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【発明の名称】 減衰力可変ショックアブソーバ
【発明者】 【氏名】小林 敏行

【氏名】上村 一整

【氏名】岡田 一路

【要約】 【課題】減衰力可変ショックアブソーバにおいて、シリンダに対するピストンの上下動に付与する減衰力の特性を変位方向毎に独立に設定する。

【解決手段】ピストン20は、作動油を収容したインナシリンダ12内を上下室R1,R2に区画している。ピストン20内には、上下一対の仕切壁22,21aにより油室R4が形成されている。下側の仕切壁21aには、下室R2と油室R4との間の作動油の流入出をそれぞれ一方の方向についてのみ許容する第1及び第2の一方向性バルブ23,24が組み付けられている。上側の仕切壁22には、上室R1と油室R4との間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ25が組み付けられている。油室R4は、ピストンロッド30のスリーブ部31と同スリーブ部31内に組み込まれたスプール33とにより構成された可変絞り機構を介して、下室R2に連通している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】作動液を収容したシリンダをピストンにより上下室に区画してなり、前記ピストンに組み付けられるとともに前記上下室間を開度変更可能に連通させる可変絞り機構を備えた減衰力可変ショックアブソーバにおいて、前記ピストンに組み付けられて前記上室から下室への作動液の流入を許容するとともに前記下室から上室への作動液の流入を禁止する第1の一方向性バルブと、前記ピストンに組み付けられて前記上室から下室への作動液の流入を禁止するとともに前記下室から上室への作動液の流入を許容する第2の一方向性バルブと、前記ピストンに組み付けられて前記上下室間の作動液の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブを設け、前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちで一方を前記可変絞り機構に直列に接続するとともに他方を前記可変絞り機構に並列に接続したことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバ。
【請求項2】前記請求項1に記載の減衰力可変ショックアブソーバにおいて、前記ピストン内に上下一対の仕切壁により液室を形成し、上側の前記仕切壁に前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を組み付けて同組み付けた一方により前記上室と前記液室とを連通させ、下側の前記仕切壁に前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの他方を組み付けて同組み付けた他方により前記下室と前記液室とを連通させ、前記可変絞り機構を前記下室と前記液室とを開度変更可能に連通させるように構成したことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバ。
【請求項3】前記請求項1に記載の減衰力可変ショックアブソーバにおいて、前記ピストンを、上端を開口した筒状に形成されて外周面上にて前記シリンダの内周面上を液密的に摺動するとともに前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を組み付けた第1部材と、前記第1部材内に収容されて前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を介した上下室間の作動液の流入出を外周面上にて許容するとともに前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの他方を組み付けた第2部材とにより構成し、前記可変絞り機構が開度を変更する連通路の一端を前記第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの前記第2部材に組み付けた側に接続するとともに他端を前記下室中に配設したことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車体など支持体に弾性的に支持された物体の振動を抑制するための減衰力を発生するショックアブソーバに係り、特に前記減衰力を可変にした減衰力可変ショックアブソーバに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の装置は、作動液を収容したシリンダをピストンにより上下室に区画してなり、ピストンに組み付けられるとともに上下室間を開度変更可能に連通させる可変絞り機構を備えている。この場合、例えば米国特許5706919号に示されているように、ピストンに組み付けられて上下室間の作動液の流入出を両方向についてそれぞれ許容する一対の両方向性バルブを、可変絞り機構にそれぞれ直列及び並列に接続したものがあった。同装置においては、上記各両方向性バルブが作動油の流れに対して与える抵抗を同各両方向性バルブ毎に設定することにより、シリンダに対するピストンの上下動に対して付与する減衰力の特性を設定するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来装置においては、シリンダに対してピストンが上下動したとき、シリンダ内の作動液が、ピストンの変位方向に関わらず一様に各両方向性バルブを介して上下室間を移動していた。したがって、ピストンが上向きに変位するときに付与する減衰力の特性と、ピストンが下向きに変位するときに付与する減衰力の特性とをそれぞれ独立に設定できないという問題があった。
【0004】
【発明の概要】本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、シリンダに対するピストンの上下動に付与する減衰力の特性をピストンの変位方向毎に独立に設定できる減衰力可変ショックアブソーバを提供することにある。
【0005】上記目的を達成するために、本発明の第1の構成上の特徴は、前記シリンダ、ピストン及び可変絞り機構を備えた減衰力可変ショックアブソーバにおいて、ピストンに組み付けられて上室から下室への作動液の流入を許容するとともに下室から上室への作動液の流入を禁止する第1の一方向性バルブと、ピストンに組み付けられて上室から下室への作動液の流入を禁止するとともに下室から上室への作動液の流入を許容する第2の一方向性バルブと、ピストンに組み付けられて上下室間の作動液の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブを設け、第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちで一方を可変絞り機構に直列に接続するとともに他方を可変絞り機構に並列に接続したことにある。
【0006】上記特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバにおいては、ピストンがシリンダに対して上下動すると、シリンダ内の作動液が第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとをそれぞれ介して上下室間を移動する。このとき、上記各バルブが、作動液の流れに対し抵抗として作用して、上記ピストンの上下動に対しそれぞれ減衰力を付与する。また、可変絞り機構が、上下室間の連通路の開度を変更することにより、上記各バルブのうちの同可変絞り機構と並列に接続されているバルブを通過する作動液の流量を変更し、上記減衰力を変更する。この場合、作動液は、第1及び第2の一方向性バルブのうちで、上室から下室に流れ込むときは第1の一方向性バルブのみを通過し、下室から上室に流れ込むときは第2の一方向性バルブのみを通過する。したがって、上記作動液の流れに対する抵抗を各一方向性バルブ毎に独立に設定することにより、ピストンが上向きに変位するときに付与する減衰力の特性と、ピストンが下向きに変位するときに付与する減衰力の特性とをそれぞれ独立に設定することが可能である。さらに、上下室間の作動液の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブが可変絞り機構に接続されているため、この減衰力可変ショックアブソーバを少ない部品点数で小型かつ軽量に構成することが可能である。
【0007】また、本発明の第2の構成上の特徴は、前記第1の特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバにおいて、ピストン内に上下一対の仕切壁により液室を形成し、上側の仕切壁に第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を組み付けて同組み付けた一方により上室と液室とを連通させ、下側の仕切壁に第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの他方を組み付けて同組み付けた他方により下室と液室とを連通させ、可変絞り機構を下室と液室とを開度変更可能に連通させるように構成したことにある。
【0008】上記特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバにおいては、シリンダの上下室間が、上側の仕切壁に組み付けられたバルブ、液室及び可変絞り機構を介して連通するとともに、上側の仕切壁に組み付けられたバルブ、液室及び下側の仕切壁に組み付けられたバルブを介して連通する。したがって、上側の仕切壁に組み付けられたバルブが液室を介して可変絞り機構に直列に接続されるとともに、下側の仕切壁に組み付けられたバルブが液室及び下室間にて可変絞り機構に並列に接続されることになるため、簡単な構成で、前記第1の構成上の特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバを構成することができる。
【0009】また、本発明の第3の構成上の特徴は、前記第1の構成上の特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバにおいて、ピストンを、上端を開口した筒状に形成されて外周面上にてシリンダの内周面上を液密的に摺動するとともに第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を組み付けた第1部材と、第1部材内に収容されて第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの一方を介した上下室間の作動液の流入出を外周面上にて許容するとともに第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの他方を組み付けた第2部材とにより構成し、可変絞り機構が開度を変更する連通路の一端を第1及び第2の一方向性バルブと両方向性バルブとのうちの第2部材に組み付けた側に接続するとともに他端を下室中に配設したことにある。
【0010】上記特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバにおいては、シリンダの上下室間が、第2部材の外周面上及び第1部材に組み付けられたバルブを介して連通するとともに、第2部材に組み付けられたバルブ及び可変絞り機構を介して連通する。したがって、第2部材に組み付けられたバルブが可変絞り機構に直列に接続されるとともに、第1部材に組み付けられたバルブが可変絞り機構に並列に接続されることになるため、簡単な構成で、前記第1の構成上の特徴を有する減衰力可変ショックアブソーバを構成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】a.第1の実施形態以下、本発明の第1の実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバを車両に適用したものであり、図1は同減衰力可変ショックアブソーバの全体を表す断面図である。この減衰力可変ショックアブソーバは、シリンダ10と、シリンダ10の内周面上に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み付けられたピストン20と、ピストン20を下端部にて固定したピストンロッド30とを備えている。
【0012】シリンダ10は、共に円筒状に形成されて同軸的に配置したアウタシリンダ11及びインナシリンダ12を備えている。アウタシリンダ11は、その下端にてブラケット13を介してばね下部材としてのロアアームに組み付けられるようになっている。インナシリンダ12は、その上端にて環状の支持プレート14を介してアウタシリンダ11の上端部外周面上に液密的に支持されているとともに、その下端にて環状の支持プレート15を介してアウタシリンダ11の下端部内周面上に支持されている。
【0013】インナシリンダ12内は、ピストン20により上下室R1,R2に区画されている。上下室R1,R2はそれぞれ作動液としての作動油で満たされており、下室R2はアウタシリンダ11とインナシリンダ12との間に形成された環状室R3にインナシリンダ12の下端にて連通している。環状室R3は気体を封入しており、ピストンロッド30の進退に伴う上下室R1,R2内における作動油の体積変化を吸収する。
【0014】ピストン20は、図2に詳細に示すように、下側の仕切壁21aと側壁21bとを一体的に形成したカップ状部材21と、環状に形成されて外周面上にて側壁21bの上端部内周面上に嵌合した上側の仕切壁22とにより構成されており、ピストンロッド30の外周面上に固定されて、内部に油室R4(液室)を形成している。仕切壁21aには、下室R2と油室R4とを連通させる油路21c,21dが設けられている。油路21cの下室R2側端には、下室R2から油室R4への作動油の流入を禁止するとともに油室R4から下室R2への作動油の流入を許容する第1の一方向性バルブ23が組み付けられている。油路21dの油室R4側端には、下室R2から油室R4への作動油の流入を許容するとともに油室R4から下室R2への作動油の流入を禁止する第2の一方向性バルブ24が組み付けられている。仕切壁22には、上室R1と油室R4とを連通させる油路22aが設けられている。油路22aの上室R1側端には、上室R1と油室R4との間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ25が組み付けられている。各バルブ23,24,25は、ばね性を有する金属材料によって環状に形成されており、同金属材料の硬さなどによって、それぞれ許容する作動油の流れに対して与える抵抗を予め設定している。
【0015】ピストンロッド30は、円筒かつ長尺状に形成されており、上端部をシリンダ10の上端面から進退可能に突出させて、上端にてばね上部材としての車体に組み付けられるようになっている(図1参照)。ピストンロッド30の下端部には、スリーブ部31が形成されている。スリーブ部31は、下端部外周面上に螺着したナット32によりピストンを外周面上に固定するとともに、下端を下室R2内に開口させている。スリーブ部31の内周面上には、環状溝31a,31bが形成されている。スリーブ部31の側壁であって環状溝31aを設けた位置には、下室R2を同スリーブ部31の内部を介して油室R4に連通させる油路31cが形成されている。
【0016】スリーブ部31内には、同スリーブ部31と共に可変絞り機構を構成する円筒状のスプール33が軸線方向に摺動可能に組み込まれている。スプール33の外周面上には環状突起33aが形成されており、スリーブ部31に対するスプール33の軸線方向位置を変更して環状溝31a,31bに対する環状突起33aの軸線方向位置を変更することにより、スリーブ部31の内周面とスプール33の外周面との間の油路の開度が変更されるようになっている。
【0017】スプール33には、円柱状のシャフト34の下端部が同スプール33と同軸的かつ軸線方向に相対変位不能に貫通している。この場合、スプール33とシャフト34の外周面との間には多少のクリアランスが設けられているとともに、スプール33はスプリング35によりシャフト34の下端側に付勢されており、シャフト34のスプール33への組み付け時の軸ずれが吸収されるようになっている。シャフト34は、上端部にてピストンロッド30内に収容されたアクチュエータ40(図1参照)に接続されるようになっている。アクチュエータ40は、シャフト34を介してスプール33を駆動し、スリーブ部31に対しスプール33及びシャフト34を一体的に軸線方向に変位させるものである。
【0018】上述のように構成した車両の減衰力可変ショックアブソーバにおいては、ばね上部材がばね下部材に対して上下動すると、ピストン20及びピストンロッド30がシリンダ10に対して上下動する。この場合、ピストン20及びピストンロッド30が上向きに変位するときは、上室R1内の作動油が、両方向性バルブ25及び油路22aを介して油室R4内に流れ込み、同油室R4から、油路21c及び第1の一方向性バルブ23と、スリーブ部31とスプール33との間の油路とを介して下室R2内に流れ込む。一方、ピストン20及びピストンロッド30が下向きに変位するときは、下室R2内の作動油が、油路21d及び第2の一方向性バルブ24と、スリーブ部31とスプール33との間の油路とを介して油室R4内に流れ込み、同油室R4から、油路22a及び両方向性バルブ25を介して上室R1内に流れ込む。これら各場合において、上記作動油の通過する各油路がそれぞれ同作動油の流れに対し抵抗として作用して、上記ピストン20及びピストンロッド30の上下動に対し減衰力を付与する。
【0019】また、アクチュエータ40によりスリーブ部31に対するスプール33の軸線方向位置が変更されてスリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が変更されると、第1及び第2の一方向性バルブ23,24を通過する作動油の流量が変更されて、上記減衰力が変更される。この場合、上記油路の開度が大きくなるに従い、第1及び第2の一方向性バルブ23,24を通過する作動油の流量が少なくなり、上記減衰力は小さくなる。
【0020】上述のように、上記実施形態においては、作動油が、第1及び第2の一方向性バルブ23,24のうちで、上室R1から下室R2に流れ込むときは第1の一方向性バルブ23のみを通過し、下室R2から上室R1に流れ込むときは第2の一方向性バルブ24のみを通過する。したがって、上記作動油の流れに対する抵抗を各一方向性バルブ23,24毎に独立に設定することにより、ピストン20及びピストンロッド30が上向きに変位するときに付与する減衰力の特性と、ピストン20及びピストンロッド30が下向きに変位するときに付与する減衰力の特性とをそれぞれ独立に設定することが可能である。特に、スリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が小さく第1及び第2の一方向性バルブ23,24を通過する作動油の流量が多い場合、すなわち上記各方向に対する減衰力がそれぞれ大きい場合に、同各減衰力の特性間の差異を大きくすることができる。さらに、上下室R1,R2間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ25が、油室R4を介して可変絞り機構(スリーブ部31及びスプール33)に直列に接続されているため、この減衰力可変ショックアブソーバが少ない部品点数で小型かつ軽量に構成されている。
【0021】また、上下一対の仕切壁22,21aにそれぞれ両方向性バルブ25、並びに第1及び第2の一方向性バルブ23,24が組み付られけているとともに、両仕切壁21a,22によって油室R4が形成されており、上下室R1,R2間が、両方向性バルブ25、油室R4及び可変絞り機構を介して連通しているとともに、両方向性バルブ25、油室R4、並びに第1及び第2の一方向性バルブ23,24を介して連通している。したがって、簡単な構成で、両方向性バルブ25が油室R4を介し可変絞り機構に直列に接続されているとともに、各一方向性バルブ23,24が油室R4及び下室R2間にて可変絞り機構に並列に接続されている。
b.第2の実施形態以下、本発明の第2の実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は、上記第1の実施形態において、ピストン20に代えて図3に詳細に示すピストン50を採用したものである。
【0022】ピストン50は、上側の仕切壁51aと側壁51bとを一体的に形成したカップ状部材51と、環状に形成されて外周面上にて側壁51bの下端部内周面上に嵌合した下側の仕切壁52とにより構成されており、ピストンロッド30の外周面上に固定されて、その内部に、油路31cを介しスリーブ部31内に連通した油室R5(液室)を形成している。仕切壁51aには、上室R1と油室R5とを連通させる油路51c,51dが設けられている。油路51cの油室R5側端には、上室R1から油室R5への作動油の流入を許容するとともに油室R5から上室R1への作動油の流入を禁止する第1の一方向性バルブ53が組み付けられている。油路51dの上室R1側端には、上室R1から油室R5への作動油の流入を禁止するとともに油室R5から上室R1への作動油の流入を許容する第2の一方向性バルブ54が組み付けられている。仕切壁52には、下室R2と油室R5とを連通させる油路52aが設けられている。油路52aの油室R5側端には、下室R2と油室R5との間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ55が組み付けられている。各バルブ53,54,55も、ばね性を有する金属材料によって環状に形成されており、同金属材料の硬さなどによって、それぞれ許容する作動油の流れに対して与える抵抗を予め設定している。
【0023】上述のように構成した車両の減衰力可変ショックアブソーバにおいては、ピストン50及びピストンロッド30が上向きに変位するとき、上室R1内の作動油が、油路51c及び第1の一方向性バルブ53を介して油室R5内に流れ込み、同油室R5から、両方向性バルブ55及び油路52aと、スリーブ部31とスプール33との間の油路とを介して下室R2内に流れ込む。一方、ピストン50及びピストンロッド30が下向きに変位するときは、下室R2内の作動油が、油路52a及び両方向性バルブ55と、スリーブ部31とスプール33との間の油路とを介して油室R5内に流れ込み、同油室R5から、油路51d及び第2の一方向性バルブ54を介して上室R1内に流れ込む。これら各場合において、上記作動油の通過する各油路がそれぞれ同作動油の流れに対し抵抗として作用して、上記ピストン50及びピストンロッド30の上下動に対し減衰力を付与する。
【0024】また、アクチュエータ40によりスリーブ部31に対するスプール33の軸線方向位置が変更されてスリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が変更されると、両方向性バルブ55を通過する作動油の流量が変更されて、上記減衰力が変更される。この場合、上記油路の開度が大きくなるに従い、第1及び第2の一方向性バルブ23,24を通過する作動油の流量が少なくなり、上記減衰力は小さくなる。
【0025】上述のように、上記実施形態においては、作動油が、第1及び第2の一方向性バルブ53,54のうちで、上室R1から下室R2に流れ込むときは第1の一方向性バルブ53のみを通過し、下室R2から上室R1に流れ込むときは第2の一方向性バルブ54のみを通過する。したがって、上記作動油の流れに対する抵抗を各一方向性バルブ53,54毎に独立に設定することにより、前記第1の実施形態における場合と同様に、ピストン50及びピストンロッド30が上向きに変位するときに付与する減衰力の特性と、ピストン50及びピストンロッド30が下向きに変位するときに付与する減衰力の特性とをそれぞれ独立に設定することが可能である。特に、スリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が大きく両方向性バルブ55を通過する作動油の流量が少ない場合、すなわち上記各方向に対する減衰力がそれぞれ小さい場合に、各一方向性バルブ53,54を通過する作動油の流量が両方向性バルブ55を通過する作動油の流量に対して相対的に大きくなるため、同各減衰力の特性間の差異を大きくすることができる。さらに、上下室R1,R2間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ55が、下室R2及び油室R5間にて可変絞り機構(スリーブ部31及びスプール33)に並列に接続されているため、この減衰力可変ショックアブソーバが少ない部品点数で小型かつ軽量に構成されている。
【0026】また、上下一対の仕切壁51a,52にそれぞれ第1及び第2の一方向性バルブ53,54、並びに両方向性バルブ55が組み付られけているとともに、両仕切壁51a,52によって油室R5が形成されており、上下室R1,R2間が、第1及び第2の一方向性バルブ53,54、油室R5及び可変絞り機構を介して連通しているとともに、第1及び第2の一方向性バルブ53,54、油室R5、並びに両方向性バルブ55を介して連通している。したがって、簡単な構成で、各一方向性バルブ53,54が油室R5を介し可変絞り機構に直列に接続されているとともに、両方向性バルブ55が油室R5及び下室R2間にて可変絞り機構に並列に接続されている。
c.第3の実施形態以下、本発明の第3の実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は、上記第1の実施形態において、ピストン20に代えて図4に詳細に示すピストン60を採用したものである。
【0027】ピストン60は、上端を開口した筒状に形成されて外周面上にてインナシリンダ12の内周面上を液密的に摺動する第1部材61と、下方に向けて小径となるテーパ状に形成されて第1部材61内に収容された第2部材62とにより構成されている。第1及び第2部材61,62は共にピストンロッド30の外周面上に固定されており、第1部材61の内周面と第2部材62の外周面との間には、上端にて上室R1に連通した油室R6が形成されている。第1部材61の底面には、下室R2と油室R6とを連通させる油路61a,61bが設けられている。油路61aの下室R2側端には、下室R2から油室R6への作動油の流入を禁止するとともに油室R6から下室R2への作動油の流入を許容する第1の一方向性バルブ63が組み付けられている。油路61bの油室R6側端には、下室R2から油室R6への作動油の流入を許容するとともに油室R6から下室R2への作動油の流入を禁止する第2の一方向性バルブ64が組み付けられている。第2部材62には、一端を油路31cに接続してスリーブ部31内と上室R1とを連通させる油路62aが設けられている。油路62aの他端、すなわち上室R1側端には、スリーブ部31内と上室R1との間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ65が組み付けられている。各バルブ63,64,65も、ばね性を有する金属材料によって環状に形成されており、同金属材料の硬さなどによって、それぞれ許容する作動油の流れに対して与える抵抗を予め設定している。
【0028】上述のように構成した車両の減衰力可変ショックアブソーバにおいては、ピストン60及びピストンロッド30が上向きに変位するとき、上室R1内の作動油が、油室R6、油路61a及び第1の一方向性バルブ63と、両方向性バルブ65、油路62a、及びスリーブ部31とスプール33との間の油路とを介して下室R2内に流れ込む。一方、ピストン60及びピストンロッド30が下向きに変位するときは、下室R2内の作動油が、油路61b、第2の一方向性バルブ64及び油室R6と、スリーブ部31とスプール33との間の油路、油路62a及び両方向性バルブ65とを介して上室R1内に流れ込む。これら各場合において、上記作動油の通過する各油路がそれぞれ同作動油の流れに対し抵抗として作用して、上記ピストン60及びピストンロッド30の上下動に対し減衰力を付与する。
【0029】また、アクチュエータ40によりスリーブ部31に対するスプール33の軸線方向位置が変更されてスリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が変更されると、各バルブ63,64,65を通過する作動油の流量が変更されて、上記減衰力が変更される。
【0030】上述のように、上記実施形態においては、作動油が、第1及び第2の一方向性バルブ63,64のうちで、上室R1から下室R2に流れ込むときは第1の一方向性バルブ63のみを通過し、下室R2から上室R1に流れ込むときは第2の一方向性バルブ64のみを通過する。したがって、上記作動油の流れに対する抵抗を各一方向性バルブ63,64毎に独立に設定することにより、前記各実施形態における場合と同様に、ピストン60及びピストンロッド30が上向きに変位するときに付与する減衰力の特性と、ピストン60及びピストンロッド30が下向きに変位するときに付与する減衰力の特性とをそれぞれ独立に設定することが可能である。特に、スリーブ部31とスプール33との間の油路の開度が小さく各一方向性バルブ63,64を通過する作動油の流量が多くなる場合に、同各減衰力の特性間の差異を大きくすることができる。さらに、上下室R1,R2間の作動油の流入出を両方向についてそれぞれ許容する両方向性バルブ65が、油路62aを介して可変絞り機構(スリーブ部31及びスプール33)に直列に接続されているため、この減衰力可変ショックアブソーバが少ない部品点数で小型かつ軽量に構成されている。
【0031】また、第1及び第2部材61,62にそれぞれ第1及び第2の一方向性バルブ63,64、並びに両方向性バルブ65が組み付られけているとともに、第1部材61の内周面と第2部材の外周面との間に油室R6が形成されており、上下室R1,R2間が、油室R6、並びに第1及び第2の一方向性バルブ63,64を介して連通しているとともに、両方向性バルブ65及び可変絞り機構を介して連通している。したがって、簡単な構成で、両方向性バルブ65が油路62aを介して可変絞り機構に直列に接続されているとともに、各一方向性バルブ63,64が上下室R1,R2間にて可変絞り機構に並列に接続されている。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年12月9日(1998.12.9)
【代理人】 【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一 (外3名)
【公開番号】 特開2000−170819(P2000−170819A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−350299