| 【発明の名称】 |
鉄骨部材の圧着接合構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 泰彦
【氏名】鈴井 康正
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| 【要約】 |
【課題】2つの鉄骨部材の圧着構造を工夫することにより、振動入力時にこの圧着部分に発生する摩擦抵抗力を最適状態として、接合した部材間の制振機能を大幅に向上する。
【解決手段】一対の外板10,12と、外板10,12間に挟み込まれる中板14とを備える。外板10,12および中板14は、建物架構にあって、互いに接合される鉄骨部材の一方および他方からそれぞれ一体に突設される。外板10,12および中板14を互いに重合して、それぞれの間に複合摩擦材料で形成した摩擦材16を介在する。外板10,12の外側間に油圧キャリパ18を設ける。キャリパ本体20の一端側に油圧シリンダー22が組み込まれ、油圧シリンダー22のピストン24を一方の外板10に当接するとともに、キャリパ本体20の他端側を他方の外板12に当接する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2つの鉄骨部材を互いに接合する構造にあって、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とを互いに重合するとともに、これら第1圧着板と第2圧着板との重合部分間に複合摩擦材料で形成される摩擦材を介在し、かつ、第1,第2圧着板の重合部分の外側間に、これら両圧着板を互いに圧接する方向に押圧力を付加する加圧機構を設けたことを特徴とする鉄骨部材の圧着接合構造。 【請求項2】 上記摩擦材は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成することを特徴とする請求項1に記載の鉄骨部材の圧着接合構造。 【請求項3】 上記第1圧着板を加圧機構の押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとともに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそれぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板のうち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨部材の圧着接合構造。 【請求項4】 上記加圧機構は、第1圧着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置され、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発生するキャリパで構成したことを特徴とする請求項1または3に記載の鉄骨部材の圧着接合構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建物架構を構成する各鉄骨部材を結合する接合部に適用して、地震や強風等により発生する建物架構の振動を該接合部で吸収することにより効果的に制振し得るようにした鉄骨部材の圧着接合構造に関する。 【0002】 【従来の技術】鉄骨柱や鉄骨梁を互いに結合して構成される建物架構は、一般に多層階ビルディングに適用され、この鉄骨構造の建物架構ではブレースが地震や風等の水平力に対する抵抗要素として用いられる。これら鉄骨柱や鉄骨梁およびブレースなどの鉄骨部材は、溶接やボルトを介して相互に接合されてラーメン架構として構成されるが、特にボルト接合の場合には、大地震や強風などによって過大な水平力が作用すると、剛結構造となるラーメン架構にあっても接合した2部材の接合部分にズレが生じ、このズレによって大きな摩擦抵抗力が発生される。この摩擦抵抗力は上記水平力のエネルギーが摩擦力に変換されたもので、この摩擦抵抗力によって上記地震や風による振動エネルギーが消耗され、延いては、建物架構を制振する機能として働く。 【0003】図5は上記ボルト接合部の一例を示し、互いに接合しようとする一方の部材から一体に一対の外板1,1aが突設されているとともに、他方の部材から一体に中板2が突設されており、一対の外板1,1a間に中板2を挟み込み、これら外板1,1aと中板2とをボルト3で貫通してナット3a締めされる。中板2のボルト挿通穴は長穴4として形成され、過大な相対変位力Pが入力された場合に外板1,1aと中板2との相対移動が許容される。この相対移動時に発生される上記摩擦抵抗力Rは、ボルト3の軸力Nと、外板1,1aと中板2との接触面の摩擦係数μとの積、R=μ・Nによって決定される。尚、軸力Nはナット3aの締付け力によって調節され、また、摩擦係数μは外板1,1aと中板2との接触面の表面粗さによって調節される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のボルトを用いた接合部にあっては、ボルト3の軸力Nは、単にナット3aの締付け力により発生され、この軸力Nが直接外板1,1a間の締付け力として作用するようになっている。このため、所定の摩擦抵抗力Rを発生させるためにはナット3aの締付け力調整が難しくなり、また、一旦締付け力を付加した場合にあっても、外板1,1aと中板2とが幾度と無く滑りを生ずると、双方の滑動面が摩耗して摩擦係数μが徐々に小さくなってしまうとともに、摩耗された分だけ上記ナット3aによる締付け力が減少し、延いては、ボルト3の軸力Nが小さくなってしまう。このことにより、予め設定した摩擦抵抗力R(=μ・N)が、μとNとの双方の減少により大きく変動して、当初の制振効果が得られなくなってしまう課題があった。 【0005】ここで、上述したボルト接合部は、2つの鉄骨部材の接合部をナットの締付け力で圧着するものであり、このように圧着により2つの鉄骨部材を接合できる点を考慮すると、ボルトを介することなく2部材を互いに圧着することによっても接合することができる。 【0006】そこで、本発明は2つの鉄骨部材をボルトを用いることなく圧着することにより接合できることに着目し、この圧着構造を工夫することにより、振動入力時にこの圧着部分に発生する摩擦抵抗力を最適状態として、接合した部材間の制振機能を大幅に向上することができる鉄骨部材の圧着接合構造を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために本発明の請求項1に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、2つの鉄骨部材を互いに接合する構造にあって、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とを互いに重合するとともに、これら第1圧着板と第2圧着板との重合部分間に複合摩擦材料で形成される摩擦材を介在し、かつ、第1,第2圧着板の重合部分の外側間に、これら両圧着板を互いに圧接する方向に押圧力を付加する加圧機構を設ける。 【0008】また、本発明の請求項2に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記摩擦材を、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成する。 【0009】更に、本発明の請求項3に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記第1圧着板を加圧機構の押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとともに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそれぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板のうち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させる。 【0010】更にまた、本発明の請求項4に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記加圧機構を、第1圧着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置され、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発生するキャリパで構成する。以上の構成により本発明の鉄骨部材の圧着接合構造の作用を以下述べると、請求項1では、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とが摩擦材を介して互いに重合されており、この重合部分には加圧機構の押圧力が付加されるので、この押圧力によって上記重合部分が圧着されることにより2つの鉄骨部材が接合される。この状態で地震や風により2つの鉄骨部材間に振動変位力が入力され、この変位力が所定値以上になると上記第1圧着板と上記第2圧着板とは相対移動し、上記摩擦材との間で大きな摩擦抵抗力が発生される。この摩擦抵抗力は上記加圧機構による押圧力と、第1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数との積によって決定され、この摩擦抵抗力によって上記2つの鉄骨部材間を制振することができる。 【0011】ここで、上記第1圧着板と上記第2圧着板との間には、複合摩擦材料で形成される上記摩擦材が介在されるので、これら第1,第2圧着板は直接接触することがなく、それぞれが摩擦材と接触されることになる。このため、2つの鉄骨部材が相対移動する際の滑動部分の摩擦係数を安定させて、常時ほぼ一定した摩擦抵抗力を発生させることができる。 【0012】また、請求項2では、上記摩擦材を、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成したので、該摩擦材が一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形成される。従って、第1圧着板と第2圧着板とが相対移動した際にも、これら第1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数は常時ほぼ一定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないため加圧機構の押圧力もほぼ一定に維持される。 【0013】このため、上記第1,第2圧着板間の相対移動部分に発生する、摩擦係数と加圧機構の押圧力との積として得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持することができる。従って、2つの部材間の減衰力特性が安定化され、延いては、当初設定した制振機能を長期に亘って維持することができる。 【0014】更に、請求項3では、上記第1圧着板を加圧機構の押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとともに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそれぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板のうち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させたので、外板と中板との相対移動時の摩擦力発生箇所を増加して、小さな押圧力によってもより大きな摩擦抵抗力を発生させることができる。そして、2つの鉄骨部材間に相対変位力が入力された際に、複数枚の外板間にそれぞれ中板が挟まれた状態で相対移動し、加圧機構による押圧力が作用した状態で外板と中板とが滑動する際に、こじれを生ずることなくスムーズに相対移動する。 【0015】更にまた、請求項4では、上記加圧機構を、第1圧着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置され、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発生するキャリパで構成したので、押圧力を発生させたときにキャリパが第1,第2圧着板の積層方向に移動して、これら第1,第2圧着板の重合部分の外側間に等しい押圧力を作用させることができる。このとき、押圧力は一定圧に保持される液圧によって発生されるため、摩擦材と第1圧着板または第2圧着板との間の摺動部分が摩耗した場合にも、一定の押圧力を常時作用させることができ、延いては、これによって発生する摩擦抵抗力が一定となって、接合した2つの鉄骨部材間の減衰力特性が安定化され、延いては、当初の制振能力を長期に亘って維持することができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1から図3は本発明にかかる鉄骨部材の圧着接合構造の一実施形態を示し、図1は要部の側面図、図2は要部の平面図、図3は図1中A−A線からの断面図である。 【0017】即ち、本発明の制振構造が適用される接合部は、図1に示すように第1圧着板としての一対の外板10,12と、該一対の外板10,12間に挟み込まれる第2圧着板としての中板14とを備える。上記外板10,12および上記中板14は、建物架構にあって互いに接合される鉄骨部材の一方および他方からそれぞれ一体に突設される。 【0018】上記鉄骨部材としては鉄骨柱や鉄骨梁、更にはブレースなどがあり、垂直配置される鉄骨柱と水平配置される鉄骨梁とを、六面体の各辺を構成するように互いに接合して建物架構が構成される。上記ブレースは傾斜部分を備え、互いに隣設される鉄骨柱と鉄骨梁との間、または対向する上下鉄骨梁間に跨って接合される。 【0019】そして、本発明の接合構造を上記鉄骨柱と鉄骨梁との接合部分に適用する場合には、鉄骨柱の梁接続部分に鉄骨梁と同じ型鋼材を短尺に切断したブラケット材を溶接して一体化し、このブラケット材に上記鉄骨梁の接続端部を結合させるようにする。即ち、鉄骨梁としてH型鋼を用いた場合は、鉄骨柱の側面にこのH型鋼を短尺に切断したブラケット材を溶接して突設し、上記鉄骨梁の接続端を上記ブラケット材の先端に突き合せて、これら鉄骨梁とブラケット材の互いに対応される上方フランジ部および下方フランジ部の各部に両部材間に跨ってその両面に外板10,12を配置し、これら外板10,12により上記上下フランジ部の両部材を挟圧することにより、上記鉄骨梁と上記ブラケット材つまり鉄骨柱とを結合する。より具体的には、ブラケット材の上下フランジ部にそれぞれ上記外板10,12を溶接(高力ボルト接合でも可)して突設し、鉄骨梁の上下フランジ部を上記中板14として用いる。あるいは、その取り合い関係を逆にして、鉄骨梁のフランジ部に外板10,12を溶接などで一体的に固定し、ブラケット材のフランジ部を中板14とすることもできる。 【0020】また、本発明の接合構造を上記ブレースに適用する場合には、鉄骨柱及び鉄骨梁に一体的に固設するブレース取り付け用のブラケットとブレースとの間に跨らせて上記外板10,12を配置する。あるいは、ブレースの途中を分断し、その分断した両部材の端部間に跨らせて上記外板10,12を配置する。また、このブレースの場合も、外板10,12を跨らせるいずれか一方の部材側を中板14としてこれを上記外板10,12で挟み込んで挟圧支持し、他方の部材側に外板10,12を溶接や高力ボルト接合などにより一体化させる。 【0021】ところで、上記外板10,12および上記中板14は互いに重合され、この状態で一対の外板10,12と中板14の両面との間に、複合摩擦材料で形成される摩擦材16がそれぞれ介在される。この摩擦材16は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などがある。 【0022】上記摩擦材16は上記外板10,12および中板14両者に当接するが、本実施形態では中板14の両面を適切に磨き仕上げして円滑面14aとし、この円滑面14aに上記摩擦材16を摺接させることにより、中板14と摩擦材16との間で所定の摩擦係数μをもって滑動するようになっている。 【0023】上記一対の外板10,12の外側には加圧機構としての油圧キャリパ18が設けられ、この油圧キャリパ18によって外板10,12と中板14との重合部分に、これらを互いに圧接する方向に押圧力を付加するようになっている。この油圧キャリパ18は図3に示すように外板10,12に跨って配置されるコ字状のキャリパ本体20を備え、このキャリパ本体20の一端側(図中上側)には油圧シリンダー22が一体に組み込まれている。そして、該油圧シリンダー22のピストン24は一方の外板10に当接されるとともに、キャリパ本体20の他端側(図中下側)は他方の外板12に当接される。 【0024】上記油圧シリンダー22のシリンダー室26には、タンク28内に溜められた油圧が供給されるようになっており、この供給される油圧は調圧弁30によって一定圧に調圧されている。尚、タンク28には油圧ポンプ32から油圧が補充されるとともに、シリンダー室26への油圧供給路には油圧変動を吸収するアキュムレータ34が設けられる。 【0025】以上の構成により本実施形態の鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、一対の外板10,12間に中板14を挟み込んで、それぞれの間に摩擦材16が介在されており、この状態で油圧キャリパ18のシリンダー室26に油圧を導入すると、ピストン24は一方の外板10に押圧力Nを作用させる。この押圧力Nはキャリパ本体20が浮動状態であるため、反作用により図中上下方向に移動して他方の外板12に等しい押圧力Nが作用する。このときの押圧力Nによって外板10,12と中板14とは摩擦材16を介して互いに圧着され、このときの圧着力により外板10,12と中板14、延いては、接続しようとする2つの鉄骨部材を接合することができる。 【0026】そして、このように接合された2つの鉄骨部材は、地震や風などの外力によって建物架構が振動する際に、この振動による変位力が所定値を超えると、外板10,12と中板14とは中板14両面の円滑面14aと上記摩擦材16との滑動を伴って相対移動する。このとき、中板14と摩擦材16との間は油圧キャリパ18の押圧力Nによって圧着されているため、これら両者間に所定の摩擦係数μが作用しており、これら中板14と摩擦材16とが滑動される際に、押圧力Nと摩擦係数μとの積として得られる摩擦抵抗力Rが発生する。この摩擦抵抗力Rによって上記接合された2つの鉄骨部材間が振動減衰され、延いては、建物架構を制振することができる。 【0027】このとき、上記摩擦材16は、フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成されるので、該摩擦材16は硬度が高く、かつ、強度に富む材質となって、一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形成することができる。 【0028】従って、外板10,12と中板14とが相対移動された際にも、異音の発生が抑制されて円滑にすべり、中板14と摩擦材16との間の摩擦係数μは常時ほぼ一定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないため油圧キャリパ18による押圧力Nもほぼ一定に維持される。更に、該油圧キャリパ18の作動油圧は調圧弁30によって一定圧に保持されるため、摩擦材16と外板10,12および中板14との間の滑動部分が摩耗した場合にも、常時一定した押圧力Nを外板10,12間に作用させることができ、これによって発生する摩擦抵抗力が一定となって接合した2つの鉄骨部材間の減衰力特性が安定化され、延いては、当初の制振能力を長期に亘って維持することができる。 【0029】また、本実施形態では第1圧着板を上記一対の外板10,12で形成するとともに、第2圧着板をこれら外板10,12間に挟まれる上記中板14で形成し、油圧キャリパ18の押圧力Nを上記外板10,12の外側間に作用させたので、該油圧キャリパ18の押圧力Nが作用した状態で外板10,12と中板14が滑動する際に、キャリパ本体20が傾斜されるなどしてこじれを生ずることなく、スムーズに相対移動させることができる。 【0030】ところで、本実施形態では中板14の両面を円滑面14aとして、これに摩擦材16を摺接させたが、このように円滑面14aを形成することなく、表面が滑らかなステンレス板などの図外の滑動板を取り付けて、この滑動板と上記摩擦材16との間で滑動させても良い。また、摩擦材16と中板14との間で滑動させるようにした場合を開示したが、これに限ることなく摩擦材16と外板10,12との間、若しくは、これら摩擦材16と中板14との間および摩擦材16と外板10,12との間の両方で滑動させることもできる。更に、加圧機構として液圧により押圧力Nを発生する油圧キャリパ18を用いた場合を開示したが、これに限ることなく機械的手段、例えばジャッキを用いて押圧力Nを発生させることもできる。 【0031】ところで、上記実施形態では一対の外板10,12間に1枚の中板14を挟み込んだ構造を示したが、これに限ることなく図4に示すように3枚以上(この実施形態では4枚)の外板30,30a,30b,30cを用い、これら外板30,30a,30b,30c間にそれぞれ中板32,32a,32bを挟み込むようにして積層することもできる。勿論、それぞれの外板30,30a,30b,30cと中板32,32a,32bとの間に摩擦材16が介在されるとともに、積層された最外側の外板30,30c間に図外の油圧キャリパなどの加圧機構の押圧力が付加される。 【0032】従って、この図4に示した実施形態では上記実施形態と同様の機能を発揮できるのは勿論のこと、外板30,30a,30b,30cと中板32,32a,32bとの相対移動時の摩擦力発生箇所が増加されるため、小さな押圧力Nによってもより大きな摩擦抵抗力Rを発生させることができる。このため、加圧機構の小型化を図りつつ、必要な制振効果を十分に得ることができる。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とを摩擦材を介して互いに重合し、この重合部分の外側間に、これら両圧着板を互いに圧接する方向に押圧力を付加する加圧機構を設け、この押圧力によって第1,第2圧着板を圧着することにより2つの鉄骨部材を接合するようにしたので、地震や風により2つの鉄骨部材間に入力される振動変位力が所定値以上になると、上記第1圧着板と上記第2圧着板とが相対移動して上記摩擦材との間に、上記加圧機構による押圧力と、第1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数との積によって決定される摩擦抵抗力が発生され、上記2つの鉄骨部材間を制振することができる。 【0034】ここで、上記第1圧着板と上記第2圧着板との間には、複合摩擦材料で形成される上記摩擦材が介在されるので、これら第1,第2圧着板は直接接触することがなく、それぞれが摩擦材と接触されることになる。このため、2つの鉄骨部材が相対移動する際の滑動部分の摩擦係数を安定させて、常時ほぼ一定した摩擦抵抗力を発生させることができ、延いては、安定した制振機能を発揮することができる。 【0035】また、本発明の請求項2に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記摩擦材を、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成したので、該摩擦材が一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形成される。従って、第1圧着板と第2圧着板とが相対移動した際にも、これら第1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数は常時ほぼ一定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないため加圧機構の押圧力もほぼ一定に維持される。 【0036】このため、上記第1,第2圧着板間の相対移動部分に発生する、摩擦係数と加圧機構の押圧力との積として得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持することができる。従って、2つの部材間の減衰力特性が安定化され、延いては、当初設定した制振機能を長期に亘って維持することができる。 【0037】更に、本発明の請求項3に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記第1圧着板を加圧機構の押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとともに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそれぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板のうち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させたので、外板と中板との相対移動時の摩擦力発生箇所を増加して、小さな押圧力によってもより大きな摩擦抵抗力を発生させることができ、加圧機構の小型化を図りつつ、必要な制振効果を十分に得ることができる。 【0038】また、最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させたので、2つの鉄骨部材間に相対変位力が入力された際に、複数枚の外板間にそれぞれ中板が挟まれた状態で相対移動し、加圧機構による押圧力が作用した状態で外板と中板とが滑動する際に、こじれを生ずることなくスムーズに相対移動させることができる。 【0039】更にまた、本発明の請求項4に示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、上記加圧機構を、第1圧着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置され、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発生するキャリパで構成したので、押圧力を発生させたときにキャリパが第1,第2圧着板の積層方向に移動して、これら第1,第2圧着板の重合部分の外側間に等しい押圧力を作用させることができる。このとき、押圧力は一定圧に保持される液圧によって発生されるため、摩擦材と第1圧着板または第2圧着板との間の摺動部分が摩耗した場合にも、一定の押圧力を常時作用させることができ、延いては、これによって発生する摩擦抵抗力が一定となって、接合した2つの鉄骨部材間の減衰力特性が安定化され、延いては、当初の制振能力を長期に亘って維持することができるという優れた効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000549 【氏名又は名称】株式会社大林組
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| 【出願日】 |
平成10年7月31日(1998.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071283 【弁理士】 【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−46102(P2000−46102A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平10−217955 |
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