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【発明の名称】 デュアルモードドラムブレーキ
【発明者】 【氏名】堀原 昌樹

【氏名】薦田 一泰

【氏名】水野 光康

【要約】 【課題】パーキングブレーキ操作力の伝達ロスを抑制するとともに中間レバーの材料歩留りを向上させる。

【解決手段】第2ストラット部材52の他端部52aおよび中間レバー50の下端部50bを、シューウェブ14aの上面に近接する同一の平面内に位置させるとともに、一方を所定の曲率半径で凹んだ凹形状とし、他方をその凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状として、互いに突き合わせて嵌合させる。また、全体としてS(またはZ)字形状に曲成されたばね板60を、上記嵌合部およびシューウェブ14aに跨がって装着し、嵌合部の板厚方向の位置ずれを防止するとともにシューウェブ14aからの浮き上がりを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体に一体的に固設される略円板形状のバッキングプレートと、それぞれ略円弧形状を成し、前記バッキングプレートに外周側への拡開可能に配設されるとともに、相対向する一端部が該バッキングプレートに固設されたアンカによって支持される一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューと、該一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューの他端部間に位置するように前記バッキングプレートに配設され、該他端部をそれぞれ外側へ離間させることにより、車輪と共に回転するドラムに該第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを押圧し、リーディングトレーリング式ドラムブレーキとして制動力を発生させるホイールシリンダと、前記第1ブレーキシューに略沿って配設されるとともに、前記バッキングプレートと略平行な平板形状を成すシューウェブの中間部に、該バッキングプレートに対して略垂直となる連結中心まわりの相対回動可能に連結された中間レバーと、該中間レバーの一端部と前記第2ブレーキシューとに跨がって配設された第2ストラット部材と、前記中間レバーの前記連結中心を挟んで前記一端部と反対側の他端部、および前記第2ブレーキシューの、一方および他方に係合させられるとともに、互いに係合させられる第1ストラット部材およびパーキングレバーとを有し、該パーキングレバーが操作されることにより前記中間レバー、第1ストラット部材、および第2ストラット部材が連動して前記一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを拡開させ、デュオサーボ式ブレーキとして制動力を発生するデュアルモードドラムブレーキにおいて、前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、それぞれ前記第1ブレーキシューのシューウェブと略平行な平板形状を成し、該シューウェブの一方の面に略接する同一の平面内に位置させられているとともに、位置決めスプリングにより互いに接近する方向へ付勢されて位置決めされていることを特徴とするデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項2】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、前記中間レバーの、前記バッキングプレートの外周側に位置する外周側縁部には、該シューウェブから離間するように部分的に浮き上がった浮き上がり部が設けられ、該浮き上がり部に前記位置決めスプリングが掛け止められていることを特徴とする請求項1に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項3】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブに対して垂直な方向から見た平面視において、一方が所定の曲率半径で凹んだ凹形状を成し、他方が該凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状を成して、互いに嵌合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項4】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位に配設され、該係合部位が相互に板厚方向に位置ずれすることを防止する位置ずれ防止手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項5】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、板厚が略同じで互いに接するように突き当てられている一方、前記位置ずれ防止手段は、断面が略コの字形状を成すように曲成された位置決め板で、前記係合部位を板厚方向の両側から挟んで位置決めするものであることを特徴とする請求項4に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項6】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、前記位置決め板はばね板で、前記係合部位を挟圧する断面コの字形状の第1挟圧部に連続して反対側へ略コの字形状に曲成された第2挟圧部を有し、該第2挟圧部が前記第1ブレーキシューのシューウェブを内周側から挟み込むようになっていることを特徴とする請求項5に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項7】 前記ばね板は、前記第2挟圧部の回曲部が前記シューウェブの内周側縁部に略接するように配設される一方、該シューウェブおよび該ばね板の一方および他方には、互いに係合させられる係合穴および係合突部が設けられており、前記回曲部と内周側縁部との係合、および前記係合穴と係合突部との係合により、前記ばね板が一定の姿勢に位置決めされて前記シューウェブに取り付けられることを特徴とする請求項6に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項8】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブに対して垂直な方向から見た平面視において、それぞれ略同じ曲率半径で凹んだ凹形状を成し、該曲率半径と略同じ半径の円柱形状の位置決めピンに当接させられているとともに、該位置決めピンの両端部には外向き突起が設けられて該係合部位の板厚方向の位置ずれを防止しており、該位置決めピンによって前記位置ずれ防止手段が構成されていることを特徴とする請求項4に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【請求項9】 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、前記位置決めピンは、前記第1ブレーキシューのシューウェブに設けられた貫通穴を貫通して配設され、該シューウェブおよび前記係合部位を挟むように前記外向き突起が設けられている一方、該貫通穴は、前記第1ブレーキシューと前記中間レバーとが前記連結中心を中心として所定角度だけ相対回動することを許容するように、該連結中心を中心とする円周方向に長い長穴形状を成していることを特徴とする請求項8に記載のデュアルモードドラムブレーキ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サービスブレーキ時(常用ブレーキ時)にはリーディングトレーリング式ブレーキとして機能し、パーキングブレーキ時にはデュオサーボ式ブレーキとして機能するデュアルモードドラムブレーキの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(a) 車体に一体的に固設される略円板形状のバッキングプレートと、(b) それぞれ略円弧形状を成し、前記バッキングプレートに外周側への拡開可能に配設されるとともに、相対向する一端部がそのバッキングプレートに固設されたアンカによって支持される一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューと、(c) その一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューの他端部間に位置するように前記バッキングプレートに配設され、その他端部をそれぞれ外側へ離間させることにより、車輪と共に回転するドラムにその第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを押圧し、リーディングトレーリング式ドラムブレーキとして制動力を発生させるホイールシリンダと、(d) 前記第1ブレーキシューに略沿って配設されるとともに、前記バッキングプレートと略平行な平板形状を成すシューウェブの中間部に、そのバッキングプレートに対して略垂直となる連結中心まわりの相対回動可能に連結された中間レバーと、(e) その中間レバーの一端部と前記第2ブレーキシューとに跨がって配設された第2ストラット部材と、(f)前記中間レバーの前記連結中心を挟んで前記一端部と反対側の他端部、および前記第2ブレーキシューの一方および他方に係合させられるとともに、互いに係合させられる第1ストラット部材およびパーキングレバーとを有し、(g) そのパーキングレバーが操作されることにより前記中間レバー、第1ストラット部材、および第2ストラット部材が連動して前記一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを拡開させ、デュオサーボ式ブレーキとして制動力を発生するデュアルモードドラムブレーキが、例えば特開平10−73135号公報等に記載されている。
【0003】図6は、このような従来のデュアルモードドラムブレーキの一例を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけるB−B断面図であり、車両の右後輪用のものである。かかる図6において、車体に一体的に固設される略円板形状のバッキングプレート10には、円弧状(三日月形状)を成す一対のブレーキシュー12,14が外周側への拡開可能、すなわち図6の(a) における左右方向の移動可能に配設されている。ブレーキシュー12,14は、バッキングプレート10と略平行なシューウェブ12a,14aと、そのシューウェブ12a,14aの外周側端縁に略垂直、すなわち断面がT字形状を成すように固設されたシューリム12b,14bと、そのシューリム12b,14bの外周面に固設されたライニング12c,14cとを一体的に備えているとともに、シューウェブ12a,14aの中間部分にはそれぞれシューホルドダウン装置16,18が配設され、バッキングプレート10に上記拡開方向への移動可能に押圧されている。一対のシューウェブ12a、14aは、バッキングプレート10から所定寸法だけ離間した略共通の平面内に位置させられる。
【0004】ブレーキシュー12,14のシューウェブ12a,14aの相対向する一端部、すなわち図6の(a) における下方側の端部は、バッキングプレート10上に固設されたアンカ20に当接させられるようになっている一方、それ等のシューウェブ12a,14aの他端部すなわち図6の(a) における上方側の端部は、同じくバッキングプレート10上に固設されたホイールシリンダ22の両端部に係合させられている。アンカ20はフローティング式、すなわちシューウェブ12a,14aを離間可能に係止しており、それ等のシューウェブ12a,14a間に配設された引張コイルスプリング24により、常にはシューウェブ12a,14aの一端部がアンカ20に当接させられるようになっている。ホイールシリンダ22は、フットブレーキなどのサービスブレーキ時の操作に従ってブレーキ油圧が供給されることにより両側へ突き出す一対のピストンを備えており、そのピストンによってアンカ20との当接部を支点として両ブレーキシュー12,14の他端部がそれぞれ外側(図6(a) の左右方向)へ離間させられることにより、車輪と共に回転するドラム26の内周面にライニング12c,14cが押圧されて制動力を発生する。すなわち、サービスブレーキ時にはリーディングトレーリング式ドラムブレーキとして機能するのであり、車両前進時には、ドラム26は図6の(a) において矢印Aで示す右まわり方向へ回転させられ、右側のブレーキシュー12がリーディングシューで左側のブレーキシュー14がトレーリングシューとなる。なお、図6の(a) は車体への配設状態と略同じ姿勢で、ホイールシリンダ22が上方側に位置する姿勢で配置される。
【0005】上記ブレーキシュー12,14間であって他端部すなわち上端部付近、具体的にはホイールシリンダ22の内側に近接する部分には、そのホイールシリンダ22と略平行すなわちブレーキシュー12,14の拡開方向と略平行となる姿勢で、第1ストラット部材28が架け渡されている。第1ストラット部材28の両端部やシューウェブ12a,14aには、第1ストラット部材28の位置ずれや離脱を防止するために切欠などが設けられている。また、第1ストラット部材28まわりにはリターンスプリング30が配設されているとともに、その両端部は両ブレーキシュー12,14に掛け止められており、ホイールシリンダ22の油圧が低下するとリターンスプリング30の付勢力に従って両ブレーキシュー12,14は互いに接近させられ、第1ストラット部材28の両端部に当接させられて接近位置(待機位置)が規定されるようになっている。第1ストラット部材28はねじによって伸縮可能とされているとともに、シュー間隙自動調節機構32によりブレーキシュー12の移動量の増大に伴って伸長させられ、両ブレーキシュー12,14の待機位置が互いに離間させられることにより、ライニング12c,14cの摩耗に拘らずドラム26との間の隙間が所定の範囲内に維持されるようになっている。
【0006】ブレーキシュー14には、シューウェブ14aと略平行にバッキングプレート10と反対側に重なるように中間レバー34が配設されているとともに、その中間レバー34は、第1連結ピン35を介して相対回動可能にシューウェブ14aに連結されている。第1連結ピン35の軸心は連結中心(第1連結中心)に相当し、バッキングプレート10に対して略垂直である。中間レバー34の上端部はホイールシリンダ22の近傍まで達しているとともに、その上端部には上記第1連結ピン35と略平行、すなわちバッキングプレート10に対して略垂直に第2連結ピン36が配設されている。中間レバー34は平板形状を成しているとともに、第2連結ピン36が設けられる上端部より少し下側で前記第1ストラット部材28に対応する部分34aは、シューウェブ14aから離間するように凸形状に浮き上がっており、第1ストラット部材28との干渉が回避されるようになっているが、その他の部分はシューウェブ14aに略面接触させられている。第2連結ピン36には、その軸心である第2連結中心まわりの相対回動可能にパーキングレバー38が連結されている。
【0007】パーキングレバー38は、ブレーキシュー14のシューウェブ14aと略平行にバッキングプレート10側、すなわち中間レバー34と反対側に重なるように配設されており、先端部(第2連結ピン36に係止される側と反対側)は中間レバー34の下端部付近まで達しているとともにパーキングブレーキケーブル40が連結されている。前記第2連結ピン36はシューウェブ14aに形成された挿通穴14dを貫通させられているが、挿通穴14dは第2連結ピン36の径よりも十分に大きく、シューウェブ14aに対して第2連結ピン36や中間レバー34が前記第1連結ピン35まわりに相対回動することが許容されている。ブレーキシュー14は第1ブレーキシューに相当し、反対側のブレーキシュー12は第2ブレーキシューに相当する。なお、パーキングブレーキケーブル40は、バッキングプレート10の下側すなわちアンカ20側部分であってブレーキシュー12の近傍に設けられた取出穴42から取り出されており、車室内等に設けられた図示しないパーキングブレーキ操作レバー、足踏みペダル等のブレーキ操作部材に連結されている。
【0008】そして、パーキングブレーキ操作レバー等のブレーキ操作部材がパーキングブレーキ位置へ操作されると、パーキングレバー38は第2連結ピン36を中心としてパーキングブレーキケーブル40を介してブレーキシュー12側(第2連結ピン36の左まわり)へ回動させられ、ブレーキ操作部材がブレーキ解除位置へ戻されると、パーキングレバー38は図示しないリターンスプリングにより原位置まで戻される。上記パーキングブレーキの制動開始時にパーキングレバー38がブレーキシュー12側へ回動させられると、第2連結ピン36の近傍においてパーキングレバー38は前記第1ストラット部材28と係合させられ、その第1ストラット部材28を介してブレーキシュー12が外側(図6の(a) における右方向)へ変位させられるとともに、その反力で第2連結ピン36が外側(図6の(a) における左方向)へ変位させられ、中間レバー34が第1連結ピン35の左まわりに回動させられる。
【0009】中間レバー34の一端部である下端部34bと、ブレーキシュー12の下端部付近との間には、前記第1ストラット部材28と略平行な姿勢で第2ストラット部材44が架け渡されている。第2ストラット部材44は、シューウェブ12a、14aと略平行な平板形状の部材で、アンカ20を迂回するように弓形形状を成しており、その一端部は、シューウェブ12aの上面(バッキングプレート10と反対側の面)に略面接触させられているとともに、前記第1連結ピン35や第2連結ピン36と略平行な第3連結ピン46を介して、その第3連結ピン46の軸心である第3連結中心まわりの相対回動可能にシューウェブ12aに連結されている。第2ストラット部材44の他端部44aは、図6の(b) から明らかなようにシューウェブ14aから離間するように曲成されて浮き上がっている一方、中間レバー34の下端部34bは、シューウェブ14aから離間するように略直角に曲げ起こされており、他端部44aの先端に形成された切欠44bが下端部34bに係合させられている。また、下端部34bと第3連結ピン46との間にはスプリング(引張コイルスプリング)48が張設され、車両走行時の下端部34bと他端部44aとのがたつきによる異音の発生を防止するとともに、パーキングブレーキの解除時に中間レバー34を一定の初期位置まで戻すようになっている。
【0010】そして、パーキングブレーキの制動開始時に中間レバー34が第1連結ピン35の左まわりに回動させられ、下端部34bがブレーキシュー12側へ変位させられると、第2ストラット部材44を介してブレーキシュー12の下端部側が外側(図6の(a) における右方向)へ変位させられるとともに、その反力で中間レバー34が第2ストラット部材44との係合位置を支点として図6の(a) における左まわりに回動させられることにより、第1連結ピン35を介してブレーキシュー14が外側(図6の(a) における左方向)へ変位させられる。
【0011】すなわち、パーキングブレーキの制動開始時にパーキングレバー38が第2連結ピン36まわりにブレーキシュー12側へ回動させられると、第1ストラット部材28を介してブレーキシュー12の上端部(他端部)が外側へ変位させられるとともに、その反力で第2連結ピン36が外側へ変位させられ、それに伴って中間レバー34が第1連結ピン35を中心に左まわりに回動させられることにより、第2ストラット部材44を介してブレーキシュー12の下端部(一端部)が外側へ変位させられるとともに、その反力でブレーキシュー14が外側へ変位させられ、結局両ブレーキシュー12,14が一対のストラット部材28,44や中間レバー34、パーキングレバー38を介して作動的に連結された状態でドラム26に押圧されるのであり、デュオサーボ式に制動力を発生する。なお、デュオサーボ式ブレーキとして機能する場合、アンカ20によって制動力が受け止められるように、第2ストラット部材44の長さ寸法や中間レバー34、パーキングレバー38のレバー比などが設定されており、例えば前記矢印Aで示す前進方向のトルクが作用する場合には、左側のブレーキシュー14がプライマリシューとして機能するとともに、右側のブレーキシュー12がセカンダリシューとして機能し、そのブレーキシュー12の一端部がアンカ20に当接させられる。ブレーキシュー14のシューウェブ14aに設けられた前記挿通穴14dは、上記のようにデュオサーボ式ブレーキとして機能する場合に第2連結ピン36と干渉しない大きさに設定されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のデュアルモードドラムブレーキにおいては、中間レバー34の下端部34bをシューウェブ14aから離間するように略直角に曲げ起こして第2ストラット部材44の他端部44aと係合させるようになっているため、シューウェブ12a、14aを拡開するようにパーキングブレーキ操作力を伝達する際に、こじり(オフセットによるモーメント)が生じて伝達ロスが避けられないとともに、変形(連結部若しくは支持部の遊びによる傾きや偏摩耗など)でパーキングレバー38の操作ストロークが増大する可能性がある。また、下端部34bを曲げ起こす分だけ中間レバー34の材料歩留りが悪くなる。
【0013】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、パーキングブレーキ操作力の伝達ロスを抑制するとともに中間レバーの材料歩留りを向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 車体に一体的に固設される略円板形状のバッキングプレートと、(b) それぞれ略円弧形状を成し、前記バッキングプレートに外周側への拡開可能に配設されるとともに、相対向する一端部がそのバッキングプレートに固設されたアンカによって支持される一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューと、(c) その一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューの他端部間に位置するように前記バッキングプレートに配設され、その他端部をそれぞれ外側へ離間させることにより、車輪と共に回転するドラムにその第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを押圧し、リーディングトレーリング式ドラムブレーキとして制動力を発生させるホイールシリンダと、(d) 前記第1ブレーキシューに略沿って配設されるとともに、前記バッキングプレートと略平行な平板形状を成すシューウェブの中間部に、そのバッキングプレートに対して略垂直となる連結中心まわりの相対回動可能に連結された中間レバーと、(e) その中間レバーの一端部と前記第2ブレーキシューとに跨がって配設された第2ストラット部材と、(f) 前記中間レバーの前記連結中心を挟んで前記一端部と反対側の他端部、および前記第2ブレーキシューの、一方および他方に係合させられるとともに、互いに係合させられる第1ストラット部材およびパーキングレバーとを有し、(g) そのパーキングレバーが操作されることにより前記中間レバー、第1ストラット部材、および第2ストラット部材が連動して前記一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューを拡開させ、デュオサーボ式ブレーキとして制動力を発生するデュアルモードドラムブレーキにおいて、(h) 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、それぞれ前記第1ブレーキシューのシューウェブと略平行な平板形状を成し、そのシューウェブの一方の面に略接する同一の平面内に位置させられているとともに、位置決めスプリングにより互いに接近する方向へ付勢されて位置決めされていることを特徴とする。
【0015】第2発明は、第1発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、(a) 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、(b) 前記中間レバーの、前記バッキングプレートの外周側に位置する外周側縁部には、そのシューウェブから離間するように部分的に浮き上がった浮き上がり部が設けられ、その浮き上がり部に前記位置決めスプリングが掛け止められていることを特徴とする。
【0016】第3発明は、第1発明または第2発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブに対して垂直な方向から見た平面視において、一方が所定の曲率半径で凹んだ凹形状を成し、他方がその凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状を成して、互いに嵌合されていることを特徴とする。
【0017】第4発明は、第1発明〜第4発明の何れかのデュアルモードドラムブレーキにおいて、前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位に配設され、その係合部位が相互に板厚方向に位置ずれすることを防止する位置ずれ防止手段を有することを特徴とする。
【0018】第5発明は、第4発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、(a) 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、板厚が略同じで互いに接するように突き当てられている一方、(b) 前記位置ずれ防止手段は、断面が略コの字形状を成すように曲成された位置決め板で、前記係合部位を板厚方向の両側から挟んで位置決めするものであることを特徴とする。
【0019】第6発明は、第5発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、(a) 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、(b) 前記位置決め板はばね板で、前記係合部位を挟圧する断面コの字形状の第1挟圧部に連続して反対側へ略コの字形状に曲成された第2挟圧部を有し、その第2挟圧部が前記第1ブレーキシューのシューウェブを内周側から挟み込むようになっていることを特徴とする。
【0020】第7発明は、第6発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、(a) 前記ばね板は、前記第2挟圧部の回曲部が前記シューウェブの内周側縁部に略接するように配設される一方、(b) そのシューウェブおよびばね板の一方および他方には、互いに係合させられる係合穴および係合突部が設けられており、(c) 前記回曲部と内周側縁部との係合、および前記係合穴と係合突部との係合により、前記ばね板が一定の姿勢に位置決めされて前記シューウェブに取り付けられることを特徴とする。
【0021】第8発明は、第4発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブに対して垂直な方向から見た平面視において、それぞれ略同じ曲率半径で凹んだ凹形状を成し、その曲率半径と略同じ半径の円柱形状の位置決めピンに当接させられているとともに、その位置決めピンの両端部には外向き突起が設けられてその係合部位の板厚方向の位置ずれを防止しており、その位置決めピンによって前記位置ずれ防止手段が構成されていることを特徴とする。
【0022】第9発明は、第8発明のデュアルモードドラムブレーキにおいて、(a) 前記第2ストラット部材と前記中間レバーとの係合部位は、前記第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられており、(b) 前記位置決めピンは、前記第1ブレーキシューのシューウェブに設けられた貫通穴を貫通して配設され、そのシューウェブおよび前記係合部位を挟むように前記外向き突起が設けられている一方、(c) その貫通穴は、前記第1ブレーキシューと前記中間レバーとが前記連結中心を中心として所定角度だけ相対回動することを許容するように、その連結中心を中心とする円周方向に長い長穴形状を成していることを特徴とする。
【0023】
【発明の効果】第1発明では、第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位が、第1ブレーキシューのシューウェブに略接する同一の平面内に位置させられているため、一対のブレーキシューを拡開するようにパーキングブレーキ操作力を伝達する際のこじり(オフセットによるモーメント)が抑制され、パーキングブレーキ操作力の伝達ロスが低減されるとともに、変形による操作ストロークの増大が抑制される。また、従来のように中間レバーの一部を曲げ起こす場合に比較して中間レバーの材料歩留りが向上し、軽量化が可能となる。
【0024】第2発明では、第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位が、第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられている一方、中間レバーの外周側縁部に浮き上がり部が設けられ、その浮き上がり部に位置決めスプリングが掛け止められているため、中間レバーと第2ストラット部材との係合部位を第1ブレーキシューのシューウェブに押し付ける方向のモーメントが位置決めスプリングの付勢力により発生し、シューウェブからの浮き上がりやがたつきが抑制される。
【0025】第3発明では、第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位が、第1ブレーキシューのシューウェブに対して垂直な方向から見た平面視において、一方が所定の曲率半径で凹んだ凹形状を成し、他方がその凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状を成して、互いに嵌合されているため、パーキングブレーキの制動開始時や解除時の両者の相対回動を許容しつつ係合状態が良好に維持される。
【0026】第4発明では、第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位に位置ずれ防止手段が配設され、係合部位が相互に板厚方向に位置ずれすることが防止されるようになっているため、第2ストラット部材の第2ブレーキシュー側の支持構造や中間レバーの第1ブレーキシュー側の支持構造にがたつきが存在しても、第2ストラット部材と中間レバーとの係合状態が良好に維持され、それ等の支持構造を簡略化できる。位置ずれ防止手段として位置決め板を用いた第5発明、位置決めピンを用いた第8発明についても同様である。
【0027】第6発明は、第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位が、第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させられている一方、位置ずれ防止手段としてばね板を用いる場合に、係合部位を挟圧する第1挟圧部に連続して第2挟圧部が設けられ、その第2挟圧部が第1ブレーキシューのシューウェブを挟み込むようになっているため、係合部位がシューウェブから浮き上がることが確実に防止され、第2ストラット部材の第2ブレーキシュー側の支持構造や中間レバーの第1ブレーキシュー側の支持構造を簡略化できるとともに、こじり(オフセットによるモーメント)の抑制によりパーキングブレーキ操作力の伝達ロスを低減するという第1発明の効果を一層良好に享受できる。位置ずれ防止手段として位置決めピンを用いる場合に、その位置決めピンを第1ブレーキシューのシューウェブに設けられた貫通穴を貫通して配設し、そのシューウェブおよび係合部位を挟むように外向き突起を設けた第9発明も、第6発明と同様の効果が得られる。貫通穴は、連結中心(第1連結中心)を中心として所定角度だけ相対回動することを許容するように長穴形状を成しているため、パーキングブレーキの制動開始時や解除時に第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位が第1ブレーキシューに対して相対移動することが許容される。
【0028】第7発明は、第2挟圧部の回曲部と第1ブレーキシューのシューウェブの内周側縁部との係合、および係合穴と係合突部との係合により、ばね板が一定の姿勢に位置決めされてシューウェブに取り付けられるようになっているため、ばね板がシューウェブから離脱することが防止されるとともに、パーキングブレーキの制動開始時や解除時にばね板に対して相対移動する第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位を、第1挟圧部によって常に確実に挟圧して板厚方向の位置ずれを防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の好適な第1の実施形態は、(a) 前記パーキングレバーは、前記第1ブレーキシューに略沿って配設されるとともに、前記中間レバーの他端部に前記連結中心(第1連結中心)と略平行な第2連結中心まわりの相対回動可能に連結され、前記パーキングブレーキ時にはパーキングブレーキケーブル等を介してその第2連結中心を中心として前記第2ブレーキシュー側へ回動操作されるように構成され、(b) 前記第1ストラット部材は、前記パーキングブレーキ時に前記パーキングレバーが前記第2連結中心を中心として前記第2ブレーキシュー側へ回動操作されることにより、その第2ブレーキシューを外側へ変位させるとともに、その反力でその第2連結中心を外側へ変位させるように、そのパーキングレバーと第2ブレーキシューとに跨がって配設され、(c) 前記第2ストラット部材は、前記パーキングブレーキ時に前記第2連結中心が外側へ変位させられて前記中間レバーが前記第1連結中心まわりに回動させられることにより、前記第2ブレーキシューを外側へ変位させるとともに、その反力でその第1連結中心と共に前記第1ブレーキシューを外側へ変位させるように構成される。前記図6の従来例は、この第1の実施形態によるものである。
【0030】第2の実施形態は、(a) 前記パーキングレバーは、前記第2ブレーキシューに略沿って配設されるとともに、その第2ブレーキシューに前記連結中心(第1連結中心)と略平行な第2連結中心まわりの相対回動可能に連結され、前記パーキングブレーキ時にはパーキングブレーキケーブル等を介してその第2連結中心を中心として前記第1ブレーキシュー側へ回動操作されるように構成され、(b) 前記第1ストラット部材は、前記パーキングブレーキ時に前記パーキングレバーが前記第2連結中心を中心として前記第1ブレーキシュー側へ回動操作されることにより、前記中間レバーの他端部を外側へ変位させるとともに、その反力でその第2連結中心を外側へ変位させるように、そのパーキングレバーと中間レバーとに跨がって配設され、(c) 前記第2ストラット部材は、前記パーキングブレーキ時に前記中間レバーの他端部が外側へ変位させられて前記第1連結中心まわりに回動させられることにより、前記第2ブレーキシューを外側へ変位させるとともに、その反力でその第1連結中心と共に前記第1ブレーキシューを外側へ変位させるように構成される。
【0031】なお、上記第1、第2の何れの実施形態においても、第2連結中心は第1連結中心と略平行であるが、本発明の実施に際しては必ずしも第1連結中心と平行である必要はなく、例えばバッキングプレートと平行であっても良い。また、中間レバーが配設される第1ブレーキシューは、リーディングシューおよびトレーリングシューの何れであっても差し支えない。
【0032】中間レバーは、第1ブレーキシューのシューウェブのバッキングプレート側に配設しても良いし、シューウェブを挟んでバッキングプレートと反対側に配設することもできるが、パーキングレバーが第1ブレーキシュー側に配設される場合(前記第1の実施形態)には、第1ブレーキシューのシューウェブを挟んで中間レバーおよびパーキングレバーを互いに反対側に配設することが望ましい。前記第2の実施形態の場合は、シューウェブの上下(バッキングプレート側か否か)に関して、中間レバーおよびパーキングレバーを同じ側に配設することが望ましい。
【0033】第1ストラット部材および第2ストラット部材は、一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューの拡開方向と略平行となる姿勢、すなわちホイールシリンダとアンカとを結ぶ直線に対して略直角でバッキングプレートと略平行となる姿勢で、且つ互いに略平行となるように配設することが望ましく、ホイールシリンダおよびアンカの内側部分にそれ等に近接して配設することが望ましい。また、パーキングブレーキ時にデュオサーボ式ブレーキとして機能する場合、アンカによって制動力が受け止められるようにすることが望ましく、第1ストラット部材および第2ストラット部材の長さ寸法や配設形態、中間レバーおよびパーキングレバーのレバー比などは、パーキングブレーキ時にセカンダリシューとなる方のブレーキシューの一端部はアンカに当接し、両ブレーキシューの他端部とホイールシリンダとの間にはそれぞれ隙間が生じるように定めることが望ましい。
【0034】第2ストラット部材の第2ブレーキシュー側の係合形態(支持構造)は、前記図6のように第3連結ピンによって相対回動可能に連結することが望ましいが、スリットを設けてシューウェブと係合させるなど、種々の係合形態を採用できる。
【0035】一対の第1ブレーキシューおよび第2ブレーキシューの他端部、すなわちホイールシリンダ側の端部には、一般に接近位置(待機位置)を規定するリターンスプリングおよびストラット部材が配設されるが、本発明の第1ストラット部材および第2ストラット部材は、その待機位置規定用のストラット部材とは作用が異なる別のものである。但し、前記図6のように第1ストラット部材および第2ストラット部材のうち、ホイールシリンダ側のものを待機位置規定用のストラット部材で兼用することもできる。
【0036】第4発明の位置ずれ防止手段としては、前記位置決め板(第5発明)やばね板(第6発明、第7発明)、位置決めピン(第8発明、第9発明)が好適に用いられるが、例えば第2ストラット部材および中間レバーの係合部位の一方の板厚方向の両側に一対の位置決め板を固設して、それ等の位置決め板により他方の係合部位を挟んで位置決めするようにしたり、第2ストラット部材および中間レバーの板厚を相違させて、板厚が厚い方向の係合部位に溝を形成して他方をその溝内に挿入するようにしたり、断面L字形の位置決め板を第1ブレーキシューのシューウェブに固定してシューウェブと位置決め板との間で係合部位を位置決めしたり、断面コの字形状のばね板と位置決めピンとを組み合わせたものなど、種々の態様を採用できる。中間レバーの外周側縁部に浮き上がり部が設けられ、その浮き上がり部に位置決めスプリングが掛け止められる第2発明の場合、中間レバーの係合部位がシューウェブに押し付けられるため、その中間レバーの係合部位のシューウェブ側を切り欠いて薄くしたり、シューウェブと反対側の面のみに位置決め板を設けるなどして、その薄板部や位置決め板を第2ストラット部材の係合部位に重ね合わせてシューウェブに押圧し、板厚方向の位置ずれを防止するようにしても良い。
【0037】第6発明では、係合部位を挟圧する第1挟圧部に連続して第2挟圧部が設けられ、その第2挟圧部が第1ブレーキシューのシューウェブを挟み込むようになっているのに対し、パーキングブレーキの制動開始時や解除時には係合部位が第1ブレーキシューに対して相対移動させられるため、第1挟圧部および第2挟圧部の何れか一方はパーキングブレーキの制動開始時や解除時に相対移動(滑り)が生じる。ばね板が第1ブレーキシューのシューウェブに一定の姿勢で取り付けられる第7発明では、第1挟圧部と係合部位との間で相対移動が生じるため、その相対移動に拘らず係合部位の挟圧状態を維持できるように、第1挟圧部の大きさや形状が定められる。なお、第5発明の実施においては、必ずしも第1挟圧部で係合部位を挟圧(押圧)する必要はなく、僅かな隙間(遊び)を有する状態で係合部位を位置決めするようにしても良い。
【0038】第9発明において、第1ブレーキシューと中間レバーとが連結中心(第1連結中心)を中心として相対回動できる所定角度は、デュオサーボ式ブレーキとして機能するパーキングブレーキ時に位置決めピンと干渉しない角度で、貫通穴は連結中心(第1連結中心)を中心とする円弧形状であっても良いし、周方向(接線方向)に長い直線状の長穴であっても良い。
【0039】第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位を互いに接近する方向へ付勢する位置決めスプリングは、引張コイルスプリングが好適に用いられるが、捩りコイルスプリングを用いることも可能で、圧縮コイルスプリングを使って付勢することもできる。この位置決めスプリングは、例えば第2ストラット部材と中間レバーとに跨がって配設されるが、第2ブレーキシューと中間レバーとに跨がって配設しても良い。
【0040】第2ストラット部材と中間レバーとの係合部位は、第2発明、第6発明、第7発明、第9発明のように第1ブレーキシューのシューウェブの一方の面上に位置させることが、第1発明等の他の発明においても望ましいが、シューウェブに略接する(近接する)平面内であれば、シューウェブよりも内側に位置させられるようになっていても良い。シューウェブの一方の面上とは、鉛直方向の上方を意味するものではなく、シューウェブと直角な方向から見た平面視においてシューウェブと重なっていることを意味する。
【0041】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例では、前記図6のデュアルモードドラムブレーキに本発明が適用された場合について説明する。図6と実質的に同じ部材には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0042】図1は、前記図6に対応する図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけるB−B断面図であり、図6に比較して中間レバー50、第2ストラット部材52、およびスプリング54が相違する。中間レバー50は、前記中間レバー34と略同じ構成で、ブレーキシュー14のシューウェブ14aと略平行にバッキングプレート10と反対側に重なるように配設されているとともに、中間部において前記第1連結ピン35を介して相対回動可能にシューウェブ14aに連結されている。中間レバー50の上端部はホイールシリンダ22の近傍まで達しているとともに、前記第2連結ピン36を介して前記パーキングレバー38に相対回動可能に連結されている。中間レバー50は平板形状を成しているとともに、第2連結ピン36が設けられる上端部より少し下側で前記第1ストラット部材28に対応する部分50aは、シューウェブ14aから離間するように凸形状に浮き上がっており、第1ストラット部材28との干渉が回避されるようになっているが、その他の部分はシューウェブ14aに略面接触させられている。
【0043】中間レバー50の一端部である下端部50bと、ブレーキシュー12の下端部付近との間には、前記第1ストラット部材28と略平行な姿勢で第2ストラット部材52が架け渡されている。第2ストラット部材52は、シューウェブ12a、14aと略平行な平板形状の部材で、アンカ20を迂回するように弓形形状を成しており、そのアンカ20の両側において中間レバー50およびブレーキシュー12と係合させられている。第2ストラット部材52の一端部は、シューウェブ12aの上面(バッキングプレート10と反対側の面)に略面接触させられているとともに、前記第3連結ピン46を介して相対回動可能にシューウェブ12aに連結されている。第2ストラット部材52の他端部52a、および中間レバー50の下端部50bは、何れもシューウェブ14aの上面(バッキングプレート10と反対側の面)上に位置しており、そのシューウェブ14aに略面接触する状態(厳密には、後述のばね板60の板厚分だけ離れている)で、互いに同一の平面内に位置させられているとともに、下端部50bと第3連結ピン46との間にはスプリング(引張コイルスプリング)52が張設され、図2に示すように下端部50bと他端部52aとが相互に突き当てられるようになっている。これにより、車両走行時の両者のがたつきによる異音の発生が防止されるとともに、パーキングブレーキの解除時に中間レバー50が一定の初期位置まで戻される。このスプリング54は位置決めスプリングに相当する。
【0044】中間レバー50の、バッキングプレート10の外周側に位置する外周側縁部、すなわち図1の(a) における左側縁部であって、前記スプリング54が掛止される部分には、図1の(b) から明らかなようにシューウェブ14aから離間するように部分的に浮き上がっている浮き上がり部56が絞り加工によって設けられている。また、その浮き上がり部56の側縁部にはV字状のノッチ56aが形成され、前記スプリング54はそのノッチ56aに掛止されている。
【0045】一方、中間レバー50および第2ストラット部材52の少なくとも下端部50b、一端部52a付近の板厚は略同じであるとともに、両者の係合部位58は、図2から明らかなように、ブレーキシュー14のシューウェブ14aに対して垂直な方向から見た平面視において、一方(実施例では一端部52a側)58aが所定の曲率半径で凹んだ凹形状を成し、他方(実施例では下端部50b側)58bがその凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状を成して、互いに嵌合されている。これ等の凹凸形状の曲率半径や嵌合深さは、パーキングブレーキの制動開始時、解除時における両者の相対回動を許容しつつ係合状態が維持されるように定められている。
【0046】また、上記係合部位58には、相互に板厚方向に位置ずれすることを防止する位置ずれ防止手段、更には位置決め板として、ばね板60が配設されている。ばね板60は、図2の III− III断面を示す図3の(a) に示すように構成されており、断面が略コの字(U字)形状を成すように曲成されて係合部位58を板厚方向の両側から挟圧する第1挟圧部60aと、その第1挟圧部60aに連続して反対側へ略コの字形状に曲成されてシューウェブ14aを内周側から挟み込む第2挟圧部60bとを備えていて、全体としてS(またはZ)字形状を成している。また、かかるばね板60は、第2挟圧部60bの回曲部がシューウェブ14aの内周側縁部に略接するように配設される一方、シューウェブ14aには係合穴14eが設けられるとともにばね板60には係合穴14eと係合する係合突部60cが設けられており、上記回曲部と内周側縁部との係合、および係合穴14eと係合突部60cとの係合により、ばね板60が一定の姿勢に位置決めされてシューウェブ14aに取り付けられている。係合突部60cは、本実施例ではバーリング加工による環状突起である。なお、図3の(b) に示すように、上記第1挟圧部60aに相当する断面がコの字(U字)形状の挟圧部62aと、係合穴14eと係合する係合部62bとを有するばね板62を採用することもできる。
【0047】このようなデュアルモードドラムブレーキにおいても、前記図6の従来例と同様に、パーキングブレーキの制動開始時にパーキングレバー38が第2連結ピン36まわりにブレーキシュー12側へ回動させられると、第1ストラット部材28を介してブレーキシュー12の上端部(他端部)が外側へ変位させられるとともに、その反力で第2連結ピン36が外側へ変位させられる。また、その第2連結ピン36の変位に伴って中間レバー50が第1連結ピン35を中心に左まわりに回動させられることにより、第2ストラット部材52を介してブレーキシュー12の下端部(一端部)が外側へ変位させられるとともに、その反力でブレーキシュー14が外側へ変位させられ、結局両ブレーキシュー12,14が一対のストラット部材28,52や中間レバー50、パーキングレバー38を介して作動的に連結された状態でドラム26に押圧され、デュオサーボ式に制動力を発生する。なお、このようにデュオサーボ式ブレーキとして機能する場合、アンカ20によって制動力が受け止められるように、ストラット部材28、52の長さ寸法や中間レバー50、パーキングレバー38のレバー比などが設定されている。
【0048】ここで、本実施例のデュアルモードドラムブレーキにおいては、第2ストラット部材52と中間レバー50との係合部位58がシューウェブ14aの上面に近接する同一の平面内に位置させられているため、一対のブレーキシュー12、14を拡開するようにパーキングブレーキ操作力を伝達する際のこじり(オフセットによるモーメント)が抑制され、パーキングブレーキ操作力の伝達ロスが低減されるとともに、変形による操作ストロークの増大が抑制される。また、図6の中間レバー34のように一部を曲げ起こす場合に比較して中間レバー50の材料歩留りが向上し、軽量化が可能となる。
【0049】また、中間レバー50の外周側縁部に浮き上がり部56が設けられ、その浮き上がり部56にスプリング54が掛け止められているため、中間レバー50と第2ストラット部材52との係合部位58をシューウェブ14aに押し付ける方向のモーメントがスプリング54の付勢力により発生し、シューウェブ14aからの浮き上がりやがたつきが抑制される。
【0050】また、係合部位58は、図2に示す平面視において、一方58aが所定の曲率半径で凹んだ凹形状を成し、他方58bがその凹形状の曲率半径と略同じ曲率半径の凸形状を成して、互いに嵌合されているため、パーキングブレーキの制動開始時や解除時の両者の相対回動を許容しつつ係合状態が良好に維持される。
【0051】また、上記係合部位58には位置ずれ防止手段としてばね板60または62が配設され、係合部位58が相互に板厚方向に位置ずれすることが防止されるようになっているため、第2ストラット部材52のブレーキシュー12側の支持構造や中間レバー50のブレーキシュー14側の支持構造にがたつきが存在しても、第2ストラット部材52と中間レバー50との係合状態が良好に維持され、それ等の支持構造を簡略化できる。
【0052】特に、ばね板60は、係合部位58を挟圧する第1挟圧部60aに連続して第2挟圧部60bが設けられ、その第2挟圧部60bがシューウェブ14aを挟み込むようになっているため、係合部位58がシューウェブ14aから浮き上がることが確実に防止され、第2ストラット部材52のブレーキシュー12側の支持構造や中間レバー50のブレーキシュー14側の支持構造を簡略化できるとともに、こじり(オフセットによるモーメント)の抑制によりパーキングブレーキ操作力の伝達ロスを低減するという効果を一層良好に享受できる。なお、この実施例ではスプリング54によって係合部位58がシューウェブ14a側へ押圧されるため、第2挟圧部60bを備えていないばね板62を用いた場合でも、係合部位58がシューウェブ14aから浮き上がる可能性は小さい。
【0053】また、上記ばね板60は、第2挟圧部60bの回曲部とシューウェブ14aの内周側縁部との係合、および係合穴14eと係合突部60cとの係合により、一定の姿勢に位置決めされてシューウェブ14aに取り付けられるようになっているため、ばね板60がシューウェブ14aから離脱することが防止されるとともに、パーキングブレーキの制動開始時や解除時にばね板60に対して相対移動する第2ストラット部材52と中間レバー50との係合部位58を、第1挟圧部60aによって常に確実に挟圧して板厚方向の位置ずれを防止できる。
【0054】次に、位置ずれ防止手段として上記ばね板60、62の代わりに位置決めピンを用いた実施例を説明する。図4の(a) は、第2ストラット部材52と中間レバー50との係合部位70付近を示す正面図、すなわちブレーキシュー14のシューウェブ14aに対して垂直な方向から見た図で、(b) は(a) におけるB−B断面図であり、図1〜図3の実施例に比較して係合部位70および位置ずれ防止手段としての位置決めピン72に関する構成が異なるだけである。係合部位70は、図4の(a) に示す状態において、それぞれ略同じ曲率半径で凹んだ第2ストラット部材52側の凹形状部70a、および中間レバー50側の凹形状部70bから成り、その曲率半径と略同じ半径の円柱形状の位置決めピン72の外周面に、前記スプリング54の付勢力に従って当接させられている。凹形状部70a、70bの曲率半径や位置決めピン72に対する係合深さは、パーキングブレーキの制動開始時、解除時における両者の相対回動を許容しつつ係合状態が維持されるように定められている。また、位置決めピン72は、ブレーキシュー14のシューウェブ14aに設けられた貫通穴14fを貫通して配設されているとともに、その両端部には、シューウェブ14aおよび係合部位70を挟むように大径部72a、72bが設けられ、係合部位70の板厚方向の位置ずれおよびシューウェブ14aからの浮き上がりを防止するようになっている。大径部72a、72bは外向き突起に相当する。
【0055】上記貫通穴14fは、ブレーキシュー14と中間レバー50とが前記第1連結ピン35まわりに所定角度だけ相対回動することを許容するように、第1連結ピン35を中心とする円周方向に長い長穴形状(円弧形状)を成しており、これによりパーキングブレーキの作動開始時や解除時に係合部位70がブレーキシュー14aに対して相対移動することが許容される。また、貫通穴14fの一端部には、大径部72aよりも僅かに大径の挿入穴部14gが連続して設けられ、位置決めピン72の大径部72aを図4(b) の上方から挿入して組み付けることができるようになっている。挿入穴部14gは、パーキングブレーキの作動開始時や解除時における位置決めピン72の相対移動範囲外に設けられており、通常の使用時に大径部72aが挿入穴部14gから抜け出す恐れはない。
【0056】本実施例においても、位置決めピン72によって係合部位70の板厚方向の位置ずれが防止され、位置決めピン72との係合状態が良好に維持されるとともに、シューウェブ14aから浮き上がることが確実に防止されるため、位置ずれ防止手段として前記ばね板60を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0057】図5の実施例は、上記位置決めピン72の代わりに、一端部に大径部74aが設けられた位置決めピン74を用いるとともに、軸部74bの先端にスナップリング76を嵌め付けて、係合部位70をシューウェブ14aとの間で位置決めするようにしたもので、位置決めピン74の軸部74bを図5(b) の下方から挿入して、軸部74bの先端に設けられた溝74cにスナップリング76を嵌め着ければ良い。この場合は挿入穴部14gが不要である。なお、軸部74bを図5(b) の上方から挿入して、シューウェブ14aの下側(バッキングプレート10側)でスナップリング76を嵌め着けるようにしても良い。大径部74aおよびスナップリング76は外向き突起に相当する。
【0058】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】390005670
【氏名又は名称】豊生ブレーキ工業株式会社
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
【公開番号】 特開2000−170802(P2000−170802A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−347222