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【発明の名称】 プレストレスト鉄筋コンクリート杭の靭性向上方法
【発明者】 【氏名】青島 一樹

【氏名】真島 正人

【要約】 【課題】杭基礎構造物用のPRC杭の靭性を低コストで向上させ、掘削残土の低減効果も期待できるPRC杭の靭性向上方法の提供を課題とする。

【解決手段】地盤1中の所定の深度まで(支持層2に達するまで)掘削した杭穴7への建て込みの終了したPRC杭8の中空部に、掘削時に発生した掘削残土4の所定量と、所定の強度を得るための所定量の土壌固化材10とを混合容器9中で混合・攪拌して製作した充填材11を、天端まで充填して固化させることを解決手段とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 杭基礎構造物用のプレストレスト鉄筋コンクリート杭の靭性向上方法であって、地盤中の所定の深度まで配設したプレストレスト鉄筋コンクリート杭の中空部に、杭の施工時に発生する土砂と所定量の土壌固化材を混合してなる充填材を充填し、該充填材を固化させることを特徴としたプレストレスト鉄筋コンクリート杭の靭性向上方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、杭基礎構造物用のプレストレスト鉄筋コンクリート杭(以後、PRC杭と称する)の靭性向上方法に関する。
【0002】
【従来の技術】兵庫県南部地震を始めとする過去の地震において、構造物を支持する既製コンクリート杭(以後PC杭、PHC杭と称する)の被害・破損が数多く報告されている。杭が破壊されると構造物の傾斜・沈下あるいは転倒などの大きな被害を生じ、その復旧には莫大な費用と工期が必要とされる。
【0003】PC杭、PHC杭に被害が集中した原因は、杭の剪断耐力と変形性能(靭性)不足によるものである。即ち、これらの杭は中空円筒形であるために剪断耐力を高めることが難しく、コンクリート強度に剪断耐力を期待・依存しており、最大剪断耐力に達すると脆性的に破壊する。
【0004】これらの問題点を解決するため、鋼管巻きの既製コンクリート杭(以後、SC杭と称する)が開発され、既に実用に供されている。SC杭は、曲げ耐力、剪断断耐力及び靭性等が高く、耐震性にすぐれているが、コストが極めて高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】PC杭、PHC杭より耐震性に優れ、SC杭より低コストの杭として主筋を囲むようにスパイラル筋を配筋した既製PRC杭が開発された。しかし、既製PRC杭では、剪断耐力は向上しても、依然として中空構造であるため靭性の向上は殆ど期待できない。中空部にコンクリートを充填すれば、既製PRC杭の剪断耐力、靭性を向上させることができるが、コストと手間が掛かる。
【0006】又、既製PRC杭の建て込み工程の施工方法として一般的なセメントミルク工法における施工手順は、図2を参照して説明すると以下のとおりである。
(1)地盤1をオーガ3で所定の深さ(支持層2に達する)まで掘削し、杭穴を形成する。この時、掘削残土4が生じる。
(2)根固め液5と杭周固定液6を杭穴7に注入しながら、オーガ3を引き上げる。
(3)PRC杭8を杭穴7に挿入し、最終軽打撃もしくは圧入して杭建て込みを完了する。
上記のようにして生じた掘削残土4は、産業廃棄物として処理しなければならず、その処理費用が工事コストを増大させるという問題がある。
【0007】本発明は、上記の従来の問題点を解消し、PRC杭の靭性を低コストで向上させることができるだけでなく、杭の施工時に発生する掘削残土の減少による産業廃棄物処理コストの低減効果も期待できるPRC杭の靭性向上方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の杭基礎構造物用PRC杭の靭性向上方法は、上記課題を解決するために、地盤中の所定の深度まで配設したPRC杭の中空部に、杭の施工時に発生する土砂と所定量の土壌固化材を混合してなる充填材を充填し、該充填材を固化させることを特徴としたものである。即ち、PRC杭の中空部に安価な充填材を充填して固化させることにより、PRC杭の靭性を低コストで向上させることができ、該充填材の構成材料に土砂(掘削残土)を用いることにより、掘削残土量の低減効果も期待できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のPRC杭の靭性向上方法の実施の形態を、添付の図を参照して、以下に説明する。本発明は、PRC杭を使用する杭基礎に適用可能であり、PRC杭の施工方法は、数多く提案されているが、一般的なセメントミルク工法における本発明方法の適用手順を図1に示す。
【0010】図1に示すように、本発明方法の適用手順は、以下のとおりである。
A.杭建て込み工程図2を参照して説明した前記従来の手順(1)〜(3)と同様であるので、重複説明を省略する.B.杭中空部充填工程■所定量の掘削残土4を混合容器9に入れ、所定の強度となるよう所定量の土壌固化材10を添加・攪拌・混合し、充填材11を作製する。
■充填材11を建て込みの終わったPRC杭8の中空部に杭天端まで充填し、養生し、固化させる。
【0011】上記本発明方法の実施の形態においては、建て込みの終わったPRC杭8の中空部を杭の施工時に発生する土砂(掘削残土)4と所定量の土壌固化材10を混合した充填材11を充填して、固化させ、充填材11とPRC杭8とを一体化させることによって非中空構造となり、靭性を低コストで向上させることができるだけでなく、杭の施工時に発生する掘削残土4の低減効果も期待できる。
【0012】本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、構成の要旨を逸脱しない範囲で、他の実施の形態を含むものである。即ち、使用する土壌固化材の種類、掘削残土と土壌固化材との混合・攪拌方法、充填材の充填方法等に制約はない。又、充填材の原料としては、原則として掘削残土を用いるが、打撃工法等掘削残土を生じない杭建て込み工法においては、掘削残土以外の適切な材料を使用してもよい。さらに又、上記の実施の形態においては、杭建て込み工程と杭中空部充填工程とを分けて示したが、攪拌翼を有するオーガを使用する中堀り工法など、杭穴内で充填材を作製できる場合には、同一工程としてもよい。
【0013】
【発明の効果】本発明のPRC杭の靭性向上方法は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)低コストで、PRC杭の剪断耐力と靭性を向上させる。
(2)PRC杭の降伏耐力を超えた状態でも、軸力の伝達能力を保持できる。
(3)掘削残土を減少できるため、産業廃棄物処理費用を削減でき、環境保護問題の解決策の一助となる。
上記(1)、(2)項は杭の耐震性能を向上させ、地震により杭が損傷した場合でも、杭基礎構造物の沈下や傾斜等の被害を軽減できる。又、SC杭を使用する場合に比べて大幅なコストダウンを達成できる。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成11年2月9日(1999.2.9)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2000−230232(P2000−230232A)
【公開日】 平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願番号】 特願平11−31695