| 【発明の名称】 |
回転数適応式振動吸収装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】ウォルフガング・プレステル
【氏名】ハンス−ゲルド・エッケル
|
| 【要約】 |
【課題】公知の装置を改良して、特に長い寿命と確実な作動性を得ることができる回転数適応式振動吸収装置を提供する。
【解決手段】本発明の回転数適応式振動吸収装置は、ハブ部分17に、周方向に隣接する複数の慣性質量体19が、それぞれ周方向に隣接する2つの保持部21内に支承され、保持部はピン1を含み、このピンは慣性質量体及びハブ部分の互いに逆方向に湾曲した曲線軌道27、29上を転動可能であり、これによって回転運動に重畳する回転振動の発生時に、湾曲した作動軌道に沿って回転軸からの慣性質量体の間隔が縮まり、さらに各ピンが、中空室5を取囲む外殻3を有し、中空室5が、空所のままにされるか、又は外殻3の密度より低い密度の材料7で充填されることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転軸(15)を中心として回転可能な、ハブ部分(17)を含むシャフト用の回転数適応式振動吸収装置であって、該ハブ部分に、周方向に隣接する複数の慣性質量体(19)が、それぞれ周方向に隣接する2つの保持部(21)で支承され、該保持部がピン(1)を含み、該ピンが、前記慣性質量体(19)及び前記ハブ部分(17)の互いに逆方向に湾曲した曲線軌道(27、29)上を転動し、それによって回転運動に重畳する回転振動の発生時に、湾曲した作動軌道に沿って回転軸からの慣性質量体の間隔が変化する回転数適応式振動吸収装置において、前記ピン(1)が、中空室(5)を取囲む外殻(3)をそれぞれ有し、該中空室(5)が、空所のままであるか、又は前記外殻(3)の密度より低密度の材料(7)で充填されていることを特徴とする回転数適応式振動吸収装置。 【請求項2】 前記外殻(3)の外側表面が耐摩耗性の被覆(9)で覆われている、請求項1に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項3】 前記外殻(3)が管から形成されている、請求項1又は2に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項4】 前記ピン(1)が、前記中空室(5)内へ突き出す補強リブ(11)を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項5】 前記補強リブ(11)が、前記ピン(1)の長手方向と平行に延在する、請求項4に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項6】 前記補強リブ(11)が、前記ピン(1)の長手方向に垂直に延在することを特徴とする、請求項4に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項7】 前記補強リブ(11)が、前記中空室(5)内へ装入された少なくとも1つの補強部材(13)の構成部材から形成されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項8】 前記補強部材(13)が少なくとも1つのリング又は螺旋形部材であることを特徴とする、請求項7に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項9】 前記リング又は螺旋形部材が、少なくとも1つの部分区域で前記ピン(1)の長手方向に対し横向きに配置された長方形断面部を有する、請求項8に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項10】 前記中空室(5)内の前記材料(7)が事実上変形されない材料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項11】 回転軸(15)を中心として回転可能な、ハブ部分(17)を含むシャフト用の回転数適応式振動吸収装置であって、該ハブ部分に、周方向に隣接する複数の慣性質量体(19)が、それぞれ周方向に隣接する2つの保持部(21)で支承され、該保持部がピン(1)を含み、該ピンが、前記慣性質量体(19)及び前記ハブ部分(17)の互いに逆方向に湾曲した曲線軌道(27、29)上を転動し、それによって回転運動に重畳する回転振動発生時に、湾曲した作動軌道に沿って回転軸からの慣性質量体の間隔が変化する回転数適応式振動吸収装置において、前記ピン(1)が曲線軌道(27、29)上を転動可能であり、該曲線軌道がアンチスリップ流体によって潤滑されていることを特徴とする、回転数適応式振動吸収装置。 【請求項12】 前記ピン(1)が曲線軌道(27、29)上を転動可能であり、該曲線軌道がアンチスリップ流体によって潤滑されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項13】 前記アンチスリップ流体の粘性が圧力下で飛躍的に増大する、請求項11又は請求項12に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項14】 前記アンチスリップ流体が環状脂肪族の炭化水素類の合成オイルを含有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項15】 前記ピン(1)が第1補助部材(49)を備え、該第1補助部材が、曲線軌道(27、29)の相応に形成された第2補助部材(51)と係合して周方向の滑り及び/又は軸方向相対変位を防止可能である、請求項1〜14のいずれか1項に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項16】 前記第1と第2補助部材(49、51)が、互いに係合する突出部と溝として構成されている、請求項15に記載された回転数適応式振動吸収装置。 【請求項17】 前記突出部と溝の係合する区域が円錐面である、請求項16に記載された回転数適応式振動吸収装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸を中心として回転可能な、ハブ部分を含むシャフト用の回転数適応式振動吸収装置に関する。より詳細には、周方向で隣接する複数の慣性質量体が、それぞれ周方向で隣接する2つの保持部でハブ部分に支承されており、これらの保持部がピンを含み、このピンが互いに逆方向に湾曲した慣性質量体及びハブ部分の曲線軌道上を転動し、それによって回転運動に重畳する回転振動の発生時に、湾曲した作動軌道に沿って回転軸からの慣性質量体の間隔が変化する回転数適応式振動吸収装置に関する。 【0002】 【従来の技術】係る回転数適応式振動吸収装置は、DE 19631989 C1により公知である。 【0003】周期的に作動する機械の軸、例えば内燃機関のクランク軸には、回転運動に重畳する回転振動が発生する。この回転振動は回転運動に起因して発生し、その振動数は回転軸の回転数と共に変化する。回転振動を低減するために、振動吸収装置が備えられる。振動吸収装置は、機械のすなわち回転軸の比較的広い回転数域にわたって、理想的には回転数全域にわたって回転振動を吸収し得る場合に、回転数適応式振動吸収装置と呼ばれる。 【0004】回転数適応式振動吸収装置の基本原理は、回転運動が開始されると、慣性質量体が遠心力により回転軸を中心として回転軸から可能な最大間隔で、すなわち回転軸から可能な限り離れて回転しようとすることにある。回転運動に重畳する回転振動は、半径方向内側への複数の慣性質量体の相対運動を発生させる。このような振動吸収装置は、回転数に比例する固有振動数を有しているので、その回転数に比例する振動数を有する回転振動を、広い回転数域にわたり吸収可能である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知の回転数適応式振動吸収装置には、ピン/曲線軌道の転動対に摩耗が生じるため、望ましい長い寿命が得られないという欠点がある。 【0006】したがって本発明の基本課題は、公知の回転数適応式振動吸収装置を改良して、特に長い寿命と確実な作動性を得ることにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】この課題は、冒頭に記載した形式の回転数適応式振動吸収装置において、各ピンが中空室を取り囲む1つの外殻を有し、この中空室が、空所のままにされるか、又は外殻の密度より低い密度の材料を充填されることによって解決された。 【0008】このような構成によって、回転数適応式振動吸収装置の寿命及び作動の確実性は明らかに改善される。ハブ部分に対する慣性質量体の相対運動に際して、ピンは、ハブ部分と慣性質量体との曲線軌道に沿って転動する。ピン/曲線軌道の転動対に対する押圧力は、実質的に軸の回転数によって決まる。本発明の構成によれば、ピンは、慣性質量体とハブ部分との相対運動に容易に追従し得るので、ピンが、湾曲した曲線軌道に対し転動運動をせずに滑り運動を行う事態が避けられる。これに伴う驚くべき利点は、本発明によれば、ピンと曲線軌道との間に潤滑剤を使用して、ピン/曲線軌道の転動対の摩擦力を低減することで、寿命をさらに長くし得ることである。摩擦力をこのように低減すると、基本的にピンの滑る危険性が高まる。なぜなら、潤滑剤の使用により、ピン/曲線軌道の接触点に加わる接線力が減少するからである。しかしこのような危険性は、本発明による好ましい方法で補償することが可能となる。 【0009】回転数適応式振動吸収装置の耐久性は、外殻の外側表面を耐摩耗性被覆により取り囲むことでさらに高められる。 【0010】ピンの製造は、ピンの外殻を管で形成することで、特に単純化される。 【0011】本発明の好ましい構成によれば、中空室内に突き出す補強リブが設けられている。これらの補強リブによって、ピンの安定性が高まると同時に、ピンの重量を低減することできる。 【0012】本発明の思想を更に発展させることにより、補強リブをピンの長手方向と平行に延伸させることができる。このようなピンは特に簡単かつ安価に製造可能である。本願でピンの長手方向とは、ピンの中心軸と平行な方向を意味する。 【0013】他方、補強リブがピンの長手方向に対し横方向に延びるように、すなわちピンの長手方向に垂直に延伸させることで、特に高い安定性が達成される。 【0014】特に、補強リブが、中空室内へ挿入された少なくとも1つの補強部材の構成部分から形成されるようにすることで、製造はさらに簡単になる。この構成の場合、ピンの安定性は、次のようにすることでさらに高められる。すなわち、補強部材がピンの中空室内に付勢されて配置され、それにより半径方向外側へ作用する力を補強部材がピンの外殻へ及ぼすようにするのである。 【0015】好ましい構成によれば、補強部材が少なくとも1つのリング又は螺旋状部材から形成される。 【0016】特に高い安定性を得ると同時にピンの重量を低減するには、リング又は螺旋状部材が、その部材の少なくとも一部分の区域でピンの長手方向に対し横向きに配置される長方形断面部を有するように、すなわちリング又は螺旋状部材の断面形状の少なくとも一部分が、ピンの長手方向よりも長手に垂直な方向に長い長方形であるようにする。すなわちリング又は螺旋状部材が、少なくとも一部分の区域でピンの長手方向に積み重ねられるように配置される。 【0017】ピンの耐圧縮荷重特性は、中空室内の材料が事実上変形されないことによってさらに改善される。事実上変形されないとは、使用において負荷される圧縮力により変形しないことを意味する。本発明に適合する材料としては、特にエポキシ樹脂、金属焼結体、エキスパンドアルミニウム(geschaumtes Aluminium)、フェノール樹脂、磁器、工業用セラミックを挙げることができる。これらの材料は、例えば高張力鋼(hochtestem Sthal)で製造され得る外殻と比較して、密度が小さく、かつまた形状安定性が高いため、ピンの強度が高められる。好ましくは、熱膨張係数が近い材料を使用して、温度変化によりピンに誘導される応力が低減されるようにする。 【0018】本発明の基本課題は、冒頭に記載した形式の回転数適応式振動吸収装置において、ピンが、アンチスリップ流体(Traktionsfluid)で潤滑された曲線軌道上の接点を転動されることによっても解決される。アンチスリップ流体の使用は摩擦伝動装置に関して公知である。振動吸収装置にこの種の潤滑剤を使用することで、振動吸収装置の寿命が驚くほど長くなる。この種の潤滑剤すなわちアンチスリップ流体は、一方でピン/曲線軌道の転動対を十分に潤滑するが、他方では曲線軌道上でのピンの滑りを確実に防止する。 【0019】さらなる改善は、アンチスリップ流体の粘性が圧力下において飛躍的に増大することによって達成される。これによって、作動中に高圧下にあるピン/曲線軌道の転動対には、ピンが確実に転動運動を行うことを保証する摩擦力が実現される。 【0020】特に好ましくは、アンチスリップ流体が環状脂肪族(cycloaliphatischen)の炭化水素類の合成オイルを含有することであることが示される。 このような合成オイルとしては、水素添加ジシクロペンタジエンを挙げることができ、例えばMonsanto社製のSantoracを例示することができる。 【0021】本発明の特に好ましい構成は、次のようにすることで達成できる。すなわち、ピンに第1補助手段を設け、これらの第1補助手段が、周方向の滑り及び/又は軸方向相対変位を防止する目的で、曲線軌道の相応に形成された第2補助手段と係合できるようにするのである。互いに係合する補助手段により、ピンが回転運動を行うことが保証される。 【0022】第1及び第2補助手段は、突出部と溝との相互係合によって形成できる。これらの突出部と溝とは、ピンと曲線軌道とのかみ合わせもしくは歯として構成することができる。 【0023】特に有利な構成は、突出部と溝の接触もしくは係合する区域が円錐面をなすことにより達せられる。本願において突出部と溝の係合する区域が円錐面をなすとは、例えばピンに設けられた第1補助手段が歯車として形成される場合には、その歯車のピッチ面、基準ピッチ面が円錐を形成することを意味する。 【0024】 【発明の実施の形態】以下において本発明の具体的な実施態様について図面を用いて説明する。 【0025】図1と図2には、中空室5を取囲む外殻3を有するピン1が示されている。 【0026】外殻3は、円形横断面を有する、高張力鋼製の管である。両側が開放された管状の外殻3の内面により中空室5が画定される。 【0027】中空室5内には、外殻3より密度の低い材料7が充填されている。中空室5内の材料7としては、事実上変形されない材料が用いられる。本発明によれば、このような材料は特にエポキシ樹脂、金属焼結体、エキスパンディッドアルミニウム、フェノール樹脂、磁器、工業用セラミックが対象になる。これらの材料により、ピン1の外殻3は、ピン1の半径方向に支えられ、それによりピン1の安定性を高めることができる。同時に、材料7の密度が外殻3の密度より低いために、ピン1の重量は低減される。 【0028】圧縮不能すなわち事実上変形されない材料7を充填されるピン1の製造は、中空室5に材料7、例えばエポキシ樹脂を注入することで可能になる。しかしまた、例えば磁器又はセラミック製の材料片を用意して、その外側にピン1の管状外殻3を焼きばめすることも可能である。こうすることで、ピン1の寿命に好影響を与えるプリストレス、予圧をピン1に与えることができる。 【0029】外殻3の外側には、耐摩耗性の被覆9が設けられている。この被覆9によって、ピン1の摩耗を最小限に抑えることができる。被覆は、例えば通常耐摩耗性の被覆として使用される硬質材料からなる硬化層から形成することができる。 【0030】図3に示した本発明によるピン1の実施態様の場合、管状に構成された外殻3の内面に、中空室5内に突き出す補強リブ11が設けられている。補強リブ11は、圧縮や曲げ応力に対するピン1の耐負荷特性を高める。この場合には補強リブ11は、ピン1の長手方向と平行にピン1の全長にわたって延在している。代替的にはあるいはまた補強リブ11は、ピン1の長手方向に垂直に設けてもよい。 【0031】図4にはピン1の片側だけの縦断面図を示す。ここに見られるように、外殻3は同じように管状に構成されている。中空室5内には、複数の補強部材13が装着されており、この補強部材が外殻3の半径方向の耐負荷特性を高めている。補強部材13は、中空室5同様、円形横断面を有し、ポット状すなわち一方の底面が閉じた円筒形状に構成されている。補強部材13は、弾性変形により外殻3の内面に密接することで中空室5内に保持されている。あるいはまた補強部材13は、本発明によればリング(図5A)又は螺旋状(図5B)部材として構成することもできる。このリング又は螺旋状部材は、少なくとも一部の区域がピン1の長手方向に対し横方向に配置された長方形断面部RCを有しているのが好ましい。すなわちリング又は螺旋状部材の断面形状が、ピン1の長手方向に対して横長の長方形であることが好ましい。 【0032】図6には、回転軸15を中心として回転するシャフト(図示せず)用の回転数適応式振動吸収装置を示す。この装置は、ハブ部分17と周方向に隣接する複数の慣性質量体19とを有する。ハブ部分17は、各慣性質量体19に対しそれぞれ周方向で隣接する2つの保持部21を有し、これにより慣性質量体19がハブ部分17に支承される。なおM1はケーシングの一部であり、M2は組立のための取り付け部であり、M3はハブ部分の凹所であり、M4は部品取り付けのためのボアである。 【0033】各保持部21は、ハブ部分17内の穴23とこれに受容されるピン1とによって形成される。このときハブ部分17の回転軸15と平行に延在する長手軸線を有するピン1は、慣性質量体19に貫通部として構成された穴25内へ延びている。 【0034】ハブ部分17は、穴23を画定する曲線軌道27を有し、慣性質量体19は穴25を画定する曲線軌道29を有している。曲線軌道27、29とピン1とは、慣性質量体19が振り子運動を行なってハブ部分17に対し移動し得るように構成され、配置されている。その場合、ピン1は、互いに逆方向に湾曲した曲線軌道27、29上を転動する。ここで逆方向に湾曲したとは、ハブ部分1と慣性質量部材2のそれぞれの湾曲した部分が、互いに向かい合うように配置されていることを意味し、すなわちハブ部分17内の曲線軌道27は、その湾曲した部分が回転軸15の方向を向いているのに対し、慣性質量体19内の曲線軌道29は、その湾曲した部分が回転軸15とは反対の外側に向いている。 【0035】軸の回転運動に重畳する回転振動が発生すると、慣性質量体19は、図6に示した中間位置から、曲線軌道27、29とピン1とにより画定される湾曲した作動軌道、移動軌道に沿ってハブ部分17に対し移動する。このようにして、回転軸15からの慣性質量体19の重心の間隔が変化し縮まり、それによって慣性質量体19から曲線軌道27、29を経てハブ部分17へ及ぼされる力が振動を吸収する。所与の回転数の時に励起される振動数が振動吸収装置の固有振動数に合致する場合に、この振動吸収は最適となる。その際振動吸収装置の固有振動数は軸の回転数に比例して変化する。 【0036】慣性質量体19は、加えて穴25内に曲線軌道29に対向する位置に案内軌道31を有し、これにより、穴25は、回転軸15と反対の方向に開口する概略U字形すなわち反対の方向を向いたU字形をなすことになる。これに対応して曲線軌道27に対向する位置の、穴25内の案内軌道31と対応する案内軌道33も、同様にハブ部分17の保持部21内に形成されている(図7参照)。 【0037】曲線軌道27、29及び案内軌道31、33は、ハブ部分17及び慣性質量体19内から脱落しないように、すなわち紛失不能に受容されている挿入部材41、43の構成部分を形成している。また挿入部材41、43は、先ず密着させずに挿入され、案内軌道31、33を支持する層45、47を後から形成して、さらにハブ部分17ないし慣性質量体19と接着することができる。 【0038】図7に示した、回転軸15に沿った横断面図には、ハブ部分17のところでの慣性質量体19の配置と支承部とが示されている。図7に示した実施態様では、慣性質量体19が対をなしてハブ部分17内の軸方向両側に隣接配置されている。しかし他の実施態様では、また慣性質量体19を、ハブ部分17によって軸方向両側で包み込むように配置することもできる。 【0039】保持部21を形成する外側ハブ部分17は、ハブ部分17に対しシールするキャップ35により包込まれているため、ハブ部分17と慣性質量部材19とキャップ35によりチャンバ37が形成される。チャンバ37内には、潤滑剤が収容されている。潤滑剤は、特に慣性質量体19内に形成されている開口39を介してピン1と、ピン1が転動する曲線軌道27、29へと達する。振動吸収効果が著しく損なわれるほどに、ハブ部分17に対する慣性質量体19の振り子運動が阻害されることがないように、チャンバ37には僅かな部分にだけ、チャンバ37の一部分にだけ潤滑剤が充填されている。 【0040】曲線軌道27、29用の潤滑剤として、圧力下で粘性が飛躍的に増大するアンチスリップ流体が使用される。これによって、ピンが、曲線軌道上での滑り運動により早期に摩耗することが確実に防止される。アンチスリップ流体としては、環状脂肪族の炭化水素類の合成オイルを使用できる。例えば、このような合成オイルとしては、水素添加ジシクロペンタジエンを挙げることができ、Monsanto社製のSantoracを使用することができる。このような潤滑剤を本発明の如く使用することによって、回転数適応式振動吸収装置の寿命は著しく高められる。 【0041】図8は、本発明によるピン1の別の実施態様を、曲線軌道29の一部と共に略示したものである。ピン1は第1補助部材49を備え、これらの第1補助部材は、曲線軌道29の相応に形成された第2補助部材51と係合されて、周方向の滑り及び/又は軸方向相対変位を防止可能である。第1と第2補助部材49、51は、互いに係合する突出部と溝として構成されている。これらの突出部と溝とは、例えば、曲線軌道27、29及びピン1の、互いにかみ合うかみ合わせもしくは歯として構成することができる。図8の破線で示す個所は、第1及び第2補助部材が歯車として形成される場合のピッチ面、基準ピッチ面である。さらにこの場合、図9にその断面の要部を示すように、ピン1と曲線軌道27、29とは、突出部が溝に円錐面区域で接触するように構成することができる。すなわちピン1の基準ピッチ面Pが円錐形の一部分となるように構成することができる。 【0042】 【発明の効果】回転軸15を中心として回転可能な、ハブ部分17を含むシャフト用の回転数適応式振動吸収装置である。このハブ部分に周方向に隣接する複数の慣性質量体19が、それぞれ周方向に隣接する2つの保持部21内に支承されている。これらの保持部は、慣性質量体19及びハブ部分17の互いに逆方向に湾曲した曲線軌道27、29上を転動可能なピン1を含み、それによって回転運動に重畳する回転振動の発生時に、湾曲した作動軌道に沿って回転軸からの慣性質量体の間隔が変化する。さらに各ピン1が、中空室5を取囲む外殻3を有し、中空室5が、空所のままにされるか、又は外殻3の密度より低い密度の材料7で充填される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】590002345 【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク
|
| 【出願日】 |
平成11年7月9日(1999.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063897 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 馨 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−46115(P2000−46115A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−196380 |
|