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【発明の名称】 |
積層ゴム支承 |
| 【発明者】 |
【氏名】榊 俊明 【氏名】石田 孝明 【氏名】溝口 哲朗 |
【課題】面圧依存性、歪依存性およびクリープ性能を向上する。
【解決手段】硬質板2とゴム弾性板3とが交互に積層されかつ中心孔4を有する積層基体5と、前記中心孔4に充填される粘弾性の充填部材6とを具える。ゴム弾性板3は、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の硬質板とゴム弾性板とが交互に積層されかつ中央にこの積層を貫通する中心孔が配される免震用の積層基体と、前記中心孔に充填される粘弾性の充填部材とを具え、前記ゴム弾性板は、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムから形成されることを特徴とする積層ゴム支承。 【請求項2】前記中心孔は、その直径dが前記積層基体の直径Dの1〜3%であることを特徴とする請求項1記載の積層ゴム支承。 【請求項3】前記充填部材は、炭素又はケイ素を主構成元素とする高分子材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層ゴム支承。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビルや橋梁等の構造物の基礎部分に設けられ、地震時に加わる振動の加速度を低減させる積層ゴム支承に関する。 【0002】 【従来の技術】地震時に、ビルや橋梁等の構造物に加わる振動の加速度を低減する免震装置として、例えば、図6に示すように、鋼板などの硬質板aとゴム状弾性板bとを交互に積層しかつ接着した積層ゴム支承cが知られている。 【0003】このものは、前記ゴム状弾性板bによって水平方向に軟らかいバネ性を有するため水平方向の周期が長く、地震時の水平方向の応答加速度を低減するのに有効である。逆に、鉛直荷重に対しては、それと直角に広がろうとするのを前記硬質板aが拘束するため剛性(鉛直剛性)が高く、構造物の重量を長期間支える特性も備えている。 【0004】しかし、地震時に作用する荷重は、構造物のロッキングなどにより鉛直方向にも大きく変動する場合が多く、従って、積層ゴム支承cでは、安定した免震効果を発揮させるために、鉛直方向の面圧が変わっても水平バネ定数の変化が小さい、すなわち面圧依存性が小さいこと、および水平方向への変位量が変わっても水平バネ定数の変化が小さい、すなわち歪依存性が小さいことが極めて重要である。 【0005】他方、前記積層ゴム支承cでは、加硫成形におけるゴムの加硫によって、前記硬質板aとゴム状弾性板bとが接着して一体化するが、この積層ゴム支承cは、一般に、サイズが直径600〜1500mmと大型であるため、加硫時間がかかり、又中心側の温度上昇が遅くなるなど温度分布も不均一となりやすい。従って積層ゴム支承cには、通常、中心側からの加熱を行うために中心孔eが形成されており、この中心孔eは、又、積層工程から加硫工程に至る各製造段階における硬質板aの位置決め、および積層体の移動、運搬のためにも不可欠となっている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この中心孔eは、面圧依存性および歪依存性の低下、並びにクリープ量の増加の主原因の一つであることが、近年の研究の結果判明した。 【0007】これは以下の如き、理由によって発生すると推測される。すなわち、積層ゴム支承cが圧縮荷重を受けたとき、外周側では自由表面積が大きいため、ゴムがはらみ出しやすくその分の応力が緩和されるが、圧縮荷重全体との釣り合いを保つために、内周側では荷重の負担が増し、従って、圧縮の応力分布は、図7に誇張して示すように、内周側の方が外周側よりも高くなる。実際には、内周側でも自由表面積の存在によりゴムのはらみ出しが発生するため、内周と外周との間かつ内周よりに圧縮応力のピークpが発生する。 【0008】このように、中心孔eの形成は、荷重支持面積を減ずるだけでなく、応力分布の不均一化および応力のピーク値の増加を招き、さらには内周側でのゴムのはらみ出しと相俟って水平方向への円滑な動きを阻害し、その結果、面圧依存性および歪依存性を大きく低下させると考えられる。 【0009】又クリープに関しては、ゴム中のアセトン可溶分の拡散現象によって起こると考えられるが、前記中心孔eの形成により、前記ピークpから内周側および外周側に向かって圧力勾配f1、f2が生じ、これが駆動力となって拡散現象が発生する。特に内周側に向く圧力勾配f1は、圧力勾配f2よりも急勾配であるため拡散現象への寄与が大であり、クリープ量の増加により大きな影響を与えることとなる。 【0010】そこで本発明は、中心孔に粘弾性の充填部材を充填することを基本として、応力分布の均一化およびピーク値の減少を図るとともに内周側からのゴムのはらみ出しを抑制でき、面圧依存性および歪依存性を改善し、かつクリープ量の低減を達成しうる積層ゴム支承の提供を目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本願請求項1の積層ゴム支承の発明は、複数の硬質板とゴム弾性板とが交互に積層されかつ中央にこの積層を貫通する中心孔が配される免震用の積層基体と、前記中心孔に充填される粘弾性の充填部材とを具え、前記ゴム弾性板は、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムから形成されることを特徴としている。 【0012】又請求項2の発明では、前記中心孔は、その直径dが前記積層基体の直径Dの1〜3%であることを特徴としている。 【0013】又請求項3の発明では、前記充填部材は、炭素又はケイ素を主構成元素とする高分子材料であることを特徴としている。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。図1において、本願の積層ゴム支承1は、複数の硬質板2とゴム状弾性板3とが交互に積層されかつ中央にこの積層を貫通する中心孔4を設けた積層基体5と、前記中心孔4に充填される粘弾性の充填部材6とを具えている。 【0015】この積層ゴム支承1は、従来と同様に、前記積層基体5の上下にボルト連結される固定板(図示せず)を介して、建築物およびその基礎である上下の構造体(図示せず)間に固定され、建築物の水平方向の振動を免震する。なお本例では、積層ゴム支承1は、水平方向の種々な向きの揺れにも対応できるように、円柱形状すなわち横断面の輪郭形状が方向性のない円形形状とした場合が例示されているが、要求により四角形、五角形等の多角形状で形成することもできる。 【0016】又前記積層基体5の硬質板2は、高剛性を有する例えば鋼板などの金属製板体からなり、中央に前記中心孔4をなす孔部を穿設した円板状に形成される。なお、前記積層基体5の最上段及び最下段に配される上下の硬質板2U、2Lは、他の硬質板2Mに比して厚さが大な厚肉板体からなり、その上面および下面には、前記固定板(図示せず)をボルト連結するための複数のネジ穴7が形成されている。 【0017】又前記ゴム状弾性板3は、前記硬質板2と略同形状をなし、その厚さt1(図2に示す)は、前記硬質板3の厚さt2よりも大な1.0〜8.0mm程度に設定している。このゴム状弾性板4には、ゴム状弾性を有する種々の材料が使用できるが、熱的に形状が安定していること、および復元力が大きいことから、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴムが好適であり、特に、ヒステリシスロス、温度依存性、強度、加工性、コストなどの面で天然ゴムおよびイソプレンゴムが望ましい。 【0018】又本例では、前記積層基体5には、その外周を、前記上下の硬質板2U、2Lを残して被覆する外皮ゴム層9が配される。この外皮ゴム層9は、長期に亘って使用される積層ゴム支承1の耐候性を向上し、特にゴム状弾性板3が酸化やオゾン劣化などを生じないようにするためのものである。従って、前記ゴム状弾性板3と同じゴムにて形成しても良いが、特に耐候性に優れる、例えばクロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、EPM、EPDMを用いることが好ましい。 【0019】これら硬質板2と、ゴム状弾性板3及び外皮ゴム層9とはゴムの加硫接着によって一体結合している。 【0020】又前記積層基体5に設ける中心孔4は、この積層基体5と同心にのびる円形孔であり、従来と同様に、加硫成型時に熱媒を挿入して中心側からの加熱を行うとともに、積層工程から加硫工程に至る各製造段階における硬質板2およびゴム状弾性板3の位置決め、および積層体の移動、運搬を行うために形成している。 【0021】そして、本発明では、この中心孔4による面圧依存性、歪依存性およびクリープへの影響をできるだけ減じるために、前記中心孔4に粘弾性の充填部材6を充填するとともに、前記ゴム状弾性板3を、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムで形成している。 【0022】このような充填部材6は、積層ゴム支承1が圧縮荷重を受ける際、前記ゴム弾性板3が内径側にはらみ出すのを効果的に抑制できる。従って、このはらみ出に原因した水平移動への抵抗が減じられるとともに、応力分布の均一化が図られ、かつ応力のピーク値が低減される。 【0023】その結果、水平バネ定数の面圧依存性および歪依存性を向上できる。さらに前記応力分布の均一化、及び応力のピーク値の低減は、圧力勾配を緩傾斜せしめるため、ゴム中のアセトン抽出物(可溶分)の拡散現象を抑制でき、クリープ性能の向上も達成しうる。 【0024】又本例では、前記効果をさらに高めるために、従来にあっては前記積層基体5の直径Dの5%程度であった中心孔4の直径dを、1〜3%の範囲まで減じている。これにより、前記ゴム弾性板3の内周側での表面積が小さくなるため、そのはらみ出しが一段と抑制され、充填部材6との相乗作用によって、面圧依存性、歪依存性、及びクリープ性能の向上効果がさらに高められる。前記直径の比d/Dが1%未満では、中心孔4からの加熱が非常に困難になり、逆に3%を超えると、面圧依存性の向上効果が不充分となる。 【0025】なお前記積層基体5の直径Dとは、本願では、荷重支持面をなす上下の硬質板2U、2Lの直径として定義する。 【0026】ここで、前記充填部材6には、炭素を主構成元素とする炭素系の高分子材料およびケイ素を主構成元素とするケイ素系の高分子材料が使用できる。 【0027】詳しくは、前記炭素系の高分子材料として、ジエン系或いは非ジエン系ゴムである、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、ブチルゴム、EPM、EPDM、フッ素ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンなど、或いは熱可塑性ポリマーである、例えば、スチレンーイソプレンブロック共重合体、スチレンーイソプレンースチレントリブロック共重合体、スチレンーブタジエンブロック共重合体、スチレンーブタジエンーステレントリブロック共重合体、これらの水素添加物、軟質PVC、オレフィン系エラストマーなどが使用できる。またケイ素系の高分子材料として、シリコンゴムが使用できる。 【0028】次に、前記中心孔4は、前述の如く、加硫成型時の中心側からの加熱のために用いられるため、前記充填部材6の充填は、積層基体5の加硫成形後に行うことが不可欠である。そのために、充填方法としては、以下の(1)〜(3)のものが採用される。 (1) 常温で液状をなす充填部材6を流し込み、これを硬化剤によって粘弾性状に硬化させる方法:(2) 粘弾性状の充填部材6を一旦加熱によって軟化或いは溶融させ、これを流し込んだ後に冷却させる方法:(3) 充填部材6を粘弾性状のまま充填する方法:【0029】この中で、前記(1)の方法には、室温硬化型の液状ゴムとして知られる前記ウレタンゴム、及びシリコンゴムが好適に使用できる。又前記(2)の方法には、前記熱可塑性ポリマーが好適に使用できる。又前記(3)の方法には、未加硫の前記ジエン系及び非ジエン系のゴムが好適に使用できる。なお加硫済のジエン系及び非ジエン系のゴムを、圧入することも可能ではあるが、充填が難しくしかも中心孔4内に隙間ができやすくなるなど好ましくない。なお前記充填には、例えばエクストルーダーガン、押出機、プレス機などが好適に使用できる。 【0030】なお前記充填部材6においては、低分子成分を多量に含む材料は、この低分子成分が前記ゴム状弾性板3に移行して免震性能を悪化させる恐れがあるため、好ましくない。ただしゴム状弾性板3と親和性のほとんどない(浸透しない)低分子成分は問題ない。又充填部材6としては、前記ゴム状弾性板3と略同組成の材料が使用可能であるが、この中心孔4の容積が全体の体積に対して十分小さいので、特にヒステリシスロスを考慮する必要はない。 【0031】次に、本発明においては、前記クリープ量の低減効果を充分に確保するために、前述の如く、20゜Cにおけるヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムで前記ゴム状弾性板3を形成している。なお充分な低減効果とは、60年後の推定クリープ量が8%以下となることを意図している。 【0032】ここで、積層ゴム支承の減衰特性の尺度としては、通常、損失正接(tan δ)が用いられる。しかしこの損失正接は、微小振幅に対する応答遅れとして測定される量であり、最大振幅が300〜400%近くにも達する積層ゴム支承においては、むしろ減衰性を、静的なヒステリシスロスで捉えることが好ましく、又このヒステリシスロスを用いることにより、クリープ性能との相関関係が明確となった。 【0033】なお、前記ヒステリシスロスは、図3に示す如く、単純伸張0〜100%の範囲の応力−歪み曲線において、変形過程Y1で加えられたエネルギー(面積X1)と回復過程Y2で失った損失エネルギー(面積X2)との比X2/X1を意味する。 【0034】このヒステリシスロスが20%以下の低減衰ゴムを用いることによって、表1に示す如く、クリープ性能が大巾に改善されるのが確認できる。なお表1は、前記直径比d/Dが2.5%の中心孔4を有しかつ充填部材6が充填されていない場合の積層ゴム支承を用い、ゴム弾性板3のヒステリシスロスが15%、20%、23%と変化したときのクリープへの影響を、ヒステリシスロスが20%の時を100とした指数で示したものである。なお表1中、KH(50)、KH(150)、KH(250)は、圧縮荷重を荷重支持面積で除した面圧が夫々50、150、250kgf/cm2 として、水平方向の歪を300%与えた時に、歪±100%の点を結んだ傾きから計算される水平剛性である。すなわち、前記KHは、図4(A)に示すように、積層ゴム支承1の荷重−歪曲線における歪±100%の点を結んだ線分A1、A2の傾きの平均値であり、いわゆる接線剛性を意味する。なお図4(B)に示すように、水平方向の歪を100%与えた時の歪±100%の点を結んだ線分Bの傾きを、水平剛性Kh(表3で用いる)で示す。従って、例えばKH(50)/KH(150)は、面圧が150から50kgf/cm2 に変化したときの水平剛性の変化の割合を意味し、1.00に近いほど面圧依存性は優れている。 【0035】 【表1】
【0036】表1に示す如く、ヒステリシスロスが20%を超えても、面圧依存性はさほど悪化しないが、クリープ性能が大巾に低下するのが確認できる。 【0037】なお前記減衰ゴムを得るためには、前述の如くヒステリシスロスが小さい天然ゴム及びイソプレンゴムを用いるのが好適であり、又加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤等を下記の如く使用するのが良い。 【0038】加硫剤としては、硫黄が基材ゴム100重量部に対して0.5〜7.0重量部配合することが好ましい。0.5重量部未満では、ゴム弾性板での架橋点密度が低下して、ゴム弾性板の弾性率や強度が不充分となり、積層ゴム支承1の耐破壊特性が実用レベル以下となってしまう恐れがある。逆に7.0重量部を超えると、過剰の硫黄が所謂ブルームを生じさせる恐れがある。従って、好ましくは1.0〜6.0重量部の範囲である。 【0039】加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系加硫促進剤; ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカーバミン酸テルル等のジチオカーバミン酸類; 2-メルカプトベンゾチアゾール、N-シクロへキシル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール類; トリメチルチオ尿素、N 、 N'- ジエチルチオ尿素等のチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO )等の無機促進剤があげられる。 【0040】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華などの金属酸化物や、或いはステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸などがあげられる。 【0041】加硫遅延剤としては、例えばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸; N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソ-2,2,4- トリメチル-1,2-ジハイドロキノン、N-ニトロソフェニル- β- ナフチルアミン等のニトロソ化合物などがあげられる。 【0042】これら加硫促進剤、加硫促進助剤、及び加硫遅延剤は、加硫剤を加えた合計配合量が、基材ゴム100重量部に対して2〜20重量部程度であるのが好ましい。 【0043】老化防止剤としては、例えば2-メルカプトベンゾイミタゾール等のイミダゾール類; フェニル- α- ナフチルアミン、N 、 N'- ジ- β- ナフチル-P- フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-イソプロピル−P-フェニレンジアミン等のアミン類; ジ-t- ブチル-P- クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類などがあげられる。この老化防止剤の配合量は、基材ゴム100 重量部に対して1〜10重量部程度が好ましい。 【0044】補強剤としては、ISAF、HAF、GPF、FEF、SRFなどの各種のカーボンブラックが使用できるが、基材ゴム100重量部に対して10〜30重量部程度に止めることが必要である。なおシリカは、ヒステリシスロスを大きくするため好ましくないが、もし使用する場合には、カーボンブラックよりも配合量を減じるとともに、カップリング剤を併用する。 【0045】軟化剤としては、例えば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸等)、綿実油、トール抽、アスファルト物質、パラフィンワックス等の植物油系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤があげられる。この軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して30重量部以下で要求により使用する。 【0046】可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェート等の各種可塑剤があげられる。この可塑剤は、基材ゴム100重量部に対して20重量部以下で要求により使用する。 【0047】粘着性付与剤としては、たとえばクマロン・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等があげられる。しかし、粘着性付与剤は軟化剤としても働くが、種類や量によっては、ヒステリシスロスに影響を与え、特にクマロン・インデン樹脂は、ヒステリシスロスが大きくなるため多く使用することは好ましくない。従って、ヒステリシスロスに影響を与えない例えば脂肪族系炭化水素樹脂や脂肪族系環状炭化水素樹脂などの樹脂を用い、基材ゴム100重量部に対して20重量部以下で要求により使用する。 【0048】なおヒステリシスロスの下限値は、必要なゴム物性を発揮するためには、5%以上とすることが必要であり、通常8%以上に設定される。 【0049】また本例では、積層ゴム支承1の面圧依存性および歪依存性をさらに向上するために、前記図2に示すように、上下の硬質板2U、2Lの直径Dと、前記ゴム弾性板3の直径D1との差(D−D1)を、前記ゴム弾性板3の厚さt1の8倍以上に設定している。言い換えると、前記ゴム弾性板3の外端縁3Eから硬質板2U、2Lの外端縁2Eまでの半径方向の距離Lを、厚さt1の4倍以上に設定している。 【0050】これは、前記積層ゴム支承1に、大きな鉛直荷重が作用し、かつ大きい水平方向の剪断歪みが加えられたとき、もし従来と同様に距離L=0の場合には、図5(A)に一点鎖線で誇張して示すように、前記上下の硬質板2U、2Lから水平方向外側に突出する部分10に曲げ応力が集中し、特に硬質板2U、2Lに隣接する硬質板2Mに曲げ変形が起こりやすくなる。その結果、積層ゴム支承1の耐座屈性、耐破断性を低下させるとともに、水平移動する際の大きな障害となり、面圧依存性および歪依存性を損る。 【0051】そこで、本例の如く、距離Lを隔てることにより、図5(B)に誇張して示すように、硬質板2U、2Lの突出部分11が、前記硬質板2Mが曲げ変形しようとするのを押さえ込んで阻止することができる。又、図5(A)の如く、従来、上下の硬質板2U、2Lから外にはずれたゴム部分Jは、まったく荷重支持の働きが失われておりかつ破断を促進させる原因にもなる。しかし、図5(B)の本例では、このゴム部分Jにも荷重支持の働きが生じ、又破断を抑制する。これにより、耐座屈性、耐破断性を高めると同時に、面圧依存性、歪依存性をさらに向上できる。 【0052】なお、積層ゴム支承では、最大振幅が400%にもおよぶ場合が想定されることから、確実な効果を得るためには、前記距離Lを厚さt1の4倍以上とすることが必要である。 【0053】なお本例では、前記ゴム弾性板3と中の硬質板2Mとは実質的に同径であり、又前記外皮ゴム層9の厚さは、前記距離Lと等しい場合を例示している。 【0054】 【実施例】表2の(A)に示す組成の低減衰ゴムにより厚さt1=1.6mmのゴム弾性板3を成形し、これと厚みt2=1.2mmの鋼板からなる硬質板2Mとを交互に積層して、直径D1=180mm、内径d=4.5mmの小型の積層基体5を作成した。このとき、上下の硬質板2U、2Lの厚さは19.5mm、距離Lすなわち外皮ゴム層9の厚さは5mm、一次形状係数S1=34.6、二次形状係数S2=4.95である。 【0055】又前記積層基体5の中心孔4内に、表2の(B)に示す組成の未加硫の充填部材6を、前記(3) の方法にて充填し、実施例1の積層ゴム支承を試作した。 【0056】次に、比較例1として、内径d=10mm、かつ充填部材6がない以外は実施例1と同構成の積層ゴム支承を試作した。 【0057】 【表2】
【0058】これら実施例1および比較例1の面圧依存性、およびクリープ性能を測定し、その結果を表3に示した。 【0059】(1)面圧依存性テスト:鉛直方向および水平方向に荷重負荷又は変位負荷可能な2軸試験器を用い、試供品に、50、150、250kgf/cm2 の面圧を夫々作用させた状態において、総ゴム層厚さに対して100%、200%、300%の水平方向歪みを周波数0.3Hzで負荷し、その時の水平剛性Kh,KHを測定した。 【0060】(2)クリープ性能テスト:温度60゜Cにおいて圧縮荷重を負荷し、面圧150kgf/cm2 を作用させ、その時の積層ゴム支承高さの経時変化を測定した。具体的には、載荷1分後の高さを基準高さとし、そこから60000分経過後の沈み込み量(変化量)を前記基準高さで除した値を100倍したものをクリープ率とした(表1のクリープ率も同様の測定方法を用いている)。評価は実施例1のクリープ率を100とした指数で示し、数値が大なほどクリープ性能に劣っている。 【0061】 【表3】
【0062】 【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、応力分布の均一化およびピーク値の減少を図るとともに内周側からのゴムのはらみ出しを抑制でき、面圧依存性、歪依存性およびクリープ性能を向上することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183233 【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月13日(1998.11.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082968 【弁理士】 【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−145857(P2000−145857A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−323711 |
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