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【発明の名称】 ロータリーダンパー
【発明者】 【氏名】坂東 亮輔

【要約】 【課題】上開き扉や便座などが閉動する際、これに制動力を付与して扉等による衝撃を緩和するためのロータリーダンパーに関し、従来の粘性剪断抵抗によるものに比し閉扉時に大きなダンパー力を発揮し、軽い力での開扉操作を可能とする。

【解決手段】ケーシング1に回動自在なるよう内嵌した可動軸2の筒状軸部2aには、その一側周端縁2cから他側周自由端縁2d寄りまでの円弧状非弾性部2eと、これより他側周自由端縁2dに向けて、ケーシング1における円周内面1aの曲率半径よりも漸次偏心量が大となるよう外側へ曲成することで、円周内面1aに弾接するようにした偏心弾性部2fを設ける。扉等の回動で可動軸2を矢印R1方向へ閉動するときは、偏心弾性部2fの円周内面1aに対する摩擦力が大となり、逆に矢印R2方向へ開扉操作するときは、その同上摩擦力は大幅に削減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項2】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、ケーシングの閉蓋部側に開成端口が形成され、当該筒状軸部に設けた軸方向スリットにより離間形成の一側周端縁と他側周自由端縁を形成すると共に、同上筒状軸部の軸端部寄りに前記の軸方向スリットと直交状に連設した径方向スリットを形成することで、上記一側周端縁から径方向スリットの基端縁まで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項3】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記のケーシングにおける中空部には、可動軸の軸端部とケーシングの円周内面間に施したシール用Oリングにより閉塞された粘性流体が収容されていることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項4】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記のケーシングにおける中空部には、当該ケーシングの閉蓋部から突設されて、可動軸の筒状軸部が有する内周面よりも、僅かに細径の軸心棒を配設し、可動軸の軸端部とケーシングの円周内面間に施したシール用Oリングにより閉塞されて、上記の軸心棒とケーシングの円周内面との間にあって、粘性流体が収容されていることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項5】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記のケーシングと可動軸との間には、当該ケーシングの中空部に収納したトーションバースプリングまたはコイルスプリングの各スプリング端部が固定されていることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項6】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記のケーシングにおける中空部には、可動軸の軸端部とケーシングの円周内面間に施したシール用Oリングにより閉塞された粘性流体が収容されていると共に、同上ケーシングと可動軸との間には、当該ケーシングの中空部に収納したトーションバースプリングまたはコイルスプリングの各リング端部が固定されていることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項7】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記ケーシングの中空部に収納したトーションバースプリングまたはコイルスプリングの一方であるスプリング端部はケーシングに固定すると共に、他方であるスプリング端部は前記可動軸の筒状軸部にあって、その一側周端縁と他側周自由端縁との間に挿入されて、当該他側周自由端縁に弾接されていることを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項8】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなり、上記した可動軸の筒状軸部における一側周端縁と他側周自由端縁との間に弾性体を介装することにより、前記偏心弾性部をケーシングの内周内面に押圧するようにしたことを特徴とするロータリーダンパー。
【請求項9】 ケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、ケーシングの閉蓋部側に開成端口が形成され、当該筒状軸部に設けた軸方向スリットにより離間形成の一側周端縁と他側周自由端縁を形成すると共に、同上筒状軸部の軸端部寄りに前記の軸方向と直交状に連設した径方向スリットを形成することで、上記一側周端縁から径方向スリットの基端縁まで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにし、前記筒状軸部の一側周端縁に開口して円弧状非弾性部に欠設した切込み口を、軸方向スリットに連設しておくと共に、前記ケーシングの円周内面には、上記の切込み口に嵌入するように反他側周自由端縁に向けて次第に突出するよう曲突した内径突起部を形成し、筒状軸部の前記した偏心弾性部が、可動軸の回動によって上記の内径突起部に到来することにより、当該偏心弾性部が次第に中空部の軸心側へ向けて弾圧されて行くようにしたことを特徴とするロータリーダンパー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉とか便蓋が回転降下する際、当該扉等の回動体に対してダンパートルクを作用させることにより、ショックアブソーバとして用いることのできるロータリーダンパーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のロータリダンパーとしては図7に示す如きものが実開昭62−81739号として既に提案されている。ここに開示のものはピアノaの鍵盤蓋bを回転支軸cにより上下に開閉動させる際、この鍵盤蓋bに対しジョイントdを介してロータリーダンパーAを連設するようにし、鍵盤蓋bを最終閉止点にあって大きな衝撃音や振動の発生を防止して、円滑にして適度な早さで落動させようとしている。
【0003】そして図7(B)により理解される通り、当該ロータリーダンパーAは、ケーシングeと、その内周内面fをもった中空部gに、可動軸hを遊嵌して、その軸端部iをケーシングeの開口部jから突出させ、上記の可動軸hに係嵌したOリングk1、k2を円周内面fに圧接して、当該円周内面fと可動軸hとの間隙に粘性流体mを密封するようにし、さらに可動軸hの空心部nに内挿したトーションバースプリングpの係止端部q1、q2を、夫々可動軸hの突出部iとケーシングeの閉蓋部rに係止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のロータリーダンパーAによるときは、円周内面fと可動部hとの間に液密状態で封入したポリイソブチン等の高分子粘性流体その他の粘性流体に基づき、筒状軸部hの回転により生ずる粘性剪断抵抗をダンパー力として利用している。このため、当該粘性剪断抵抗を特に唯一のダンパー力源とする際には、それほど大きなダンパー力が得られないだけでなく、前記の間隙に大小が生ずるとダンパートルクが変化することから部品の加工精度が要求されることになり、しかも部品点数も、ケーシングeと可動軸h、Oリングk1、k2、さらには粘性流体mを必要とすることから、安価な提供が困難となる欠陥も指摘されているだけでなく、前記の従来例によるときは鍵盤蓋bが閉成する際に、ダンパートルクが作用するものの、当該鍵盤蓋bの開成操作時にも同等の粘性剪断抵抗が作用することになる。
【0005】本発明では上記従来の難点に鑑み、請求項1にあってはケーシングと可動軸とのみをもって構成することができ、可動軸の筒状軸部にあって、円弧状非弾性部から次第に外周側へ向けて突出するように、ケーシングの内周面よりも大径となるよう偏心弾性部を形成するようにし、このことにより当該偏心弾性部の外周面を上記円周内面に摺動自在なるよう弾接させるようにしてある。そして、この偏心弾性部の自由端側へ向けて可動軸を回動するときは、ケーシングの円周内面と偏心弾性部との間に可成り大きな摩擦力によるダンパートルクを生じさせることができ、当該回転に対し逆回転力が可動軸に付与されたときは、粘性剪断抵抗による場合の如く、別途特別な粘性流体の流路を設けるといったことなしに、当該摩擦力を大幅に減少させることができるようにし、このことで、二部材による簡易な構成だけで大きなダンパートルクを得ることができ、かつ高い加工精度を要求されることも解消できるようにして安価な提供を可能にしようとしている。
【0006】次に請求項2にあっては、上記請求項1にあって偏心弾性部を、可動軸における筒状軸部に軸方向スリットと径方向スリットとを直交状に連通するよう形成することで、円弧状非弾性部から偏心弾性部を延出するよう構成することで、前掲請求項1による目的を、より高い信頼性をもって達成しようとしている。
【0007】請求項3に係るロータリーダンパーにあっては、前記請求項1の構成に加えてケーシングの中空部にシール用Oリングを用いて、粘性流体を封入することで、前記の偏心弾性部に基づくダンパートルクに粘性流体の剪断抵抗をもダンパー力として加担させて、全ダンパートルクを大きくするだけでなく、当該粘性流体によって、ケーシングの円周内面と上記偏心弾性部の間隙にも粘性流体が注入されるようにして、単にダンパー力だけでなく潤滑剤としての役割をも担うようにすることで円滑な可動軸の回動と、耐久性の向上をも図ろうとするのが、その目的である。
【0008】さらに請求項4によるときは、単に上記の請求項3による構成だけでなく、ケーシングから突設した軸心棒を、可動軸の筒状軸部における内周面より僅かに細径とすることで、請求項3に基づく粘性流体の収容量を削減可能とするだけでなく、粘性流体に基づくダンパートルクを増大し、請求項3の場合に比し、充分な粘性剪断抵抗によるダンパー力を発揮できるようにするのが目的である。
【0009】請求項5によるときは、前記請求項1の偏心弾性部を有する可動軸に加えて、ケーシングの中空部に収納したトーションバースプリングかコイルスプリングの両スプリング端部を、夫々可動軸とケーシングとに跨設することで、偏心弾性部の弾力に基づくダンパートルクに加えて、トーションバースプリングまたはコイルスプリングのダンパートルクを付加するようにし、充分大きな総和的ダンパー力を得るようにすると共に、重い扉などの閉成を緩徐に行い得るようにし、かつ当該重い扉の開動に際して、スプリングの復原力によって重い扉の開成動作を容易になし得るようにして、各種の用途に利用可能とするのが、その目的である。
【0010】請求項6の場合にあっては、これまた請求項1の構成に対して請求項3の粘性流体を付与するだけでなく、さらに請求項5により説示したトーションバースプリングまたはコイルスプリングをも構成要素として組み込むようにすることで、前記のように粘性剪断抵抗とスプリング力をも、ダンパートルクとして活用するようにし、かくして請求項1と請求項3そして請求項5によって発揮し得る前記の作用効果を満足させ得るようにするのが、その目的である。
【0011】さらに請求項7にあっては、前記した請求項5の如く偏心弾性部とトーションバースプリングまたはコイルスプリングを用いるよう構成するというだけでなく、当該スプリングについて、その一方であるスプリング端部はケーシングに固定し、他方のスプリング端部は前記可動軸の筒状軸部にあって、一側周側同端縁と他側周自由端縁との間に挿入されて、当該他側周自由端縁に弾接することにより、当該他側周自由端縁に対してスプリングが作用し得るようにしてあり、かくて当該他側周自由端縁が常に外向きに押圧されるようにしてあり、このことで偏心弾性部のクリープにより、その円周内面に対する押圧力が低減してしまうことを回避し、もって何時でも長期にわたって、偏心弾性部による弾力が低下してしまうことを阻止し、もってダンパートルクの不本意な低下を阻止しようとしている。
【0012】そして請求項8によるときは、上記の請求項6にあって、スプリング端部による押圧力により、偏心弾性部のクリープを阻止しようとしているのに対し、トーションバースプリングやコイルスプリングを用いない場合でも同上クリープ阻止の目的を達成し、長期にわたり充分なダンパートルクを発揮し得るようにするのが、その目的である。
【0013】そして、請求項9にあっては、請求項1の構成に対して、ケーシングに内径突起部を設けるだけで、偏心弾性部に基づくダンパートルクを、簡易な構成で付加部材を用いることなしに増強し得るようにしている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するためケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、その一側周端縁から他側周自由端縁寄りまで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなることを特徴とするロータリーダンパーを提供しようとしている。
【0015】請求項2の発明ではケーシングと、その円周内面により形成された中空部に回転自在で抜け止め状態に遊嵌された筒状軸部と、この筒状軸部に連設されてケーシングの開口部から突出した軸端部とからなる可動軸とを具備し、当該可動軸の上記筒状軸部は、ケーシングの閉蓋部側に開成端口が形成され、当該筒状軸部に設けた軸方向スリットにより離間形成の一側周端縁と他側周自由端縁を形成すると共に、同上筒状軸部の軸端部寄りに前記の軸方向スリットと直交状に連設した径方向スリットを形成することで、上記一側周端縁から径方向スリットの基端縁まで形成された円弧状非弾性部と、この円弧状非弾性部から上記の他側周自由端縁に向けて、前記ケーシングにおける円周内面の曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成することにより、同上円周内面に弾接するようにした偏心弾性部とからなることをを、その内容としている。
【0016】次に請求項3のロータリーダンパーにあっては、前記請求項1の構成に加えて、ケーシングにおける中空部には、可動軸の軸端部とケーシングの円周内面間に施したシール用Oリングにより閉塞された粘性流体が収容されていることを、その内容としている。
【0017】請求項4の場合には、同上請求項1の構成に対して、ケーシングにおける中空部には、当該ケーシングの閉蓋部から突設されて、可動軸の筒状軸部が有する内周面よりも、僅かに細径の軸心棒を配設し、可動軸の軸端部とケーシングの内周内面間に施したシール用Oリングにより閉塞されて、上記の軸心棒とケーシングの円周内面との間にあって、粘性流体が収容されていることを特徴としている。
【0018】請求項5のロータリーダンパーにあっては、請求項1の構成に加えて、ケーシングと可動軸との間には、当該ケーシングの中空部に収納したトーションバースプリングまたはコイルスプリングの各スプリング端部が固定されていることを、その特徴としている。
【0019】請求項6の特徴とするところは、前記した請求項1と請求項3および請求項4の構成内容を具備し、従って偏心弾性部と粘性流体さらにはトーションバースプリングまたはコイルスプリングを兼備した内容となっている。
【0020】請求項7の場合には、前記した請求項4の構成に対して、さらにそのトーションバースプリングまたはコイルスプリングに関し、その一方であるスプリング端部はケーシングに固定すると共に、他方であるスプリング端部は前記可動軸の筒状軸部にあって、その一側端縁と他側周自由端縁との間に挿入されて、当該他側周自由端縁に弾接されていることを、その内容としている。
【0021】請求項8にあっては、上記の請求項6の如くスプリング端部を活用することで他側周自由端縁を弾圧し、このことでクリープの発生を回避するのではなく、別途コイルバネなどの弾性体を用意し、これを、上記の他側周自由端縁と一側周端縁との間に介設することで、クリープに基づく偏心弾性部による弾圧力の低下を阻止するようにしている。
【0022】そして請求項9にあっては、前記請求項1における構成に加えて、筒状軸部の一側周端縁に開口して円弧状非弾性部に欠設した切込み口を、軸方向に連設しておくと共に、前記ケーシングの円周内面には、上記の切込み口に嵌入するように反他側周自由端縁に向けて次第に突出するよう曲突した内径突起部を形成し、筒状軸部の前記した偏心弾性部が、可動軸の回動によって上記の内径突起部に到来することにより、当該偏心弾性部が次第に中空部の軸心側へ向けて弾圧されて行くようにしたことを、その内容としている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係るロータリーダンパーにつき、先ず請求項1、2に関し以下図1を参照して説示すると、ケーシング1と可動軸2とからなり、ケーシング1は所定位置に固定し、可動軸2を扉とか便座等に連結して用いるのがよいが、もちろん逆に可動軸2を固定して扉等の開成によりケーシング1が回動するようにしてもよい。上記ケーシング1は、その円周内面1aによって形成された中空部1bを有し、その閉蓋部1cと反対側には開口部1dが開成されている。次に前記の可動軸2は、ケーシング1の中空部1bに回転自在にして、当該ケーシング1の抜け止め縁部1eによって抜出不能なるよう遊嵌されている筒状軸部2aと、この筒状軸部2aに連設されてケーシング1の開口部1dから突出した軸端部2bとによって構成されている。
【0024】上記の可動軸2における筒状軸部2aには、その一側周端縁2cから他側周自由端縁2d寄りまでに、円弧状非弾性部2eを形成すると共に、当該円弧状非弾性部2eから上記した他側周自由端縁2dに向けて偏心弾性部2fが延出されている。この際当該偏心弾性部2fは、ケーシング1における円周内面1aの曲率半径よりも漸次偏心量が大きくなるよう形成されている。すなわち、この偏心弾性部2fは、円弧状非弾性部2eから他側周自由端縁2dに向けて、次第に外側へ向けて突出するように曲成されている。
【0025】そして、実際上は上記偏心弾性部2fを外側から押し込むようにして、可動軸2をケーシング1の中空部1bに押入した後、ケーシング1の開口部1dを折り曲げ、これにより前記の抜け止め縁部1eを形成することで、可動軸2をケーシング1から抜け止めの状態とするのであり、かくして偏心弾性部2fはケーシング1の円周内面1aに対して、その復原力により弾接の状態となる。
【0026】ここで、上記の如き円弧状非弾性部2eと偏心弾性部2fとを形成するには、各種の手段または構成が考えられるが、図1に例示の可動軸2にあっては、請求項2として明示されている通り、その筒状軸部2aが、ケーシング1の前記閉蓋部1c側にあって開成端口2gが開成されており、この筒状軸部2aには、その軸端部2b寄りから開成端口2gに達するよう軸方向スリット2hを離間形成することで、前記の一側周端縁2cと他側周自由端縁2dとを離間形成する。
【0027】そして、さらに同上筒状軸部2aの軸端部2b寄りに、上記した軸方向スリット2hと直交状に連設された径方向スリット2iを形成して、前記の一側周端縁2cから当該径方向スリット2iの基端縁2jまでを円弧状非弾性部2eとなし、当該基端縁2jから他側周自由端縁2dまでを偏心弾性部2fとして形成するようにしている。
【0028】従って、上記の請求項1、2の如き構成によるときは、図1(C)に示されている通り、偏心弾性部2fがケーシング1の円周内面1aに対して弾接状態となっていることから、今可動軸2が扉等の回動と共に矢印R1方向(時計方向)へ回動したとすれば、他側周自由端縁2d側は、その外周面が円周内面1aと可成り大きな摩擦力をもって回動し、従って可動軸2の当該回動に対して大きなダンパートルクを発生し得ることになり、このため扉の閉動時等にあって、これを緩徐に閉成して不本意な衝撃を生ずることなく閉扉動を完了させることができる。これに対し、矢印R2方向(反時計方向)へ可動軸2を回動して開扉させる等の場合には、その摩擦力が上記時計方向の場合に比し大幅に減少することになり、比較的に軽い力で開成させることができ、粘性流体のみによるロータリーダンパーに比し、大きなダンパートルクを確保でき、また均一な性能を有する製品を容易に提供することができる。
【0029】次に請求項3に係るロータリーダンパーにつき説示すると、上記請求項1の構成に対し前説の粘性流体に基づく剪断抵抗をも活用するようにしたもので、ここでは請求項1の構成に加えて、ケーシング1における中空部1bには、可動軸2の軸端部2bとケーシング1の円周内面1a間に施したシール用Oリング2kにより閉塞された粘性流体が収容されるようになっており、この際図示例では、ケーシング1内における軸端部2bに凹溝2mを周設し、これに嵌合した上記のシール用Oリング2kを係嵌することで、粘性流体の漏出が阻止されている。
【0030】従って請求項3によるときは、偏心弾性部2fによるダンバートルクに粘性流体による剪断抵抗が加算されて、それだけ大きなダンパートルクを発揮できるだけでなく、ケーシング1の円周内面1aと偏心弾性部2fとの挟隙にも粘性流体が注入されることとなり、当該粘性流体がダンパー力を強化するだけでなく、潤滑剤としての働きをも発揮するので、可動軸2は円滑な回動を保証され、かつ耐久性を向上し得ることになる。
【0031】次に請求項4によるときは、上記請求項3の如く偏心弾性部2fと粘性流体とを兼備させるだけでなく、図1にあっても開示されているように、ケーシング1における中空部1bには、当該ケーシング1の閉蓋部1cから突設された軸心棒1fが配設され、その先端部が可動軸2における軸端部2bの軸承口2nに嵌装されている。そして請求項4にあっては、上記の軸心棒1fについて、これを図3に明示の如く可動軸2の筒状軸部2aが有している内周面よりも、僅かに細径となるよう太く形成してある。従って前記のシール用Oリング2kにより封入されている粘性流体は、その収容流体量を削減できるだけでなく、軸心棒1fと筒状軸部2aとの間隙が狭小となることにより、粘性剪断抵抗をも大幅に増強することができる。
【0032】請求項5にあっては、請求項1の構成に図2により理解される通り、図示しないトーションバースプリングまたは図示のコイルスプリング3を付加するようにしてあり、ケーシング1の中空部1bに収納した上記トーションバースプリングまたはコイルスプリング3の各スプリング端部3a、3bを夫々ケーシング1の閉蓋部1cと、可動軸2における軸端部2bとに係嵌固定するようにしてあり、図示例ではコイルスプリングが前記の軸心棒1fに被嵌されている。従って上記構成によるときは、偏心弾性部2fの弾力によるダンパートルクと、トーションバースプリングまたはコイルスプリング3による弾力が加算され、可成り重い扉等に対しても閉扉を緩徐に行い得ると共に、重い扉でも当該スプリングの復原力により容易に開成させることができる。
【0033】さらに請求項6の場合には、請求項1による偏心弾性部2fを円周内面1aに弾接した構成と、請求項3の粘性流体を使用するようにした構成とに加えて、さらにトーションバースプリングまたはコイルスプリング3を組み入れるようにした構成を全部具有させるようにしており、使用目的に対応して、上記の三構成要素に基づく作用効果を、総合的に適切かつ有効に活用することで、所要目的を充足させることが可能となる。
【0034】請求項7のロータリーダンパーによるときは、請求項4に係る構成にあって、その可動軸2が特に合成樹脂製である場合、既知の如く金属製のものに比し時間の経過によってクリープが生じ易く、この結果未使用で放置しておいただけでも、可動軸2の偏心弾性部2fの円周内面1aに対して得られた摩擦力が、初期性能に比し低減してしまう難点を解消しようとしている。そして、上記の目的を達成するため、前説の図2の如くトーションバースプリングまたはコイルスプリング3のスプリング端部3bを、軸端部2bに係止するのではなく、当該他方であるスプリング端部3bについては、可動軸2の筒状軸部2aにあって、その一側周端縁2cと他側周自由端縁2dとの間に挿入することで、当該他側周自由端縁2dに対して弾接されるよう構成されている。
【0035】従って、請求項7によるときはトーションバースプリングまたはコイルスプリング3を利用して、これが発揮可能な復原力を、常に偏心弾性部2fの他側周自由端縁2dに加えておくことで、当該偏心弾性部2fを外側向きに押圧でき、従って偏心弾性部2fのクリープによる変形を阻止することが可能となり、長期にわたり支障なく所定のダンパートルクを維持することができる。
【0036】次に請求項8に係るロータリーダンパーにつき説示すると、ここでは、上記請求項7と同じく合成樹脂製等による偏心弾性部2fのクリープ現象につき、これを解消しようとするものであるが、当該目的を達成するためトーションバースプリングまたはコイルスプリング3を利用することなしに、別途用意した弾性体4を用いるようにしている。図4(A)により開示の如く、偏心弾性部2fがクリープによって変形した場合には、当該偏心弾性部2fによる円周内面1aに対する弾接力が低下し、その他側周自由端縁2dの先端側外周面のみが円周内面1aに押当する状態となる。本発明では、これを阻止するため、図4(B)の通り可動軸2の筒状軸部2aにおける一側周端縁2cと他側周自由端縁2dとの間に、図示の如きコイル発条とか板発条、また弾性素材等による弾性体4を介装挟持することで、偏心弾性部2fをケーシング1の内周内面1a側へ押圧するようにしており、このことで請求項7と同等の作用効果が得られることとなる。
【0037】そして請求項9にあっては、図5、図6によって理解されるように、請求項1の構成に加えて、ケーシング1の内周内面1aを単に均一径となるよう形成するのでなく、以下詳記するように、その一部にあって内径突起部1gを突設するのである。すなわち、先ず図6(A)に示されている通り前記筒状軸部2aの一側周端縁2cに開口して、円弧状非弾性部2eに切込み口2pを切欠するのであり、従って当該切込み口2pは前記した軸方向スリット2hに連設されることになる。一方前記ケーシング1の内周内面1aには、図5および図6によって理解される通り上記の切込み口2pに嵌入するように、反他側周自由端縁2dの方向に向けて次第に軸心側へ突出するよう曲突した前記内径突起部1gを形成するのである。
【0038】そして、図6(B)のような状態にあっては、上記の切込み口2pに対して内径突起部1gが嵌入しているが、同図(C)の通り可動軸2が矢印R1方向へ回動して、その偏心弾性部2fが、上記内径突起部1gの位置に到来すると、偏心弾性部2fが次第に中空部1bにおける軸心側へ向けて弾圧されて行くことから、偏心弾性部2fに基づくダンパートルクが、請求項1の場合に比し、簡易な構成によって増強することが可能となる。
【0039】
【発明の効果】本発明は上記のようにして構成できることから、請求項1によるときは、粘性流体を用いなくとも、ケーシングと可動軸の二構成部材によって、可動軸の偏心弾性部とケーシングとの摩擦力を利用して、一方向への回転時には大きな摩擦力を発揮でき、逆方向への回転には小さな摩擦力のみを発生し得るようにしたので、粘性流体の利用によるロータリーダンパーに比し、少ない部品により、しかも高精度の加工を要求されることなく、均一特性をもったものを安価に提供することができ、請求項2によるときは上記の偏心弾性部を、筒状軸部に軸方向スリットと径方向スリットを連通させて形成するようにしたので、上記請求項1による効果につき、その信頼性を、より向上することができる。
【0040】請求項3にあっては、上記請求項1の構成に、粘性流体の粘性剪断抵抗を利用可能としたので、加算的ダンパートルクを発揮することができるだけでなく、当該粘性流体を偏心弾性体とケーシングの円周内面との潤滑剤としても活用できることとなり、稼動の円滑化と耐久性の向上に資することができる。そして請求項4によるときは、上記の請求項3にあってケーシングから突設した軸心棒を太く形成して、これを筒状軸部の内周面に近接することで、使用される粘性流体の量を削減可能とし、かつ、粘性剪断抵抗を増強して、充分なダンパー力を発揮できることになる。
【0041】請求項5によるときは、請求項1に係る偏心弾性体に加えてトーションバースプリングまたはコイルスプリングによるダンパートルクをも付加するようにしたので、重い扉に適切に閉扉動を制動でき、かつ開扉に際しては、これを軽い力で操作できるといったことができるから、各種の要請に対応することができる。そして請求項6では請求項1に対して、請求項3と請求項5による粘性流体そしてトーションバースプリングまたはコイルスプリングをも組み込むようにしたので、これらの総合的なダンパートルクによって、さらに各種の需要を満たすことが可能となる。
【0042】さらに請求項7によるときは、特に請求項5の構成に留まることなくトーションバースプリングまたはコイルスプリングの片方であるスプリング端部を他側自由端縁に弾接するようにしたので、可動軸が合成樹脂製であるといった場合にあっても、これがクリープにより変形して、偏心弾性部の円周内面に対する弾接力が低下してしまうことが阻止され、長期にわたり高い信頼性をもって、ダンパートルクの所定値を保有させることができる。さらに請求項8では、上記請求項7の如くトーションバースプリングまたはコイルスプリングを用いることなく別途設けた比較的小形な弾性体を、他側自由端縁と一側周端縁間に介装するだけで、請求項7と同等の効果を発揮させることができる。
【0043】そして、請求項9にあっては、ケーシングに内径突起部を形成するようにしたので、偏心弾性部によるダンパートルクをさらに増大して、各種の需要に対応することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】 【識別番号】100090435
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 義雄
【公開番号】 特開2000−170813(P2000−170813A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−346770