| 【発明の名称】 |
シリンダ装置およびシリンダ装置用チューブの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安岡 友彦
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| 【要約】 |
【課題】チューブ素管として電気抵抗溶接鋼管を用いることにより、冷間引抜き等の抽伸加工を省略し、生産性を向上させて製造コストを削減する。
【解決手段】油圧シリンダ1を円筒状のチューブ2、ピストン3およびロッド5等によって構成する。そして、チューブ2は電気抵抗溶接鋼管からなるチューブ素管を用いて形成し、その内周面には旋盤等を用いて荒引き加工と仕上げ加工とを行う。電気抵抗溶接鋼管は耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、素材の製板工程において高めることができる。また、電気抵抗溶接鋼管は溶接部によって偏肉等が生じ易いが、これを内周面の荒引き加工で削り取ることができ、その後の仕上げ加工により内周面の真円度、真直度、表面粗さ等を良好に高めることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端側にボトムカバー、ロッドガイドを有した円筒状のチューブと、該チューブ内に摺動可能に挿嵌され該チューブ内を2室に画成したピストンと、一端側が該ピストンに固着され他端側が前記ロッドガイドを介してチューブ外に突出したロッドとからなるシリンダ装置において、前記チューブは電気抵抗溶接鋼管を用いて形成し、その内周面は荒引き加工と仕上げ加工とによって形成する構成としたことを特徴とするシリンダ装置。 【請求項2】 前記電気抵抗溶接鋼管の内周面は、内径仕上げ寸法に対して直径で0.5〜2.5mmの削り加工代をもって形成してなる請求項1に記載のシリンダ装置。 【請求項3】 ロッドの一端側に設けたピストンが摺動可能に挿嵌されるシリンダ装置用チューブの製造方法であって、チューブの素管を電気抵抗溶接鋼管によって形成する素管形成工程と、前記素管の内周面に荒引き加工を施す第1の切削工程と、荒引き加工された前記素管の内周面に仕上げ用の切削加工を施す第2の切削工程とを含んでなるシリンダ装置用チューブの製造方法。 【請求項4】 前記第1の切削工程では前記素管の内周面から地肌を全て削り取って偏肉をなくすために削り加工代の大きい荒引き加工を行い、前記第2の切削工程では前記素管の荒引き加工面を均一化するために前記荒引き加工よりも削り加工代の小さい切削加工を行ってなる請求項3に記載のシリンダ装置用チューブの製造方法。 【請求項5】 前記第1の切削工程では前記素管の内周面を直径で0.4mm以上、2.0mm以下の加工代をもって荒引き加工し、前記第2の切削工程では前記素管の内周面を0.1〜0.5mmの加工代をもって仕上げ加工してなる請求項3または4に記載のシリンダ装置用チューブの製造方法。 【請求項6】 前記第2の切削工程で前記素管の内周面を切削加工した後に、前記素管の内周面を研摩加工する研摩工程を含んでなる請求項3,4または5に記載のシリンダ装置用チューブの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械において作業装置のブーム、アーム、バケット等を駆動する油圧シリンダとして好適に用いられるシリンダ装置およびシリンダ装置用チューブの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、油圧ショベル等の建設機械にあっては、ブーム、アーム、バケット等の作業装置を駆動するために油圧アクチュエータとして油圧シリンダ等のシリンダ装置を用いることが知られている。 【0003】この種の従来技術によるシリンダ装置は、円筒状のチューブと、該チューブ内に摺動可能に挿嵌され該チューブ内をロッド側とボトム側の2室に画成したピストンと、一端側が該ピストンに固着され他端側が前記チューブ外に突出したロッドとによって構成されている。 【0004】また、従来技術のシリンダ装置に用いるチューブとしては、一般に機械構造用継目無鋼管(以下、シームレス管という)が素管として使用され、このようなシームレス管からなる素管には、例えば冷間引抜き等による抽伸加工を施すことによって内径面が高精度に仕上げられるものである。 【0005】即ち、シリンダ装置用のチューブは、内周側にピストンが摺動可能に挿嵌されることにより、例えば内部がロッド側油室とボトム側油室とに画成され、これらの各油室には外部から高圧油が給排されることによって、ロッドを伸縮動作させるものである。 【0006】このため、シリンダ用のチューブには、高い耐圧性能が要求されるばかりでなく、チューブ内でのピストンの摺動抵抗を小さく抑えることが要求され、このような要求を満たすために、チューブの内周面を前記冷間引抜き等による抽伸加工によって高精度に仕上げ、例えば真円度、真直度、表面粗さ等を厳しく管理するようにしている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来技術では、シリンダ装置用チューブの素管としてシームレス管を使用し、チューブの内周面を高精度に仕上げるために前記シームレス管に対して、例えば冷間引抜き等による抽伸加工を後工程で追加して行うようにしている。 【0008】しかし、機械構造用継目無鋼管からなるシームレス管は、その製管工程において熱間加工、冷間加工等の複雑な処理工程を経て高剛性の鋼管として製造されているものである。そして、このようなシームレス管をシリンダ用のチューブとして用いる場合には、前記製管作業の後工程としてさらに冷間引抜き等の抽伸加工を追加して行うものである。 【0009】このため、シームレス管を用いる従来技術にあっては、シリンダ装置用チューブの製造工程全体が多工程に及ぶことになり、全体として多大の労力と時間を費し、製造コストが嵩むばかりでなく、生産性が非常に悪いという問題がある。 【0010】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、チューブの素管として電気抵抗溶接鋼管を用いることにより、冷間引抜き等の抽伸加工を省略することができ、生産性を向上できる上に、切削等の機械加工を施すことにより内周面を高精度に仕上げることができるようにしたシリンダ装置およびシリンダ装置用チューブの製造方法を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、両端側にボトムカバー、ロッドガイドを有した円筒状のチューブと、該チューブ内に摺動可能に挿嵌され該チューブ内を2室に画成したピストンと、一端側が該ピストンに固着され他端側が前記ロッドガイドを介してチューブ外に突出したロッドとからなるシリンダ装置に適用される。 【0012】そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記チューブは電気抵抗溶接鋼管を用いて形成し、その内周面は荒引き加工と仕上げ加工とによって形成する構成としたことにある。 【0013】このように構成したことにより、一般に電縫管と呼ばれる電気抵抗溶接鋼管は耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、素材の製板工程において高めることができ、従来技術のシームレス管で採用している冷間引抜き等の抽伸加工を省略できる。そして、電気抵抗溶接鋼管は溶接部によって偏肉等が生じ易いが、これを内周面の荒引き加工で削り取ることができ、その後の仕上げ加工により内周面の真円度、真直度、表面粗さ等を良好に高めることができる。 【0014】また、請求項2の発明は、電気抵抗溶接鋼管の内周面は、内径仕上げ寸法に対して直径で0.5〜2.5mmの加工代をもって形成している。これによって、電気抵抗溶接鋼管の内周面から地肌を全て削り取り、内周側に残る溶接部等の偏肉部分を0.5〜2.5mmに及ぶ削り加工代により完全に取除くことができる。 【0015】一方、請求項3の発明は、ロッドの一端側に設けたピストンが摺動可能に挿嵌されるシリンダ装置用チューブの製造方法であって、チューブの素管を電気抵抗溶接鋼管によって形成する素管形成工程と、前記素管の内周面に荒引き加工を施す第1の切削工程と、荒引き加工された前記素管の内周面に仕上げ用の切削加工を施す第2の切削工程とを含んでなるものである。 【0016】このようなチューブの製造方法を採用することにより、チューブに要求される耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、電気抵抗溶接鋼管の素材を製造する段階で行う製板工程等によって確保することができ、素管形成工程ではチューブの素管を予め決められた外径寸法、長さ寸法等をもって形成できる。そして、その後の第1の切削工程では、素管の内周面に荒引き加工を施すことにより、偏肉部分等を削り取ることができ、その後の第2の切削工程では内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0017】また、請求項4の発明は、第1の切削工程では素管の内周面から地肌を全て削り取って偏肉をなくすために削り加工代の大きい荒引き加工を行い、第2の切削工程では前記素管の荒引き加工面を均一化するために前記荒引き加工よりも削り加工代の小さい切削加工を行うものである。 【0018】これにより、電気抵抗溶接鋼管からなる素管の内周面は、第1の切削工程で行う荒引き加工によって地肌が全て削り取られ、溶接部による偏肉等を除去することができる。そして、第2の切削工程では荒引き加工よりも小さい削り加工代をもって切削加工を行うことにより、前記素管の荒引き加工面を均一な表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0019】また、請求項5の発明は、第1の切削工程では素管の内周面を直径で0.4mm以上、2.0mm以下の加工代をもって荒引き加工し、第2の切削工程では前記素管の内周面を0.1〜0.5mmの加工代をもって仕上げ加工してなるものである。 【0020】これにより、第1の切削工程で行う荒引き加工で、電気抵抗溶接鋼管の内周面から地肌を全て削り取り、内周側に残る溶接部等の偏肉部分を0.4〜2.0mmに及ぶ加工代によって完全に取除くことができる。そして、第2の切削工程では素管の内周面を加工代(0.1〜0.5mm)以下の表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0021】さらに、請求項6の発明は、第2の切削工程で素管の内周面を切削加工した後に、前記素管の内周面を研摩加工する研摩工程を含んでなるものである。これにより、研摩工程ではバニシング加工等を用いて切削面の表面粗さをきめ細かく均し、素管の内周面をピストン用の摺動面として良好に仕上げることができる。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態によるシリンダ装置及びシリンダ装置用チューブの製造方法を、図1ないし図10に従って建設機械の油圧シリンダに適用した場合を例に挙げて詳細に説明する。 【0023】図中、1は本実施の形態で採用したシリンダ装置としての油圧シリンダで、該油圧シリンダ1は、円筒状のチューブ2と、該チューブ2内に摺動可能に挿嵌されたピストン3と、一端側がピストン3にナット4等を用いて固着され、他端側がチューブ1の外部ヘと突出したロッド5等とによって構成されている。 【0024】ここで、チューブ2は後述の電気抵抗溶接鋼管からなるチューブ素管11を用いて形成され、チューブ2内にはピストン3によりボトム側油室Aとロッド側油室Bとが画成されている。また、ロッド5の突出端側には取付部となる取付アイ5Aが一体に設けられている。 【0025】6はチューブ2の一端側に溶接等の手段で一体に設けられたボトムカバーで、該ボトムカバー6には取付部としての取付アイ6Aが一体形成され、該取付アイ6Aはロッド5の取付アイ5Aと共に油圧シリンダ1を作業装置のブーム、アームまたはバケット(いずれも図示せず)等にピン結合するために用いられる。また、ボトムカバー6には圧油の給排口6Bが形成され、該給排口6Bは外部の油圧源(図示せず)から油室A内に圧油を給排させるものである。 【0026】7はチューブ2の他端側に溶接等に手段を用いて固着された補強筒、8は該補強筒7を介してチューブ2の他端側に設けられた段付筒状のロッドガイドで、該ロッドガイド8はロッド5を摺動可能に支持している。また、ロッドガイド8には他の給排口8Aが形成され、該給排口8Aは油圧源からの圧油を油室B側に給排するものである。 【0027】次に、11はチューブ2の素材となるチューブ素管で、該チューブ素管11は図2に示すように、電気抵抗溶接によって縫合され円筒状に成形された電気抵抗溶接鋼管(以下、電縫管という)を、所定の長さ寸法に切断することにより形成され、その外径寸法は例えば140〜190mm程度で、全長は1〜3m(メータ)以上に及ぶ長さ有している。そして、電縫管からなるチューブ素管11は全長に亘って溶接部12が直線状に延在しているものである。 【0028】ここで、チューブ2のチューブ素管11は、図3に示すように、例えば13〜20mm程度の板厚を有した平板材からなる鋼板13を、ロール加工等の手段で図4に示す如く曲げ加工することにより形成され、その周方向端部13A,13Aは、図5に示す一対の締付ロール14,14等を用いて互いに突き当てられ、この状態で電極輪15等の溶接手段を用いて電気抵抗溶接されるものである。 【0029】この場合、互いに突き当てた状態に保持された周方向端部13A,13Aは、電極輪15側から流れる大電流で抵抗熱が発生することにより、その当接面側が加熱溶融され前記溶接部12となって強固に接合されるものである。これにより電縫管からなる円筒状のチューブ素管11が成形され、その内径D0 は例えば114〜150mm程度に形成される。 【0030】また、このように形成された電縫管からなるチューブ素管11は、その内周面を加工するために内面加工用旋盤等のチャック16,16を用いて図6に示す如く両端側が把持され、回転不能に固定される。そして、この状態でチューブ素管11の内周側には図7に示す後述の内面加工具17が挿入され、この内面加工具17によりチューブ素管11の内面加工が行われる。 【0031】17はチューブ素管11の内周面を機械加工するための内面加工具で、該内面加工具17は、図7に示すように旋盤等で矢示C方向に回転駆動される回転軸18と、該回転軸18の先端側に連結軸19を介して連結され、回転軸18と一体に矢示C方向に回転駆動される切削ヘッド20と、該切削ヘッド20に取付けられた荒引き用切削具としての荒引きバイト21,21と、該各荒引きバイト21から軸方向に離間して切削ヘッド20に取付けられた仕上げ用切削具としての標準バイト22,22と、後述の研摩ヘッド23等とによって構成されている。 【0032】ここで、荒引きバイト21と標準バイト22とは油圧アクチュエータ(図示せず)等を用いて切削ヘッド20から径方向外向きに進退され、図7に示す進出位置(切削位置)ではバイトの刃先が径寸法D1 ,D2 に設定される。そして、荒引きバイト21は径寸法D1 が、例えば114.4〜152.0mm程度に設定され、チューブ素管11の内周面を直径で0.4〜2.0mmの加工代(D1 −D0 )をもって荒削り加工(荒引き加工)するものである。 【0033】また、標準バイト22の径寸法D2 は、例えば114.5〜152.5mm程度に設定され、標準バイト22は荒引き加工後のチューブ素管11の内周面に対し、直径で0.1〜0.5mmの加工代(D2 −D1 )をもって仕上げ用の標準的な切削加工を行うものである。そして、チューブ素管11の内周面に対する切削加工が終了したときには、図10に示すように荒引きバイト21と標準バイト22とが共に前記油圧アクチュエータによって切削ヘッド20の径方向に縮小され、チューブ素管11の内周面から離間(後退)した状態に保持される。 【0034】23は内面加工具17の一部を構成する研摩ヘッドで、該研摩ヘッド23は内面加工具17の回転軸18と切削ヘッド20との間に位置して連結軸19の外周側に設けられている。そして、研摩ヘッド23は連結軸19を介して回転軸18と一体に回転されるものの、軸方向では連結軸19に対して矢示E1 ,E2 方向へと相対変位可能に連結されている。 【0035】また、研摩ヘッド23には研摩具としての研摩ローラ24,24,…が径方向に進退可能に取付けられている。そして、チューブ素管11の内周面に対する前記切削加工が終了するまでは、連結軸19が研摩ヘッド23に対して矢示E1 方向に相対変位することにより、各研摩ローラ24は図7に示すように研摩ヘッド23の径方向に縮小されて待機位置に保持されるものである。この待機位置では連結軸19の鍔部19Aが研摩ヘッド23の端面に当接し、連結軸19は研摩ヘッド23に対する矢示E1 方向への相対変位が規制される。 【0036】そして、チューブ素管11の内周面に対する前記切削加工が終了した段階では、図10に示すように連結軸19の鍔部19Bが研摩ヘッド23の端面に当接する位置まで、連結軸19が研摩ヘッド23に対して矢示E2 方向に相対変位される。これにより、各研摩ローラ24は研摩ヘッド23から径方向外向きに突出され、この状態でチューブ素管11の内周面は、例えば0.02〜0.05mm程度の研摩加工代をもって、各研摩ローラ24によるバニシング加工等の研摩加工が行われるものである。 【0037】本実施の形態による油圧シリンダ1およびチューブ2の製造装置は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧シリンダ1の作動について説明する。 【0038】まず、油圧源からの圧油をボトムカバー6側の給排口6Bを通じて油室A内に供給したときには、油室B内の圧油がロッドガイド8側の給排口8Aを通じて外部に排出されることにより、チューブ2内のピストン3は油室B側に向けて摺動変位し、ロッド5はチューブ2から伸長方向に駆動される。 【0039】また、油圧源からの圧油をロッドガイド8側の給排口8Aを通じて油室B内に供給したときには、油室A内の圧油がボトムカバー6側の給排口6Bを通じて外部に排出されることにより、ピストン3は油室A側に向けて摺動変位し、ロッド5はチューブ2内へと縮小方向に駆動される。そして、このようにロッド5がチューブ2に対して伸縮されることにより、例えば作業装置のブーム、アームまたはバケット等が回動され、土砂等の掘削作業が行われる。 【0040】次に、本実施の形態の特徴であるチューブ2の製造方法について、図6ないし図10を参照して説明する。 【0041】まず、チューブ2の素材となる電縫管を用意し、この電縫管を所定長さに切断することによりチューブ素管11を形成する(素管形成工程)。そして、チューブ素管11の両端側を図6に示す如くチャック16,16で把持し、チューブ素管11を回転不能に固定する。 【0042】次に、図8〜図10に示すように内面加工具17を矢示C方向に回転駆動しつつ、チューブ素管11内へと矢示F方向に送込むことにより、後述の第1,第2の切削工程等を通じてチューブ素管11の内周面には、その内径仕上げ寸法に対して直径で0.5〜2.5mm、好ましくは0.5〜2.0mmの加工代をもって切削等の機械加工を施すものである。 【0043】即ち、第1の切削工程では、図8に示すようにチューブ素管11の内周面を切削ヘッド20の各荒引きバイト21で切削加工し、例えば0.4mm以上、2.0mm以下、即ち0.4〜2.0mmの削り加工代(D1 −D0 )をもってチューブ素管11の内周面を全周に亘り荒削りする。 【0044】そして、荒引きバイト21による荒引き加工は、内面加工具17をチューブ素管11内で矢示C方向に回転駆動しつつ、矢示F方向へと連続的に送込むことにより、チューブ素管11の一端側から他端側ヘと全長に亘って行われる。これによって、電縫管からなるチューブ素管11の内周面は、各荒引きバイト21の刃先により地肌が全て削り取られ、図2に示した溶接部12等による偏肉部分を全長に亘って除去でき、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0045】また、内面加工具17をチューブ素管11内へと矢示F方向に送込むことにより、荒引きバイト21の下流側では図9に示す如く各標準バイト22による仕上げ用の切削加工が行われる(第2の切削工程)。この第2の切削工程では、チューブ素管11内で矢示C方向に回転駆動されている切削ヘッド20の各標準バイト22により、例えば0.1〜0.5mm程度の削り加工代(D2 −D1 )をもってチューブ素管11の内周面を全周に亘り旋削する。 【0046】そして、前記各荒引きバイト21により荒削りされたチューブ素管11の内周面(荒引き加工面)を、各標準バイト22により削り加工代の小さい切削加工を行うことにより、チューブ素管11の荒引き加工面を均一な表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等をさらに高めることができる。 【0047】次に、内面加工具17の切削ヘッド20がチューブ素管11の一端側から他端側まで完全に矢示F方向へと送込まれ、荒引きバイト21と標準バイト22とによる切削加工が完了した段階では、図10に示すように荒引きバイト21と標準バイト22とが共に前記油圧アクチュエータにより切削ヘッド20の径方向に縮小され、チューブ素管11の内周面から離間(後退)した状態に保持される。 【0048】また、この段階では、図10に示す如く連結軸19の鍔部19Bが研摩ヘッド23の端面に当接する位置まで、連結軸19が研摩ヘッド23に対して矢示E2方向に相対変位されることにより、各研摩ローラ24が研摩ヘッド23から径方向外向きに突出され、各研摩ローラ24がチューブ素管11の他端側で内周面に押付けられる。 【0049】そして、この状態で内面加工具17をチューブ素管11内で矢示C方向に回転駆動しつつ、矢示G方向へと連続的に戻して行くことにより、チューブ素管11の内周面(切削加工面)に対して各研摩ローラ24によるバニシング加工を行う(研摩工程)。この研摩加工は、チューブ素管11の他端側から一端側ヘと全長に亘って行われ、その内周面は内径寸法D3 (例えば114.52〜152.55mm程度)の円滑な摺動面として仕上げられる。 【0050】この場合の研摩加工代(D3 −D2 )は、例えば0.02〜0.05mm程度の直径寸法に設定される。そして、各研摩ローラ24によるバニシング加工等によりチューブ素管11の内周面を切削面から研削面ヘと表面粗さをきめ細かく均し、ピストン3用の摺動面として良好に仕上げることができる。 【0051】次に、内周面が研摩されたチューブ素管11は油圧シリンダ1用のチューブ2として、図1に示す如く一端側にボトムカバー6が溶接手段で固着され、他端側には補強筒7が溶接等で固着される。そして、チューブ2内にピストン3等を装入した段階では、ロッドガイド8を補強筒7に嵌合して固着し、油圧シリンダ1として完成させるものである。 【0052】かくして、本実施の形態によれば、油圧シリンダ1用のチューブ2に要求される耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、電縫管の素材である鋼板13を製造する段階での製板工程等によって確保することができ、素管形成工程ではチューブ2のチューブ素管11を予め決められた外径寸法、長さ寸法等をもって形成できる。 【0053】そして、その後の第1の切削工程では、チューブ素管11の内周面に荒引きバイト21による荒削り加工を施すことにより、内周面の地肌を全て削り取ることができ、溶接部12等による偏肉部分を完全に除去できる。また、第2の切削工程では荒引きバイト21よりも小さい削り加工代をもって標準バイト22による切削加工を行うことにより、チューブ素管11の荒引き加工面を均一な表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0054】さらに、その後に行う研摩工程によってチューブ素管11の内周面(切削加工面)を各研摩ローラ24でバニシング加工し、切削面による表面の凹凸を目潰しするように表面粗さをきめ細かく均すことができ、ピストン3用の摺動面として良好に仕上げることができる。 【0055】従って、本実施の形態によれば、チューブ2のチューブ素管11として電縫管を用いることにより、従来技術で用いている冷間引抜き等の抽伸加工を省略することができ、製造工程を簡素化して生産性を向上できる。そして、チューブ素管11の内周面には、内径仕上げ寸法に対し直径で0.5〜2.5mm、好ましくは0.5〜2.0mmの加工代をもって切削等の機械加工を施すことにより、チューブ素管11からなるチューブ2の内周面を高精度に仕上げることができ、ピストン3等の摺動性を高め、チューブ2の信頼性を向上させることができる。 【0056】なお、前記実施の形態では、旋盤等を用いてチューブ2のチューブ素管11を内面加工する場合に、チューブ素管11を両端側のチャック16で固定しておき、内面加工具17を回転駆動するものとして述べたが、本発明はこれに限らず、例えばチューブ素管11側を回転駆動し、内面加工具17側を回転不能に固定する構成してもよい。 【0057】また、前記実施の形態では、油圧シリンダ1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば空圧シリンダ等のシリンダ装置に適用してもよいものである。 【0058】 【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1に記載の発明によれば、シリンダ装置用のチューブを電気抵抗溶接鋼管により形成し、その内周面は荒引き加工と仕上げ加工とにより形成する構成としているため、従来技術で採用している冷間引抜き等の抽伸加工を省略でき、製造工程を簡略化して生産性を向上できると共に、製造コストを大幅に削減することができる。そして、電縫管と呼ばれる電気抵抗溶接鋼管は耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、素材の製板工程において高めることができる。また、電気抵抗溶接鋼管は溶接部によって偏肉等が生じ易いが、これを内周面の荒引き加工で削り取ることができ、その後の仕上げ加工により内周面の真円度、真直度、表面粗さ等を良好に高めることができる。 【0059】また、請求項2に記載の発明は、電気抵抗溶接鋼管の内周面は、内径仕上げ寸法に対して直径で0.5〜2.5mmの加工代をもって形成しているため、電気抵抗溶接鋼管の内周面から地肌を全て削り取ることができ、内周側に残る溶接部等の偏肉部分を除去することができる。 【0060】一方、請求項3に記載の発明では、素管形成工程および第1,第2の切削工程によってシリンダ装置用チューブを製造するものであるため、チューブに要求される耐圧強度、靭性強度等の機械的性質を、電気抵抗溶接鋼管の素材を製造する段階で行う製板工程等によって確保することができ、素管形成工程ではチューブの素管を予め決められた外径寸法、長さ寸法等をもって形成できる。そして、その後の第1の切削工程では、素管の内周面に荒引き加工を施すことにより、偏肉部分等を削り取ることができ、その後の第2の切削工程では内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0061】また、請求項4に記載の発明によると、電気抵抗溶接鋼管からなる素管の内周面は、第1の切削工程で行う荒引き加工によって地肌が全て削り取られ、溶接部による偏肉等を除去することができる。そして、第2の切削工程では荒引き加工よりも小さい削り加工代をもって切削加工を行うことにより、前記素管の荒引き加工面を均一な表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0062】また、請求項5に記載の発明は、第1の切削工程では素管の内周面を直径で0.4〜2.0mmの加工代をもって荒引き加工し、第2の切削工程では前記素管の内周面を0.1〜0.5mmの加工代をもって仕上げ加工するため、第1の切削工程で行う荒引き加工で、電気抵抗溶接鋼管の内周面から地肌を全て削り取り、内周側に残る溶接部等の偏肉部分を完全に取除くことができる。そして、第2の切削工程では素管の内周面をその加工代以下の表面粗さに仕上げることができ、内周面の真円度、真直度等を高めることができる。 【0063】さらに、請求項6に記載の発明では、素管形成工程、第1,第2の切削工程および研摩工程によってシリンダ装置用チューブを製造するものであるため、素管形成工程でチューブの素管を予め決められた外径寸法、長さ寸法等をもって形成した後に、第1の切削工程で素管の内周面に荒引き加工を施すことにより、偏肉部分等を削り取り、第2の切削工程では内周面の真円度、真直度等を高めることができると共に、研摩工程ではバニシング加工等により切削面の表面粗さをきめ細かく均し、ピストン用の摺動面として良好に仕上げることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005522 【氏名又は名称】日立建機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月13日(1999.4.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079441 【弁理士】 【氏名又は名称】広瀬 和彦
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| 【公開番号】 |
特開2000−291607(P2000−291607A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月20日(2000.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−105773 |
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