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【発明の名称】 スタビライザブッシュ
【発明者】 【氏名】林 直樹

【要約】 【課題】中心孔が設けられた筒状ゴム弾性体からなり、中心孔において車両のスタビライザバ−に外挿装着されて、スタビライザバ−を車両のボデ−に弾性支持せしめるスタビライザブッシュにおいて、軸直角方向のばね剛性を高くすると共に、製作性および装着性の向上を図ること。

【解決手段】軸方向に貫通する中心孔16が設けられた筒状ゴム弾性体18から構成されるスタビライザブッシュ10において、円周上の一箇所に開口部54を有する断面C字形状をもって軸方向に延びる形状を呈し、開口部54に略対向位置する周方向略中央部分に、所定長さで軸方向に直線的に延びる窓部56が設けられたインタリング金具20を、筒状ゴム弾性体18の筒壁部内に埋設せしめて、中心孔16の周りに位置するように配設すると共に、インタリング金具20の開口部54と同じ位置において筒状ゴム弾性体18を分断せしめて、軸方向全長に亘って延びる装着用開口52を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸方向に貫通する中心孔が設けられた筒状ゴム弾性体からなり、該中心孔において車両のスタビライザバ−に外挿装着されると共に、外周面において車両のボデ−に取り付られることにより、該スタビライザバ−を該ボデ−に弾性支持せしめるスタビライザブッシュにおいて、円周上の一箇所に開口部を有する、断面C字形状をもって軸方向に延びるインタリング金具を、前記筒状ゴム弾性体の筒壁部内に埋設せしめて、前記中心孔の周りに位置するように配設する一方、該筒状ゴム弾性体を、前記インタリング金具の開口部位置において分断せしめて、軸方向全長に亘って延びる装着用開口を設けると共に、該インタリング金具の前記開口部に略対向位置する周方向略中央部分に、該インタリング金具の軸方向長さの全長に至らない長さで軸方向に直線的に延びる窓部を設けたことを特徴とするスタビライザブッシュ。
【請求項2】 前記インタリング金具が、前記筒状ゴム弾性体の軸方向略全長に亘って配設されており、且つ該筒状ゴム弾性体が、該インタリング金具を挟んで内周側と外周側とに実質的に二分割構造とされている請求項1に記載のスタビライザブッシュ。
【請求項3】 前記インタリング金具における窓部が、該インタリング金具の軸方向の両端部に達しない長さにおいて、一つ形成されており、該窓部の軸方向両側に位置するインタリング金具部分が、該窓部の周方向両側に位置するインタリング金具部分を相互に連結する一対の連結部とされている請求項1又は2に記載のスタビライザブッシュ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、スタビライザバ−に装着されて、該スタビライザバ−を車両のボデ−に弾性支持せしめるスタビライザブッシュに係り、その構造の改良により、軸直角方向の大きなばね剛性と、優れた製作性や装着性を同時に実現したスタビライザブッシュに関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車等の車両において、操縦安定性や乗り心地等を向上させるために用いられているスタビライザブッシュは、良く知られているように、車両左右両側のサスペンションア−ムを連結するスタビライザバ−の中間部位と車両のボデ−との間に介挿されて、スタビライザバ−を車両のボデ−に弾性支持せしめるものであって、通常、軸方向に貫通する中心孔を有する筒状ゴム弾性体にて構成され、その外周面が適当な取付金具によってボデ−に取り付けられる一方、その中心孔においてスタビライザバ−に外挿装着されるようになっている。
【0003】ところで、このようなスタビライザブッシュでは、操縦安定性を向上させるために軸直角方向のばね剛性を大きくすることが要求されているが、従来のようにゴム弾性体単体で構成されるスタビライザブッシュにあっては、耐久性や摺動性、成形性等によるゴム材料の選択自由度の制限から、軸直角方向のばね剛性を大きくすることが困難であるといった問題があった。
【0004】そこで、このような問題に対する対策の一つとして、特開昭60−180619号公報には、断面が円弧状形状を有する一対の補強金具を、軸直角方向で対向位置するようにして、スタビライザブッシュを構成するゴム弾性体内に埋設した構造が示されている。ところが、このようなスタビライザブッシュにあっては、その成形工程において、一対の互いに連結されていない補強金具をゴム弾性体の成形型内の所定位置に固定的に位置決めしておくことが難しく、製造が困難であるという問題を内在していた。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、軸直角方向の剛性を大きくすることが出来ると共に、優れた製作性および装着性を達成し得る、新規な構造のスタビライザブッシュを提供することにある。
【0006】
【解決手段】 そして、このような課題を解決するために、本発明にあっては、軸方向に貫通する中心孔が設けられた筒状ゴム弾性体からなり、該中心孔において車両のスタビライザバ−に外挿装着されると共に、外周面において車両のボデ−に取り付られることにより、該スタビライザバ−を該ボデ−に弾性支持せしめるスタビライザブッシュにおいて、円周上の一箇所に開口部を有する、断面C字形状をもって軸方向に延びるインタリング金具を、前記筒状ゴム弾性体の筒壁部内に埋設せしめて、前記中心孔の周りに位置するように配設する一方、該筒状ゴム弾性体を、前記インタリング金具の開口部位置において分断せしめて、軸方向全長に亘って延びる装着用開口を設けると共に、該インタリング金具の前記開口部に略対向位置する周方向略中央部分に、該インタリング金具の軸方向長さの全長に至らない長さで軸方向に直線的に延びる窓部を設けたことを特徴とするスタビライザブッシュを、その要旨とするものである。
【0007】このような本発明に従う構造とされたスタビライザブッシュにおいては、筒状ゴム弾性体に設けられた中心孔の周りを取り囲むようにして、インタリング金具が筒状ゴム弾性体の筒壁部内に埋設されていることから、軸直角方向で大きなばね剛性を設定することが出来るのであり、前記特開昭60−180619号公報に記載の一対の補強金具を備えたスタビライザブッシュよりも更に大きなばね剛性を容易に得ることも可能となるのである。
【0008】また、本発明に従う構造とされたスタビライザブッシュにおいては、装着用開口を拡開して、該装着用開口からスタビライザバ−を軸直角方向に嵌め込んだ後、装着用開口を閉じることにより、スタビライザバ−に外挿装着することが出来る。その際、装着用開口を拡開するためには、インタリング金具の開口部も併せて拡開する必要があるが、インタリング金具の窓部が設けられている部位において、曲げ強さ(曲げに対する抗力)が小さくされていることから、窓部の形成部位でインタリング金具を比較的容易に湾曲乃至は屈曲させることが出来るのであり、それ故、インタリング金具の開口部、ひいてはスタビライザブッシュの装着用開口を小さな力で容易に拡開することが出来るのである。しかも、インタリング金具における窓部は、開口部に対して径方向で略対向位置せしめられていることから、該窓部の形成部位で湾曲乃至は屈曲させることによって、開口部(装着用開口)において大きな開口幅を容易に得ることが出来るのである。
【0009】さらにまた、前記インタリング金具が、周方向に連続した断面C字形状をもって形成されているところから、インタリング金具を備えた筒状ゴム弾性体を一体加硫成形する場合にも、該インタリング金具を筒状ゴム弾性体の成形型内の所望の位置に、容易に且つ有利に位置決め支持することが可能となり、優れた製造性が実現されるのである。
【0010】また、本発明においては、インタリング金具が、筒状ゴム弾性体の軸方向略全長に亘って配設されており、且つ該筒状ゴム弾性体が、該インタリング金具を挟んで内周側と外周側とに実質的に二分割構造とされた構成が有利に採用される。このような構成を採用すれば、インタリング金具が筒状ゴム弾性体の軸方向略全長に亘って配設されることから、スタビライザブッシュにおいて軸直角方向のばね剛性を一層有利に得ることが出来る。また、筒状ゴム弾性体が、インタリング金具を挟んで内周側と外周側とに実質的に二分割構造とされていることから、内周側と外周側とで、筒状ゴム弾性体の材質を異ならせることが可能であり、例えば、内周側のゴム弾性体に、摺動性および耐摩擦性に優れたゴム組成物を用いてスタビライザバ−との接触部位を形成すると共に、外周側のゴム弾性体として、ばね剛性の大きいゴム組成物を採用することも可能である。
【0011】さらに、本発明においては、インタリング金具における窓部が、該インタリング金具の軸方向の両端部に達しない長さにおいて、一つ形成されており、該窓部の軸方向両側に位置するインタリング金具部分が、該窓部の周方向両側に位置するインタリング金具部分を相互に連結する一対の連結部とされてなる構造が有利に採用される。このような構造を採用すれば、スタビライザブッシュのスタビライザバ−への装着性が更に向上せしめられるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0013】先ず、図1〜図2には、本発明の一実施形態としてのスタビライザブッシュたるブッシュ10が、スタビライザバ−12に装着されると共に、車両のボデ−14に取り付けられた状態で示されている。かかるブッシュ10は、車両のスタビライザバ−12に装着されて、該スタビライザバ−12を車両のボデ−14に対して弾性支持せしめるものであって、軸方向に貫通する中心孔16が設けられた、筒状形状を有する、筒状ゴム弾性体としての本体ゴム弾性体18によって形成されており、中心孔16の周りに位置すると共に該中心孔16の中心軸方向に延びる、インタリング金具としてのインタリング20が、本体ゴム弾性体18の筒壁部内に埋設せしめられている。そして、かかるブッシュ10は、本体ゴム弾性体18に設けられた中心孔16において、スタビライザバ−12に外挿装着されると共に、ブッシュ10の外周面に取付金具たるブラケット22が装着され、該ブラケット22が車両のボデ−14に設けられた取付部24に固定されることにより、ブラケット22を介して車両のボデ−14に取り付けられるようになっている。
【0014】より詳細には、本体ゴム弾性体18は、所期の製品性能に応じて、所定のゴム材料、例えば、一般的な天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等といった特殊合成ゴム等のゴム原料に、加硫剤や補強剤等を配合してなるゴム組成物にて形成されたものであって、図1〜図5に示されているように、インタリング20を挟んで径方向内側に位置する内側ゴム弾性体26と、径方向外側に位置する外側ゴム弾性体28から構成されており、インタリング20がそれら内外側ゴム弾性体26,28に加硫接着されているのである。そして、かかる内外側ゴム弾性体26,28の軸方向長さが、双方ともインタリング20の軸方向長さよりも僅かに小さくなるようにして、即ち、それら内外側ゴム弾性体26,28からなる本体ゴム弾性体18の軸方向両端部よりもインタリング20の軸方向両端部が突出するようにして、ブッシュ10が構成されているのである。要するに、インタリング20が、本体ゴム弾性体18の軸方向略全長に亘って配設されているのであり、本体ゴム弾性体18が、インタリング20を挟んで内周側と外周側とに実質的に二分割構造とされているのである。
【0015】そして、かかる外側ゴム弾性体28は、インタリング20の外径寸法と略同じ大きさで軸方向全長に亘って貫通する内孔30を備えた筒状形状をなしている。具体的には、その軸直角方向断面において、外周の略1/2周部分が円弧形状を呈する円筒底部32と、該円筒底部32の周方向両端部から接線方向に延びる両側側壁部34,34と、該両側側壁部34,34に対して垂直とされて、それら側壁部34,34を連結する、車両のボデ−14に設けられた取付部24の形状(本実施形態では、平面形状)に対応した取付平坦部36とから構成されており、全体として略鞍型乃至は蒲鉾型形状を呈している。また、取付平坦部36は、中心孔16の中心軸方向に平行となるように形成されており、以て、車両のボデ−14の取付部24に対して平行に、スタビライザバ−12を弾性支持せしめるようになっているのである。
【0016】また、外側ゴム弾性体28における円筒底部32および両側側壁部34,34には、その軸方向両端部において軸直角方向外方に向かって隆起するストッパ突部38,38が形成されるている。また一方、軸方向中間部分は、ストッパ突部38よりも小径とされており、その外周面には、ストッパ突部38,38間において、ストッパ凹部44が形成されている。
【0017】さらに、かかる外側ゴム弾性体28の軸方向両端面46,46には、それぞれインタリング20の外周面に沿って周方向に連続して延びるすぐり部48が、軸方向に所定の深さで形成されており、各軸方向端面46に開口せしめられている。そして、これらすぐり部48,48が、本体ゴム弾性体18(外側ゴム弾性体28)の圧縮変形時におけるゴムの逃げ部等として作用するようになっている。
【0018】また一方、内側ゴム弾性体26は、内側に中心孔16を有する略厚肉円筒形状を有しており、その内径寸法、即ち、中心孔16の径寸法は、ブッシュ10を外挿装着せしめるスタビライザバ−12の外径寸法と略同じとされている。一方、該内側ゴム弾性体26の外径寸法は、インタリング20の内径寸法と同じ大きさとされて、内側ゴム弾性体26の外周面がインタリング20に接着されている。
【0019】特に、本実施形態においては、内側ゴム弾性体26に対して、内周面の1/4周弱の周方向長さと所定の肉厚をもって径方向(軸直角方向)内方に突出する一対のゴム突部50,50が一体形成されており、外側ゴム弾性体28の取付平坦部36の法線方向に対して略45°傾斜する方向で互いに対向位置せしめられている。また、該ゴム突部50の軸方向長さについては、内側ゴム弾性体26側では内側ゴム弾性体26の軸方向長さと等しくされている一方、径方向内周側では内側ゴム弾性体26の軸方向長さよりも僅かに小さくされており、即ち、ゴム突部50の断面(図4参照)が台形形状をもって形成されている。これによって、スタビライザバ−12への装着後の安定性を有利に確保出来ると共に、後述するスタビライザバ−12への装着に際して、ゴム突部50が弾性変形しても、該ゴム突部50を形成するゴムが内側ゴム弾性体26の軸方向両端部よりも外方に大きくはみ出すことが有利に防止されるのである。
【0020】また、外側ゴム弾性体28におけるストッパ突部38が形成されていない軸方向中間部分の肉厚と、内側ゴム弾性体26におけるゴム突部50が設けられていない部分の肉厚は、略同じ大きさをもって構成されている。それによって、ブッシュ10の軸方向中間部分において、インタリング20が本体ゴム弾性体18の厚さ方向略中央部分(略1/2部分)に配設されているのである。
【0021】また更に、ブッシュ10には、外側ゴム弾性体28の取付平坦部36に平行となる切り口をもって、軸方向全長に亘って延びる、装着用開口52が設けられている。そして、この装着用開口52によって、内外側ゴム弾性体26,28からなる本体ゴム弾性体18が、円周上の一箇所において分断されているのである。なお、この装着用開口52は、ブッシュ10のスタビライザバ−12への装着前にあっては、図3に示されている如く、所定の開口幅をもって僅かに開口するように形成されているのである。
【0022】一方、インタリング20は、図6〜7に示されているように、軸方向全長に亘って内外径が略一定とされた直管状の円筒形状を有しており、その円周上の一箇所に軸方向全長に連続して延びる開口部54が形成されることによって、断面C字形状とされている。かかるインタリング20は、荷重入力時において実質的に塑性変形しない強度を有するものであれば良く、例えば、熱間圧延や冷間圧延によって得られた圧延鋼板にプレス曲げ加工を施すことによって形成される。なお、開口部54の開口幅は、スタビライザバ−12への装着前における装着用開口52の開口幅よりも僅かに大きくされている。また、インタリング20の軸方向長さは、上述した如く、本体ゴム弾性体18の軸方向両端部よりもインタリング20の軸方向両端部が突出するように、本体ゴム弾性体18の軸方向長さよりも僅かに大きくされている。更にまた、インタリング20の内径寸法は、本体ゴム弾性体18の中心孔16の径寸法よりも大きくされ、また、外径寸法は、インタリング20が所定肉厚を有するように設定されており、インタリング20の内周面および外周面は、それぞれ、本体ゴム弾性体18を構成する内外側ゴム弾性体26,28の外周面,内周面に加硫接着されているのである。なお、インタリング20の内径寸法および肉厚(外径寸法)は、要求される製品性能等に応じて、内外側ゴム弾性体26,28の肉厚等を考慮しつつ、設定され得る。
【0023】また、インタリング20には、その周方向略中央部分に、開口部54と径方向で略対向するようにして、窓部56が一つ形成されている。この窓部56は、インタリング20の軸方向の両端部に達しない長さで、所定の周方向幅をもって、軸方向に直線的に形成されている。要するに、インタリング20は、該窓部56の周方向両側に位置する上側分割部58および下側分割部60と、窓部56の軸方向両側に位置して、それら両側分割部58,60を連結する一対の連結部62、62が、一体的に形成されてなる構造を有しているのである。
【0024】なお、かかる窓部56は、前記プレス曲げ加工が施される前に、圧延鋼板に対して、所望の寸法,形状をもって、プレス機による打ち抜き加工等にて形成される。また、窓部56の軸方向幅寸法、換言すれば、各連結部62の軸方向幅寸法については、後述するブッシュ10のスタビライザバ−12への装着時における装着用開口52の拡開、即ち、インタリング20の開口部54の拡開に際して、インタリング20の容易な湾曲乃至は屈曲変形が可能であり、そのような変形に対する耐久性が確保出来るよう設定される。具体的には、各連結部62の軸方向幅寸法の上限は、インタリング20の材質や肉厚等を考慮して、好ましくは5mm以下、更に好ましくは2mm以下に設定され、また、その下限は、窓部56の形成時の打ち抜き等による加工性を考慮して設定されることが望ましく、特に本実施形態において、各連結部62の軸方向幅寸法は、略2mmに設定されている。
【0025】そして、かかるインタリング20の本体ゴム弾性体18への加硫接着は、本体ゴム弾性体18の加硫成形と同時に為されるのであり、それによって、インタリング20を備えた本体ゴム弾性体18が、一体加硫成形品にて形成される。そして、かかる本体ゴム弾性体18は、図示しない本体ゴム弾性体18の成形型内における所望の位置にインタリング20が位置決めされた後、例えば、公知の押出機等によりゴム材料が成形型内に導入され、加硫によりゴム材料が架橋されることによって、一体加硫成形されるのである。
【0026】そこにおいて、図3〜4に示される如く、本体ゴム弾性体18とインタリング20が同軸的に配されるように、インタリング20が成形型内に位置決めされる。また、本体ゴム弾性体18における装着用開口52が、インタリング20の開口部54と、周上の同じ位置に形成されるように、換言すれば、軸直角方向において、装着用開口52が、外側ゴム弾性体28の取付平坦部36に平行となる方向に延びて、外側ゴム弾性体28の一方の側壁部34の外周面から、インタリング20の開口部54を通って、本体ゴム弾性体18の中心孔16にまで至る構造をもって形成されるように、加硫成形が行われるのである。なお、かかる装着用開口52は、加硫成形と同時に形成される。
【0027】また、一体加硫成形するに際して、インタリング20を挟んで実質的に二分割構造とされた内外周両側部分にゴム材料を有利に導入して、内外側ゴム弾性体26,28を要求された形状をもって形成すると共に、内外側ゴム弾性体26,28を一体的に形成するために、インタリング20には、ゴムまわし孔64が設けられている。そして、該ゴムまわし孔64は、インタリング20における、開口部54と窓部56が配されていない周上において、それら開口部54および窓部56を結ぶ径方向に垂直となる方向で、互いに対向するようにして二つ設けられているのである。
【0028】そして、かくの如きブッシュ10は、本体ゴム弾性体18に設けられた中心孔16において、スタビライザバ−12に外挿装着されるのであるが、具体的には、図8に示される如く、インタリング20の開口部54と併せて、装着用開口52を、装着されるスタビライザバ−12の径寸法よりも大きく拡開し、拡開された装着用開口52からスタビライザバ−12を軸直角方向に嵌め込んだ後、該装着用開口52を閉塞することによって、装着されるのである。なお、かかる装着用開口52の拡開にあっては、インタリング20における連結部62、および本体ゴム弾性体18における、インタリング20の窓部56および連結部62の周辺部位からなる変形部65を中心として、本体ゴム弾性体18およびインタリング20が湾曲乃至は屈曲変形せしめられるのである。また、装着用開口52は、スタビライザバ−12への装着後も僅かに開いた状態とされる。
【0029】このようにしてスタビライザバ−12に外挿装着されたブッシュ10は、ブラケット22を介して、車両のボデ−14に取り付けられる。ここで、ブラケット22は、ブッシュ10の外周形状、即ち、本体ゴム弾性体18における円筒底部32および両側側壁部34,34の軸直角方向断面形状に対応し、円筒底部32および両側側壁部34,34の外周長さよりも僅かに小さくされた長さを有する鞍型部66と、該鞍型部66から、垂直方向外方両側に延び、車両のボデ−14に設けられた取付部24に対応した形状を呈する平板部68,68から構成されている。なお、鞍型部66の軸方向断面形状は(図2参照)、本体ゴム弾性体18のストッパ突部38およびストッパ凹部44の外形形状にも対応しているのであって、それぞれに対応した形状を有する位置決め凹部70および位置決め突部72が、ストッパ突部38およびストッパ凹部44に重ね合わされて車両のボデ−14に取り付けられることから、取付時や取付後において、ブッシュ10の、取付部24における所定取付位置からの軸方向へのずれが、効果的に防止乃至は解消されるのである。
【0030】そして、ブッシュ10の具体的な取付方法については、ブラケット22の鞍型部66を、ブッシュ10(本体ゴム弾性体18)の円筒底部32,両側側壁部34,34,ストッパ突部38,ストッパ凹部44に重ね合わせる一方、車両のボデ−14の取付部24に設けられた螺子穴74と、ブラケット22の平板部68,68において該螺子穴74に対応する位置に設けられたボルト挿通孔76(本実施例では、各四つずつ)が同軸的に重なるようにして、ブラケット22の平板部68および本体ゴム弾性体18の取付平坦部36を、車両のボデ−14の取付部24に押しつけた状態下で、取付ボルト78をボルト挿通孔76に挿通し、螺子穴74に螺着することにより、ブラケット22が、車両のボデ−14の取付部24に固着されるのであり、以て、ブッシュ10の外周面がブラケット22を介して車両のボデ−14に取り付けられる。
【0031】なお、かかるブッシュ10の取付作業に際して、円筒底部32および両側側壁部34,34の外周長さよりも僅かに小さくされた長さを有する鞍型部66から構成されるブラケット22を用いて、取付前(スタビライザバ−12への装着後)に僅かに開口していた装着用開口52を有するブッシュ10を車体のボデ−14に取り付ける本実施形態にあっては、取付時にかかる装着用開口52が殆ど閉じた状態とされるよう、ブッシュ10を効果的に締め付けることが出来るのであり、以て、取付後にあっては、スタビライザバ−12の各径方向に対する拘束力,保持力を有利に確保出来るのである。また、取付状態下において、内側ゴム弾性体26と一体形成されたゴム突部50,50が、かかる締め付けによって径方向に圧縮されると共に、中心孔16の径寸法が僅かに小さくされることから、内側ゴム弾性体26の内周面と、スタビライザバ−12が確実に当接せしめられ、スタビライザバ−12の安定した弾性支持固定が可能となっているのである。
【0032】従って、上記の如き構造とされたブッシュ10においては、ブッシュ10を構成する本体ゴム弾性体18に設けられた中心孔16の周りを取り囲む状態で、インタリング20が本体ゴム弾性体18の筒壁部内に埋設されていることから、インタリング20の有する剛性によって、ブッシュ10の軸直角方向のばね剛性が効果的に大きくされているのである。更に、本実施形態にあっては、インタリング20が本体ゴム弾性体18の軸方向略全長に亘って配設されることから、軸直角方向のばね剛性をより一層有利に得ることが出来るのである。
【0033】また、ブッシュ10のスタビライザバ−12への装着作業においては、装着用開口52を大きく開口しめて、そこから、スタビライザバ−12を嵌め込むだけで、ブッシュ10をスタビライザバ−12に外挿装着することが出来るのである。また、装着用開口52の拡開作業に際しては、装着用開口52と併せてインタリング20の開口部54が拡開せしめられるのであるが、インタリング20の窓部56によって、一対の連結部62,62における曲げ変形に対する抗力が、充分に小さくされていることから、それら連結部62,62において、手指等の小さな力で容易に湾曲乃至は屈曲させることが出来るのである。特に、本実施形態においては、窓部56が、開口部54と径方向で略対向するようにして、インタリング20の周方向略中央部分に一つだけ形成されていることから、拡開作業において、開口部54の開口幅、ひいては、装着用開口52の開口幅を容易に大きくすることが出来ると共に、拡開形状の安定性や形状復元性も有利に得ることが出来るのである。また、装着用開口52は、スタビライザバ−12への装着前にあっては、僅かに開口されていることから、拡開作業が一段と容易になっているのである。
【0034】さらに、インタリング20を備えた本体ゴム弾性体18の一体加硫成形に際しては、インタリング20が単一の部材によって形成されていることから、本体ゴム弾性体18の成形型内において容易に位置決めを行うことが出来るのであり、故に、優れた製造性が実現されるのである。また、本実施形態にあっては、インタリング20の軸方向長さが、本体ゴム弾性体18の軸方向長さよりも僅かに大きくされていることから、本体ゴム弾性体18の軸方向両端部よりも突出したインタリング20の軸方向両端部を、本体ゴム弾性体18の成形型内に固定支持することが出来るのであり、以て、インタリング20を成形型内に位置決めすることが一層容易となっているのである。
【0035】以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
【0036】例えば、前記実施形態では、インタリング20に設けられる窓部56は、軸方向および周方向に一つだけ形成されているが、窓部56の形状,幅,個数等は、何等限定されるものでなく、例えば、軸方向に不連続に延びる、二分割またはそれ以上に分割された複数の窓部56や、インタリング20の開口部54に略対向位置する周方向略中央部分に、周方向に離間した複数の窓部56を設けることも可能である。
【0037】また、前記実施形態では、装着用開口52およびインタリング20の開口部54が、外側ゴム弾性体28の一方の側壁部34の外周面に開口して、外側ゴム弾性体28の取付平坦部36に平行となる方向で延びるように設けられていたが、装着用開口52およびインタリング20の開口部54の形成位置や開口方向等は、特に限定されるものでなく、例えば、それら装着用開口52,開口部54を、取付平坦部36に垂直となる方向で、取付平坦部36の略中間部位に設けても良い。
【0038】さらにまた、装着用開口52および開口部54の形成方法についても、何等限定されるものでなく、例えば、インタリング20を鋼管の如き管体にて形成する場合には、本体ゴム弾性体18の加硫成形に際して、該管体を成形型内の所定位置に位置固定して一体加硫成形した後、切断形成により、管体を有する本体ゴム弾性体18の所定の位置に、装着用開口52,開口部54を同時に形成する方法を採用しても良く、また、装着用開口52のみを加硫成形時に形成し、加硫成形後に開口部54を切断形成することも可能である。
【0039】また、前記実施形態においては、インタリング20の軸方向長さが、本体ゴム弾性体18の軸方向長さよりも大きくされていたが、逆に、インタリング20の軸方向長さが、本体ゴム弾性体18の軸方向長さよりも小さくされても良い。
【0040】また更に、一体加硫成形するに際して、前記実施形態では、本体ゴム弾性体18の軸方向両端部よりも突出したインタリング20の軸方向両端部を成形型に固定支持することによって、インタリング20を成形型内に位置決めしているが、位置決め方法については、特に限定されるものでなく、装着用開口52を形成するために用いられる成形型部材に、インタリング20を支持せしめる方法等を採用しても良い。
【0041】また、前記実施形態にあっては、一体加硫成形により、本体ゴム弾性体18の筒壁部内に埋設せしめられていたが、埋設方法は、何等限定されるものでなく、インタリング20と略同じ形状を有する空隙が筒壁部内に形成されるよう、本体ゴム弾性体18を加硫成形した後、かかる本体ゴム弾性体18の筒壁部内に形成された空隙に、インタリング20を挿入し、該本体ゴム弾性体18に加硫接着せしめても良い。また更に、本体ゴム弾性体18におけるインタリング20の埋設位置は、本体ゴム弾性体18の筒壁部内に埋設されるのであれば、特に限定されるものでなく、求められる製品性能に応じて適宜に設定される。
【0042】そして、本体ゴム弾性体18を構成する内側ゴム弾性体26に一体形成されたゴム突部50の形成位置や大きさ、形状、数等は、前記実施形態のものに限定されるものでなく、ブッシュ10に対して求められる防振性能等に応じて適宜に変更され得るものである。また、ゴム突部50を設けることなく、内側ゴム弾性体26の内周面の全面をスタビライザバ−12に当接させても良い。
【0043】その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたスタビライザブッシュにあっては、断面C字形状のインタリングを採用したことで、軸直角方向の大きなばね剛性が確保されることから、車両への装着によって、優れた操縦安定性が実現される。また、本発明に係るスタビライザブッシュの、スタビライザバ−への外挿装着に際しても、インタリング金具に窓部を設けたことにより、装着用開口を小さな力で、手指等によって容易に拡開することが出来る。更にまた、インタリング金具を備えた筒状ゴム弾性体を一体加硫成形する場合にも、筒状ゴム弾性体の成形型内におけるインタリング金具の位置決めが簡便且つ有利に為されることから、製造が容易であると共に、目的とする製品を安定して確保することが出来るのである。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成10年7月28日(1998.7.28)
【代理人】 【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−46110(P2000−46110A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−212528