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【発明の名称】 ブレーキとスピードの複合試験装置の切り替えクラッチ
【発明者】 【氏名】安居院 徹

【要約】 【課題】車両の性能検査、計測等において使用され、空転トルクが零でスリップが無く、低コストの純機械的防爆構造の、ブレーキとスピードメータの複合試験装置のクラッチを提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の左右両輪のブレーキとスピードの複合試験をすべく設け、それぞれが伝導源に結合するブレーキローラと該ローラに伝導結合するスピードローラとからなる左右併設測定部で構成され、ブレーキ測定時には左右スピードローラ間を分離状態とし、スピードメータ測定時には一方回転クラッチを介してそれぞれが独立回転状態可能とした4個のローラの内、スピードローラのみは左右結合状態に置く切り替えクラッチにおいて、従動側に設けた歯付けドラムと、遠心カムにより前記歯付きドラムの同一軸芯上を摺動して、前記歯付けドラムの歯面に噛み合う歯付け摺動ドラムを駆動側に設ける構成としたことを特徴とするブレーキとスピードの複合試験装置の切り替えクラッチ。
【請求項2】 車両の左右両輪のブレーキとスピードの複合試験をすべく設け、それぞれが伝導源に結合するブレーキローラと該ローラに伝導結合するスピードローラとからなる左右併設測定部で構成され、ブレーキ測定時には左右スピードローラ間を分離状態とし、スピードメータ測定時には一方回転クラッチを介してそれぞれが独立回転状態可能とした4個のローラの内、スピードローラのみは左右結合状態に置く切り替えクラッチにおいて、従動側に内歯歯付きドラムを設け、該歯付きドラム内の同一軸芯上に挿入された駆動側連結体を設け、該連結体に前記従動側内歯歯付きドラムの歯溝に嵌合すべく遠心力により法線方向に突出嵌合して、回転力を伝達するスライド継手を設ける構成としたことを特徴とするブレーキとスピードの複合試験装置の切り替えクラッチ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の左右両輪のブレーキとスピード試験をすべく設けた、ブレーキとスピードメータの複合試験装置の切り替えクラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】車両の左右両輪のブレーキとスピード試験をすべく設けた、スピードローラとブレーキローラとを左右対称的に設けた左右併設試験装置のそれぞれのスピードローラの左右の間を分離ないし結合するクラッチには、従来よりマグネチッククラッチが使用されている。
【0003】車両のブレーキテストとスピードメータテストに使用される複合試験装置は、図4の平面図に示すように、2本の同軸上に設けたスピードメータ測定用の前ローラ51a、51bと、前ローラに対し適当間隔をあけてブレーキ測定用後ローラ52a、52bを平行に配設して左右二組の測定装置を対称的に構成している。上記前ローラ51a、51bの両者は電磁クラッチ53で接離可能に結合され、モータ60a、60bよりの駆動力は、Vベルト58a、58b及び減速機57a、57bに伝達され、伝達された駆動力は減速機57a、57bの出力側に設けた一方回転クラッチ55a、55bを経由して、後ローラ52a、52bを直接駆動させるとともに、チェーン伝導54a、54bを介して前ローラ51a、51bに伝達される構成にしてある。
【0004】上記構造のもとに、車両のブレーキとスピード試験時には、車両を左右測定装置上に侵入させ、左右の車輪56a、56bをそれぞれ左右の試験装置の前ローラ51a、51bと後ローラ52a、52b上に載置させる。そして、ブレーキテストの場合は、前記電磁クラッチ53を解放して前ローラ51aと51bとの間の結合を解除分離状態に置いたのち、モータ60a、60bを駆動させ、減速機57a、57bと一方回転クラッチ55a、55bを介して後ローラ52a、52bを低速で回転させるとともに、チェーン伝導54a、54bを介して前ローラ51a、51bを個別に回転させる。そして車両にブレーキを掛け左右の車輪56a、56bのブレーキトルクを前記減速機57a、57bのアーム61a、61bの先端に設けたトルクセンサ62a、62bにより左右それぞれのブレーキテストをするようにしてある。
【0005】また、スピードメータテストの場合は、前記電磁クラッチ53を介して前ローラ51a、51bを結合状態に置き、その状態で車両を運転させ車輪56a、56bを駆動させる。この場合前記一方回転クラッチにより左右の前ローラ51aと51b、後ローラ52a、52bは前記一方回転クラッチ55a、55bによりモータ60a、60bを含む減速機57a、57b側には回転及び駆動力は伝達されない。その状態で前記したように電磁クラッチ53により両者を連携一体とさせる。そして一体状で回転する前ローラ51a、51bの回転数をタコメータ63により計測し車両のスピードメータテストを行なうようにしてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来のブレーキとスピードメータの複合試験装置において、ブレーキテストよりスピードメータテストへの移行時の切り替えに使用する電磁クラッチは、カップリングと電磁クラッチと駆動用直流電源を必要とし、省力化による競争力の向上を要求される時代傾向から見てもコスト低減上の何らかの対策が要求されている。ところで、本複合試験装置は設置場所としてガソリンスタンド等の防爆対策を必要とする箇所に選定するときは、特にその設置場所をその観点に置いた場合、試験装置の持つ機能性から、ガソリンスタンドの床面下部の凹部に取り付ける必要があり、着火性ガスの貯留充満する最も危険な場所に設ける必要がある。そのため、当然労働安全衛生規則の「可燃性ガスや可燃性液体の蒸気または可燃性爆発性粉塵の存在するところでは、防爆器具や防爆工事を行なわなければならない」規定の適用を受けることになり、装置自体も安全増し防爆構造の適用を受け、防爆工事は安全増し防爆工事の適用を受け、構造上または温度上昇について安全度を増加したものにし、全体を気密性函体に収容する必要があり、コスト高に繋がる問題がある。また、設置場所にも制限を受ける問題がある。
【0007】本発明は、上記課題解決のためになされたもので、車両の性能検査、計測等において使用され、空転トルクが零でスリップが無く、低コストの純機械的防爆構造の、ブレーキとスピードメータの複合試験装置のクラッチの提供を目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の第1の発明のブレーキとスピードメータの複合試験装置用切り替えクラッチは、車両の左右両輪のブレーキとスピードの複合試験をすべく設けた、伝導源に結合するブレーキローラと該ローラに伝導結合するスピードローラとからなる左右併設測定部で、ブレーキ測定時には左右スピードローラ間を分離状態とし、スピードメータ測定時には一方回転クラッチを介して減速機及びモータによる伝導系より離脱させ、それぞれが独立回転状態可能とした4個のローラの内、スピードローラのみを左右結合状態に置くクラッチにおいて、従動側に設けた歯付けドラムと、遠心カムにより前記歯付きドラムの同一軸芯上を摺動して、前記歯付けドラムの歯面に噛み合う摺動歯付き部を駆動側に設ける構成としたことを特徴とする。
【0009】上記請求項1記載の発明の構成は、従動側の端面に設けた歯付けドラムに対向する駆動側のドラム端面にお互いに噛み合う軸方向摺動可能の摺動歯付き部を設け、該摺動歯付き部は回転遠心力により作動する遠心カムにより駆動側が低速より高速回転への移行時には軸方向に摺動して従動側歯付けドラムに嵌合して噛み合い結合状態を形成するようにし、回転が低速に移行すると回転遠心力の低下により遠心カムを旧位置に復帰させて駆動側の摺動歯付き部歯付きも噛み合いより離脱して旧位置に復帰するようにしたものである。
【0010】上記噛み合い結合を形成する噛み合い歯は端面に対し直立させ、噛み合い圧力により従動側と駆動側との間に軸方向の離反力に変換されないようにしてある。なお、両者の噛み合いは低速より高速への移行時に惹起される遠心力により行なわれるため、高速運転中の噛み合いと異なり確実な噛み合い結合が行なわれる。
【0011】また、本発明の第2の発明のブレーキとスピードメータの複合試験装置用切り替えクラッチは、車両の左右両輪のブレーキとスピードの複合試験をすべく設け、それぞれが伝導源に結合するブレーキローラと該ローラに伝導結合するスピードローラとからなる左右併設測定部で構成され、ブレーキ測定時には左右スピードローラ間を分離状態とし、スピードメータ測定時には一方回転クラッチを介して減速機及びモータよりなる伝導系より離脱させ、それぞれが独立回転状態可能とした4個のローラの内、スピードローラのみは左右結合状態に置くクラッチにおいて、従動側に内歯歯付きドラムを設け、該歯付きドラム内の同一軸芯上に挿入された駆動側連結体を設け、該連結体に前記従動側内歯歯付きドラムの歯溝に嵌合すべく遠心力により法線方向に突出嵌合して、回転力を伝達するスライド継手を設ける構成としたことを特徴とする。
【0012】上記請求項2記載の発明の構成は、従動側内歯歯付ドラムに対し、予め該従動側ドラム内の同一軸芯上に挿入させた駆動側連結体を設け、該連結体に回転遠心力により軸芯位置より法線方向に突出させて、前記従動側歯付ドラムの歯の溝に嵌合して回転力を駆動側より従動側へ伝達するスライド継手を設けたもので、低速回転時には、上記スライド継手に与える回転遠心力は小さく、且つ予め弾性部材で法線方向への突出を防止してあるので、従動側と駆動側は結合されず分離状態に置かれるが、低速より高速運転への移行時には回転遠心力が大となり、弾性体等による付勢力に打ち勝って前記スライド継手を突出させ従動側歯付きドラムの内歯に嵌合させ、両者を結合状態に移行させるようにしてある。
【0013】なお、請求項1、請求項2記載の発明におけるクラッチの結合は、車両側の運転により左右の前のローラは略同一速度で低速(略7〜10rpm)より高速(略低速の30〜40倍)に移動する過程で行なわれるわけであるため、移行時には大きな遠心力を生ずるもので、本発明はこの移行時に発生する過大な回転遠心力を利用したものである。
【0014】また、従動側及び駆動側には、機械的転がり部が介在しなく空転トルクは零であるため、左右が分離した軸のトルク計測には好適で、また左右が結合接続状態にある時は従来の摩擦クラッチやマグネット方式に比較しスリップは皆無であるため、高トルクに対応したノンスリップ型のため、計測機器や精密産業機器にも使用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。図1は本発明のブレーキとスピードメータの複合試験装置の切り替えクラッチの第1の発明に係る一実施例の構成を示す断面図で、(A)は分離状態にあるときの従動側と駆動側の状況を示す図で、(B)は結合状態にあるときの従動側と駆動側の状況を示す図である。図2は第2の発明に係る一実施例の構成を示す図で、(A)は概略の構成を示す断面図で、(B)は従動側歯付きドラムを示す(A)のB視図で、(C)は低速運転時の駆動側連結体の状況を示す(A)のC視図で、(D)は高速運転時の駆動側連結体の状況を示す(A)のC視図であり、図3は図2の分解斜視図である。
【0016】図1に示すように、本発明の第1の発明のクラッチは、従動側歯付きドラム15と駆動側摺動歯付きドラム10とより噛み合い結合機構を形成させたもので、従動側歯付きドラム15は躯体15bとドラム外周端面に設けた環状歯付き部15aとより構成し、駆動側摺動歯付きドラム10は、先端にスライドガイド11aを持つ躯体11と、複数の遠心カム14を持つ駆動側躯体11と、該躯体に軸方向に摺動自在に設けられた摺動歯付き部12と、復帰用のスプリング13とより構成する。上記摺動歯付き部12は内側に前記スライドガイド11aに係合する摺動部12aを設け復帰用のスプリング13の矢印C方向の付勢力に抗して軸方向に摺動自在の構成とし、その先端の外周端面に環状歯付き部12bを設け結合時には従動側の環状歯付き部15aに噛み合うようにしてある。
【0017】遠心カム14は固定枠部11cに起伏自在に設けたリンク14cと回動重錘14aと偏心コロ14bよりなり、図の(B)に示すように、駆動側躯体11が低速回転より高速回転に移行すると、重錘14aの回転遠心力により該重錘を先端に持つリンク14cは基部を中心にして矢印A方向の回動力を受け、基部に設けた偏心コロ14bにより、摺動歯付き部12を矢印B方向に摺動させ、その先端端面に設けた環状歯付き部12bを従動側の環状歯付き部15aに当接嵌合させ、形成された噛み合わせ結合により従動側と駆動側を結合状態にする。そして結合状態にある駆動側躯体11と従動側の躯体15bが高速運転より低速運転状態に移行すると、遠心カム14の回動重錘14aの回転遠心力が下降するため、旧位置に復帰し摺動歯付き部12はスプリング13により矢印C方向に摺動し前記摺動歯付き部12の環状歯付き部12bは噛み合わせ状態にある従動側の環状歯付き部15aより解離して駆動側躯体11と従動側躯体15bとの間の結合は解かれ分離状態になる。
【0018】図2には第2の発明のクラッチの一実施例の概略の構成が示してある。図に見るように、従動側歯付きドラム21を持つ従動側躯体20と、前記歯付きドラム21内の同一軸芯上に回転自在に設けた連結体23を持つ駆動側躯体26とよりなり、従動側歯付きドラムと駆動側の連結体との間に回転遠心力による嵌合状態を形成して、従動側躯体20と駆動側躯体26との間に結合状態を形成する構成とする。上記従動側歯付きドラム21は図の(B)に示す図(A)のB視図に見るように等間隔に設けられた複数の内歯の歯溝21aにより形成されている。また、上記駆動側の連結体23は図の(C)(D)に示す図(A)のC視図に見るように、法線方向に設けたスライドガイド23a、23aに摺動する基部をスプリング25で結合されたスライド継手24a、24aを収納させ、外側よりリンク機構24bによりその両者を結ぶとともにスプリング25により駆動側連結体23の中心に向け収納するとともに、収納した二つのスライド継手に同期作動するようにしてある。
【0019】上記第2の発明のクラッチの組みつけ状況及び概略の構成を図3に示す分解斜視図により説明する。図に示すように、駆動側の連結体23の端面に2個の中心に向け対向する法線方向のスライドガイド23a、23aを設け、該ガイドに摺動可能のスライド継手24a、24aを矢印D方向に挿入させる。ついでリンク機構24bを挿入したスライド継手24a、24aの取り付け穴27a、27b、28a、28bを介して連結するとともにリンクの中央を取り付け穴29a、29bを介して連結体23の中心に取り付けて、二つのスライド継手24a、24aがリンク機構24bのリンクモーションを介して法線方向に同期摺動運動するようにしてある。なお、上記摺動運動は、低速運転時より高速運転への移行時には回転遠心力によりスライド継手24a、24aを法線方向へ突出摺動させ、高速運転より低速運転への移行時には遠心力の低下と相俟ってスプリング25の付勢力により連結体中央への復帰運動を形成するものである。上記摺動運動により、高速移行時に法線方向に同時に突出した二つのスライド継手24a、24aは従動側歯付きドラム21の歯溝21aに嵌合して嵌合状態を形成して、従動側躯体20と駆動側躯体26との間に結合状態を形成する構成とする。
【0020】
【発明の効果】上記構成により、本発明のクラッチ構造は内蔵した転がり機構により動力を伝達する機構を持たないため、空転トルクは零のため、左右に分離した軸のトルク計測には最適で、また他の形式のクラッチに見るように伝達部にスリップの発生が無く、「高トルク」に対応した「ノンスリップ型」のためあらゆる計測機器や精密産業機器に活用でき、また伝達部に熱の発生を伴わない純機械的構造であるため、ガソリンスタンド等の防爆設備に適用でき、低コスト試験装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000117467
【氏名又は名称】安全自動車株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−304070(P2000−304070A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−109476