| 【発明の名称】 |
既設橋梁用支承装置の補修工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井原 邦彦
【氏名】合田 裕一
【氏名】配野 英朗
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| 【要約】 |
【課題】上部構造物をジャッキアップすることなく、既設の橋梁用支承装置を補修できる工法を提供する。
【解決手段】上部構造物を鋼製支承を介して下部構造物に支持する既設橋梁用支承装置の補修工法であって、前記鋼製支承の突起の撤去によりその水平力支持機能をなくし、鉛直力専用支承にすると共に、新設水平力支持支承として、上部構造物である鋼製箱枠4の側方に一定の間隙7を有して下部構造物2に反力壁6を構築し、反力壁6の側面10と鋼製箱枠4との間に形成される前記の間隙7に、弾性体12の両側面に取付けプレート13,14が配設されてなる緩衝材8を縦型に設置して、その一方の取付けプレート13を前記反力壁6の側面に固定し、他方の取付けプレート14を鋼製箱枠4に固定している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部構造物を鋼製支承を介して下部構造物に支持する既設橋梁用支承装置の補修工法であって、前記鋼製支承の突起の撤去によりその水平力支持機能をなくし、鉛直力専用支承にすると共に、新設水平支持支承として、上部構造物の側方に一定の間隙を有して、下部構造物に反力壁を構築し、反力壁と上部構造物との間に形成される前記の間隙に、弾性体の両側面に取付けプレートが配設されてなる緩衝材を縦型に設置して、一方の取付けプレートを前記反力壁に固定し、他方の取付けプレートを前記上部構造物に固定したことを特徴とする既設橋梁用支承装置の補修工法。 【請求項2】 前記上部構造物が鋼製箱桁であり、この鋼製箱桁と前記緩衝材の他方の取付けプレートとの間をブラケットで結合することを特徴とする請求項1記載の既設橋梁用支承装置の補修工法。 【請求項3】 前記上部構造物が鋼製箱桁であり、この鋼製箱桁の内底部に地震時において補強梁として作用するコンクリート,モルタル等の経時硬化性充填材を所定量充填して硬化させることを特徴とする請求項1記載の既設橋梁用支承装置の補修工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、既設橋梁用支承装置の補修工法に係り、特に保有耐力レベル迄の既設橋梁用支承装置の補修工法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】橋台や橋脚に対する橋梁の既設の支持構造には、図5に示すような鋼製支承(鋼製沓)が多く存在するが、先頃の阪神大地震後、橋梁の支承構造に対する耐震構造の見直し作業が行われており、既設の橋梁を保有耐力時に機能するよう補修が必要とされている。 【0003】すなわち、図5に示す橋梁用支承装置1において、橋台又は橋脚である下部構造物2に複数の鋼製支承3が並設され、各鋼製支承3によって上部構造物(主桁)である鋼製箱桁4が支持され、相隣る鋼製箱桁4の間は鋼製横桁5で連結されている。鋼製支承3は図6に示すように、下部構造物2上に下沓30がアンカーボルト31で固定され、下沓30上に支圧部材32を介して上沓33がスライド自在に支持され、上沓33に鋼製箱桁4がボルト34で固定されている。上沓33の両側突出部35には係合凹部36が設けられると共に、下沓30には下沓突起37が設けられており、この下沓突起37が前記係合凹部36に係合することで、鋼製支承3に水平力支承機能を付与している。下沓突起37には、先端係合部を上沓33の両側突出部35に係合させた上沓33の上揚力に対する係止金具(図示せず)が取付けられている。 【0004】前述のような既設の橋梁用支承装置の補修工法は、鋼製支承をタイプBのゴム支承に交換することが多いが、既設の鋼製支承をそのまま使用し、これに水平沓(ゴム支承を水平に置く)を組合わせた方法も採用されている。 【0005】本発明は、後者、つまり、既設の鋼製支承をそのまま使用して、橋梁を保有耐力時に機能する補修工法を発明対象とするが、従来のこの工法には次の課題があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来の、既設の鋼製支承に水平沓(ゴム支承を水平に置く)を組合わせる補修工法では、水平沓の水平力伝達を横桁に依存する必要が有り、大幅な横桁改良又は補修が必要となる。又、鋼製支承の橋軸直角方向の変形が出来るよう、鋼製支承の上沓及び下沓の改良が必要となる。さらに、掛違い部の水平方向(橋軸直角方向)のジョイントプロテクターも必要となる。 【0007】本発明は前記の課題を解決した、既設橋梁用支承装置の補修工法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上部構造物を鋼製支承を介して下部構造物に支持する既設橋梁用支承装置の補修工法であって、前記鋼製支承の突起の撤去によりその水平支持機能をなくし、鉛直力専用支承にすると共に、新設水平支持支承として、上部構造物の側方に一定の間隙を有して、下部構造物に反力壁を構築し、反力壁と上部構造物との間に形成される前記の間隙に、弾性体の両側面に取付けプレートが配設されてなる緩衝材を縦型に設置して、一方の取付けプレートを前記反力壁に固定し、他方の取付けプレートを前記上部構造物に固定したことを特徴とする。 【0009】また本発明において、前記上部構造物が鋼製箱桁であり、この鋼製箱桁と前記緩衝材の他方の取付けプレートとの間をブラケットで結合する。また、本発明において、鋼製箱桁の内底部に地震時に補強梁として作用するコンクリート,モルタル等の経時硬化性充填材を所定量充填して硬化させることを特徴とする。 【0010】本発明によると、上部構造物の側方空間を利用して反力壁を構築し、反力壁と上部構造物との間の間隙を利用して縦型に緩衝材を設置することで、既設橋梁用支承装置の水平荷重を分担補修でき、上部構造物のジャッキアップ等の作業や、上下部構造物間の狭小空間での難渋する作業が不要であり、補修工事の作業効率がアップし、しかも、上部構造物は緩衝材と反力壁を介して大規模地震力に対し十分な安全が確保できる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下本発明を図を参照して説明する。図1は橋台又は、橋脚等の下部構造物2の上面に設置された橋梁用支承装置11により、上部構造物である鋼製箱桁4を支承した橋軸直角方向の断面図、図2は図1の中央部拡大図である。図3は図1のA−A断面図、図4は図1のB−B断面図で、これらは橋梁用支承装置11の配置例を横断平面説明図として示している。 【0012】図1〜図4において、下部構造物2の上面には、従来例(図5参照)で説明したとおり、所定の間隔をあけて鋼製支承3が設置され、各鋼製支承3によって上部構造物の一例として鋼製箱桁4が支承されており、相隣る鋼製箱桁4の間は鋼製横桁5で連結されている。 【0013】本発明では、前記既設の橋梁用支承装置を図1〜図4に示すとおり、コンクリートブロックからなる反力壁6と、この反力壁6と鋼製箱桁4との間隙7に配設される緩衝材8を主要素とし、かつ既設の鋼製支承3の一部を撤去する補修工法を特徴とする。 【0014】さらに説明すると、本発明の補修工法においては、まず、図6に示した鋼製支承3の下沓30における下沓突起37を図7に示すように、撤去(切除)することによって、鋼製支承3の水平力支持機能をなくし、鉛直力専用支承とす。次に、相隣る鋼製箱桁4の間において、下部構造物2の上に反力壁6となるコンクリートブロックを構築する。このコンクリートブロックは、鋼殻RC構造とする。 【0015】反力壁6は、その両側面10と鋼製箱桁4の側面との間に前述の間隙7が形成されるように構築され、次の工程として、この間隙7に緩衝材8が縦置きに設置される。この緩衝材8は既製のゴム支承と機能を同じくする弾性体を縦型に設置した態様である。つまり、弾性体12は高減衰ゴム、その他の弾性体からなるゴム層12aの両端面に端面板12bを埋設して構成され、この弾性体12の両側面に取付けプレート13と14を取付けて弾性体の緩衝材8が構成される。 【0016】前記の間隙7に緩衝材8を設置したうえ、コンクリートの反力壁6に植設したアンカーボルト(図示省略)を、前記一方の取付けプレート13のボルト挿入孔に通しナットで締結することで、緩衝材8の一側面を反力壁6の側面10に固定する。一方の取付けプレート13の高さは反力壁6と同じ高さに設けてあり、この取付けプレート13の下端面は下部構造物2の上面に当接させて設けてある。反力壁6自体は適正な高さに設けられるもので、図示例では鋼製横桁5の下端面15に近い高さに設けられている。 【0017】緩衝材8の他方の取付けプレート14は、鋼製ブラケット16と鋼製スペーサ17を介して鋼製箱桁4に連結されている。鋼製箱桁4は、図1にその長手方向と直角の横断面を図示しているとおり、主桁腹板18と、その上下に配設のフランジ19,20とで断面箱形に構成され、内部空間はスティフナー21で補強されている。また、上下のフランジ19,20は、主桁腹板18よりも少し側方に突出して設けられている。 【0018】鋼製箱桁4は、その下部フランジ20が鋼製支承3で支持されているので、この下部フランジ20は、下部構造物2の上面より一定の高さH位置にあり、緩衝材8の取付けプレート14に対しては、横桁直下に位置している。また、下部フランジ20が、主桁腹板18よりも側方に少し突出しているので、取付けプレート14の上下方向の全長を有効利用して鋼製箱桁4に、より堅牢に固着するには、下部フランジ20の上側位置においてその空間を占める鋼製スペーサ17を配設し、下部フランジ20の下側位置においては、垂直端面22と水平端面23を有する鋼製ブラケット16が配設される。 【0019】鋼製スペーサ17は、緩衝材8の一方の取付けプレート14と、鋼製箱桁4の主桁腹板18との間隙に相当する厚み寸法であり、所定の強度を有するものであれば、その構造は限定されない。図示例の場合、鋼製スペーサ17は、所定の間隔を離して配設の2枚のたてフレームの間を、複数のたて連結フレームと複数のよこ連結フレームを溶接して構成される。そして、鋼製スペーサ17の一方のたてフレーム24と、緩衝材8の一方の取付けプレート14の上部とがボルト結合され、他方のたてフレーム25と鋼製箱桁4の主桁腹板18とがボルト結合される。 【0020】次に、鋼製ブラケット16を用いて緩衝材8の一方の取付けプレート14と、鋼製箱桁4の下部フランジ20との間が結合される。つまり、鋼製ブラケット16の垂直端面22は予め一方の取付けプレート14に溶接されており、施工現場において緩衝材8を図示の位置に配設した後、鋼製ブラケット16の水平端面23に溶接してある水平取付け板29を、鋼製箱桁4の下部フランジ20に当てがい、両部材の間をボルト,ナットで締結することで、この鋼製ブラケット16を介して、緩衝材8の一方の取付けプレート14と、鋼製箱桁4の下部フランジ20とが結合される。このようにして、緩衝材8の一方の取付けプレート14は、鋼製スペーサ17と鋼製ブラケット16により、当該取付けプレート14の全長を利用して、鋼製箱桁4に強固に固定できる。 【0021】直下型地震における鉛直方向の緩衝反力により鋼製支承の破壊現象が見られた。大きな段差により、路面の段差が生じ緊急時の交通に障害が発生した。 【0022】しかるに、本発明では取付けプレート14が下部構造物2へ衝突して、鋼製支承3の破壊による路面の段差を最小限に押さえ、緊急時の交通を可能にする構造を有している。 【0023】また、鋼製箱桁4は、鋼製ブラケット16および鋼製スペーサ17と緩衝材8を介して反力壁6に結合されて補強されるが、この補強作業に際し、鋼製箱桁4をジャッキアップするなどの作業は一切不要である。 【0024】前記の補強作業が終了した後、鋼製箱桁4の内底部にはコンクリート,モルタル等の経時硬化性充填材28が所定量、具体的には緩衝材8の上端より少し高い位置まで充填される。それにより、鋼製箱桁4自体の剛性を著るしく向上でき、強大な地震に対しても、変形,破壊に対する強度が増大できる。 【0025】なお、図において、相隣る鋼製箱桁4間を連結する鋼製横桁5は、複数のI形断面の鋼材を添接板を介してボルト結合することで構成されている。また鋼製横桁5の下端面15が反力壁6および、緩衝材8の上方に位置しているので、これらの部材は、鋼製横桁5の直下に位置していてもよいし、図4、図5に示すように橋軸方向に変位した位置に設置してもいずれでもよい。 【0026】本発明の実施形態における作用を説明する。 ■ 上部構造物である鋼製箱桁4の荷重は既設の鋼製支承3で受ける。このとき、縦型の緩衝材8は無負荷である。 ■ 地震発生時において、鋼製箱桁4の橋軸直角方向の振動に対しては、反力壁6を介して緩衝材8の弾性体12が伸縮変形することにより分散減衰することができる。 ■ 地震による鋼製箱桁4の橋軸方向の振動に対しては、緩衝材8の一方の取付けプレート13が反力壁6を介して下部構造物2側に取付けられ、他方の取付けプレート14が上部構造物側である鋼製箱桁4に取付けられていることにより、弾性体12がせん断変形することで対応し、それにより鋼製箱桁4の橋軸方向の振動を分散減衰させる。 ■ 地震時、鋼製箱桁4に働く回転力に対しては、既設鋼製支承3の回転支持部(図示せず)の回転と、緩衝材8における弾性体12の各部位の局部的伸縮変形及び、せん断変形の相互作用で有効に減衰することができる。 ■ 地震時、鋼製支承3が破壊した後の鋼製箱桁4の下動による変形は、緩衝材8の一方の取付けプレート14の下端面26が、下部構造物2に衝突することで最小限に押さる。 ■ さらに■に加え、地震時鋼製箱桁4に作用する外部からの応力による変形に対しては、その内底部に充填したコンクリート,モルタル等の経時硬化性充填材28が抑止機能を発揮する。 【0027】なお、図示例では、上部構造物の主桁の具体例として、鋼製箱桁の例を示したが、これに限らず本発明はコンクリート主桁の補修工法にも適用できる。 【0028】 【発明の効果】本発明の既設橋梁用支承装置の補修工法は、下記のすぐれた効果を有する。 a.下部構造物に設置した反力壁と上部構造物との間隙に縦型の緩衝材を設置するので、上部構造物をジャッキアップすることなく、安全,迅速に補修作業が行えるうえ、上部構造物と、下部構造物との間の狭小空間での煩雑な作業も不要となる。 b.橋軸直角方向に反力壁を設けて、上部構造物の地震時の横揺れを抑止する機能を持たせたので、ジョイントプロテクター(中小地震時変位制限装置)を不要にできた。 c.緩衝材の一方の取付けプレートを地震時、下部構造物に衝突させるので、上部構造物の変形,破壊及び段差発生防止機能を持たせることができる。 d.上部構造物の地震時の橋軸方向水平力を縦型緩衝材のせん断力で円滑に吸収できる。 e.補修作業が容易であるので、施工コスト等の経費を従来に比べ大幅にダウンできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592090555 【氏名又は名称】パシフィックコンサルタンツ株式会社 【識別番号】391051267 【氏名又は名称】株式会社ビービーエム
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| 【出願日】 |
平成10年6月23日(1998.6.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087044 【弁理士】 【氏名又は名称】瀬戸 昭夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−8323(P2000−8323A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月11日(2000.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−190992 |
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