| 【発明の名称】 |
免震装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】下田 郁夫
【氏名】澤田 毅
【氏名】加治木 茂明
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| 【要約】 |
【課題】軽量化できて搬送、据え付けが容易となり、多くの時間、手間を要する切削工程を省くことができ、而して、コストの低減を図り得る免震装置を提供すること。
【解決手段】免震装置1は、上方に向かって断面円弧凹状の下側摺動面2を有して、下部構造物3に固定される下沓4と、下方に向かって断面円弧凹状の上側摺動面5を有して、上部構造物6に固定される上沓7と、下沓4の下側摺動面2の曲率と同一の曲率を有し、下側摺動面2に摺動自在に接する摺動下面8を備えると共に、上沓7の上側摺動面5の曲率と同一の曲率を有し、上側摺動面5に摺動自在に接する摺動上面9を備えて、下沓4と上沓7との間に介在された摺動体10とを具備している。下沓4は、下皿状部材21と下側充填体22とを具備しており、上沓7は、上皿状部材31と下側充填体32とを具備している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上方に向かって断面円弧凹状の下側摺動面を有して、下部構造物に固定される下沓と、下方に向かって断面円弧凹状の上側摺動面を有して、上部構造物に固定される上沓と、下沓の下側摺動面の曲率と同一の曲率を有し、下側摺動面に摺動自在に接する摺動下面を備えると共に、上沓の上側摺動面の曲率と同一の曲率を有し、上側摺動面に摺動自在に接する摺動上面を備えて、下沓と上沓との間に介在された摺動体とを具備しており、下沓は、断面円弧状の下沓凹板部を有して、板状体からなる下皿状部材と、この下皿状部材の下沓凹板部と下部構造物との間に充填された下側充填体とを具備しており、上沓は、断面円弧状の上沓凹板部を有して、板状体からなる上皿状部材と、この上皿状部材の上沓凹板部と上部構造物との間に充填された上側充填体とを具備している免震装置。 【請求項2】 下皿状部材は、その下沓凹板部の周縁に一体的に形成された下沓円筒部と、この下沓円筒部に一体的に形成された板状の下沓鍔部とを具備している請求項1に記載の免震装置。 【請求項3】 上皿状部材は、その上沓凹板部の周縁に一体的に形成された上沓円筒部と、この上沓円筒部に一体的に形成された板状の上沓鍔部とを具備している請求項1又は2に記載の免震装置。 【請求項4】 下側摺動面及び上側摺動面並びに摺動下面及び摺動上面の夫々は、円筒面の一部又は球面の一部からなる請求項1から3のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項5】 下側摺動面の曲率半径と上側摺動面の曲率半径とは、互いに同一であるか又は互いに異なる請求項1から4のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項6】 摺動体は、円柱体、角柱体、楕円柱又は半球を互いに重ね合わせた扁平体からなる請求項1から5のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項7】 下側充填体及び上側充填体の少なくとも一方は、モルタル、エポキシ系樹脂、熱可塑性若しくは熱硬化性プラスチック又はゴムからなる請求項1から6のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項8】 下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、へら絞り成形又はプレス成形により一体形成されてなる請求項1から7のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項9】 下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、耐候性鋼板から一体形成されてなる請求項1から8のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項10】 下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、ステンレス鋼板又は表面に銅若しくは亜鉛メッキを施した剛性の金属板、好ましくは鋼板からなる請求項1から9のいずれか一項に記載の免震装置。 【請求項11】 請求項1から10のいずれか一項に記載の免震装置に使用される下皿状部材、上皿状部材又は摺動体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ビル、高架高速道路、橋若しくは戸建家屋等の建築物の下部構造物である例えば基礎と上部構造物との間に介在されて、地震等による基礎の振動の上部構造物への伝達を低減して、上部構造物の倒壊等を防止する免震装置に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】免震装置として、上方に向かって凹状の摺動面を有した下沓を下部構造物に、上部構造物に、下方に向かって凹状の摺動面を有した上沓を夫々取り付けて、下沓と上沓との間に摺動体を各摺動面に摺動自在に当接させて介在させたものが知られている。 【0003】そしてこの種の免震装置における下沓及び上沓は、多くは一体鋳造されて、その後、必要な個所に切削が施されて製造されている。 【0004】ところで、一体鋳造品である下沓及び上沓等の場合、その重量が大きくなり、その搬送、据え付け等において、多くの時間、手間を要し、その上危険な作業を伴う虞があり、しかも、それの製造において切削工程を要するため、これによっても上記と相俟って多くの時間、手間を要し、結局、コストアップを招来することになる。 【0005】本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、軽量化できて搬送、据え付けが容易となり、多くの時間、手間を要する切削工程を省くことができ、而して、コストの低減を図り得る免震装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の免震装置は、上方に向かって断面円弧凹状の下側摺動面を有して、下部構造物に固定される下沓と、下方に向かって断面円弧凹状の上側摺動面を有して、上部構造物に固定される上沓と、下沓の下側摺動面の曲率と同一の曲率を有し、下側摺動面に摺動自在に接する摺動下面を備えると共に、上沓の上側摺動面の曲率と同一の曲率を有し、上側摺動面に摺動自在に接する摺動上面を備えて、下沓と上沓との間に介在された摺動体とを具備しており、下沓は、断面円弧状の下沓凹板部を有して、板状体からなる下皿状部材と、この下皿状部材の下沓凹板部と下部構造物との間に充填された下側充填体とを具備しており、上沓は、断面円弧状の上沓凹板部を有して、板状体からなる上皿状部材と、この上皿状部材の上沓凹板部と上部構造物との間に充填された上側充填体とを具備している。 【0007】請求項1の免震装置では、摺動体の摺動下面及び摺動上面が夫々摺動自在に接する下側摺動面及び上側摺動面を形成する下沓の下皿状部材及び上沓の上皿状部材が夫々板状体からなり、しかも、下沓及び上沓の夫々が、これら下皿状部材及び上皿状部材の夫々と、この下皿状部材及び上皿状部材の夫々と下部構造物及び上部構造物の夫々との間に充填された下側充填体及び上側充填体の夫々とを具備して構成されるため、プレス成形等で製造された下皿状部材及び上皿状部材を用いることができ、したがって、下沓及び上沓の夫々の軽量化を図ることができて、搬送、据え付けが容易となり、しかも、多くの時間、手間を要する切削工程を省くことができ、而して、コストの低減を図り得る。 【0008】本発明の請求項2の免震装置では、請求項1の免震装置において、下皿状部材は、その下沓凹板部の周縁に一体的に形成された下沓円筒部と、この下沓円筒部に一体的に形成された板状の下沓鍔部とを具備しており、本発明の請求項3の免震装置では、請求項1又は2の免震装置において、上皿状部材は、その上沓凹板部の周縁に一体的に形成された上沓円筒部と、この上沓円筒部に一体的に形成された板状の上沓鍔部とを具備している。 【0009】請求項2及び3の免震装置では、下皿状部材及び上皿状部材の夫々をそのまま下部構造物及び上部構造物の夫々に固定でき、極めて簡単な作業でもって下沓及び上沓の夫々を設置できる。 【0010】本発明の請求項4の免震装置では、請求項1、2又は3の免震装置において、下側摺動面及び上側摺動面並びに摺動下面及び摺動上面の夫々は、円筒面の一部又は球面の一部からなる。ここで、本発明の免震装置は、これら摺動面が円筒面の一部からなる場合には、地震の水平方向の特定の方向の振動を免震でき、球面の一部からなる場合には、地震の水平方向のあらゆる方向の振動を免震できる。 【0011】本発明の請求項5の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、下側摺動面の曲率半径と上側摺動面の曲率半径とは、互いに同一であるか又は互いに異なる。 【0012】本発明の請求項6の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、摺動体は、円柱体、角柱体、楕円柱体又は半球を互いに重ね合わせた扁平体からなる。 【0013】本発明の請求項7の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、下側充填体及び上側充填体の少なくとも一方は、モルタル、エポキシ系樹脂、熱可塑性若しくは熱硬化性プラスチック又はゴムからなる。 【0014】本発明の請求項8の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、へら絞り成形又はプレス成形により一体形成されてなる。 【0015】本発明の請求項9の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、耐候性鋼板から一体形成されてなり、本発明の請求項10の免震装置では、上記の免震装置の夫々において、下皿状部材及び上皿状部材の少なくとも一方は、ステンレス鋼板又は表面に銅若しくは亜鉛メッキを施した剛性の金属板、好ましくは鋼板からなる。 【0016】下皿状部材及び上皿状部材を構成する板状体の厚みとしては、好ましい例として、1.8mmから3.2mm程度を挙げることができが、本発明はこれに限定されず、プレス成形又はへら絞り成形等が可能であって、上記の目的を達成し得るならば、これ以外であってもよい。 【0017】下側充填体及び上側充填体は、下皿状部材及び上皿状部材の下部構造物及び上部構造物への設置後に、下皿状部材及び上皿状部材の夫々に形成された注入孔を介して、下沓凹板部と下部構造物との間及び上沓凹板部と上部構造物との間に固化前の充填体素材、例えばエポキシ系樹脂を注入して、注入後それを固化させて、形成されてもよく、この場合、充填体素材の注入後に注入孔を溶接などにより塞ぐとよい。また、下部構造物及び上部構造物への設置前に、下皿状部材及び上皿状部材に固化前の充填体素材を注ぎ込んで、これを固化させて下側充填体及び上側充填体を形成してもよく、この場合には、固化後の下側充填体及び上側充填体の夫々と下皿状部材及び上皿状部材の夫々との一体物を下部構造物及び上部構造物に夫々設置する。更に、下部構造物及び上部構造物の形成と共に、下側充填体及び上側充填体を形成してもよく、この場合には、下側充填体及び上側充填体の夫々を覆うようにして下皿状部材及び上皿状部材の夫々を下部構造物及び上部構造物に設置するとよい。 【0018】 【発明の実施の形態】次に本発明及びその実施の形態を、図を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何等限定されないのである。 【0019】図1及び図2において、本例の免震装置1は、上方に向かって断面円弧凹状の下側摺動面2を有して、下部構造物3に固定される下沓4と、下方に向かって断面円弧凹状の上側摺動面5を有して、上部構造物6に固定される上沓7と、下沓4の下側摺動面2の曲率(曲率半径R)と同一の曲率(曲率半径R)を有し、下側摺動面2に摺動自在に接する摺動下面8を備えると共に、上沓7の上側摺動面5の曲率(曲率半径R)と同一の曲率(曲率半径R)を有し、上側摺動面5に摺動自在に接する摺動上面9を備えて、下沓4と上沓7との間に介在された円柱体からなる摺動体10とを具備している。 【0020】下沓4は、耐候性鋼板であるステンレス板をプレス成形により一体形成して製造されてなる下皿状部材21と、硬化されたエポキシ系樹脂からなる下側充填体22とを具備している。 【0021】下皿状部材21は、断面円弧状であって円盤状の下沓凹板部23と、下沓凹板部23の周縁に一体的に形成された下沓円筒部24と、下沓円筒部24に一体的に形成された板状の下沓鍔部25とを具備している。下皿状部材21は、下部構造物3に植設された複数のアンカーボルト26によりその環状の下沓鍔部25で下部構造物3に固定されている。 【0022】下側充填体22は、下沓凹板部23及び下沓円筒部24の夫々の内面27と下部構造物3の上面28との間の空間に充填された硬化されたエポキシ系樹脂からなる。 【0023】下沓4と同様に、上沓7は、耐候性鋼板であるステンレス板をプレス成形により一体形成して製造されてなる上皿状部材31と、硬化されたエポキシ系樹脂からなる上側充填体32とを具備している。 【0024】上皿状部材31は、断面円弧状であって円盤状の上沓凹板部33と、上沓凹板部33の周縁に一体的に形成された上沓円筒部34と、上沓円筒部34に一体的に形成された板状の上沓鍔部35とを具備している。上皿状部材31は、上部構造物6に植設された複数のアンカーボルト36によりその環状の上沓鍔部35で上部構造物6に固定されている。 【0025】上側充填体32は、上沓凹板部33及び上沓円筒部34の夫々の内面37と上部構造物6の下面38との間の空間に充填された硬化されたエポキシ系樹脂からなる。 【0026】摺動体10は、下沓4と上沓7との間に適度な隙間が生じるような高さをもって剛体から形成されており、その径dは、下側摺動面2及び上側摺動面5の径Dよりも十分に小さい。 【0027】本例では、下側摺動面2及び上側摺動面5並びに摺動下面8及び摺動上面9の夫々は、球面の一部からなっており、夫々の曲率半径は、互いに同一である。 【0028】以上の免震装置1では、常時においては、摺動体10が下側摺動面2及び上側摺動面5のほぼ中央に位置されて、上部構造物6の鉛直荷重を受け止めて、上部構造物6を下部構造物3上で支持している。そして、風等により多少の水平力が上部構造物6に付加されても又は小さな地震等により多少の水平力が下部構造物3に付加されても、下側摺動面2及び上側摺動面5に対する摺動下面8及び摺動上面9の面接触による摩擦抵抗で、下部構造物3に対して上部構造物6が水平方向に相対的に揺れることがない。 【0029】地震動等により大きな水平力が下部構造物3に付加されると、下側摺動面2及び上側摺動面5に対し摺動下面8及び摺動上面9の滑りが生じて、図3に示すように、摺動体10が揺動されつつ下部構造物3に対して上部構造物6が水平方向に相対的に振動される。このような振動において摺動体10は、図1に示すような位置に復帰されようとし、しかも、下部構造物3の水平方向に移動に基づく上部構造物6の振動エネルギは、下側摺動面2及び上側摺動面5の夫々と摺動下面8及び摺動上面9の夫々との間の摩擦と、上部構造物6の上下動とにより吸収されて、減衰される。したがって、地震等の大きな水平力が下部構造物3に付加されても、上部構造物6が倒壊されるような事態を防ぎ得る。 【0030】免震装置1では、摺動体10の摺動下面8及び摺動上面9が夫々摺動自在に接する下側摺動面2及び上側摺動面5を形成する下沓4の下皿状部材21及び上沓7の上皿状部材31が夫々板状体からなり、しかも、下沓4及び上沓7の夫々が、これら下皿状部材21及び上皿状部材31の夫々と、下皿状部材21及び上皿状部材31の夫々と下部構造物3及び上部構造物6の夫々との間に充填された下側充填体22及び上側充填体32の夫々とを具備して構成されるため、プレス成形等で製造された下皿状部材21及び上皿状部材31を用いることができ、したがって、下沓4及び上沓7の夫々の軽量化を図ることができて、搬送、据え付けが容易となり、しかも、多くの時間、手間を要する切削工程を省くことができ、而して、コストの低減を図り得る。 【0031】しかも、免震装置1では、下側充填体22及び上側充填体32を取り囲んで、これらを密封するように下皿状部材21及び上皿状部材31の夫々が形成されているため、下皿状部材21及び上皿状部材31の夫々をそのまま下部構造物3及び上部構造物6の夫々に固定でき、極めて簡単な作業でもって下沓4及び上沓7の夫々を設置できる上に、下側充填体22及び上側充填体32の夫々がエポキシ系樹脂等で形成されたものであっても、上部構造物6からの荷重によるその流動(コールドフロー)が生じ難く、長期にわたって初期の形態を維持できる。 【0032】なお、免震装置1では、摺動体10を一体物から構成したが、本発明は、これに限定されず、中間にゴム層等を介在させた積層体で構成してもよい。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、軽量化できて搬送、据え付けが容易となり、多くの時間、手間を要する切削工程を省くことができ、而して、コストの低減を図り得る免震装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000103644 【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年7月28日(1998.7.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098095 【弁理士】 【氏名又は名称】高田 武志
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| 【公開番号】 |
特開2000−46104(P2000−46104A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平10−213044 |
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