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【発明の名称】 アクティブ型除振装置
【発明者】 【氏名】中村 佳也

【氏名】中山 昌尚

【氏名】増田 圭司

【要約】 【課題】広い範囲の振動を良好に抑制することが可能なアクティブ型除振装置を提供する。

【解決手段】基台200には、定盤300に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させるための水平小変位アクチュエータ420が配設されている。定盤300には、上下小振動センサ304と水平小振動センサ306が配設されている。ベース部100の底壁102上に配設された上下大変位アクチュエータ502によって基台200を支持している。ベース部100には、基台200に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させるための水平大変位アクチュエータ520が配設されている。基台200には、基台200における上下方向の加速度を検出する上下大振動センサ204と水平方向の加速度を検出する水平大振動センサ204が配設されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部構造体上に設けられた基台と、基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の比較的小さな加速度の振動を検出する第1振動検出手段と、前記第1振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する第1除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記基台の下方で下部構造体上に基礎構造体を設け、前記基礎構造体と基台との間に第2除振装置部を設け、前記基台に該基台の上下および水平方向の加速度を検出する第2振動検出手段を設け、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな振動を検出可能に構成され、前記第2除振装置部は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記基台を上下方向に変位させることにより、前記基台の上下方向の振動を除去するように構成された上下除振機構と、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記基台を水平方向に変位させることにより、前記基台の水平方向の振動を除去するように構成された水平除振機構を備えたこと、を特徴とするアクティブ型除振装置。
【請求項2】 前記上下除振機構は、前記基台に上下方向の変位を与える上下大変位アクチュエータを備え、前記水平除振機構は、前記基台に水平方向の変位を与える水平大変位アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
【請求項3】 前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータはエアアクチュエータまたはリニアモータから構成されていることを特徴とする請求項2記載のアクティブ型除振装置。
【請求項4】 前記第1除振装置部は、前記基台と前記定盤との間に設けられた上下小変位アクチュエータと水平小変位アクチュエータを備え、前記上下小変位アクチュエータと前記定盤の間には前記上下小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1弾性体が設けられ、前記水平小変位アクチュエータと前記定盤の間には前記水平小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載のアクティブ型除振装置。
【請求項5】 前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは固体アクチュエータから構成されており、前記基台に設けられ、前記水平小変位アクチュエータを保持するとともに、非駆動状態の前記水平小変位アクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する予圧縮力調整手段とを設けたことを特徴とする請求項4項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項6】 前記固体アクチュエータは超磁歪アクチュエータまたはピエゾアクチュエータであることを特徴とする請求項5記載のアクティブ型除振装置。
【請求項7】 前記上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときに作動し、前記上下所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記上下所定加速度は、前記第1除振装置部によって除振可能な前記被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項8】 前記水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときに作動し、前記水平所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記水平所定加速度は、前記第1除振装置部によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項9】 基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の加速度を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記振動検出手段は、第1振動検出手段と第2振動検出手段を有し、前記第1振動検出手段は比較的小さな加速度を有する小振動を検出するように構成され、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな加速度を有する大振動を検出可能に構成され、前記除振装置部は、第1上下除振機構、第2上下除振機構と、第1水平除振機構と、第2水平除振機構とを有し、前記第1上下除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の小振動を除去するように構成され、前記第2上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の大振動を除去するように構成され、前記第1水平除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の小振動を除去するように構成され、前記第2水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の大振動を除去するように構成されている、ことを特徴とするアクティブ型除振装置。
【請求項10】 前記第2上下除振機構は前記定盤に上下方向の変位を与える上下大変位アクチュエータを備え、前記第2水平除振機構は前記定盤に水平方向の変位を与える水平大変位アクチュエータを備えることを特徴とする請求項9記載のアクティブ型除振装置。
【請求項11】 前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータはエアアクチュエータまたはリニアモータを有して構成されていることを特徴とする請求項10記載のアクティブ型除振装置。
【請求項12】 前記第1上下除振機構は上下小変位アクチュエータと前記上下大変位アクチュエータを備え、前記上下小変位アクチュエータと前記上下大変位アクチュエータは互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で前記基台と前記定盤との間に配設され、前記第1水平除振機構は水平小変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータを備え、前記水平小変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータは互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で前記基台と前記定盤との間に配設されていることを特徴とする請求項10または11記載のアクティブ型除振装置。
【請求項13】 前記上下小変位アクチュエータは前記定盤と前記上下大変位アクチュエータの間に配設され、前記上下大変位アクチュエータは前記上下小変位アクチュエータと前記基台の間に配設され、前記定盤と前記上下小変位アクチュエータの間には前記上下小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1弾性体が設けられ、前記水平小変位アクチュエータは前記定盤と前記水平大変位アクチュエータの間に配設され、前記水平大変位アクチュエータは前記水平小変位アクチュエータと前記基台の間に配設され、前記定盤と前記水平小変位アクチュエータの間には前記水平小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2弾性体が設けられていることを特徴とする請求項12記載のアクティブ型除振装置。
【請求項14】 前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは固体アクチュエータから構成されており、非駆動状態の前記水平小変位アクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力は前記水平大変位アクチュエータの駆動力によって調整されるように構成されていることを特徴とする請求項12または13記載のアクティブ型除振装置。
【請求項15】 前記固体アクチュエータは超磁歪アクチュエータまたはピエゾアクチュエータであることを特徴とする請求項14記載のアクティブ型除振装置。
【請求項16】 前記第2上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときに作動し、前記上下方向の振動の加速度が前記上下所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記上下所定加速度は、前記第1上下除振機構によって除振可能な前記被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項9乃至15に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項17】 前記第2水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときに作動し、前記水平方向の振動の加速度が前記水平所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記水平所定加速度は、前記第2水平除振機構によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項9乃至15に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項18】 前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータは、発生する変位量の精度が低いが発生する変位量が大きく、かつ、発生する変位量の周波数応答性が低いことを特徴とする請求項2、3、10乃至15に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【請求項19】 前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは、発生する変位量の精度が高いが発生する変位量が小さく、かつ、発生する変位量の周波数応答性が高いことを特徴とする請求項4、5、6、12乃至15に何れか1項記載のアクティブ型除振装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクティブ型除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、半導体製造工場などにおいて使用される超微細加工に用いる製造装置や超高倍率の電子顕微鏡などの精密機器は、振動を極端に嫌う装置であり、振動がこの種の装置に悪影響を及ぼすのを防止するために除振装置が使用されている。除振装置は、外部の振動などに影響されることなく高度の静止状態を維持することのできる定盤を備え、この定盤上に、振動を嫌う装置の全体またはその装置のうちの特に振動を嫌う部分を取り付けて用いる。
【0003】このような振動を嫌う装置に悪影響を及ぼす振動には、大きく分けて次の3種類のものがある。
(A)外部環境に通常的に発生している小振動。例えば、振動を嫌う装置を設置した建物の近くを走行する車両や、周辺の建設工事による地盤振動、その建物に設置された空調設備やエレベータおよびその他の機械の作動によって発生する振動、それに、その建物内を人が歩行することによって発生する振動などである。
(B)振動を嫌う装置そのものが発生する振動。例えば、この振動を嫌う装置が半導体リソグラフィ工程で用いられるステップ・アンド・スキャン型のウェーハ露光装置であった場合を例に説明すると、ウェーハ上の1箇所の露光領域の露光を行う毎に、ウェーハを載置したウェーハ・ステージとマスクを載置したマスク・ステージとが水平方向に走査されるために加速および減速され、その際に発生する揺動によって小振動が発生する。
(C)地震による振動。この振動の振幅および加速度は小さなものから大きなものまでさまざまであり、したがってこの振動には、小振動から大振動までが含まれ得る。
【0004】多くの除振装置は、上記(A)および(B)の小振動を吸収して、振動を嫌う装置がそのような小振動の影響を受けないようにすることを目的として設計されており、上記(C)の地震による振動のうち比較的大きな振動に対応することは、最初から予定していない。例えば、半導体デバイスの集積度が現在ほど高くなく、露光装置などが扱うパターンの線幅が現在ほど細かくなかった頃は、パッシブ型除振装置が多く使用されていた。パッシブ型除振装置では、露光装置などの振動を嫌う装置を取付ける定盤が空気ばねや防振ゴムなどの弾性支持手段を介して、床面に固定された基台上に固定されており、その弾性支持手段の撓みによって外部からの小振動が吸収され、また、その弾性支持手段と定盤およびそれに取り付けされた装置の質量とによって形成される振動系の共振周波数を適当に設定することにより、露光装置などが発生する小振動の振幅が抑制されるようにしていた。
【0005】ところが、このようなパッシブ型除振装置は、その弾性支持手段が有する固有振動数以下の低振動領域の振動に対しては除振効果が得られず、逆に振動を増幅してしまうおそれがあり、この弾性支持手段の固有振動数を下げるには限度があった。そして、半導体の集積度が上昇してパターンの微細化が進行するにつれて、このようなパッシブ型除振装置の除振能力では不充分となってきたため、最近ではアクティブ型除振装置が多用されている。
【0006】アクティブ型除振装置では、定盤を複数のアクチュエータを介して基台上に支持すると共に、定盤に複数の振動検出手段(加速度センサ)を取り付け、それら振動検出手段の検出出力に基づいて、フィードバックやフィードフォワード等の技法を用いてアクチュエータを制御することで、定盤に発生する加速度を小さく抑え、従ってその振動を小さく抑えるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したアクティブ型除振装置では、変位量が微小であるが周波数応答性に優れたピエゾアクチュエータや超磁歪アクチュエータといった微小変位アクチュエータを用いているため、上記(A)、(B)の、外部および内部の小振動に起因する定盤の振幅が小さくかつ周波数が高い振動を良好に抑制する優れた除振性能を有する。ところが、上記(C)の地震による振動に関しては、微小地震による小振動は効果的に除振することができるものの、例えば震度2以上の大振動が生じると、その振幅が数ミリから数十ミリに達する。上記微小変位アクチュエータは、その変位量が微小であるため、大きな振幅に対応することは難しい。一方、エアアクチュエータやリニアモータなどの変位量が大きな大変位アクチュエータを用いれば、大きな振幅に対応することは可能であるが応答性が悪いため、振幅が小さくかつ周波数が高い振動を除振することは難しい。すなわち、微小変位アクチュエータと大変位アクチュエータは、効果的に除振し得る振動の振幅と周波数が異なっているため、微小変位アクチュエータと大変位アクチュエータの何れを用いても、広い範囲の振動、例えば小振幅から大振幅までの振動、あるいは低い周波数から高い周波数までの振動を良好に抑制することは困難であった。本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、広い範囲の振動を良好に抑制することが可能なアクティブ型除振装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明は、下部構造体上に設けられた基台と、基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の比較的小さな加速度の振動を検出する第1振動検出手段と、前記第1振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する第1除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記基台の下方で下部構造体上に基礎構造体を設け、前記基礎構造体と基台との間に第2除振装置部を設け、前記基台に該基台の上下および水平方向の加速度を検出する第2振動検出手段を設け、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな振動を検出可能に構成され、前記第2除振装置部は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記基台を上下方向に変位させることにより、前記基台の上下方向の振動を除去するように構成された上下除振機構と、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記基台を水平方向に変位させることにより、前記基台の水平方向の振動を除去するように構成された水平除振機構を備えたことを特徴とする。また、本発明は、前記上下除振機構は、前記基台に上下方向の変位を与える上下大変位アクチュエータを備え、前記水平除振機構は、前記基台に水平方向の変位を与える水平大変位アクチュエータを備えることを特徴とする。また、本発明は、前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータはエアアクチュエータまたはリニアモータから構成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記第1除振装置部は、前記基台と前記定盤との間に設けられた上下小変位アクチュエータと水平小変位アクチュエータを備え、前記上下小変位アクチュエータと前記定盤の間には前記上下小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1弾性体が設けられ、前記水平小変位アクチュエータと前記定盤の間には前記水平小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2弾性体が設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは固体アクチュエータから構成されており、前記基台に設けられ、前記水平小変位アクチュエータを保持するとともに、非駆動状態の前記水平小変位アクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する予圧縮力調整手段とを設けたことを特徴とする。また、本発明は、前記固体アクチュエータは超磁歪アクチュエータまたはピエゾアクチュエータであることを特徴とする。また、本発明は、前記上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときに作動し、前記上下所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記上下所定加速度は、前記第1除振装置部によって除振可能な前記被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする。また、本発明は、前記水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときに作動し、前記水平所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記水平所定加速度は、前記第1除振装置部によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする。また、本発明は、基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の加速度を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記振動検出手段は、第1振動検出手段と第2振動検出手段を有し、前記第1振動検出手段は比較的小さな加速度を有する小振動を検出するように構成され、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな加速度を有する大振動を検出可能に構成され、前記除振装置部は、第1上下除振機構、第2上下除振機構と、第1水平除振機構と、第2水平除振機構とを有し、前記第1上下除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の小振動を除去するように構成され、前記第2上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の大振動を除去するように構成され、前記第1水平除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の小振動を除去するように構成され、前記第2水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の大振動を除去するように構成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記第2上下除振機構は前記定盤に上下方向の変位を与える上下大変位アクチュエータを備え、前記第2水平除振機構は前記定盤に水平方向の変位を与える水平大変位アクチュエータを備えることを特徴とする。また、本発明は、前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータはエアアクチュエータまたはリニアモータを有して構成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記第1上下除振機構は上下小変位アクチュエータと前記上下大変位アクチュエータを備え、前記上下小変位アクチュエータと前記上下大変位アクチュエータは互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で前記基台と前記定盤との間に配設され、前記第1水平除振機構は水平小変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータを備え、前記水平小変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータは互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で前記基台と前記定盤との間に配設されていることを特徴とする。また、本発明は、前記上下小変位アクチュエータは前記定盤と前記上下大変位アクチュエータの間に配設され、前記上下大変位アクチュエータは前記上下小変位アクチュエータと前記基台の間に配設され、前記定盤と前記上下小変位アクチュエータの間には前記上下小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1弾性体が設けられ、前記水平小変位アクチュエータは前記定盤と前記水平大変位アクチュエータの間に配設され、前記水平大変位アクチュエータは前記水平小変位アクチュエータと前記基台の間に配設され、前記定盤と前記水平小変位アクチュエータの間には前記水平小変位アクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2弾性体が設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは固体アクチュエータから構成されており、非駆動状態の前記水平小変位アクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力は前記水平大変位アクチュエータの駆動力によって調整されるように構成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記固体アクチュエータは超磁歪アクチュエータまたはピエゾアクチュエータであることを特徴とする。また、本発明は、前記第2上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときに作動し、前記上下方向の振動の加速度が前記上下所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記上下所定加速度は、前記第1上下除振機構によって除振可能な前記被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする。また、本発明は、前記第2水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときに作動し、前記水平方向の振動の加速度が前記水平所定加速度よりも小さいときに作動しないように構成され、前記水平所定加速度は、前記第2水平除振機構によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されていることを特徴とする。また、本発明は、前記上下大変位アクチュエータと前記水平大変位アクチュエータは、発生する変位量の精度が低いが発生する変位量が大きく、かつ、発生する変位量の周波数応答性が低いことを特徴とする。また、本発明は、前記上下小変位アクチュエータと前記水平小変位アクチュエータは、発生する変位量の精度が高いが発生する変位量が小さく、かつ、発生する変位量の周波数応答性が高いことを特徴とする。
【0009】本発明のアクティブ型除振装置によれば、下部構造体を伝わってきた振動が基礎構造体と基台を介して定盤に伝わると、比較的小さな加速度の振動は第1振動検出手段で検出され、検出された加速度に対応して第1除振装置部が定盤を変位させることで除振が行われる。また、第1振動検出手段で検出される加速度よりも大きな加速度の振動が下部構造体、基礎構造体および基台に伝わると、この振動は第2振動検出手段で検出され、検出された加速度に対応して第2除振装置部が基台を変位させることで除振が行われる。また、本発明のアクティブ型除振装置によれば、基台上において支持されている定盤に振動が伝わると、第1振動検出手段によって比較的小さな加速度を有する小振動が検出され、第2振動検出手段によって第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな加速度を有する大振動が検出される。そして、第1上下除振機構と第1水平除振機構は、第1振動検出手段によって検出された上下および水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、被除振体の上下方向の小振動を除去する。第2上下除振機構と第2水平除振機構は、第2振動検出手段によって検出された上下および水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下および水平方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の大振動を除去する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明のアクティブ型除振装置の第1実施の形態における概略構成を示す縦断面図、図2は図1をAA線断面からみた状態を示す説明図、図3は図1のBB線断面線断面からみた状態を示す説明図、図4は予圧縮力調整手段の構成を示す説明図、図5は第1実施の形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【0011】図1乃至図3に示すように、本発明に係るアクティブ型除振装置1000は、ベース部100、基台200、定盤300、第1除振装置部400、第2除振装置部500、制御装置部600(図5のみに示す)などを備えている。ベース部100(特許請求の範囲の基礎構造体に相当)は、平面視矩形をなす底壁102およびこの底壁102の4つの側辺から上方に立設された側壁104を備えている。ベース部100の底壁102の下部は建物の床10(特許請求の範囲の下部構造体に相当)に固定されている。基台200は、平面視矩形をなす中間壁202と、この中間壁202の4つの側辺から上方に立設された側壁203と、中間壁202の4つの側辺から下方に立設された側壁205とを備えている。定盤300は、被除振体を取付けるためのものであって、基台200よりも小さな平面視矩形をなす板状を呈し、基台200の側壁203にその側面が囲まれた状態で、基台200の中間壁202上に配設された上下小変位アクチュエータ410によって支持されている。すなわち、基台200の底壁202上において、定盤300下面の四隅近傍に対応する位置には、この定盤300に上下方向の変位を加えて上下方向に変位させると共に、定盤300を支持する上下小変位アクチュエータ410がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。
【0012】また、基台200の側壁203において、定盤300の側面の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所には、この定盤300に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させるための水平小変位アクチュエータ420がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。すなわち、各水平小変位アクチュエータ420は、定盤300の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所において一対の隅部を挟んで隣接し、定盤300の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所に駆動力が伝達されるように設けられており、かつ、一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの各水平小変位アクチュエータ420の変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されている。
【0013】上面からみて矩形状を呈する定盤300の底面302には、定盤300における上下方向の加速度を検出する3個の上下小振動センサ304(特許請求の範囲の第1振動検出手段に相当)と水平方向の加速度を検出する3個の水平小振動センサ306(特許請求の範囲の第1振動検出手段に相当)がそれぞれ底面302の縦横の中心線上とほぼ重なる位置に配設されている。これら上下小振動センサ304、水平小振動センサ306は比較的周波数の高い振幅の小さな振動を検出するように構成されている。
【0014】上下小変位アクチュエータ410および水平小変位アクチュエータ420は、応答性に優れるが変位量が小さいため高い周波数で振幅の小さな振動を効果的に除振することができる固体アクチュエータ、例えば超磁歪アクチュエータによって構成されており、与えられる駆動信号に基づいてケース430の長手方向に伸長する歪み(磁歪)を生じる不図示の超磁歪素子と、この超磁歪素子を収容してこの超磁歪素子を外部から保護するケース430と、この超磁歪素子に結合されてケース430の端部からケース430の長手方向に進退するロッド432とを備えている。この超磁歪素子は、磁界の影響を受けた場合に発生する磁歪量が大きな値となる合金材料により構成されている。また、この超磁歪アクチュエータは、それに与えられる駆動信号の大きさに対する磁歪量である変位特性がほぼ線形であるため、この超磁歪アクチュエータを駆動するための駆動信号を生成する処理は比較的簡単でよいという利点がある。
【0015】各上下小変位アクチュエータ410は、軸心方向を上下方向に向けて配設されており、そのロッド432の上端は、弾性体440を介して定盤300の底面302に取付けられている。この弾性体(特許請求の範囲の第1弾性体に相当)440は、上下小変位アクチュエータ410の変位方向(上下方向)に対しては剛く、上下小変位アクチュエータ410の変位方向と直交する方向(水平方向)には柔らかい特性を備えた例えばゴムなどから構成されるものであり、上下小変位アクチュエータ410に対してその変位方向に作用する力をそのまま定盤300に伝える一方、変位方向と直交する方向に作用するせん断力とせん断方向の小振動については吸収する作用を果たしている。
【0016】なお、第1実施の形態では、基台200と定盤300の間において、アクチュエータ410および弾性体440をこの順番で配置しているが、アクチュエータ410および弾性体440の配置は上記順番に限定されない。
【0017】各水平小変位アクチュエータ420は、軸心を水平方向に向けて配設されており、そのロッド432の前端は、上下小変位アクチュエータ410の場合と同様に弾性体(特許請求の範囲の第2弾性体に相当)442を介して定盤300に取付けられている。この弾性体442は、水平小変位アクチュエータ420の変位方向(水平方向)に対しては剛く、水平小変位アクチュエータ420の変位方向と直交する方向(上下方向)には柔らかい特性を備えたものであり、水平小変位アクチュエータ420に対してその変位方向に作用する力をそのまま定盤300に伝える一方、変位方向と直交する方向に作用するせん断力およびせん断方向の小振動を吸収する作用を果たしている。
【0018】図4にも示すように、各水平小変位アクチュエータ420のケース430は、基台200の側壁203に保持されるアクチュエータ保持部434に固定されており、このアクチュエータ保持部434は、側壁203においてロッド432の進退方向に沿った任意の位置で固定されるようになっている。このアクチュエータ保持部434は、その後端が側壁203に設けられた壁部203Aに螺合された調整ねじ459の先端に常時当接するように付勢されている。
【0019】したがって、この調整ねじ459を回転することにより、水平小変位アクチュエータ420の変位方向におけるアクチュエータ保持部434の位置を調整することができるようになっている。つまり、水平小変位アクチュエータ420を固定したアクチュエータ保持部434の位置を調整ねじ259によって調整した後、このアクチュエータ保持部434を側壁203に固定することにより、非駆動状態の水平小変位アクチュエータ420がその変位方向に対して定盤300から受ける予圧縮力を調整できるようになっている。ここで、アクチュエータ保持部434を保持する側壁203と壁部203Aに螺合された調整ねじ459は特許請求の範囲の予圧縮力調整手段に相当している。
【0020】なお、この実施の形態では、基台200と定盤300の間において、調整ねじ459、水平小変位アクチュエータ420および弾性体442をこの順番で配置しているが、調整ねじ459、水平小変位アクチュエータ420および弾性体442の配置は上記順番に限定されない。
【0021】前述したように各水平小変位アクチュエータ420は、それぞれ隣り合う水平小変位アクチュエータ420の変位方向が水平面内で互いに直角をなす異なる4つの方向となるように配設されている。
【0022】ベース部100は、基台200よりも小さな平面視矩形をなす板状を呈し、基台200の側壁205にその側面が囲まれた状態で、ベース部100の底壁102上に配設された上下大変位アクチュエータ502(特許請求の範囲の上下除振機構に相当)によって基台200を支持している。すなわち、ベース部100の底壁102上において、基台200下面の四隅近傍に対応する位置には、この基台200に上下方向の変位を加えて上下方向に変位させると共に、基台200を支持する上下大変位アクチュエータ510がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。
【0023】一方、ベース部100の側壁104において、基台200の側壁205の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所には、この基台200に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させるための水平大変位アクチュエータ520(特許請求の範囲の水平除振機構に相当)がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。すなわち、各水平大変位アクチュエータ520は、基台200の側壁205の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応するベース部100の側壁104の一対の隅部を挟んで隣接し、基台200の四隅の対向する一対の隅部の近傍の箇所に駆動力が伝達されるように設けられており、かつ、一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの各水平大変位アクチュエータ520の変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されている。これら上下大変位アクチュエータ510と水平大変位アクチュエータ520は、応答性に劣るが変位量が大きいため低い周波数で振幅の大きな振動を効果的に除振することができる例えばエアアクチュエータから構成されている。
【0024】一方、基台200の底面202には、基台200における上下方向の加速度を検出する3個の上下大振動センサ204(特許請求の範囲の第2振動検出手段に相当)と水平方向の加速度を検出する3個の水平大振動センサ204(特許請求の範囲の第2振動検出手段に相当)がそれぞれ底面202の縦横の中心線上とほぼ重なる位置に配設されている。前述した上下小振動センサ304と水平小振動センサ306は比較的小さな加速度の振動を検出するように構成されているのに対して、上下大振動センサ204と水平大振動センサ206はそれぞれ上下小振動センサ304と水平小振動センサ306により検出される加速度よりも大きな振動を検出可能に構成されている。また、前述した上下小振動センサ304と水平小振動センサ306は比較的高い周波数の振動を検出するように構成されているのに対して、上下大振動センサ204と水平大振動センサ206はそれぞれ上下小振動センサ304と水平小振動センサ306により検出される振動よりも低い周波数の振動を検出可能に構成されている。
【0025】図5に示すように、制御装置部600は、第1振動計増幅器602A、第1制御装置602B、アクチュエータ駆動アンプ602C、第2振動計増幅器604A、第2制御装置604B、エアアクチュエータ圧力制御装置604Cを備えている。第1振動計増幅器602Aは、上下および水平小振動センサ304、306から入力される上下および水平方向の加速度を示す合計6種類の検出信号S1を増幅するものである。第1制御装置602Bは、第1振動計増幅器602Aから入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S1に基づいて、その振動を定盤300に取付けられた被除振体から除去するために必要な上下および水平小変位アクチュエータ410、420の駆動量に相当する駆動信号を演算生成するものである。前述したように、超磁歪アクチュエータにより構成される各アクチュエータ410、420は、それらに与えられる駆動信号に対する駆動量(発生する変位の大きさ)がほぼ線形の特性を有しているため、第1制御装置502Bによって検出信号から駆動信号を演算生成するための処理が簡単なのでよい。アクチュエータ駆動アンプ602Cは、これらの駆動信号を増幅した合計8種類の駆動信号D1を上下および水平小変位アクチュエータ410、420に入力して駆動させるものである。
【0026】一方、第2振動計増幅器604Aは、上下および水平大振動センサ204、206から入力される上下および水平方向の加速度を示す合計6種類の検出信号S2を増幅するものである。第2制御装置604Bは、第2振動計増幅器604Aから入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S2に基づいて、その振動を基台200から除去するために必要な上下および水平大変位アクチュエータ510、520の駆動量に相当する駆動信号を演算生成するものである。エアアクチュエータ圧力制御装置604Cは、これらの駆動信号に基づいてエアアクチュエータ駆動用の空気圧D2を制御して供給することによって上下および水平大変位アクチュエータ510、520を駆動させるものである。
【0027】上述した上下および水平小変位アクチュエータ410、420、第1振動計増幅器602A、第1制御装置602B、アクチュエータ駆動アンプ602Cによって定盤300に取り付けられた被除振体の上下および水平方向の小振動を除去する第1除振装置部が構成されている。
【0028】また、上下大変位アクチュエータ510、第2振動計増幅器604A、第2制御装置604B、エアアクチュエータ圧力制御装置604Cによって基台200の上下方向の大振動を除去する上下除振機構が構成されており、水平大変位アクチュエータ520、第2振動計増幅器604A、第2制御装置604B、エアアクチュエータ圧力制御装置604Cによって基台200の水平方向の大振動を除去する水平除振機構が構成されている。そして、上下および水平除振機構によって第2除振装置部が構成されている。
【0029】そして、第2制御装置604Bは、上下大振動センサ204によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときにエアアクチュエータ圧力制御装置604Cにより大変位アクチュエータ510を駆動させ、上下方向の振動の加速度が前記上下所定加速度よりも小さいときにエアアクチュエータ圧力制御装置604Cを非作動として大変位アクチュエータ510を非駆動(停止状態)とするように構成されている。また、第2制御装置604Bは、水平大振動センサ206によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときにエアアクチュエータ圧力制御装置604Cにより大変位アクチュエータ520を駆動させ、水平方向の振動の加速度が前記上下所定加速度よりも小さいときにエアアクチュエータ圧力制御装置604Cにより大変位アクチュエータ520を非駆動(停止状態)とするように構成されている。そして、上記上下所定加速度は、第1除振装置部によって除振可能な被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されており、かつ、上記水平所定加速度は、前記第1除振装置部によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されている。上記上下および水平所定加速度はそれぞれ例えば1gal程度の値に設定される。
【0030】次に、作用、効果について説明する。まず、初めに超磁歪アクチュエータとこれに与える予圧縮力について説明する。一般的に、超磁歪アクチュエータにおいては、その超磁歪アクチュエータに与えられる駆動信号に対して、この磁歪アクチュエータの変形量(伸び、縮み)がもっとも大きく、かつ、超磁歪アクチュエータの変形量が線形に変化する状態にすることが超磁歪アクチュエータの性能を最大限に生かす上で好ましい。超磁歪アクチュエータでは、これに与える予圧縮力を最適値に調整することにより、この超磁歪アクチュエータを上述した好ましい状態にすることができる。
【0031】この第1の実施の形態においては、上下および水平小変位アクチュエータ410、420を上述した好ましい状態に調整することで次のような利点が生じる。すなわち、上下および水平小変位アクチュエータ410、420に与えられる駆動信号に対して、上下および水平小変位アクチュエータ410、420が定盤300に与える変位量がもっとも大きくなるから、より大きな外部振動に対してその振動を除去することができる。また、上下および水平小変位アクチュエータ410、420に与えられる駆動信号に対して、上下および水平小変位アクチュエータ410、420が定盤300に与える変位量が線形に変化するので、上下および水平小変位アクチュエータ410、420が定盤300に与える変位量が駆動信号に対して忠実に発生するので、アクチュエータの駆動制御がより忠実に行われる。つまり、上下および水平小変位アクチュエータ410、420の予圧縮力を最適に調整することで、この除振装置の除振能力が最も優れた状態にすることができる。
【0032】したがって、まず、水平小変位アクチュエータ420の予圧縮力の調整を行う。この予圧縮力は、各アクチュエータを構成する超磁歪アクチュエータが非駆動時に定盤300から受ける荷重のことを示している。
【0033】超磁歪アクチュエータの予圧縮力の調整(磁歪量の最適化)は、所定周波数かつ所定振幅の駆動信号(例えば正弦波信号)をアクチュエータ420に入力した状態で、最も定盤300が振動される、すなわち定盤300の変位が大きくなるようにアクチュエータ420の予圧縮力を調整することによって行われる。水平小変位アクチュエータ420の予圧縮力は、調整ねじ459を回転させて水平小変位アクチュエータ420の変位方向におけるアクチュエータ保持部434の位置を変えることによって容易に調整することができる。
【0034】各アクチュエータ410、420の予圧縮力調整が終了すれば、制御装置部600の電源を投入することにより、このアクティブ型除振装置1000が稼動する。床10を伝わってきた上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも小さく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも小さかった場合には、これらの振動がベース部100、上下および水平大変位アクチュエータ510、520、基台200、上下および水平小変位アクチュエータ410、420を経由して定盤300とこれに取付けられた被除振体に伝わりこの被除振体が振動する。したがって、上下および水平小振動センサ304、306が定盤300の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号を第1振動計増幅器602Aに入力する。第1振動計増幅器602Aは、第1制御装置602Bに増幅した検出信号を入力する。この第1制御装置602Bは、第1振動計増幅器602Aから入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S1に基づいて、その振動を定盤300に取付けられた被除振体から除去するために必要な上下および水平小変位アクチュエータ410、420の駆動量に相当する駆動信号を演算生成してアクチュエータ駆動アンプ602Cに入力する。このアクチュエータ駆動アンプ602Cは、この駆動信号を増幅した駆動信号D1を上下および水平小変位アクチュエータ410、420に入力して駆動させる。この結果、第1除振装置部400によって、定盤300に取付けられた被除振体の振動が除去され、被除振体は高度な静止状態を維持する。
【0035】一方、上下および水平大振動センサ204、206も基台200の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号S2を第2振動計増幅器604Aに入力する。第2振動計増幅器604Aは、第2制御装置604Bに増幅した検出信号を入力する。この第2制御装置604Bは、第2振動計増幅器604Aから入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号に基づいて、上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも小さく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも小さいと判断すると、エアアクチュエータ圧力制御装置604Cに駆動信号は入力せず、エアアクチュエータ圧力制御装置604Cによって上下および水平大変位アクチュエータ510、520は駆動されず停止状態を維持している。すなわち、第2除振装置部500は非作動状態を維持している。
【0036】また、地震などの発生により、床10を伝わってきた上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも大きく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも大きかったとする。この場合には、上下および水平方向の振動がベース部100、上下および水平大変位アクチュエータ510、520を経由して基台200に伝わりこの基台200が振動する。したがって、上下および水平大振動センサ204、206が基台200の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号S2を第2振動計増幅器604Aに入力する。第2振動計増幅器604Aは、第2制御装置604Bに増幅した検出信号を入力する。この第2制御装置604Bは、第2振動計増幅器604Aから入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号に基づいて、その振動を基台200から除去するために必要な上下および水平大変位アクチュエータ510、520の駆動量に相当する駆動信号を演算生成してエアアクチュエータ圧力制御装置604Cに入力する。このエアアクチュエータ圧力制御装置604Cは、入力した駆動信号に基づいて上下および水平大変位アクチュエータ510、520に入力して駆動させる。この結果、第2除振装置部500によって、地震などの発生により生じた上下および水平所定加速度よりも大きい振動は基台200から除去される。この際、ベース部100から第2除振装置部500を介して伝わってきた振動、すなわち、第2除振装置部500では除振できない周波数の高い振動は、第1除振装置部400が先に説明した場合と同様の除振動作を行っているため、定盤300に取付けられた被除振体の振動が除去され、被除振体は高度な静止状態を維持する。
【0037】上述した第1の実施の形態によれば、小さな振動については第1除振装置部400の作用によって除振することができ、地震などの大きな振動、すなわち第1除振装置部400の上下および水平小変位アクチュエータ410、420で除振できない振動については第2除振装置部500の上下および水平大変位アクチュエータ510、520によって除振することが可能となる。なお、地震などの大振動が上下方向および水平方向の何れか一方の振動のみであった場合であっても、第2除振装置部500の作用によって上下方向および水平方向の一方の振動が吸収減衰されることはいうまでもない。
【0038】また、第1の実施の形態では、上下大振動センサ204と水平大振動センサ206により検出される振動の大きさ(加速度)が上下および水平所定加速度よりも小さいときは第1除振装置部400のみを作動させ、検出される振動の大きさ(加速度)が上下および水平所定加速度よりも小さな振動では第1除振装置部400と第2除振装置部500を作動させる構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、検出される振動の大小によらず第1除振装置部400と第2除振装置部500を常時作動させる構成としてもよい。以下、このことについて説明する。第1除振装置部400では上下小振動センサ304と水平小振動センサ306によって比較的高い周波数の振動を検出し、その検出出力に応じて上下および水平の小変位アクチュエータ小変位アクチュエータ410、420を駆動して高い周波数の振動を除振する。第2除振装置部500では上下大振動センサ204と水平大振動センサ206によって、それぞれ上下小振動センサ304と水平小振動センサ306により検出される振動よりも低い周波数の振動を検出し、その検出出力に応じて上下および水平の大変位アクチュエータ510、520を駆動して低い周波数の振動を除振する。このため、第1除振装置部400と第2除振装置部500がともに作動することによって、低周波から高周波にわたる広範囲の周波数の振動を定盤300に取付けられた被除振体から除振することが可能となる。したがって、振幅が小さく周波数が高い振動から振幅が大きく周波数が低い振動までを含む広い範囲の振動を良好に抑制することが可能となる。
【0039】次に第2の実施の形態について説明する。図6は本発明のアクティブ型除振装置の第2の実施の形態における概略構成を示す縦断面図、図7は図6をCC線断面からみた状態を示す説明図、図8は第2の実施の形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【0040】図6、図7に示すように、第2の実施の形態のアクティブ型除振装置2000は、基台1100、定盤1200、除振装置部1300、制御装置部1400(図8に示す)などを備えている。基台1100は、平面視矩形をなす底壁1102およびこの底壁1102の4つの側辺から上方に立設された側壁1104を備えている。基台1100の底壁1102の下部は建物の床10(特許請求の範囲の基礎構造体に相当)に固定されている。定盤1200は、被除振体を取付けるためのものであって、基台1100よりも小さな平面視矩形をなす板状を呈し、基台1100の側壁1104にその側面が囲まれた状態で、基台1100の底壁1102と定盤1200の底壁1202との間に配設され互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された上下小変位アクチュエータ1310(特許請求の範囲の第1上下除振機構に相当)と上下大変位アクチュエータ1350(特許請求の範囲の第2上下除振機構に相当)によって支持されている。上下大変位アクチュエータ1350は、その下端部が基台1100の底壁1102の上面に連結されており、上端部が上下小変位アクチュエータ1310の下端部に連結されている。上下小変位アクチュエータ1310の上端部は後述する弾性体1340(特許請求の範囲の第1弾性体に相当)を介して定盤1200の下面1202に連結されている。つまり、基台1100の底壁1102上において、定盤1200下面の四隅近傍に対応する位置には、この定盤1200に上下方向の変位を加えて上下方向に変位させると共に、定盤1200を支持する上下小変位アクチュエータ1310と上下大変位アクチュエータ1350から構成される組が1組ずつ合計4組配設されている。上下小変位アクチュエータ1310と上下大変位アクチュエータ1350は、互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で基台1100の底壁1102と定盤1200の底壁1202の間に配設されている。
【0041】また、基台1100の側壁1104において、定盤1200の側面の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所には、この定盤1200に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させる水平小変位アクチュエータ1320(特許請求の範囲の第1水平除振機構に相当)と水平大変位アクチュエータ1360(特許請求の範囲の第2水平除振機構に相当)から構成される組が1組ずつ合計4組配設されている。すなわち、水平大変位アクチュエータ1360は、その一端部が基台1100の側壁1104の定盤1200に面した側面に連結されており、他端部が水平小変位アクチュエータ1320の一端部に連結されている。水平小変位アクチュエータ1320の上端部は後述する弾性体1342(特許請求の範囲の第2弾性体に相当)を介して定盤1200の側面1201に連結されている。したがって、水平小変位アクチュエータ1320と水平大変位アクチュエータ1360は、互いに同じ変位方向を有するように直列に連結された状態で基台1100の側壁1104と定盤1200の側壁1104との間に配設されている。そして、これら水平小変位アクチュエータ1320と水平大変位アクチュエータ1360は、定盤1200の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所において一対の隅部を挟んで隣接し、定盤1200の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所に駆動力が伝達されるように設けられており、かつ、一対の隅部を挟んで隣接する直列に連結された水平小変位アクチュエータ1320と水平大変位アクチュエータ1360の変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されている。
【0042】上面からみて矩形状を呈する定盤1200の底面1202には、定盤1200における上下方向の加速度を検出する3個の小振動センサ1204と水平方向の加速度を検出する3個の小振動センサ1206がそれぞれ底面1202の縦横の中心線上とほぼ重なる位置に配設されている。また、定盤1200における上下方向の加速度を検出する3個の大振動センサ1208と水平方向の加速度を検出する3個の大振動センサ1210がそれぞれ底面1202の縦横の中心線上とほぼ重なる位置に配設されている。なお、図6では、説明の都合上、上下および左右の小振動センサ1204、1206と上下および左右の大振動センサ1208、1210が重ならないように位置をずらした状態で図示している。
【0043】上下小変位アクチュエータ1310および水平小変位アクチュエータ1320は、第1の実施の形態と同様に、応答性に優れるが変位量が小さいため高い周波数で振幅の小さな振動を効果的に除振することができる固体アクチュエータである超磁歪アクチュエータによって構成されている。この超磁歪アクチュエータの構成は第1の実施の形態と同様であるため、図1、図2と同一の符号を付してその説明を省略する。また、各上下小変位アクチュエータ1310は、軸心方向を上下方向に向けて配設されており、そのロッド432の上端は、弾性体440を介して定盤300の底面302に取付けられている。この弾性体(特許請求の範囲の第1弾性体に相当)440は第1の実施の形態と同じ作用を奏するものである。また、各水平小変位アクチュエータ1320は、軸心を水平方向に向けて配設されており、そのロッド432の前端は、上下小変位アクチュエータ1310の場合と同様に弾性体(特許請求の範囲の第2弾性体に相当)442を介して定盤300に取付けられている。この弾性体442は第1の実施の形態と同じ作用を奏するものである。
【0044】一方、上下大変位アクチュエータ1350と水平大変位アクチュエータ1360は、応答性に劣るが変位量が大きいため低い周波数で振幅の大きな振動を効果的に除振することができる例えばエアアクチュエータから構成されている。
【0045】図8に示すように、制御装置部1400は、第1振動計増幅器1402、第2振動計増幅器1404、制御装置1406、アクチュエータ駆動アンプ1408、エアアクチュエータ圧力制御装置1410を備えている。第1振動計増幅器1402は、上下および水平小振動センサ1204、1206から入力される上下および水平方向の加速度を示す合計6種類の検出信号S1を増幅するものである。一方、第2振動計増幅器1404は、上下および水平大振動センサ1208、1210から入力される上下および水平方向の加速度を示す合計6種類の検出信号S2を増幅するものである。
【0046】制御装置1406は、第1振動計増幅器1402から入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S1と、第2振動計増幅器1404から入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S2とに基いて、その振動を定盤1200に取付けられた被除振体から除去するために必要な上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320の駆動量に相当する駆動信号と、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360の駆動量に相当する駆動信号とを演算生成するものである。
【0047】アクチュエータ駆動アンプ1408は、制御装置1406から入力される上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320の駆動量に相当する駆動信号を増幅した合計8種類の駆動信号D1を上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320に入力して駆動させるように構成されている。エアアクチュエータ圧力制御装置1410は、制御装置1406から入力される上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360の駆動量に相当する駆動信号に基づいてエアアクチュエータ駆動用の空気圧D2を制御して供給することによって上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360を駆動させるように構成されている。
【0048】また、制御装置1406は、水平大変位アクチュエータ1360の駆動量を任意に調整するための図略の駆動量設定手段が設けられている。この駆動量設定手段を手動で操作することによってエアアクチュエータ圧力制御装置1410に駆動信号を与え、水平大変位アクチュエータ1360の駆動量を調整して水平大変位アクチュエータ1360が発生する駆動力を調整し、非駆動状態の水平の小変位アクチュエータ1320に与える予圧縮力を任意に設定することができるように構成されている。
【0049】上述した上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360、第1振動計増幅器1402、第2振動計増幅器1404、制御装置1406、アクチュエータ駆動アンプ1408、エアアクチュエータ圧力制御装置1410によって定盤300に取り付けられた被除振体の上下および水平方向の振動を除去する除振装置部が構成されている。
【0050】そして、制御装置1406は、上下大振動センサ1208によって検出された上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも大きいときにエアアクチュエータ圧力制御装置1410により大変位アクチュエータ1350を駆動させ、上下方向の振動の加速度が上下所定加速度よりも小さいときにエアアクチュエータ圧力制御装置1410により大変位アクチュエータ1350を非駆動(停止状態)とするように構成されている。また、制御装置1406は、水平大振動センサ1210によって検出された水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも大きいときにエアアクチュエータ圧力制御装置1410により大変位アクチュエータ1360を駆動させ、水平方向の振動の加速度が水平所定加速度よりも小さいときにエアアクチュエータ圧力制御装置1410により大変位アクチュエータ1360を非駆動(停止状態)とするように構成されている。そして、上記上下所定加速度は、小変位アクチュエータ1310によって除振可能な被除振体の上下方向の振動の加速度の範囲内に設定されており、かつ、上記水平所定加速度は、小変位アクチュエータ1320によって除振可能な前記被除振体の水平方向の振動の加速度の範囲内に設定されている。上記上下および水平所定加速度はそれぞれ例えば1gal程度の値に設定される。
【0051】次に、作用、効果について説明する。第2の実施の形態の場合においても、第1の実施の形態で説明したのと同様に、超磁歪アクチュエータに与える予圧縮力を最適値に調整することが超磁歪アクチュエータの性能を最大限に生かす上で好ましい。上記予圧縮力は、水平の小変位アクチュエータ1320を構成する超磁歪アクチュエータが非駆動時に定盤1200から受ける荷重に相当する。したがって、前述した制御装置1406の駆動量設定手段を調整することで水平の大変位アクチュエータ1360が発生する駆動力を調整し、非駆動状態の水平の小変位アクチュエータ1320がその変位方向において定盤1200から受ける予圧縮力を最適値に設定する。すなわち、制御装置部1400の電源を投入し、第1の実施の形態で説明した場合と同様に、所定周波数かつ所定振幅の駆動信号(例えば正弦波信号)を水平の小変位アクチュエータ1320に入力した状態で、最も定盤1200が振動される、すなわち定盤1200の変位が大きくなるように水平の小変位アクチュエータ1320の予圧縮力を調整する。なお、水平の小変位アクチュエータ1320の予圧縮力を最適値に調整することで得られる作用効果については第1の実施の形態の場合と同様であるためその説明は省略する。
【0052】水平の小変位アクチュエータ1320の予圧縮力調整が終了すれば、制御装置部1400の電源が既に投入されているので、アクティブ型除振装置2000が稼動する。床10を伝わってきた上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも小さく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも小さかった場合には、これらの振動が基台1100、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360、上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320を経由して定盤1200とこれに取付けられた被除振体に伝わりこの被除振体が振動する。したがって、上下および水平小振動センサ1204、1206が定盤1200の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号を第1振動計増幅器1402に入力する。第1振動計増幅器1402は、制御装置1406に増幅した検出信号を入力する。この制御装置1406は、第1振動計増幅器1402から入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号S1に基づいて、その振動を定盤300に取付けられた被除振体から除去するために必要な上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320の駆動量に相当する駆動信号を演算生成してアクチュエータ駆動アンプ1408に入力する。このアクチュエータ駆動アンプ1408は、この駆動信号を増幅した駆動信号D1を上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320に入力して駆動させる。この結果、上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320によって、定盤300に取付けられた被除振体の振動が除去され、被除振体は高度な静止状態を維持する。
【0053】一方、上下および水平大振動センサ1208、1210も定盤1200の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号S2を第2振動計増幅器1404に入力する。第2振動計増幅器1404は、制御装置1406に増幅した検出信号を入力する。この制御装置1406は、第2振動計増幅器1404から入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号に基づいて、上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも小さく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも小さいと判断すると、エアアクチュエータ圧力制御装置1410に駆動信号は入力せず、エアアクチュエータ圧力制御装置1410によって上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360は駆動されず停止状態を維持している。すなわち、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360は非作動状態を維持している。
【0054】一方、地震などの発生により、床10を伝わってきた上下方向の振動が前述した上下所定加速度よりも大きく、水平方向の振動が前述した水平所定加速度よりも大きかったとする。この場合には、基台1100、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360、上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320を経由して定盤1200とこれに取付けられた被除振体に伝わりこの被除振体が振動する。したがって、上下および水平大振動センサ1208、1210が定盤1200の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号S2を第2振動計増幅器1404に入力する。第2振動計増幅器1404は、制御装置1406に増幅した検出信号を入力する。
【0055】この制御装置1406は、第2振動計増幅器1404から入力された上下および水平方向の加速度を示す検出信号に基づいて、その振動を定盤1200から除去するために必要な上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360の駆動量に相当する駆動信号を演算生成してエアアクチュエータ圧力制御装置1410に入力する。このエアアクチュエータ圧力制御装置1410は、入力した駆動信号に基づいて上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360に入力して駆動させる。この結果、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360によって、地震などの発生により生じた上下および水平所定加速度よりも大きい振動は定盤1200から除去される。この際、基台1100、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360、上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320を経由して伝わってきた振動、すなわち、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360では除振できない周波数の高い振動は、上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320が先に説明した場合と同様の除振動作を行っているため、定盤1200に取付けられた被除振体の振動が除去され、被除振体は高度な静止状態を維持する。
【0056】上述した第2の実施の形態によれば、小さな振動については上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320の作用によって除振することができ、地震などの大きな振動、すなわち上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320で除振できない振動については上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360によって除振することが可能となる。なお、地震などの大振動が上下方向および水平方向の何れか一方の振動のみであった場合であっても、上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360の作用によって上下方向および水平方向の一方の振動が吸収減衰されることはいうまでもない。
【0057】また、第2の実施の形態では、上下および水平大振動センサ1208、1210により検出される振動の大きさ(加速度)が上下および水平所定加速度よりも小さいときは上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320のみを作動させ、検出される振動の大きさ(加速度)が上下および水平所定加速度よりも大きな振動では上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320と上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360を作動させる構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、検出される振動の大小によらず上下および水平小変位アクチュエータ1310、1320と上下および水平大変位アクチュエータ1350、1360を常時作動させる構成としてもよい。以下、このことについて説明する。
【0058】上下小振動センサ1204と水平小振動センサ1206によって比較的高い周波数の振動を検出し、その検出出力に応じて上下および水平の小変位アクチュエータ1310、1320を駆動して高い周波数の振動を除振する。上下大振動センサ1208と水平大振動センサ1210によって、それぞれ上下小振動センサ1204と水平小振動センサ1206により検出される振動よりも低い周波数の振動を検出し、その検出出力に応じて上下および水平の大変位アクチュエータ1350、1360を駆動して低い周波数の振動を除振する。
【0059】このため、上下および水平の小変位アクチュエータ1310、1320と上下大振動センサ1208と水平大振動センサ1210がともに作動することによって、低周波から高周波にわたる広範囲の周波数の振動を定盤1200に取付けられた被除振体から除振することが可能となる。したがって、振幅が小さく周波数が高い振動から振幅が大きく周波数が低い振動までを含む広い範囲の振動を良好に抑制することが可能となる。
【0060】なお、第1の実施の形態では、アクチュエータ駆動アンプ602Cを制御する第1制御装置602Bとエアアクチュエータ圧力制御装置604Cを制御する第2制御装置604Cとを別々に設けたが、これら第1、第2制御装置602B、604Cは1つの制御装置として構成してもよい。また、第2の実施の形態では、アクチュエータ駆動アンプ1408とエアアクチュエータ圧力制御装置1410を1台の制御装置1406で制御したが、第1の実施の形態の場合と同様に2台の制御装置で制御するように構成してもよい。
【0061】なお、上下および水平小変位アクチュエータとしては超磁歪アクチュエータ以外の固体アクチュエータを用いてもよい。超磁歪アクチュエータ以外の固体アクチュエータとしては、温度による熱膨張で動作するもの、電界による電歪、圧電歪で動作するもの(ピエゾアクチュエータ)、光による光誘起相転移で動作するものなどがある。これらの固体アクチュエータも、超磁歪アクチュエータと同様に、それに与えられる駆動信号の大きさに対する変位特性がほぼ線形であるため、この固体アクチュエータを駆動するための駆動信号を生成する処理は比較的簡単でよい。また、固体アクチュエータとそれに加える予圧縮力の関係も前述した超磁歪アクチュエータの場合と同様である。
【0062】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明は、下部構造体上に設けられた基台と、基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の比較的小さな加速度の振動を検出する第1振動検出手段と、前記第1振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する第1除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記基台の下方で下部構造体上に基礎構造体を設け、前記基礎構造体と基台との間に第2除振装置部を設け、前記基台に該基台の上下および水平方向の加速度を検出する第2振動検出手段を設け、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな振動を検出可能に構成され、前記第2除振装置部は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記基台を上下方向に変位させることにより、前記基台の上下方向の振動を除去するように構成された上下除振機構と、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記基台を水平方向に変位させることにより、前記基台の水平方向の振動を除去するように構成された水平除振機構を備えている。そのため、下部構造体を伝わってきた振動が基礎構造体と基台を介して定盤に伝わると、比較的小さな加速度の振動は第1振動検出手段で検出され、検出された加速度に対応して第1除振装置部が定盤を変位させることで除振が行われる。また、第1振動検出手段で検出される加速度よりも大きな加速度の振動が下部構造体、基礎構造体および基台に伝わると、この振動は第2振動検出手段で検出され、検出された加速度に対応して第2除振装置部が基台を変位させることで除振が行われる。したがって、比較的小さな加速度の振動は第1除振装置部で除振され、大きな加速度の振動は第2除振装置部で除振され、広い範囲の振動が良好に抑制される。
【0063】また、本発明は、基台上において上下および水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下および水平方向の加速度を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出した上下および水平方向の加速度に対応して前記定盤を変位することにより、前記被除振体の上下および水平方向の振動を除去する除振装置部とを備えたアクティブ型除振装置において、前記振動検出手段は、第1振動検出手段と第2振動検出手段を有し、前記第1振動検出手段は比較的小さな加速度を有する小振動を検出するように構成され、前記第2振動検出手段は前記第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな加速度を有する大振動を検出可能に構成され、前記除振装置部は、第1上下除振機構、第2上下除振機構と、第1水平除振機構と、第2水平除振機構とを有し、前記第1上下除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の小振動を除去するように構成され、前記第2上下除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された上下方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の大振動を除去するように構成され、前記第1水平除振機構は、前記第1振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の小振動を除去するように構成され、前記第2水平除振機構は、前記第2振動検出手段によって検出された水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を水平方向に変位させることにより、前記被除振体の水平方向の大振動を除去するように構成されていることを特徴とする。そのため、基台上において支持されている定盤に振動が伝わると、第1振動検出手段によって比較的小さな加速度を有する小振動が検出され、第2振動検出手段によって第1振動検出手段により検出される加速度よりも大きな加速度を有する大振動が検出される。そして、第1上下除振機構と第1水平除振機構は、第1振動検出手段によって検出された上下および水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下方向に変位させることにより、被除振体の上下方向の小振動を除去する。第2上下除振機構と第2水平除振機構は、第2振動検出手段によって検出された上下および水平方向の振動の加速度に対応して前記定盤を上下および水平方向に変位させることにより、前記被除振体の上下方向の大振動を除去する。したがって、広い範囲の振動が良好に抑制される。
【出願人】 【識別番号】000112668
【氏名又は名称】株式会社フジタ
【出願日】 平成10年12月8日(1998.12.8)
【代理人】 【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
【公開番号】 特開2000−170827(P2000−170827A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−348095