| 【発明の名称】 |
コグ付き伝動ベルトおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】梅田 荒夫
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| 【要約】 |
【課題】コグ付き伝動ベルトが背面プーリによりコグ側に凸となる繰り返し屈曲を受けながら使用される場合には、コグ溝部の織布が早期に破断することがあることから、コグ溝部の織布が早期に破断せず、長期に使用できるコグ付き伝動ベルトを提供する。
【解決手段】背面に外側保護層を有する張力層の内側に、コグの内周面を織布により保護されたクッション層を形成しているコグ付き伝動ベルトであって、コグ溝部の織布の織り目角度を山頂部の織布の織り目角度より大きくしている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 背面に外側保護層を有する張力層の内側に、内周面を織布により保護されたコグを有するクッション層を形成しているコグ付き伝動ベルトであって、コグ溝部における前記織布の織り目角度が山頂部における織り目角度より大きく形成されていることを特徴とするコグ付き伝動ベルト。 【請求項2】 前記山頂部における前記織布の織り目角度が80〜130°である請求項1に記載のコグ付き伝動ベルト。 【請求項3】 前記コグ溝部の前記織布の織り目角度が前記山頂部の織り目角度より7〜30°大きく形成された請求項1または2に記載のコグ付き伝導ベルト。 【請求項4】 前記クッション層が繊維入りゴムを主体としている請求項1〜3のいずれかに記載のコグ付き伝動ベルト。 【請求項5】 背面に保護層を有する張力層の内側に、内周面を織布により保護されたコグを有するクッション層を形成しているコグ付き伝動ベルトの製造方法であって、表面にコグ形状に対応する成型用溝部を有する平板状のエンボス金型に未加硫クッションゴムを圧入して未加硫コグ部を有する未加硫ゴム板を成形し、この未加硫ゴム板を、前記未加硫コグ部を外側として所定の外径を有し回転可能な成形ローラに懸回し、この成形ローラに懸回された前記未加硫ゴム板のコグ溝部に前記織布を貼付し、貼付された前記織布の上面に前記コグ溝部に対応する歯部を有する歯付きローラを圧接し、前記織布と前記未加硫ゴム板とを供給しながら前記歯付きローラおよび前記成形ローラを同調して回転させて、前記未加硫ゴム板の全長に前記織布を積層することにより未加硫コグ付きクッション層を成形したのち、つづけて、外周面に前記コグに対応する加硫用溝部を有する円筒状金型に、前記未加硫コグ付きクッション層を前記加硫用溝部と前記未加硫コグ部とを嵌合させながら巻き付け、その外周面に未加硫の前記張力層と前記外側保護層とをこの順序で巻き付けて未加硫コグ付き伝動ベルトを成形した後、この未加硫コグ付き伝動ベルトに内面が平滑なゴムスリーブを被せ、前記ゴムスリーブの外側より加圧しながら、未加硫コグ付き伝動ベルト全体を加熱・加硫した後に脱型し、所定の幅に輪切りしてコグ付き伝動ベルトを製造することを特徴とするコグ付き伝動ベルトの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のファンベルトなどとして使用されるコグ付き伝動ベルト及びその製造方法に関する。図7に部分拡大斜視図(一部断面)で示すようにコグ付き伝動ベルト1は、背面(図7では上面)に外側保護層5を有する張力層4の内側に、内周面(図7では下側面)を織布3により保護されたコグ2を有するクッション層18を形成している。このコグ付き伝動ベルトはリング状に成形され、複数のプーリ間に懸回されて回転され、クッション層18の側面をプーリに当接して張力層4によりプーリ間で動力の伝達を行う。更に、背面プーリを使用してベルトの張り具合を調整し、または、他の補助機を回転させることがある。この発明に係るコグ付き伝動ベルトは、この背面プーリを使用する場合に好適に使用される。 【0002】 【従来の技術】コグ付き伝動ベルトは、そのクッション層の保護層として、織布をバイヤスに裁断して長尺に接続されたものが使用される。図5は従来のコグ付き伝動ベルト1の一部を屈曲させていない状態で示すもので、図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。従来のコグ付き伝動ベルト1は、コグ2の山頂部7の織り目角度α’とコグ溝部8の織り目角度β’とがほぼ同じとなるように設計されている。織り目角度とは、バイヤスに裁断された織布の縦糸、横糸の交差角度をいい、縦糸、横糸はベルトの長さ方向に対して左右ほぼ同じ角度(例えば45°、この場合は織り目角度は90°である)に傾斜するように設計されている。クッション層18が圧縮または伸張されたときには、上記織り目角度(α’、β’)が変化して織布としての長さを変化させることにより、織り糸に大きな張力が掛からず破断を防止している。 【0003】また、このような従来のコグ付き伝動ベルト1を製造する方法は、次のような方法が用いられている。まず、図6に部分側面図で示すように、平板状のエンボス金型10の表面(上面)にコグ付き伝動ベルトのコグに対応する成型用溝部19を形成し、その成型用溝部19に沿わせて、クッション層の保護層となる織布3を貼り付けて、その上にシート状の未加硫クッションゴム6を加圧板11により加圧し成型用溝部19に圧入し、つづけて脱型して未加硫コグ付きクッション層23を成形する。その未加硫コグ付きクッション層23の未加硫コグ部21には織布3が強く貼付され、未加硫クッションゴム6の量(シート厚さ)を調整することにより、コグの底部に未加硫のクッションゴム層22の厚さを調整する。つづいて図示しない加硫工程において、外周面にコグ付き伝動ベルトのコグ形状に対応する加硫用溝部を形成している円筒状内金型に、未加硫コグ付きクッション層23を、加硫用溝部と未加硫コグ部21とを嵌合させながら巻き付ける。加硫用溝部は、円筒状内金型の長さ方向に沿って形成され、その加硫用溝部の断面は加硫後のコグの断面に相当する形状を有する。その円筒状内金型に巻き付けられた未加硫コグ付きクッション層の外周面に、未加硫の張力層と外側保護層とをこの順序で巻き付けて未加硫コグ付き伝動ベルトを成形した後、その未加硫コグ付き伝動ベルトの外側に内面が平滑なゴムスリーブを被せ、前記ゴムスリーブの外側より加圧しながら、未加硫コグ付き伝動ベルト全体を加熱して加硫し、輪切りしてコグ付き伝動ベルトを仕上げている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなコグ付き伝動ベルトでは、クッション層を保護する織布は、コグの山頂部とコグ溝部とは同じ織り目角度となるように設計されているので、コグ付き伝動ベルトがクッション層を圧縮する方向に屈曲されているとき、即ち、通常のプーリ間に懸回されているときには織布には圧縮する力が掛かり、疲労は少ない。しかし、更に背面プーリが使用されて内側に凸となるような屈曲が加えられるとコグ溝部では伸張・圧縮が繰り返され、コグ溝部の織り糸が強く伸縮されて破断することがある。 【0005】図3に示すようにコグ付き伝動ベルトは、複数のプーリ(駆動プーリ13,従動プーリ14等)に懸回されて回転され、プーリ13,14に沿って小さな半径で湾曲されるときにはクッション層18は圧縮される。直線走行部分では僅かに延伸される状態となりクッション層18は圧縮・延伸が繰り返されることとなる。更に、プーリ13,14での張り具合を調整し、または、補助装置を回転させるために背面プーリ12が使用されることがあり、背面プーリ12によりコグ付き伝動ベルト1は背面より押されて内側に凸となるように屈曲され、クッション層18が延伸されることも多い。コグ付き伝動ベルト1が内側に凸に屈曲されると、本来圧縮に耐えることを基本に設計されているクッション層18は伸張され、クッション層18の保護層として使用される織布3、特に、詳細後述のようにコグ溝部の織布の織り糸に大きな張力が掛かり早期に破断されることがある。織り糸が破断されると、クッション層18にクラックが進展して、コグ付き伝動ベルト1全体の寿命を短くする。 【0006】図4によりこのクッション層の伸縮の状態を説明する。図4(a)はコグ付き伝動ベルト1を直線状に走行させているときの部分側面図、図4(b)は背面プーリ12によりベルトのコグ側が凸となるように屈曲した場合(図3参照)の部分側面図である。コグ側を凸に屈曲した時のコグ溝部8の湾曲の程度γ’は、直線走行時のコグ溝部8の湾曲の程度γより大きくなる。即ち、背面プーリ12を使用する位置ではコグ溝部8の織布3は延伸されることとなり、プーリ13、14の位置では圧縮されることとなり、織り糸の疲労・破断が促進される。 【0007】なお、山頂部7とコグ溝部8とでは伸張・圧縮の程度が相違する。山頂部7は、図4(a)に示す直線走行時および図4(b)に示す内側に屈曲する場合の何れにおいても外部から制約を受けることが少なく、また、クッション層が弾性を有するゴムであり変形するために、織布3の伸張・圧縮は最小に止められる。しかし、図4(b)に示すように背面プーリ12を使用するときコグ溝部8は、強く引き延ばされ、そのコグ溝部8の保護層である織布3に強い張力が掛かるので、このコグ溝部8の織り糸が山頂部7の織り糸に比して破断され易くなる。 【0008】また、未加硫コグ付きクッション層の製造方法において、平板状のエンボス金型に織布を均一に貼り付けた後、未加硫クッションゴムを圧入する方法では、得られたコグ付き伝動ベルトは上記の通り織り目角度が山頂部とコグ溝部とがほぼ同じとなり、上記の背面プーリを使用する場合には、コグ溝部の織布が大きく延伸され山頂部に比して大きな張力が掛かることとなり織り糸が破断し易くなる。この発明は、内外側に繰り返し屈曲されるコグ付き伝動ベルトのクッション層のクラック発生を防止するために、伸張にも強い織布を保護層とした、長寿命のコグ付き伝動ベルトおよびその製造方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために請求項1のコグ付き伝動ベルトは、背面に外側保護層を有する張力層の内側に、内周面を織布により保護されたコグを有するクッション層を形成しているコグ付き伝動ベルトであって、コグ溝部における前記織布の織り目角度が山頂部における織り目角度より大きく形成されている。 【0010】背面プーリとともに使用されるコグ付き伝動ベルト(単にベルトともいう)では、上述のようにコグ溝部(コグと隣り合うコグとの間の底部をいう)の織布に、山頂部の織布に比してより強い張力が掛かる。同時に駆動プーリの位置では強い圧縮が掛かるので、織布の疲労は一層大きくなる。そこで背面プーリを使用する位置においても、コグ溝部の織り目角度が山頂部の織り目角度に近似するように、最初よりコグ溝部の織り目角度を大きく設計する。すなわち、伸張時に織り目角度が小さくなってもなお伸張に耐える余地を予め設計している。 【0011】請求項2に記載のコグ付き伝動ベルトは、前記山頂部における前記織布の織り目角度が80〜130°である。 【0012】山頂部の織布には、二つのプーリに懸回した場合に圧縮側に力が掛かり、織り糸にはベルトの幅方向、即ち織り目角度を拡げる方向にも力が掛かる。しかし、背面プーリが使用され、ベルトが内側に凸に湾曲されるときには、このコグの山頂部は伸張され、織り目角度は減縮される方向に力が掛かる。直線に走行するときの織り目角度を大きく設計してコグ山頂部が伸張されたとき織り目角度が90°に近づくように設計することにより織り糸に掛かる張力を減少する。80°未満ではベルトを背面プーリに懸回したとき織り糸に過剰な張力を掛かり破断することがあり、130°を超えると、バイヤスカットされた織布が僅かな張力で大きく伸びて、未加硫コグ付きクッション層の成形作業が困難になる(織り目角度が安定しない)。なお、織り目角度は、ベルトをフラットな平面上にコグ側を上面として展張した状態で測定する。 【0013】請求項3に記載のコグ付き伝動ベルトは、前記コグ溝部の織布の織り目角度が前記山頂部の織り目角度より7〜30°大きい。 【0014】ベルトが駆動プーリ等に懸回されて内側に凹に曲げられたときは、コグ溝部は山頂部に比して強く圧縮され、背面プーリにより内側に凸に屈曲されたときには、コグ溝部は山頂部に比して強く引き伸ばされる。コグの断面形状は山頂部に至るに従ってなだらかに細くなっているので、内側に凹に屈曲されてもコグ相互に当接することがなくベルトの長さ方向の圧縮は少ない。しかし、コグ溝部ではゴムの逃げ場がなく強く圧縮される。逆にベルトが内側に凸に屈曲されたときには、山頂部は開放された状態となり、かつ、コグ部のゴムが圧縮されて織布に負荷される張力は減少されるが、コグ溝部の織布は背面を背面プーリに支持されて逃げ場がなく強く引き延ばされることとなる。そこでコグ溝部の織り目角度を山頂部の織り目角度より大きく設計することにより、コグ溝部が伸張されても織布の織り目角度を変化させることにより織り糸に掛かる張力を減少する。 【0015】なお、コグ溝部と山頂部との伸縮の差は、コグの高さ(コグ溝部の底と山頂との差)、背面プーリによる湾曲の程度および背面プーリの外径により変化するので、コグ溝部の織り目角度と山頂部の織り目角度との好ましい差は実験により求められる。通常使用されるコグ付き伝動ベルトにおいては、コグ溝部の織り目角度を山頂部の織り目角度より7〜30°大きくすることが好ましい。7°未満ではコグ溝部の織り糸に大きな張力が掛かり破断することがあり、30°を超えることは、後述の未加硫ゴム板に織布を圧着する工程において、バイヤスカットされた織布の織り目角度が変化しやすくバラツキが大きくなる。 【0016】請求項4に記載のコグ付き伝動ベルトは、前記クッション層が繊維入りゴムである。 【0017】繊維入りゴムはゴムと親和性の高い短繊維を練り込み、その短繊維の多くはその長さ方向を伝動ベルトの幅方向に向けて配列されている。これによって駆動プーリ等による側圧にも係わらず、ベルト幅を維持できる。 【0018】請求項5に記載のコグ付き伝動ベルトの製造方法は、背面に保護層を有する張力層の内側に、内周面を織布により保護されたコグを有するクッション層を形成しているコグ付き伝動ベルトの製造方法であって、表面にコグ形状に対応する成型用溝部を有する平板状のエンボス金型に未加硫クッションゴムを圧入して未加硫コグ部を有する未加硫ゴム板を形成し、前記未加硫ゴム板を、前記未加硫コグ部を外側として所定の外径を有し回転可能な成形ローラに懸回し、その成形ローラに懸回された前記未加硫ゴム板のコグ溝部に前記織布を貼付し、貼付された前記織布の上面に前記コグ溝部に対応する歯部を有する歯付きローラを圧接し、前記織布と前記未加硫ゴム板とを供給しながら前記歯付きローラおよび前記成形ローラを同調して回転させて、前記未加硫ゴム板の全長に前記織布を積層することにより未加硫コグ付きクッション層を成形したのち、つづけて、外周面に前記コグに対応する加硫用溝部を有する円筒状金型に、前記未加硫コグ付きクッション層を前記加硫用溝部と前記未加硫コグ部とを嵌合させながら巻き付け、その外周面に未加硫の前記張力層と前記外側保護層とをこの順序で巻き付けて未加硫コグ付き伝動ベルトを成形した後、この未加硫コグ付き伝動ベルトに内面が平滑なゴムスリーブを被せ、前記ゴムスリーブの外側より加圧しながら、未加硫コグ付き伝動ベルト全体を加熱・加硫した後に脱型し、所定の幅に輪切りしてコグ付き伝動ベルトを製造する。 【0019】まず、表面にベルトのコグ形状に対応する成型用溝部を有する平板状のエンボス金型に未加硫のクッションゴムを圧入してコグ部を有する未加硫ゴム板(単に未加硫ゴム板ともいう、織布は貼付していない)を成形する。 【0020】前記未加硫ゴム板を、その未加硫コグ部を外側として所定の外径を有する回転可能な成形ローラに懸回することにより、未加硫ゴム板の未加硫コグ部を押し出してコグ溝部を延伸した状態とする。この状態で、別に準備されたコグの内周面を保護する織布(バイヤスカットされている)をコグ溝部に貼付する。貼付された織布の上面に、コグ溝部の形状に対応する歯部を有する歯付きローラを当接して、前記未加硫ゴム板と所定の張力(ゼロ又は自重のみの張力を含む)を掛けた前記織布とを供給しながら、歯付きローラおよび成形ローラを同調させて回転させ、未加硫ゴム板の全長に織布を積層して未加硫コグ付きクッション層を成形する。コグ溝部を延伸した状態で所定の張力を掛けた織布を圧着することにより、加硫後にコグ付き伝動ベルトを真っ直ぐにしたときコグ溝部は収縮し、積層された織布の織り目角度はコグの山頂部の織り目角度より大きくなる。 【0021】この未加硫コグ付きクッション層を用いて、従来のベルトの製造方法と同様な方法でコグ付き伝動ベルトを成形する。即ち、外周面に前記コグに対応する加硫用溝部を形成した円筒状金型に、前記未加硫コグ付きクッション層を加硫用溝部と未加硫コグ部とを嵌合させながら巻き付け、その外周面に未加硫の張力層と外側保護層とをこの順序で巻き付けて未加硫コグ付き伝動ベルトを成形した後、その未加硫コグ付き伝動ベルトに内面が平滑なゴムスリーブを被せ、そのゴムスリーブの外側より高圧蒸気などにより加圧しながら、未加硫コグ付き伝動ベルト全体を加熱・加硫した後脱型して、所定の幅に輪切りしてコグ付き伝動ベルトを製造する。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るコグ付き伝動ベルトおよびその製造方法について各実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は本発明に係るコグ付き伝動ベルトの部分平面図、図1(b)はその側面図で、図2は未加硫ゴム板9に織布3を貼付する工程を説明する側面図である。 【0023】図1(a)の短い斜線は織り糸27が交差している状態を表し、コグ付き伝動ベルト1のコグ溝部8の織り目角度βは、山頂部7の織り目角度αより大きい角度に成形されている。また、クッション層の保護層として使用される織布3は、綿、ナイロン、ポリエステル、またはこれらの混紡が使用され、バイヤス裁断され長尺に接合されている。ベルトに成形される前では、縦糸、横糸の交差角(織り目角度)が90°〜120°である。図1(b)にはコグ付き伝動ベルト1の側面図が示され、張力層4の外側(この図では左側)には外側保護層5を有し、その張力層4の内側(この図では右側)には、内周面に沿って織布3が積層されているコグ2を有するクッション層18を積層している。 【0024】このコグ溝部8の織り目角度βを山頂部7の織り目角度αより大きく作り込むためのコグ付き伝動ベルトの製造方法を図6を参考として図2により説明する。未加硫ゴム板9は、図6に示す従来例による製造方法と同様にして成形される。但し、エンボス金型10には織布3を添付することなく未加硫クッションゴム6を直接圧入する。即ち、このエンボス金型10の上面に未加硫クッションゴム6を載置し、その未加硫クッションゴム6の上方から加圧板11により加圧・圧入して未加硫ゴム板9を成形する。 【0025】つづいて図2に示すように、未加硫ゴム板9をその未加硫コグ側を外側として回転可能な成形ローラ17に懸回する。この未加硫ゴム板9の屈曲されたコグ溝部8の外側に織布3を案内し、その織布3の外側より、コグ溝部8の形状に対応する歯部16を有する歯付きローラ15を圧接して、織布3を未加硫ゴム板9に圧着する。歯付きローラ15と成形ローラ17とを同調させて回転させ、未加硫ゴム板9を送り込みながら、織布3を所定の張力(ゼロを含む)を掛けた状態で供給して、織布3を未加硫ゴム板9に積層して未加硫コグ付きクッション層23を成形する。 【0026】成型ローラ17の上面で未加硫ゴム板9は、コグを外側にして凸状に湾曲されると、コグ溝部8は大きく伸張され、コグの山頂部7は殆ど伸張されない。コグ溝部8が伸張された状態で伸張されない織布3が圧着されるので、この未加硫コグ付きクッション層23が平面状に回復されたときには、コグ溝部8は収縮し、織布3の織り目角度は圧着時の織布3の織り目角度より拡大されることとなる。圧着作業時に織布3に張力を掛けると、織布3全体の織り目角度は小さくなるが、コグ溝部8の織り目角度βは山頂部7の織り目角度αより大きく保たれる(角度差は残る)。 【0027】この未加硫コグ付きクッション層23を用いて本発明のコグ付き伝動ベルトを製造する方法は、従来のコグ付き伝動ベルトの製造方法と同様である。即ち、外周面に前記コグに対応する加硫用溝部を形成した図示しない円筒状金型に、前記未加硫コグ付きクッション層23を加硫用溝部に未加硫コグ部を嵌合させながら巻き付け、その外周面に未加硫の張力層、外側保護層をこの順序で巻き付けて未加硫コグ付き伝動ベルトを成形した。この円筒状金型に外嵌された未加硫コグ付き伝動ベルトに内面が平滑なゴムスリーブを被せ、そのゴムスリーブの外側より高圧蒸気などにより加圧しながら、未加硫コグ付き伝動ベルト全体を加熱・加硫した後脱型して、所定の幅に輪切りしてコグ付き伝動ベルトを製造した。 【0028】 【実施例】このようにして製造されたコグ付き伝動ベルト(実施例)と従来のコグ付き伝動ベルト(比較例)とを走行試験により評価した結果を次に示す。貼り合わせ前の織布の織り目角度を120°(実施例1,実施例2,比較例1)と90°(実施例3,実施例4、比較例2)とを使用し、成形ローラ17の外径は35mm(実施例1,実施例3)と50mm(実施例2、実施例4)とを使用した。 【0029】実施例1上述のように、まず図6に示すエンボス金型10の成型用溝部19に、織布3を沿わせることなく、繊維入りの未加硫クッションゴム6を直接圧入して、未加硫クッションゴムのみの未加硫ゴム板9を成形した。図2に示すように、この未加硫ゴム板9を外径35mmの成型ローラ17にコグ溝部8を外側にして懸回し、バイヤスにカットされた織り目角度120°の織布3をコグ溝部8に付着させて、その上面(外側)に歯付きローラ15を圧接する。成型ローラ17と歯付きローラ15とを同調させて回転させて、連続して織布3と未加硫ゴム板9とを送り込み積層して、未加硫コグ付きクッション層23を製造した。この未加硫コグ付きクッション層23を加硫用溝部を有する円筒状金型に巻き付け、その外側に張力層、外側保護層を巻き付けた後、加硫し輪切りしてコグ付き伝動ベルトを仕上げた。 【0030】実施例2実施例1と同様に成形された未加硫ゴム板9を、外径50mmの成形ローラ17に懸回して未加硫コグ付きクッション層23を成形し、つづけて実施例1と同様にしてコグ付き伝動ベルトを成形した。 【0031】実施例3実施例1と同様に成形した未加硫ゴム板9に実施例1と同様な手段により織り目角度が90°の織布を圧着して未加硫コグ付きクッション層23を成形した。つづけて実施例1と同様にしてコグ付き伝動ベルトを成形した。 【0032】実施例4実施例1と同様に成形した未加硫ゴム板9を、外径50mmの成形ローラ17に懸回し、実施例1と同様な手段により織り目角度が90°の織布を圧着して未加硫コグ付きクッション層23を成形した。つづけて実施例1と同様にしてコグ付き伝動ベルトを成形した。 【0033】比較例1図6に示すように、エンボス金型10の成型用溝部19に沿わせて、織り目角度120°の織布3を貼付し、その織布3の上から繊維入りの未加硫クッションゴム6を圧延して、内側(下面)に織布3を付着した未加硫クッションゴム層23を成形した。この未加硫コグ付きクッション層23を実施例1と同様に図示しない加硫用溝部を有する円筒状金型に巻き付け、その外側に張力層、外側保護層をこの順序で巻き付けた後、加硫し輪切りしてコグ付き伝動ベルトを仕上げた。【0034】比較例2織布3の織り目角度を90°に変更した以外は比較例1と同様な方法でコグ付き伝動ベルトを仕上げた。 【0035】これらの実施例、比較例により成形されたコグ付き伝動ベルトを図8に示す走行試験機30により屈曲走行試験を行った。評価方法として、コグ溝部に目視で確認できるクラックが発生するまでの走行時間(クラック発生時間ともいう)を測定し、比較例1のクラック発生時間を100とした場合の実施例1及び実施例2,比較例2のクラック発生時間を100とした場合の実施例3及び実施例4、それぞれのクラック発生時間を対比してその比率をもって評価した。上記各試料の製造条件と走行試験結果とを対比して表1、表2に示す。表1は、未加硫ゴム板に貼付する前の織布の織り目角度が120°である場合を示し、表2は、その織り目角度が90°である場合を示す。 【0036】 【表1】
【0037】 【表2】
【0038】図8に示す走行試験機30は、駆動プーリ25と重りwにより常に離間する方向に力を掛けられた従動プーリ26との間に、評価対象となるコグ付き伝動ベルト1を懸回し、コグ付き伝動ベルト1の背面より背面プーリ12を所定の力で押しつけ内側に屈曲させながら矢印xの方向に回転させる。試験開始後、所定時間ごとに停止してクラック状態を観察して最初にクラックが発見されるまでの時間を測定する。 【0039】測定した結果、表1に示す織り目角度120°の織布を使用する場合では、コグ溝部の織り目角度βは原織布の織り目角度より大きくなり、山頂部織り目角度αは原織布の織り目角度より小さくなり、その角度差はローラ径が小さい方が大きくなる。従って、クラックが発生するまで時間は、比較例1を100としたとき、実施例1が145、実施例2では128となり、クラック発生までの時間が大きく伸び、特に実施例1においてはその効果が大きい。 【0040】表2に示す織り目角度90°の織布を使用する場合では、溝部織り目角度βは原織布の織り目角度より大きくなり、山頂部織り目角度αは原織布の織り目角度より小さくなり、その角度差はローラ径が小さい方が大きくなる。従って、クラックが発生するまでの時間は、比較例2を100としたとき、実施例3が157、実施例4では133となり、クラック発生までの時間が大きく伸び、特に実施例3においてはその効果が大きい。さらに表1に示す原織布の織り目角度が120°の場合よりクラック発生防止効果は大きくなる。即ち、原織布の織り目角度が小さい場合の方が効果は大きく現れる。 【0041】 【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明のコグ付き伝動ベルトおよびその製造方法には、次のような効果がある。 【0042】(1) 請求項1に記載のコグ付き伝動ベルトは、コグ溝部の織り目角度βが山頂部の織り目角度αより大きく設計されているので、背面プーリにより内側に凸となる繰り返し屈曲に対しても、コグ溝部の織り目角度が変化するゆとりがあり、織り糸に掛かる張力が緩和されれ織り糸が破断することがない。従って背面プーリを使用されるコグ付き伝動ベルトにおいても長寿命が得られる。 【0043】(2) 請求項2に記載のコグ付き伝動ベルトは、山頂部織布の織り目角度を一定の範囲に設計することにより、成形作業性がよく、かつ、コグが伸張される背面プーリを使用される場合であっても織布の織り糸に過剰な負荷が掛かることがなく長時間走行に耐えることができる。 【0044】(3) 請求項3に記載のコグ付き伝動ベルトは、コグ溝部の織り目角度βがコグ山頂部の織り目角度αより7°〜30°大きく設計され、背面プーリによりコグ側に凸に繰り返し屈曲されたとき、コグ溝部の織布は伸張されて織り目角度が小さくなるが、なお山頂部の織り目角度に近似したものとなり、コグ溝部の織り糸に過度の張力が掛かることがない。 【0045】(4) 請求項4に記載のコグ付き伝動ベルトは、コグに繊維入りゴムを使用している。混入した繊維によりクッションゴムは硬くなりベルト幅方向の伸縮が制限され、山頂部における織布の伸縮のゆとりが無くなり、コグ溝部の伸縮が大きくなるので、織り目角度を大きくする効果は一層大きくなる。 【0046】(5) 請求項5に記載のコグ付き伝動ベルトの製造方法により請求項1〜4に記載のコグ付き伝動ベルトを効率よく製造できる。特に、未加硫ゴム板をコグを外側に屈曲させコグ溝部を延伸した状態で織布を張り合わせることにより、コグ溝部の織り目角度を山頂部の織り目角度より大きくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005061 【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月16日(1999.4.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085291 【弁理士】 【氏名又は名称】鳥巣 実 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−304104(P2000−304104A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−109850 |
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