| 【発明の名称】 |
滑り免震装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 嶽
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| 【要約】 |
【課題】滑り材が滑動する滑り板の表面から塵埃や水分を除去することにより、常時一定した摩擦減衰力を発生させて免震性能が低下されるのを防止する。
【解決手段】下方構造体18aと、これに対して上下方向に適宜隙間δをもって配置される上方構造体14との間に摩擦ダンパ10を設ける。下方構造体18a側または上方構造体14側の一方に滑り板22を取り付け、他方に滑り板22に圧接しつつ滑動する滑り材24を取り付ける。これら滑り板22と滑り材24との間に発生される摩擦減衰力で振動エネルギーを吸収する。前記滑り材24の滑動側先端部を囲繞して環状にシート100を設け、これを滑り板22の表面に摺動自在に配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下方構造体と、これに対して上下方向に適宜隙間をもって配置される上方構造体との間に設けられ、これら下方構造体側または上方構造体側の一方に取り付けられる滑り板と、他方に取り付けられて該滑り板に圧接しつつ滑動する滑り材とを備え、これら滑り板と滑り材との間に発生される摩擦減衰力で振動エネルギーを吸収するようにした滑り免震装置において、前記滑り材の滑動側先端部を囲繞して環状のシートを設け、該シートを前記滑り板の表面に摺動自在に配置したことを特徴とする滑り免震装置。 【請求項2】 前記シートは、吸水性に富む材質で形成したことを特徴とする請求項1に記載の滑り免震装置。 【請求項3】 前記シートは、周方向に複数に分割した弧状シート片を互いに繋ぎ合わせて環状に結合してなり、それぞれの繋ぎ目を径方向に対して傾斜させたことを特徴とする請求項1または2に記載の滑り免震装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、滑り板に滑り材が滑動されるときに発生する摩擦減衰力で、免震対象物に作用する振動エネルギーを吸収するようにした滑り免震装置に関する。 【0002】 【従来の技術】建築物、とりわけ、中,高層ビルの免震装置としては、基礎と建物との間に介装される免震ゴムや建物架構の骨組みに組み込まれるブレース材、その他各種の方法が提案されるが、摩擦ダンパなどの滑り免震装置もその1つとして挙げることができる。該滑り免震装置は、地震,風などにより建物が水平移動するときの変位量を利用して摩擦減衰力を発生させ、この摩擦減衰力により振動エネルギーを吸収して免震対象物としての前記建物を制振するようになっている。 【0003】即ち、前記滑り免震装置としては前記摩擦ダンパ以外にソフトランディング装置や滑り支承があり、下方構造体側または制振対象となる上方構造体側の一方に取り付けられる滑り板に、他方に取り付けられる滑り材を押し付けて構成され、滑り材が滑り板の表面を滑動するときに発生する摩擦で減衰力を発生させるようになっている。ところで、該滑り板の表面は摩擦減衰力の変動を小さくするため平滑に仕上げられ、場合によっては鏡面仕上げして用いられる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の滑り免震装置は、滑り材を摺接させる滑り板の表面は常時外気に晒された状態にあり、経時的に空気中の埃や砂などの塵埃が滑り板の表面に付着および堆積されてしまう。このように滑り板の表面に塵埃が存在すると該滑り板の摩擦係数が変化し、延いては、滑り材と滑り板との間に発生する摩擦減衰力が変動するため、振動エネルギーの吸収率が変化して免震性能が低下されてしまう。 【0005】また、前記滑り板の表面には、寒冷時に結露が発生したり、雨天時には雨水が降り込んでしまう場合があり、このように結露や雨水などの水分が付着することによっても同様に滑り板の摩擦係数が変化して、免震性能の低下が来されるという課題があった。 【0006】本発明は係る従来の課題に鑑みて成されたものであり、滑り材が滑動する滑り板の表面から塵埃や水分を除去することにより、常時一定した摩擦減衰力を発生させて免震性能が低下されるのを防止するようにした滑り免震装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために本発明の請求項1に示す滑り免震装置は、下方構造体と、これに対して上下方向に適宜隙間をもって配置される上方構造体との間に設けられ、これら下方構造体側または上方構造体側の一方に取り付けられる滑り板と、他方に取り付けられて該滑り板に圧接しつつ滑動する滑り材とを備え、これら滑り板と滑り材との間に発生される摩擦減衰力で振動エネルギーを吸収するようにした滑り免震装置において、前記滑り材の滑動側先端部を囲繞して環状のシートを設け、該シートを前記滑り板の表面に摺動自在に配置したことを特徴とする。 【0008】この滑り免震装置では、滑り材が滑り板の表面を滑動する際、該滑り材の滑動側先端部を囲繞する環状のシートが滑り板の表面に摺動自在に配置されているので、該シートは滑り材に押されてこれと一緒に移動する。このため、滑り材はシートが何ら障害となることなく滑り板の表面を滑動し、所定の摩擦減衰力を発生することができる。そして、前記シートが存在する部分では塵埃が滑り板に付着および堆積されるのが防止され、また、該シートから外れた部分では滑り板の表面に塵埃が付着・堆積されるが、滑り材の移動時には、これに先導して前記シートが滑り板表面の塵埃を掃き拭うことができるため、滑り材の移動面は常時清浄に維持される。従って、該滑り材が滑動される部分の滑り板表面は、清浄化によりその摩擦係数の変動を小さくでき、延いては、両者間に発生される摩擦減衰力を略一定に維持して、免震性能が低下されるのを防止することができる。 【0009】また、前記シートで覆われた部分は直接空気に接触しないため、結露の発生を防止し、かつ、雨水が掛かるのを避けることができるとともに、このシートから外れた部分に付着した結露および雨水は、前記塵埃の場合と同様に該滑り材に先んじて上記シートで拭うことができる。 【0010】また、前記シートを、吸水性に富む材質で形成することが望ましい。 【0011】この滑り免震装置では、滑り板に付着した結露および雨水などの水分をシートで拭う際に、積極的に該シートで付着した水分を吸収できるため、これら水分の除去機能を更に向上することができる。 【0012】更に、前記シートを、周方向に複数に分割した弧状シート片を互いに繋ぎ合わせて環状に結合してなり、それぞれの繋ぎ目を径方向に対して傾斜させることが望ましい。 【0013】この滑り免震装置では、シート地に弧状シート片が同一方向に並ぶように配置して裁断でき、環状に裁断する場合のように中央部や外周部分間に広い面積の無駄部分が発生することなく、シート地の部歩留まりを向上できるとともに、ほぼ同一方向から裁断できるのでその裁断作業性を向上することができる。また、繋ぎ目が径方向に対して傾斜されたことにより、該繋ぎ目の方向とシートの移動方向とを異ならせることができる。つまり、繋ぎ目はシートの切れ目であるためこれが溝部分となり、この繋ぎ目の方向がシートの移動方向と一致する場合は、この繋ぎ目が通過した部分に水分の拭き残しが筋状に残ってしまうが、上述したように繋ぎ目を傾斜させることにより、この繋ぎ目の方向とシートの移動方向とが異なることにより、水分の拭き残しを無くすことができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1から図6は本発明の滑り免震装置の一実施形態を示し、図1は滑り免震装置の断面拡大正面図、図2は同滑り免震装置の断面拡大平面図、図3は滑り免震装置に用いられる皿ばねの拡大断面図、図4は同皿ばねのばね特性図、図5は滑り免震装置に設けられるシートの配置状態を示す平面図、図6は同シートと滑り材との関係を示す要部拡大断面図である。 【0015】本発明の基本構成となる滑り免震装置10は、基礎やスラブなどの下方構造体18aと、これに対して上下方向に適宜隙間δをもって配置される建造物や上床などの上方構造体14との間に設けられ、これら下方構造体18a側または上方構造体14側の一方に取り付けられる滑り板22と、他方に取り付けられて該滑り板22に圧接しつつ滑動する滑り材24とを備え、これら滑り板22と滑り材24との間に発生される摩擦減衰力で振動エネルギーを吸収するようになっており、前記滑り材24の滑動側先端部を囲繞して環状にシート100を設け、該シート100を前記滑り板22の表面に摺動自在に配置する。 【0016】また、前記シート100は、吸水性に富む材質で形成し、かつ、周方向に複数に分割した弧状シート片100aを互いに繋ぎ合わせて環状に結合してなり、それぞれの繋ぎ目102を径方向に対して傾斜させる。 【0017】以下、本実施形態の滑り免震装置10を皿ばね式の摩擦ダンパに例をとって説明する。前記摩擦ダンパ10は、上方構造体14の下面と下方構造体18aの上面との間に設けられ、水平方向を指向する滑り板22および該滑り板22に圧接しつつ滑動する滑り材24からなる摩擦減衰力生成部26と、該摩擦減衰力生成部26と該下方構造体18aとの間に設けられ、該摩擦減衰力生成部26に圧接力を生じさせる弾発力を発生する皿ばね28とで構成する。このとき、上記皿ばね28は、設定圧接力が加えられて上記上方構造体14と上記下方構造体18aとの間の上下方向隙間δ寸法の見込み変化量に対して、図4に示す弾発力の変動が小さい非線形ばね領域R内でたわみ変形されるように設定してある。 【0018】上記摩擦減衰力生成部26の一方を構成する滑り板22としては、ステンレス板や、その表面にステンレス板が設けられたクラッド鋼等で形成されると共に、その表面(上面)は滑らかな平坦面として形成され、上記下方構造体18aの上面に固設される。一方、上記摩擦減衰力生成部26の他方を構成する滑り材24としては摩擦係数μが一定の部材、μが小さい(0.2程度)ものとしては例えば四フッ化エチレンや超高分子量ポリエチレン(例えば、ソマライト(商品名))、μが中くらい(0.5程度)のものとしては例えば表面を平滑にしたステンレス板、さらにμが大きい(1.0程度)ものとしては表面を平坦にした鋼板などで、これらから必要に応じた摩擦係数μを有する材料を選択して形成され、後述するシャーキー30の下端部のフランジ30a下面に形成された凹部30bに嵌着される。 【0019】上記皿ばね28は、複数の皿ばね単体28aを同軸状に積層して構成される。該皿ばね単体28aは、図3に示すように中央部に開口部28bが形成される皿状に形成され、複数枚の該皿ばね単体28aを同じ向きに重ね合わせた4組のばね積層体を、逆向きに交互に突き合わせることにより上記皿ばね28が構成される。そして、皿ばね28は積層された状態で中心部に貫通される開口部28bに、ガイドを兼ねるシャーキー30を挿通し、該シャーキー30によって皿ばね単体28aが積層された状態を保持して位置ずれが防止される。また、シャーキー30の下端部にはフランジ30aが形成され、該フランジ30a上に皿ばね28が載置される。 【0020】一方、前記シャーキー30の上端部は、上方構造体14の下面に固設される支持枠32の中央部に形成された凹部32a内に摺動自在に密接嵌合される。そして、上記摩擦ダンパ10が上方構造体14と下方構造体18aとの間に介装される際、所定の予圧力が付加されるように圧縮状態で取り付けられる。該予圧力は支持枠32と上方構造体14との間に差し込まれるスペーサ34によって微調整される。このように取り付け状態で予圧力が付加されることにより、上記皿ばね28は図4に示したばね特性の荷重−変位関係が非線形となる領域Rに達するようになっている。 【0021】即ち、図4は本実施形態に用いた上記皿ばね28の本発明に採用し得るばね特性の荷重−変位曲線のグラフの一実測例が示され、縦軸には必要摩擦減衰力を得るために摩擦減衰力生成部26に入力される荷重wを示し、該荷重wの反力として摩擦減衰力生成部26に生じさせるべき圧接力、すなわち皿ばね28によって発生させる弾発力が示されると共に、横軸には皿ばね28のたわみ量σが示されている。そして、必要摩擦減衰力を得ることができる設定圧接力の値と、これを加えたときの皿ばね28のたわみ量との関係が同図から理解される。 【0022】ところで、グラフに例示された実際の皿ばね28では、設定圧接力が加えられることで荷重−変位関係が非線形となる領域Rに達している。このとき非線形領域Rとは、摩擦ダンパ10が配置される上下方向隙間寸法δの見込み変化量に対して弾発力の変動が小さい領域をいい、そしてこの皿ばね28はこの非線形ばね領域R内で使用されることになる。すなわち、線形領域を超えて、皿ばね28のたわみ量σが変化してもその発生弾発力の変動がきわめて小さな非線形領域R内を当該皿ばね28の使用領域として設定するようになっている。 【0023】このように構成された前記摩擦ダンパ10は、下方に配置された滑り板22の上方に滑り材24が配置される一方、該滑り材24の下端部24aが滑動側先端部となって滑り板22の上面を滑動する。ここで、本実施形態では図1に示したように前記滑り材24の下端部24aを囲繞するようにして、滑り板22の表面に摺動自在にシート100を載置する。該シート100は図5に示すように4分割して、4枚の弧状シート片100aを縫合により互いに繋ぎ合わせて環状に形成してある。このとき、各弧状シート片100aは、それぞれの繋ぎ目102が前記シート100の径方向Xに対して傾斜するように裁断される。 【0024】前記シート100は吸水性に富む材質、例えば、パウダー焼結体や発泡スポンジ体などの親水性プラスチック多孔性機能材料を用いて形成され、図6に示すようにその厚さTは、滑り材24の先端周縁を面取りした開先寸法tより大きく設定され、該滑り材24の下側にシート100が咬み込まれるのが防止される。また、前記シート100の環状部分の幅Wは、滑り板22上を滑動する前記滑り材24の予想最大移動量、例えば250mm程度に形成される。 【0025】以上説明したように本実施形態の皿ばね式の摩擦ダンパ10を用いた制振構造にあっては、建造物などの上方構造体14に地震等の水平振動が入力されると、下方構造体18aと上方構造体14との間の隙間δに介設された摩擦ダンパ10に水平方向の変位力が入力される。すると、図1に示した摩擦減衰力生成部26の滑り板22と滑り材24は、皿ばね28の弾発力によって圧接された状態で相対的に滑動して摩擦減衰力を発生し、この摩擦減衰力により振動が効果的に減衰される。 【0026】このとき、上記皿ばね28は、設定圧接力が加えられて上方構造体14と下方構造体18aとの間の上下方向隙間寸法δの見込み変化量に対して、弾発力の変動が小さい非線形ばね領域R内でたわみ変形されるように設定されている。このため、上方構造体14が地震や風、荷重や温度伸縮等の外部要因によって変形したり、滑り材24の摩耗によりその板厚が変化したりして皿ばね28の変形量σが見込み変化量の範囲で変化した場合にあっても、摩擦減衰力生成部26に圧接力を生じさせる皿ばね28の弾発力の変動はきわめて小さくなる。従って、摩擦減衰力生成部26で発生される摩擦減衰力を略一定に維持することができるため、上方構造体14に入力される振動に対する減衰性能が変動することを防止することができる。 【0027】このように、種々の原因により摩擦ダンパ10を介設した上方構造体14と下方構造体18aとの間の上下方向隙間寸法δが変化しても、一定した摩擦減衰力を発生させることができるので、摩擦ダンパ10による制振機能を設計値通りに発揮させることができる。従って、建物架構等の上方構造体14を効果的に制振することができる。また、皿ばね28にたわみ変形が生じても摩擦減衰力生成部26に加わる弾発力がほぼ一定で変動がないので、後々の複雑なメンテナンスを不要とすることができる。 【0028】また、巨大地震により著しく大きな振動が入力された場合には、皿ばね28が全たわみ量分変形して密着状態で上方構造体14を剛体支持するため、有効なバックアップシステムとして機能させることができるという利点もある。更に、本実施形態の皿ばね式摩擦ダンパ10を用いた制振構造は、地震に対してのみならず、風による上方構造体14の揺れに対しても有効に作用する。 【0029】ここで、本実施形態では前記滑り材24の下端部24aを囲繞するように環状のシート100が滑り板22上に摺動自在に載置されるので、該シート100が存在する部分では空気中の埃や砂などの塵埃はシート100上面で受け止められるため、滑り板22に塵埃が付着および堆積されるのが防止される。また、該シート100から外れた部分では、滑り板22に塵埃が付着および堆積されるが、滑り材24が滑り板22に対して相対移動する際には、これに先導して前記シート100が滑り板22の表面の塵埃を掃き拭うことができる。 【0030】このようにシート100によって塵埃が滑り板22の表面に付着および堆積されるのを防止し、かつ、シート100の移動部分では滑り板22の表面の塵埃を拭うことができるため、滑り材24の移動面は常時清浄に維持される。従って、該滑り材24が滑動される部分の滑り板22表面は、清浄化によりその摩擦係数の変動を小さくでき、延いては、両者間に発生される摩擦減衰力を略一定に維持して、摩擦ダンパ10による免震性能が低下されるのを防止することができる。 【0031】また、前記シート100は塵埃のみでなく、該シート100で覆われた部分の滑り板22の表面は、直接空気に接触しないため寒冷時の結露の発生を防止するとともに、雨水が掛かるのを避けることができる。また、シート100から外れた部分に付着した結露および雨水などの水分は、前記塵埃の場合と同様に滑り材24の移動に先んじてシート100で拭うことができる。特に、本実施形態では前記シート100が吸水性に富む材質で形成されているので、滑り板22の表面に付着した水分を拭う際に、該シート100で積極的に吸水できるため、滑り板22の表面の水分をほぼ完全に除去することができ、滑動面の清浄化を更に促進することができる。 【0032】ところで、前記滑り板22の表面には滑り材24を囲繞して前記シート100が配置されるが、該シート100は滑り板22の表面に摺動自在に配置され、かつ、シート100の厚さTを滑り材24の開先tより大きくしてあるので、滑り材24が滑動する際にシート100は咬み込まれることなく、該滑り材24に押されてこれと一緒に移動する。このため、滑り材24は該シート100が何ら障害となることなく滑り板22の表面を滑動して、所定の摩擦減衰力を発生することができる。 【0033】更に、前記シート100は、周方向に4つに分割した弧状シート片100aを互いに縫合して繋ぎ合わせることにより環状に結合したので、該弧状シート片100aをシート地から裁断する際に、材料の歩留まりおよび裁断作業性を向上することができる。即ち、図外のシート地からシート100を環状に裁断する場合は、中央部の円形の無駄部分および外周部分に三角状若しくは菱形状の無駄部分が発生し、これら無駄部分は有効部分に比較してかなり広い面積を占めてしまう。これに対して複数の弧状シート片100aを繋ぎ合わせて環状に形成する場合は、それぞれの弧状シート片100aが同一方向に並ぶように裁断することができるため、シート地の無駄部分を大幅に減少して材料の部歩留まりを向上することができる。また、弧状シート片100aを同一方向に配置して裁断する場合は、円形裁断部分が短くなって外周部分をほぼ同一方向から裁断できるため、この裁断時の作業性を向上することができる。 【0034】更にまた、前記弧状シート片100aのそれぞれの繋ぎ目102は、径方向Xに対して傾斜されているため、該繋ぎ目102の方向とシート100の移動方向を異ならせることができる。つまり、繋ぎ目102はシート100の切れ目であるためこれが溝部分となり、この繋ぎ目102の方向がシート100の移動方向、つまり前記径方向Xと一致する場合は、この繋ぎ目102が通過した部分に水分の拭き残しが筋状に残ってしまうが、上述したように繋ぎ目102を傾斜させることにより、この繋ぎ目102の方向とシート100の移動方向とを異ならせて、水分の拭き残しを無くすことができる。 【0035】ところで、本実施形態では滑り免震装置を、皿ばね28などの付勢手段によって滑り材24を滑り板22に押し付けて摩擦減衰力を発生させる摩擦ダンパ10に例をとって説明したが、このように付勢手段を用いることなく上方構造体の荷重で滑り材を滑り板に押し付けて摩擦減衰力を発生させる装置、例えば、基礎部分に設けられる積層ゴムを併用し、該積層ゴムが大きく変形した時に上方構造体側または下方構造体側の一方に設けた滑り材が他方に設けた滑り板に着座しつつ相対移動するソフトランディング装置とか、上方構造体を滑り材および滑り板を介して下方構造体に載置して支持させる滑り支承構造などにあっても本発明を適用することができる。 【0036】また、本実施形態では滑り板22を下方に配置し、滑り材24を上方に配置して、滑り板22の上面を滑り材24の下端面が滑動する場合を開示したが、これとは逆に上方に滑り板を配置して、該滑り板の下面を滑り材が滑動する構造にあっても、シート100を滑り板の下面に摺動自在に押し当てておく手段を講ずることにより本発明を適用することができる。 【0037】更に、上記シート100は4分割した場合を開示したが、これに限ることなく図7に示すように3分割して3枚の弧状シート片100aを繋ぎ合わせるようにしてもよい。勿論、これら3分割および4分割に限ることなく、2分割または5分割以上としてもよいが、その機能上および裁断作業上から3分割または4分割が望ましい。 【0038】 【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に示す滑り免震装置にあっては、滑り材の滑動側先端部を囲繞して設けた環状のシートが滑り板の表面を覆うので、該シートが存在する部分で埃や砂などの塵埃が滑り板に付着および堆積されるのを防止できるとともに、結露発生や雨水が掛かるのを防止できる。また、該シートから外れた部分では滑り板の表面に塵埃が付着・堆積されるとともに、結露や雨水などの水分が付着されるが、滑り材の移動時に、これに先導して前記シートが滑り板の塵埃および水分を掃き拭うことができるため、滑り材の移動面を常時清浄に維持することができる。従って、該滑り材が滑動される部分の滑り板表面は、清浄化によりその摩擦係数の変動を小さくでき、延いては、両者間に発生される摩擦減衰力を略一定に維持して、免震性能が低下されるのを防止することができる。 【0039】また、本発明の請求項2に示す滑り免震装置にあっては、前記シートを吸水性に富む材質で形成したので、滑り板に付着した結露および雨水をシートで拭う際に、積極的に該シートで付着した結露および雨水などの水分を吸収できるため、これら水分の除去機能を更に向上することができる。 【0040】更に、本発明の請求項3に示す滑り免震装置にあっては、前記シートを、周方向に複数に分割した弧状シート片を互いに繋ぎ合わせて環状に結合し、それぞれの繋ぎ目を径方向に対して傾斜させたので、シート地に弧状シート片が同一方向に並ぶように配置して裁断でき、材料の部歩留まりを向上することができるとともに、その裁断作業性を向上することができる。また、繋ぎ目が径方向に対して傾斜されたことにより、該繋ぎ目の方向とシートの移動方向とを異ならせて、水分の拭き残しを無くすことができるという優れた効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000549 【氏名又は名称】株式会社大林組
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| 【出願日】 |
平成10年12月24日(1998.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071283 【弁理士】 【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−193028(P2000−193028A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−367456 |
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