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【発明の名称】 歯付きベルト
【発明者】 【氏名】一色 重洋

【氏名】徳永 勉

【氏名】佐藤 喜隆

【要約】 【課題】歯付きベルトの歯部の強度を高め、歯付きベルトの耐久性を強化してその走行寿命を延ばす。

【解決手段】歯付きベルト10の歯ゴム層12の一方の面に歯部14および歯底部を交互に形成する。歯部14及び歯底部の外表面に帆布20を設ける。歯ゴム層12の他方の面に背ゴム層16を一体的に設ける。歯ゴム層12と背ゴム層16の境界面に複数の心線18を介在させる。歯ゴム層12にはその全体にわたって多数の変成ミクロファイバー22が混入している。変成ミクロファイバー22はポリオレフィンとナイロン繊維との共重合体である。全体の変成ミクロファイバー22は歯付きベルト10の長さ方向に配向している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の面に交互に形成された歯部および歯底部を有する歯ゴム層と、前記歯ゴム層の他方の面に一体的に適用された背ゴム層と、前記歯ゴム層と前記背ゴム層の境界面に介在させられ、かつ歯付きベルトの長さ方向に沿って延在すると共にその幅方向に沿って配列された複数の心線とを備え、前記歯ゴム層には多数の変成ナイロンミクロファイバーがその全体にわたって混入させられて規則的に配向させられており、この変成ナイロンミクロファイバーがポリオレフィンを微細径のナイロン繊維にグラフト重合させた共重合体であることを特徴とする歯付きベルト。
【請求項2】 前記変成ナイロンミクロファイバーの繊維長さLF が約4000μm以下であり、前記変成ナイロンミクロファイバーの繊維径DF が約1.5μm以下であり、かつ繊維径DF に対する繊維長さLF の比の値(LF /DF)が10以上であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項3】 前記繊維長さLF が好ましくは約1000μm以下であり、前記繊維径DF が約1.0μm以下であり、かつ前記比の値(LF /DF )が500以上1500以下の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の歯付きベルト。
【請求項4】 前記歯ゴム層の原料ゴムの100重量部に対して約10ないし約40重量部のナイロン繊維が混入されていることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項5】 前記歯ゴム層の原料ゴムの100重量部に対して約25重量部のナイロン繊維が混入されていることを特徴とする請求項4に記載の歯付きベルト。
【請求項6】 前記歯ゴム層の原料ゴムの100重量部に対して約3ないし約40重量部のポリオレフィンが混入されていることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項7】 前記歯ゴム層の原料ゴムの100重量部に対して約8重量部のポリオレフィンが混入されていることを特徴とする請求項6に記載の歯付きベルト。
【請求項8】 前記ナイロン繊維が6−ナイロンであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項9】 前記ポリオレフィンがポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項10】 前記歯ゴム層および前記背ゴム層に使用される原料ゴムが水素添加率91%以上の水素添加ニトリルゴムであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項11】 前記歯ゴム層および前記背ゴム層が原料ゴムに過酸化物系加硫剤を添加した配合ゴムから得られることを特徴とする請求項10に記載の歯付きベルト。
【請求項12】 前記変成ナイロンミクロファイバーが歯付きベルトの長手方向に配向させられており、さらに前記変成ナイロンミクロファイバーが前記歯ゴム層の歯部および歯底部の交互の輪郭面に接近した領域ではこの輪郭面に沿って配向させられ、前記歯ゴム層の歯部の中央領域では前記背ゴム層の面に対してほぼ直角に配向させられることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項13】 前記変成ナイロンミクロファイバーが歯付きベルトの幅方向に配向させられることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項14】 前記歯ゴム層の歯部および歯底部を覆うように帆布が設けられ、この帆布が歯付きベルトの長手方向に沿って延在する伸縮性の複合糸と、歯付きベルトの幅方向に沿って延在する非伸縮性糸とにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項15】 前記帆布がレゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス溶液で処理されることを特徴とする請求項14に記載の歯付きベルト。
【請求項16】 前記帆布が予成形されることを特徴とする請求項14に記載の歯付きベルト。
【請求項17】 前記心線が高強度ガラス繊維から形成され、前記心線が約0.17ないし約0.28mmの隙間で配列されることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項18】 前記心線がアラミド繊維から形成され、前記心線が約0.25ないし約0.36mmの隙間で配列されることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項19】 前記心線がレゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス溶液で処理され、さらに前記心線上にゴムのり溶液によるオーバーコート層が形成されて、好ましくはこのオーバコート層上にカシュー変性フェノール樹脂層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイミングベルトあるいは同期ベルトとして使用される歯付きベルトに関し、特に自動車等の乗物の原動機でクランク軸からカム軸、バランサー軸、燃料噴射ポンプの駆動軸等に回転駆動力を伝達するための動力伝達ベルトとして用いられる歯付きベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歯付きベルトは一般的には歯ゴム層を備え、この歯ゴム層の一方の面には歯部および歯底部が交互に形成される。歯ゴム層の他方の面には背ゴム層が一体的に設けられ、歯ゴム層と背ゴム層の境界面には心線が埋設される。近年、自動車等の乗物の原動機の性能が向上するにつれてクランク軸の回転数が上がり、カム軸、インジェクションポンプ軸等の補機軸を回転駆動させるために使用される歯付きベルトには一層大きな負荷が掛かり、歯部の歯欠けが早まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】負荷の増大に伴い、歯付きベルトにおけるこの早期歯欠けを防止する方策として、特願平7−179004号に記載されているように、歯ゴム層に一方向に配向させられたアラミド短繊維を混入して歯ゴム層の剛性を強化することが考えられる。しかし、アラミド短繊維を混入した場合歯ゴム層のゴム成分との接着性が十分でなく、長時間にわたって高負荷の下で歯付きベルトが使用されると、アラミド短繊維とゴム成分との境界面からの亀裂により歯部が欠損するという問題が生じる。
【0004】本発明の目的はこのような点に鑑みてなされ、歯部の早期欠損問題を解決し得るように構成された歯付きベルトを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による歯付きベルトは歯ゴム層を備え、この歯ゴム層はその一方の面に交互に形成された歯部および歯底部を有する。歯ゴム層の他方の面に背ゴム層が一体的に適用される。歯ゴム層と背ゴム層の境界面には複数の心線が介在させられ、これら心線は歯付きベルトの長さ方向に沿って延在すると共にその幅方向に沿って配列される。本発明によれば、このような歯付きベルトにおいて、歯ゴム層には多数の変成ナイロンミクロファイバーがその全体にわたって混入させられて規則的に配向させられており、この変成ナイロンミクロファイバーがポリオレフィンとグラフト重合せしめられた微細径のナイロン繊維であることが特徴とされる。
【0006】本発明において、変成ナイロンミクロファイバーの繊維長さLF については約4000μm以下であってよく、好ましくは約1000μm以下とされる。また、変成ナイロンミクロファイバーの繊維径DF については約1.5μm以下であってよく、好ましくは約1.0μm以下とされる。さらに、繊維径DF に対する繊維長さLF の比の値(LF /DF )については10以上であってよく、好ましくは500以上1500以下の範囲内とされる。
【0007】本発明において、ナイロン繊維は好ましくは6−ナイロンとされ、またポリオレフィンは好ましくはポリエチレンとされる。
【0008】本発明において、歯ゴム層の原料ゴムの100重量部に対して約10ないし約40重量部の変成ナイロンミクロファイバーが混入され得るが、好ましくは、約25重量部の変成ナイロンミクロファイバーが混入される。
【0009】本発明において、歯ゴム層および背ゴム層に使用される原料ゴムとしては、水素添加率91%以上の水素添加ニトリルゴムが用いられ、その原料ゴムには過酸化物系加硫剤を添加してもよい。
【0010】好ましくは、変成ナイロンミクロファイバーは歯付きベルトの長手方向に配向させられる。この場合、変成ナイロンミクロファイバーは、歯ゴム層の歯部および歯底部の交互の輪郭面に接近した領域ではこの輪郭面に沿って配向させられ、さらに歯ゴム層の歯部の中央領域では背ゴム層の面に対してほぼ直角に配向させられ得る。一方、変成ナイロンミクロファイバーは歯付きベルトの幅方向に配向させられてもよい。
【0011】本発明において、好ましくは、歯ゴム層の歯部および歯底部には帆布が覆われるように設けられ、この帆布は歯付きベルトの長手方向に沿って延在する伸縮性の複合糸と、歯付きベルトの幅方向に沿って延在する非伸縮性糸とにより構成され得る。このとき帆布が伸長されて破断する際のその伸びが元の長さの約30ないし約80%とされる。さらに帆布はレゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス溶液で処理されてもよく、また帆布は予成形されてもよい。
【0012】本発明において、心線は高強度ガラス繊維から形成されてよく、このとき心線は約0.17ないし約0.28mmの隙間で配列され得る。また、心線はアラミド繊維からも形成されてよく、このとき心線は約0.25ないし約0.36mmの隙間で配列され得る。好ましくは、心線はレゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス溶液で処理され、さらに心線上にゴムのり溶液によるオーバーコート層が形成されて、このオーバコート層上には好ましくはカシュー変性フェノール樹脂層が形成され得る。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して、本発明による歯付きベルトの実施形態について説明する。
【0014】図1には、本発明による歯付きベルトの第1の実施形態が参照番号10で全体的に示され、同図には歯付きベルト10から切り取られた一部が斜視図として図示される。
【0015】歯付きベルト10は歯ゴム層12を備え、この歯ゴム層12の一方の面には歯部14および歯底部15が交互に一体的に形成される。歯ゴム層12の他方の面には背ゴム層16が一体的に設けられる。歯付きベルト10はさらに帆布20を備え、この帆布20は歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の面に密着している。歯ゴム層12と背ゴム層16との間の境界面には、複数の心線18が埋設される。
【0016】図1に示すように、歯ゴム層12にはその全体にわたって多数の変成ナイロンミクロファイバー22がほぼ均等に混入され、しかも変成ナイロンミクロファイバー22は歯ゴム層12内に規則的に分布させられる。即ち、変成ナイロンミクロファイバー22は歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の表面に接近した領域では歯付きベルト10の長さ方向に沿って配向され、また各歯部14の中心領域では変成ナイロンミクロファイバー22は背ゴム層16の面に対して直角となるように配向させられる。いずれにしても、変成ナイロンミクロファイバー22は歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の輪郭面を形成する母線に対して直角方向に配向される。
【0017】歯部14は歯付きベルト10の走行時に最も負荷がかかる部位であるが、一方向に配向された変成ナイロンミクロファイバー22が混入されていることにより歯部14の剛性が強化され、歯付きベルト10の走行寿命を伸ばすことができる。
【0018】図2には、図1に示す歯底部15の切断面が拡大されて図示される。同図に示すように、各歯底部15では、心線18は帆布20と接触した状態で図示されているが、実際には、心線18と帆布20との間には歯ゴム層12の一部となる薄いゴム層が介在する。既に述べたように、心線18は歯ゴム層12と背ゴム層16との間の境界面に埋設されるが、このとき各心線18の一部分は変成ナイロンミクロファイバー22を含む歯ゴム層側に埋め込まれ、各心線18の他方の部分は背ゴム層16側に埋め込まれる。
【0019】本実施形態では、歯ゴム層12側に対する各心線18の埋込み深さJはその直径dのほぼ3分の1とされ、背ゴム層16側に対する各心線18の埋込み深さLはその直径dのほぼ3分の2とされる。要するに、互いに隣接する心線18間の隙間には歯ゴム層12の一部、即ち変成ナイロンミクロファイバー22を混入したゴムが部分的に侵入させられる。
【0020】図2に示すように、複数の心線18は互いに所定の隙間gを置くように配列され、その隙間gについては心線18の材料に応じて適宜変えられる。例えば、心線18が高強度ガラス繊維から形成される場合には、複数の心線18間の隙間gは約0.17ないし約0.28mmの範囲内とされ、また心線18がアラミド繊維から形成される場合には、複数の心線18間の隙間gは約0.25ないし約0.36mmの範囲内とされる。
【0021】ここで、説明の便宜上、以下の記載では、歯ゴム層12内の変成ナイロンミクロファイバー22の配向が歯付きベルト10の長さ方向に沿う場合にはそれをベルト長さ方向配向として言及する。
【0022】変成ナイロンミクロファイバー22は、ナイロン繊維にポリオレフィンをグラフト重合した共重合体から成る。ナイロン繊維として微細径の6−ナイロンが好適に用いられるが、この他に6,6−ナイロンあるいは6,10−ナイロン等を用いてもよい。また、ポリオレフィンとしてポリエチレンが好適に用いられるが、ポリエチレンに限定されず、ポリプロピレン等を用いてもよい。
【0023】歯ゴム層12へのナイロン繊維の混入量については、原料ゴム100部(phr: parts per hundred parts rubber )に対して約10ないし約40部(phr)の割合とされ、好ましくは約25部(phr)の割合とされる。また、歯ゴム層12へのポリオレフィンの混入量については、原料ゴム100部に対して約3ないし約40部(phr)の割合とされ、好ましくは約8部(phr)の割合とされる。
【0024】変成ナイロンミクロファイバー22において、その繊維長さLF は約4000μm以下、繊維径DF は約1.5μm以下とされ、かつ繊維径DF に対する繊維長さLF の比の値(LF /DF )は10以上とされるが、好ましくは繊維長さLF が約1000μm以下、繊維径DF が約1.0μm以下であって、かつ比の値(LF /DF )が500以上1500以下の範囲内とされる。繊維径DF および繊維長さLF が大きいと、亀裂発生の原因となり、また短時間で亀裂が成長するため、ベルト走行寿命が低下する。
【0025】原料ゴムとしては、耐熱性に優れた水素添加ニトリルゴムが用いられる。水素添加ニトリルゴムと共重合体である変成ナイロンミクロファイバー22とが化学結合することにより、歯ゴム層12および背ゴム層16には亀裂が生じにくく、また生じたとしても伝播しにくい。この水素添加ニトリルゴムの加硫については特に制限されないが、水素添加ニトリルゴムと変成ナイロンミクロファイバー22との接着を良好にするために有機過酸化物による加硫が好ましい。
【0026】一般的に、水素添加ニトリルゴムに微小径の繊維を混入して加硫した場合、その弾性が失われてその硬度が増すことが知られている。一方、水素添加ニトリルゴムにカーボンブラックを添加して加硫した場合には、その弾性が富むことが知られている。従って、歯ゴム層12に対して所定量の変成ナイロンミクロファイバー22を混入させた際に所望の弾性あるいは硬度を得ようとする場合には、カーボンブラックの添加量を調節すればよい。なお、歯付きベルト10の走行時での内部発熱は歯ゴム層12の弾性率に深く関係するので、カーボンブラックは歯付きベルト10の走行中の内部発熱を抑える調整剤としても機能し得る。
【0027】以上のような変成ナイロンミクロファイバー22は、従来のアラミド短繊維等に比べて歯ゴム層12の水素添加ニトリルゴムとの接着が良好であり、変成ナイロンミクロファイバー22と水素添加ニトリルゴムとの境界面における滑りを生じることがない。従って、変成ナイロンミクロファイバー22を歯ゴム層12に混入することにより、歯ゴム層12の剛性が強化される。
【0028】第1および第2の実施形態では、帆布20は歯付きベルト10の長さ方向に沿う伸縮性のある複合糸と、歯付きベルト10の幅方向に沿う非伸縮性糸とで綾織された織り布から形成され、帆布20には歯付きベルト10の長さ方向に沿う伸縮性が与えられる。なお、帆布20はその他の織り布、例えば朱子織、平織あるいは種々の変性織により得られる織り布によって形成されてもよい。
【0029】帆布20の複合糸は例えば芯糸と、この芯糸の周囲に巻き付いている紡績糸と、さらにその外側に紡績糸の巻きと逆方向に巻き付いている捲縮糸とで構成され得る。芯糸としてはポリウレタン系の弾性糸を、紡績糸としては耐熱性に優れたアラミド繊維を、捲縮糸としては耐磨耗性に優れた脂肪族系合成繊維のナイロン繊維を好適に用いることができる。一方、帆布20の非伸縮性糸は剛性および耐熱性に優れたものが好ましく、例えばナイロン繊維のフィラメント糸等が適している。
【0030】次に、図3ないし図6を参照して、歯付きベルト10の製造方法について説明する。
【0031】先ず、図3に示すように、予成形歯付きドラム24が用意され、その周囲には歯部26が設けられる。また、予成形歯付きドラム24には歯付きローラ28が係合させられ、この歯付きローラ28には予成形歯付きドラム24の歯部26と協働する歯部30が設けられる。予成形歯付きドラム24および歯付きローラ28はそれぞれ矢印AおよびBに示す方向に回転させられる。
【0032】帆布材料20′は予成形ドラム24の周囲の一部を取り巻くように該予成形ドラム24に供給されて歯付きローラ28との係合領域に導入され、このとき帆布材料20′は双方の歯部26および30の協働作用によりコルゲート状に予成形される。帆布材料20′は上述した帆布20と同じ織り布組織を有し、最終的には歯付きベルト10の帆布20となるものである。予成形歯付きドラム24への帆布材料20′の供給についてはその伸縮性複合糸が予成形歯付きドラム24の回転軸線に対して直角方向となるように行われる。
【0033】図4に示すように、予成形歯付きドラム24の周囲の一部にはスチールベルト32が適当な押圧力で適用されて予成形歯付きドラム24の周速度と同じ速度で走行させられる。予成形歯付きドラム24とスチールベルト32との間には配合ゴムシート12′が供給され、これにより予成形後の帆布材料20′と配合ゴムシート12′が一体化される。即ち、配合ゴムシート12′はスチールベルト32によって押圧されて予成形後の帆布材料20′の形状に応じて予成形される。要するに、予成形された帆布材料20′とその予成形に応じて予成形された配合ゴムシート12′とが一体化された中間製品が得られることになる。
【0034】予成形された配合ゴムシート12′には歯部14′と歯底部15′とが交互に形成され、これら歯部14′および歯底部15′は仕上げ歯付きベルト10の歯部14および歯底部15から成る歯ゴム層12となるものである。予成形前の配合ゴムシート12′には多数のナイロンミクロファイバーが全体的に混入させられて分布させられ、しかもナイロンミクロファイバーの全体は実質的に一方向に配向させられる。
【0035】予成形歯付きドラム24に対して配合ゴムシート12′が導入される際に、配合ゴムシート12′内の変成ナイロンミクロファイバーは予成形歯付きドラム24の回転軸線に対してほぼ90度の角度を成している。このようにして得られた中間製品から、図1および図2に示すような歯付きベルト10、即ち変成ナイロンミクロファイバー22の配向がベルト長さ方向配向である歯付きベルト10が製造される。
【0036】上述した中間製品は所定長さに順次切断された後、その切断中間製品は図5に示すように歯付きベルト成形ドラム34の周囲に巻き付けられ、このとき切断縁辺が互いに当接させられる。歯付きベルト成形ドラム34には歯部36および歯底部38が交互に形成され、歯部36の輪郭形状は仕上げ歯付きベルト10の歯底部15の輪郭形状に一致し、また歯底部38の輪郭形状は仕上げ歯付きベルト10の歯部14の輪郭形状に一致する。
【0037】続いて、一対の心線コード18′が図5に示すように歯付きベルト成形ドラム34に巻き付けられた切断中間製品に対して螺旋状に巻き付けられる。このとき一対の心線コード18′長さ方向に沿って螺旋状に巻回することにより得られ、その一方はS撚り心線コードとされ、その他方の心線コードはZ撚り心線コードとされる。なお、一対の心線コード18′は最終的には仕上げ歯付きベルト10における複数の心線18となる。
【0038】一対の心線コード18′は所定の隙間を置くように配列され、その隙間は心線コード18′の材料に応じて適宜変えられる。例えば、心線コード18′が高強度ガラス繊維から形成される場合には、心線コード18′は約0.17ないし約0.28mmの隙間を置くように巻き付けられ、また心線コード18′がアラミド繊維から形成される場合には、心線コード18′は約0.25ないし約0.36mmの範囲の隙間を置くように巻き付けられる。
【0039】一対の心線コード18′の巻付けの後、配合ゴムシート16′がさらにこの心線コード18′上に巻き付けられる。この配合ゴムシート16′は最終的には仕上げ歯付きベルト10の背ゴム層16となるものである。
【0040】その後、ベルト構成部品12′、16′、18′および20′を持つ歯付きベルト成形ドラム34は図示されない加硫オーブンに入れられ、そこで所定の温度および圧力下で加硫処理を受ける。図5に示すように、ベルト構成部品12′、16′、18′および20′間には多数の隙間があるが、それら隙間は加硫処理により除去される。
【0041】加硫処理後、図6に示すように、歯付きベルト成形ドラム34の周囲には円筒形となった歯付きベルトスラブ10′が加硫成形される。その後、歯付きベルト成形ドラム34は加硫オーブンから取り出されて、そこから歯付きベルトスラブ10′が抜き出される。
【0042】歯付きベルトスラブ10′をグラインダ等で研磨処理した後、適当な幅に輪切り状に切断することにより、所望のベルト幅の歯付きベルト10が得られることになる。なお、図6では、歯付きベルトスラブ10′のそれぞれの構成部品については、仕上げ歯付きベルト10のそれぞれの構成部品と同じ参照番号が付されている。
【0043】上述の記載から明らかなように、仕上げ歯付きベルト10においては、帆布20の伸縮性の複合糸は歯付きベルト10の長さ方向に沿って延在し、また帆布20の非伸縮性の糸は歯付きベルト10の幅方向に沿って延在することになる。
【0044】換言すれば、図3ないし図6に示すような歯付きベルト10の製造方法によれば、帆布材料20′には予成形歯付きドラム24の周囲方向に沿ってのみ伸縮性が与えられて仕上げ歯付きベルト10の歯形に沿った形状に予成形されるので、帆布材料20′に必要以上の伸縮性を与える必要はなく、例えば、帆布材料20′には帆布が伸長されて破断する際の伸びが元の長さの30ないし80%になるように低伸縮性が与えられる。なお、従来では帆布材料は予成形されずに歯付きベルト形成ドラム34に巻き付けられるので、この帆布材料には大きな伸縮性が必要とされる。
【0045】また、心線コード18’は配合ゴムシート12’および配合ゴムシート16’の間において巻回されるので、仕上げ歯付きベルト10における隣り合う心線18の隙間g(図2)には、歯ゴム層12および背ゴム層16の一部が容易に入り込むことができる。従って、心線18と歯ゴム層12および背ゴム層16との接着性が良く、歯付きベルト10の耐久性を向上させることができる。
【0046】従来、歯付きベルト形成ドラムに予成形しない帆布材料を巻付け、その上に心線コードを巻付け、さらにその上に歯ゴム層および背ゴム層となるべき配合ゴムシートを巻き付けた後、加硫処理が行われ、加硫処理時に心線コード同士の間隙から帆布側へ配合ゴムシートの一部が進入し、歯ゴム層が形成される。
【0047】このような従来の製造方法を用いる場合、配合ゴムシートにナイロンミクロファイバーを混入させると、心線コード同士の間隙から帆布側へ配合ゴムシートが進入し難く、仕上げ歯付きベルトにおいて歯部の成形が不十分である恐れがある。しかし、本実施形態では歯ゴム層12となるべきナイロンミクロファイバー入りの配合ゴムシート12’を帆布材料20’と共に予成形しているので、歯部14の良好な成形性が得られる。
【0048】図7には本発明による歯付きベルトの第2の実施形態が示され、同図では図1に示した歯付きベルトの構成要素に対応する構成要素については同じ参照番号を用いて示される。
【0049】第2の実施形態では、歯ゴム層12内の変成ナイロンミクロファイバー22が第1の実施形態とは異なった向きに配向されている点を除けば、第2の実施形態は第1の実施形態と実質的に同じものである。要するに、第2の実施形態にあっては、変成ナイロンミクロファイバー22は歯付きベルト10の幅方向に沿って配向させられ、このため変成ナイロンミクロファイバー22の配向は歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の輪郭面を形成する母線に対して平行となる。
【0050】第2実施形態のように、歯ゴム層12内の変成ナイロンミクロファイバー22の配向が歯付きベルト10の幅方向に沿う場合には、それをベルト幅方向配向として以下の記載において言及する。
【0051】なお、第2実施形態に示す歯付きベルト10の製造方法は第1実施形態の場合と同様であるが、予成形歯付きドラム24に対して配合ゴムシート12′が導入される際に、配合ゴムシート12′内の変成ナイロンミクロファイバー22’は予成形歯付きドラム24の回転軸線に対してほぼ平行となる点のみが異なっている。これにより図7に示すような歯付きベルト10、即ち変成ナイロンミクロファイバー22の配向がベルト幅方向配向である歯付きベルト10が製造される。
【0052】第2実施形態の歯付きベルト10においても、変成ナイロンミクロファイバー22が一方向に配向されて歯ゴム層12に混入され、変成ナイロンミクロファイバー22は歯ゴム層12のゴム成分と接着している。これにより、歯ゴム層12の剛性が強化され、歯付きベルト10の走行寿命を長くすることができる。
【0053】なお、上述の実施形態では歯付きベルトは片面だけに歯部が形成されているが、両面に歯部を形成した両歯ベルトにも本発明を適用し得る。
【0054】
【実施例】以下、実施例をおよび比較例をあげて本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0055】〔配合ゴムの配合、および試料片の作成方法〕以下の表1に示すように、歯付きベルトの製造に使用されるべき4種類の配合ゴムAないしDが調製された。
【表1】

【0056】上記表1において、※1ないし※6は以下の事項を表す。
※1:水素添加率は百分率(%)
※2:ヨウ素価は無名数※3:配合材料の種類およびゴム原料100重量部に対する配合材料の重量部(単位はphr )
※4:4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(これはユニロイヤル化学からNAUGARD445として入手可能)
※5:ジクミルペルオキシドと1,3−ビス(t−ブチルペロキシ−イソプロピル)ベンゼンとから成る過酸化物系加硫剤(前者はハーキュリーズ社からダイカップ40Cとして入手可能であり、後者は日本油脂株式会社からペロキシモンF40として入手可能)
※6:トリメチロールプロパン・トリメタクリレートの略なお、表中、“***”は未配合を示す。
【0057】表1から明らかなように、配合ゴムAはゴム原料として水素添加率96%、ヨウ素価11でしかもムーニー粘度120以上の水素添加ニトリルゴムの100重量部に対して、20重量部のカーボンブラックと、10重量部のトリメリテートイソノリルと、1.0重量部のステアリン酸と、1.5重量部のNAUGARD445と、25重量部のメタクリル酸亜鉛と、10重量部の亜鉛華と、18重量部の過酸化物系加硫剤(ダイカップ40C+ペロキシモンF40)と、6重量部のTMPとを加えたものである。
【0058】この配合ゴムAから配合ゴムシート(A)を押出成形により得た。次いで、配合ゴムシート(A)から低伸長域モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片を作成した後、それら試料片を加硫した。
【0059】配合ゴムBは、配合ゴムAにさらに25重量部の6−ナイロンと8.3重量部のポリエチレンとを混入したものである。詳述すると、41.7重量部の水素添加ニトリルゴムに25重量部の6−ナイロンと8.3重量部のポリエチレンとを混入させ、ポリエチレンの融点以上の温度環境下で攪拌することによりポリエチレンを6−ナイロンにグラフト重合させた。このようにしてポリエチレンと6−ナイロンとのグラフト共重合体が混入され水素添加ニトリルゴム75重量部が得られた。
【0060】さらに58.3重量部の水素添加ニトリルゴムに、上述の75重量部のグラフト共重合体入りの水素添加ニトリルゴムと、20重量部のカーボンブラックと、10重量部のトリメリテートイソノリルと、1.0重量部のステアリン酸と、1.5重量部のNAUGARD445と、25重量部のメタクリル酸亜鉛と、10重量部の亜鉛華と、18重量部の過酸化物系加硫剤(ダイカップ40C+ペロキシモンF40)と、6重量部のTMPとが加えられ、練り合わせられた。
【0061】配合ゴムBの全成分が練り合わせられた際に、グラフト共重合体は細分化されて、繊維長さLF が約1000μm以下、繊維径DF が約1.0μm以下の変成ナイロンミクロファイバーとして配合ゴムB内に分布させられる。この配合ゴムBから配合ゴムシート(B)が押出成形により得られたが、このとき配合ゴムBに混入されている変成ナイロンミクロファイバーは押出方向に配向されていた。
【0062】次いで、配合ゴムシート(B)からも低伸長域モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片を作成した後、それら試料片を加硫した。配合ゴムシート(B)の場合には、低伸長モジュラス試験用の試料片については、2種類のものが用意され、一方の種類の試料片では、その引張り方向に対して変成ナイロンミクロファイバーが平行に配向され、他方の種類の試料片では、その引張り方向に対して変成ナイロンミクロファイバーが直角方向に配向されていた。
【0063】また、配合ゴムシート(B)の圧縮応力試験用の試料片についても、2種類のものが用意され、一方の種類の試料片では、その圧縮方向に対して変成ナイロンミクロファイバーが平行に配向され、他方の種類の試料片では、その圧縮方向に対して変成ナイロンミクロファイバーが直角方向に配向されていた。
【0064】配合ゴムCは、6−ナイロンおよびポリエチレンの混入量が異なる点を除けば、配合ゴムBと実質的に同一のものである。配合ゴムCにおいて、6−ナイロンは20重量部、ポリエチレンは6.7重量部だけ混入される。この配合ゴムCからも配合ゴムシート(C)が押出成形により得たが、このとき配合ゴムCに混入された変成ナイロンミクロファイバーは押出方向に配向されている。配合ゴムシート(C)からも低伸長域モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片を作成した後、それら試料片を加硫した。
【0065】配合ゴムシート(C)の場合においても、配合ゴムシート(B)の場合と同様に、低伸長モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片のそれぞれについて、2種類のものが用意された。
【0066】配合ゴムDは、配合ゴムAにさらに繊維長さLF が3mmのメタ系アラミド短繊維を6.5重量部だけ混入したものである。この配合ゴムDからも配合ゴムシート(D)が押出成形により得たが、このとき配合ゴムDに混入された変成ナイロンミクロファイバーは押出方向に配向されている。配合ゴムシート(D)からも低伸長域モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片を作成した後、それら試料片を加硫した。
【0067】配合ゴムシート(D)の場合においても、配合ゴムシート(B)の場合と同様に、低伸長モジュラス試験用の試料片および圧縮応力試験用の試料片のそれぞれについて、2種類のものが用意された。
【0068】〔低伸張域モジュラス試験および圧縮応力試験の評価〕次に、上述した配合ゴムシート(A)、(B)、(C)および(D)から得られたそれぞの試料片を用いて、低伸張域モジュラス試験および圧縮応力試験が行われた。低伸張域モジュラス試験の試験結果については図8および図9のグラフに示される。また圧縮応力試験の試験結果については図10および図11に示される。
【0069】低伸張域モジュラス試験においては、各試料片に200mm/分で引張り応力が加えられ、各試料片の20mmの標線間の伸びが測定された。
【0070】図8のグラフにおいて、参照符号Aは配合ゴムシート(A)から得られた試料片の引張り特性を示す。参照符号B、CおよびDは配合ゴムシート(B)、(C)および(D)からそれぞれ得られた試料片であって、その変成ナイロンミクロファイバーの配向が引張り方向に対して平行となっている試料片の引張り特性をそれぞれ示す。
【0071】また、図9のグラフにおいて、参照符号Aは配合ゴムシート(A)から得られた試料片の引張り特性を示す。参照符号B、CおよびDは配合ゴムシート(B)、(C)および(D)からそれぞれ得られた試料片であって、その変成ナイロンミクロファイバーの配向が引張り方向に対して直角となっている試料片の引張り特性をそれぞれ示す。
【0072】図8および図9のグラフから明らかなように、配合ゴムAから得られた試料片即ち変成ナイロンミクロファイバーを含まない試料片に比べて、配合ゴムB、Cから得られた試料片即ち変成ナイロンミクロファイバーを含む試料片、および配合ゴムDから得られた試料片即ちメタ系アラミド短繊維を含む試料片が高いモジュラス値を示し、それら試料片の伸び率が小さいことがわかる。
【0073】特に、図8のグラフにより、メタ系アラミド短繊維を配合させた配合ゴムDの試料片については、伸びの増加に伴いモジュラスが一定の値に収束し、配合ゴムBおよびCの試料片については、伸びの増加に伴いモジュラスが増加することがわかる。また、図9のグラフにより、引っ張り方向に対して直角に配向された変成ナイロンミクロファイバーを配合させた配合ゴムBおよびCの試料片については、メタ系アラミド短繊維を配合させた配合ゴムDの試料片に比べてモジュラスが大きいことがわかる。
【0074】圧縮応力試験においては、各試料片は25.4mmの長さを持つ円柱状の形態を有し、その両端面間に押圧力を及ぼして各試料片が圧縮され、その圧縮時の長さが測定された。
【0075】図10のグラフにおいて、参照符号Aは配合ゴムシート(A)から得られた試料片の圧縮特性を示す。参照符号B、CおよびDは配合ゴムシート(B)、(C)および(D)からそれぞれ得られた試料片であって、その変成ナイロンミクロファイバーの配向が引張り方向に対して平行となっている試料片の圧縮特性をそれぞれ示す。
【0076】また、図11のグラフにおいて、参照符号Aは配合ゴムシート(A)から得られた試料片の圧縮特性を示す。参照符号B、CおよびDは配合ゴムシート(B)、(C)および(D)からそれぞれ得られた試料片であって、その変成ナイロンミクロファイバーの配向が引張り方向に対して直角となっている試料片の圧縮特性をそれぞれ示す。
【0077】図11および図12のグラフから明らかなように、配合ゴムAから得られた試料片即ち変成ナイロンミクロファイバーを含まない試料片に比べて、配合ゴムのB、Cから得られた試料片即ち変成ナイロンミクロファイバーを含む試料片および配合ゴムDから得られた試料片即ちメタ系アラミド短繊維を含む試料片が高い圧縮応力値を示し、それら試料片の圧縮率については小さいことが分かる。特に変成ナイロンミクロファイバーを配合させた配合ゴムBおよびCの試料片は、配向方向が平行および直角の双方において、メタ系アラミド短繊維を配合させた配合ゴムDの試料片に比べ、高い圧縮応力を示す。
【0078】以上の低伸長域モジュラス試験および圧縮応力試験の結果により、変成ナイロンミクロファイバーを配合させた配合ゴムBおよびCが、変成ナイロンミクロファイバーを配合させていない配合ゴムAおよびDに比べて、モジュラスおよび圧縮応力が共に高く、高負荷がかかる歯ゴム層の配合ゴムに好適であることが示された。
【0079】〔実施例ベルトおよび比較例ベルト〕上述の4種類の配合ゴムシート(A)、(B)、(C)および(D)を用いることにより、本発明による歯付きベルトの実施例として、3つのタイプのものが製造され、これら3つのタイプの歯付きベルトはそれぞれ実施例ベルト1、2および3として以下に言及される。
【0080】また、上述の2種類の配合ゴムシート(A)および(D)を用いることにより、本発明による歯付きベルトの比較例として2つのタイプのものが製造され、これら2つのタイプの歯付きベルトはそれぞれ比較例ベルト1および2として以下に言及される。
【0081】実施例べルト1ないし3と、比較例ベルト1および2との構成については以下の表2に示す通りである。
【0082】
【表2】

【0083】実施例ベルト1:表2から明らかなように、実施例ベルト1では、背ゴム層16として配合ゴムシート(A)が用いられ、歯ゴム層12として配合ゴムシート(B)が用いられた。歯ゴム層12の変成ナイロンミクロファイバーの配向についてはベルト長さ方向配向とされた。なお実施例ベルト1は、図1および図2に示す第1実施形態に対応している。
【0084】また、実施例ベルト1では、帆布20として、上述したような織り布組織のものが使用された。具体的に述べると、帆布20は2/2綾織り布とされ、その伸縮性の複合糸が縦糸とされ、その密度は150本/50mmである。各複合糸には芯糸としてウレタン弾性糸(420d)が使用され、その芯糸にはアラミド繊維紡績糸(200d)が巻き付けられ、さらにその外側には捲縮糸として6,6−ナイロンウーリー糸(100d)がアラミド繊維紡績糸とは逆方向に巻き付けられた。一方、帆布20の非伸縮性横糸として6,6−ナイロンウーリー糸(100d)が用いられ、その密度は170本/50mmとされた。
【0085】帆布20はレゾルシノール・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)溶液で予め処理され、これにより歯ゴム層12に対する接着性が高められた。なお、RFL溶液はラテックス成分としてのカルボキシル化ニトリルゴムに、クロロフェノールホルムアルデヒド縮合物である2,6−ビス−4−クロロフェノール誘導体のアンモニア溶液を加えたものから成る。
【0086】心線18としては、S撚り心線コードおよびZ撚り心線コードから成る一対のものが使用された。各心線コードには高強度ガラス繊維が用いられた。具体的に述べると、先ず、直径7ミクロンの高強度ガラス繊維がブタジエン−スチレン−ビニルピリジンおよびクロロスルホン化ポリエチレンラテックスが重量比で7:3に配合されたラテックス溶液即ちRFL溶液に浸漬した後に乾燥させられ、各高強度ガラス繊維に対してRFL層が形成された。
【0087】次いで、それら高強度ガラス繊維を200本ずつ収束したストランドがそれぞれ3本集められて下撚りがかけられて子縄とされ、さらにこの子縄が11本集められて下撚りとは反対方向に上撚りがかけられて心線コード18’とされた。
【0088】各心線コード18’はゴムのり溶液に浸漬された後に乾燥させられ、オーバーコート層が形成された。オーバーコート層の形成後、さらにカシュー変性フェノール樹脂のメチルエチルケトンの25%溶液に浸漬された後に乾燥させられ、これにより最外層にカシュー変性フェノール樹脂層が形成された(表2参照)。
【0089】このようにして得られたS撚りおよびZ撚りの心線コード18’はその長手方向に互いに螺旋状に巻回され、歯付きベルト成形ドラム34(図5)に巻き付けられた中間製品20′および12′に対して0.26mmのコード間隙(図2の“g”)で螺旋状に巻き付けられた(表2参照)。
【0090】実施例ベルト2:表2に示すように、実施例ベルト2においては、実施例ベルト1の場合と同様に、背ゴム層16)として配合ゴムシート(A)が用いられ、歯ゴム層12として配合ゴムシート(B)が用いられた。実施例ベルト2は歯ゴム層12の変成ナイロンミクロファイバーの配向がベルト幅方向配向とされる点を除けば実施例ベルト1と実質的に同じものであり、図7に示す第2実施形態に対応している。
【0091】実施例ベルト3:表2に示すように、実施例ベルト3においては、背ゴム層16)として配合ゴムシート(A)が用いられ、歯ゴム層12として配合ゴムシート(C)が用いられた。歯ゴム層12の変成ナイロンミクロファイバーの配向については、実施例ベルト1の場合と同様に、ベルト長さ方向配向とされた。実施例ベルト3は歯ゴム層12として配合ゴムシート(C)が用いられる点を除けば実施例ベルト1と実質的に同じものである。
【0092】比較例ベルト1:比較例ベルト1では、背ゴム層16および歯ゴム層12の双方で配合ゴムシート(A)が用いられた。その他の事項については実施例ベルト1の場合と実質的に同じである。
【0093】比較例ベルト2:比較例ベルト2では、背ゴム層16として配合ゴムシート(A)が用いられ、歯ゴム層12として配合ゴムシート(D)が用いられた。歯ゴム層12のメタ系アラミド短繊維の配向については、実施例ベルト1の場合と同様に、ベルト長さ方向配向とされた。比較例ベルト2は歯ゴム層12として配合ゴムシート(D)が用いられる点を除けば実施例ベルト1と実質的に同じものである。
【0094】〔歯付きベルトの走行試験およびベルト寿命の評価〕上述のようにして得られた実施例ベルト1ないし3、および比較例ベルト1および2について、第1、第2および第3の走行試験が行われた。
【0095】図12には第1の走行試験装置の概略構成が示され、この第1の走行試験装置は4つの歯付きホィール51、52、53および54と、歯付きホィール51および52間に設けられたアイドラプーリ55と、歯付きホィール53および54間に設けられたテンショナ56とから成る。被試験歯付きベルト58は図14に示すような態様で4つの歯付きホィール51、52、53および54と、アイドラプーリ55と、テンショナ56とに架け渡される。歯付きホィール52は回転数2300rpmで回転させられる。
【0096】図12に示す第1の走行試験装置では、実施例ベルト1ないし3および比較例ベルト1および2のそれぞれについて、複数個の歯付きベルトが同一条件下で走行試験され、その走行試験の評価のために各歯付きベルトに対して、走行開始から歯欠けに至るまでの走行時間が測定された。第1の走行試験結果については、各歯付きベルトの走行時間の平均値が表2および図15のグラフに示される。
【0097】表2および図15のグラフから明らかなように、実施例ベルト1の走行時間は329時間であり、実施例ベルト2の走行時間は265時間であり、実施例ベルト3の走行時間は280時間であった。これに対して、比較例ベルト1および2のそれぞれの走行時間は28時間および129時間に過ぎない。
【0098】図13には第2の走行試験装置の概略構成が示され、この第2の走行試験装置は3つの歯付きホィール61、62および63と、歯付きホィール63および61間に設けられたテンショナ64とから成る。被試験歯付きベルト68は図13に示すような態様で3つの歯付きホィール61、62および63とテンショナ64とに架け渡され、歯付きホィール62は回転数3500rpmで回転させられる。
【0099】第2の走行試験では、第1の走行試験と同様、各歯付きベルトが同一条件下で走行試験され、その評価のために各歯付きベルトにおける走行開始から歯欠けに至るまでの走行時間が測定される。第2の走行試験結果については、表2および図16のグラフにそれぞれの走行時間の平均値が示されている。
【0100】表2および図16のグラフから明らかなように、実施例ベルト1の走行時間は428時間であり、実施例ベルト2の走行時間は302時間であり、実施例ベルト3の走行時間は338時間であった。これに対して、比較例ベルト1および2それぞれの走行時間は34時間および202時間に過ぎなかった。
【0101】図14には第3の走行試験装置の概略構成が示され、この第3の走行試験装置は2つの歯付きホィール71および72と、歯付きホィール72および71間に設けられたテンショナ73とから成る。被試験歯付きベルト78は図14に示すような態様で2つの歯付きホィール71および72とテンショナ73とに架け渡され、歯付きホィール72は回転数5000rpmで回転させられる。
【0102】第3の走行試験では、各歯付きベルトが同一条件下で走行試験され、その走行試験の評価として、各歯付きベルトにおける走行開始から歯欠けに至るまでの走行時間が測定される。第3の走行試験結果については表2および図17のグラフに示されており、それぞれの走行時間は平均値で示される。
【0103】表2および図17のグラフから明らかなように、実施例ベルト1の走行時間は132時間であり、実施例ベルト2の走行時間は84時間であり、実施例ベルト3の走行時間は64時間であった。これに対して、比較例ベルト1および2それぞれの走行時間は4時間および38時間に過ぎなかった。
【0104】以上の3つの走行試験結果のいずれにおいても、歯ゴム層に変成ミクロファイバーを混入させた実施例ベルト1ないし3が、歯ゴム層に変成ミクロファイバーが混入されていない比較例ベルト1および2に比べて、耐久性が良いことが明らかである。
【0105】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明による歯付きベルトにあっては、その歯部の歯欠けが起き難く、その走行寿命を大幅に延ばすことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000115245
【氏名又は名称】ユニッタ株式会社
【出願日】 平成10年12月4日(1998.12.4)
【代理人】 【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
【公開番号】 特開2000−170845(P2000−170845A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−346039