トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 ディスクブレーキパッド
【発明者】 【氏名】萬代 慶丙

【要約】 【課題】裏金から摩擦部材が容易に分離することができる構造とし、かつ裏金をリサイクル可能としたディスクブレーキパッドを提供する。

【解決手段】裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材2下部の裏金1に挿入される部分に突起部3を形成し、該突起部3で裏金1に設けた溝4をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッド及び裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材を摺動側から裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように傾斜させて形成し、かつ摩擦部材下部の広域部分で裏金に設けた溝をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材下部の裏金に挿入される部分に突起部を形成し、該突起部で裏金に設けた溝をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッド。
【請求項2】 裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材を摺動側から裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように傾斜させて形成し、かつ摩擦部材下部の広域部分で裏金に設けた溝をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッド。
【請求項3】 摩擦部材の内周側となる部分から外周側となる部分に向かってさき細り形状になるようにテーパーを設けてなる請求項1又は2記載のディスクブレーキパッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動に用いられるディスクブレーキパッドの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動装置としてディスクブレーキが使用されており、その制動部材としてディスクブレーキが使用されている。現在使用されているディスクブレーキパッドにおいて、裏金に摩擦部材を固定する方法として一般的には接着剤により固定しているが、一部、特開昭50−21160号公報、特公平2−28019号公報等に示されるようにリベット止めが行われている。
【0003】しかしながら、従来のディスクブレーキパッドは、摩擦部材が摩耗限界まで摩耗して廃棄する際、裏金と摩擦部材が容易に分離することが出来ないため、共に廃棄処分していた。しかし裏金の重量は廃棄されるディスクブレーキパッド全体の重量の約7〜8割を占め、廃棄コストの増加を招くという問題点があった。また新品時においても裏金の重量はディスクブレーキパッド全体の重量の約半分を占め生産、輸送の工程でコスト増の要因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】請求項1及び2記載の発明は、裏金から摩擦部材が容易に分離することができる構造とし、かつ裏金をリサイクル可能としたディスクブレーキパッドを提供するものである。請求項3記載の発明は、請求項1及び2記載の発明に加えて、制動時、摩擦部材が裏金から容易に抜けるのを防止する効果を奏するディスクブレーキパッドを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材下部の裏金に挿入される部分に突起部を形成し、該突起部で裏金に設けた溝をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッドに関する。また、本発明は、裏金及び摩擦部材を含むディスクブレーキパッドにおいて、摩擦部材を摺動側から裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように傾斜させて形成し、かつ摩擦部材下部の広域部分で裏金に設けた溝をスライドさせ摩擦部材を裏金から着脱可能にしてなるディスクブレーキパッドに関する。さらに、本発明は、摩擦部材の内周側となる部分から外周側となる部分に向かってさき細り形状になるようにテーパーを設けてなるディスクブレーキパッドに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、摩擦部材下部の裏金に挿入される部分に形成する突起部の形状について特に制限はないが、例えば矢じりのように鋭角な傾斜角度をつけた形状又は凸部形状に形成することが好ましい。なお突起部として矢じりのように鋭角な傾斜角度をつけた場合、その角度は5〜20度の範囲であることが好ましく、10〜15度の範囲であることがさらに好ましい。突起部の幅、長さ及び高さについては特に制限はない。
【0007】また本発明になるディスクブレーキパッドは、摩擦部材を摺動側から裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように傾斜させて形成、即ち正面図における形状が台形になるように形成する。摺動側から裏金側への傾斜角度は5〜45度の範囲であることが好ましく、10〜30度の範囲であることがさらに好ましい。
【0008】本発明におけるディスクブレーキパッドは上記に示す形状とされるが、さらに本発明においては摩擦部材の内周側となる部分から外周側となる部分に向かってさき細り形状になるようにテーパーを設ければ、摩擦部材が制動時の分力により締め付ける方向(挿入する方向)に力が加わり摩擦部材の脱落が防止できるので好ましい。このテーパー角度は1〜20度の範囲であることが好ましく、5〜15度の範囲であることがさらに好ましい。
【0009】一方、裏金に形成する溝は摩擦部材下部に形成した突起部又は摩擦部材下部の広域部分がスライドでき、かつ嵌合できる形状であれば特に制限はない。裏金に形成する溝の幅はディスクブレーキパッドの摺動面積の5〜20%の範囲であることが好ましく、10〜15%の範囲であることがさらに好ましい。
【0010】摩擦部材に突起部を形成する方法、摩擦部材を摺動側から裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように傾斜させる方法及び摩擦部材の内周側となる部分から外周側となる部分に向かってさき細りの形状になるようにテーパーを設ける方法としては、フライス盤などの機械加工により形成又は設けることができる。また摩擦部材をスライドさせるために裏金に設ける溝は、上記と同様にフライス盤などの機械加工により設けることができる。
【0011】本発明のディスクブレーキパッドに用いられる摩擦部材の材質は、セミメタリック系、ノンスチール系のいずれにも適用でき特に制限はない。摩擦部材の素材は、一般に公知の材料が用いられ、例えばスチール繊維、黄銅繊維、銅繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、フェノール繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、カーボン繊維等の繊維状物質、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、カシュー樹脂等の熱硬化性樹脂やNBR、SBR、IR等のゴム組成物を含む結合剤、フリクションダストなどの有機質摩擦調整剤、硫酸バリウム、三硫化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機質摩擦調整剤などが用いられ、さらに必要に応じて黄銅、真鍮、銅等の金属粉が添加される。
【0012】上記における繊維状物質の含有量は、全組成物中に30〜50重量%含有することが好ましく、35〜45重量%含有することがさらに好ましい。結合剤の含有量は、全組成物中に10〜18重量%含有することが好ましく、12〜16重量%含有することがさらに好ましい。また無機質摩擦調整剤の含有量は、全組成物中に25〜45重量%含有することが好ましく、30〜40重量%含有することがさらに好ましい。これらの成分は、全組成物が100重量%となるように配合される。
【0013】本発明になるディスクブレーキパッドは、摩擦材組成物を予備成形し、次いで金型内に予備成形体を挿設し、その後加熱加圧成形法で成形し、さらに熱処理及び表面を研磨した後、機械加工で摩擦部材の両端部に突起部を形成するか又は摩擦材組成物を特殊な金型を用いて加熱加圧成形し、突起部を有する摩擦部材を得た後、該摩擦部材を裏金に設けた溝に圧入(スライド)して得られる。
【0014】なお成形する際の加熱温度は、130〜170℃が好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。圧力は、30〜60MPaが好ましく、45〜55MPaがさらに好ましい。熱処理温度は、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
【0015】以下、本発明の実施例の形態を図面により詳述する。図1は、本発明の一実施例になるディスクブレーキパッドの平面図、図2は図1の正面図及び図3は本発明の他の一実施例になるディスクブレーキパッドの正面図で、1は裏金、2は摩擦部材、3は摩擦部材下部に形成した突起部及び4は摩擦部材2をスライドさせるために裏金1に設けた溝であり、図2に示す矢印(イ)は摺動側を示す。
【0016】なお本発明において、摩擦部材の内周側とは、図1において下方に位置する部分を指し、一方、外周側とは図1において上方に位置する部分を指すものである。また摩擦部材下部の広域部分とは、図3において摩擦部材2が裏金に接する部分から下端部までの高さの部分を指すものであり、この部分の高さについては特に制限はない。
【0017】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
実施例1表1に示す成分を配合し、混合機で均一に混合した後予備成形し、次いで金型内に予備成形体を挿設し、その後140℃±5℃、50MPaの条件で10分間加熱加圧成形した。さらに200℃で5時間熱処理を行い、冷却後表面を研磨して摩擦部材を得た。
【0018】次に摩擦部材を図1及び図2に示すように摩擦部材2の内周側となる部分から外周側となる部分に向かってさき細りの形状となるように、内周側となる部分の寸法Aが83.4mm及び外周側となる部分の寸法Bが101mmで、かつθの角度が10度のテーパーを設けると共に、摩擦部材2の下部の裏金1に挿入される部分をフライス盤でCの寸法が10mm、Dの寸法が1.8mm及びθ′の角度が10度の突起部3を形成した。
【0019】一方、厚さ(寸法E)が10mmの裏金1には、摩擦部材2に形成した突起部3を挿入するために、該突起部3とほぼ同形状にフライス盤で溝4を設けた。次いで前記溝4に、摩擦部材2に形成した突起部3を圧入(スライド)して幅(寸法F)が50mm、長さ(寸法G)が125mm及び高さ(寸法H)が21mmのディスクブレーキパッドを得た。
【0020】実施例2図3に示すように実施例1で得た摩擦部材2をフライス盤で摺動側の寸法Iが101mmで、これから裏金側に向かうに従って幅が徐徐に広がるように加工し、下端部の寸法Jが121mm及び摺動側から裏金側の傾斜角度θ″が10度に加工した。一方、厚さ(寸法K)が10mmの裏金1には、摩擦部材下部の広域部分を挿入するために、広域部分とほぼ同形状にフライス盤で溝4を設けた。次いで前記溝4に摩擦部材下部の広域部分を圧入(スライド)して幅(図示せず)が50mm、長さ(寸法L)が125mm及び高さ(寸法M)が21mmのディスクブレーキパッドを得た。
【0021】
【表1】

【0022】次に本発明になる実施例1及び2で得たディスクブレーキパッドを表2に示す試験条件で制動試験を行った。試験後、各ディスクブレーキパッドの外周側から摩擦部材をハンマーで叩くことにより、裏金と摩擦部材とを簡単に分離することができた。また裏金と摩擦部材の外観を観察したが、亀裂や変形は見られなかった。
【0023】
【表2】

【0024】
【発明の効果】請求項1及び2記載のディスクブレーキパッドは、裏金から摩擦部材を容易に分離することができ、裏金がリサイクル可能なため工業的に極めて好適なディスクブレーキパッドである。請求項3記載のディスクブレーキパッドは、請求項1及び2記載の発明に加えて、制動時、摩擦部材が裏金から容易に抜けるのを防止する効果を奏するディスクブレーキパッドである。
【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100071559
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
【公開番号】 特開2000−170808(P2000−170808A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−350607