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【発明の名称】 免震支承装置
【発明者】 【氏名】宮野 宏

【氏名】矢口 大輔

【氏名】石田 知也

【要約】 【課題】免震支承装置自体で傾斜を吸収し、ある程度の傾斜面においても簡単に取り付けることができ、安定した案内機能を有する免震支承装置を提供する。

【解決手段】中央に断面円弧状で軸線X方向に連続した溝2を有し外側に溝2と同心の断面円弧状で軸線X方向に連続した曲面3を有する直線状のガイドレール1と、両端が溝2に開口するボール循環パイプ9を有しガイドレール1の曲面3を移動可能に挟持するブロック体4と、溝2とボール循環パイプ9とに亘って配置された多数のボール11と、ブロック体4と溝2に配置されたボール11との間に介挿され溝2に配置されたボール11に接する軸線X方向に連続した内側曲面13とブロック体4に接する軸線X方向に連続した外側曲面14とを有する摺動体12とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央に断面円弧状で軸線方向に連続した溝を有し外側に該溝と同心の断面円弧状で前記軸線方向に連続した曲面を有する直線状のガイドレールと、両端が前記溝に開口するボール循環パイプを有し前記ガイドレールの曲面を移動可能に挟持するブロック体と、前記溝とボール循環パイプとに亘って配置された多数のボールと、前記ブロック体と溝に配置されたボールとの間に介挿され溝に配置されたボールに接する軸線方向に連続した内側曲面とブロック体に接する軸線方向に連続した外側曲面とを有する摺動体と、を備えたことを特徴とする免震支承装置。
【請求項2】 ガイドレールが上方と下方とに直交する方向で配置されており、ブロック体の上部が上方のガイドレールの曲面を移動可能に挟持し且つブロック体の下部が下方のガイドレールの曲面を移動可能に挟持していることを特徴とする請求項1記載の免震支承装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震などによる振動を吸収する免震支承装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の免震支承装置は、軸方向に直線状に延びる案内レールと、この案内レールに相対移動可能に嵌合されたスライダとを備えており、案内レールの左右の外側面には、上下で対をなすボール転動溝が軸方向に平行して形成されている。そして多数のボールがスライダ内のボール循環経路を循環しつつボール転動溝を経由し、ボール転動溝で負荷を支えて転動することにより、スライダは案内レールに沿い、円滑に相対移動できるようになっている。
【0003】また、この直線状に延びる案内レール2本を、直交するように基礎と構造物との間に設置して、地震の揺れを減衰させる免震装置として使用する。この際には、復元力としてばねのような弾性体を付設し、必要に応じて、磁気、摩擦力による減衰機構も付設する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の免震支承装置は精度よく案内しようとするため、案内レールを取り付ける側に少しでも傾斜があると、傾斜を修正するための付加工事が必要であり、不具合な取り付け状態では、無理な力が発生して使用途中で部品が磨耗して寿命が短くなったり、場合によっては急激な破損に至ることがある。
【0005】本発明は、このような問題を解決し、免震支承装置自体で傾斜を吸収し、ある程度の傾斜面においても簡単に取り付けることができ、安定した案内機能を有する免震支承装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、中央に断面円弧状で軸線方向に連続した溝を有し外側に該溝と同心の断面円弧状で前記軸線方向に連続した曲面を有する直線状のガイドレールと、両端が前記溝に開口するボール循環パイプを有し前記ガイドレールの曲面を移動可能に挟持するブロック体と、前記溝とボール循環パイプとに亘って配置された多数のボールと、前記ブロック体と溝に配置されたボールとの間に介挿され溝に配置されたボールに接する軸線方向に連続した内側曲面とブロック体に接する軸線方向に連続した外側曲面とを有する摺動体と、を備えたことを特徴とする免震支承装置に係るもので、ブロック体がガイドレールに沿って移動すると、ボールはボール循環パイプとガイドレールの溝との間で循環しながら摺動体と転がり接触し、摺動体は溝内のボールを中心として内側曲面が左右に回動可能であり、ブロック体は摺動体の外側曲面を摺動面として左右に回動可能であるため、ガイドレールに対してブロック体が左右に傾斜しても無理な力は発生しない。
【0007】請求項2の発明は、ガイドレールが上方と下方とに直交する方向で配置されており、ブロック体の上部が上方のガイドレールの曲面を移動可能に挟持し且つブロック体の下部が下方のガイドレールの曲面を移動可能に挟持していることを特徴とする請求項1記載の免震支承装置に係るもので、上方のガイドレールの傾斜に対しても、下方のガイドレールの傾斜に対してもブロック体は順応して移動し、無理な力は発生しない。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
【0009】図1は、本発明の実施形態の一例の一部を破断して示した斜視図、図2は、本発明の実施形態の一例の外形を示す斜視図であって、Xは水平な一方向の軸線、Yは鉛直方向の軸線を示しており、図示しない基礎上に固定されているガイドレール1が、軸線X方向に直線状に延びている。
【0010】ガイドレール1は、SCM435,S45C,S55C等の材質で作られていて、ガイドレール1の上面中央には断面円弧状の溝2が、軸線X方向に連続して設けられており、更にガイドレール1の上部両側には、溝2と同心の断面円弧状の曲面3が軸線X方向に連続して設けられている。断面円弧状の溝2の曲率半径は、後述するボール11外面の曲率半径と同一の寸法になっている。
【0011】ガイドレール1の上には、SS400又は樹脂で作られたブロック体4が配置されていて、ブロック体4の平らな上面には、構造物下面の取付面と結合するボルト孔5が穿設されており、ブロック体4下部の両側には、図3の分解して示した縦断正面図にも示すように、ブロックテンション受け6がボルト7で固定されるようになっている。そして、ガイドレール1の上部両側の曲面3と同じ曲率の曲面で形成されているブロックテンション受け6の接触面8(図3参照)がガイドレール1の上部の曲面3を両側から摺動自在に挟み、ブロック体4がガイドレール1から外れないようにしている。
【0012】ブロック体4の側面には、SS400又は樹脂で作られたボール循環パイプ9が、SS400又は軟質樹脂で作られた固定ベルト10(図2、図3参照)によって固定されている。ボール循環パイプ9は、ブロック体4の側面からブロック体4の軸線X方向両端面の中心部まで回り込み、ボール循環パイプ9の両端は下向きになって、ガイドレール1上面中央の溝2の上で、ブロック体4の方に向けて開口している。
【0013】ボール循環パイプ9の内部と、ボール循環パイプ9の両端の間に位置しているガイドレール1上面中央の溝2とに亘って、SUJ2で作られた多数のボール11が密に配置されている。そしてブロック体4の中央下面とガイドレール1上面中央の溝2に配置されているボール11との間には、図1、図3に示す摺動体12が介挿されている。
【0014】摺動体12はSCM435,S45C,S55Cなどの焼入れ材で作られていて、摺動体12の下側には、ボール11外面の曲率半径と同一の曲率半径の内側曲面13が軸線X方向に連続して設けられており、摺動体12の上側には、ガイドレール1の曲面3と同一の曲率半径の外側曲面14が軸線X方向に連続して設けられている。そして内側曲面13が、ガイドレール1上面中央の溝2に配置されているボール11の上側に当接し、外側曲面14が、図3に示すブロック体4の中央下面にガイドレール1の曲面3と同一の曲率半径で軸線X方向に設けられている摺動曲面15に当接している。
【0015】ブロック体4の軸線X方向両端面には、摺動体12の抜け止めと、異物が摺動体12の下面や外側曲面14と摺動体12のとの間へ侵入するのを防止するのを兼ねて、図示しないエンドシールが固定されている。
【0016】次に、上述した図1ないし図3に示す装置の作用を説明する。
【0017】ブロック体4には軸線Y方向の垂直荷重が負荷され、この垂直荷重は、ブロック体4から摺動体12、ガイドレール1上面中央の溝2に配置されているボール11、ガイドレール1を介して、図示しない基礎に伝えられる。
【0018】ブロック体4がガイドレール1に沿って軸線X方向に移動すると、ガイドレール1上面中央の溝2と摺動体12の内側曲面13との間に配置されているボール11は、ブロック体4の移動速度の2分の1の速度でブロック体4の移動方向と同じ方向に転動し、順次、ボール循環パイプ9の移動方向後方側の端部からボール循環パイプ9の中にすくい上げられ、荷重を負荷しない状態になってボール循環パイプ9の中を移動方向前方側の端部へと押し出され、ボール循環パイプ9の移動方向前方側の端部から、ガイドレール1上面中央の溝2と摺動体12の内側曲面13との間に入り、ブロック体4が停止するまでボール11の上記循環は継続する。ブロック体4の移動方向が反転すると、ボール11の循環方向も反転する。
【0019】ブロック体4がガイドレール1に沿って軸線X方向に移動している時に、ブロック体4に軸線Y方向の引張力が作用すると、ブロック体4下部の両側に固定されているブロックテンション受け6の接触面8(図3参照)がガイドレール1上部の曲面3に接触し、滑りながらブロック体4がガイドレール1から抜けるのを防止する。
【0020】ブロック体4がガイドレール1に沿って軸線X方向に移動している時、ブロック体4の左右の中心からずれた位置に、軸線Y方向の垂直荷重又は引張力が作用したとする。
【0021】図4は、ブロック体4の左側に垂直荷重が作用するか、或いはブロック体4の右側に引張力が作用した場合を示し、図5は、ブロック体4の右側に垂直荷重が作用するか、或いはブロック体4の左側に引張力が作用した場合を示している。図4、図5のいずれの場合においても、ブロック体4下面の摺動曲面15と摺動体12上側の外側曲面14との間、ブロックテンション受け6の接触面8とガイドレール1上部両側の曲面3との間、摺動体12下側の内側曲面13とボール11との間に、それぞれ左右方向の回動滑りが起きて、ブロック体4が傾斜することになる。
【0022】ブロック体4が傾斜している状態で、ブロック体4に軸線Y方向の引張力が作用すると、傾斜して高くなっている側のブロックテンション受け6の接触面8とガイドレール1上部両側の曲面3との接触面積が減少するため、ブロック体4のガイドレール1に対する挟持力が低下することになるが、一般に免震支承装置として上述した装置を設置する場合には、傾斜角が±5゜の範囲で十分な挟持力を有するように設計が可能であり、通常の地震による揺れにおいては1〜2゜の傾斜が生ずるだけなので、ブロック体4がガイドレール1から外れることはない。図6は、本発明の実施形態の他の例を示す斜視図であって、Xは水平な一方向の軸線、Yは軸線Xに直交する方向の水平な軸線、Zは鉛直方向の軸線を示している。
【0023】図6に示す実施形態においては、図1ないし図5で説明したガイドレール1と同じ構成のガイドレールを2本使用し、一方は基礎上に固定される下方のガイドレール16として軸線X方向に直線状に配置し、他方は構造物下面に固定される上方のガイドレール17として軸線Y方向に直線状に配置し、下方のガイドレール16と上方のガイドレール17との間にはブロック体18を設けている。
【0024】ブロック体18は、図1ないし図5で説明したブロック体4と同じ構成のものの上面に、更にブロック体4と同じ構成のものを上下反転して水平に90゜回動したものを固定するか、一体とした構成になっている。
【0025】そしてブロック体18の下部は、下方の摺動体12を介して下方のガイドレール16上部両側の曲面3を摺動自在に挟み、ブロック体18の上部は、上方の摺動体12を介して上方のガイドレール17下部両側の曲面3を摺動自在に挟んでおり、それぞれの摺動体12と下方のガイドレール16並びに上方のガイドレール17との間には、それぞれボール11が循環するようになっている。
【0026】次に、図6に示す装置の作用を説明する。
【0027】ブロック体18は、下方のガイドレール16に沿って軸線X方向に移動すると共に、下方のガイドレール16の曲面3に沿って軸線Xの周りに回動して、図示しない基礎面のYZ面内の傾斜に順応できることになる。
【0028】また、上方のガイドレール17は、ブロック体18に対して軸線Y方向に移動すると共に、上方のガイドレール17の曲面3に沿って軸線Yの周りに回動して、図示しない構造物下面のXZ面内の傾斜に順応できることになる。
【0029】従って図6に示す装置は、上方のガイドレール17の傾斜に対しても、下方のガイドレール16の傾斜に対してもブロック体18は順応して移動し、無理な力は発生しない。
【0030】
【発明の効果】請求項1の発明は、ブロック体が摺動体の外側曲面を摺動面として左右に回動可能であるため、ガイドレールに対してブロック体が左右に傾斜しても無理な力が発生することがなく、ある程度の傾斜面においても簡単に取り付けることができ、破損せず長期に亘って安定した案内機能を果たすことができる効果がある。請求項2の発明は、上方のガイドレールの傾斜に対しても、下方のガイドレールの傾斜に対してもブロック体は順応して移動し、無理が力は発生することがなく、破損せず長期に亘って安定した案内機能を果たすことができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100078994
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
【公開番号】 特開2000−170830(P2000−170830A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−344175