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【発明の名称】 |
ころ軸受用保持器およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】針本 一由 【氏名】北川 勝 【氏名】中谷 晴男 |
【課題】精度良く、かつ生産性良く製造でき、コスト低下が図れる保持器、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】次の各工程によりM型にロール成形された保持器とする。このロール成形は、円筒状素材1Aの軸方向中間部を断面台形状に成形する溝押し工程と、この素材1Aの一端側および他端側にフランジ2を曲げ加工するフランジ曲げ工程とからなる。溝押し工程では、内形マンドレル11、外形マンドレル12、一対のガイドロール13、およびバックアップロール14を用いる。フランジ曲げ工程では、溝押しされた円筒状素材1Aの外形相当の内形面を有する駆動チャック15と、幅面用マンドレル16と、幅ロール17,18とを用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端に、内径側に延びるフランジ部が形成され、周方向複数箇所にころ保持用のポケットを有し、各ポケット間の柱部が、両端の外径側部とこれらの外径側部から内径側へ斜めに続く傾斜部と、中央の内径側部とでなる台形状に形成され、前記ポケットに挿入されるころの軸心に対して外径側に前記外径側部が位置し、内径側に前記内径側部が位置する、ころ軸受用保持器において、前記フランジ部、外径側部、内径側部、および傾斜部を、ロール成形により略均一な肉厚に形成したことを特徴とするころ軸受用保持器。 【請求項2】 請求項1記載のころ軸受用保持器を製造する方法であって、内形マンドレルと外形マンドレル間に円筒状素材を挿入し、この円筒状素材を、一対の対面するガイドロールの端面で軸方向に押圧しながら、回転駆動される内形マンドレルに外形マンドレルで押しつけ、かつ外形マンドレルと対峙するバックアップロールで円筒状素材の外径面を押圧することにより円筒状素材の軸方向中間部を台形溝状に成形する溝押し工程と、この成形された円筒状素材の外形相当の内形面を有する駆動チャックと幅面用マンドレル間に素材を装着し、この幅面用マンドレルで径方向に押付けた状態で、円筒状素材の一端を幅ロールにより内形側に折曲してフランジ部とする一端側のフランジ曲げ工程と、円筒状素材の他端を一端側のフランジ曲げ工程と同様に駆動チャック,幅面用マンドレル,および幅ロールを用いて折曲する他端側のフランジ曲げ工程と、これらのロール成形工程によりM型に成形された素材に複数のポケットを形成する工程とからなることを特徴とするころ軸受用保持器の製造方法。 【請求項3】 前記各フランジ曲げ工程は、第1の幅ロールで円筒状素材の端部を所定の中間角度まで折曲した後、第2の幅ロールで仕上がり角度まで折曲する請求項2記載のころ軸受用保持器の製造方法。 【請求項4】 前記他端側のフランジ曲げ工程は、一端側のフランジ曲げ工程の後、駆動チャックに対して円筒状素材を反転させ、一端側のフランジ曲げ工程と同じ駆動チャック,幅面用マンドレル,および幅ロールを用いて折曲する請求項2または請求項3記載のころ軸受用保持器の製造方法。 【請求項5】 前記一端側のフランジ曲げ工程と他端側のフランジ曲げ工程とを同時に行う請求項2または請求項3記載のころ軸受用保持器の製造方法。 【請求項6】 前記溝押し工程において、円筒状素材の外径寸法を製品となる保持器の外径寸法よりも僅かに小さく成形する請求項2記載のころ軸受用保持器の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ロール成形によるころ軸受用保持器、およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ころ軸受用保持器として、断面形状をM形に成形した保持器、いわゆるM型保持器が用いられている。従来、この種のM型保持器をプレス成形により製造する方法として、図5に示す方法が採用されている。まず、同図(A)に示すように、鋼板を有底円筒状に深絞りした後、底部を打ち抜き、同図(B)に示すように開口縁を内側へ曲げることにより、両端に鍔52を有する円筒状素材51にプレス加工する。この鍔付き円筒状の素材51に、同図(C)のように各ポケット53を打ち抜き、この後、同図(D)に示すように、柱部54を、割型(図示せず)により台形溝形にプレス曲げ加工する。この他のM型保持器の製造方法として、パイプ材から総旋削加工する製造方法も採用されている。その他、バルジ成形により製造することもある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記の各製造方法は、次のような問題点がある。 ■図5に示すプレス加工方法は、割型プレスを用いるため、肉やせの問題と、寸法精度に難があった。また、深絞りのプレスでは、薄肉では成形できるが、保持器肉厚に制約があった。 ■総旋削加工は工数がかかり、歩留りも悪く、コスト高になる。 ■バルジ成形は、特殊な設備が必要で、コスト高と、断面高さにも制約があった。 【0004】この発明の目的は、精度良く、かつ生産性良く製造でき、歩留りも良く、コスト低下が図れるころ軸受用保持器およびその製造方法を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明のころ軸受用保持器は、いわゆるM型保持器、すなわち、両端に、内径側に延びるフランジ部が形成され、周方向複数箇所にころ保持用のポケットを有し、各ポケット間の柱部が、両端の外径側部とこれらの外径側部から内径側へ斜めに続く傾斜部と、中央の内径側部とでなる台形状に形成され、前記ポケットに挿入されるころの軸心に対して外径側に前記外径側部が位置し、内径側に前記内径側部が位置する、ころ軸受用保持器において、前記フランジ部、外径側部、内径側部、および傾斜部を、ロール成形により略均一な肉厚で形成したことを特徴とする。ロール成形は、ローリング成形とも呼ばれる成形方法である。この保持器によると、各部をロール成形により形成し、略均一な肉厚に形成するため、生産性、および歩留りが良く、コスト低下が図れる。また、ロール成形によるため、割型プレス等の他のプレス加工に比べて、精度良く成形できる。 【0006】この発明のころ軸受用保持器の製造方法は、この発明の上記構成の保持器の製造方法であって、円筒状素材の軸方向中間部を断面台形状に成形する溝押し工程と、この成形された円筒状素材の一端および他端を折曲してフランジ部とする一端側のフランジ曲げ工程および他端側のフランジ曲げ工程と、これらのロール成形工程によりM形に成形された素材に複数のポケットを形成する工程とからなる。溝押し工程では、内形マンドレルと外形マンドレル間に円筒状素材を挿入し、この円筒状素材を、一対の対面するガイドロールの端面で軸方向に押圧しながら、回転駆動される内形マンドレルに外形マンドレルを円筒状素材の外側から押しつけ、かつ外形マンドレルと対峙するバックアップロールで円筒状素材の外径面を押圧することにより、円筒状素材の軸方向中間部を台形溝状に成形する。一端側のフランジ曲げ工程では、この形成された円筒状素材の外形相当の内径面を有する駆動チャックと幅面用マンドレル間に素材を装着し、この幅面用マンドレルで径方向に押付けた状態で、円筒状素材の一端を幅ロールにより内径側に折曲する。他端側のフランジ曲げ工程では、円筒状素材の他端を、一端側のフランジ曲げ工程と同様に駆動チャック,幅面用マンドレル,および幅ロールを用いて折曲する。この製造方法によると、円筒状素材を溝押し工程およびフランジ曲げ工程で、保持器製品の形状に成形するため、精度良く成形でき、また全てロール成形によるため、生産性が良く、コスト低下が図れる。特に、フランジ曲げ工程では、溝押しされた円筒状素材の外形相当の内径面を有する駆動チャックを用いるため、溝押し工程で成形された形状がフランジ曲げ工程で変形することがなく、高い成形精度が確保できる。 【0007】この発明方法において、前記各フランジ曲げ工程は、第1の幅ロールで円筒状素材の端部を所定の中間角度まで折曲した後、第2の幅ロールで仕上がり角度まで折曲しても良い。このようにフランジ曲げ工程を2段階に分けて行うことにより、容易に、かつ精度良くフランジ曲げが行える。 【0008】この発明方法において、他端側のフランジ曲げ工程は、一端側のフランジ曲げ工程の後、駆動チャックに対して円筒状素材を反転させ、一端側のフランジ曲げ工程と同じ駆動チャック,幅面用マンドレル,および幅ロールを用いて折曲しても良い。これにより、一組の駆動チャック,幅面用マンドレル,および幅ロールにより両端のフランジ曲げが行え、製造設備が簡素化される。 【0009】この発明方法において、一端側のフランジ曲げ工程と他端側のフランジ曲げ工程とを同時に行っても良い。この場合、幅ロールは両端側に各々必要となるが、生産性が良い。駆動チャックおよび幅面用マンドレルは、一組で済む。 【0010】この発明方法において、前記溝押し工程において、円筒状素材の外径寸法を製品となる保持器の外径寸法よりも僅かに小さく成形しても良い。このように、溝押し工程において外径寸法を僅かに小さく成形しておくと、後のフランジ曲げ工程で円筒状素材が外径側に若干広がることを許容でき、フランジ曲げ加工が行い易い。 【0011】 【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。まず、図4と共に、保持器の構成を説明する。この保持器1は、鋼板のロール成形によるM型保持器であり、両端に内向きのフランジ部2を有する円筒状に形成され、周方向複数箇所にポケット3を有している。ポケット3は多数設けられるが、同図ではその一部のみを図示し、他は省略してある。各ポケット3間の柱部4は、両端の外径側部4aとこれら外径側部4aから内径側へ斜めに続く傾斜部4cと、中央の内径側部4bとでなる台形状に屈曲され、保持器全体の断面形状が略M形とされている。柱部4の外径側部4aは、ポケット3に挿入されるころ5の中心(ピッチ円中心PCD)に対して外径側に位置し、内径側部4bはころ中心PCDよりも内径側に位置する。柱部4の外径側部4aおよび内径側部4bには、ころ保持爪6,7が各々突出している。なお、ころ保持爪6,7は省略しても良い。 【0012】図3は、この保持器1の製造方法における素材の各段階の形状を示す。まず、同図と共にこの製造方法の概略を説明する。図3(A)に示すように、円筒状素材1Aをパイプ材から切断して準備し、この円筒状素材1Aの軸方向の中央を、同図(B)のように溝押し工程で円周溝状の台形溝状部8にロール成形する。この溝押しされた円筒状素材1Aの一端を、フランジ曲げ工程で、まず同図(C)のように所定の中間角度(例えば45°程度)に曲げ、これをさらに同図(D)のように仕上がり角度(例えば90°程度、または90°よりも若干大きな角度)まで曲げてフランジ部2とする。この後、円筒状素材1Aの他端を、フランジ曲げ工程で前記一端側と同様に、中間角度まで曲げ(同図(E))、さらに仕上がり角度まで曲げてフランジ部2とする(同図(F))。なお、図3(E),(F)の他端のフランジ曲げ工程は、前記一端のフランジ曲げ工程同図(C),(D)と同時に行ってもよい。この台形溝状部8およびフランジ2の成形された円筒状素材1Aの円周方向複数箇所に、プレス加工で同図(G)のようにポケット3を打ち抜く。このポケット3の打ち抜きは、図4のころ保持爪6,7が形成されるように行う。 【0013】図1および図2と共に、この保持器製造方法を、製造装置と共に説明する。まず、溝押し工程では、図1(A)に鎖線で示すように、内形マンドレル11と外形マンドレル12の間に円筒状素材1Aを挿入し、この円筒状素材1Aを、一対の対面するガイドロール13,13の端面で軸方向に押圧する。このように押圧しながら、内形マンドレル11を回転駆動し、この内形マンドレル11に外形マンドレル12を円筒状素材1Aの外側から押し付けて行く。このとき、外形マンドレル11に対して円筒状素材1Aの直径方向に対峙するバックアップロール14を、円筒状素材1Aに押し当てる。これにより、円筒状素材1Aは、内形マンドレル11と外形マンドレル12に沿った形状に成形され、軸方向の中間部が台形溝状部8に成形される。この溝押し工程では、両側のガイドロール13,13を互いに均等の力で押すことが必要である。また、溝押し工程の完了状態の円筒状素材1Aは、その外径を、製品となる保持器の外径寸法よりも僅かに小さく成形する。なお、内形マンドレル11、外形マンドレル12、および両側のガイドロール13は、いずれも互いに平行な軸心回りに回転自在に設けられている。このうち内形マンドレル11は回転駆動手段(図示せず)に連結されていて回転駆動されるが、他のもの12,13は共回りを行う。 【0014】このように溝押しされた円筒状素材1Aは、図1(B)にフランジ曲げ工程の前半部を示すように、駆動チャック15内にチャッキングさせる。駆動チャック15は、円筒状素材1Aの外形相当の内径面を有するチャックであり、回転駆動手段に連結されていて、その軸心回りに回転駆動可能である。このようにチャッキングされた円筒状素材1A内に、幅面用マンドレル16が軸方向に進入し、その後、径方向に移動して円筒状素材1Aを駆動チャック15の内面に押し当てる。この状態で、第1の幅ロール17が、円筒状素材1Aに対して斜め方向に近づいて行き、円筒状素材1Aの端部を所定の中間角度に折曲してフランジ部2とする。この中間角度は、仕上げ精度と加圧力との関係によって、例えば20〜70度の範囲内で定めた所定角度とされ、一例を挙げると45度とされる。第1の幅ロール17は、その外周面が円筒状素材1Aの端部に転接するように回転自在に設けられたものである。幅面用マンドレル16は、円筒状素材1Aを駆動チャック15に対して強い力で押し当てることが好ましく、これにより円筒状素材1Aの外径寸法および形状が正確なものとなる。幅面用マンドレル16、第1の幅ロール17、および次に示す第2の幅ロール18は、共回りする。 【0015】フランジ曲げ工程の後段(図1(C))では、前記のように45°程度に折曲されたフランジ部2を、第1の幅ロール17に切り換えて第2の幅ロール18で押し、略90°またはそれ以上の角度までフランジ部2の折り曲げ角度を深める。このとき、第2の幅ロール18は、駆動チャック15の幅面および幅面用マンドレル16の幅面に押し当て状態となる。幅面用マンドレル16に対しては、直接に押し当て状態となるようにしても良く、またフランジ部2を介して押し当て状態となるようにしてもよい。 【0016】このように、一端側のフランジ部2を折曲した後、図2(A)に示すように、駆動チャック15に対して円筒状素材1Aを左右反転させてチャッキングさせ、一端側のフランジ部2の折曲時と同様に折曲形成する。この場合に、他端側のフランジ2も、第1の幅ロール17で略45°まで曲げた後、第1の幅ロール18で仕上がり角度まで折曲角度を深める。なお、一端側のフランジ曲げ工程(図1(B),(C))と他端側のフランジ曲げ工程(図2(A),(B))とは同時に行うようにしても良い。その場合、駆動チャック15の幅は、円筒状素材1Aの仕上がり幅に略等しい幅とし、駆動チャック15の両側に第1および第2の幅ロール17,18を備えたロール成形設備を用いる。 【0017】このようにして、中央に台形溝状部8が成形され、両端にフランジ部2が折曲形成された円筒状素材1Aに対して、図2(C)のように、各ポケット3を打ち抜き形19でプレス抜きし、保持器1が完成する。 【0018】この構成の保持器1および製造方法によると、このように、円筒状素材1Aを溝押し工程およびフランジ曲げ工程で、保持器製品の形状に成形するため、精度良く成形でき、また全てロール成形によるため、生産性が良く、コスト低下が図れる。特に、フランジ曲げ工程では、溝押しされた円筒状素材1Aの外形相当の内径面を有する駆動チャック15を用いるため、溝押し工程で成形された形状がフランジ曲げ工程で変形することがなく、高い成形精度が確保できる。 【0019】 【発明の効果】この発明のころ軸受用保持器は、M型の保持器において、各部をロール成形により形成し、略均一な肉厚に形成するため、精度良く形成でき、また生産性、および歩留りが良く、コスト低下が図れる。この発明のころ軸受用保持器の製造方法は、円筒状素材の軸方向中間部を断面台形状に成形する溝押し工程と、この成形された円筒状素材の一端および他端を折曲してフランジ部とする一端側のフランジ曲げ工程および他端側のフランジ曲げ工程と、これらの工程により成形されたM型素材に複数のポケットを形成する工程とからなるため、精度良く、かつ生産性良く製造でき、生産コストが低減できる。特に、前記フランジ曲げ工程では、溝押しされた円筒状素材の外形相当の内径面を有する駆動チャックを用いるため、溝押し工程で成形された形状がフランジ曲げ工程で変形することがなく、高い成形精度を確保することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社 【識別番号】398008745 【氏名又は名称】株式会社ナカヒョウ
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| 【出願日】 |
平成11年1月12日(1999.1.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086793 【弁理士】 【氏名又は名称】野田 雅士 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−205273(P2000−205273A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−4864 |
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