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【発明の名称】 締結機構
【発明者】 【氏名】川崎 淳一

【要約】 【課題】工具や固着剤を必要とせず、部品点数が少なく構造が簡単であるため安価で、締結作業が単純で、ボルトの強度低下を招くことなく、ハンドルを十分に締め込んだ状態で十分な緩み止め機能を有し、緩み止め機能が発揮されていることを目視にて容易に確認することのできる締結機構を提供する。

【解決手段】基体2に固定されたボルト4を介して、挿通穴を有する被締結物3を基体2に締結するための締結機構1であって、ボルト4と螺合する雌ねじ部5aと、雌ねじ部5aとは逆ねじの雄ねじ部5bを外周に有する第1ハンドル5と、第1ハンドル5の雄ねじ部5bと螺合する雌ねじ部6bを有する第2ハンドル6と、第1ハンドル5と第2ハンドル6との間に介装される第1弾性体7と、被締結物3と第2ハンドル6との間に介装される第2弾性体8と、被締結物3に対する第2ハンドル6の回動を規制する規制手段3a、6a、9とで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基体に固定されたボルトを介して、挿通穴を有する被締結物を前記基体に締結するための締結機構であって、前記ボルトと螺合する雌ねじ部と、該雌ねじ部とは逆ねじの雄ねじ部を外周に有する第1ハンドルと、該第1ハンドルの前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有する第2ハンドルと、前記第1ハンドルと前記第2ハンドルとの間に介装される第1弾性体と、前記被締結物と前記第2ハンドルとの間に介装される第2弾性体と、前記被締結物に対する前記第2ハンドルの回動を規制する規制手段とで構成されることを特徴とする締結機構。
【請求項2】 前記第1弾性体及び前記第2弾性体は、ばね座金であることを特徴とする請求項1記載の締結機構。
【請求項3】 前記規制手段は、前記被締結物に穿設された穴部と、前記第2ハンドルを貫通する挿通穴とに差込可能な固定ピンであることを特徴とする請求項1または2記載の締結機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、締結機構に関し、特に、車両や航空機等において、頻繁に取り付け、取り外しが行われるとともに、確実な固定が必要とされる機材の締結に有効な締結機構に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決すべき課題】従来、基体等に被締結物を締結するにあたって種々の方法が使用されている。
【0003】例えば、図9に示すように、基体21に被締結物22を締結する際に、基体21に固定されたボルト23に被締結物22を挿通させた後、ナット24を使用して被締結物22を固定していた。しかし、このような締結機構においては、緩み止めが十分でないため、基体21及び被締結物22に振動等が加わると、ナット24が緩んで、最終的に被締結物22が基体21から脱落するおそれがあった。また、被締結物22の締結の際に、ナット24を回転させるための工具が必要になるという問題もあった。
【0004】また、図9の締結機構において、ナット24としてナイロンナット等比較的緩み止め効果の優れているものを使用したり、ナット24の締め込み時に固着剤を使用することも行われているが、これらの方法においては、ともに工具を必要とし、後者においては、固着剤を塗布する作業が必要であった。
【0005】一方、図10に示すように、ダブルナット25、26を使用して基体21に被締結物22を締結することも行われているが、この場合、比較的緩み止め効果は優れているものの、ダブルナット25、26を回転させるための工具が必要になるという問題が残る。
【0006】工具を使用しない締結機構として、図11に示すように、作業者が手で回転させることのできるハンドル状のダブルナット27、28を使用することも行われているが、手でダブルナット27、28を回転させるため、工具を使用した場合に比較して締め込みトルクが小さくなり、緩み止め効果が十分でないという問題がある。
【0007】また、図12に示すように、ボルト23に対して、作業者が手で回転させることのできるハンドル状のナットでラチェット機構を有するリテーナ29によって、基体21に被締結物22を締結することも行われている。しかし、一般に入手できるリテーナ29の寸法に制約があるため、少量多品種生産の場合には、特殊寸法のものを製作しなければならないが、ラチェット機構を実現するためには、加工に手間がかかり高価なものとなるという問題があった。また、ねじの回転方向が固定されるとともに、緩み止めはリテーナ29のラチェットの歯の噛み合いにより行われるため、歯が噛み合わない位置ではリテーナ29を固定することができず、任意の位置で固定することができないという問題があった。
【0008】さらに、図13及び図14に示すように、ねじ部を軸方向に数面削り取った非ねじ面を有する変形ボルト30に対して、被締結物22をラチェットハンドル31によって締結することも行われている。この場合、緩み止め機構として、ラチェットハンドル31にばね32とボール33を備え、ボール33が変形ボルト30の非ねじ面と当接するときに、ばね32を変形ボルト30の非ねじ面に押圧することにより緩み止め効果を発揮することができるように構成されている。
【0009】しかし、ボール33が変形ボルト30のねじ面と当接する場合には、ねじの回転を規制することができず、ラチェットハンドル31を任意の位置で固定できないという問題がある。また、変形ボルト30は、非ねじ面を有するため、その分ねじ山のせん断強度が低下するという問題がある。さらに、外観では緩み止めが適切か否かを確認することが困難であるため、ラチェットハンドル31が緩んで外れるおそれもある。
【0010】一方、図15に示すように、被締結物22をボルト23の軸方向に対して垂直な面に円周状に複数の穴部34aを備えたハンドル34を使用してボルト23に締結し、ハンドル34を締め込んだ後、緩み止めのための固定ピン35をハンドル34の穴部34aに差し込むことも行われている。しかし、この場合には、ハンドル34の穴部34aと被締結物22に穿設された図示しない穴部とが一致する場合にのみ固定ピン35を差し込むことができるため、ハンドル34を十分に締め込んだときに必ずしも固定ピン35を差し込むことができるとは限らないという問題がある。
【0011】また、図16に示すように、ボルト38に対して被締結物22を外周に円周状に複数の穴部37aを有するハンドル37を使用して締結し、緩み止めのために、固定ピン36をハンドル37の穴部37a及びボルト38に穿設された図示しない挿通穴を貫通するように差し込むことも行われている。しかし、この場合には、ハンドル37の穴部37aとボルト38の挿通穴とが重なる位置にある場合にのみ固定ピン36を差し込むことが可能となるため、ハンドル37を十分に締め込んだときに必ずしも固定ピン36を差し込むことができるとは限らないという問題がある。また、ボルト38自体に固定用の挿通穴を軸方向に対して垂直な方向に穿設するため、ボルト38の強度が低下するという問題がある。
【0012】さらに、図17に示すように、ボルト23に対して被締結物22をナット39を介して固定した後、緩み止めのためにセーフティワイヤ40を使用することも行われているが、この場合には、被締結物22を締結する毎に新規のセーフティワイヤ40が必要となり、またセーフティワイヤ40を毎回ナット39に掛ける作業が必要となるという問題がある。
【0013】そこで、本発明は上記従来の締結機構における問題点に鑑みてなされたものであって、工具や固着剤を必要とせず、部品点数が少なく構造が簡単であるため安価で、締結作業が単純で、ボルトの強度低下を招くことなく、ハンドルを十分に締め込んだ状態で十分な緩み止め機能を有し、緩み止め機能が発揮されていることを目視にて容易に確認することのできる締結機構を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、基体に固定されたボルトを介して、挿通穴を有する被締結物を前記基体に締結するための締結機構であって、前記ボルトと螺合する雌ねじ部と、該雌ねじ部とは逆ねじの雄ねじ部を外周に有する第1ハンドルと、該第1ハンドルの前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有する第2ハンドルと、前記第1ハンドルと前記第2ハンドルとの間に介装される第1弾性体と、前記被締結物と前記第2ハンドルとの間に介装される第2弾性体と、前記被締結物に対する前記第2ハンドルの回動を規制する規制手段とで構成されることを特徴とする。
【0015】そして、請求項1記載の発明によれば、第1ハンドルと、第2ハンドルとを締め込むことによって被締結物を締結することができるため、工具や固着剤を必要とせず、部品点数が少なく構造が簡単であるため安価で、第1、第2ハンドルと規制手段を操作するだけで作業が完了するため締結作業が単純で、ボルトを加工することがないためボルトの強度低下を招くことなく、ハンドルを十分に締め込んだ状態で規制手段を操作することができるため十分な緩み止め機能を有する締結機構を提供することができる。
【0016】また、請求項2記載の発明は、前記第1弾性体及び前記第2弾性体は、ばね座金であることを特徴とする。
【0017】これによって、簡易な構成かつ一般的な部材で前記締結機構を実現することができる。
【0018】さらに、請求項3記載の発明は、前記規制手段は、前記被締結物に穿設された穴部と、前記第2ハンドルを貫通する挿通穴とに差込可能な固定ピンであることを特徴とする。
【0019】これによって、簡易な構成で前記締結機構を実現することができ、被締結物に穿設された穴部と、第2ハンドルを貫通する挿通穴とに固定ピンが差し込まれていれば、緩み止め機能が発揮されていることを容易に確認することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる締結機構の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0021】図1は、本発明にかかる締結機構の一実施例を示し、この締結機構1は、基体2に固定されたボルト4を介して、挿通穴3bを有する被締結物3を基体2に締結するために使用され、第1ハンドル5と、第2ハンドル6と、第1弾性体としての第1ばね座金7と、第2弾性体としての第2ばね座金8と、被締結物3に対する第2ハンドル6の回動を規制する規制手段としての、被締結物3に穿設された穴部3aと第2ハンドル6を貫通する挿通穴6aとに差込可能な固定ピン9とで構成される。
【0022】ボルト4は、基体2に植え込まれ、このボルト4に被締結物3の挿通穴3bが挿通される。
【0023】第1ハンドル5は、雌ねじ部5aを介してボルト4と螺合する。また、第1ハンドル5の小径部の外周に形成された雄ねじ部5bを介して第2ハンドル6と螺合する。
【0024】第2ハンドル6は、第1ハンドル5より大径に形成され、雌ねじ部6bを介して第1ハンドル5と螺合する。ここで、第2ハンドル6の雌ねじ部6bと第1ハンドル5の雄ねじ部5bとは、前記雌ねじ部5aとボルト4とは逆の方向にねじが切ってある。
【0025】さらに、第1ばね座金7が、第1ハンドル5と第2ハンドル6との間に介装され、第2ばね座金8が、被締結物3と第2ハンドル6との間に介装される。
【0026】固定ピン9は、被締結物3に穿設された穴部3aと、第2ハンドル6の挿通穴6aに挿入され、被締結物3に対して第2ハンドル6が回動するのを規制する。
【0027】次に、上記構成を有する締結機構1の動作について説明する。
【0028】図2は、基体2に対して被締結物3を締結する前の状態を示している。この状態では、被締結物3と第2ばね座金8とはまだ接触しておらず、第1ばね座金7及び第2ばね座金8には、負荷が加わっていない。
【0029】次に、図3に示すように、第1ハンドル5を矢印A方向に締め込んでいくと、第1ハンドル5乃至第2ばね座金8が矢印B方向に移動する。この際、工具を使用しなくとも、第1ハンドル5を締め込むことができる。
【0030】そして、図4に示すように、第1ハンドル5を締め込むと、第2ばね座金8が被締結物3に当接し、第1ハンドル5をさらに締め込むことにより、第2ばね座金8に負荷が加わり、この第2ばね座金8の弾性力によって被締結物3が基体2に向かって(矢印B方向)に押圧される。
【0031】次に、図5に示すように、第2ハンドル6を矢印C方向に締め込むと、第1ハンドル5と第2ハンドル6との間は逆ねじによって螺合しているため、第1ばね座金7が圧縮されながら、第2ハンドル6が第1ハンドル5の方向(矢印C方向)に移動する。これによって、被締結物3に対する第2ハンドル6の回動を許容することとなり、図6に示すように、第2ハンドル6の挿通穴6aを介して被締結物3に形成された穴部3aに固定ピン9を挿入して被締結物3の締結が完了する。
【0032】図7は、被締結物3の基体2との締結が完了した状態を示すが、ここで、第1ハンドル5が緩もうとすると(矢印D方向に回転しようとすると)、第2ハンドル6は固定ピン9によって回動が規制されているとともに、第1ハンドル5と逆ねじで螺合しているため、矢印E方向に移動しようとするが、第1ばね座金7の矢印F方向の弾性力によって移動することはできない。同時に第1ハンドル5も移動することができず、緩み止めとしての機能を発揮することができる。
【0033】尚、上記実施例においては、第1弾性体及び第2弾性体として、この種の締結機構に一般的に用いられるばね座金を使用したが、第1ハンドル5と第2ハンドル6との間、または被締結物3と第2ハンドル6との間で弾性力を発揮するものであればその他の弾性体を使用することも可能である。
【0034】また、上記実施例においては、被締結物3に対する第2ハンドル6の回動を規制する規制手段として、固定ピン9等を使用したが、被締結物3と第2ハンドル6との相対的な回転運動を規制するものであれば他の手段を使用することができ、被締結物3に固定ピン9を挿入する穴部を穿設しなくとも、基体2にこの穴部を形成することも可能である。
【0035】以上説明したように、この締結機構1は、車両や航空機等において、頻繁に取り付け、取り外しが行われるとともに、確実な固定が必要とされる機材の締結機構として有効である。
【0036】次に、締結機構1の使用例について図8を参照しながら説明する。
【0037】この使用例では、基体10に対して被締結物12をクランプ13を介して取り付けるように構成されている。ここで、クランプ13が上記実施例における締結機構1によって締結される被締結物3に相当する。
【0038】基体10にはボルト取付ピン11を介してボルト4が締結され、クランプ13には図示しない挿通穴が穿設され、締結機構1によって図面の左右方向に移動可能となっており、基体10と被締結物12を挟み込んだ状態で締結機構1によってクランプ13の移動を規制している。そして、クランプ13を締結する締結機構1は上記のような緩み止め機能を有しているため、確実にクランプ13を締結することができ、基体10と被締結物12を確実に固定することができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、工具や固着剤を必要とせず、部品点数が少なく構造が簡単であるため安価で、締結作業が単純で、ボルトの強度低下を招くことなく、十分な緩み止め機能を有する締結機構を提供することができる。
【0040】また、請求項2記載の発明によれば、簡易な構成でかつ一般的な部材で前記締結機構を実現することができる。
【0041】さらに、請求項3記載の発明によれば、簡易な構成でかつ一般的な部材で前記締結機構を実現することができるとともに、緩み止め機能が発揮されていることを容易に確認することが可能な締結機構を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000232047
【氏名又は名称】日本電気エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成11年5月10日(1999.5.10)
【代理人】 【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
【公開番号】 特開2000−320523(P2000−320523A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−128692