| 【発明の名称】 |
自動車用エンジンロールマウント |
| 【発明者】 |
【氏名】日比 悟
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| 【要約】 |
【課題】自動車用のエンジンロールマウントにおいて、エンジンロール荷重の入力方向における高ばね化を回避しつつ、車両横方向のばね剛性を増大すること。
【解決手段】軸方向一端部に側面プレート30を有する軸部材26と、軸方向一端部にフランジ部32を有する外筒部材28を、互いに径方向に離間して配設し、それら軸部材26と外筒部材28の径方向対向面間に第一のゴム弾性体36を介装すると共に、側面プレート30とフランジ部32の軸方向対向面間に、第一のゴム弾性体36から独立形成された第二のゴム弾性体38を介装することにより、弾性連結体24を構成する。そして、かかる弾性連結体24の一対を、互いに軸方向に突き合わせて、両者の軸部材26同士および外筒部材28同士を、それぞれ同軸的に連結することにより、エンジンロールマウント10を構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸部材の径方向外方に離間して外筒部材を配し、それら軸部材と外筒部材の径方向対向面を第一のゴム弾性体で連結すると共に、該軸部材と該外筒部材の互いに対応する軸方向一端部にそれぞれ径方向外方に広がる側面プレートとフランジ部を設けて、それら側面プレートとフランジ部の軸方向対向面間に、前記第一のゴム弾性体とは実質的に独立形成された第二のゴム弾性体を介装せしめてなる弾性連結体の一対を用い、かかる一対の弾性連結体を軸方向に互いに同一軸上で重ね合わせて、両弾性連結体における軸部材を互いに一体的に連結することにより、自動車のパワーユニット側とボデー側の何れか一方に取り付けられる第一の取付部材を構成すると共に、両弾性連結体における外筒部材を互いに一体的に連結することにより、自動車のパワーユニット側とボデー側の他方に取り付けられる第二の取付部材を構成したことを特徴とする自動車用エンジンロールマウント。 【請求項2】 前記一対の弾性連結体を軸方向に互いに重ね合わせた状態下で、それら両弾性連結体を構成する両第一のゴム弾性体を、互いに軸方向に離間して配設した請求項1に記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項3】 前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、前記軸部材と前記外筒部材の間を径方向に延びる複数本の第一の分割弾性体にて構成した請求項1又は2に記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項4】 前記弾性連結体において、前記第二のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、径方向一方向で対向位置し、それぞれ前記フランジ部と前記側面プレートの間を軸方向に延びる一対の第二の分割弾性体にて構成した請求項1乃至3の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項5】 前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、前記軸部材と前記外筒部材の間をエンジンロール荷重入力方向に略直交する径方向に延びる複数本の第一の分割弾性体にて構成すると共に、前記第二のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、エンジンロール荷重入力方向に略直交する径方向で対向位置し、それぞれ前記フランジ部と前記側面プレートの間を軸方向に延びる一対の第二の分割弾性体にて構成した請求項1乃至4の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項6】 前記弾性連結体において、前記第二のゴム弾性体を、前記フランジ部と前記側面プレートの少なくとも一方に対して非接着とした請求項1乃至5の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項7】 前記一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて、各弾性連結体における軸部材と外筒部材を軸方向に相対変位させた状態で、それら両弾性連結体における軸部材同士および外筒部材同士をそれぞれ互いに連結することにより、前記第一のゴム弾性体および前記第二のゴム弾性体の少なくとも一方を弾性変形せしめて予圧縮した請求項1乃至6の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項8】 前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を、前記軸部材から前記外筒部材に向かって径方向外方に行くに従って次第に前記側面プレートから離間するように軸方向に傾斜させると共に、前記第二のゴム弾性体を、前記フランジ部と前記側面プレートの何れか一方から他方に向かって軸方向に突設して、その突出先端面をそれらフランジ部と側面プレートの他方に対して離間して対向位置せしめる一方、かかる弾性連結体の一対を互いに軸方向に重ね合わせて、各弾性連結体における軸部材と外筒部材を軸方向に相対変位させた状態で、それら両弾性連結体における軸部材同士および外筒部材同士をそれぞれ互いに連結することにより、各弾性連結体におけるフランジ部と側面プレートを接近方向に相対変位せしめて、該第二のゴム弾性体の突出先端面を該フランジ部および側面プレートの他方に当接させると共に、該第一のゴム弾性体を軸方向の傾斜角度が小さくなる方向に弾性変形せしめたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項9】 前記弾性連結体において、前記軸部材をエンジンロール荷重入力方向で挟んだ径方向の少なくとも一方の側に位置して、前記軸部材と前記外筒部材の少なくとも一方の側から他方の側に向かって径方向に突出し、突出先端面がそれら軸部材と外筒部材の他方の側に離間して対向位置するストッパゴムを設けた請求項1乃至8の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項10】 筒状の連結金具を用い、該連結金具の軸方向両側開口部に対して、前記一対の弾性連結体におけるそれぞれの外筒部材を、前記フランジ部が形成されていない軸方向端部から圧入固定せしめて、両外筒部材を互いに固定的に連結することにより、それぞれの軸部材に設けられた側面プレートが軸方向両外側に位置する状態で、かかる一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて組み付けた請求項1乃至9の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項11】 前記各弾性連結体における軸部材に設けられた側面プレートに対して、中心軸を径方向一方向に挟んだ両側に段差部を設け、該側面プレートの該径方向における両側外周縁部を中央部分よりも軸方向外方に突出して位置せしめることにより、外筒部材に設けられたフランジ部との軸方向対向面間距離が大きくされた一対の張出部を該側面プレートに形成せしめて、それら各張出部と該フランジ部との軸方向対向面間にそれぞれ前記第二のゴム弾性体を介装すると共に、該側面プレートにおける該径方向の中央部分において、軸方向外方に開口して前記段差部間を軸直角方向に延びる溝状凹部を形成する一方、前記軸部材で構成される前記第一の取付部材の軸方向両端部を支持する一対の支持腕部を備え、該第一の取付部材を前記パワーユニット側または前記ボデー側に取り付けるブラケット部材を採用し、該ブラケット部材における一対の支持腕部を、前記側面プレートの溝状凹部を利用して、該側面プレートの外周部分から中央部分まで延び出させて配設した請求項10に記載の自動車用エンジンロールマウント。 【請求項12】 それぞれ外周面上に突出する取付脚部を備えた一対の筒状の保持金具を用い、各保持金具に対して、前記一対の弾性連結体におけるそれぞれの外筒部材を圧入固定する一方、かかる一対の弾性連結体を、それぞれの軸部材に設けられた側面プレートを互いに突き合わせた状態で軸方向に重ね合わせると共に、前記一対の保持金具に設けられたそれぞれの取付脚部を相互に連結固定することにより、該一対の保持金具で両外筒部材を互いに固定的に連結せしめて、かかる一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて組み付けた請求項1乃至9の何れかに記載の自動車用エンジンロールマウント。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【技術分野】本発明は、自動車のパワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットのボデーに対するエンジンロール方向の変位を弾性的に制限する自動車用エンジンロールマウントに関するものである。 【0002】 【背景技術】従来から、自動車用エンジンロールマウントとしては、一般に、自動車のパワーユニットとボデーの各一方に取り付けられる内筒金具と外筒金具を、互いに径方向に離間して配設すると共に、それら内筒金具と外筒金具を、径方向対向面間に介装せしめたゴム弾性体で連結した筒形構造のゴムマウントが採用されている。そして、かかるエンジンロールマウントは、マウント中心軸(内外筒金具の中心軸)を車両横方向(左右方向)に向けた状態で自動車に装着されることにより、エンジンロール荷重がマウント径方向に入力せしめられる。 【0003】ところが、このような従来構造のエンジンロールマウントでは、軸方向のばね剛性を大きく設定することが難しく、そのために、例えば車両の操縦安定性の向上等を目的として、車両左右方向で大きなパワーユニットの支持剛性が要求される場合には、エンジンロールマウントによって要求特性を達成することが難しく、他のマウントへの負担が増加して当該マウントの防振性能に悪影響が及ぼされたり、また別のマウントを追加する必要が生ずるような場合もあった。 【0004】また、要求される軸方向のばね剛性を達成するために、内外筒金具の径方向対向面間に介装されたゴム弾性体を高ばね化すると、エンジンロール方向のばね特性の増大が避けられず、それによって、エンジンロール荷重に対する防振性能や支持性能が大幅に低下してしまうという問題もあった。 【0005】 【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、エンジンロール方向のばね特性の大幅な増大を伴うことなく、車両横方向のばね剛性を大きく設定することの出来る、新規な構造の自動車用エンジンロールマウントを提供することにある。 【0006】 【解決手段】そして、このような課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、軸部材の径方向外方に離間して外筒部材を配し、それら軸部材と外筒部材の径方向対向面を第一のゴム弾性体で連結すると共に、該軸部材と該外筒部材の互いに対応する軸方向一端部にそれぞれ径方向外方に広がる側面プレートとフランジ部を設けて、それら側面プレートとフランジ部の軸方向対向面間に、前記第一のゴム弾性体とは実質的に独立形成された第二のゴム弾性体を介装せしめてなる弾性連結体の一対を用い、かかる一対の弾性連結体を軸方向に互いに同一軸上で重ね合わせて、両弾性連結体における軸部材を互いに一体的に連結することにより、自動車のパワーユニット側とボデー側の何れか一方に取り付けられる第一の取付部材を構成すると共に、両弾性連結体における外筒部材を互いに一体的に連結することにより、自動車のパワーユニット側とボデー側の他方に取り付けられる第二の取付部材を構成した自動車用エンジンロールマウントにある。 【0007】このような本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントは、エンジンロール荷重が軸直角方向に入力される状態で、マウント中心軸(第一及び第二の取付部材の中心軸)を車両横方向として装着されることとなり、そこにおいて、かかるエンジンロールマウントにおいては、第一の取付部材と第二の取付部材の間への軸方向荷重の入力に際して、第二のゴム弾性体に対して圧縮/引張変形が生ぜしめられて、大きなばね剛性が有利に発揮される。しかも、この第二のゴム弾性体は、第一のゴム弾性体から実質的に独立して形成されていると共に、エンジンロール荷重の入力に対して剪断変形せしめられることから、第二のゴム弾性体を付加したことによるエンジンロール方向のばね剛性の著しい増大が防止されて、エンジンロール荷重に対しても良好なマウント特性が発揮され得る。 【0008】また、一対の弾性連結体を組み合わせてエンジンロールマウントを構成したことにより、良好な製造性および装着性を確保しつつ、第一の取付部材と第二の取付部材の間に、第二のゴム弾性体が介装される軸方向の対向面を、エンジンロールマウントの軸方向両側部分に位置して、それぞれ有利に形成することができたのである。なお、一対の弾性連結体は、互いに全く同一のものを用いることが可能であり、それによって、製造性および装着性の更なる向上が図られ得る。 【0009】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記一対の弾性連結体を軸方向に互いに重ね合わせた状態下で、それら両弾性連結体を構成する両第一のゴム弾性体を、互いに軸方向に離間して配設した構造が、好適に採用され得る。このような構造を採用すれば、両弾性連結体における第一のゴム弾性体同士の過度の干渉を防止することが出来、それによって、耐久性の向上やばね特性の安定化等が図られ得る。 【0010】更にまた、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、前記軸部材と前記外筒部材の間を径方向に延びる複数本の第一の分割弾性体にて構成した構造が、好適に採用され得る。このような構造を採用すれば、エンジンロール荷重の入力方向におけるばね特性のチューニング自由度がより大きく確保され得る。 【0011】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記第二のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、径方向一方向で対向位置し、それぞれ前記フランジ部と前記側面プレートの間を軸方向に延びる一対の第二の分割弾性体にて構成した構造が、好適に採用され得る。このような構造を採用すれば、第二のゴム弾性体を周方向全周に亘って形成する場合等に比して、第二のゴム弾性体のボリュームが抑えられることから、エンジンロール荷重の入力方向におけるばね剛性の増大が一層有利に軽減され得る。しかも、第一及び第二のゴム弾性体の成形に際して、該ゴム弾性体の成形後に、第一のゴム弾性体の成形キャビティと第二のゴム弾性体の成形キャビティを分割する成形型を、一対の第二の分割弾性体の周方向間に形成された隙間を通じて容易に抜くことが可能となることから、ゴム弾性体の成形型構造の簡略化や成形性の向上も達成され得る。 【0012】更にまた、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、前記軸部材と前記外筒部材の間をエンジンロール荷重入力方向に略直交する径方向に延びる複数本の第一の分割弾性体にて構成すると共に、前記第二のゴム弾性体を周方向で実質的に分割して、エンジンロール荷重入力方向に略直交する径方向で対向位置し、それぞれ前記フランジ部と前記側面プレートの間を軸方向に延びる一対の第二の分割弾性体にて構成した構造が、好適に採用され得る。このような構造を採用すれば、エンジンロール荷重が、第一及び第二の分割弾性体に対して、何れも、主に剪断荷重として入力されることから、エンジンロール荷重の入力方向におけるばね剛性を、より低く抑えることが可能となる。また、第一の分割弾性体と第二の分割弾性体が、略同一の径方向線上に位置せしめられることから、それら両分割弾性体の成形型構造が簡略化されて、製造が容易となる。 【0013】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記第二のゴム弾性体を、前記フランジ部と前記側面プレートの少なくとも一方に対して非接着とした構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、過大な荷重入力時にも第二のゴム弾性体における引張応力の発生が回避されることから、耐久性の更なる向上が達成され得る。 【0014】更にまた、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて、各弾性連結体における軸部材と外筒部材を軸方向に相対変位させた状態で、それら両弾性連結体における軸部材同士および外筒部材同士をそれぞれ互いに連結することにより、前記第一のゴム弾性体および前記第二のゴム弾性体の少なくとも一方を弾性変形せしめて予圧縮した構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、予圧縮を加えたゴム弾性体において、荷重入力時における引張応力の発生が軽減乃至は回避されることにより、一層優れた耐久性が発揮されるのである。 【0015】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記第一のゴム弾性体を、前記軸部材から前記外筒部材に向かって径方向外方に行くに従って次第に前記側面プレートから離間するように軸方向に傾斜させると共に、前記第二のゴム弾性体を、前記フランジ部と前記側面プレートの何れか一方から他方に向かって軸方向に突設して、その突出先端面をそれらフランジ部と側面プレートの他方に対して離間して対向位置せしめる一方、かかる弾性連結体の一対を互いに軸方向に重ね合わせて、各弾性連結体における軸部材と外筒部材を軸方向に相対変位させた状態で、それら両弾性連結体における軸部材同士および外筒部材同士をそれぞれ互いに連結することにより、各弾性連結体におけるフランジ部と側面プレートを接近方向に相対変位せしめて、該第二のゴム弾性体の突出先端面を該フランジ部および側面プレートの他方に当接させると共に、該第一のゴム弾性体を軸方向の傾斜角度が小さくなる方向に弾性変形せしめた構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、両弾性連結体の組み付けに際して、第一のゴム弾性体に対して径方向の予圧縮が有効に及ぼされて耐久性の向上が図られ得るのであり、予圧縮を得るための外筒金具の絞り加工等が必要なくなることから、製造も容易となる。なお、第二のゴム弾性体も、その突出先端面がフランジ部または側面プレートに対して非接着で当接されていることから、引張応力の発生が防止されて良好なる耐久性が発揮されるのである。 【0016】更にまた、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、前記弾性連結体において、前記軸部材をエンジンロール荷重入力方向で挟んだ径方向の少なくとも一方の側に位置して、前記軸部材と前記外筒部材の少なくとも一方の側から他方の側に向かって径方向に突出し、突出先端面がそれら軸部材と外筒部材の他方の側に離間して対向位置するストッパゴムを設けた構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、エンジンロール方向への過大な振動荷重入力時における第一の取付部材と第二の取付部材の相対的変位量が緩衝的に制限されることにより、第一及び第二のゴム弾性体における最大発生応力が抑えられて耐久性の向上が図られ得る。なお、かかるストッパゴムは、好適には、各弾性連結体において、軸部材と外筒金具を径方向に連結する第一のゴム弾性体を、ロール荷重入力方向に略直交する径方向に延びる複数本の第一の分割弾性体にて構成することにより、かかる第一の分割弾性体が形成されていない領域を利用して、外筒金具から内筒金具に向かって突出形成される。これにより、スペースの効率的な利用が達成されるのである。 【0017】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、例えば、筒状の連結金具を用い、該連結金具の軸方向両側開口部に対して、前記一対の弾性連結体におけるそれぞれの外筒部材を、前記フランジ部が形成されていない軸方向端部から圧入固定せしめて、両外筒部材を互いに固定的に連結することにより、それぞれの軸部材に設けられた側面プレートが軸方向両外側に位置する状態で、かかる一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて組み付けた構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、一対の弾性連結体を、簡単な構造をもって容易に組み付けることが出来るのである。なお、両軸部材は、例えば中心軸上に貫通して配されたボルト等によって、互いに固定的に連結される。また、連結金具として、例えば、該連結金具を自動車のパワーユニット側またはボデー側に固定するためのブラケット部としての取付部が、外周面上に突設されたもの等が、好適に採用される。 【0018】更にまた、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいて、そのような筒状の連結金具を用いて両弾性連結体の外筒部材を固定的に連結するに際しては、例えば、前記各弾性連結体における軸部材に設けられた側面プレートに対して、中心軸を径方向一方向に挟んだ両側に段差部を設け、かかる径方向の両側外周縁部を中央部分よりも軸方向外方に突出して位置せしめることにより、外筒部材に設けられたフランジ部との軸方向対向面間距離が大きくされた一対の張出部を形成せしめて、それら各張出部と該フランジ部との軸方向対向面間にそれぞれ前記第二のゴム弾性体を介装すると共に、該側面プレートにおける該径方向の中央部分において、軸方向外方に開口して前記段差部間を該段差部に沿って軸直角方向に延びる溝状凹部を形成する一方、前記軸部材で構成される前記第一の取付部材の軸方向両端部を支持する一対の支持腕部を備え、該第一の取付部材を前記パワーユニット側または前記ボデー側に取り付けるブラケット部材を採用し、該ブラケット部材における一対の支持腕部を、前記側面プレートの溝状凹部を利用して、該側面プレートの外周部分から中央部分まで延び出させて配設した構造が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、側面プレートに張出部が形成されて、それら側面プレートとフランジ部の対向面間距離が、第二のゴム弾性体の配設部位において大きくされることにより、第二のゴム弾性体の軸方向長さが大きく設定されて、耐久性の向上が図られ得る。しかも、ブラケット部材が取り付けられる部分は、軸方向内方に凹んだ溝状凹部とされていることにより、ブラケット部材やその固定用ボルト等の軸方向突出量が抑えられることから、配設スペースが小さくてすみ、他部材への緩衝等が回避され得る。 【0019】また、本発明に従う構造とされたエンジンロールマウントにおいては、上述の如き筒状の連結金具を用いて一対の弾性連結体を組み付ける代わりに、例えば、それぞれ外周面上に突出する取付脚部を備えた一対の筒状の保持金具を用い、各保持金具に対して、前記一対の弾性連結体におけるそれぞれの外筒部材を圧入固定する一方、かかる一対の弾性連結体を、それぞれの軸部材に設けられた側面プレートを互いに突き合わせた状態で軸方向に重ね合わせると共に、前記一対の保持金具に設けられたそれぞれの取付脚部を相互に連結固定することにより、該一対の保持金具で両外筒部材を互いに固定的に連結せしめて、かかる一対の弾性連結体を軸方向に重ね合わせて組み付けた構造が、好適に採用され得る。このような構造を採用すれば、一対の弾性連結体が、前述の如き筒状の連結金具を用いた場合とは反対向きに、即ち、軸部材と外筒部材が、側面プレートとフランジ部が形成された軸方向端部側をそれぞれ内方にして、軸方向に重ね合わされて組み付けられる。また、各弾性連結体の外筒部材は、それぞれ、各別の保持金具に対して圧入固定され、その後に、両保持金具が取付脚部において一体化されることから、圧入作業が容易であり、優れた製造性が実現される。なお、両保持金具に設けられた取付脚部の相互の固定は、溶接やボルト等の各種の固定構造が採用可能であるが、好適には、両保持金具の取付脚部によって、外筒部材で構成された第二の取付部材を自動車のパワーユニット側またはボデー側に取り付けるためのブラケットを構成し、このブラケットとしての取付脚部をパワーユニット側またはボデー側にボルト等で固定すると同時に、その固定構造を利用して、両取付脚部を相互に連結固定するようにされる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。 【0021】先ず、図1〜2には、本発明の第一の実施形態としての、自動車用エンジンロールマウント10が、示されている。かかるエンジンロールマウント10は、全体として小径円筒形状を有する第一の取付部材としての第一の取付金具12と、全体として大径円筒形状を有する第二の取付部材としての第二の取付金具14を備えており、第一の取付金具12の径方向外方に離間して略同軸的に或いは所定量だけ偏心して第二の取付金具14が配設されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、ゴム弾性体16によって弾性的に連結されてなる構造を有している。そして、第一の取付金具12が、図中に仮想線で示されているブラケット部材としてのブラケット金具18を介して、図示しない自動車のパワーユニット側に固定される一方、第二の取付金具14が、取付脚部20を備えた連結金具22を介して、図示しない自動車のボデー側に固定されることによって、かかるエンジンロールマウント10が自動車に装着され、以て、パワーユニットのボデーに対するエンジンロール方向の変位量を弾性的に制限し得るようになっている。なお、エンジンロールマウント10は、図1中の紙面に垂直な方向(図2中の左右方向)が、略車両横方向(車両左右方向)となる状態で装着され、そのような装着状態下、主たるエンジンロール荷重は、図1中のP方向に入力されることとなる。 【0022】より詳細には、かかるエンジンロールマウント10は、互いに同一構造とされた一対の弾性連結体24,24を、互いに組み合わせることによって構成されている。かかる弾性連結体24は、図3及び図4にも示されているように、軸部材としての小径円筒形状の内筒金具26と、外筒部材としての大径円筒形状の外筒金具28を有しており、内筒金具26の径方向外方に離間して同一軸上に或いは僅かに偏心して外筒金具28が配設されている。なお、内筒金具26よりも外筒金具28の方が、軸方向長さが短くされており、特に本実施形態では、外筒金具28の軸方向長さが、内筒金具26の略半分に設定されている。 【0023】また、内筒金具26の軸方向一方の端面(図4中、右側端面)には、側面プレートとしての平板形状の側面板金具30が重ね合わされ、溶接等で固着されている。この側面板金具30は、径方向一方向で両側に大きく延び出した略矩形乃至は略小判形の平板形状を有しており、延び出した方向(図3中、左右方向)の径方向長さが、外筒金具28の外径寸法よりも大きくされていると共に、それに直交する方向(図3中の上下方向)の径方向長さが、外筒金具28の内径寸法よりも小さくされている。 【0024】また一方、外筒金具28の軸方向一方の端部(図4中、右側端部)は、径方向外方に屈曲されることにより、径方向外方に広がるフランジ部としてのフランジ板32が一体形成されている。このフランジ板32は、径方向一方向(図3中、左右方向)で対向位置する部分において、径方向幅が大きくされている。 【0025】そして、これら内筒金具26と外筒金具28は、側面板金具30とフランジ板32におけるそれぞれの延び出した部分が、互いに軸方向で離間して対向位置する状態で、周方向および軸方向に相対的に位置決めされて配設されていると共に、これら内筒金具26と外筒金具28の間に連結ゴム34が介装されており、該連結ゴム34によって、内外筒金具26,28が弾性連結されている。 【0026】かかる連結ゴム34は、内筒金具26と外筒金具28の径方向対向面間に介装されて、内筒金具26の外周面と外筒金具28の内周面の間を径方向に延びる第一のゴム弾性体としての第一の連結ゴム36と、側面板金具30とフランジ板32の軸方向対向面間に介装されて、それら側面板金具30とフランジ板32の間を軸方向に延びる第二のゴム弾性体としての第二の連結ゴム38を含んで構成されている。そして、第一の連結ゴム36は、その内周面が内筒金具26の外周面に加硫接着されていると共に、その外周面が外筒金具28の内周面に加硫接着されている。また、第二の連結ゴム38は、その軸方向一方の面が側面板金具30に加硫接着されていると共に、その軸方向他方の面がフランジ板32に加硫接着されている。これにより、第一の及び第二の連結ゴム36,38は、内筒金具26と外筒金具28を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されており、かかる一体加硫成形品によって、弾性連結体24が構成されている。また、本実施形態では、第一の連結ゴム36と第二の連結ゴム38が、該第一の連結ゴム36の径方向両端部と該第二の連結ゴム38の軸方向両端部が互いにつながった状態で形成されることにより、一体形成されている。なお、このような一体加硫成形品は、例えば、内外筒金具26,28に対して必要に応じて接着処理を施した後、それら内外筒金具26,28を、第一及び第二の連結ゴム36,38の成形型内にセットし、かかる成形型内にゴム材料を充填して加硫成形することにより、有利に形成され得るが、加硫成形後、外筒金具28に八方絞り等の縮径加工を施すことによって、第一の連結ゴム36における引張応力を軽減乃至は解消することが望ましい。 【0027】ここにおいて、第一の連結ゴム36には、内筒金具26を挟んで径方向で対向位置する両側部分に、それぞれ、周方向に半周より短い周方向長さで軸方向に貫通して延びる一対の肉抜孔40,40が形成されている。これにより、第一の連結ゴム36が、周方向で実質的に分割されており、以て、内筒金具26と外筒金具28の間において、エンジンロール荷重の入力方向に直交する径方向両側(図3中、左右方向)にそれぞれ直線的に延びる複数本の第一の分割弾性体としての一対の第一の分割連結ゴム42,42が構成されている。なお、これら第一の分割連結ゴム42,42は、何れも、内外筒金具26,28間において、径方向および軸方向で何れも殆ど傾斜することなく、軸直角方向に延びるように形成されている。また、エンジンロール荷重の入力方向となる径方向で対向する内筒金具26の外周面と外筒金具28の内周面は、それぞれ、径方向に所定厚さを有する緩衝ゴム層44,46で覆われており、これらの緩衝ゴム層44,46が、肉抜孔40を挟んで、互いにエンジンロール荷重の入力方向で対向位置せしめられている。要するに、本実施形態では、緩衝ゴム層44,46によって、内外筒金具26,28のエンジンロール荷重入力方向における相対的変位量を緩衝的に制限するストッパゴムが構成されているのである。 【0028】更にまた、第二の連結ゴム38は、周方向に分割されて互いに独立形成された一対の第二の分割弾性体としての一対の第二の分割連結ゴム48,48によって構成されている。そして、これら一対の第二の分割連結ゴム48,48は、側面板金具30とフランジ板32の軸方向対向面間において、エンジンロール荷重の入力方向に直交する径方向で対向位置して、それぞれ配設されている。なお、これらの第二の分割連結ゴム48,48は、何れも、フランジ板32から側面板金具30に近づくに従って次第に内筒金具26側(径方向内側)に近づくように、エンジンロール荷重の入力方向に直交する方向で径方向に傾斜して形成されている。但し、エンジンロール荷重の入力方向では、かかる第二の分割連結ゴム48,48は、実質的に傾斜しない形状とされている。 【0029】なお、上述の如く第一及び第二の連結ゴム36,38で内外筒金具26,28が弾性連結されてなる弾性連結体24は、図4に示されているように、外的荷重が及ぼされていない状態下で、内外筒金具26,28における側面板金具30およびフランジ板32が形成されていない側の軸方向端面が、軸方向で略同じ位置に位置合わせされており、本実施形態では、外筒金具28の軸方向端面よりも内筒金具26の軸方向端面の方が、僅かに軸方向外方に突出位置せしめられている。 【0030】そして、このような構造とされた弾性連結体24は、同一構造とされた一対が互いに軸方向に同一軸上で重ね合わせられることにより、図1及び図2に示されている如く、目的とするエンジンロールマウント10が構成されている。特に、本実施形態では、大径円筒形状を有する連結金具22に対して、その軸方向両側開口部から、各弾性連結体24における外筒金具28が圧入されることによって、両外筒金具28,28が、連結金具22を介して軸方向に突き合わされた状態で相互に連結固定されており、以て、これら両外筒金具28,28によって、前記第二の取付金具14が構成されている。なお、外筒金具28の連結金具22に対する圧入量は、フランジ板32が連結金具22の軸方向端面に当接することによって規定されており、本実施形態では、両弾性連結体24,24における外筒金具28,28の軸方向端面が僅かな隙間を隔てて対向位置する状態で圧入固定されている。また、そのような圧入固定状態下では、両弾性連結体24,24における内筒金具26,26の軸方向端面が、互いに当接状態で重ね合わされるようになっている。 【0031】また、そのような圧入固定状態下、一対の弾性連結体24,24は、それぞれの第一の分割連結ゴム42,42が、互いに周方向で位置合わせされており、両弾性連結体24,24における各第一の分割連結ゴム42,42が、同じ径方向に延び、且つ両弾性連結体24,24における各第二の分割連結ゴム48,48が、同じ径方向で対向位置せしめられている。更に、両弾性連結体24,24における第一の分割連結ゴム42,42は、軸方向で重なり合うことなく、互いに所定の隙間64を隔てて位置せしめられている。 【0032】更にまた、連結金具22には、外周面上に突出して延び出す取付脚部20が溶着固定されており、この取付脚部20に対して、取付用のナット50が固着されている。そして、上述の如きエンジンロールマウント10は、連結金具22の取付脚部20が、図示されていない自動車ボデーに対して、ナット50に螺着される取付ボルト(図示せず)によって、取り付けられることにより、第二の取付金具14が、自動車のボデーに固定的に取り付けられるようになっている。また一方、互いに突き合わされた両弾性連結体24,24の内筒金具26,26は、各内孔52,52に挿通される取付ボルト54によって軸方向に締め付けられて、軸方向および軸直角方向の相対変位が阻止されており、以て、一体的な第一の取付金具12とされている。 【0033】さらに、かかる第一の取付金具12には、挿通された取付ボルト54によって、ブラケット金具18が固着されるようになっている。かかるブラケット金具18は、図5に示されているように、複数のナット56が固着された取付板部58に対して、その幅方向両端部から一対の支持腕部としての一対の平板形状の支持板部60,60が互いに平行に突設された、全体としてコ字形乃至は溝形構造を有している。そして、このブラケット金具18は、その一対の支持板部60,60で、エンジンロールマウント10を軸方向両側から挟み込むようにして組み付けられており、かかる一対の支持板部60,60が、エンジンロールマウント10における第一の取付金具12の軸方向両端部に固着されてエンジンロールマウント10の軸方向両方の最外側に位置せしめられた側面板金具30,30の外面上に、それぞれ重ね合わされている。また、各支持板部60,60の突出先端部分には、挿通孔62,62が形成されており、これらの挿通孔62,62に対して、第一の取付金具12に内挿される取付ボルト54が挿通され、該取付ボルト54にて、両支持板部60,60が軸方向に締め付けられることにより、ブラケット金具18が第一の取付金具12に対して固定されている。そして、このブラケット18の取付板部58が、ナット56に螺着される取付ボルトにて、図示しない自動車のパワーユニットに固定されることにより、第一の取付金具12が、自動車のパワーユニットに対して固定的に取り付けられるようになっている。 【0034】このようにして自動車に装着されることにより、エンジンロールマウント10は、両弾性連結体24,24の第一の連結ゴム36,36における肉抜孔40,40の対向方向が、略エンジンロール荷重の入力方向(図1中、P方向)となり、且つ第一及び第二の取付金具12,14の軸方向が、略車両横方向(左右方向)となる状態で、自動車のパワーユニットとボデーの間に介装される。 【0035】そして、かかる装着状態下、エンジンロールマウント10に対してエンジンロール荷重が入力されると、各弾性連結体24を構成する第一及び第二の連結ゴム36,38の弾性変形に基づいて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸直角方向の相対変位が許容されることにより、パワーユニットのエンジンロール変位量が弾性的に制限されることとなる。そこにおいて、第一の連結ゴム36は、エンジンロール荷重の入力方向に略直交する径方向に延びる第一の分割連結ゴム42,42にて構成されており、エンジンロール荷重の入力時に主に剪断変形せしめられることから、充分に柔らかいばね特性に基づいて良好なロールストッパ性能が発揮され得る。 【0036】しかも、第二の連結ゴム38は、径方向一方向に対向位置する一対の第二の分割連結ゴム48,48によって構成されているに過ぎず、しかも、エンジンロール荷重の入力に伴う第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸直角方向の相対変位に際して、主に剪断変形せしめられることから、エンジンロール荷重の入力方向においては、かかる第二の連結ゴム38によるばね剛性が充分に抑えられ、第一の連結ゴム36による柔らかいばね特性が安定して発揮されるのである。 【0037】一方、車両コーナリング等に際してのエンジン左右方向の変位等に伴って、エンジンロールマウント10に軸方向の荷重が入力されると、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向に相対変位せしめられることにより、側面板金具30とフランジ板32が対向方向で接近/離隔方向に相対変位せしめられて、それらの間に配設された第二の連結ゴム38(第二の分割連結ゴム48,48)が、主に圧縮/引張変形せしめられることとなる。その結果、かかる第二の連結ゴム38の圧縮/引張方向のばね特性に基づいて、高ばね定数による大きなばね剛性が発揮されるのであり、以て、パワーユニットの車両左右方向への大きな変位が抑制されて、コーナリング時の車両安定性が有利に維持され得るのである。 【0038】なお、本実施形態のエンジンロールマウント10においては、そのような軸方向荷重の入力時においても、エンジンロール荷重の入力方向では、第一及び第二の連結ゴム36,38の剪断変形に基づく柔らかいばね特性が発揮されることとなり、ボデー側への振動伝達を抑えつつ、良好なロールストッパ性能が発揮され得る。しかも、第一の連結ゴム36と第二の連結ゴム38が相互に実質的に独立して形成されていることから、第二の連結ゴム38の圧縮/引張変形による発生応力の第一の連結ゴム36への伝達と、それに伴う連結ゴム34全体のばね定数の増大が可及的に抑えられるのであり、それによって、軸方向荷重の入力時にも第一の連結ゴム36における初期のばね特性が一層有利に維持され得て、より安定したロールストッパ性能が発揮されるのである。 【0039】次に、図6及び図7には、本発明の第二の実施形態としてのエンジンロールマウント70が、示されている。なお、本実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。 【0040】すなわち、本実施形態のエンジンロールマウント70は、第一の取付金具12を構成する内筒金具26の軸方向端部に固着された側面板金具の構造が、第一の実施形態のものと異なっている。本実施形態の側面板金具72には、大きく延び出した径方向一方向(エンジンロール荷重の入力方向に略直交する方向)で中心軸を挟んだ両側に、それぞれ階段状の段差部74,74が形成されており、この段差部74を境にして、側面板金具72の中央部分よりも両側外周縁部分が軸方向外方に突出位置せしめられている。そして、この軸方向外方に突出した部分によって、側面板金具72の両側外周縁部分に位置する張出部76,76が構成されており、これらの張出部76,76が、外筒金具28のフランジ板32に対して軸方向に対向位置せしめられているのであり、以て、該張出部76とフランジ板32の軸方向対向面間に、第二の分割連結ゴム48が介装されているのである。なお、両段差部74,74間に挟まれた側面板金具72の中央部分は、それら両段差部74,74を側壁として、張出部76,76の対向方向に略直角な方向に延びる溝状凹部78が、軸方向外方に開口して形成されている。 【0041】要するに、本実施形態では、側面板金具72の中央部分に対する張出部76の軸方向突出量分だけ、第一の取付金具12の軸方向長さを延長することなく、外筒金具28のフランジ板32と側面板金具72の軸方向対向面間距離、ひいては第二の分割連結ゴム48の軸方向長さを大きく設定することが出来るのである。その結果、第一の取付金具12やブラケット金具18の大型化を伴うことなく、第二の連結ゴム38のボリュームを有利に確保することが出来、耐久性の更なる向上が可能となると共に、第二の連結ゴム38における剪断方向のばね定数を小さくして、第二の連結ゴム38によるエンジンロール荷重の入力方向のばね定数の増大をより軽減することも可能となるのである。 【0042】また、第一の取付金具12をブラケット金具18に固定するための取付ボルト54のヘッド部やナットも、側面板金具72の中央部分に形成された溝状凹部78に収容された状態となることから、かかる取付ボルト54の突出量が小さくされて、他部材への干渉等が有利に防止され得る。なお、取付ボルト54のヘッド部やナットが、溝状凹部78内に完全に収容された状態となる程に、張出部76,76を大きく軸方向に突出させることも可能である。 【0043】次に、図8及び図9には、本発明の第三の実施形態としてのエンジンロールマウント80が、示されている。なお、本実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。 【0044】すなわち、本実施形態のエンジンロールマウント80は、第一の実施形態と同じ構造とされた一対の弾性連結体24,24を軸方向に組み合わせて連結することにより構成されているが、各弾性連結体24,24における軸方向の突き合わせ面が、第一の実施形態とは軸方向反対面とされている。換言すれば、一対の弾性連結体24は、それぞれの側面板金具30を互いに重ね合わされた状態で軸方向に重ね合わされ、両方の内筒金具26,26および外筒金具28,28が、互いに一体的に連結されているのである。 【0045】ここにおいて、本実施形態では、両弾性連結体24,24における外筒金具28,28を互いに一体的に連結する構造が、第一の実施形態とは異なっている。具体的には、本実施形態では、両弾性連結体24,24を連結するために、一対の筒形状を有する保持金具としての保持筒金具82,84が採用されている。これらの保持筒金具82,84は、弾性連結体24を構成する外筒金具28より大きな径寸法を有しており、各弾性連結体24の外筒金具28が圧入固定されるようになっている。 【0046】また、それぞれの保持筒金具82,84には、取付脚部としての金属板からなる取付脚金具86,88が、外周面上に突出する状態で、溶着等によって固設されている。一方の保持筒金具82に突設された取付脚金具86は、その先端部分がL字状に屈曲されており、この屈曲部に複数のボルト挿通孔が形成されて取付板部90が形成されている。また他方の保持筒金具84に突設された取付脚金具88は、その先端部分がL字状に屈曲されており、この屈曲部に複数のナット50が固着されて取付板部92が形成されている。 【0047】そして、一方の保持筒金具82に対して、一方の弾性連結体24の外筒金具28を圧入固定すると共に、他方の保持筒金具84に対して、他方の弾性連結体24の外筒金具28を圧入固定した後、それら両弾性連結体24,24を、各側面板金具30,30の外側面を重ね合わせて軸方向に突き合わせることにより、一方の保持筒金具82における取付脚金具86の取付板部90上に、他方の保持筒金具84における取付脚金具88の取付板部92が重ね合わされ、かかる状態下で、両保持筒金具82,84、ひいては両弾性連結体24,24が同一軸上に位置せしめられるようになっている。 【0048】それ故、かかる位置決め状態下、両保持筒金具82,84を、取付ボルト96にて相互に連結固定する同時に、自動車のボデー側部材93に固着せしめて、両保持筒金具82,84を実質的に一体化することにより、両弾性連結体24,24における外筒金具28,28を相互に位置固定に同一軸上で保持せしめて、自動車のボデー部材93に対して固定的に取り付ける取付支持部材94が構成されている。また、このような取付支持部材94によって両弾性連結体24,24の外筒金具28,28が連結されることにより、かかる両弾性連結体24,24の内筒金具26,26が同一軸上で互いに軸方向に突き合わされて位置せしめられることとなる。そして、第一の実施形態と同様に、両内筒金具26,26が、その内孔52,52に挿通される取付ボルト54で軸方向に締結されることにより、一体的に連結されて第一の取付金具12が構成されている。また、この第一の取付金具12は、コ字状のブラケット金具18の両側支持板部60,60が、軸方向両端面に重ね合わされ、取付ボルト54で固定されることによって、該ブラケット金具18を介して、図示しないパワーユニット側部材に対して固定的に取り付けられることとなる。 【0049】このような構造とされた本実施形態のエンジンロールマウント80においても、第一の実施形態のものと同様な効果が何れも有効に発揮され得る。それに加えて、本実施形態のものにおいては、両弾性連結体24,24の外筒金具28,28を連結する取付支持部材94が、一対の保持筒金具82,84からなる分割構造とされており、各保持筒金具82,84に対して、何れか一方の外筒金具28を圧入すれば良いことから、第一の実施形態の連結金具22のように、両外筒金具28,28を軸方向両側から圧入する必要がないことから、外筒金具28の圧入作業が容易である等といった利点がある。 【0050】なお、一対の保持筒金具82,84を相互に連結固定するには、取付支持部材94をボデーに取り付けるためのボルト等を利用することなく、他の連結構造を採用することも可能である。また、各保持筒金具82,84を、それぞれ、個別にボデーに取り付けることにより、ボデーを介して、両保持筒金具82,84を相互に連結固定することも可能である。更にまた、各保持筒金具82,84が、直接的にボデーの装着孔に圧入固定するような場合には、ボデーによって両保持筒金具82,84を連結固定することが出来、取付脚部等の特別な連結構造は設ける必要がない。 【0051】次に、図10及び11には、前記第一,第二及び第三の実施形態において採用され得る弾性連結体の別の具体例の一つが、第四の実施形態として示されている。なお、本実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。 【0052】すなわち、本実施形態として示された弾性連結体100においては、内筒金具26のフランジ板32と外筒金具28の側面板金具30の軸方向対向面間に介装される第二の分割連結ゴム48,48が、それぞれ、フランジ板32から側面板金具30に向かって軸方向に突出して、その突出先端面が側面板金具30に対して、所定の隙間102を隔てて対向位置する形状をもって形成されている。要するに、第二の分割連結ゴム48の軸方向突出高さが、フランジ板32と側面板金具30の軸方向対向面間距離よりも隙間102の分だけ小さくされている。 【0053】また、第一の分割連結ゴム42,42は、それぞれ、外筒金具28から内筒金具26に向かって軸方向内方に行くに従って、次第に、第二の分割連結ゴム48の突出方向と同じ軸方向に延びだすように、軸方向に傾斜して形成されている。換言すれば、かかる第一の分割連結ゴム42,42は、それぞれ、内筒金具26から外筒金具28に向かって軸方向外方に行くに従って、次第に、内筒金具26の側面板金具30から軸方向に離間するように、軸方向に傾斜して形成されている。 【0054】更にまた、これら第一及び第二の分割連結ゴム42,48に対して外力が及ぼされていない状態下で、内筒金具26の側面板金具30と反対側の軸方向端面は、外筒金具28のフランジ板32と反対側の軸方向端面よりも、所定量:δだけ、軸方向内方に位置せしめられている。 【0055】そして、かくの如き構造とされた弾性連結体100は、例えば図12に示されているように、第一の実施形態と同様に、ブラケット金具18と連結金具22を用いて、それら一対の弾性連結体100,100を相互に組み付けて、パワーユニットとボデーの間に装着されることとなり、それによって、目的とするエンジンロールマウント104が構成される。 【0056】そこにおいて、かかるエンジンロールマウント104においては、両弾性連結体100,100における内筒金具26,26が、取付ボルト54の軸方向締付力により、第一及び第二の連結ゴム36,38の弾性変形を伴って、互いに軸方向に相対的に接近変位せしめられ、同一軸上で軸方向端面が重ね合わされた状態で、互いに一体的に連結固定されている。要するに、各弾性連結体100は、その装着状態下、内筒金具26が外筒金具28に対して、両軸方向一端面の離間距離:δが小さくなる方向に相対変位せしめられているのである。その結果、各弾性連結体100において、第一の分割連結ゴム42が、軸方向傾斜角度が小さくなる方向に弾性変形せしめられ、略軸直角方向に延びる状態で内外筒金具26,28間に配設されている一方、第二の分割連結ゴム48が、その突出先端面が側面板金具30に圧接され、フランジ板32と側面板金具30の間で軸方向に押圧された状態で配設されている。 【0057】従って、本実施形態のエンジンロールマウント104においても、前記第一の実施形態と同様な効果が、何れも有効に発揮され得るのであり、また、それに加えて、装着状態下、取付ボルト54の締付けに伴う内筒金具26の外筒金具28に対する軸方向の相対変位により、各第一の分割連結ゴム42に対して予圧縮が加えられることから、第一の分割連結ゴム42の耐久性が有利に確保され得、加硫成形後における外筒金具28の縮径加工も省略可能となる等といった利点がある。更にまた、第二の分割連結ゴム48が、側面板金具30に非接着とされて該側面板金具30から離間可能とされていることから、軸方向に過大な荷重が入力された際にも、第二の分割連結ゴム48における引張応力の発生が回避されて、耐久性が有利に確保され得るのである。 【0058】さらに、図13〜15には、前記第一,第二及び第四の実施形態において採用され得る弾性連結体の更に別の具体例が、第五の実施形態として示されている。なお、本実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を省略する。 【0059】すなわち、本実施形態として示された弾性連結体110においては、内筒金具26と外筒金具28の径方向対向面間に介装される第一の連結ゴム36を構成する、エンジンロール荷重の入力方向に略直交する径方向で内筒金具26を挟んだ両側において、径方向に延びる一対の第一の分割連結ゴム114が、それぞれ、内筒金具26から外筒金具28に向かって次第に周方向に広がる略V字形状をもって形成されている。見方を変えれば、各第一の分割連結ゴム114は、更にそれぞれ径方向に延びる2本の分割ゴム部112,112によって構成されている。 【0060】このようなV字形状を有する一対の第一の分割連結ゴム114,114を採用した本実施形態のエンジンロールマウントにおいては、第一の実施形態のものに比して、各径方向におけるばね特性をより広い自由度をもって設定することが可能となる。また、本実施形態では、各弾性連結体110における第二の分割連結ゴム48,48においても、外周面の中央部分において外周面上に開口する凹所116,116が設けられており、この凹所116の大きさを調節することによって、エンジンロールマウント104における軸方向のばね特性のチューニングに関しても、より大きな自由度が確保され得るのである。 【0061】なお、上記第四及び第五の実施形態として示された弾性連結体100,110は、何れも、第三の実施形態として示されている如き保持筒金具82,84からなる取付支持部材を用い、側面板金具側で軸方向に重ね合わせて組み付けることも可能である。 【0062】以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。 【0063】例えば、第一の取付金具12をパワーユニット側に取り付ける一方、第二の取付金具14をボデー側に取り付けるようにしても良い。 【0064】また、ばね特性のチューニングに際して、第一の連結ゴム36における肉抜孔40,40は、必ずしも設ける必要はない。 【0065】更にまた、ばね特性のチューニングに際して、第二の分割連結ゴム48は、周方向に3つ以上形成したり、或いは周方向に連続して延びる環状形態をもって形成することも可能である。特に、第二の連結ゴム38の突出先端面を側面板金具30に固着しない場合には、側面板金具30を第二の連結ゴム38の加硫成形後に組み付けることが可能となり、第二の連結ゴム38の成形型を軸方向に離型することによって、周方向に連続して延びる環状の第二の連結ゴム38を、容易に形成することが出来る。 【0066】さらに、互いに組み合わされる一対の弾性連結体は、必ずしも同一構造である必要はなく、互いに異なるばね特性や形状等を有する一対の弾性連結体を組み合わせることも可能であり、それによって、より大きな設計自由度が実現され得る。 【0067】その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。 【0068】 【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた自動車用エンジンロールマウントにおいては、車両横方向となるマウント軸方向の荷重入力時に第二のゴム弾性体が圧縮変形せしめられることから、大きなばね剛性を得ることが出来るのである。そして、この第二のゴム弾性体は、第一のゴム弾性体から実質的に独立形成されており、且つエンジンロール荷重の入力方向においては主に剪断変形せしめられることから、エンジンロール荷重の入力時にも、第二のゴム弾性体による著しいばね剛性の増大が回避されて、第一及び第二のゴム弾性体の弾性に基づいて良好なるエンジンロール方向のストッパ機能が発揮され得るのである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000219602 【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月10日(1998.11.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078190 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 三千雄 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−193003(P2000−193003A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−318640 |
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