| 【発明の名称】 |
防振ゴム部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】草柳 芳之
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| 【要約】 |
【課題】十分な減衰性が得られ、且つ温度依存性の良好な防振ゴム部材を提供する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マフラーをフレームに支持して振動を抑える防振ゴム部材において、上下方向両端部が前記マフラー及び前記フレームに連結されると共にその中央部に貫通部を有するベース部材と、前記貫通部内に設けられた高減衰性シリコーンゴムからなる減衰部材とを有することを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項2】 請求項1において、前記減衰部材は、前記貫通部の厚さ方向両端部にフランジ部を有することを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項3】 請求項2において、前記減衰部材のフランジ部に対向する領域の前記ベース部材には前記貫通部とは連通しない貫通孔が設けられ、当該貫通孔を介して前記減衰部材の厚さ方向両端部のフランジ部同士が連結されていることを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記減衰部材は、前記貫通部内全体に充填されるとともに前記ベース部材の上下方向に延びる一定幅のスリットを少なくとも一つ有することを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項5】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記減衰部材は、前記貫通部内の一部に充填されるとともに前記ベース部材との間に上下方向に延びる一定幅のスリットを少なくとも一つ有することを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記ベース部材の前記減衰部材との接合面には、プライマー処理が施されていることを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記ベース部材が、EPDM又は高強度シリコーンゴムからなることを特徴とする防振ゴム部材。 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記ベース部材と前記減衰部材とが一体成形により形成されていることを特徴とする防振ゴム部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のマフラー等の懸架に用いられる防振ゴムに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、自動車等のマフラーは、振動や騒音を抑えるために、いわゆるマフラーハンガー、サイレンサーマウントやエキゾーストパイプマウントと呼ばれる防振ゴム部材よってフレームに保持されている。この、サイレンサーマウントの材質としては耐熱性が要求されるため、一般的にEPDM材が使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、EPDM材では、十分な防振及び防音効果が得られず、振動吸収性を高めるためにさらなる減衰性の向上が要求されている。 【0004】このような要求に対し、防振ゴム部材の材質を変えることにより減衰性を向上することが考えられている。しかしながら、減衰性の良好な材料、例えば、イソブチレン・イソプレンゴム(IIR)等の材料を使用した場合、温度条件の厳しいサイレンサーマウントとしては温度依存性が悪く使用することができない。また、温度依存性の良好な材料、例えば、高減衰性シリコーンを使用することも考えられるが、この場合、強度が不十分となってしまうという問題がある。さらに、カーボンやオイル等の高充填配合により減衰性を付与させることもできるが、環境温度によって減衰効果が十分に得られない、特に、高周波振動の減衰効果が十分に得られず、耐久性も不十分であるという問題がある。 【0005】本発明は、このような事情に鑑み、十分な減衰性が得られ、且つ温度依存性の良好な防振ゴム部材を提供することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決する本発明の第1の態様は、マフラーをフレームに支持して振動を抑える防振ゴム部材において、上下方向両端部が前記マフラー及び前記フレームに連結されると共にその中央部に貫通部を有するベース部材と、前記貫通部内に設けられた高減衰性シリコーンゴムからなる減衰部材とを有することを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0007】本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記減衰部材は、前記貫通部の厚さ方向両端部にフランジ部を有することを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0008】本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記減衰部材のフランジ部に対向する領域の前記ベース部材には前記貫通部とは連通しない貫通孔が設けられ、当該貫通孔を介して前記減衰部材の厚さ方向両端部のフランジ部同士が連結されていることを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0009】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記減衰部材は、前記貫通部内全体に充填されるとともに前記ベース部材の上下方向に延びる一定幅のスリットを少なくとも一つ有することを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0010】本発明の第5の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記減衰部材は、前記貫通部内の一部に充填されるとともに前記ベース部材との間に上下方向に延びる一定幅のスリットを少なくとも一つ有することを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0011】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記ベース部材の前記減衰部材との接合面には、プライマー処理が施されていることを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0012】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記ベース部材が、EPDM又は高強度シリコーンゴムからなることを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0013】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様において、前記ベース部材と前記減衰部材とが一体成形により形成されていることを特徴とする防振ゴム部材にある。 【0014】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。 【0015】(実施形態1)図1は、本発明の一実施形態に係る防振ゴム部材の平面図及び断面図であり、図2はベース部材の平面図及び断面図であり、図3は、減衰部材の平面図及び断面図である。 【0016】図示するように、本実施形態の防振ゴム部材10は、中央部に貫通部21を有するベース部材20と、このベース部材20の貫通部21に嵌合固定される減衰部材30とからなる。 【0017】このベース部材20は、基本的には、略卵形の外形を有し、中央部に設けられる貫通部21は、基本的にはこの外形に沿った形状を有する。また、この貫通部21の上下方向両側には、この貫通部21の中心方向に張り出した張り出し部22が設けられており、これらの張り出し部22には、それぞれマフラー及びフレームと連結するための連結孔23が形成されている。また、貫通部21の左右方向両側の一部には、貫通部21の中心方向に張り出した張り出し部25が設けられている。 【0018】さらに、ベース部材20の両面側の貫通部21の開口周縁は、他の部分よりも厚さの薄い段差部26が設けられている。また、この段差部26の貫通部21側の端部には、全周に亘ってベース部材の厚さ方向外側に若干突出する凸部27が設けられており、これにより減衰部材30の貫通部21からの抜けを防止している。 【0019】このようなベース部材の材質としては、低動倍ゴムを用いることが好ましく、例えば、EPDM又は高強度シリコーンゴム等を用いている。また、その硬度は、JIS Aで40〜60°であるのが好ましいが、ベース部材20の形状によって、若干の調整が可能である。さらに、引張り強さ(TB)は、100kgf/cm2よりも大きいことが好ましく、動的バネ定数と静的バネ定数との比(Kd/Ks)は、2よりも小さいことが好ましく、1.5以下であることが望ましい。 【0020】これは、ベース部材20が減衰部材30の補強材としての役割も果たしているため、TBが100以下では、補強材としての耐久性が不十分であり、また、Kd/Ksが2以上では、高周波振動が悪化してしまうためである。 【0021】一方、減衰部材30は、ベース部材20の貫通部21と略同一形状を有し、その厚さ方向両端部には、全周に亘って外側に突出するフランジ部31を有する。また、フランジ部31の基端部には、全周に亘って溝部32が設けられている。したがって、ベース部材20と減衰部材30とを組み立てると、ベース部材20の凸部27が減衰部材30の溝部32に係合し、減衰部材30の貫通部21からの抜けを防止することができる。 【0022】このような減衰部材30の材質としては、防振用シリコーンゴムを用いることが好ましく、例えば、高減衰性シリコーンゴム又はEPDMとシリコーンとの複合体等を用いることが好ましい。また、この材質の特性としては、損失係数(tanδ)が0.2以上であることが好ましい。これは、減衰部材30が、特に、低周波領域での減衰させるためのものであるが、tanδが0.2よりも小さいと低周波領域での減衰効果が十分に得られないためである。 【0023】このようなベース部材20と減衰部材30との組立方法としては、特に、限定されないが、例えば、ベース部材20と減衰部材30とを個々に成形後、減衰部材30を貫通部21に圧入、接着することにより、組み立てることができる。 【0024】また、例えば、ベース部材20を成形し減衰部材30との接合部分にプライマー処理を施した後、減衰部材30となる材料を注入して、加硫接着させてもよい。なお、プライマーの材質は、特に限定されず、ベース部材20となる材質と、減衰部材30となる材質とを確実に接着できるものであればよい。また、ベース部材20に高強度シリコーンを用い且つ減衰部材30に高減衰性シリコーンを用いた場合、あるいはベース部材20にEPDMを用い且つ減衰部材30にEPDMとシリコーンとの複合体を用いた場合には、プライマーを使用することなく、これらを加硫接着させることができる。 【0025】このように、本実施形態では、防振ゴム部材10をベース部材20と高減衰性シリコーンからなる減衰部材30とを組み合わせた構造とした。これにより、低温時には、ベース部材20及び減衰部材30によって振動が抑えられ、高温時には、ベース部材20の減衰効果は低下するが減衰部材30によって振動が抑えられる。すなわち、減衰性を著しく向上し且つ温度依存性を良好に保持することができる。また、ベース部材20によって強度も確実に保持されている。したがって、マフラーのサイレンサーマウントとして好適に用いることができる。 【0026】(実施形態2)図4は、実施形態2に係る防振ゴム部材の平面図である。 【0027】本実施形態の防振ゴム部材10Aは、図4に示すように、減衰部材30の略中央部に、ベース部材20の貫通部21の上下方向に亘って、減衰部材30を厚さ方向に貫通する一定幅のスリット33を設けた以外は実施形態1と同様である。 【0028】このスリット33の幅は、減衰部材30をベース部材に取り付ける際に1mm以下であることが好ましく、特に、0.2〜0.5mmであるのが最も好ましい。 【0029】減衰部材30にこのようなスリット33を設けることにより、大きな振動が生じた場合には、その振動によってスリット33が圧縮されて、減衰部材30の減衰効果によって振動が抑えられる。一方、小さい振動が生じた場合には、スリット33が接触しないため、ベース部材20の防振効果によって振動が抑えられる。すなわち、防振ゴム部材の低動倍化を図ることができ、より確実に振動を抑えることができる。 【0030】なお、このスリット33の数は、一つに限定されず、防振ゴム部材10Aの硬度等を考慮して決定されればよい。また、その長さも、特に限定されず、例えば、貫通部21の上下方向に約半分程度の長さで形成するようにしてもよい。 【0031】また、本実施形態では、減衰部材30にスリット33を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、ベース部材20の貫通部21の寸法と減衰部材30寸法とを調整して、これらの間に間隙が画成されるようにしてもよく、これによってスリットを形成した場合と、同様の効果が得られる。 【0032】図5には、減衰部材30を貫通部21の一部に設けるようにし、ベース部材20との間に2つのスリット33Aを設けるようにした例を示す。この場合にも、上下方向に引っ張られた場合にスリット33Aが圧縮されてベース部材20と減衰部材30とが当接してバネ定数が徐々に低減される。 【0033】(実施形態3)図4は、実施形態3に係る防振ゴム部材の平面図である。 【0034】本実施形態は、減衰部材30のベース部材20からの脱落を確実に防止した例である。本実施形態では、図6に示すように、ベース部材20の減衰部材30のフランジ部31との接合部分、例えば、本実施形態では、ベース部材20の各突出部22,25の段差部26に、貫通部21とは連通することなくベース部材20を厚さ方向に貫通した貫通孔28を設け、この貫通孔28を介して減衰部材30のフランジ部31同士を連結するようにした。 【0035】このように構成とすることにより、減衰部材30のベース部材20からの脱落を確実に防止することができ、耐久性及び信頼性を向上することができる。 【0036】以上、本発明の各実施形態を説明したが、このような防振ゴム部材を以下のように形成した。 【0037】(実施例1〜4)実施例1〜4の防振ゴム部材10は、下記表1に示すように、それぞれベース部材20がEPDMで形成され、また減衰部材30が防振用シリコーンで形成されており、スリット33の数を0〜2個の範囲で変化させたものである。なお、ベース部材20及び減衰部材30を形成した材料の特性は、下記表1に示す通りである。また、スリットが0.5とは、スリットを貫通部の上下方向に半分の長さで形成した意味である。 【0038】 【表1】
* 信越化学工業社製:KE−5540V【0039】(比較例1〜3)比較例1〜3の防振ゴム部材は、ベース部材のみで構成したものであり、その材料及び材料特性は、下記表2に示す通りである。なお、比較例1の防振ゴムが、一般に防振ゴム部材として用いられているものである。また、比較例2又は3の防振ゴム部材は、製品特性は向上するものの耐久性に欠けるものである。 【0040】 【表2】
* 信越化学工業社製:KE−5540V【0041】ここで、各実施例及び比較例の防振ゴム部材の製品特性を下記表3に示す。 【0042】 【表3】
【0043】表3に示すように、各実施例の製品特性は、比較例1と比較して、Kd/Ksの値は若干劣るものの、何れの実施例もtanδの値は、明らかに向上していることが分かる。また、高温時でもtanδの低下は少なく、温度依存性に優れていることが分かる。すなわち、本発明の防振ゴム部材が、従来の防振ゴム部材よりも減衰性が向上され、且つ温度依存性も良好に保持されていることが分かる。 【0044】 【発明の効果】以上説明したように本発明では、防振ゴム部材の一部に高減衰性シリコーンからなる減衰部材を設けるようにした。これにより、減衰性が著しく向上し且つ温度依存性にも優れた防振ゴム部材とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000242426 【氏名又は名称】北辰工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月10日(1998.12.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101236 【弁理士】 【氏名又は名称】栗原 浩之
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| 【公開番号】 |
特開2000−170836(P2000−170836A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−351909 |
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