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【発明の名称】 |
スプライスプレート及び梁継ぎ手構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】加村 久哉 【氏名】伊藤 茂樹 【氏名】形山 忠輝 【氏名】植木 卓也 |
【課題】主要構造部材である梁を塑性化させないようにして地震時に補修を容易にする梁継ぎ手部材及び梁継ぎ手構造を得ること。
【解決手段】鋼柱10に設けられたH形ブラケット11のフランジ11a、11bと梁12のフランジ12a,12bとを接合するスプライスプレート1であって、該スプライスプレート1の中央部分を細首化した塑性化部12を形成してなるものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼柱に設けられたブラケットのフランジと梁のフランジとを接合するスプライスプレートであって、該スプライスプレートの略中央部分に塑性化部を形成してなることを特徴とするスプライスプレート。 【請求項2】 上記塑性化部はスプライスプレートの略中央部分を細首化して形成されていることを特徴とする請求項1記載のスプライスプレート。 【請求項3】 上記塑性化部はスプライスプレートの略中央部分が両側部分より降伏点が低い鋼材で形成されてなることを特徴とする請求項1記載のスプライスプレート。 【請求項4】 上記スプライスプレートは上記塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備することを特徴とする請求項1、2又は3記載のスプライスプレート。 【請求項5】 鋼柱に設けたブラケットに梁のフランジを略中央部分に塑性化部を具備するスプライスプレートを介して固定手段により接合したことをことを特徴とする梁継ぎ手構造。 【請求項6】 上記スプライスプレートは上記塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備することを特徴とする請求項5記載の梁継ぎ手構造。 【請求項7】 上記スプライスプレートと上記固定手段との間に添え板を介在させたことを特徴とする請求項5記載の梁継ぎ手構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は梁継ぎ手部材及び梁継ぎ手構造、特に柱−梁継ぎ手部において、梁端の破断を防止し、構造物の減衰を有効に付加するようにしたものに関する。 【0002】 【従来の技術】現在の建築耐震設計法においては、中小地震時には弾性限内に止まるように、大地震時には主に梁端部の塑性化によって地震入力エネルギーを吸収し、倒壊を防ぐ設計を行う。一方、柱及び梁の仕口部(梁端部)及び継ぎ手部は、保有水平耐力時(メカニズム形成時、倒壊するまでの最高耐力)に作用する力を安全に伝達し、また、そこに塑性化が想定される場合には、想定した塑性変形を生じるまで破断しないように設計しなければならない。従って、梁継ぎ手部は塑性化が想定される梁端部(柱からスパンの1/10又は梁せいの2倍の距離の範囲、即ち通常1m〜1.2mの範囲)を避けて設けられる。また、塑性化が想定される場所に梁継ぎ手分を設けざるを得ない場合は、安全率α(1.2〜1.3)を乗じた力(曲げ及びせん断)に対して、継ぎ手部が破断しないよう設計する。 【0003】図13は従来の梁継ぎ手部構造を示す斜視図である。図13に示す従来の梁継ぎ手部構造は、H形鋼柱21の強軸方向にの接合部に梁22が溶接により剛接合され、弱軸方向の接合部に梁22が梁継手23により剛接合された場合である。図14は特開平10−159176号公報に示されるもう1つの従来の梁継ぎ手部構造を示す斜視図である。図14に示すもう1つの従来の梁継ぎ手部構造は、梁端が破断しないように梁端に工夫を凝らした例で、H型鋼梁26の端部に形成された仕口27は溶接28とボルト29により箱形支柱25に接続され、H型鋼梁26のフランジ部材26a,26bのいずれか一方は不均一なテーパを有し、幅を小さくした部位に損傷を集中させるとともに、梁端の応力をある程度に押さえようとするものである。 【0004】図15は特開平6−341246号公報に示される別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造を示す斜視図である。図15に示す別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造は、梁端部に極軟鋼を用いて梁端部の曲げモーメントの大きい部分を高強度材と低強度材を重ね合わせて一体化した例で、低降伏応力鋼材33に開孔34または35を設け、低降伏応力鋼材33の外周部および開孔34または35を、構造材36に溶接して低降伏応力鋼材33と構造材36とを一体化することにより複合鋼材を構成し、その複合構造材を柱31と梁32の接合部等に用いたものである。これ以外に梁端部に極軟鋼を用いた例としては、特開平3−233083号公報及び文献1『「鋼構造骨組の極低降伏点鋼による履歴エネルギー吸収特性に関する実験的研究(p1441〜p1443)」−日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)、[1992年8月発行]』に記載のものがある。 【0005】さらに、図16は文献2『「部材端取付方式履歴ダンパーの実用化に関する研究(p703〜p706)」−日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)、[1997年3月発行]』に示されるさらに別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造を示す斜視図である。図16に示す別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造は、柱−梁接合部41の隅各部に三角形状のダンパー42を配置することにより、低強度材の塑性変形によってエネルギーを吸収し、減衰を付与するものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】図13に示す従来の梁継ぎ手部構造は、梁継ぎ手部の破断は防止できるが、梁継ぎ手部より応力の大きくなる梁端部の破断は防止できない。というのは、この梁端部の部分はスカラップ等があり応力集中しやすいからである。また、溶接条件によっては、溶接欠陥、材質劣化等が生じ易い。兵庫県南部地震では梁端溶接部の破断が多く発生した。さらに、溶接部が健全で大地震に耐えたとしても、梁端部に塑性化が生じる。このように、地震により梁端部が破断したり、梁端部に塑性化が生じたときには梁を交換する必要が生じ、補修に多大なコストと手間がかかるという問題があった。 【0007】図14に示す特開平10−159176号公報に示されるもう1つの従来の梁継ぎ手部構造は、母材であるH型鋼梁のフランジ部を切り欠いているため、耐力のみならず剛性も低下してしまう。また、断面性能を切り欠いて低下させるために、不経済となる。さらに、地震時に切り欠いている部分が集中的に塑性化するため、その部分の靱性や伸び能力が要求され、品質の高い鋼材であることが求められ、不経済である。また、地震後の補修も梁母材が塑性化するために切断、再接合行わなければならず、支保工も必要であり、困難であるという問題があった。 【0008】また、図15の特開平6−341246号公報に示される別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造(特開平3−233083号公報及び文献)1及び図16の文献2に示されるさらに別のもう1つの従来の梁継ぎ手部構造は、梁端部にエネルギーを吸収する部材を設けるタイプの例で、主要構造と低強度材又はダンパーの歪みの差が小さく、効率よくエネルギーを吸収できないという欠点があった。さらに、図16の文献2に示されるものは、効率よくエネルギーを吸収させるためには、主要構造の梁フランジとの距離を大きくしなければならず、ダンパーが大型化してしまう。また、梁のみならず柱にも接合しなければならず、特に柱が角形鋼管などの閉断面材の場合は接合が困難であるという問題があった。 【0009】本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、主要構造部材である梁を塑性化させないようにして地震時に補修を容易にする梁継ぎ手部材及び梁継ぎ手構造を得ることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1のスプライスプレートは、鋼柱に設けられたブラケットのフランジと梁のフランジとを接合するスプライスプレートであって、該スプライスプレートの略中央部分に塑性化部を形成してなるものである。 【0011】本発明の請求項2のスプライスプレートの塑性化部はその略中央部分を細首化して形成されている。 【0012】本発明の請求項3のスプライスプレートの塑性化部はその略中央部分が両側部分より降伏点が低い鋼材で形成されてなるものである。 【0013】本発明の請求項4のスプライスプレートは、塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備するものである。 【0014】本発明の請求項5の梁継ぎ手構造は、鋼柱に設けたブラケットに梁のフランジを略中央部分に塑性化部を具備するスプライスプレートを介して固定手段により接合したものである。 【0015】本発明の請求項6の梁継ぎ手構造のスプライスプレートは塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備する。 【0016】本発明の請求項7の梁継ぎ手構造は、スプライスプレートと固定手段との間に添え板を介在させたものである。 【0017】本発明の請求項1においては、鋼柱に設けられたブラケットのフランジと梁のフランジとを接合するスプライスプレートであって、該スプライスプレートの略中央部分に塑性化部を形成してなるから、従来の同一断面で形成されたスライスプレートでは梁継ぎ手部材として用いられた場合にボルト穴の断面欠損部で塑性化が進行し、局部的に歪みが集中するため、破断し易くなり、スプライスプレートの取り替えが頻繁になり、さらにスプライスが塑性化すると、板厚がやせ、ボルトの導入軸力が減少し、摩擦力が小さくなるため、ボルトが滑るという問題があるのに対し、略中央部分に形成した塑性化部が歪みを塑性疲労特性に支障のない範囲に押さえることができため、塑性化が進行し、局部的に歪みが集中することはなくなり、破断しにくくなり、スプライスプレートの取り替えも頻繁ではなくなった。 【0018】本発明の請求項2においては、スプライスプレートの塑性化部はその略中央部分を細首化して形成されているから、スプライスプレートを切削加工するだけで塑性化部を簡単に形成することができる。 【0019】本発明の請求項3においては、スプライスプレートの塑性化部はその略中央部分が両側部分より降伏点が低い鋼材で形成されてなるから、略中央部分に細首化した塑性化部を形成したものに比べて常時荷重時の剛性を大きくすることができ、しかも延び能力が大きいためにダンパーとしても有効である。 【0020】本発明の請求項4においては、スプライスプレートは塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備するから、塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには補剛リブがスプライスプレートが面外座屈するのを抑制する。 【0021】本発明の請求項5においては、梁継ぎ手構造が鋼柱に設けたブラケットに梁のフランジを略中央部分に塑性化部を具備するスプライスプレートを介して固定手段により接合したものであるから、スプライスプレートの塑性化部が母材である梁に先行して塑性化するため、スプライスプレートのみを交換すればよく、母材が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽である。 【0022】本発明の請求項6においては、梁継ぎ手構造のスプライスプレートは塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備するから、塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには補剛リブがスプライスプレートが面外座屈するのを抑制する。 【0023】本発明の請求項7においては、梁継ぎ手構造のスプライスプレートと固定手段との間に添え板を介在させたから、固定手段による押さえによる局部応力を分散し、さらに塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには添え板がスプライスプレートが面外座屈するのを抑制する。 【0024】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1の梁継ぎ手部材を示す斜視図である。図において、1は普通鋼からなる長方形の梁継ぎ手部材であるスプライスプレート、2はスプライスプレート1の中央部分に両側よりテーパーを持たせ細首化して形成された塑性化部、3はスプライスプレート11に設けられた複数のボルト穴である。このスプライスプレート1は中央部分に両側よりテーパーを持たせ細首化して塑性化部2が形成されているから、中央部分がそれ以外のボルトをしめる摩擦接合部に比較して断面積が小さくなっている。このスプライスプレート1の中央部分と摩擦接合部との断面積比は、ボルト穴3の欠損を考慮し、さらに塑性化部2の降伏比を考慮して塑性化が摩擦接合部に広がらないように決定される。塑性化部2の長さは、最大梁の回転を考慮し、スプライスプレート1の歪み量である10%特に望ましくは5%を越えない範囲とする。 【0025】図13などに示される従来の同一断面で形成された梁継手であるスライスプレートが梁継ぎ手部材として用いられた場合にボルト穴の断面欠損部で塑性化が進行し、局部的に歪みが集中するため、破断し易くなり、梁継手の取り替えが頻繁になり、さらにスプライスが塑性化すると、板厚がやせ、ボルトの導入軸力が減少し、摩擦力が小さくなるため、ボルトが滑るという問題があった。これに対し、本発明の実施の形態1の梁継ぎ手部材であるスプライスプレート1は、中央部分にテーパーを持たせ細首化して形成された塑性化部2が歪みを塑性疲労特性に支障のない範囲に押さえることができため、塑性化が進行し、局部的に歪みが集中することはなくなり、破断しにくくなり、スプライスプレート1の取り替えも頻繁ではなくなった。 【0026】実施の形態2.図2は本発明の実施形態2の梁継ぎ手部材を示す斜視図である。図において、1は普通鋼からなる長方形の梁継ぎ手部材であるスプライスプレート、3はスプライスプレート1に設けられた複数のボルト穴、4はスプライスプレート1の中央部分に低降伏点鋼で形成された塑性化部である。塑性化部4を形成する低降伏点鋼としては強度の低い鋼材、例えば、LY100、LY160、LY235などが用いられる。この場合、スプライスプレート1の中央部分以外は普通鋼で形成され、塑性化部4となる中央部分が低降伏点鋼で形成され、両者が溶接などにより接合される。 【0027】このスプライスプレート1の低降伏点鋼で形成された塑性化部4である中央部分と摩擦接合部との断面積比も、実施の形態1の梁継ぎ手部材と同様に、ボルト穴3の欠損を考慮し、さらに塑性化部4の降伏比を考慮して塑性化が摩擦接合部に広がらないように決定される。この実施の形態2の梁継ぎ手部材の場合は、中央部分と摩擦接合部との断面積比を大きくできるので、継ぎ手部材の剛性を大きくすることができる。塑性化部4の長さは、最大梁の回転を考慮し、スプライスプレート1の歪み量である20%望ましくは10%を越えない範囲とする。(一様伸びが普通鋼で20%、低降伏鋼で40%程度であるため、この1/2を越えないこと、塑性疲労を考慮するとさらにその1/2が望ましい) 【0028】本発明の実施の形態2の梁継ぎ手部材であるスプライスプレート1は、中央部分に低降伏点鋼で形成された塑性化部4が歪みを塑性疲労特性に支障のない範囲に押さえることができため、塑性化が進行し、局部的に歪みが集中することはなくなり、破断しにくくなり、スプライスプレート1の取り替えも頻繁ではなくなった。また、本発明の実施の形態2の梁継ぎ手部材は、実施の形態1の略中央部分にテーパーを持たせ細首化した塑性化部2を形成したものに比べて常時荷重時の剛性を大きくすることができ、しかも延び能力が大きいためにダンパーとしても有効である。なお、この実施の形態2の梁継ぎ手部材の塑性化部4は中央部分が低降伏点鋼で形成されているが、中央部分が両側部分より降伏点が低い鋼材で形成された場合も、本発明が適用されることはいうまでもない。 【0029】なお、図3は本発明の実施の形態2の梁継ぎ手部材の変型例を示す。この変型例はスプライスプレート1の中央部分の低降伏点鋼で形成された塑性化部4の幅が、スプライスプレート1の両端側の幅より広いものである。また、図4は本発明の実施の形態2の梁継ぎ手部材の別の変型例を示す。この変型例はスプライスプレート1の中央部分の低降伏点鋼で形成された塑性化部4の幅が、スプライスプレート1の両端側の幅より狭いものである。いずれ変型例も本発明の実施の形態2の梁継ぎ手部材と同様の作用効果を有するものである。 【0030】実施の形態3.図5は本発明の実施形態3の梁継ぎ手部材を示す斜視図である。この実施の形態3のスプライスプレート1はその一表面の幅方向中心位置に細首化した塑性化部2の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する2個の補剛リブ5を具備する。この2個の補剛リブ5はスプライスプレート1の中央部分に隙間があくように間隔を置いて配置されている。この隙間は梁継ぎ手部の回転によってスプライスプレート1の塑性化部2の伸縮を吸収できるようにしたものである。 【0031】この2個の補剛リブ5は、細首化した塑性化部2が塑性化して剛性を失ったときにはスプライスプレート1が面外座屈するのを抑制する。この実施の形態3では補剛リブ5は2個具備しているが、1個でもよく、また設けられる位置も限定されるものではない。更に、補剛リブ5を具備するスプライスプレート1は細首化した塑性化部2を有するものであるが、低降伏点鋼で形成された塑性化部4を有するものであってもよいことは勿論である。 【0032】実施の形態4.図6は本発明の実施形態4の梁継ぎ手部材を示す斜視図である。この実施の形態4では、細首化した塑性化部2を有するスプライスプレート1に2個の添え板6をあてがうようにしたものである。7は添え板6に設けられた複数のボルト穴である。後述するようにスプライスプレート1と固定手段であるボルトとの間に添え板6を介在させることにより、ボルトの押さえによる局部応力を添え板6で分散し、さらに塑性化部2が塑性化して剛性を失ったときには添え板6がスプライスプレート1の面外座屈を抑制する。また、2個の添え板6はスプライスプレート1の中央部分で隙間があくように配置されている。この隙間は梁継ぎ手部の回転によってスプライスプレート1の塑性化部2の伸縮を吸収できるようにしたものである。この実施の形態4ではスプライスプレート1は細首化した塑性化部2を有するものであるが、低降伏点鋼で形成された塑性化部4を有するものであってもよいことは勿論である。 【0033】実施の形態5.図7は本発明の実施の形態5の梁継ぎ手構造を示す断面図である。この実施の形態5は、鋼柱10に接合されたH形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bに梁12の上下フランジ12a、12bをそれぞれ中央部分に塑性化部2又は4が形成されたスプライスプレート1を介して固定手段であるボルト13とナット14により接合したものである。また、H形ブラケット11のウエブ部11cと梁12のウエブ12cとが連結板15を介してボルト13とナット14で連結されている。このとき、H形ブラケット11の上下フランジ部11a、11b及びウエブ部11cと梁12の上下フランジ12a、12b及びウエブ12cとの間に隙間があけられている。この隙間は梁継ぎ手部の回転によってスプライスプレート1の塑性化部2の伸縮を吸収できるようにしたものである。 【0034】このように構成された本発明の実施形態5の梁継ぎ手構造では、鋼柱10に設けたH形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bに梁12の上下フランジ12a、12bを中央部分に塑性化部2又は4を具備するスプライスプレート1を介して固定手段であるボルト13とナット14により接合したものであるから、大地震時にはスプライスプレート1の塑性化部2又は4が母材である梁12に先行して塑性化する。従って、塑性化したスプライスプレート1のみを交換すればよく、母材の梁12が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽である。 【0035】実施の形態6.図8は本発明の実施形態6の梁継ぎ手構造を示す断面図である。この実施の形態6で、実施の形態5と異なるところは、補剛リブ5を具備したスプライスプレート1を用いること、H形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bと梁12の上下フランジ12a、12bのそれぞれに対して2枚のスプライスプレート1を用いて接合したことである。それ以外の構成は実施の形態5と同様である。この実施形態6の梁継ぎ手構造も、実施の形態5と同様に、大地震時にはスプライスプレート1の塑性化部2又は4が母材である梁に先行して塑性化し、その場合には塑性化したスプライスプレート1のみを交換すればよく、母材の梁12が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽である。また、2枚のスプライスプレート1を用いることにより、H形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bと梁12の上下フランジ12a、12bとの接合の剛性が高まり、各スプライスプレート1が補剛リブ5を具備することにより、塑性化部2又は4が塑性化して剛性を失ったときにはスプライスプレート1が面外座屈するのを抑制する。 【0036】実施の形態7.図9は本発明の実施の形態7の梁継ぎ手構造を示す断面図である。この実施の形態7で、実施の形態5と異なるところは、H形ブラケット20の上下フランジ部と梁の上下フランジのそれぞれに対して2枚のスプライスプレート11を用い、さらにスプライスプレート11と固定手段であるボルトとの間に一対の添え板を介在させたことである。それ以外の構成は実施の形態5と同様である。この実施形態7の梁継ぎ手構造も、実施の形態5と同様に、大地震時にはスプライスプレート1の塑性化部2又は4が母材である梁12に先行して塑性化し、その場合には塑性化したスプライスプレート1のみを交換すればよく、母材の梁12が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽である。また、2枚のスプライスプレート1を用いることにより、H形ブラケット11のフランジ部11a、11bと梁12の上下フランジ12a、12bとの接合の剛性が高まった。さらに、スプライスプレート1と固定手段であるボルト13との間に一対の添え板6を介在させたことにより、ボルト13の押さえによる局部応力を添え板6で分散し、さらに塑性化部2が塑性化して剛性を失ったときには添え板6がスプライスプレート1が面外座屈するのを抑制する。 【0037】実施の形態8.図10は本発明の実施の形態8の梁継ぎ手構造を示す断面図である。この実施の形態8で、実施の形態5と異なるところは、H形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bと梁12の上下フランジ12a、12bのそれぞれに対して2枚のスプライスプレート1を用い、さらにH形ブラケット11と梁12の外側に位置するスプライスプレート1については補剛リブ5を具備したものであり、H形ブラケット11と梁12の内側に位置するスプライスプレート1についてはスプライスプレート1と固定手段であるボルト13との間に一対の添え板6を介在させたことである。それ以外の構成は実施の形態5と同様である。 【0038】この実施の形態8の梁継ぎ手構造も、実施の形態5と同様に、大地震時にはスプライスプレート1の塑性化部2又は4が母材である梁12に先行して塑性化し、その場合には塑性化したスプライスプレート1のみを交換すればよく、母材の梁12が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽である。また、2枚のスプライスプレート1を用いることにより、H形ブラケット11の上下フランジ部11a、11bと梁12の上下フランジ12a、12bとの接合の剛性が高まった。さらに、この実施の形態8は実施の形態6、7に比べて施工性が良く、現実的なものである。 【0039】この図10の実施の形態8の梁継ぎ手構造で、スプライスプレート1の塑性化部2がLY235の低降伏点鋼で、板厚12mm、断面積比が07の場合、図11の柱と梁の十字形試験体について、図12に示す試験結果である柱と梁の荷重−変位関係を示す線図を見ると、実線で示すように荷重に対する変形が小さく、梁12の耐力に拘わらず、梁12の塑性耐力以下でスプライスプレート1の塑性化部2が降伏し、梁の塑性化を防止できた。また、図7の実施の形態5の梁継ぎ手構造で、スプライスプレート1の塑性化部2がLY235の低降伏点鋼で、板厚12mm、断面積比が07の場合、図11の柱と梁の十字形試験体について、図12に示す試験結果である柱と梁の荷重−変位関係を示す線図を見ると、破線で示すように荷重に対する変形が大きく、最大変形近傍でスプライス1の塑性化部2の面外座屈が発生し、耐力低下が生じ、塑性化部2が形成されたスプライスプレート1の取り替えが必要になる。なお、従来の梁継ぎ手構造で、通常の普通鋼で形成されたスプライスプレートの場合、耐力は実施の形態5と同様であるが、最大変形近傍でボルトの滑り、3回目の繰り返しでスプライスプレートが破断した。 【0040】 【発明の効果】以上のように本発明の請求項1によれば、鋼柱に設けられたブラケットのフランジと梁のフランジとを接合するスプライスプレートであって、該スプライスプレートの略中央部分に塑性化部を形成してなるから、従来の同一断面で形成されたスライスプレートでは梁継ぎ手部材として用いられた場合にボルト穴の断面欠損部で塑性化が進行し、局部的に歪みが集中するため、破断し易くなり、スプライスプレートの取り替えが頻繁になり、さらにスプライスが塑性化すると、板厚がやせ、ボルトの導入軸力が減少し、摩擦力が小さくなるため、ボルトが滑るという問題があるに対し、略中央部分に形成した塑性化部が歪みを塑性疲労特性に支障のない範囲に押さえることができため、塑性化が進行し、局部的に歪みが集中することはなくなり、破断しにくくなり、スプライスプレートの取り替えも頻繁ではなくなるという効果がある。 【0041】本発明の請求項2によれば、スプライスプレートの塑性化部はその略中央部分を細首化して形成されているから、スプライスプレートを切削加工するだけで塑性化部を簡単に形成することができるという効果がある。 【0042】本発明の請求項3によれば、スプライスプレートの塑性化部はその略中央部分が両側部分より降伏点が低い鋼材で形成されてなるから、略中央部分に細首化した塑性化部を形成したものに比べて常時荷重時の剛性を大きくすることができ、しかも延び能力が大きいためにダンパーとしても有効であるという効果がある。 【0043】本発明の請求項4によれば、スプライスプレートは塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備するから、塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには補剛リブがスプライスプレートが面外座屈するのを抑制するという効果がある。 【0044】本発明の請求項5によれば、梁継ぎ手構造が鋼柱に設けたブラケットに梁のフランジを略中央部分に塑性化部を具備するスプライスプレートを介して固定手段により接合したものであるから、スプライスプレートの塑性化部が母材である梁に先行して塑性化するため、スプライスプレートのみを交換すればよく、母材が塑性化する場合に比べて支保工も不要で補修が容易で経済的にも楽であるという効果がある。 【0045】本発明の請求項6によれば、梁継ぎ手構造のスプライスプレートは塑性化部の塑性変形を許容し、かつ面外変形を抑制する補剛リブを具備するから、塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには補剛リブがスプライスプレートが面外座屈するのを抑制するという効果がある。 【0046】本発明の請求項7によれば、梁継ぎ手構造のスプライスプレートと固定手段との間に添え板を介在させたから、固定手段による押さえによる局部応力を分散し、さらに塑性化部が塑性化して剛性を失ったときには添え板がスプライスプレートが面外座屈するのを抑制するという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月5日(1998.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100061273 【弁理士】 【氏名又は名称】佐々木 宗治 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−144901(P2000−144901A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−314235 |
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