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【発明の名称】 油空圧変換増圧機の給油構造
【発明者】 【氏名】大貫 一美

【要約】 【課題】油補給をしながらの増圧ロッドの戻り移動速度を速くすること、無効ストロークを無くすこと、増圧ロッドの先端がパッキンから外れて移動する行程を無くして、パッキンの摩耗・損傷などの低減と増圧ロッド先端の精密加工を不要とすること、空気抜き性を良くすること。

【解決手段】給油通路7の開口端7aを、ロッド貫通孔5と増圧ロッドとの間をシールするパッキンよりも油圧シリンダ2側に設け、給油通路7の途中に、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押し開かれる制御弁22を内蔵する。パッキンの設置位置は、増圧ロッド4が最大限に後退してもその先端が該パッキンから外れない位置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】空気圧シリンダと油圧シリンダとをロッドカバーにより直結し、空気圧ピストンに突設された増圧ロッドをロッドカバーのロッド貫通孔に貫通させ、これらロッド貫通孔と増圧ロッドとの間をパッキンでシールして増圧ロッドを油圧シリンダ中に突入させることにより、空気圧を油圧に増圧変換するとともに、油タンク内の油を、ロッドカバーに設けられた給油通路を通じて油圧シリンダ内に補給する油空圧変換増圧機において、前記給油通路の開口端を前記パッキンよりも油圧シリンダ側に設け、給油通路の途中に、前記空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押し開かれる制御弁を内蔵したことを特徴とする油空圧変換増圧機の給油構造。
【請求項2】ロッド貫通孔と増圧ロッドとの間をシールするパッキンの設置位置を、増圧ロッドが最大限に後退してもその先端が該パッキンから外れない位置としたことを特徴とする請求項1記載の油空圧変換増圧機の給油構造。
【請求項3】制御弁が、油タンク側から油圧シリンダ側への油の流れは許容し、その逆は閉塞する逆止弁と、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押動されて逆止弁を押し開くパイロット弁とからなる請求項1又は2記載の油空圧変換増圧機の給油構造。
【請求項4】制御弁に戻し空気圧を供給する空気圧通路を、戻し空気圧を供給するためロッドカバーに設けられたロッド側ポートから分岐させてロッドカバーに設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の油空圧変換増圧機の給油構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油空圧変換増圧機の給油構造に関する。詳しくは、空気圧シリンダと油圧シリンダとをロッドカバーにより直結し、空気圧ピストンに突設された増圧ロッドをロッドカバーのロッド貫通孔に貫通させ、これらロッド貫通孔と増圧ロッドとの間をパッキンでシールして増圧ロッドを油圧シリンダ中に突入させることにより、空気圧を油圧に増圧変換する油空圧変換増圧機において、油タンク内の油を、ロッドカバーに設けられた給油通路を通じて油圧シリンダ内に補給する給油構造の改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】図4及び図5に、この種の油空圧変換増圧機における従来の給油構造を示す。空気圧シリンダ1とこれよりも小径の油圧シリンダ2とは、ロッドカバー3により直結され、空気圧ピストン(図示せず)に突設された増圧ロッド4は、ロッドカバー3のロッド貫通孔5を貫通して油圧シリンダ2中に突入し、油圧シリンダ2内の油を加圧する。空気圧シリンダ1上に搭載された油タンク6と油圧シリンダ2とは、ロッドカバー3に設けられた給油通路7を介して連通する。この給油通路7の開口端7aは、油圧シリンダ2の内周面の後端に設置されたパッキン8よりも空気圧シリンダ1側にあるため、油タンク6から油圧シリンダ2へ油が補給されるのは、図4に示すように、増圧ロッド4の先端4aがパッキン8より外れるところまで後退してからで、図5に示すように、増圧ロッド4の外周面がパッキン8に摺接して油圧シリンダ2中に突入している間は補給されない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため次のような問題点があった。
■ 増圧ロッド4の先端4aがパッキン8より外れたところを移動始点として、増圧ロッド4がパッキン8に接するところまで移動してシールが行われてから油増圧が開始するので、この間は無効ストロークLとなる。
【0004】■ 増圧ロッド4の先端4aがパッキン8より外れて離れるので、空気溜まりができ、空気抜き不良を起こしてしまう。
【0005】■ 増圧ロッド4の先端4aがパッキン8から外れたり、パッキン8を押して圧縮したりを繰り返すため、増圧ロッド4の先端角部の精密加工精度が必要であり、その精度を高めても、パッキン8のねじれや摩耗や切れ等の懸念がある。
【0006】■ 油圧シリンダ2から出力される油圧で作動する締付金具等のアクチュエータの戻り速度は、基本的に増圧ロッド4の移動速度に依存しており、アクチュエータ側で油漏れがあった場合、その損失分の油が、戻し行程時にパッキン8を越えて補給されなければ増圧ロッド4が戻らないが、増圧ロッド4の先端4aがパッキン8より外れるまで補給されないため、増圧ロッド4の戻り速度が遅くなる。また、アクチュエータが戻りを完了しても、増圧ロッド4が戻らないこともある。
【0007】本発明の目的は、従来のこのような問題点を解消すること、すなわち油補給をしながらの増圧ロッドの戻り移動速度を速くすること、無効ストロークを無くすこと、増圧ロッドの先端がパッキンから外れて移動する行程を無くして、パッキンの摩耗・損傷などの低減と増圧ロッド先端の精密加工を不要とすること、空気抜き性を良くすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、本発明は、空気圧シリンダ1と油圧シリンダ2とをロッドカバー3により直結し、空気圧ピストン1に突設された増圧ロッド4をロッドカバー3のロッド貫通孔5に貫通させ、これらロッド貫通孔5と増圧ロッド4との間をパッキン8でシールして増圧ロッド4を油圧シリンダ2中に突入させることにより、空気圧を油圧に増圧変換するとともに、油タンク6内の油を、ロッドカバー3に設けられた給油通路7を通じて油圧シリンダ2内に補給する油空圧変換増圧機において、給油通路7の開口端7aをパッキン8よりも油圧シリンダ2側に設け、給油通路7の途中に、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押し開かれる制御弁22を内蔵したことを特徴とする。
【0009】好ましい形態では、ロッド貫通孔5と増圧ロッド4との間をシールするパッキン8の設置位置は、増圧ロッド4が最大限に後退してもその先端が該パッキン8から外れない位置とする。
【0010】制御弁22は、油タンク6側から油圧シリンダ2側への油の流れは許容し、その逆は閉塞する逆止弁10と、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押動されて逆止弁10を押し開くパイロット弁14とからなる。
【0011】制御弁22に戻し空気圧を供給する空気圧通路20は、戻し空気圧を供給するためロッドカバー3に設けられたロッド側ポート18から分岐させてロッドカバー3に設ける。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0013】図1及び図2に示した本発明の実施例は、空気圧シリンダ1と油圧シリンダ2とがロッドカバー3により直結されていること、空気圧ピストン(図示せず)に突設された増圧ロッド4が、ロッドカバー3のロッド貫通孔5を貫通して油圧シリンダ2中に突入し、油圧シリンダ2内の油を加圧すること、空気圧シリンダ1上に搭載された油タンク6からの油が、ロッドカバー3に設けられた給油通路7を通じて油圧シリンダ2内に補給される基本的な構成では、上述した従来例と同じである。
【0014】上述した従来例では、パッキン8は、油圧シリンダ2の内周面の後端に設置され、給油通路7の開口端7aよりも油圧シリンダ2側にあったが、本発明では、パッキン8は、ロッド貫通孔5の中間に設置されて給油通路7の開口端7aよりも空気圧シリンダ1側にあり、増圧ロッド4が図1に示すように最大限に後退しても、その先端4aがパッキン8から外れないで、増圧ロッド4の外周面が常にパッキン8と接するようになっている。
【0015】給油通路7は、油タンク6からロッドカバー3内を下へ抜け、開口端7aでロッド貫通孔5に開口している。給油通路7の途中には逆止弁10が内蔵されている。この逆止弁10は、鋼球を弁体11としてこれをスプリング12で円錐形の弁座13に下側から圧接させることにより、油圧シリンダ2側から油タンク6側への油の流れを閉塞する。
【0016】また、ロッドカバー3には、逆止弁10よりも上側にパイロット弁14が内蔵されている。パイロット弁14は、小ピストン15を小ピストン室16内に上下摺動自在に嵌装し、スプリング17で小ピストン15を上方へ付勢したものである。
【0017】戻し空気圧を供給するためロッドカバー3に設けられているロッド側ポート18からは、空気圧シリンダ1の片側のピストン室1B内へ至る空気圧通路19の他に、パイロット弁14のための空気圧通路20が上側へ分岐して、小ピストン室16の上面に開口している。この空気圧通路20を通じて戻し空気圧が小ピストン室16内に入り、小ピストン15を押し下げることにより、該小ピストン15のピストンロッド21が逆止弁10の弁体11を押し開く構造となっている。これが開くと、油タンク6内の油が油圧シリンダ2内に補給されるので、逆止弁10とパイロット弁14とは、油補給を制御する制御弁22を構成していることになる。
【0018】従って、制御弁22は、図3の回路例のようにパイロット型の2位置弁として表すことができる。なお、制御弁22としては、このような記号で表せるものであればよく、図2に示すような構造に限らない。例えば、ポペット型の2位置弁でもよい。図3において、23は、空気圧シリンダ1の両側のピストン室1A・1Bへの空気圧の給排を切り換える切換弁、24は、油圧シリンダ2から出力される油圧で作動するアクチュエータである。
【0019】図1の状態から、空気圧シリンダ1のピストン室1Aに空気圧が供給されると、増圧ロッド4が油圧シリンダ2中に突入していき、油圧シリンダ2内の油が加圧されてアクチュエータ24へ供給される。このときは、逆止弁10は閉じているため、油タンク6からの油は油圧シリンダ2へ補給されない。また、パイロット弁14へ通ずる空気圧通路20は、ロッド側ポート18から分岐していて、空気圧シリンダ1のピストン室1Bに直ぐには通じていないので、このピストン室1Bにおける排圧によってパイロット弁14が誤動作することはない。
【0020】逆に、ロッド側ポート18から戻し空気圧が供給されると、増圧ロッド4が後退するとともに、戻し空気圧によってパイロット弁14が逆止弁10を開くので、油タンク6からの油が、給油通路7を通ってパッキン8に遮られることなく油圧シリンダ2内に直ぐに補給される。従って、増圧ロッド4の後退移動速度よりも速くアクチュエータ24を復帰動作させることができる。
【0021】給油通路7の開口端7aは、パッキン8よりも油圧シリンダ2側にあって、そこから給油通路7がロッドカバー3を上に抜けているので、空気溜まりが出来なく、たとえ出来たとしても空気抜きは良好に行われる。また、増圧ロッド4の先端4aは、パッキン8を越えてそれより外れないので、増圧ロッド4の無効ストロークは無く、増圧ロッド4の全ストロークが有効な増圧ストロークとなる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果がある。
■ 給油通路の開口端をパッキンよりも油圧シリンダ側に設け、給油通路の途中に、空気圧ピストンを後退させる際の戻し空気圧で押し開かれる制御弁を内蔵したので、戻り行程においては、油タンクからの油が、パッキンに遮られることなく油圧シリンダ内に直ぐに補給されるため、増圧ロッドの後退移動速度よりも速くアクチュエータを復帰動作させることができ、アクチュエータによる作業サイクルのスピードアップが図れる。
【0023】■ 増圧ロッドの先端がパッキンより外れて移動する行程がないので、パッキンの摩耗・損傷などを低減できるとともに、増圧ロッド先端の精密加工が不要となる。
■ 増圧ロッドの無効ストロークが無く、増圧ロッドの全ストロークが有効な増圧ストロークとなる。
【0024】■ 給油通路の開口端はパッキンよりも油圧シリンダ側にあり、しかも増圧ロッドは常にパッキンと接しているので、空気溜まりが出来なく、たとえ出来たとしても空気抜き性が良い。
【0025】■ 制御弁に戻し空気圧を供給する空気圧通路を、戻し空気圧を供給するためロッドカバーに設けられたロッド側ポートから分岐させてロッドカバーに設ければ、増圧行程中における制御弁の誤動作を回避できる。
【出願人】 【識別番号】000204240
【氏名又は名称】太陽鉄工株式会社
【出願日】 平成10年7月9日(1998.7.9)
【代理人】 【識別番号】100062476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 信市
【公開番号】 特開2000−27802(P2000−27802A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−194769