| 【発明の名称】 |
歯付きベルトおよびこの歯付きベルトを用いた駆動伝達システム |
| 【発明者】 |
【氏名】玉置 稔隆
【氏名】金田 明記
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| 【要約】 |
【課題】歯付きベルトとプーリとの噛合い振動を低減し、鮮明な印刷画像を得る。
【解決手段】プリンタ10はモータ14に回転駆動される駆動プーリ16と、従動プーリ18とを備える。この2つのプーリ16、18に歯付きベルト30を所定の張力で巻回する。歯付きベルト30にキャリッジ部12を固定する。歯付きベルト30は硬度70JIS−Aのクロロプレンゴムからなるベルト本体を備える。ベルト本体の一方の面にベルト歯底部32およびベルト歯部34を形成し、その表面に帆布を設ける。帆布をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液により処理する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベルト本体の少なくとも一方の面に長手方向に沿って所定間隔毎に形成された歯部と、前記歯部が形成された前記ベルト本体の表面を覆う帆布とを備え、前記ベルト本体が原料ゴムとして硬度が約65JIS−Aないし約75JIS−Aの合成ゴムを有し、前記帆布がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液により処理が施されることを特徴とする歯付きベルト。 【請求項2】 前記所定間隔が3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。 【請求項3】 前記合成ゴムの硬度が約70JIS−Aであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。 【請求項4】 前記合成ゴムがクロロプレンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。 【請求項5】 前記歯部の側面が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。 【請求項6】 ベルト本体の少なくとも一方の面に長手方向に沿って所定間隔毎に形成された歯部と、前記歯部が形成された前記ベルト本体の表面を覆う帆布とを備え、前記ベルト本体が原料ゴムとして硬度が約65JIS−Aないし約75JIS−Aの合成ゴムを有し、前記帆布がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液により処理が施されることを特徴とする歯付きベルトと、前記歯付きベルトの歯部に係合し前記歯部とほぼ同形状の溝部が、外周面に形成された駆動プーリおよび従動プーリとを備え、前記歯付きベルトが前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻回されることにより、前記駆動プーリの回転駆動力が前記歯付きベルトを介して前記従動プーリに伝達されることを特徴とする駆動伝達システム。 【請求項7】 前記所定間隔が3mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達システム。 【請求項8】 前記合成ゴムの硬度が約70JIS−Aであることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達システム。 【請求項9】 前記合成ゴムがクロロプレンゴムであることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達システム。 【請求項10】 前記歯部および前記溝部の側面が円弧状であることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達システム。 【請求項11】 前記駆動プーリが金属により成型され、前記従動プーリが合成樹脂により成型されることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプリンタのキャリッジを歯付きベルトを介して駆動するための駆動伝達システムに関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ワイヤドット方式、インクジェット方式、レーザビーム方式、およびサーマル方式等のカラードットプリンタの普及に伴ってその性能の向上が求められている。カラー印刷では、例えば1つのドットに対して3色のインクを重ねて印刷することにより、そのドットの色が再現される。3色のインクによる印刷部を備えたキャリッジは無端の歯付きベルトに固定され、このベルトはモータにより駆動されるプーリで捲回される。モータの回転駆動が歯付きベルトを介してキャリッジに伝達され、キャリッジが用紙の送り方向に対して垂直な方向に移動する際に各色のライン印刷が行われる。即ちカラー印刷においては、インクの色数だけ、例えば3回だけ同じ箇所をキャリッジが往復する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】鮮明な印刷画像を得るためには、3色分のライン印刷位置が厳密に同じであることが求められる。しかし、歯付きベルトとプーリとの噛合いによって生じる振動が大きいと、その振動によってキャリッジが所定の印刷位置から上下方向あるいは左右方向にずれ、各インク色がずれた不鮮明な印刷画像になることが問題である。 【0004】本発明は、この様な点に鑑みてなされたものであり、歯付きベルトとプーリとの噛合い振動を減少させることにより、鮮明な印刷画像を得ることが目的である。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明による歯付きベルトは、ベルト本体の少なくとも一方の面に長手方向に沿って所定間隔毎に形成された歯部と、歯部が形成されたベルト本体の表面を覆う帆布とを備え、ベルト本体が原料ゴムとして硬度が65ないし75JIS−Aの合成ゴムを有し、帆布がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液により処理が施されることを特徴としている。 【0006】歯付きベルトにおいて、隣り合う2つの歯部の間の間隔が3mm以下であることが好ましい。原料ゴムとして用いられる合成ゴムは、その硬度が70JIS−Aであってもよく、また材質がクロロプレンゴムであってもよい。さらに歯部の側面が円弧状であることが好ましい。 【0007】また、本発明による駆動伝達システムは、歯付きベルトと、歯付きベルトの歯部に係合し歯部とほぼ同形状の溝部が外周面に形成された駆動プーリおよび従動プーリとを備え、歯付きベルトが駆動プーリおよび従動プーリに巻回されることにより、駆動プーリの回転駆動力が歯付きベルトを介して従動プーリに伝達される。本発明においては、歯付きベルトが、ベルト本体の少なくとも一方の面に長手方向に沿って所定間隔毎に形成された歯部と、歯部が形成されたベルト本体の表面を覆う帆布とを備え、ベルト本体が原料ゴムとして硬度が65ないし75JIS−Aの合成ゴムを有し、帆布がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液により処理が施されることが特徴とされる。 【0008】駆動伝達システムにおいて、歯付きベルトの隣り合う2つの歯部の間の間隔が3mm以下であることが好ましい。歯付きベルトの原料ゴムとして用いられる合成ゴムは、その硬度が70JIS−Aであってもよく、材質がクロロプレンゴムであってもよい。さらに歯付きベルトの歯部および駆動プーリおよび従動プーリの溝部の側面が円弧状であることが好ましい。駆動プーリは金属により成型されることが好ましく、従動プーリは合成樹脂により成型されることが好ましい。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明による駆動伝達システムおよび歯付きベルトの実施形態について添付図面を参照して説明する。 【0010】図1および図2には、本発明による一実施形態である駆動伝達システムが適用されたプリンタが示される。図1はプリンタのキャリッジ近傍を示す側面図、図2はその斜視図である。プリンタ10はキャリッジ部12を備え、このキャリッジ部12にはインク射出口11aを有する印刷ヘッド11が一体的に設けられる。キャリッジ部12は上下2本の平行なガイド棒15に支持され、これらのガイド棒15の軸方向、即ち矢印A方向に移動可能である。キャリッジ部12は2本のガイド棒15の間に設けられた無端の歯付きベルト30に固定部材17により固定される。 【0011】歯付きベルト30は、2つのプーリ、即ち駆動プーリ16および従動プーリ18に巻回され、従動プーリ18を駆動プーリ16から離間する方向に付勢するバネ19により一定の張力が与えられる。駆動プーリ16および従動プーリ18は、図示しないプリンタ本体に回転可能に支持固定される。駆動プーリ16はモータ14により回転駆動される。 【0012】駆動プーリ16および従動プーリ18の外周面には、それぞれプーリ歯部22およびプーリ溝部24が交互に形成される。一方、歯付きベルト30の一方の面には、プーリ歯部22に対応した寸法形状のベルト歯底部32と、プーリ溝部24に対応した寸法形状のベルト歯部34とが交互に形成される。プーリ歯部22とベルト歯底部32、およびプーリ溝部24とベルト歯部34とが係合することにより、歯付きベルト30は回転する。 【0013】キャリッジ部12は歯付きベルト30の回転と共にキャリッジ部12が駆動プーリ16および従動プーリ18との間で往復する。このようにして、モータ14の駆動力が歯付きベルト30を介してキャリッジ部12に伝達され、キャリッジ部12が印刷用紙21に対して矢印Aの方向に移動する。 【0014】図3は、歯付きベルト30の一部を示す斜視図である。歯付きベルト30はベルト本体36を備え、このベルト本体36の一方の面にベルト歯部34とベルト歯底部32とが長手方向に沿って交互に形成される。ベルト歯部34およびベルト歯底部32の表面には帆布38が設けられる。この帆布38はナイロン繊維から成る織布として形成される。ベルト本体36の内部には長手方向に延びる心線40が埋設される。複数本の心線40はベルトの幅方向に一定の間隔をもって互いに平行に並んでいる。 【0015】歯付きベルト30において、隣り合う2つのベルト歯部34の間の距離、即ち歯ピッチは、プリンタおよびスキャナに汎用的に用いられる2mm、あるいは1.5mmでもよい。鮮明な印刷画像を得るためには歯ピッチは3mm以下であることが好ましい。 【0016】ベルト本体36の原料ゴムとしては、クロロプレンゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が好適に用いられるが、これらに限定されず加硫成型可能なゴムであれば良い。またその硬度は70であることが好ましい。なお、硬度はJIS−A硬度計により測定された値である。 【0017】図4に示すように、ベルト歯部34は円弧状断面を有している。同図には歯付きベルト30の寸法形状を定義する図が示されるが、特にこの寸法形状に限定されるものではない。また歯付きベルト30の大きさ、歯幅および歯数は、種々の走行条件に応じて適宜定められる。 【0018】図4に示す歯付きベルト30の形状について説明する。歯付きベルト30は歯ピッチを定めるための基準線PLを基に設計される。ベルト歯部34は基準線PLに垂直な中心線Yを有し、この中心線Yに対して左右対称に形成される。隣り合う2つのベルト歯の中心線間距離BW が歯ピッチである。基準線PLから歯底面、即ち基準線PLに平行な歯底線Xまでの距離はBD で示される。歯高さ、即ち歯底面から歯先面までの距離はBH で示される。 【0019】代表して図4における中心線Yの左側の輪郭について説明する。ベルト歯の輪郭は3つの連続する円弧、即ち弧A1 A2 と弧A2 A3 と弧A3 A4 とにより形成される。弧A1 A2 は点A1 から点A2 に延びる円弧であることを示す。弧A1 A2 は中心を点C1 とする半径R1 の円弧であり、弧A2 A3 は中心を点C2とする半径R2 の円弧であり、弧A3 A4 は中心を点C3 とする半径R3 の円弧である。 【0020】歯ピッチBW を2としたとき、歯ピッチBW に対する距離BD 、歯高さBH 、半径R1 、R2 およびR3 の比はそれぞれBD =0.254、BH =0.75、R1 =0.15、R2 =1、R3 =0.555に定められる。また、点C1 、C2 およびC3 の相対位置はそれぞれC1 =(0.740,0.150)、C2 =(−0.4,0)、C3 =(0,0.195)に定められる。なお、これらの相対位置は歯底線Xと中心線Yとの交点Oを原点とし、歯底線Xおよび中心線Yを2軸とする2次元座標で示され、その値は歯ピッチBW を2としたときの比で示される。なおこの2次元座標においては、X軸は図の左方に行くほど、またY軸は図の下方に行くほど数値は大きくなるものとする。 【0021】次に帆布38について説明する。帆布38は、歯付きベルト30の長手方向に沿う伸縮性のある捲縮加工糸と、歯付きベルト30の幅方向に沿う非伸縮性糸とで織された平織布から形成されるが、その他の織り布、例えば朱子織あるいは種々の変成織により得られる織り布によって形成されてもよい。 【0022】帆布38の捲縮加工糸としては、合成繊維、例えばナイロン繊維が捲縮加工されたものが好適に用いられる。帆布38の非伸縮性糸としては、例えばナイロン繊維のフィラメント糸等が適している。このように、帆布38では、歯付きベルト30の長手方向に沿って伸縮性のある捲縮加工糸が用いられ、歯付きベルト30の幅方向に沿って非伸縮性糸が用いられる。これにより、帆布38には歯付きベルト30の長手方向に沿う伸縮性が与えられる。 【0023】帆布38は、ベルト本体36のゴム成分との接着性を良くするために、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス、即ちRFL液によって処理が施される。詳述すると、帆布38はRFL液に浸漬された後、一対のロールにより所定の絞り圧でディップ処理され、乾燥させられる。この処理が所望の回数繰り返されることにより、帆布38へのRFL液の固形成分の付着量が調節される。 【0024】このようにRFL液によって処理された帆布38は、ベルト本体36との接着が良好であり、かつベルト本体36の変形を許容する柔軟性をも有する。また歯付きベルト30の摩耗が防止される。 【0025】心線40には、多数本の微細径を有するフィラメントを集めて撚りあわせたものが用いられる。フィラメントとしては、応力に対して伸びが小さく、引張強度が大きいガラス繊維あるいはアラミド繊維等が好適に用いられる。各フィラメントには保護剤あるいは接着剤であるRFL溶液による処理が施される。 【0026】ベルト本体36のゴムとの接着性を良くするために、心線40の最外層にはオーバーコート層が形成される。オーバーコート層は、例えば心線40をクロロスルホン化ポリエチレンのゴム溶液に浸漬した後、乾燥することにより形成される。 【0027】以上のように、本願発明の駆動伝達システムにおいては、歯付きベルト30においてクロロプレンゴムの硬度を従来の80から70に、即ち柔軟なゴムをベルト本体36のゴムとして用い、また帆布38としてRFL液で処理されたものを用いることにより、駆動プーリ16あるいは従動プーリ18との総合的な噛合い精度が向上し、噛合いによって生じる振動を抑えることができる。従って、プリンタに本願発明の駆動伝達システムを適用すれば、キャリッジ部12が所定の印刷位置から上下方向あるいは左右方向にずれることなく、鮮明な印刷画像を得ることができる。 【0028】図5は、駆動プーリ16の形状を示す図であって駆動プーリ16の断面を部分拡大して示す図である。駆動プーリ16は例えば真鍮等の金属により成型され、図4に示す歯付きベルト30に対応した形状に成型される。なお、従動プーリ18は駆動プーリ16と同じ寸法形状であり、ここでは説明を省略する。従動プーリ18はポリアセタール熱可塑性樹脂等の合成樹脂により成型される。 【0029】駆動プーリ16の外周面にはプーリ溝部24およびプーリ歯部22が交互に形成され、プーリ溝部24は歯付きベルト30のベルト歯部34とほぼ同じ寸法形状を有し、プーリ歯部22はベルト歯底部32とほぼ同じ寸法形状を有している。駆動プーリ16の寸法形状の詳細については説明を省略するが、図5に示すプーリ歯部22のさらに外周に示される一点鎖線PL’は、歯付きベルト30を係合させたときの基準線PLと一致する。この一点鎖線PL’からプーリ歯部22の先端までの距離PD は、例えば図4に示す歯付きベルト30の距離BD と略等しい。また、プーリ歯部22先端からプーリ溝部24最深部までの距離、即ち溝深さPH は、歯付きベルト30の歯高さBH と略等しい。 【0030】 【実施例】以下、実施例をおよび比較例をあげて本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。 【0031】〔実施例ベルトおよび比較例ベルト〕本発明による歯付きベルトの実施例は実施例ベルト1として以下に言及される。また本発明による歯付きベルトの比較例として2つのタイプの歯付きベルトが製造され、これらは比較例ベルト1および2として以下に言及される。 【0032】実施例ベルト1と、比較例ベルト1および2の構成については、以下の表1に示す通りである。 【表1】
【0033】実施例ベルト:表1に示すように、実施例ベルトにおいては、ベルト本体36の原料ゴムとして硬度が70JIS−Aのクロロプレンゴムが用いられた。心線40にはガラス繊維が用いられ、心線40の直径は0.26mmとされた。帆布38にはナイロン繊維を平織したものが用いられた。この帆布38にはラテックス成分をクロロプレンゴムラテックスとするRFL液による処理が施され、即ちRFL液に浸漬後、乾燥処理され、帆布表面にRFL層が形成された。帆布38はの厚みは0.100mmであった。 【0034】実施例ベルトに寸法形状については、図3に示す形状が適用され、歯ピッチは2mmに定められた。歯数は360歯、歯幅は6mmであった。 【0035】心線40について述べる。直径9μmのガラス繊維を200本収束した糸が3本集められ、RFL処理が施された後、一方向に撚り、即ちZ撚りあるいはS撚りに撚りがかけられ、これが心線40とされた。 【0036】比較例ベルト1:表1に示すように、比較例ベルト1においては、ベルト本体36の原料ゴムとして硬度が70JIS−Aのクロロプレンゴムが用いられた。心線40にはガラス繊維が用いられ、心線40の直径は0.26mmとされた。帆布38にはナイロン繊維が用いられた。この帆布38にはゴム糊溶液による処理が施され、その厚みは0.136mmであった。比較例ベルト1は、帆布処理においてRFL液のかわりにゴム糊溶液が用いられる点を除けば、実施例ベルトと実質的に同じものである。 【0037】比較例ベルト2:表1に示すように、比較例ベルト2においては、ベルト本体36の原料ゴムとして硬度が80JIS−Aのクロロプレンゴムが用いられた。心線40にはガラス繊維が用いられ、心線40の直径は0.26mmとされた。帆布38にはナイロン繊維が用いられた。この帆布38にはゴム糊溶液による処理が施され、その厚みは0.136mmであった。比較例ベルト2は、クロロプレンゴムの硬度が80JIS−Aである点と、帆布処理においてRFL液のかわりにゴム糊溶液が用いられる点とを除けば、実施例ベルトと実質的に同じものである。 【0038】〔歯付きベルトの走行試験およびその評価〕以上のような3種の歯付きベルト、即ち実施例ベルトと比較例ベルト1および2とを用いて、走行試験が行われた。 【0039】図6は走行試験装置の概略構成を示す図である。走行試験装置は、駆動プーリ62および従動プーリ64とから成り、被試験歯付きベルト61は2つのプーリ62、64に所定のベルト張力で架け渡される。駆動プーリ62は一方向に回転させられ、その回転速度は700rpmである。2つのプーリ62、64の形状は図4に示す形状が適用され、歯数はそれぞれ20歯であった。駆動プーリ62は真鍮により成型され、従動プーリ64はポリアセタール熱可塑性樹脂により成型された。 【0040】第1の走行試験装置では、実施例ベルトと、比較例ベルト1および2のそれぞれについて、同一条件下で走行試験が行われた。その走行試験の評価のために、4段階のベルト張力、即ち0.5kgf、1kgf、1.5kgf、および2.0kgfにおける回転変動率がそれぞれ測定された。なお回転変動率は、従動プーリ64の回転すべき回転数に対する変動量、即ちぶれ量を示すものであり、駆動プーリ62の回転数に対する割合(単位は%)で示される。また、各ベルト張力は、駆動プーリ62に対する従動プーリ64の相対位置を変化させることにより設定される。 【0041】第1の走行試験の結果は図7および表1の下段に示される。実施例ベルトの回転変動率は図7において実線で示され、この実線は変化の少ない右肩上がりの直線である。即ち実施例ベルトの回転変動率はベルト張力の増大に略比例して増加しており、またどのベルト張力においても0.03%以下の低い回転変動率であった。 【0042】これに対し、比較例ベルト1の回転変動率(図6において破線で示される)は、ベルト張力が0.5kgfおよび2.0kgfにおいては実施例ベルトとあまり変わらないが、1.0kgfにおいて0.067%と高い値が示された。また、図6において一点鎖線で示される比較例ベルト2の回転変動率は、1.5kgfにおいて最大値0.064%であった。 【0043】以上の結果から、ゴム糊溶液による帆布処理を行った比較例ベルト1および2に比べて、RFL液による帆布処理を行った実施例ベルトが、回転変動率が低く抑えられることが分かる。特にベルト張力が1.0kgf〜1.5kgfの範囲、これはプリンタ等に歯ピッチ2mmの歯付きベルトを設置するときに汎用的に用いられる値であるが、この範囲では特に回転変動率の低減が顕著に示される。 【0044】ベルト張力がこの範囲より低い値の場合、歯付きベルトが走行時にぶれる、即ち歯付きベルトとプーリとの噛合い時に振動が大きくなるため、プリンタ等に不適である。またベルト張力がこの範囲より高い値の場合、駆動軸あるいは被駆動軸への負荷が増大し、取付部分等に歪みが生じて振動が誘起される恐れがある。従って、ベルト張力は振動低下と取付部分への低負荷とを両立させる値であることが求められる。歯ピッチが2mmの場合、適正なベルト張力は1.0kgf前後とされる。上述したように、実施例ベルトは比較例ベルト1および2に比べて1.0kgf前後のベルト張力で回転変動率が大きく低減された。 【0045】比較例ベルト2と比較すると、クロロプレンゴムの硬度が低い比較例ベルト1では、回転変動率はある程度低減されたが、1.0kgfないし1.5kgfの範囲で高い値を示す傾向は変わらず、この範囲では比較例ベルト2よりさらに高い値を示した。しかし、クロロプレンゴムの硬度が低く、かつRFL処理された帆布を用いた実施例ベルトでは、特に1.0kgfないし1.5kgfの範囲において回転変動率を飛躍的に低減させることができた。 【0046】このように回転変動率が少ない歯付きベルトをプリンタに使用することにより、歯付きベルトに取付けられるキャリッジ部の振動が低減でき、キャリッジ部が所定の印刷位置から上下方向あるいは左右方向にずれることなく、鮮明な印刷画像を得ることができる。 【0047】 【発明の効果】本発明によると、歯付きベルトとプーリとの噛合い振動を減少させ、鮮明な印刷画像を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000115245 【氏名又は名称】ユニッタ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月25日(1998.12.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090169 【弁理士】 【氏名又は名称】松浦 孝
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| 【公開番号】 |
特開2000−193040(P2000−193040A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−369987 |
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