壁面の隣接する部分の硬度レベルよりも大きい硬度レベルを有する複数個のトラックが形成されていることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項2】 請求項1に記載の差動装置ケースにおいて、前記硬化トラックが長手方向にポケットの長さに沿って延びていることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項3】 請求項1に記載の差動装置ケースにおいて、前記硬化トラックがポケットの軸線に対し横方向に延びていることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項4】 請求項1に記載の差動装置ケースにおいて、前記硬化トラックが0.5mm〜5.0mmの範囲の幅を有することを特徴とする差動装置ケース。 【請求項5】 請求項1に記載の差動装置ケースにおいて、前記硬化トラックが約3mm隔置されていることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項6】 請求項1に記載の差動装置ケースにおいて、前記硬化トラックがレーザービームにより形成されることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項7】 請求項6に記載の差動装置ケースにおいて、前記レーザービームが、約5キロワットで操作される炭酸ガスレーザーにより生成されることを特徴とする差動装置ケース。 【請求項8】 差動装置組立体にして、中央室と、互いに、また、前記中央室と連通する第1、第2ギヤーポケットとを有するドラム部分を有する差動装置ケースと、および前記差動装置ケース内に搭載され、前記室内に回転可能に支持された第1、第2側方ギヤーと、第1ギヤーポケット内に回転可能に支持され、第1側方ギヤーと噛み合う第1ピニオンと、第2ギヤーポケット内に回転可能に支持され、第1ピニオンと第2側方ギヤーとに噛み合う第2ピニオンとを有するギヤーセットとを有し、第1、第2ギヤーポケットの少なくとも1個が、その壁面に形成され、壁面の隣接する部分の硬度レベルよりも大きい硬度レベルを有する複数個のトラックを有することを特徴とする差動装置組立体。 【請求項9】 請求項8に記載の差動装置組立体において、前記硬化トラックが長手方向にポケットの長さに沿って延びていることを特徴とする差動装置組立体。 【請求項10】 請求項8に記載の差動装置組立体において、前記硬化トラックがポケットの軸線に対し横方向に延びていることを特徴とする差動装置組立体。 【請求項11】 請求項8に記載の差動装置組立体において、前記硬化トラックが0.5mm〜5.0mmの範囲の幅を有することを特徴とする差動装置組立体。 【請求項12】 請求項8に記載の差動装置組立体において、前記硬化トラックが約3mm隔置されていることを特徴とする差動装置組立体。 【請求項13】 請求項8に記載の差動装置組立体において、前記硬化トラックがレーザービームにより形成されることを特徴とする差動装置組立体。 【請求項14】 請求項13に記載の差動装置ケースにおいて、前記レーザービームが、約5キロワットで操作される炭酸ガスレーザーにより生成されることを特徴とする差動装置組立体。 【請求項15】 差動装置組立体に使用される差動装置ケースの壁面の耐磨耗性を向上させる方法にして、差動装置ケース内にギヤーポケットを形成する段階と、ギヤーポケットの壁面にレーザービームを投射する段階と、ギヤーポケットの壁面上に所望の形態の硬化トラックを得るため、差動装置ケースとレーザービームの少なくとも一方をトラックパターンに対応して動かす段階と、を有することを特徴とする方法。 【請求項16】 請求項15に記載の方法において、前記差動装置ケースとレーザービームの一方を動かす段階がさらに、差動装置ケースとレーザービームとの少なくとも一方を長手方向に動かす段階を有することを特徴とする方法。 【請求項17】 請求項15に記載の方法において、前記差動装置ケースとレーザービームの一方を動かす段階がさらに、差動装置ケースとレーザービームとの少なくとも一方を半径方向に動かす段階を有することを特徴とする方法。 【請求項18】 請求項15に記載の方法において、前記硬化トラックが順次生成され、互いに平行に、差動装置ケース内に形成されたギヤーポケットの長さに沿って長手方向に延びていることを特徴とする方法。 【請求項19】 請求項15に記載の方法において、前記硬化トラックが順次生成され、互いに平行に、差動装置ケース内に形成されたギヤーポケットの内方半径方向面の回りに延びていることを特徴とする方法。 【請求項20】 請求項15に記載の方法において、前記硬化トラックがほぼ四角形の硬化プロフィールを有し、レーザービームにより創成された約1.3mmまでの硬化深さを有することを特徴とする方法。 【請求項21】 請求項15に記載の方法において、2個の隣接する硬化トラックの縁の間の間隔が約3mmであることを特徴とする方法。 【請求項22】 請求項15に記載の方法において、前記硬化トラックのそれぞれの幅が約3mmであることを特徴とする方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は一般に自動車の駆動系路に使用される差動装置に関する。特に本発明はレーザー硬化ギヤーポケットを有する差動装置組立体に向けられている。 【0002】 【従来の技術】既に知られているように、自動車は、例えば一対の車軸のような2個の回転部品の間の回転速度の相違を許容する作用をする差動装置を装着された駆動装置を有している。一般に、差動装置は差動装置ケースと、一対の出力軸と、差動装置ケース内に搭載され、回転動力(駆動トルク)を差動装置ケースから出力軸へ、出力軸間の速度差動を許容しつつ伝達するギヤーセットとを有している。平行軸線螺旋差動装置においては、ギヤーセットは、出力軸と共に回転するように固定された一対の側方ギヤーと、差動装置ケース内に形成されたギヤーポケット内に搭載された2セットまたは2セット以上の噛み合いピニオンギヤーとを有している。特に、ピニオンギヤーの各セットは、第1ギヤーポケット内に回転可能に搭載され、第2ギヤーポケット内に回転可能に搭載された第2ピニオンギヤーと噛み合う第1ピニオンギヤーを有している。第1ピニオンギヤーはまた側方ギヤーの1個と噛み合い、第2ピニオンギヤーもまた他の側方ギヤーと噛み合っている。ギヤーポケットは長手方向に延び、各ピニオンギヤーが、差動装置ケースの回転軸と出力軸とに平行な自身の軸線の回りに回転するように、周方向に配置されている。出力軸の間に速度の差動が生じると、各ピニオンギヤーが自身の軸線回りに回転し、ギヤーポケットの内壁面と摩擦係合するように押し付けられ、差動限定力を生じさせる。ここに開示したタイプの従来型の差動装置組立体は米国特許5556351に例示的に示されている。 【0003】ピニオンギヤーとギヤーポケット壁面との間の磨耗を減少させるために、種々の表面硬化技術が使用されて来た。最も普通には、差動装置ケース内のギヤーポケットが浸炭法か高周波焼き入れにより硬化されている。既知のように、これら局部面の硬化方法においては、差動装置ケースのある部分の硬化を避けるためマスクを設ける必要がある。さらに、続く焼き入れ操作が差動装置ケースに歪みを生じさせるため、歪みを修正する最終研磨作業が常に必要になる。差動装置ケースを硬化させるため浸炭法を使用することはエネルギーと労力とを共に増大させ、費用が嵩むことが理解されよう。さらに、浸炭工程は炉、各差動装置ケースに対する特殊な焼き入れ型、マスク器具、研磨機器等を必要とする。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従って、ギヤーポケットおよび/または差動装置ケースの他の部分を硬化させるための、先行技術の硬化方法よりも費用や時間を消費しない方法を提供することが望まれる。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記および他の課題は、差動装置ケースのギヤーポケットに対するレーザーエネルギーを使用する硬化方法により解決される。レーザー硬化工程の結果として、各ギヤーポケットの内壁面に複数個の硬化トラックが形成される。レーザー硬化トラックは、ギヤーポケットとピニオンギヤーとの間に生じる磨耗損傷を減少させる。関連課題として、本発明は、1個または1個以上のレーザー硬化トラックを形成された差動装置ケースをもつ差動装置組立体に向けられている。 【0006】本発明の利点が得られ、課題が解決される態様を理解し易くするため、付図に示した特殊な実施例を参照して本発明を詳しく説明する。これら図面は本発明の好適実施例を示すに過ぎず、発明の権利範囲を限定するものではないことを理解の上、本発明の上記に追加される特異性、詳細を付図を使用して説明しよう。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明は自動車の駆動装置に使用されるタイプの差動装置組立体における改良された差動装置ケースに関する。本発明の差動装置ケースは、差動装置組立体に関連した他の部品を修正することなしに耐磨耗性を改良された表面硬化ギヤーポケットを有するように加工される。かくて、本発明の差動装置ケースは、広い範囲の種々の差動装置組立体に対して利用可能であり、ここに述べる特殊な使用に限定されるものではない。 【0008】図1において、典型的な自動車の駆動装置10は、エンジン12、出力軸16を有する変速機14、出力軸16を後方車軸組立体22のピニオン軸20に連結させるプロペラ軸18等を有して示されている。後方車軸組立体22は、車軸ハウジング24、車軸ハウジング24内に支持された差動装置組立体26、左右の後輪32,34にそれぞれ連結された一対の車軸28,30等を有している。ピニオン軸20にピニオンギヤー36が固定されており、ピニオンギヤーが、差動装置組立体26の差動装置ケース40に固定されたリングギヤー38を駆動している。ケース40内に支持されたギヤーセット41がケース40からの回転動力を車軸28,30にそれぞれ連結させ、両車軸間の相対回転(すなわち差動)を可能にしている。かくて、エンジン12からの回転動力が変速機14、プロペラ軸18、ピニオン軸20、差動装置ケース40、ギヤーセット41を介して出力軸42,44へ伝達され、後輪32,34を駆動する。差動装置組立体26は後輪駆動の場合に適用して示されているが、本発明は前輪駆動車における従動車軸、トランス車軸に装着されて、または、4輪駆動車における伝達ケース内に装着されて使用されること、および/または他の既知の自動車駆動系路の差動装置組立体内に使用されることも考慮している。 【0009】図2を参照して、差動装置組立体26の構造を詳しく説明する。差動装置ケース40は、整列した取り付け孔54,56を有する互いに対応した半径方向フランジ50a,52aをもつドラム50と端部蓋52とを有し、これら取り付け孔を通りファスナー(図示せず)が延びて、ドラム50を端部蓋52に、またリングギヤー38をケース40に結合している。ケース40は軸線“A”の回りに回転するように支持され、ドラム50内に形成された中央室62に連通する一対の車軸開口58,60を画定している。ドラム50はまた、互いに連通し室62とも連通する複数個の軸方向穴(以下ギヤーポケット64,66と称する)を有する。ポケット64,66はセットをなしてケース40の回転軸線“A”に平行に周辺方向に配置されている。 【0010】ギヤーセット41はドラム50内に支持され、第1、第2螺旋側方ギヤー68,70と、ポケット64内に回転可能に保持され第1側方ギヤー68と噛み合う第1螺旋ピニオンギヤー72と、ポケット66内に回転可能に保持され第2側方ギヤー70と噛み合う第2螺旋ピニオンギヤー74とを有する。さらに、ギヤーポケット64,66内に装着されると、第1ピニオンギヤー72の一つと第2ピニオンギヤーの一つとが、両者噛み合うセットとしてポケット64,66内に配置されているのであるから、互いに噛み合っている。見られるように、第1ピニオンギヤー72は、第1ピニオンギヤー72が第2側方ギヤー70と噛み合わないように、ポスト(post)区画76を有する。同様に、第2ピニオンギヤー72は、第2ピニオンギヤー74が第1側方ギヤー68と噛み合わないように、ポスト(post)区画78を有する。従来のように、第1側方ギヤー68は軸開口58内に回転可能に支持され、出力軸44に固定されている。同様に、第2側方ギヤー70は軸開口60内に回転可能に支持され、出力軸42に固定されている。 【0011】ピニオンギヤー72,74の歯と、ポケット64,66の各対応する壁面との間の磨耗を減少させるため、複数個の硬化トラック80がポケット64,66内に形成されている。硬化トラック80は図3、図4に長手方向に、互いに平行に延びて示されている。硬化トラック80は距離“D”だけ隔置されている。好適には、硬化トラック80の間の横方向間隔“D”は0.5〜5.0mmの範囲にあり、最も好適には約3mmである。また、トラック80の幅は“W”と表示され、好適には0.5〜5.0mmの範囲にあり、最も好適には約3mmである。 【0012】硬化トラック80を形成するには、続く硬化工程の前に、先ず例えばホーニングを伴う旋盤またはボーリングを含む金属除去操作によりポケット64,66が形成される。ポケット64,66の表面は0.015mm+/−0.003mmの粗度を有する。次の段階として、レーザー光の反射を数パーセントに低下させるリン酸マンガンのような吸収物質を硬化させようとする表面に加える。次の段階は、硬化トラック80の縁部がマルテンサイト構造になるように、レーザービームを用いてポケット64,66を硬化トラック80の領域に沿って硬化させることである。 【0013】5キロワットの炭酸ガスレーザーのような典型的硬化レーザーが、1個または1個以上のレーザービームを生成するため利用される。レーザービームは、平行な長手方向の硬化トラック80が形成されるようにポケット64,66の壁面に対して案内される。このことは、ドラムまたはレーザーを長手方向に動かすことにより実行される。レーザービームは好適には、ほぼ四角形の断面をなし、硬化のためのビーム強度が均等に分布された硬化トラック80を提供するような積分器において形成される。硬化の深さは制御可能であり、好適には約0.5mm〜1.3mmの範囲にある。 【0014】図5に本発明の他の好適実施例が示されている。本実施例においては、周方向の硬化トラック90がドラム50のポケット64,66内に、ポケットの内面を半径方向に進行しつつ形成されている。硬化トラック90は距離“C”だけ隔置され、0.5〜5.0mmの範囲、より好適には3mmの幅を有している。図6は、螺旋状に平行して形成された硬化トラック100を有するギヤーポケット64と、十文字に交差した形態(ポケット66内に示す)の硬化トラック80,90を有するギヤーポケット66とを示している。さらに、硬化トラックは本発明の趣旨から逸脱することなしに、上述した形態を組み合わせたものでも、また、現在既知なまたは将来開発されるであろう他のトラック形態を有するものであってもよい。硬化トラックの特殊な形態は、ピニオンギヤーおよび/または差動装置ケースの磨耗を防ぐため最も適した配置となるよう好適に選択されよう。 【0015】螺旋ピニオンギヤーと差動装置ケースとの間の磨耗に対する耐性を得るために浸炭または高周波焼き入れにより硬化されたポケットを利用する従来型の差動装置ケースとは違って、ここに開示した本発明の差動装置ケースは、レーザーにより硬化されるトラックを利用しており、低い費用と短い時間で耐磨耗性を向上させている。これら硬化トラックの利点の一つは、従来技術において使用された硬化なしの差動装置ケースにおけるような磨耗が非常に少ないことである。本発明のレーザー硬化差動装置ケースの他の利点は、従来技術の硬化差動装置ケースにおいて必要とされる時間と費用とが軽減されることである。 【0016】珍しいことではないが、ここに開示した形態のいずれも与えられた差動装置組立体に対してそれぞれ良く作動するが、上記した多数のファクター、これに限るわけではないが、の理由により、いずれかがより好まれよう。さらに、本発明のいずれかの実施例に従う構成の硬化トラックは、用途に応じてポケット以外の望む領域における磨耗を防止するため、差動装置組立体に使用され得る。 【0017】上記説明から当業者は、本発明の広い教示が種々の形態で実現され得ることを理解するであろう。従って、本発明が特殊な例に関連して説明されたが、当業者が図面、明細書、添付の特許請求の範囲等を検討すれば他の変形が明らかになるであろうから、発明の真の範囲は実施例に限定されるべきではない。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】598059011 【氏名又は名称】アメリカン アクスル アンド マニュファクチュアリング,インコーポレイテッド
|
| 【出願日】 |
平成11年8月26日(1999.8.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−74192(P2000−74192A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月7日(2000.3.7) |
| 【出願番号】 |
特願平11−240047 |
|