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【発明の名称】 |
軟水ボイラ用防食剤及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐尾 俊生 【氏名】森本 敬 【氏名】坂西 彰博 【氏名】馬渡 憲次 【氏名】牧浦 秀治 【氏名】成田 朋生 【氏名】津呂 宗孝 |
【課題】単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩との反応生成物よりなる防食剤において、その防食剤本来の特性を維持しつつ、臭気発生の抑制された防食剤及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応せしめて得られる成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を不活性ガス雰囲気下で反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする軟水ボイラ用防食剤及びその製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応せしめて得られる成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを不活性ガス雰囲気下で反応させて得られる反応生成物よりなることを特徴とする軟水ボイラ用防食剤。 【請求項2】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応させる軟水ボイラ用防食剤の製造方法において、単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを不活性ガス雰囲気下で反応させることを特徴とする軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 【請求項3】 単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの配合比が重量比で80:20〜10:90の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 【請求項4】 前記反応を80〜90℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の軟水ボイラ用防食剤の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は市水、地下水等の軟水を用いるボイラの水質管理に適用される軟水ボイラ用防食剤及びその製造方法に関し、特に、発生蒸気への着臭を抑制する必要のある食品工業、病院、製薬工業又はビルの空調関連などで運転されているボイラ用の防食剤及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】軟水ボイラの用水中には塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン及び炭酸イオン等のいわゆる腐食性イオンが含まれているため、ボイラ内部の腐食が絶えず間題となっている。特に、近年は高温、高負荷運転が行われるようになり、ボイラ内部の腐食環境はより厳しいものとなっているため、何らかの処理が不可欠となっている。これらの腐食を防止するため、従来よりヒドラジン、アスコルビン酸塩、エルソルビン酸塩、亜硫酸塩、重合隣酸塩、糖類、糖類のアルカリ処理物、タンニン、リグニンスルホン酸塩などの各種薬剤が単体、あるいは複合された形で使用されているが、これらの従来から使用されている防食剤はいずれも臭気の発生、毒性、発癌性、公害性、防食効果、管理要領などの面において何らかの欠点を有している。これらの防食剤の中で、本出願人が先に提案した単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩との反応生成物よりなる軟水ボイラ用防食剤(特許第2575740号特許公報)は、その防食性能、低公害性、安全性及びコスト等の面で高い評価を受け、地域冷暖房、食品工業及び病院等において広く使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前記単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩との反応生成物よりなる防食剤は、ボイラの運転中に複雑な分解反応を経て、極微量のアルデヒド類及びケトン類などの臭気を有する成分を生成し、発生蒸気が特有の臭気を帯びる欠点がある。このような臭気は、空調機器における加湿、病院における機器の殺菌及び食品の加工等の生蒸気を直接使用する用途では特に大きな間題となる。本発明はこのような従来技術の実状に鑑み、前記糖類からの防食剤において、その防食剤本来の特性を維持しつつ、臭気発生の抑制された防食剤及びその製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決する手段として次の(1)〜(4)の構成を含むものである。 (1)単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを反応せしめて得られる成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を不活性ガス雰囲気下で反応させて得られる反応生成物よりなることを特徴とする軟水ボイラ用防食剤。 (2)単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを反応させる軟水ボイラ用防食剤の製造方法において、単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を不活性ガス雰囲気下で反応させることを特徴とする軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 (3)単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの配合比が重量比で80:20〜10:90の範囲であることを特徴とする前記(2)の軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 (4)前記反応を80〜90℃の温度範囲で行うことを特徴とする前記(2)又は(3)の軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明において使用する糖類、アルカリの種類、及び糖類とアルカリの配合比などは、前記特許2575740号特許公報記載の内容とほぼ同じである。すなわち、使用する単糖類の例としてはグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、キシロースなどを挙げることができ、また、二糖類としてはサツカロース、ラクトース、マルトースなどが挙げられる。アルカリ金属水酸化物の例として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またアルカリ金属炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの配合比は重量比で80:20〜10:90の範囲がよく、好ましくは75:25〜10:90の範囲である。この比はアルカリの種類によりほとんど影響されることはない。 【0006】本発明の防食剤は次のようにして製造することができる。すなわち、密閉可能な反応容器中に単糖類及び/又は二糖類を水溶液として仕込み、反応容器中の酸素を不活性ガスにて置換する。次にこの水溶液を加熱昇温し、60〜95°、好ましくは80〜90℃に保ちながら前記配合割合となる量の水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの水溶液を徐々に添加し、さらに同温度で最高5時間以内、好ましくは20分〜1時間程度保持して反応させた後、冷却することによって本発明の防食剤を得ることができる。保持時間が長くなると不活性ガスの消費量や生産効率などの点で不利となる。通常の場合、この反応はアルカリ添加終了後20〜30分で完了する。なお、不活性ガスの通気は、反応容器内の酸素が不活性ガスで置換された後は通気量を下げ、以後は容器内の不活性雰囲気が保持できる程度に、反応終了まで連続的又は間欠的に通気を続行すればよい。 【0007】不活性ガスとしては、本発明で使用する糖類、アルカリ剤及び糖類とアルカリ剤との反応生成物に対して反応性の無いものであれば特に限定することなく使用できる。中でも窒素ガスが安価であり最も適当である。 【0008】本発明の防食剤には、必要に応じてポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、EDTA塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩等のスケール分散剤、補助防錆剤、消泡剤などの添加が可能である。また、ボイラ水中にアミン類、アンモニア等のアルカリ剤を添加併用することもできる。 【0009】[作用]本発明において不活性ガス雰囲気で反応させることによる作用機構については明確ではないが、単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリとを不活性ガス雰囲気、すなわち、酸素濃度の低い条件で反応させることにより、防食剤の使用中に分解して臭気発生の原因となる物質の生成のみが特異に抑制され、臭気成分を含まない防食剤が得られるものと推定される。 【0010】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 (実施例1)グルコース60gと水70gとを攪拌装置、不活性ガス置換用通気管、コンデンサを装備した内容積300ミリリットルの密閉可能なガラス製反応容器に仕込み、窒素ガスを約300ミリリットル/分の流量にて5分間通し、反応容器内の空気を窒素ガスにて置換した。その後、窒素ガスの流量を約20ミリリットル/分に落とした状態で加熱昇温し、ガラス製反応容器内の温度を85±5℃に調整しながら、水酸化ナトリウムの水溶液(20g/50g)を徐々に添加した。水酸化ナトリウム水溶液添加後、85±5℃にて30分間攪拌を行い、冷却して本発明による防食剤(反応生成物)を得た。 【0011】(実施例2〜6、比較例1〜6)水の使用量は合計で120gの一定とし、単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの種類と配合割合を表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様にして実施例2〜6の防食剤を得た。また、窒素ガスによる置換を行わなかった以外は実施例1〜6と同様に操作し、表1に示す比較例1〜6の防食剤を得た。 【0012】(防食試験)実施例1〜6により窒素ガスで置換しながら反応させた本発明の防食剤試料6種類と、比較例1〜6により窒素ガスを使用せず反応させた比較例の防食剤試料6種類を対象として、臭気の有無及び防食性能について比較試験を実施した。試験方法は次のとおりである。表2に示す分析値の上水道水に、上記各防食剤試料をそれぞれの水溶液中における防食剤の濃度が0.2wt%(濃度は反応生成物中の固形分換算)となるように添加した。これらの水溶液をそれぞれ0.8リットル取り、内容積1リットルのオートクレーブに入れ、防食性能を確認するためのテストピース(構造用鋼材、JlS−G−3101、SS−400、35×50×1.2mm)を防食剤溶液中に浸漬した。次にオートクレーブをセットし、180±5℃にて2日間の加熱試験を行った。試験終了後、オートクレーブのエアーベントを開放して蒸気の臭気を確認するとともに常温まで冷却した後、テストピースを取り出して発錆の有無を確認した。 【0013】試験結果は表3に示すとおりであり、本発明による防食剤6種類についてはいずれも蒸気の臭気はほとんど無く、テストピースの表面には黒色の酸化皮膜が形成され、発錆も全く認めれなかった。一方、比較例6種類についてもテストピースの表面には黒色の酸化皮膜が形成され、いずれも発錆は認められなかったが、本発明による防食剤6種類に比べて蒸気の臭気が強いことが確認された。本試験に用いた防食剤の実施例と比較例の配合は次の通りである。 【0014】 【表1】
【0015】 【表2】
【0016】 【表3】
【0017】 【発明の効果】本発明による防食剤は、単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを反応させて得られる従来の防食剤の防食性能を維持したまま、この種の防食剤の最大の欠点であった臭気の発生が大幅に低減された防食剤である。従って、ボイラの生蒸気を使用する食品工業、病院、製薬工業等においてもボイラの清缶剤、防食剤として充分適用可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社 【識別番号】000162076 【氏名又は名称】共栄社化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月7日(1998.10.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072844 【弁理士】 【氏名又は名称】萩原 亮一 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−119881(P2000−119881A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月25日(2000.4.25) |
| 【出願番号】 |
特願平10−285097 |
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