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【発明の名称】 曲がり管
【発明者】 【氏名】横田 素行

【氏名】今東 秀行

【要約】 【課題】

【解決手段】流体を流通させる曲がり管において、曲がり部の内周側に周方向に延びる突条を形成したことを特徴とする曲がり管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体を流通させる曲がり管において、曲がり部の内周側に周方向に延びる突条を形成したことを特徴とする曲がり管。
【請求項2】 突条が内周の中央から振り分けに1/4〜1/2周程度延びる請求項1に記載の曲がり管。
【請求項3】 突条の高さを2倍したものを管径で除した値が15%以下である請求項2に記載の曲がり管。
【請求項4】 突条が流通方向曲がり部の手前に形成される請求項1〜3いずれかに記載の曲がり管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体を流通させる曲がり管に関するもので、圧力損失の抑制、即ち、流量改善を可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】管内に流体を流通させる場合、壁面に沿って発達した境界層を壁面から剥離させないことが圧力損失を抑制する条件である。このためには、管はできるだけ真っ直ぐなものにし、しかも、内周の壁面を滑らかにするのが望ましい。ところが、種々の条件で曲がり管にせざるを得ないことがあるし、又、管の内周を滑らかにするには加工する上で難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】曲がり管には種々のものがあり、例えば、自動車に使用する各種の管もそうである。中でも、エンジンの吸気管は、余裕がないエンジンルームに設けられる各部材を避けて通すようになるから、複雑な曲がりを呈している。しかし、圧力損失が大きいと、エンジンの出力が減少し、燃費の増大を来すから、ある程度の管径を確保し、曲がりの度合いも制限している。従って、各部材の形状や配置も制約を受けることになり、それだけ、設計の自由度が損なわれている。
【0004】本発明は、このような事情の改善を企図して案出されたものであり、その趣旨は、曲がり管の曲がり部に突条を設けて圧力損失の抑制を図ったものである。尚、従来も、飛行機の翼の表面にトリップワイヤと称される突条を風の向きと直角方向に巻いたものが知られているが、この突条は、自由空間を流れる風に対して作用するものであり、本発明のように管壁で制限された管内を流通する流体に対しては、寧ろ、このようなものが存在しない方が好ましいと考えられていた。それ故に、曲がりを少なくし、且つ、内壁面を滑らかにすることのみに専念していたのであるが、本発明は、このような考えを根本から覆すものである。
【0005】以上の課題の下、本発明は、流体を流通させる曲がり管において、曲がり部の内周側に周方向に延びる突条を形成したことを特徴とする曲がり管を提供する。曲がり部に設けたこのような突条が圧力損失の抑制に効果があるのは、次のように推測される。即ち、曲がり部では流速が低下して流体の圧力が上昇させられることになり、この圧力上昇域では、層流境界層より乱流境界層の方が剥離が起こり難くいことが知られている。そこで、このような突条が存在すると、乱流境界層が生成されるからだと思われる。
【0006】この場合における突条は、これを設けることで乱流境界層が生成されて圧力損失が抑制されることが条件である。突条を設ける部位、或いはその大きさや形状及び周方向への長さといったものが微妙に関係し、中途半端なものにすると、却って圧力損失を高める。本発明者等が検証した結果、突条が内周の中央から振り分けに1/4〜1/2周程度延びること、この条件で、突条の突出長を2倍したものを管径で除した値が15%以下であること、突条が曲がり部の手前に形成されることが効果が高いことが判明した。
【0007】この場合、突条は、流体の流れを遮るように周方向に延びて設けられるが、必ずしも、流体の流通方向に直角に設けられる必要はなく、交差する角度で設けられていてもよい。一方、突条の(断面)形状は問わない。要は、流体に乱流を起こさせるものであればよいのであるが、製作面等を考慮すると、一般的には、楕円を含む円形、半円形、多角形等になるであろう。更に、突条の形成方法も問わない。管と一体成形するものであってもよいし、後付けするものであってもよい。殊に、樹脂管や鋳造管のように、型によって成形するものでは、一体成形が一般的であり、その断面形状も型抜きができる、例えば、半円形のもの等になるであろう。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例を挙げて説明する。図2は曲がり管Aに空気を流通させた場合の圧力損失を調べる実験装置の説明図であるが、送風機Bで起こされた空気流をチャンバーCを経由させることで標準的な流れとし、送風管Dを通して曲がり管Aに送り、曲がり管Aを通過した空気流をハニカム構造体Eを通してオリフィス流量計Fで調べるようにしたものである。
【0009】図1はこの実験に使用した試料としての曲がり管Aの説明図であるが、曲がり管Aとして、X、Y、Z座標を図1のように設定し、内径が70mm、長さ300mmの樹脂製のものを中心の曲率が50mmで90°曲げたものを使用した。ここで、座標を曲がり部が始まるところ、即ち、空気の流入口よりX=110.7mmのところの中心軸をX=0、Y=0、Z=0とし、曲がり部の手前(X=−20)の位置で、高さ(直径)1.5φの突条Tを内周の中央(X=0、Y=35、Z=0)から振り分けて周方向にそれぞれ半周に亘って取り付け、種々の条件の下で圧力損失を調べてみた。
【0010】図3はこの曲がり管を通過した空気流の突条Tの有無によるレイノルズ係数(流速)と損失係数(圧力損失)との特性を示すものであるが、レイノルズ係数が高くなるほど、損失係数が下がっているのがわかる。特に、レイノルズ係数が8×104 を超えたあたりでは損失係数が10%以上下がっている。自動車の吸気管等では、レイノルズ係数はもっと高くなるから、これ以上の効果が期待でき、このような管に適用して効果があることが頷ける。
【0011】図4は曲がり管を通過した空気流の突条Tの有無による管内の種々の個所(Y座標値)と、当該個所の流速を平均流速で除した値との関係を示すもので、所謂、速度の分布状態を表したものであるが、中心と内周面の中間あたりでは、突条を設けることで、これがないものに較べて速度低下が少ないことがわかった。
【0012】このことから、例えば、自動車のエンジン電子制御燃料噴射では、吸入管の吸入空気量をエアーフローセンサで計量し、その量に最適のガソリン量をその都度コンピュータで計算して送るようにしているが、このエアーフローセンサを吸入管の曲がり部に設置したようなときでも、このような突条を設けることにより、空気の流れをより均一に保つことが可能となるから、流量コントロールがより容易になる効果がある。
【0013】図5は上記の条件の下で、管径に対する突条の高さ(突条の高さを2倍したものを管径で除した値−以下、相対高さという)と損失係数比(突条を設けた場合の損失係数/突条がない場合の損失係数)の特性であるが、相対高さが15%までは効果が見られたが、これを超えると、空気の流れが閉塞されてしまい、却って逆効果になる。
【0014】図6は同様に突条の周方向の延在長さと損失係数比の特性であるが、突条の延在長さが1/4〜1/2周程度までが効果があり、1/2周を超えると、徐々に効果が薄れて行く。
【0015】図7も同様に1/2周に延在させた突条の取付け位置と損失係数比の特性を示すものであるが、突条を曲がり部の手前側に設けると効果があり、屈曲点を過ぎると効果が期待できない。
【0016】以上を総括すると、このような突条を設けることにより、圧力損失の抑制が図られる。従って、流体を流通させる曲がり管に適用して効果があることは確かである。この場合において、突条の相対高さが15%以下であること、突条が周方向に1/4〜1/2周程度延在すること、突条が流通方向曲がり部の手前に形成されることが効果的であることが判明した。
【0017】以上は一本の曲がり管についてであるが、分岐管や合流管もその分岐や合流する個所には曲がり部が形成されるから、この突条をこれらの管に適用しても、当然に効果が期待できる。又、直管であっても、効果が期待できる。更に、流通させる流体は、気体に限らないのも当然である。
【0018】
【発明の効果】以上、本発明は、曲がり管の曲がり部に突条を設けることで、圧力損失の抑制が可能であるから、流体を流通させる管に適用して効果がある。特に、複雑な曲がりを呈して内部を高速の流体が流通する自動車の吸入管、例えば、エアーホース、吸気マニホールド、排気マニホールド等に適用すると、その派生的効果が大きい。
【出願人】 【識別番号】000157278
【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
【出願日】 平成11年4月2日(1999.4.2)
【代理人】 【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
【公開番号】 特開2000−291610(P2000−291610A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−96495