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【発明の名称】 油圧アクチュエータの緩停止装置。
【発明者】 【氏名】長尾 正人

【要約】 【課題】切換弁2を中立位置に強制復帰するためのアクチュエータと、切換弁2の操作系(操作力伝達系)に介装したエスケープ機構を不必要とする。

【解決手段】緩停止装置12を、停止信号出力手段11からの停止信号で作動し、油圧制御回路に装備されている差圧制御弁9のスプリン手段10(絞り8の前後差圧を定めるもの)のばね力を漸減させるばね力制御機構12で構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポンプ1からのポンプ油路5と作業機A駆動用の油圧アクチュエータ3への制御油路6,6との間に切換弁2を介装し、ポンプ油路5と制御油路6,6とを切換弁2が形成する絞り8を介して接続可能に構成すると共に、差圧発生用のスプリング手段10を具備し、且つ、切換弁2の前記絞り8の前段と後段の油圧をパイロット圧として作動し、切換弁2の前記絞り8の前段の油圧が後段の油圧に対して前記スプリング手段10のスプリング力に対応する圧だけ高くなるよう制御する差圧制御弁9を、前記ポンプ油路5に取り付けてなる油圧制御回路に用いられ、作業機Aが作動限界に達しようとした際に停止信号を出力する停止信号出力手段11からの停止信号により作動して前記油圧アクチュエータ3を停止させる油圧アクチュエータの緩停止装置12であって、前記停止信号出力手段11からの停止信号を受けとり前記差圧制御弁9のスプリング手段10のばね力を漸減させるばね力制御機構12で構成してあることを特徴とする油圧アクチュエータの緩停止装置。
【請求項2】 ばね力制御機構12が、圧力室13aに作用する油圧に応じて前記スプリング手段10を弾圧付勢するピストン−シリンダユニット13と、前記停止信号出力手段11からの停止信号により作動してピストン−シリンダユニット13の前記圧力室13aに作用する油圧を漸減させる弁手段14から構成されていることを特徴とする請求項1記載の油圧アクチュエータの緩停止装置。
【請求項3】 前記弁手段14が、電磁式比例圧力制御弁で構成されており、停止信号出力手段11が発生する停止信号が、この電磁式圧力制御弁14の制御圧を漸減させる傾向の電気信号であることを特徴とする請求項2の油圧アクチュエータの緩停止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、切換弁を油圧アクチュエータ駆動位置に維持したままで油圧アクチュエータを緩やかに自動停止させることのできる緩停止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 まず、本発明の油圧アクチュエータの緩停止装置を採用しようとする油圧制御回路の従来例を説明する。
【0003】 図2において、1は圧油を発生するポンプ、2は切換弁、3は油圧アクチュエータ、4はタンクである。切換弁2は、ポンプ1からのポンプ油路5、油圧アクチュエータ3に接続した一対の制御油路6,6、および、タンク4に接続したタンク油路7に接続されている。この切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置に切換操作することで、ポンプ油路5と任意の一方の制御油路6との間に絞り8が形成され、この絞り8を介して作動油が該当する制御油路6に供給されるようになっている。切換弁2が油圧アクチュエータ駆動位置に切換操作されている状態では、他方の制御油路6とタンク油路7が接続されるようになっており、油圧アクチュエータ3からの還流油がタンク4に流れるようなっている。2aは切換弁2を切換操作するための操作レバーである。
【0004】 9は、ポンプ油路5に取り付けた差圧制御弁である。この差圧制御弁9は、差圧発生用のスプリング手段10を具備し、且つ、切換弁2の前記絞り8の前段(ポンプ油路5側)と後段(制御油路6側)の油圧をパイロット圧として作動し、切換弁2の前記絞り8の前段の油圧を後段の油圧に対して前記スプリング手段10のスプリング力に対応する圧だけ高く維持するよう機能するものである。差圧制御弁9によるこのような機能により、油圧アクチュエータ3の駆動速度は、絞り8の開口面積すなわち、切換弁2の切換操作量にのみ依存して決定されるようになる。
【0005】 図2では、差圧制御弁9は、ポンプ油路5に介装して取り付けられており、ポンプ油路を通過する油量を制御することで上記の如く機能するいわゆるメータイン制御タイプのものを示している。しかしながら、差圧制御弁9としては、ポンプ油路5とタンク4との間に介装されポンプ油路5からタンク4に流れる油量を制御することで上述の如く機能するいわゆるブリードオフタイプのものであっても良い。
【0006】 このような油圧制御回路は、作業機Aの駆動用に用いられている。図2では、作業機Aとして移動式クレーンを示しており、油圧アクチュエータ3は、移動式クレーンAのブームA1を旋回駆動(ブームA1が取り付けられた旋回体を旋回駆動)するための旋回用油圧モータとしてと示されている。
【0007】 次に、油圧アクチュエータの緩停止装置の従来例について説明する。一般に、作業機Aには、作業機をそれ以上駆動してはならない作動限界が存在している。例えば、作業機Aが水平旋回可能なブームA1を具備する移動式クレーンにおける旋回駆動についていえば、移動式クレーンの転倒耐性はブームA1の各旋回位置により異なるものであるから、作業機Aたる移動式クレーンのブームA1の旋回には作動限界が存在している。このような作業機Aには、作動限界(ブームA1の旋回作動限界)で作業機駆動用の油圧アクチュエータ3の駆動を緩やかに自動停止させる必要がある。このため、このような作業機Aには作動限界で油圧アクチュエータ3の駆動を自動停止させるための停止信号発生手段11と、油圧制御回路に取り付けられ前記停止信号発生手段11からの停止信号により作動して油圧アクチュエータ3の駆動を緩やかに自動停止する緩停止装置12が取り付けられている。
【0008】 従来の緩停止装置12は、その作動時に切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置から中立位置(ポンプ油路5と制御油路6との連結を遮断する切換位置)に緩やかに押し戻すアクチュエータ12aと、操作レバー2aを操作位置に維持したままでも前記アクチュエータ12aによる切換弁2の中立位置への押し戻しを許容するために操作レバー2aの操作力を切換弁2に伝達する操作力伝達経路に介装されたエスケープ手段12bとでもって構成している。エスケープ手段12bは、通常の操作力(操作レバー2aで切換弁2を最大切換するに必要な操作力)範囲の力の伝達をするが、それを越えた力の伝達をエスケープさせるもので、適宜のスプリングにより構成されたものである。
【0009】 このように構成した従来の緩停止装置は、操作レバー2aにより切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置に切り換えて油圧アクチュエータ3を駆動し、この油圧アクチュエータ3により作業機Aを駆動している状態で、作業機Aが作動限界に達しようとすると、停止信号発生手段11から停止信号が出力されて緩停止装置12が切換弁2を中立位置に緩やかに押し戻して、油圧アクチュエータ3の駆動が自動的に停止するのである。このとき前記エスケープ手段は、緩停止装置12による切換弁2の押し戻し動作の操作レバー2aへの伝達をエスケープさせる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】 上記の如く構成した従来の油圧アクチュエータの緩停止装置12は、油圧アクチュエータ3が駆動する作業機Aが作動限界に達しようとすると、油圧アクチュエータ3が緩やかに自動停止されるので、作業機Aの安全を確保する上で極めて効果的なものである。
【0011】 しかしながら、上記従来の油圧アクチュエータの緩停止装置12は、上述したように、停止信号発生手段11からの停止信号により作動して切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置から中立位置に緩やかに押し戻すアクチュエータ12aと、操作レバー2aを操作位置に維持したままでも前記アクチュエータ12aによる切換弁2の中立位置への押し戻しを許容するためのエスケープ手段12bでもって構成しているため、その構造が複雑になるという問題があった。
【0012】 この本発明は、それが採用される油圧駆動回路に装備されている差圧制御弁9を利用した構造簡単な緩停止装置を提供することで、上記従来技術の問題を解決しようとするものである。
【0013】
【問題を解決するための手段】 本発明の油圧アクチュエータの緩停止装置は、上記の目的を達成するため次の如く構成する。
【0014】 ポンプ1からのポンプ油路5と作業機A駆動用の油圧アクチュエータ3への制御油路6,6との間に切換弁2を介装し、ポンプ油路5と制御油路6,6とを切換弁2が形成する絞り8を介して接続可能に構成すると共に、前記ポンプ油路5に、差圧発生用のスプリング手段10を具備し、且つ、切換弁2の前記絞り8の前段と後段の油圧をパイロット圧として作動し、切換弁8の前記絞り8の前段の油圧が後段の油圧に対して前記スプリング手段10のスプリング力に対応する圧だけ高くなるよう制御する差圧制御弁9を、前記ポンプ油路5の取り付けてなる油圧制御回路に用いられ、作業機Aが作動限界に達しようとし際に停止信号を出力する停止信号出力手段からの停止信号により作動して前記油圧アクチュエータ3を停止させる油圧アクチュエータの緩停止装置12であって、前記停止信号出力手段11からの停止信号を受けとり前記差圧制御弁9のスプリング手段10のばね力を漸減させるばね力制御機構で構成してあることを特徴とする油圧アクチュエータの緩停止装置。
【0015】 このように構成した請求項に係る油圧アクチュエータの緩停止装置12は、停止信号出力手段11からの停止信号で、差圧制御弁9のスプリング手段10のばね力が漸減して切換弁2の絞り8の前後差圧を次第に減少させる。その結果、切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置に切り換え操作した状態のままでも、切換弁2の絞り8を経過する作動油量が減少するので、油圧アクチュエータ3の駆動速度が緩やかに停止するのである。
【0016】
【実施例】 以下本発明の油圧アクチュエータの緩停止装置の実施例を図1〜2に基づいて説明する。上記したように本発明は、停止信号出力手段11からの停止信号により作動して切換弁2を油圧アクチュエータ駆動位置から中立位置に緩やかに押し戻すアクチュエータ12aと、エスケープ手段12bにより構成された従来の緩停止装置12とで構成していた従来の緩停止装置12を、油圧制御回路に装備されている差圧制御弁9の構成を利用した構造簡単なものに変更しようとするものであるから、以下の説明では、緩停止装置12の構成を除き上記従来例の説明をそのまま援用する。
【0017】 図1に示すように、緩停止装置12は、停止信号出力手段11からの停止信号を受けとり差圧制御弁9のスプリング手段10のばね力を漸減させるばね力制御機構12で構成しいる。このばね力制御機構12は、ピストン−シリンダユニット13と、弁手段14とから構成している。
【0018】 ピストン−シリンダユニット13は、その圧力室13aに作用する油圧に応じた力を出力するようになっており、この出力でもって差圧制御弁9のスプリング手段10を弾圧付勢するよう、差圧制御弁9に取り付けている。
【0019】 前記弁手段14は、停止信号出力手段11からの停止信号により作動してピストン−シリンダユニット13の前記圧力室13aに作用する油圧を漸減させるものであり、この例では油圧原P、タンク油路7、および、前記圧力室13aとの間に介装され、電気信号によりその制御圧を任意に制御できる電磁式圧力制御弁で構成されたものが示されている。そして、停止信号出力手段11からの停止信号(電磁式比例圧力制御弁14をしてその制御圧を漸減させる傾向の漸減電気信号)でもって、この電磁式比例圧力制御弁14を制御するようにしている。
【0020】 弁手段14は、停止信号出力手段11から停止信号が出力されていないときには、ピストン−シリンダユニット13のピストンが最大伸長(機械的に規制される位置まで伸長)してスプリング手段10を弾圧付勢するに足る制御圧を、当該ピストン−シリンダユニット13の圧力室13aに作用させるようになっている。差圧制御弁9は、この状態では切換弁2により形成される絞り8の前後差圧を、所定の圧(油圧アクチュエータ3の駆動を切換弁2によって正常に制御できる圧であり、通常5〜6kgf/平方Cm)に維持するよう機能する。
【0021】 停止信号出力手段11からの停止信号(上記したように弁手段14…電磁式比例圧力制御弁14…の制御圧を漸減する電気信号)が弁手段14に入力されると、弁手段14は、ピストン−シリンダユニット13の圧油室13aへの制御圧を略零圧まで漸減(緩やかに減少)させる。これに応じて、差圧制御弁9による保証圧たる切換弁2の絞り8の前後差圧が略零圧まで漸減する。その結果、切換弁2の絞り8を通過する油圧アクチュエータ3駆動用油圧が略零圧まで漸減するのである。このため、絞り8を流過する作動油量は漸減しアアクチュエータ3の駆動が緩やかに停止するのである。なお、この実施例の場合油圧アクチュエータ3は、慣性力の大きな移動式クレーンAのブームA1を旋回駆動するものであるので、制御油路6,6に配置されたカウンターバランス弁15,15との共同作用で油圧アクチュエータ3を緩やかに停止するようにしている。しかしながら、油圧アクチュエータ3が駆動する駆動部材の慣性力が小さい場合、すなわち、油圧アクチュエータ3を駆動を停止する際に駆動部材から油圧アクチュエータ3の駆動停止を阻害するような力が作用しない場合には、カウンターバランス弁15,15を設ける必要はない。
【0022】 なお、上記の実施例では、緩停止装置12における弁手段14を電磁式圧力制御弁で構成すると共に、停止信号出力手段11が出力する停止信号を、電磁式圧力制御弁14をしてその制御圧を漸減させる傾向の漸減電気信号にしたものとして説明したが、本発明に請求項1および請求項2に係る緩停止装置は、このようなものに限定されるものではない。例えば、緩停止装置12における弁手段14を、油圧原Pと圧油室13aを連通する第1位置と、タンク油路7と油圧室13aを連通する第2位置とを備えた電磁切換弁手段であって、第2位置に切り換えられた状態では圧油室13a側からタンク油路7への作動油の流れに対して絞り機能を持つよう構成した電磁切換弁手段14で構成する一方、停止信号出力手段11を、その停止信号がオン・オフ電気信号として出力されるものに構成し、前記電磁切換弁手段14を、常時は前記第1位置にオフセットしておき、これを停止信号出力手段11から出力される停止信号(オン・オフ電気信号)で第2位置に切り換えるようにしても良い。
【0023】 このようにした場合であっても、停止信号出力手段11からの停止信号(オン・オフ電気信号)により弁手段(電磁切換弁手段)14が二位置に切り換えられると、弁手段(電磁切換弁)14を経て圧油室13aから作動油が徐々に抜かれる。その結果、ピストン−シリンダユニット13の圧油室13aへの制御圧を略零圧まで漸減(緩やかに減少)し、上記の実施例と同様に油圧アクチュエータ3が緩やかに自動停止するのである。
【0024】
【効果】 以上のように構成し作用する本発明に係る油圧アクチュエータの緩停止装置は、油圧アクチュエータの駆動用の油圧制御回路に装備されている差圧制御弁9を利用して構造簡単な緩停止装置を提供することができるのである。
【出願人】 【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
【出願日】 平成11年4月6日(1999.4.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−291602(P2000−291602A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−98515