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【発明の名称】 減衰力調整式油圧緩衝器
【発明者】 【氏名】来栖 明法

【氏名】根津 隆

【要約】 【課題】減衰力調整式油圧緩衝器において、ピストントン速度にかかわらず減衰力を直接制御し、かつ、伸び側と縮み側とで異なる減衰力を同時に選択できるようにする。

【解決手段】シリンダ2内のピストン5の摺動によって生じる油液の流動をディスクバルブ64および伸び側および縮み側メインバルブ40,49で制御して減衰力を発生させる。比例ソレノイドアクチュエータ34によって圧力制御弁であるディスクバルブ64の伸び側および縮み側の弁座62,63に対する開弁圧力を調整することによって、ピストン速度にかかわらず減衰力を直接制御するとともに、パイロット室42,51の圧力を変化させて伸び側および縮み側メインバルブ40,49の開弁圧力を制御する。ディスクバルブ64を伸び側および縮み側の弁座62,63の間に配置したことにより、伸び側と縮み側とで異なる減衰力を同時に選択することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンロッドの伸び行程時の前記ピストンの摺動によって油液が流通する伸び側主通路と、該伸び側主通路と並行して設けられた伸び側副通路と、縮み行程時の前記ピストンの摺動によって油液が流通する縮み側主通路と、該縮み側主通路と並行して設けられた縮み側副通路と、前記伸び側主通路に設けられた伸び側パイロット型減衰弁と、前記縮み側主通路に設けられた縮み側パイロット型減衰弁と、前記伸び側副通路に設けられた伸び側固定オリフィスと、前記縮み側副通路に設けられた縮み側固定オリフィスと、前記伸び側副通路の前記伸び側固定オリフィスの下流側に設けられた伸び側弁座と、前記縮み側副通路の前記縮み側固定オリフィスの下流側に設けられて前記の伸び側弁座に対向する縮み側弁座と、前記伸び側弁座および前記縮み側弁座の間に配置されてこれらに離着座し、一側で前記伸び側副通路圧力を受けて開弁し他側で前記縮み側副通路の圧力を受けて開弁するディスクバルブと、前記ディスクバルブの開弁圧力を調整するアクチュエータとを備え、前記伸び側副通路の前記伸び側固定オリフィスと前記ディスクバルブとの間の圧力を前記伸び側パイロット型減衰弁のパイロット圧力とし、前記縮み側副通路の前記縮み側固定オリフィスと前記ディスクバルブとの間の圧力を前記縮み側パイロット型減衰弁のパイロット圧力とすることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両の懸架装置に装着される減衰力調整式油圧緩衝器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心地や操縦安定性を向上させるために減衰力を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
【0003】減衰力調整式油圧緩衝器は、一般に、油液を封入したシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装してシリンダ内を2室に画成し、ピストン部にシリンダ内の2室を連通させる主油液通路およびバイパス通路を設け、主油液通路には、オリフィスおよびディスクバルブからなる減衰力発生機構を設け、バイパス通路には、その通路面積を調整する減衰力調整弁を設けた構成となっている。
【0004】そして、減衰力調整弁によってバイパス通路を開いてシリンダ内の2室間の油液の流通抵抗を小さくすることにより減衰力を小さくし、また、バイパス通路を閉じて2室間の流通抵抗を大きくすることにより減衰力を大きくする。このように、減衰力調整弁の開閉により減衰力特性を適宜調整することができる。
【0005】しかしながら、上記のようにバイパス通路の通路面積によって減衰力を調整するものでは、ピストン速度の低速域においては、減衰力は油液通路のオリフィスの絞りに依存するので、減衰力特性を大きく変化させることができるが、ピストン速度の中高速域においては、減衰力が主油液通路の減衰力発生機構(ディスクバルブ等)の開度に依存するため、減衰力特性を大きく変化させることができない。
【0006】そこで、例えば特開昭62−220728号公報に記載されているように、伸び縮み側共通の主油液通路の減衰力発生機構であるディスクバルブの背部に圧力室(パイロット室)を形成し、この圧力室を固定オリフィスを介してディスクバルブの上流側のシリンダ室に連通させ、また、可変オリフィス(流量制御弁)を介してディスクバルブの下流側のシリンダ室に連通させるようにしたものが知られている。
【0007】この減衰力調整式油圧緩衝器によれば、可変オリフィスを開閉することにより、シリンダ内の2室間の連通路面積を調整するとともに、可変オリフィスで生じる圧力損失によって圧力室の圧力を変化させてディスクバルブの開弁初期圧力を変化させることができる。このようにして、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)およびバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)を調整することができ、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題がある。特開昭62−220728号公報に記載された減衰力調整式油圧緩衝器では、可変オリフィスによる流量制御によって減衰力を調整しているため、実際に発生する減衰力は、ピストン速度の大きさによって変化する。このため、路面からの突上げ等によって、急激な入力があった場合、ピストン速度の上昇にともない減衰力が急激に増大して車体に衝撃を伝達して乗り心地を悪化させることがある。また、可変オリフィスは、油液の粘度によってその流通抵抗が大きく変化するので、温度変化による減衰力特性への影響が大きく、安定した減衰力特性が得られない。
【0009】また、減衰力調整式油圧緩衝器に、加速度センサ、コントローラおよびアクチュエータ等を組合せて車両加速度(上下加速度、横加速度、前後加速度等)、走行状況および路面状況等に応じてリアルタイムで減衰力を自動的に切り換えることにより、乗り心地および操縦安定性を向上させるようにした、いわゆるセミアクティブサスペンション制御装置においては、油圧緩衝器の減衰力特性を伸び側と縮み側とで大小異なる種類の組合せ(例えば、伸び側がハードで縮み側がソフト、または、伸び側がソフトで縮み側がハードの組合せ)を設定できるようにすることにより、迅速に必要な減衰力を得ることができ、乗り心地および操縦安定性を効果的に向上させるとともに、コントローラおよびアクチュエータの負担を軽減できることが知られている。
【0010】本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、減衰力特性の調整範囲が広く、ピストン速度にかかわらず減衰力を直接制御することができ、温度変化による減衰力特性への影響が小さく、急激な入力を適宜吸収することができ、しかも、伸び側と縮み側とで大小異なる種類の減衰力特性の組合せを設定できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンロッドの伸び行程時の前記ピストンの摺動によって油液が流通する伸び側主通路と、該伸び側主通路と並行して設けられた伸び側副通路と、縮み行程時の前記ピストンの摺動によって油液が流通する縮み側主通路と、該縮み側主通路と並行して設けられた縮み側副通路と、前記伸び側主通路に設けられた伸び側パイロット型減衰弁と、前記縮み側主通路に設けられた縮み側パイロット型減衰弁と、前記伸び側副通路に設けられた伸び側固定オリフィスと、前記縮み側副通路に設けられた縮み側固定オリフィスと、前記伸び側副通路の前記伸び側固定オリフィスの下流側に設けられた伸び側弁座と、前記縮み側副通路の前記縮み側固定オリフィスの下流側に設けられて前記の伸び側弁座に対向する縮み側弁座と、前記伸び側弁座および前記縮み側弁座の間に配置されてこれらに離着座し、一側で前記伸び側副通路圧力を受けて開弁し他側で前記縮み側副通路の圧力を受けて開弁するディスクバルブと、前記ディスクバルブの開弁圧力を調整するアクチュエータとを備え、前記伸び側副通路の前記伸び側固定オリフィスと前記ディスクバルブとの間の圧力を前記伸び側パイロット型減衰弁のパイロット圧力とし、前記縮み側副通路の前記縮み側固定オリフィスと前記ディスクバルブとの間の圧力を前記縮み側パイロット型減衰弁のパイロット圧力とすることを特徴とする。
【0012】このように構成したことにより、アクチュエータの推力によって縮み側および伸び側弁座に対するディスクバルブの開弁圧力を調整することによって、伸び側および縮み側の減衰力を直接制御するとともに、ディスクバルブによる圧力損失によってパイロット圧力を変化させて伸び側および縮み側パイロット型減衰弁の開弁圧力を制御する。このとき、ディスクバルブの撓みによって油液の圧力の急激な上昇をリリーフする。また、ディスクバルブの伸び側弁座と縮み側弁座との間に配置したので、伸び側と縮み側とで大小異なる種類の減衰力を同時に選択することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2に示すように、本実施形態の減衰力調整式油圧緩衝器1は、シリンダ2の外周に外筒3が設けられた二重筒構造になっており、シリンダ2と外筒3との間に環状のリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ下室2bを通り、シリンダ2および外筒3の下端部に装着されたロッドガイドおよびオイルシール(図示せず)に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。
【0014】シリンダ上下上室2a,2bは、それぞれ逆止弁8,9を介してリザーバ4に連通されており、逆止弁8はリザーバ4側からシリンダ上室2a側への油液の流通のみを許容し、逆止弁9はリザーバ4側からシリンダ下室2b側への油液の流通のみを許容している。そして、シリンダ2内には油液が封入され、リザーバ4内には油液およびガスが封入されている。
【0015】シリンダ2の外周には、略円筒状の通路部材10と、その両端部に結合されたアッパチューブ11およびロワチューブ12とが嵌合されて、シリンダ2とアッパチューブ11との間およびシリンダ2とロワチューブ12との間に、それぞれ環状油路13,14が形成されており、環状油路13,14は、それぞれシリンダ2の側壁に設けられた油路15,16を介してシリンダ上下室2a,2bに連通されている。外筒3の側面部には、減衰力発生機構17が取付けられており、減衰力発生機構17のケース18に設けられた4つの接続ポート19,20,21,22が、それぞれ接続管23,24および接続口25,26を介して環状油路14,13およびリザーバ4に接続されている。
【0016】減衰力発生機構17は、図2に示すように、スリーブ27が挿通されてナット28によって一体に結合された4つのバルブボディ29,30,31,32が略有底円筒状のケース18内に挿入され、ケース18の開口部にリテーナリング33によって比例ソレノイドアクチュエータ34(以下、アクチュエータ34という)が取付けられている。バルブボディ30,32は、それぞれバルブボディ29,31の円筒部内に嵌合されており、スリーブ27は、アクチュエータ34に結合されて、その内部にアクチュエータ34のプランジャ35の先端部が挿入されている。
【0017】ケース18の内部が2つのバルブボディ29,31によって、3つの油室18a ,18b,18c に区画されており、油室18a ,18b ,18c は、それぞれ接続ポート19,20,22に連通されている。バルブボディ29,31の円筒部側壁には、それぞれ油路36,37が設けられており、油路36は、接続ポート21に連通され、油路37は、油室18c を介して接続ポート22に連通されている。
【0018】バルブボディ29には、油室18a とバルブボディ29の円筒部の内部を連通させる油路38が設けられている。油路38には、油室18a 側の油液の圧力を受けて撓んで開弁して、その開度に応じた減衰力を発生させる上流側のサブバルブ39(ディスクバルブ)および下流側の伸び側パイロット型減衰弁であるメインバルブ40(ディスクバルブ)が設けられている。メインバルブ40には、ディスク状の複数のシール部材41が積層され、シール部材41およびバルブボディ30によって、メインバルブ40の背面側にパイロット室42が形成されており、パイロット室42の内圧がメインバルブ40の閉弁方向に作用するようになっている。なお、サブバルブ39の開弁圧力は、メインバルブ40の開弁圧力よりも充分低く設定されている。パイロット室42は、シール部材41に設けられた(伸び側)固定オリフィス43を介して油路38に連通されている。スリーブ27は、その先端部にプラグ44が取付けられて内部に油路45が形成されおり、スリーブ27の側壁に設けられた油路46を介して、パイロット室42と油路45とが互いに連通されている。
【0019】また、バルブボディ31には、油室18b とバルブボディ31の円筒部の内部を連通させる油路47が設けられている。油路47には、油室18b 側の油液の圧力を受けて撓んで開弁して、その開度に応じた減衰力を発生させる上流側のサブバルブ48(ディスクバルブ)および下流側の縮み側パイロット型減衰弁であるメインバルブ49(ディスクバルブ)が設けられている。メインバルブ49には、ディスク状の複数のシール部材50が積層され、シール部材50およびバルブボディ32によって、メインバルブ49の背面側にパイロット室51が形成されており、パイロット室51の内圧がメインバルブ49の閉弁方向に作用するようになっている。なお、サブバルブ48の開弁圧力は、メインバルブ49の開弁圧力よりも充分低く設定されている。パイロット室51は、シール部材50に設けられた(縮み側)固定オリフィス52を介して油路47に連通されている。パイロット室51は、バルブボディ32に設けられた油路53を介して、バルブボディ32とスリーブ27の基端部に形成された大径部54との間に形成された油室55に連通されている。
【0020】スリーブ27のアクチュエータ34に結合された基端部と、アクチュエータ34との間には、環状のシート部材56が設けられて、大径部54の基端面とシート部材56との間に、油路45に連通する円形の油室57が形成されている。シート部材56内にプランジャ35が挿通されて、シート部材56とプランジャ35との間に油室57に連通する環状油路58が形成されている。環状油路58は、大径部54に軸方向に沿って設けられた油路59を介して油室55に連通されている。また、円形の油室57は、大径部54に径方向に沿って設けられた油路60およびアクチュエータ34のケースに設けられた油路61を介して油室18c に連通されている。
【0021】スリーブ27の基端部の油路45の開口部の周囲には、環状の弁座62(伸び側弁座)が突出されている。シート部材56の環状油路58の開口部の周囲には、弁座62に対向する環状の弁座63(縮み側弁座)が突出されている。これらの弁座62,63に挿通されたプランジャ35の先端部には、弁座62および弁座63に対向する円板状の可撓性のディスクバルブ64が取付けられている。ディスクバルブ64は、図3に示すように、ナット65および複数のスペーサ66によってプランジャ35の先端部に固定されている。プランジャ35は、戻しばね67のばね力によってスリーブ27側へ付勢されている。また、プランジャ35には、プランジャ35の両端部に作用する油液の圧力をバランスさせるための油路68が設けられている。
【0022】そして、ディスクバルブ64は、通常は、戻しばね67のばね力によって弁座62に押圧されているおり、アクチュエータ34への通電電流に応じてプランジャ35を戻しばね67のばね力に抗して後退させようとする推力が発生して、この推力と戻しばね67のばね力とのバランスによってディスクバルブ64の弁座62および弁座63に対する開弁圧力、すなわち油路45および環状油路58に対する開弁圧力を調整できるようになっている。
【0023】なお、上記の構成において、油路16,環状油路14、接続管23、接続ポート19、油室18a 、油路38、接続ポート21および接続口25によって伸び側主通路を構成し、固定オリフィス43、パイロット室42、油路46、油路45、油室57、油路60、油路61、油室18c 、接続ポート22および接続口26によって伸び側副通路を構成している。また、油路15、環状油路13、接続管24、接続ポート20、油室18b 、油路47、油路37、接続ポート22および接続孔26によって縮み側主通路を構成し、固定オリフィス52、パイロット室51、油路53、油室55、油路59、環状油路58、油室57、油路60、油路61、油室18c 、接続ポート22および接続口26によって縮み側副通路を構成している。
【0024】減衰力油圧緩衝器1の油圧回路を図6に示す。なお、図6は、減衰力調整式油圧緩衝器1の主な要素の接続関係を概略的に示しており、対応する要素に同一の符号が付してある。また、図6では、サブバルブ39,48は省略されている。
【0025】以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。ピストンロッド6の伸び行程時には、ピストン5の移動にともない、逆止弁9が閉じてシリンダ下室2b側の油液が加圧され、メインバルブ40の開弁前においては、油路16,環状油路14および接続管23を通って減衰力発生機構17の接続ポート19へ流れ、さらに、油室18a 、油路38を流れ、サブバルブ39を開き、固定オリフィス43、パイロット室42、油路46、油路45を流れ、ディスクバルブ64を弁座62からリフトさせ、油室57、油路60、油路61、油室18c 、接続ポート22および接続口26を通ってリザーバ4側へ流れる。そして、シリンダ下室2b側の圧力がメインバルブ40の開弁圧力に達すると、メインバルブ40が開いて、油液はサブバルブ39から、油路36、接続ポート21および接続口25を通ってリザーバ4へ流れる。なお、リザーバ4の油液は、逆止弁8を開いてシリンダ上室2aに流入する。
【0026】これにより、伸び行程時には、ピストン速度が低くメインバルブ40の開弁前には、サブバルブ39、固定オリフィス43およびディスクバルブ64の流路面積に応じての減衰力が発生し、ピストン速度が高まり、シリンダ下室2b側の圧力が上昇してメインバルブ40が開くと、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、アクチュエータ34への通電電流に応じてディスクバルブ64の弁座62に対する開弁圧力を調整することにより、メインバルブ40の開弁前の減衰力をピストン速度にかかわらず直接制御するとともに、ディスクバルブ64による圧力損失によってパイロット室42の圧力を変化させてメインバルブ40の開弁圧力(ピストン速度の高速域の減衰力)を制御することができる。アクチュエータ34への通電電流と減衰力との関係を図7に示す。
【0027】また、ピストンロッド6の縮み行程時には、ピストン5の移動にともない、逆止弁8が閉じてシリンダ上室2a側の油液が加圧され、メインバルブ49の開弁前においては、油路15、環状油路13および接続管24を通って減衰力発生機構17の接続ポート20へ流れ、さらに、油室18b 、油路47を流れ、サブバルブ48を開き、固定オリフィス52、パイロット室51、油路53、油室55、油路59、環状油路58を流れ、ディスクバルブ64を弁座63からリフトさせ、油室57、油路60、油路61、油室18c、接続ポート22および接続口26を通ってリザーバ4側へ流れる。そして、シリンダ上室2a側の圧力がメインバルブ49の開弁圧力に達すると、メインバルブ49が開いて、油液はサブバルブ48から、油路37、油室18c 、接続ポート22および接続口26を通ってリザーバ4へ流れる。なお、リザーバ4の油液は、逆止弁9を開いてシリンダ上室2bに流入する。
【0028】これにより、縮み行程時には、ピストン速度が低くメインバルブ49の開弁前には、サブバルブ48、固定オリフィス52およびディスクバルブ64の流路面積に応じての減衰力が発生し、ピストン速度が高まり、シリンダ上室2a側の圧力が上昇してメインバルブ49が開くと、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、アクチュエータ34への通電電流に応じてディスクバルブ64の弁座63に対する開弁圧力を調整することにより、メインバルブ49の開弁前の減衰力をピストン速度にかかわらず直接制御するとともに、ディスクバルブ64による圧力損失によってパイロット室42の圧力を変化させてメインバルブ49の開弁圧力(ピストン速度の高速域の減衰力)を制御することができ、縮み側についても図7に示すような減衰力特性を得ることができる。
【0029】そして、ディスクバルブ64の弁座62および弁座63に対する開弁圧力は、一方を大きくすると他方が小さくなるので、伸び側と縮み側の減衰力は、大小異なる種類の減衰力(例えば、伸び側ハードで縮み側ソフト、伸び側ソフトで縮み側がハード)とすることができ、前述のセミアクティブサスペンション制御装置に適した減衰力特性を得ることができる。例えば、図4に示すように、アクチュエータ34の通電電流を小さくして、ディスクバルブ64を弁座62側へ押圧させ、弁座63側の流路を開くことにより、伸び側の減衰力をハードとし、縮み側の減衰力をソフトとすることができる。この場合の減衰力特性を図8■で示す。また、図5に示すように、アクチュエータ34への通電電流を大きくしてディスクバルブ64を弁座63側へ押圧させ、弁座62側の流路を開くことにより、伸び側の減衰力をソフトとし、縮み側の減衰力をハードとすることができる。この場合の減衰力特性を図8■で示す。なお、アクチュエータ34への通電電流を調整してディスクバルブ64を弁座62と弁座63との中間に配置して両方の弁座62,63に対して流路を開くことにより、伸び側および縮み側共にソフト側の減衰力を得ることができる。
【0030】圧力制御弁であるディスクバルブ64によって減衰力を調整しているので、従来の可変オリフィス(流量制御弁)によるものに比して、油液の粘度の変化による影響が小さく、温度変化に対して安定した減衰力を得ることができる。路面からの突上げ等による急激な入力によって、パイロット室42,51の圧力が急激に上昇した場合、ディスクバルブ64が撓んでその圧力を適宜リリーフするので、減衰力の急激な上昇を抑制することができ、車両の乗り心地を向上させることができる。また、アクチュエータ34への通電電流を急激に変化させて、ディスクバルブ64を弁座62,63間で急激に移動させた場合でも、ディスクバルブ64の可撓性によって衝撃を吸収できるので、チャタリング等の発生を防止して安定した減衰力を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、伸び側および縮み側弁座の間に配置したディスクバルブの開弁圧力をアクチュエータによって制御するようにしたことにより、伸び側および縮み側の減衰力を直接制御するとともに、ディスクバルブによる圧力損失によってパイロット圧力を変化させて伸び側および縮み側パイロット型減衰弁の開弁圧力を制御することができる。このとき、ディスクバルブの撓みによって油液の圧力の急激な上昇をリリーフすることができるので、減衰力の急激な上昇を抑制することができる。ディスクバルブを伸び側弁座と縮み側弁座との間に配置したので、伸び側と縮み側とで大小異なる種類の減衰力を同時に選択することができ、いわゆるセミアクティブサスペンション制御装置に適した減衰力特性を得ることができる。また、ディスクバルブを伸び側および縮み側弁座間で急激に移動させた場合でも、ディスクバルブの可撓性によって衝撃を吸収できるので、チャタリング等の発生を防止して安定した減衰力を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003056
【氏名又は名称】トキコ株式会社
【出願日】 平成10年12月28日(1998.12.28)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2000−193014(P2000−193014A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−373068