| 【発明の名称】 |
ファスナおよびファスナ用接合工具 |
| 【発明者】 |
【氏名】河上 栄忠
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| 【要約】 |
【課題】ファスナ本体から脱落しにくいピンを含むファスナを提供すること。
【解決手段】ファスナ10は被接合部材を接合するファスナ本体30と、このファスナ本体30に打ち込まれるピン20とを備える。ピン20のピン本体22には、その外周面の少なくとも一部に、ピンの周方向に沿って溝26が形成されている。そして、ピン20の仮止め時に、ファスナ本体30の内周面33に対して、溝26によって十分な摩擦力を有しながらピン20がファスナ本体30に係止されるので、ピン20の脱落を防止できる。このため打込み作業の後戻りがなくなり、結果的にファスナ10の打込み作業を容易に行うことができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後端部にフランジを備え、かつ内部にピン打込み孔を有して筒状に形成されるとともに、先端部にスリットを有して拡径可能とされたファスナ本体と、前記フランジ側から前記ピン打込み孔の内部に圧入されることで、前記ファスナ本体の先端を拡開させるピンとからなり、このピンの圧入状態で、前記ファスナ本体が挿通した2つの被接合部材同士を、前記フランジと前記ファスナ本体の拡開部分とにより挟持固定するようにしたワンウェイファスナにおいて、前記ピンは、前記ピン打込み孔に嵌合するピン本体を有し、前記ピン本体の外周面の少なくとも一部には、当該ピンの周方向に沿った溝が設けられていることを特徴とするワンウェイファスナ。 【請求項2】 請求項1に記載のワンウェイファスナにおいて、前記溝は、前記ピン本体の外周面に螺旋状に設けられていることを特徴とするワンウェイファスナ。 【請求項3】 請求項1または2に記載のワンウェイファスナにおいて、前記ピン本体は、円柱形状とされた大径円柱部と、この大径円柱部の先端に連続して形成され、かつピン本体の先端に向かうに従って縮径するテーパ部と、このテーパ部の先端に連続して形成された小径円柱部とを含んで構成され、前記溝は、前記大径円柱部に設けれらていることを特徴とするワンウェイファスナ。 【請求項4】 先端部にスリットを有し、かつ後端部にフランジを備えた筒状のファスナ本体およびこのファスナ本体に後端側から圧入されて前記ファスナ本体の先端部を拡径させるピンを備えたワンウェイファスナを用いて、前記ファスナ本体が挿通した2つの被接合部材同士を、前記ピンを前記ファスナ本体内部に圧入させて前記ファスナ本体の筒状部を拡径させ、前記フランジと前記ファスナ本体の拡開部分とにより挟持固定させるワンウェイファスナ用接合工具であって、一端に受部を備えるとともに、他端に把手を備えて、支点によって互いに回動可能に取り付けられた1対の腕部を含んで構成され、前記一方の腕部に設けられる受部には、前記ファスナによって接合される部材に当接する当接部が取り付けられ、前記他方の腕部に設けられる受部には、前記ピンの位置ずれ防止用の突起が設けられていることを特徴とするワンウェイファスナ用接合工具。 【請求項5】 先端部にスリットを有し、かつ後端部にフランジを備えた筒状のファスナ本体およびこのファスナ本体に後端側から圧入されて前記ファスナ本体の先端部を拡径させるピンを備えたワンウェイファスナを用いて、前記ファスナ本体が挿通した2つの被接合部材同士を、前記ピンを前記ファスナ本体内部に圧入させて前記ファスナ本体の筒状部を拡径させ、前記フランジと前記ファスナ本体の拡開部分とにより挟持固定させるワンウェイファスナ用接合工具であって、前記ピンの頭部に当接可能に設けられた打撃部と、この打撃部に前記被接合部材を挟んで対向配置されて、前記被接合部に当接可能に設けられた当接部と、この当接部に対して前記打撃部を進退させる駆動部とを含んで構成されるとともに、前記駆動部は、前記打撃部に一体的に移動可能に取り付けられたベース部と、このベース部に回動自在に取り付けられ、かつその外周面が前記当接部に接触するカムと、このカムを回動させて、前記当接部に対して前記ベース部および前記打撃部を進退させるレバー部とを含んで構成されていることを特徴とするワンウェイファスナ用接合工具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、軸組材または板材同士等をピン接合により接合するためのワンウェイファスナおよびワンウェイファスナ用接合工具に関する。 【0002】 【背景技術】従来より、軸組材や板材同士を接合する場合や、柱や梁などの部材にブラケットや吊木部材などの補助部材を取り付ける場合などにワンウェイファスナが利用されている(特願平9−308581号参照)。このワンウェイファスナは、図9に示されるように、先端部93にスリットを有して拡径可能とされ、かつ後端部にフランジ92を備えた筒状のファスナ本体91と、このファスナ本体91に圧入される棒状のピン95とから構成されている接合具である。 【0003】ワンウェイファスナ90を用いて被接合部材1,2を接合する際には、被接合部材1,2にファスナ本体91を挿通させた状態で、このファスナ本体92にピン95を打ち込みながら(圧入しながら)ファスナ本体92の先端部93を拡開させ、この拡開部分とフランジ92によって被接合部材1、2を挟持接合する。 【0004】このようなワンウェイファスナ90では、まず被接合部材1、2に挿通したファスナ本体91の内部にピン95の先端をはめ込んだ後、ピン95の頭部96の周囲を支えながらハンマで仮打ちして、ピン95をファスナ本体91に圧入して手を離す。そしてピン95の頭部96に一方向からハンマで強い打撃を加えることで、複数の被接合部材1、2を容易に接合できるので、ボルトおよびナットを用いて締結するよりも作業効率が高い利点がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなワンウェイファスナ90では、仮打ちの際に、ハンマを打ち損ねる、すなわちピンの軸方向Cに対して傾斜しながらハンマをうち下ろしてしまったり、ピン頭部96の一部のみを打ってしまったりすると、ピン95は円形の断面形状が軸方向に沿って連続する形状であるため、ピン91の棒状部分の周面97がファスナ本体91の内周面に係止せずに、このファスナ本体91から抜け落ちてしまい、もう一度初めからピンの挿入、仮打ち、本打ちをやり直さなけらばならならず、接合作業が煩雑になっていた。 【0006】そこで、本発明の第1の目的は、仮打ちの時などにピンをファスナ本体から脱落しにくくでき、打込み作業を容易にできるワンウェイファスナを提供することにある。 【0007】また、ピン95を打ち付ける際に使用されるハンマの操作は、ハンマの打撃面をピン95の頭部96に対してほぼ平行に向き合わせたり、この打撃面が頭部96全体を覆うように打撃面の中心を頭部96の中心にほぼ一致させたりするなど、有る程度の経験を必要としていた。従って、作業経験の浅い施工者が操作すると、ピン95の仮打ちを十分に行えず、ピン95をファスナ本体91から脱落させてしまい、接合作業が煩雑になっていた。 【0008】そこで、本発明の第2の目的は、ワンウェイファスナを容易に、かつ確実に打ち込みすることができ、打込み作業を容易にできるワンウェイファスナ用接合工具を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、図面を参照して説明すると、後端部にフランジ31を備え、かつ内部にピン打込み孔を有して筒状に形成されるとともに、先端部にスリット35を有して拡径可能とされたファスナ本体30と、前記フランジ31側から前記ピン打込み孔の内部に圧入されることで、前記ファスナ本体30の先端を拡開させるピン20とからなり、このピン20の圧入状態で、前記ファスナ本体30が挿通した2つの被接合部材3、4同士を、前記フランジ31と前記ファスナ本体30の拡開部分とにより挟持固定するようにしたワンウェイファスナ10において、前記ピン20は、前記ピン打込み孔に嵌合するピン本体22を有し、前記ピン本体22の外周面の少なくとも一部には、当該ピン20の周方向に沿った溝26が設けられていることを特徴とする。 【0010】このようなワンウェイファスナ10によれば、ピン20の周方向に沿って設けられた溝26は、ピン本体22の軸方向Cを中心した円周を描くように、ピン本体22の外周面の少なくとも一部に形成されている。すなわち、ピン本体22およびファスナ本体30の接触面では、ピン20の脱落方向(すなわち、軸方向Cの方向)に直交してピン本体22に溝26が形成されているので、ピン本体22の脱落を抑えるよう十分な摩擦が働き、ピン本体22の外周面が前記ピン打ち込み孔の内面に係止される。従って、ピン20の脱落を防止でき、ワンウェイファスナ10の打込み作業を容易に行うことができる。 【0011】この場合、前記溝26は、前記ピン本体22の外周面に螺旋状に設けられていることが好ましい。 【0012】ピン本体22の外周面に、螺旋状の溝26を形成する際には、ボルトなどと同様に前記ピン20を軸方向Cを中心として、周方向に回転させながら、切削具もしくはピン20を軸方向に相対的に移動させ、この切削具を離す動作のみで、容易にピン20を製造でき、製造コストも低減できる。 【0013】また、前記ピン本体22は、円柱形状とされた大径円柱部23と、この大径円柱部23の先端に連続して形成され、かつピン本体22の先端に向かうに従って縮径するテーパ部24と、このテーパ部24の先端に連続して形成された小径円柱部25とを含んで構成され、前記溝26は、前記大径円柱部23に設けれらていることが好ましい。 【0014】円柱形状とされた大径円柱部23、先端に向かって縮径するテーパ部24および先端に形成された小径円柱部25を備えたピン20を、ファスナ本体30内部に挿入してしまえば、仮にこの頭部21から指を離しても、小径円柱部25がファスナ本体30の内面に当たって係止されるため、ピン20は容易にはファスナ本体30から脱落せずに保持される。このため、手を打ち付ける心配をせずに指を離しながら仮打ちを行うこともできるので、打ち付け作業を安全に行うことができる。 【0015】また、ピン20を挿入した際に、ファスナ本体30の内周面に接触する大径円柱部23のみに溝を形成しているので、溝の形成を最小限に抑えることができ、製造効率を向上できる。 【0016】本発明のワンウェイファスナ用接合工具は、先端部にスリット35を有し、かつ後端部にフランジ31を備えた筒状のファスナ本体30およびこのファスナ本体30に後端側から圧入されて前記ファスナ本体30の先端部を拡径させるピン20を備えたワンウェイファスナ10を用いて、前記ファスナ本体30が挿通した2つの被接合部材3、4同士を、前記ピン20を前記ファスナ本体30内部に圧入させて前記ファスナ本体30の筒状部32を拡径させ、前記フランジ31と前記ファスナ本体30の拡開部分とにより挟持固定させるワンウェイファスナ用接合工具40であって、一端に受部41A、41Bを備えるとともに、他端に把手42A、42Bを備えて、支点43によって互いに回動可能に取り付けられた1対の腕部40A、40Bを含んで構成され、前記一方の腕部40Aに設けられる腕部40Aには、前記ワンウェイファスナ10によって接合される部材3、4に当接する当接部44が取り付けられ、前記他方の腕部40Bに設けられる受部41Bには、前記ピン20の位置ずれ防止用の突起46が設けられていることを特徴とする。 【0017】このような本発明では、片手で一方の腕部40Aの把手42Aを持って、まずファスナ本体30が挿通された被接合部材3、4のうちファスナ本体30と反対側にある被接合部材3に前記当接部44を当接させる。その後、もう一方の片手で前記把手42Bを持ちながらワンウェイファスナ用接合工具40の姿勢を定める。その後、前記ファスナ本体30のフランジ31と前記他方の腕部40Bの受部41Bとの間に適当な間隔を確保して、ファスナ本体30内部に挿通されたピン20の頭部21を突起46によって位置ずれを防止しながら前記受部41Bに当接させ、前記両方の把手42A、42Bを締め付けることで、ピン20に打撃を加えることができ、ファスナ本体30の先端を拡開させることができる。この際、ワンウェイファスナ用接合工具40は、被接合部材3およびピン20に、それぞれ当接部44および突起46が接触した状態のままピン20を打ち込んで接合することができ、ハンマのようにピン20から工具を離して接合しないので、ピン20の脱落を防止でき、ひいてはワンウェイファスナ10の打込み作業を確実に行うことができる。 【0018】また、本発明のワンウェイファスナ用接合工具60は、先端部にスリット35を有し、かつ後端部にフランジ31を備えた筒状のファスナ本体30およびこのファスナ本体30に後端側から圧入されて前記ファスナ本体30の先端部を拡径させるピン20を備えたワンウェイファスナ10を用いて、前記ファスナ本体30が挿通した2つの被接合部材3、4同士を、前記ピン20を前記ファスナ本体30内部に圧入させて前記ファスナ本体30の筒状部32を拡径させ、前記フランジ31と前記ファスナ本体30の拡開部分とにより挟持固定させるワンウェイファスナ用接合工具60であって、前記ピン20の頭部21に当接可能に設けられた打撃部61と、この打撃部61に前記被接合部材3、4を挟んで対向配置されて、前記被接合部3に当接可能に設けられた当接部62と、この当接部62に対して前記打撃部61を進退させる駆動部63とを含んで構成されるとともに、前記駆動部63は、前記打撃部61に一体的に移動可能に取り付けられたベース部64と、このベース部64に回動自在に取り付けられ、かつその外周面65Aが前記当接部62に接触するカム65と、このカム65を回動させて、前記当接部62に対して前記ベース部64および前記打撃部61を進退させるレバー部66とを含んで構成されていることを特徴とする。 【0019】このような本発明では、まず打撃部61から離れる方向にベース部64を移動させた後、レバー部66を後退位置Rに維持しながら一方の片手で前記レバー部66を保持し、他方の片手で前記打撃部61の一部を持って、ファスナ本体30が挿通された接合箇所に前記工具60を近づける。その後、前記被接合部材3、4のうちの前記フランジ31と反対側の被接合部材3に当接部62を当接させ、前記ピン20の頭部21を前記打撃部61に当接させて打ち込み前の姿勢をとる。そして、前記レバー部66を回動範囲の前進位置Fに向かって回動させると、このレバー部66の動作に連動して前記カム65が回動し、前記当接部62に対してベース部64、つまり打撃部61をピン20の圧入方向に移動させ、ピン20をファスナ本体30に圧入する。この際、前記打撃部61がピン20を圧入する間は、絶え間なく連続的にピン20に圧入方向の力が加わり続けるので、ピン20がファスナ本体30から脱落せずに確実にファスナ本体30内部に圧入される。従って、レバー部66の回動運動といった簡単な操作によって、ピン20が脱落することなく、ピン20をファスナ本体30に圧入することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係るワンウェイファスナ10が示されている。このワンウェイファスナ10は、2つの被接合部材に挿通されて筒状に形成されたファスナ本体30と、このファスナ本体30に圧入されて前記筒状部分を拡径させるピン20とから構成されている。そして、ファスナ本体30のピン20圧入方向後方に設けられたフランジ31と、この筒状部32の拡径部分によって、2つの被接合部材を挟持固定するものである。 【0021】ファスナ本体30は、前記2つの被接合部材のうちの1つに後端部で係止するフランジ31と、このフランジ31からピン20の打込み方向に筒状のピン打込み孔を有して延びるとともに、先端部にスリット35を有して拡径可能とされた筒状部32とを含んで構成されている。 【0022】ファスナ本体30の筒状部32の、頭部31側には、ローレット34が形成され、ファスナ本体30が被接合部材3、4に対して回転することを防止している。また、この筒状部32の内周面は、ピンが打ち込まれて挿入されるピン打ち込み孔とされ、ピン20の打込み方向(すなわち、ファスナ本体30の後端部から先端部に向かう方向)に先細りしながら、ピン20の外周面に接するテーパ孔部33を含んでいる。 【0023】ピン20は、前記ピン打ち込み孔に圧入されるピン本体22と、このピン本体22の後端に設けられる頭部21とから構成されている。さらに、前記ピン本体22は、前記頭部21が設けられた側から、円形形状とされた大径円柱部23と、この大径円柱部の先端に連続して形成され、かつピン本体22の先端に向かうに従って縮径するテーパ部24と、このテーパ部24の先端に連続して形成された小径円柱部25とから形成されている。 【0024】そして、ピン20を指で掴んで、ファスナ本体30のピン打ち込み孔内に挿入すると、ピン20のテーパ部24が、ファスナ本体30のテーパ孔部33に当接するようになっている。 【0025】さらに、大径円柱部23には、右ねじの方向(図中ピン20を時計回りに回転させるとピン20がファスナ本体30に挿入される方向)に、溝26が螺旋状に形成されている。なお、この溝26は、ボルトなどと同様に、軸方向Cを中心として、ピン20を周方向に回転させながら、溝26の一方端の開始点から他方端の終止点まで、軸方向Cに沿ってピン20または切削具を相対的に移動させることによって形成される。 【0026】このようなワンウェイファスナ10を、2つの被接合部材に接合するワンウェイファスナ用接合工具としては、図2に示されるような、プライヤ式のものが使われる。 【0027】このワンウェイファスナ用接合工具40は、一端に受部41A、41Bを備えるとともに、他端に把手42A、42Bを備えて、支点43によって互いに回動可能に取り付けられた1対の腕部40A、40Bを含んで構成されている。なお、この支点43は、一方の腕部40Aに形成された長孔43C内にはめ込まれ、支点43が長孔43Cを移動することで、受部41A、41B間の間隔を適宜調整できるよう設定されている。すなわち、前記一方の腕部40Aに設けられる受部41Aには、前記ワンウェイファスナ10によって接合される部材のうちピン20の頭部21とは反対側に配置されるに被接合部材に当接する当接部44が、軸45によって回動自在に取り付けられている。また、前記他方の腕部40Bに設けられる受部41Bには、ピン20の頭部21に当接しながら圧力をピン20に加える押圧部47と、ピン20の頭部21の周縁に接して前記ピン20の位置ずれを防止する突起46が設けられている。なお、押圧部47および突起46の表面は、鋸刃形状とされピン20の頭部21の位置ずれを確実にしている。 【0028】このようなワンウェイファスナ用接合工具40を使って、ワンウェイファスナ10を挿通孔に通して、例えば梁材と吊り金具など、2つの被接合部材3、4を接合固定する手順を図3を参照しながら以下に述べる。まず、片手で一方の腕部40Aの把手42Aを持って、まずファスナ本体30が挿通された被接合部材3、4のうちファスナ本体30と反対側にある被接合部材3に当接部44を当接させた後、もう一方の片手で前記把手42Bを持ちながらワンウェイファスナ用接合工具40の姿勢を定める。その後、前記ファスナ本体30のフランジ31に受部41Bの押圧部47を近づけさせながら、ピン20が位置ずれを起こさないように、突起46をピン20の頭部21に当接させ、前記両方の把手42A、42Bを締め付けて、ピン20に打撃を加える。すると、図4に示されるように、テーパ部24および大径円柱部23によって、スリット35が形成された筒状部32は花弁状に周囲に拡がり、この拡径部分とフランジ31によって、2つの被接合部材が挟持固定される。 【0029】上記のようなワンウェイファスナ10およびワンウェイファスナ用接合工具40を用いることで、以下に述べるような効果が得られる。 (1)ピン本体22およびファスナ本体30同士の接触面では、ピン20の打込み方向(すなわち、ピン20の脱落方向)にほぼ直交した溝26が形成されているので、ピン本体22の脱落を抑えるよう十分な摩擦力が働き、ピン本体22の外周面がファスナ本体30のピン打ち込み孔の表面で係止される。従って、仮打ち後のピン20の脱落を防止でき、作業の後戻りがなくなるので、ワンウェイファスナ10の打込み作業を効率的に行うことができる。 【0030】(2)ピン本体22の外周面(大径円柱部23)に形成された螺旋状の溝26が、頭部21が設けられた一方の端部からテーパ部24に続く他方の端部まで、途中で途切れることなく連続して形成されている。従って、このピン20を製造する際には、ボルトなどと同様の製造方法を適用できるので、容易にピン20を製造できる。 【0031】(3)ピン20を挿入した際に、ファスナ本体30の内周面に接触する大径円柱部23のみに溝を形成しているので、溝の形成を最小限に抑えることができ、製造効率を向上できる。 【0032】(4)大径円柱部23、テーパ部24および小径円柱部25によって形成された外周面の形状に対応して、ファスナ本体30の内周面が形成されている。従って、ピン20の頭部21をつかんでピン20をファスナ本体30内部に挿入した後、もし仮にこの頭部21から指を離しても、ピン20はファスナ本体30の内周面に係止し、ファスナ本体30からは脱落しないので、手を打ち付ける心配もなく指を離しながら仮打ちを行うこともでき、打ち付け作業を安全に行うことができる。 【0033】(5)ワンウェイファスナ用接合工具40は、被接合部材3およびピン20に各々接触する当接部44および突起46を備えているので、被接合部材3およびピン20に、それぞれ当接部44および突起46が接触した状態のままピン20を打ち込んで接合することができる。従って、ハンマのようにピン20から工具を離して接合しないので、ピン20の脱落を防止でき、ひいてはワンウェイファスナ10の打込み作業を確実に行うことができる。 【0034】(6)受部41Bの突起46に、ピン20の頭部21を収納して、ピン20の位置ずれを防止しながら、ファスナ本体30の中心軸方向にピン20を圧入することができるので、ピン20を確実に打込みことができ、ワンウェイファスナ10の接合作業を効率的に行える。 【0035】(7)一方の腕部40Aに形成された長孔43Cに、他方の腕部40Bに固定される支点43がはめ込まれているので、この長孔43C内の支点43の位置を適宜調節することで、被接合部材3の幅寸法に関係なく、当接部44および突起46を接触させることができるので、ワンウェイファスナ用接合工具40の用途を広げることができる。 【0036】(8)一方の腕部40Aに設けられた受部41Aには、当接部44が回動可能に取り付けられている。従って、受部40Aが被接合部材3に対して傾斜した状態でワンウェイファスナ用接合工具40が配置されても、当接部44は適宜被接合部材3に対して適切な姿勢を維持できるので、ワンウェイファスナ用接合工具40の使いやすさを向上させることができる。 【0037】(第2実施形態)図5〜7には、本発明に係る第2実施形態のワンウェイファスナ10およびワンウェイファスナ用接合工具60が示されている。なお、以下の実施形態および変形例において、前記実施形態と同一もしくは同様の構成部材には、同一の符号を用い、説明を省略あるいは簡略する。 【0038】この第2実施形態では、ワンウェイファスナ10は前記第1実施形態と同一のものを用いているが、このワンウェイファスナ10を被接合部材に接合するワンウェイファスナ用接合工具としては、カムクランプ式のワンウェイファスナ用接合工具60が用いられている。このワンウェイファスナ用接合工具60は、側面がL字形状をなし、ピン20の頭部21に当接可能に設けられた打撃部61と、この打撃部61に前記被接合部材3、4を挟んで対向配置されて、前記被接合部3に当接可能に設けられた当接部62と、この当接部62に対して前記打撃部61を進退させる駆動部63とを含んで構成される。 【0039】さらに、この駆動部63は、前記打撃部61に一体的に移動可能に取り付けられたベース部64と、このベース部64に回動自在に取り付けられ、かつその外周面が前記当接部62に接触するカム65と、このカム65を回動させて、前記当接部62に対して前記ベース部64および前記打撃部61を進退させるレバー部66とから構成されている。 【0040】打撃部61は、側面L字形の鋼材を使用し、一端に円盤状の保持部61Aが形成され、他端に当該打撃部61を掴むための第1の把手(図示省略)が設けられたアーム61Cとされている。さらに、保持部61Aの、当接部62側の面には、ピン20の頭部21の径とほぼ等しい内径をもつリング61Bが取り付けられており、このリング61Bの内側に、ピン20の頭部21をはめ込んで、ピン20の位置ずれを防止している。 【0041】当接部62は、ワンウェイファスナ10によって接合される被接合部材3、4のうち、前記保持部61Aとは反対側に位置する被接合部材3に当接して、固定点(不動点)を構成する部品である。この当接部62は、断面コ字形をなしており、前記被接合部3に当接する当接面62Aと、この当接面62Aの両側から被接合部材3から遠ざかる方向に延びて設けられる側板62Bと、これら側板62Bに形成された長孔63Cとから構成されている。これら長孔63Cには、後述する駆動部63の構成部品、すなわちカム65の側面から延びる軸65Bがレバー部66に固定され、これらカム65およびレバー部66が、長孔62Cを通してベース部64に回動可能かつ進退可能に取り付けられている。 【0042】駆動部63は、一端で四角枠状に形成されてアーム61Cを囲み、他方で下方に開いてカム65を内部に納めているベース部64と、このベース部内部に収納され、円盤状に形成されたカム65と、このカム65に固定されたレバー部66とを含んで構成されている。 【0043】ベース部64は、アーム61Cを囲む把持部64Aと、この把持部64Aからカム65を挟むように図中下方に延びた取付片64Bとから構成されている。把持部64Aの内面の大きさは、アーム61Cの外面の大きさよりも若干大きく、把持部64Aとアーム61Cとの間にわずかな隙間が形成されている。従って、ベース部64がアーム61Cに対して傾いた場合には、アーム61Cの図中上面および下面と、把持部64Aの内面との間で係止して、ベース部64がアーム61Cに対して固定できるように構成されている。また、ベース部64がアーム61Cに対して直交する状態のままであれば、アーム61Cに対してベース部64が移動でき、この状態でピン20の打込み方向に外力が当接部62に対して加えられる。2枚の取付片64Bには、カム65の側面から延びる軸65Bを挿通する孔(図示省略)が形成されている。 【0044】カム65は、円盤状の鋼材が使用され、図5および図6に示されるように、その外周面65Aの1部が、当接部62の内面(当接面62Aとは反対側の裏面)に接触し、また図7に示されるように、この円盤の中心65Cから所定間隔離れた位置に、軸65B(偏心軸)が形成されている。そして、この軸65Bから当接面62Aまでの距離がレバー部66の回動位置によって異なるように設定されているので、レバー部66の回動操作に連動しながら、軸65Bと当接面62Aとの間隔が随時変わるように設定されている。 【0045】レバー部66は、一端が二股に分かれて、ベース部64の把持部64Aおよびカム65を挟むようにして、カム65の軸65Bに固定された挟持片66Aと、この挟持片66Aに連続して形成される第2の把手66Bとから構成されている。 【0046】このような構成を有するワンウェイファスナ用接合工具60を用いると、以下に述べるような操作によって、ワンウェイファスナ10が被接合部材3、4に取付固定される。 【0047】図7(A)に示されるように、まずベース部64を保持部61Aから離れる方向に移動させた後、レバー部66を後退位置Rに維持しながら一方の片手で把手66Bを掴み、他方の片手でアーム61Cを持って、ファスナ本体30が挿通された接合箇所にワンウェイファスナ用接合工具60を近づける。その後、被接合部材3に当接面62Aを当接させ、ピン20の頭部21を前記保持部61Aに当接させて打ち込み前の姿勢をとる。そして、図7(B)に示されるように、レバー部66を回動範囲の前進位置Fに向かって回動させると、このレバー部66の動作に連動して、前記カム65の軸65Bと当接面62Aとの間隔P、Qの差に対応して、軸65Bが、長孔62Cに沿ってピン20の打込み方向に移動する。この際、アーム61Cに固定固定されたベース部64を介して、打撃部61(保持部61A)がピン打込み方向に移動するとともに、ピン20が筒状のファスナ本体30内部に圧入され、前記筒状部の先端が拡径する。 【0048】上記のような実施形態において、前記第1実施形態で得られた効果(1)〜(4)の他に以下に述べるような効果が得られる。 (9)偏心軸を有するカム65に固定されたレバー部66の回動といった簡単な操作によって、圧力を加え続けるながらピン20をファスナ本体30に圧入することができるので、ワンウェイファスナ10の接合作業を容易に行うことができるとともに、確実にワンウェイファスナ10を接合することができる。 【0049】(10)外力が加わるピン20、ファスナ本体30および2つの被接合部材3、4から離れた位置にある第1の把手および第2の把手66Bを掴んで操作されるので、より安全にワンウェイファスナ10を接合できる。 【0050】なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく本発明の目的を達成できる他の構成をも含み、以下に示すような変形例なども本発明に含まれる。 【0051】例えば、ワンウェイファスナ10は、前記実施形態のものに限らない。たとえば、ピン20としては、小径円柱部25が省略され、先端がテーパ部24となっていても構わない。さらに、テーパ部24も省略されてもよく、少なくとも大径円柱部23があればよい。また、ファスナ本体30では、ピン打ち込み孔としては、先端に向かって先細りして形成されるテーパ孔部33が省略され、単に筒状に形成されたものでも構わない。 【0052】また、溝26が形成されている部位は、大径円柱部23に限らず、例えば、テーパ部24にも形成されていてもよい。さらに、この溝26は、螺旋状に形成されるものに限らず、円環状にピン20の外周面に形成されていてもよい。また、この溝26の断面形状も、三角形状、四角形状、台形状、丸形状など実施の状況に応じて適宜選択される。要するに、ピン20の周方向に沿って形成されるものであれば、任意である。 【0053】また、ワンウェイファスナ用接合工具も、前記各実施形態のものに限らない。カムクランプ式のワンウェイファスナ用接合工具60としては、例えば、レバー部の回動範囲としては、アーム61C当接部62側に約90度回動する場合に限らず、図8に示されるように、当接部62Dの側部に形成された長孔62Eに突出した軸にレバー部66が固定されて、ピンの打込み方向からアーム61C側に角度Sで回動してもよい。この場合、前記第2実施形態におけるワンウェイファスナ用接合工具60に比べて、幅を取らないので、コンパクトに工具を収納することができる。 【0054】さらに、駆動部63を構成するベース部64、カム65およびレバー部66の形状や機構も前記第2実施形態のものに限らない。例えば、ベース部64としては、鉤状の係止部が形成されたものでもよく、カムとしては、円盤状のものに限らず楕円板状のものでもよい。また、レバー部66としては、中心に軸が形成された楕円板状のカムの周面に直接レバー部の一端が取り付けられたものでもよい。 【0055】また、プライヤ式のワンウェイファスナ用接合工具40としては、一方の腕部40Aに設けられた当接部44や他方の腕部40Bに設けられた受部41Bの形状も実施の状況に応じて適宜選択される。例えば、当接部44は、矩形平板形状のものに限らず、円板状のものでもよく、また押圧部の鋸歯形状を省略して、平坦面や凹部を形成してもよい。また、突起46も円柱状のものでも構わない。 【0056】さらに、本発明のワンウェイファスナ10の接合に際し、従来用いられていたようなハンマなどの工具を使って、被接合部材を接合してもよい。また、逆に本発明のワンウェイファスナ用接合工具40、60を使用して、従来使用されていたようなワンウェイファスナを接合しても構わない。 【0057】このようなワンウェイファスナ10およびワンウェイファスナ用接合工具40、60が使用される箇所も、前記各実施形態のように、梁材および吊り金物の接合部分に限らず、柱および梁などの構造材の接合部分や、屋根パネル、壁パネルなどのパネル材と前記構造部材との接合部分などでも、実施の状況に応じて適宜使用される。 【0058】 【発明の効果】以上述べたように、本発明のワンウェイファスナによれば、拡径して被接合部材を接合するファスナ本体に打ち込まれるピンのピン本体には、その外周面の少なくとも一部に、ピンの周方向に沿って溝が形成されている。従って、ファスナ本体の内周面に対して、十分な摩擦力を有しながらピンがファスナ本体に係止されるので、ピンの脱落を防止でき、打込み作業の後戻りがなくなり、結果的にワンウェイファスナの打込み作業を容易に行うことができる。 【0059】また、本発明のワンウェイファスナ用接合工具では、被接合部材に当接する当接部が取り付けられた一方の腕部と、ピンの頭部の位置ずれを防止しながらピンを押圧する受部が設けられた他方の腕部が、支点によって回動可能に取り付けられている。従って、被接合部材およびピンに、それぞれ当接部および突起が接触した状態のままピンを打ち込んで接合することができ、ハンマのようにピンから工具を離して接合しないので、ピンの脱落を防止でき、ひいてはワンウェイファスナの打込み作業を確実に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000114086 【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月31日(1999.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079083 【弁理士】 【氏名又は名称】木下 實三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−283133(P2000−283133A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月13日(2000.10.13) |
| 【出願番号】 |
特願平11−92343 |
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