| 【発明の名称】 |
容器フランジの締結構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】大久保 哲朗
【氏名】三枝 努
【氏名】神例 康明
【氏名】齋藤 多恵子
|
| 【要約】 |
【課題】上蓋のフランジと胴部のフランジを締結する際にボルトとナットの取付け、取外しを容易に行い得るようにすると共にクラッド等の異物が溜らないようにし、しかも製造コストが安価な容器フランジの締結構造を提供する。
【解決手段】胴部2のフランジ4に上方へ突出するよう固設されたボルト8と、該ボルト8の上蓋1のフランジ3から上方へ突出した部分に螺合させるナット9を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下側容器のフランジと該下側容器のフランジに載置された上側容器のフランジとを締結するためのボルト及びナットを備えた容器フランジの締結構造であって、ボルトは下側容器のフランジに上方へ突出するよう固設され、ナットは前記ボルトの上側容器フランジから上方へ突出した部分に螺合させるよう構成したことを特徴とする容器フランジの締結構造。 【請求項2】 下側容器のフランジと該下側容器のフランジに載置された上側容器のフランジとを締結するためのボルト及びナットを備えた容器フランジの締結構造であって、下側容器のフランジの下面には、収納されたナットを下方へ落下しないよう受けると共に上側容器のフランジ及び下側容器のフランジに挿通されたボルトを回した際にボルトに螺合される或いはボルトに螺合されたナットが回らないよう支持するナット受け兼回り止めを取付けたことを特徴とする容器フランジの締結構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はボルト及びナットの取付け及び取外しを容易に行い得るようにすると共にクラッド等の異物が蓄積しないようにした容器フランジの締結構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】原子炉格納容器のドライウェルにおける上蓋と胴部の主フランジは従来からボルト及びナットにより締結されている。 【0003】斯かる締結構造の一例は図4、図5に示され、図4中、1は原子炉格納容器のドライウェルにおける上蓋、2は上蓋1が載置されるようにした胴部、3は上蓋1の下端外周に環状に溶接されたフランジ、4は胴部2の上端外周に環状に溶接されたフランジ、5はフランジ3,4の締結部である。 【0004】締結部5の構成は図5に示され、図中、6,7はフランジ3,4の円周方向へ所要の間隔で穿設されたボルト孔、8は頭部8aがフランジ3の上面に位置するようボルト孔6,7に挿通されたボルト、9はフランジ4の下面に当接するようボルト8の下端部に螺合されたナットである。 【0005】又、10はフランジ4の下面に溶接されたナット回り止め、11はナット回り止め10に対し外嵌されて固定されるようにしたナット受けである。 【0006】図6に示すごとくナット回り止め10は、図5のフランジ4の下面に溶接される円形状の大径部12と、大径部12の下方に位置するよう大径部12と一体形成された円形状の小径部13と、小径部13の下端外周に円周方向へ向けて所要の間隔で設けられると共に径方向へ向け突設された円周方向長さL1の複数の突設部14とを備えている。又ナット回り止め10にはナット9(図5参照)が回転しないよう嵌合する六角孔15が軸心部を貫通するよう穿設されている。 【0007】図7に示すごとく、ナット受け11は軸心部に中空孔17が形成された円筒状部16と、円筒状部16上端の中空孔17縁部に円周方向へ向けて所要の間隔で設けられると共に中空孔17中心側へ向け突設された複数の係合部18を備えており、隣り合う係合部18の間には円周方向長さL2の隙間19が形成されている。而して、ナット回り止め10の突設部14の円周方向長さL1は、ナット受け11の隙間19の円周方向長さL2よりも若干小さく形成されており、ナット受け11をナット回り止め10に外嵌して所定角度だけ円周方向へ回動させると、係合部18は突設部14の上縁部に係合し得るようになっている。 【0008】フランジ3,4をボルト締結する場合には、予め上蓋1を胴部2に載置してフランジ3,4におけるボルト孔6,7の心合せをしておく。又、ナット回り止め10は予め、ボルト孔7と同心となるようフランジ4の下面に溶接されている。 【0009】而して、作業員は、図8に示すごとく、中空孔17にナット9が嵌入されたナット受け11を手に持って胴部2の外周に設けた足場20に乗り、フランジ4の下方からナット受け11を持上げ、相対的に見てナット回り止め10の突設部14をナット受け11の隙間19に挿通させ、係合部18の下面が突設部14の上端よりも上方に位置するようナット受け11をナット回り止め10に対し外嵌し、ナット9をナット回り止め10の六角孔15に嵌入した状態でナット受け11を円周方向へ回動させ、ナット受け11の係合部18をナット回り止め10の突設部14上端に係合させる。これにより、ナット9はナット回り止め10の円周方向へ回らなくなると共に作業員がナット受け11から手を離してもナット受け11はナット回り止め10に支持された状態となる。 【0010】次に、ボルト8を上方からボルト孔6,7に挿通させたうえ、スパナ等で頭部8aを介しボルト8を回すと、ボルト8は回りつつナット9に螺合され、ボルト8及びナット9により、フランジ3,4は強固に締結される(図5参照)。ナット9はナット回り止め10の六角孔15に嵌入されているため、ボルト8を締める際にナット9が回ることはない。 【0011】フランジ3,4を締結しているボルト8を取外す場合には、作業員は足場に乗って図5に示すごとく締結されているボルト8をスパナ等により頭部8aを介し締める場合とは逆の方向へ回動させる。このため、ボルト8はナット9に対して回りつつ上昇し、ナット9から外れ、ナット9はナット受け11に支持される。 【0012】ボルト8がナット9から外れてナット9がナット受け11に支持されたら、作業員はナット受け11を手に持って円周方向へ回し、相対的に見てナット回り止め10の突設部14がナット受け11の隙間19の間に位置する状態になったら、ナット受け11を支持している手を下方へ移動させる。このため、ナット9が嵌入されたナット受け11はナット9と共にナット回り止め10から取外される。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】上述のボルト締結構造の場合は、ボルト8とナット9を取付け、或いは取外す際にはナット9とナット9の嵌込まれたナット受け11の合計7〜8kgの重量を作業員が手で支えなければならず、しかもナット受け11下面からの手探りの作業となるため取付け、取外し作業がやり難い。 【0014】又、ナット回り止め10及びナット受け11の何れも構造が複雑なため、ナット回り止め10やナット受け11にクラッド等の異物が溜り易く、更には製造コストが掛かる、等の問題があった。 【0015】本発明は、上述の実情に鑑み、容器フランジを締結する際にボルトとナットの取付け、取外しを容易に行うことができると共にクラッド等の異物が溜り難くしかも製造コストが安価な容器フランジの締結構造を提供することを目的としてなしたものである。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明は、下側容器のフランジと該下側容器のフランジに載置された上側容器のフランジとを締結するためのボルト及びナットを備えた容器フランジの締結構造であって、ボルトは下側容器のフランジに上方へ突出するよう固設され、ナットは前記ボルトの上側容器フランジから上方へ突出した部分に螺合させるよう構成したものである。 【0017】又、本発明は、下側容器のフランジと該下側容器のフランジに載置された上側容器のフランジとを締結するためのボルト及びナットを備えた容器フランジの締結構造であって、下側容器のフランジの下面には、収納されたナットを下方へ落下しないよう受けると共に上側容器のフランジ及び下側容器のフランジに挿通されたボルトを回した際にボルトに螺合される或いはボルトに螺合されたナットが回らないよう支持するナット受け兼回り止めを取付けたものである。 【0018】本発明では従来のようなナット回り止め及びナット受けを設けずともボルトとナットの取付け、取外しを容易に行うことができる。又構造が簡単であるため異物が溜りにくく製造コストも安価である。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。 【0020】図1は本発明の容器フランジの締結構造の実施の形態の一例である。而して、本実施の形態例では、ボルト8は図5に示す頭部8aを切断した状態でねじ部8bがフランジ4の上方に位置するよう、ボルト孔7に嵌合され、且つフランジ4に対し溶接26により固設されている。 【0021】フランジ3,4を締結する場合には、上蓋1を下降させ、相対的に見てフランジ3のボルト孔6にボルト8を挿通させて上蓋1のフランジ3をフランジ4に載置し、作業員がナット9を手に持って上方からボルト8のねじ部8bに螺合し、フランジ3,4をボルト8及びナット9により締結する。 【0022】ナット9をボルト8から取外す場合にはナット9を取付ける場合とは逆の手順で作業を行う。 【0023】本実施の形態例においては、作業員が手に持つのはナット9のみであり、しかも上方から目視しつつ作業を行うことができるため、ボルト8とナット9との取付け、取外しを容易に行うことができる。又、簡易な構造であるため、クラッド等の異物が溜り難く、製造コストも安価である。 【0024】図2、図3は本発明の容器フランジの締結構造の実施の形態の他の例である。 【0025】図中、21はナット受け兼回り止めである。ナット受け兼回り止め21の一端は、内周面が平面視でナット9の外形に沿うよう多角形状に形成されて、ナット受け兼回り止め本体部22が形成されており、本体部22側方の開口側にはナット9を案内して本体部22へ送り込み或いは本体部22から取出すための案内樋23が一体的に設けられている。 【0026】案内樋23は、ナット9を本体部22へ容易に挿入し得るよう本体部22側へ向いた若干の下り勾配となって延在しており、且つ本体部22及び案内樋23の上面は全面的に開口し、本体部22及び案内樋23の下面には、ナット9の案内時にナット9が下方へ脱落しないよう、ナット9の移動方向に向けて左右底部に、案内部材24が設けられている。更に、左右の案内部材24間及び本体部22の下面には、ナット9を容易に取り出し得るよう溝状の開口25が設けられている。 【0027】而して、ナット受け兼回り止め21は、本体部22に収納されたナット9の軸心がボルト孔7の軸心と合致するよう、本体部22側上端がフランジ4の下面に溶接されており、案内樋23はフランジ4の径方向外方まで延在している。 【0028】フランジ3,4を締結する場合には、ボルト孔6,7の心が合致するよう、上蓋1のフランジ3を胴部2のフランジ4上に載置しておき、ナット9上方開口からナット受け兼回り止め21の案内樋23内に収納して案内部材24に対して摺動させ、本体部22へ送り込む。 【0029】ナット9がナット受け兼回り止め21における本体部22の所定位置に送り込まれたら、ボルト8をボルト孔6,7に対して挿通させると共にボルト8の下端をナット受け兼回り止め21の本体部22に対して挿入し、スパナ等によりボルト8を回転させる。そうすると、ボルト8のねじ部8bはナット9に螺合し、フランジ3,4は強固に締結される。この際、ナット9はナット受け兼回り止め21の本体部22に支持されていて回らないため、ボルト8のナット9に対する螺合は円滑に行われる。 【0030】ボルト8をフランジ3,4から取外す場合には、ボルト8を取付ける場合とは逆方向へ回転させる。そうすると、ナット9は回転しないため、ボルト8は円滑に回転してナット9から外れ、ナット9はナット受け兼回り止め21の本体部22底部に支持される。 【0031】本実施の形態例においては、作業員はナット9を外側斜め上方からナット受け兼回り止め21の本体部22に送り込んだ後ボルト8をナット9に螺合するだけでフランジ3,4の締結を行うことができ、従って重いものを手で支える必要がなく、しかも作業は目視しながら行うことができるため、ボルト8とナット9の取付け、取外しを容易に行うことができる。又ナット受け兼回り止め21は簡易な構造であるため、クラッド等の異物が溜りにくく、製造コストも安価である。 【0032】なお、本発明の実施の形態例においては、容器フランジの締結構造を原子炉格納容器のフランジに対して適用する場合について説明したが、原子炉格納容器に限らず、種々の容器のフランジの締結に適用することができること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ること、等は勿論である。 【0033】 【発明の効果】本発明の容器フランジの締結構造においては容器のフランジの締結に用いるボルト、ナットの取付け、取外しを容易に行うことができ、又異物が溜りにくく、製造コストも安価である等、種々の優れた効果を奏し得る。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年4月9日(1999.4.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062236 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−291619(P2000−291619A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月20日(2000.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−102403 |
|