| 【発明の名称】 |
トリポード型等速自在継手 |
| 【発明者】 |
【氏名】門田 哲郎
【氏名】山崎 健太
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| 【要約】 |
【課題】トリポード型等速自在継手をより低振動のものにする。
【解決手段】内周の円周方向三等分位置に軸方向に延びるトラック溝12を形成した外輪10と、円周方向三等分位置に半径方向に突出した脚軸22を有するトリポード部材20と、各脚軸22に複列の針状ころ32を介して回転可能に取り付けられ外輪10のトラック溝12内に収容されたローラ40;42,44とを備え、前記ローラがその外周面にて外輪10のローラ案内面14によって案内されるようにしたトリポード型等速自在継手。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内周の円周方向三等分位置に軸方向に延びるトラック溝を形成した外輪と、円周方向三等分位置に半径方向に突出した脚軸を有するトリポード部材と、各脚軸に針状ころを介して回転可能に取り付けられ外輪のトラック溝内に収容されたローラとを備え、前記ローラがその外周面にて外輪のローラ案内面によって案内されるようにしたトリポード型等速自在継手において、上記針状ころを複列に配置したことを特徴とするトリポード型等速自在継手。 【請求項2】 上記ローラが脚軸の軸線上に曲率中心をもつ球体であることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。 【請求項3】 上記ローラが脚軸の軸線上から半径方向に離れた位置に曲率中心をもつ回転楕円体形状であることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。 【請求項4】 上記ローラを内側ローラと外側ローラとで構成し、内側ローラの外周面と外側ローラの内周面とを線接触させたことを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。 【請求項5】 内側ローラの外周面を球面状とし、外側ローラの内周面を円筒形としたことを特徴とする請求項4に記載のトリポード型等速自在継手。 【請求項6】 内側ローラの外周面を球面状とし、外側ローラの内周面を内側ローラの外周面との接触部分に脚軸先端側に向いた負荷分力を発生させる形状としたことを特徴とする請求項4に記載の等速自在継手。 【請求項7】 外側ローラの内周面を継手の外径側に向かって縮径した円錐面としたことを特徴とする請求項6に記載のトリポード型等速自在継手。 【請求項8】 外側ローラの脚軸先端側の端面と外輪とが非接触であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のトリポード型等速自在継手。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や各種産業機械において動力伝達用に用いられる等速自在継手、より詳しくは、トリポード型の等速自在継手に関する。 【0002】 【従来の技術】トリポード型等速自在継手は、図17(A)に示すように、駆動側と従動側の二軸のうちの一方の軸と結合される外輪(1)と、他方の軸と結合されるトリポード部材(3)とで構成される。外輪(1)は内周の三等分位置に軸方向に延びる部分円筒形のトラック溝(2)を備え、トリポード部材(3)は円周方向の三等分位置に半径方向に突出した脚軸(4)を備えている。そして、トリポード部材(3)の脚軸(4)に複数の針状ころ(7)を介して球面ローラ(5)を回転自在に取り付け、この球面ローラ(5)を外輪(1)のトラック溝(2)内に収容させることにより、外輪(1)とトリポード部材(3)との間でトルクの伝達を行なわせる。駆動軸と従動軸とが角度をなしていても両者の等速性を維持し、かつ、軸方向の相対変位(プランジング)を許容することができる。 【0003】図19に示すように、トリポード部材(3)の脚軸(4)に取り付ける球面ローラを内側ローラ(8)と外側ローラ(9)との組合せで構成した二段ローラタイプのトリポード型等速自在継手も知られている(特公平3−1529号公報、特開平9−14280号公報)。内側ローラ(8)は球面状の外周面を有し、その外周に配置された外側ローラ(9)は、円筒形の内周面にて内側ローラ(8)の球面状外周面と線接触している。外側ローラ(9)の外周面は球面状で、外輪(1)のトラック溝(2)の円周方向で向かい合った側壁に形成されたローラ案内面(6)に案内される。そして、内側ローラ(8)の球面状外周面と外側ローラ(9)の円筒形内周面とが線接触しているため、内側ローラ(8)と外側ローラ(9)とは、相対回転、軸方向の相対移動、および、首振り運動(揺動変位)が可能な関係にある。したがって、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するときでも、外側ローラ(9)の姿勢が外輪(1)の軸線と平行に保たれ、外側ローラ(9)が円滑に転動することができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】図17(A)の従来構造では、外輪(1)とトリポード部材(3)とが作動角をとった状態でトルクを伝達する場合を考えると、各球面ローラ(5)と円筒形トラック溝(2)のローラ案内面(6)とは、図17(B)に示すように互いに斜交する関係となり、球面ローラ(5)に正しい転がり運動をさせることはできない。すなわち、球面ローラ(5)は図17(A)の矢印(a)で示す方向に転がり移動しようとするのに対し、トラック溝(2)のローラ案内面(6)が外輪(1)の軸線に平行な部分円筒形であるため、球面ローラ(5)はローラ案内面(6)に拘束されながら移動することになる。その結果、球面ローラ(5)とローラ案内面(6)の相互間において、滑りが生じて発熱し、さらにこの滑りが軸方向の力(スラスト)を誘起し、振動発生の原因となる。 【0005】かかる誘起スラスト発生のメカニズムを図18(A)〜(C)に従って説明すると次のとおりである。ここで、図18(A)は外輪(1)とトリポード部材(3)が作動角をとった状態でトルクを伝達する場合の各部材の位置関係を図解したものであり、図18(B)はそれをさらに模式化して表わしたものである。また、図18(C)は、横軸に継手の位相角をとり、縦軸に誘起スラストをとったグラフであり、各脚軸(4)における誘起スラストを合成した誘起スラストを示している。 【0006】図18(A)の状態から継手が回転すると、トリポード部材(3)の脚軸(4)に取り付けられた球面ローラ(5)が外輪(1)のローラ案内面(6)に拘束されながら外輪軸方向に往復運動を繰り返す。このとき、三つの球面ローラ(5)はそれぞれ、図18(B)に示すように、点Pから点P’へ、点Qから点Q’へ、点Rから点R’へと摺動し、次いでその反対方向へと方向を変え、継手の1回転でローラ案内面(6)上を一往復する。このような運動をする球面ローラ(5)とローラ案内面(6)間で、動力伝達継手として当然のことながら作用している接触力により、軸方向にスラストを誘起する。 【0007】継手回転時にそれぞれの球面ローラ(5)によって発生するスラストの方向および大きさは回転位相によって変動し、図18(C)に示すように、二つの球面ローラ(5)は外輪(1)の左方向に、他の一の球面ローラ(5)は右方向にそれぞれ引張り、圧縮のスラストを誘起させる。このように3個の球面ローラ(5)によって発生するスラストの総和は図18(C)に示すように継手1回転の間に3回の周期をもって正逆変動し、その変動の振幅が大きいことにより、自動車の種々の振動問題の原因となる。 【0008】図19に示される従来構造は、脚軸(4)に取り付ける球面ローラを内側ローラ(8)と外側ローラ(9)の組合せで構成したことにより、単一の球面ローラ(5)を用いたものと比較して、外輪(1)とトリポード部材(3)とが作動角をとった状態でトルクを伝達する際の誘起スラストが低減するという利点がある。本発明は、かかる誘起スラストを一層低減させ、より振動の少ないトリポード型の等速自在継手を提供することを目的とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、内周の円周方向三等分位置に軸方向に延びるトラック溝を形成した外輪と、円周方向三等分位置に半径方向に突出した脚軸を有するトリポード部材と、各脚軸に針状ころを介して回転可能に取り付けられ外輪のトラック溝内に収容されたローラとを備え、前記ローラがその外周面にて外輪のローラ案内面によって案内されるようにしたトリポード型等速自在継手において、上記針状ころを複列に配置したことを特徴とする。複列とすることによって針状ころの長さが短くなり、針状ころの長さが短い方が誘起スラストが低下することが判明した。これは、長い針状ころよりも短い針状ころの方がスキュー発生時の抵抗自体が小さいためと考えられる。ただし、針状ころを短くすると負荷容量が低下するので、本発明は、複列とすることによって、負荷容量を必要以上に減少させることなく、誘起スラストの低減という所期の技術的課題を解決したものである。 【0010】請求項2の発明は、請求項1に記載のトリポード型等速自在継手において、上記ローラが脚軸の軸線上に曲率中心をもつ球体であることを特徴とする。単一の球面ローラの場合であっても針状ころを複列にすることによって誘起スラストの低減という効果を一定程度達成することができる。また、ローラは脚軸の軸線上から半径方向に離れた位置に曲率中心をもつ回転楕円体形状とすることもできる(請求項3)。 【0011】請求項4の発明は、請求項1に記載のトリポード型等速自在継手において、上記ローラを内側ローラと外側ローラとで構成し、内側ローラの外周面と外側ローラの内周面とを線接触させたことを特徴とする。たとえば、請求項5の発明のように、内側ローラの外周面を球面状とし、外側ローラの内周面を円筒形とする。内側ローラの外周面が球面状であるため、外側ローラに対して自由な角度で回転し得るとともに、外側ローラは常にトラック溝の方向に正しく転動する。これにより、トリポード部材がどのような作動角をとっても、外側ローラは外輪の軸線と平行な姿勢を維持しつつ正しく転動する。そのため、滑り抵抗が減少し、誘起スラストが低減する。 【0012】請求項6の発明は、請求項4に記載の等速自在継手において、内側ローラの外周面を球面状とし、外側ローラの内周面を内側ローラの外周面との接触部分に脚軸先端側に向いた負荷分力を発生させる形状としたことを特徴とする。この負荷分力によって、外側ローラが脚軸先端側に向かって押圧されることにより、外輪の非負荷側のローラ案内面において、内径側の接触部分に発生する接触応力が軽減される。このような作用を担保し得る外側ローラの内周面形状としては、脚軸先端側に向かって縮径した円錐面(請求項7)のほか、内側ローラの外周面の母線中心に対して脚軸基端側にオフセットした点を母線中心とする凹球面、内側ローラの外周面の母線中心に対して脚軸先端側にオフセットした点を母線中心とする凸球面、脚軸先端側に向かって縮径した円錐面と凸球面との合成面、円筒面と凸球面との合成面等が挙げられる。 【0013】請求項8の発明は、請求項4〜7のいずれかに記載のトリポード型等速自在継手において、外側ローラの脚軸先端側の端面と外輪とが非接触であることを特徴とする。外輪とトリポード部材とが作動角をとりつつトルクを伝達する際、内側ローラの揺動変位に追随して外側ローラに傾きが生じた場合でも、その脚軸先端側の端面と外輪とが非接触であることから接触応力が発生せず、かつ、外側ローラと外輪と摺動抵抗が発生しないため、スライド抵抗の減少、誘起スラストの低減に寄与する。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、本発明は、図17(A)に関連して既述した単一の球面ローラを用いるタイプのものにも適用することができるが、ここでは二段ローラタイプに適用した実施の形態について詳述する。 【0015】まず、図2に示す全体構成を説明すると、トリポード型等速自在継手は、連結すべき駆動側および従動側の二軸のうちの一方の軸と結合する外輪(10)と、他方の軸と結合するトリポード部材(20)とを主要な構成要素としている。外輪(10)は一端が開口し他端が閉塞した略円筒カップ状を呈しており、内周の三等分位置に軸方向に延びるトラック溝(12)を備えている。各トラック溝(12)の円周方向で向かい合った側壁にローラ案内面(14)が形成されている。トリポード部材(20)は、連結すべき二軸のうちの他方の軸と結合するためのセレーション孔またはスプライン孔(28)を有し、円周方向の三等分位置に半径方向に突出した脚軸(22)を備えている。各脚軸(22)はローラアセンブリ(40)を担持しており、このローラアセンブリ(40)が外輪(10)のトラック溝(12)内に収容される。 【0016】ローラアセンブリ(40)まわりの構成について述べると、図1に示すように、トリポード部材(20)の脚軸(22)の円筒形外周面(24)に複列の針状ころ(32)を配列し、その針状ころ列の外周に、内側ローラ(42)と外側ローラ(44)とからなるローラアセンブリ(40)が位置する。針状ころ(32)および内側ローラ(42)の抜け出しと軸方向移動を防止するため、針状ころ(32)および内側ローラ(42)の両端側にワッシャ(34,36)を配置し、脚軸(22)の先端部に形成した環状溝(26)に止め輪(38)を装着してある。複列の針状ころ(32)の端面間に間座(35)を介在させてある。また、継手内径側のワッシャ(34)と脚軸(22)の基端部の肩との間に間座(33)を介在させてある。なお、この継手内径側の間座(33)は図2以降では簡略のため図示を省略してある。針状ころ(32)はその両端面にてワッシャ(34または36)および間座(35)と接するが、スキューをできるだけ抑制するうえでも針状ころ(32)の端面は平坦面とするのが好ましい。 【0017】内側ローラ(42)の内周面は円筒形であって針状ころ(32)の外側軌道面となる。脚軸(22)の円筒形外周面(24)が針状ころ(32)の内側軌道面となる。つまり、針状ころ(32)は脚軸(22)の円筒形外周面(24)と内側ローラ(42)の円筒形内周面との間に転動可能に介在している。内側ローラ(42)の外周面は、ここでは、内側ローラ(42)の外周面の母線が脚軸(22)の軸線上に曲率中心(O1)をもった半径R1の凸円弧である場合を例示してある。この点は後述する図5〜図8の実施の形態と同じである。この場合は内側ローラ(42)は球体(厳密には脚軸方向の両端部をカットした部分球体)であるが、この他、後述する図9〜図14の実施の形態のように、脚軸(22)の軸線上から半径方向に離れた位置に曲率中心をもつ回転楕円体形状とすることもできる。 【0018】外側ローラ(44)は内側ローラ(42)に外嵌し、内側ローラ(42)の外周面と外側ローラ(44)の内周面とが線接触している。したがって、内側ローラ(42)と外側ローラ(44)とは、相対回転自在で、かつ、角度変位および軸方向変位が可能である。外側ローラ(44)の外周面は球面状の凸曲面であって、ここでは、その母線が脚軸(22)の軸線から半径方向に離れた位置に曲率中心(O2)をもった半径R2の凸円弧である場合を例示してある。この点は後述する図9〜図14の実施の形態と同じである。 【0019】外側ローラ(44)はその外周面にて外輪(10)のローラ案内面(14)と接している。外側ローラ(44)は、外輪(10)の軸方向に移動する際、その外周面にて外輪(10)のローラ案内面(14)によって案内される。ローラ案内面(14)の断面形状は、ここでは、二球面(ゴシックアーチ)形状として外側ローラ(44)の球面状外周面とアンギュラ・コンタクトする場合を例示してある。この点は後述する図5、8、9〜14の実施の形態と同じである。 【0020】上述の構成のトリポード型等速自在継手においては、図3に示すように継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、脚軸(22)とローラ案内面(14)との角度変位は内側ローラ(42)と外側ローラ(44)との間の角度変位によって許容され、また、相対位置の変化は内側ローラ(42)と外側ローラ(44)との間の軸方向変位によって許容される。より詳しく述べると、内側ローラ(42)が外側ローラ(44)に対して傾斜し、かつ、外側ローラ(44)の円筒状内周面の中で下方へ相対移動する。これにより、両ローラ(42,44)の相対移動を吸収する。外側ローラ(44)は外輪(10)のローラ案内面(14)によって外輪(10)の軸線と平行に案内され、外側ローラ(44)はローラ案内面(14)上を正しく転動し、滑り抵抗が軽減される。 【0021】図4は内側ローラ(42)と外側ローラ(44)との相対移動を説明するための略図である。作動角をとらないときのトリポード部材(20)の中心(A)は外輪(10)の軸線(X)上にある。また、外側ローラ(44)は、ローラ案内面(14)の中心線(B)と一致しており、かつ、内側ローラ(42)の中心(C)もローラ案内面(14)の中心線(B)上にある。作動角(θ)をとると、トリポード部材(20)上の中心(A)はA’点に移動し、軸線(X)より下側にずれる。この結果、内側ローラ(42)が外側ローラ(44)に対して傾斜するとともに、内側ローラ(42)の中心(C)が外側ローラ(44)の中心面より下方の位置(C’)へと相対移動する。上記の相対移動は、外側ローラ(44)の円筒状内周面上を内側ローラ(42)の球面状外周面が転がりながら移動するような格好になり、移動は滑らかである。 【0022】図5〜図8に、外側ローラ(44)とローラ案内面(14)との接触状態に関する種々の実施の形態を示す。 【0023】図5に示す実施の形態では、内側ローラ(42)の球面状外周面の曲率半径R1および外側ローラ(44)の球面状外周面の曲率半径R2の中心は共に脚軸(22)の軸線上に位置する。外輪(10)のローラ案内面(14)の断面形状は、外側ローラ(44)の球面状外周面の曲率半径R2よりも大きい曲率の二つの円弧(ゴシックアーチ)で構成されており、外側ローラ(44)の球面状外周面がローラ案内面(14)と二点(D,E)でアンギュラ・コンタクトしている。このアンギュラ・コンタクトにより、外側ローラ(44)は外輪(10)の軸線に平行に案内される。なお、ローラ案内面(14)の中央部に形成されるすきまはグリース溜まりとして有効である。 【0024】図6に示す実施の形態は、図5の実施の形態と比べて、ローラ案内面(14a)の形状および外側ローラ(44a)の外周面が異なるだけで他の構成は同じである。ローラ案内面(14a)は角度をもって配置された二つの平面で構成され、これに対応して、外側ローラ(44a)の外周面は二つの円錐面で形成されている。ローラ案内面(14a)の二つの平面と外側ローラ(44a)の円錐面の接触により、外側ローラ(44a)が外輪(10)の軸線に対して平行に案内される。 【0025】図7に示す実施の形態も、図5の実施の形態と比べ、ローラ案内面(14b)の形状および外側ローラ(44b)の外周面の形状が異なるだけである。ローラ案内面(14b)は平面で形成されており、その上下両縁に肩部が形成されている。外側ローラ(44b)の外周面は円筒形で、その両端にて上記肩部に案内され、これにより外輪(10)の軸線に平行に転動案内される。 【0026】図8に示す実施の形態では、外側ローラ(44)の外周に図5の実施の形態と同様に球面状外周面が形成されている。その曲率半径(R3)は図5の実施の形態における曲率半径(R2)より小さく、脚軸(22)の軸線とローラ案内面(14)との間の距離の約40%に設定される。ローラ案内面(14)の断面形状は二つの円弧(ゴシックアーチ)で構成されており、外側ローラ(44)の球面状外周面は約20度の接触角(α)をもって二点(F,G)でアンギュラ・コンタクトしている。また、外側ローラ(44)の幅は内側ローラ(42)の幅より小さく形成されている。また、ローラ案内面(14)の外輪外径側のコーナー部には、外側ローラ(44)に沿って突出した鍔部(16)が形成され、これにより外側ローラ(44)の大きな振れを規制するようになっている。 【0027】図9〜図14に、内側ローラ(42)と外側ローラ(44)の接触状態に関する種々実施の形態を示す。 【0028】図9に示す実施の形態では、内側ローラ(42)の内周面は円筒面、外周面は球面である。外周面の母線は、内側ローラ(42)の半径中心(O)から所定量だけ外径側にオフセットした点(O1)を曲率中心とする半径R1の円弧であり、その母線半径(R1)は外周面の最大半径(R)よりも小さい。外側ローラ(44)の内周面は脚軸(22)の先端側に向かって縮径した円錐面であり、内側ローラ(42)の外周面と線接触し、これにより、両者の間の相対的な揺動変位が許容される。内周面の円錐角は、たとえば0.1度〜3度程度にするとよい。外側ローラ(44)の外周面の母線は、点O3を曲率中心とする半径R3の円弧である。外輪(10)のローラ案内面(14)は略V字形状または二球面形状(ゴシックアーク形状)で描かれているが、図8の実施の形態とは異なり、その外径側部分に鍔部は存在しない。そのため、ローラ案内面(14)は外側ローラ(44)の外周面と2点(p、q)でアンギュラ・コンタクトするが、外側ローラ(44)の脚軸先端側の端面とは接触しない。 【0029】この実施の形態では、外輪(10)のローラ案内面(14)が、外側ローラ(44)の外周面と二点(p、q)でアンギュラ・コンタクトし、かつ、外側ローラ(44)の脚軸先端側の端面が外輪(10)と接触しないので、外輪(10)とトリポード部材(20)とが作動角をとりつつトルクを伝達する際、内側ローラ(42)の揺動変位に追随して外側ローラ(44)に傾きが生じた場合でも、その端面と外輪(10)との間に接触応力が発生しない。そのため、従来構成に比べ、軸方向のスライド抵抗が軽減され、誘起スラストが低減される。 【0030】また、外側ローラ(44)の内周面が脚軸先端側に向かって縮径した円錐面であるので、図9(B)に示すように、外側ローラ(44)の内周面と内側ローラ(42)の外周面との接触部分(S)に、外側ローラ(44)を脚軸先端側に向かって押圧する負荷分力(F)が発生する。この負荷分力(F)によって、外輪(10)の非負荷側のローラ案内面(14)において、内径側の接触部分(図に示す部分)に発生する接触応力が軽減される。そのため、従来構成に比べ、軸方向のスライド抵抗が軽減され、誘起スラストが低減される。 【0031】さらに、内側ローラ(44)の外周面の母線半径(R1)が最大半径(R)よりも小さいので、内側ローラ(42)の外周面と外側ローラ(44)の内周面との接触部分(S)における接触楕円が小さくなり、接触部分(S)の摩擦抵抗が減少する結果、特に、作動角付与時における外側ローラ(44)の傾きが抑制される。そのため、従来構成に比べ、軸方向スライド抵抗が軽減され、誘起スラストが低減される。 【0032】図10に示す実施の形態は、外側ローラ(44)の脚軸先端側部分を幅方向に拡張したものである。外側ローラ(44)の外周面はその球面中心Hに非対称形状である。外輪(10)のローラ案内面(14)の外径側部分に鍔部が存在しないので、外側ローラ(44)の脚軸先端側部分を幅方向に拡張しても、外側ローラ(44)の脚軸先端側の端面は外輪(10)とは接触しない。その他の構成は図9の実施の形態と同様である。したがって、この実施の形態においても、図9の実施の形態の場合と同様にして誘起スラストが低減され、さらに、外側ローラ(44)の脚軸先端側部分が幅方向に拡張されていることにより、外側ローラ(44)がトラック溝(14)に沿って軸方向にスライド移動する時、外側ローラ(44)が内側ローラ(42)に追随して揺動変位しようとする際の外側ローラ(44)の傾きが抑制されるので、誘起スラストの低減がより一層効果的に達成される。 【0033】図11に示す実施の形態は、外側ローラ(44)の内周面を、内側ローラ(42)の外周面の母線中心(O1)に対して、内側ローラ(42)の半径中心(O)を挟んだ外径側でかつ脚軸(22)の基端側にオフセットした点(O4)を母線中心とする母線半径R4の凹球面にしたものである。外側ローラ(44)の内周面がこのような凹球面であるので、この内周面と内側ローラ(42)の外周面との接触部分に、外側ローラ(44)を脚軸先端側に向かって押圧する負荷分力が発生する。 【0034】図12に示す実施の形態は、外側ローラ(44)の内周面を、内側ローラ(44)の外周面の母線中心(O1)に対して、外側ローラ(44)の外周面を挟んだ外径側でかつ脚軸(22)の先端側にオフセットした点(O5)を母線中心とする母線半径R5の凸球面にしたものである。外側ローラ(44)の内周面がこのような凸球面であるので、この内周面と内側ローラ(42)の外周面との接触部分に、外側ローラ(44)を脚軸先端側に押圧する負荷分力が発生する。 【0035】図13に示す実施の形態は、外側ローラ(44)の内周面を、脚軸先端側に向かって縮径した円錐面と、内側ローラ(42)の外周面の母線中心(O1)に対して、外側ローラ(44)の外周面を挟んで外径側にオフセットした点(O6)を母線中心とする凸状部分球面とで合成したものである。円錐面は脚軸先端側に位置し、凸状部分球面は脚軸基端側に位置し、両者は滑らかに連続している。外側ローラ(44)の内周面がこのような合成面であるので、この内周面と内側ローラ(42)の外周面との接触部分に、外側ローラ(44)を脚軸先端側に向かって押圧する負荷分力が発生する。 【0036】図14に示す等速自在継手は、外側ローラ(44)の内周面を、円筒面と、内側ローラ(42)の外周面の母線中心(O1)に対して、外側ローラ(44)の外周面を挟んで外径側にオフセットした点(O6)を母線中心とする部分凸球面とで合成したものである。円筒面は脚軸先端側に位置し、部分凸球面は脚軸基端側に位置し、両者は滑らかに連続している。外側ローラ(44)の内周面がこのような合成面であるので、この内周面と内側ローラ(42)の外周面との接触部分に、外側ローラ(44)を脚軸先端側に向かって押圧する負荷分力が発生する。 【0037】 【発明の効果】本発明の効果を検証するため、従来の継手(図19)と本発明の図2の実施の形態による継手とについて、異なる作動角の下での誘起スラスト三次成分を測定した。試験条件は、トルクT=294Nm、回転数N=150rpm、作動角(deg)=6、8、10、12.5であった。 【0038】図15に誘起スラスト三次成分を対比させたグラフを示す。同図から明らかなように、本発明による継手は従来の継手よりも誘起スラスト三次成分が低く、角度による変動も小さい。図16に針状ころを単列に配置したものと複列に配置したものの誘起スラスト三次成分を対比させたグラフを示す。同図から明らかなように、針状ころを複列化することによって単列のものよりも誘起スラスト三次成分は低くなる。以上のことは、誘起スラスト低減という本発明の効果を裏付けるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月7日(1999.4.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064584 【弁理士】 【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−291678(P2000−291678A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月20日(2000.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−100562 |
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