| 【発明の名称】 |
センダスト薄板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山下 治
【氏名】槇田 顕
【氏名】能見 正夫
【氏名】西郷 恒和
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| 【要約】 |
【課題】薄板が製造困難で積層鉄心などを構成することができなかったセンダストを冷間庄延により作製が可能で、しかも非常に優れた磁気特性を有するセンダスト薄板が得られる製造方法の提供。
【解決手段】予め純Fe粉末とFe‐Si粉末を所定の割合で配合した混合粉を粉末冶金的手法で作製し、焼結体中にFeリッチ相を残存させ、圧延前の板厚を薄くして厚み5mm以下の薄板状の珪素鋼の焼結体を作製し、かつ薄板の平行度を上げることにより、Feリッチ相を残存させた結晶粒の塑性変形を利用して、冷間圧延と打抜き加工が可能となり、さらに圧延後該薄板の両面にAlを蒸着した後、熱処理によってAlを該薄板の内部まで拡散浸透させると同時に結晶粒径を粗大化させることにより、溶製材と同等の優れた磁気特性を有するセンダスト薄板が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Feリッチな相とSiリッチなFe‐Si固溶体相を有する焼結体を得る工程、前記焼結体素材を冷間圧延する工程、冷間圧延材にAlを含浸させる工程、前記Al含浸材を焼き鈍しする工程を含むセンダスト薄板の製造方法。 【請求項2】 焼結体中のSi含有量が8.3〜11.7wt%である請求項1に記載のセンダスト薄板の製造方法。 【請求項3】 焼結体中のSi含有量が8.3〜11.7wt%、Al含有量が0〜2.0wt%である請求項1に記載のセンダスト薄板の製造方法。 【請求項4】 得られたセンダスト薄板の成分は、Si:8〜11wt%、Al:2〜6wt%、残部Fe及び不可避的不純物である請求項1に記載のセンダスト薄板の製造方法。 【請求項5】 焼結体の厚みが5mm以下である請求項1に記載のセンダスト薄板の製造方法。 【請求項6】 粉末射出成形、圧粉成形、スリップキャスト法により成形して焼結する粉末冶金法、またはホットプレスやプラズマ焼結等の熱間成形法にて作製し、焼結体中にFeリッチな相を残存させた焼結体である請求項5に記載のセンダスト薄板の製造方法。 【請求項7】 冷間圧延材の両面にAlを被着または成膜した後、熱処理によりAlを含浸させる請求項1に記載のセンダスト薄板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、圧延の困難なFe-Si-Al合金(センダスト)の薄板の製造方法に係り、予めFeリッチな主相とFe‐Si相からなる厚み5mm以下の薄板状の焼結体を作製し、Feリッチ相の結晶粒の優れた展延性を利用して、これを素材としてそのまま冷間圧延することを可能にし、さらに圧延後の薄板両面にAlを付着させた後、熱処理することにより該薄板の内部まで拡散浸透させ、所要組成からなる極薄のセンダスト薄板を得る製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】センダストは、透磁率が高いために軟質磁性材料としては非常に優れているが、非常に脆くかつ硬いために、従来よりセンダスト薄板の製造は困難とされてきた。 【0003】このためにセンダストの所要成分よりFeが少ない含有量のインゴットを作製した後、粉砕し、該粉砕粉にFe粉を添加して所要組成にして該Fe粉にバインダーの役目をさせて、圧延、熱処理を繰り返して、厚みが0.35mm程度のセンダスト薄板を製造する方法(H.H.Helms and E.Adams:J.Appl.Phys.35(1964)3)が提案された。 【0004】上記の粉末冶金を用いた方法は、添加元素の拡散が不十分なために、磁気特性を低下させるという問題があり、汎用されるには至らなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このために、欠陥の少ないセンダストの結晶を作製し、これを薄く切断加工したり、スパッター法により所要基板上に蒸着させてセンダスト薄板となし、VTR用磁気ヘッドとしてその優れた機能を利用している。 【0006】すなわち、従来は、製造に際して多大の手間を要して量産が困難なため、センダスト薄板の生産量は非常に少なく、また用途が限られているのが現状である。 【0007】この発明は、センダスト薄板が製造困難で積層鉄心などを構成することができなかった現状に鑑み、冷間圧延によりセンダスト薄板の作製が可能であり、しかも非常に優れた磁気特性を有するセンダスト薄板が得られる、センダスト薄板製造方法の提供を目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】発明者らは、Fe-Si-Al合金とは別に、Si含有量が3wt%以上の珪素鋼を冷間圧延可能にすることを目的に、冷間圧延性の良好な珪素鋼の製造方法について種々検討した結果、結晶粒内の組成に着目し、従来の溶融徐冷してFeとSiが完全に固溶した相の結晶粒と違って、Feリッチな相とSiリッチなFe‐Si固溶体相を有する混合相となし、展延性に富んだFeリッチ相を残存させた焼結珪素鋼を作製し、これを冷間圧延することにより圧延が可能であり、また特に該鋼材の板厚を5mm以下とし、さらに平行度を0.5mm以下とすることによって比較的容易に圧延できることを知見した。 【0009】また、発明者らは、焼結珪素鋼の製造方法として、Fe粉末とFe‐Si粉末を所定の割合で配合した混合粉を粉末冶金的手法で焼結することにより、所望の平均結晶粒径を有する焼結体を作製可能であり、粉末冶金的手法としては、金属射出成形、圧粉成形、スラリー状にして流し込むスリップキャスト成形等で成形した後、所定の温度で焼結する方法、またはホットプレスやプラズマ焼結等の熱間成形法により作製する方法が採用できることを知見した。 【0010】さらに発明者らは、Fe-Si-Al合金を製造することを目的に、Feリッチな相を残存させた焼結体を使用し、そのFeリッチな相を有する結晶粒の展延性を利用して冷間圧延して得た焼結珪素鋼板の両面に、Alを種々の条件で蒸着させた後、熱処理することにより、その表面からAlが内部まで拡散し、また透磁率も珪素鋼板に比べて飛躍的に向上して磁気特性の優れたセンダスト薄板が得られることを知見し、この発明を完成した。 【0011】すなわち、この発明は、Feリッチな相とSiリッチなFe‐Si固溶体相を有する焼結珪素鋼を圧延した後、真空蒸着法やスパッター法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により焼結珪素鋼板の両面にAlを含浸させた後、焼き鈍しを施して拡散浸透させることにより、非常に薄くて磁気特性にも優れた薄板が得られるセンダスト薄板の製造方法である。 【0012】 【発明の実施の形態】この発明は、Fe粉末とFe‐Si粉末を所定の割合で配合した混合粉を粉末冶金的手法で焼結体となして、展延性に富んだFeリッチ相を残存させた焼結珪素鋼の圧延素材を作製し、これを冷間圧延し、得られた該圧延珪素鋼板の両面に真空蒸着法、スパッター法、CVD法などにより、Alを付着させた後、熱処理して薄板内部まで拡散させることにより、非常に優れた磁気特性を有するセンダスト薄板を得る製造方法である。 【0013】使用原料この発明において、素材となる焼結珪素鋼の成分としては、鋼中のSiの含有量が8.3〜11.7wt%で、Alの含有量が0〜2wt%の所要組成からなることが望ましい。該使用原料粉末としては、Fe粉末とFe‐Si粉末あるいはFe粉末とFe‐Si‐Al粉末を所定の割合で配合した混合粉、もしくは所定の組成を有するFe‐Si化合物やFe‐Si‐Al化合物粉末を使用する方法がある。 【0014】該混合粉末原料としては、所望組成よりも多くのSiを含有した、脆性破壊しやすい成分のFe‐Si化合物のガスアトマイズ粉末もしくは該成分を有するインゴットを粉砕してジェットミル粉砕した粉末とカーボニル鉄粉を所定の割合で配合した混合粉末、あるいは所望組成よりも多くのSiを含有した、脆性破壊しやすい成分にAlを微量添加したFe‐Si‐Al化合物のガスアトマイズ粉末もしくは該成分を有するインゴットを粉砕してジェットミル粉砕した粉末とカーボニル鉄粉を所定の割合で配合した混合粉末が望ましい。 【0015】また使用するFe‐Si‐(Al)化合物としては、β相のFe2Si化合物やε相のFeSi化合物、さらにζβ相のFeSi2化合物が脆性破壊しやすいので、好ましい。Fe‐Si化合物中のSi含有量としては、20wt%〜51wt%が好ましい。Si含有量がこの範囲外となると、非常に酸化しやすくなり、磁気特性の劣化を引き起こす。またFe‐Si化合物中のAl含有量としては、0〜6.0wt%が好ましい。Al含有量がこの範囲外となると、冷間圧延時にヒビ、ワレが発生しやすくなると同時に、更に酸化しやすくなるので、磁気特性の劣化を招く。 【0016】Fe‐Si化合物やFe‐Si‐Al化合物の粉末の平均粒度は3μm〜100μmの範囲が最も望ましく、平均粒度が3μm未満では、粉末自体に多量の酸素を含有しやすくなり、磁気特性が劣化し、また100μmを超える場合は、焼結体がポーラスになりやすく焼結密度が低下するので、冷間圧延時にヒビ、ワレ発生の原因になる。 【0017】一方、カーボニル鉄粉は、市販の3〜10μmの粒径を有し、できるだけ酸素量の少ない粉末が望ましい。いずれにしてもFe粉末とFe‐Si化合物粉末あるいはFe粉末とFe‐Si‐Al化合物粉末の混合粉末の酸素含有量は、少なければ少ないほど良いが、少なくとも3000ppm以下が望ましい。 【0018】所望の組成を有する原料粉末を使用する場合は、初めから該成分を含有したガスアトマイズ粉もしくは水アトマイズ粉が適しており、その平均粒度は、10〜100μmが望ましい。また使用する原料粉末の含有酸素量は、少なければ少ないほど良いが、少なくとも3000ppm以下が望ましい。 【0019】上記アトマイズ粉の平均粒度が10μm未満では、焼結体の密度は向上するが、粉末自体に多量の酸素を含有するので、冷間圧延時にヒビ、ワレ発生の原因になりやすく、且つ磁気特性の劣化の原因にもなる。また平均粒度が100μmを超える場合は、焼結体がポーラスになりやすく焼結密度が低下するので、これも冷間圧延時のヒビ、ワレ発生の原因になる。 【0020】圧延前の焼結珪素鋼圧延前の焼結体の作製には、粉末冶金的手法が採用できるが、金属射出成形、圧粉成形、スリップキャスト法等による焼結体あるいはホットプレスやプラズマ焼結等の熱間成形法による焼結体の作製が適している。具体的には、金属射出成形、圧粉成形、スリップキャスト成形は、珪素鋼粉末にバインダーを添加し成形する方法であり、成形後、脱バインダー、焼結を行って作成する方法である。また、熱間成形法は、炭素金型の中に原料粉末を入れ、熱間中(1000℃〜1300℃)で圧力をかけて成形と焼成を同時に行う方法である。 【0021】得られた焼結珪素鋼は、Feリッチな主相とSiリッチなFe‐Si固溶体相を有する混合相であって、展延性に富んだFeリッチな相が多く生成したものとなる。なおここでは、相中のSi量が10%を超える場合をSiリッチ、これを超えない場合をFeリッチと呼ぶ。 【0022】一般にSiを多く含有する珪素鋼粉末は、非常に酸化し易く、また成形用にバインダーを使用すると特に酸化したり、炭化したりするので、脱バインダーと焼結時の雰囲気制御は不可欠である。また、酸化や炭化した焼結体は硬く、脆くなるので、冷間圧延すると、ヒビ、ワレが発生すると同時に焼き鈍し後の磁気特性も著しく低下する。このために焼結体中に含まれる酸素量と炭素量は、それぞれ3000ppmと200ppm以下が望ましい。 【0023】焼結温度は、混合粉の組成、平均粒度、成形方法等によって異なるが、1100℃から1250℃の温度で不活性ガス雰囲気中、水素ガス雰囲気中、真空中等焼結雰囲気は、成形方法に応して使い分ければ良い。しかし、できるかぎり焼結時の変形を防止しなければ、冷間圧延時のヒビ、ワレ発生の原因になる。 【0024】特に、焼結後に展延性に富んだFeリッチ相を残存させるために、本来の焼結温度よりやや低い温度で焼結させることが重要である。焼結時には、できるかぎり焼結時の変形を防止し、50mm長さに対する平行度を0.5mm以下に抑えなければ、冷間圧延時のヒビ、ワレ発生の原因になる。 【0025】圧延珪素鋼は、一般の金属と比べて硬くて脆い性質があるために、冷間圧延用のロール径とその周速度は、圧延前の板厚とその平行度によって変える必要がある。つまり圧延前の板厚が厚く、平行度が悪ければ、小さいロール径で、しかも低周速度で圧延することが望ましい。 【0026】しかし、逆に板厚が薄く平行度さえよければ、この条件はかなり緩和される。特に熱間圧延の場合には、珪素鋼は組成変形しやすくなるので、ロール径と周速度の条件は、冷間圧延に比べて大幅に緩和される。冷間圧延前に熱間圧延をすることは有効であるが、最終的には冷間圧延を行わなければ、薄板の圧延は不可能となる。表面層が酸化し磁気特性が劣化するためである。いずれの方法でも圧延前の鋼板の平行度を0.5mm以下にしなければ、良好な圧延珪素鋼板は作製できない。 【0027】この発明では、Feリッチ相を有する珪素鋼板の場合、圧延前の板厚が5mm以下で平行度0.5mm(50mmの長さに対する)以下では、ロール径は80mm以下で、ロール周速度60mm/sec以下の条件であれば、冷間圧延の際に焼き鈍し工程を入れずに、ヒビ、ワレが起きずに冷間圧延できる。 【0028】この発明において、珪素鋼板の板厚が1mm以下になれば、ロール径のさらに小さいロールで圧延した方が、圧延効率と厚み寸法精度が向上し、しかもヒビ、ワレも発生しにくくなる傾向がある。 【0029】珪素鋼の平均結晶粒径が300μmを超える場合には、ロール径とロール周速度に関係なく、圧延時にヒビ、ワレが発生する。また平均結晶粒径5μm未満の珪素鋼板の作製は、粉末冶金的な焼結法でのみ作製可能であり、それは焼結温度を下げるか、成形密度を下げて焼結する方法であるが、いずれの方法でも気孔率の高い焼結体になるので、圧延時に必ずヒビ、ワレが発生する。 【0030】圧延後の板厚は、1mm以下にした方が蒸着後のAlは珪素鋼板内部まで拡散し易い。さらに最適圧延条件下では、50μmの板厚まで簡単に冷間圧延できることがわかった。 【0031】また上記の方法で圧延した珪素鋼板は、圧延後に切断機、打抜機による加工が可能であり、加工後に後述のAl含浸を行うことにより、種々の形状のセンダスト薄板の製品対応が可能である。 【0032】この発明によるFeリッチ相による塑性変形を利用した圧延珪素鋼板は、通常の(110)面を集合組織とする方向性珪素鋼板とは違って、(100)面を集合組織とする方向性珪素鋼板の特徴を有する。 【0033】Al含浸所望の組成のセンダスト薄板を作製するために、シート状の圧延珪素鋼板の両面に、Alを含浸させるが、具体的にはAlを真空蒸着法、スパッター法、CVD法等により、拡散後所定の組成になるように付着、成膜し、その後熱処理により含浸させる。Alの付着、成膜量は、拡散後の最終成分がAl:2〜6wt%、Si:8〜11wt%、残部Feとなるように適宜決定するとよい。 【0034】上記の付着、成膜条件は、圧延珪素鋼板の板厚、組成、蒸着方法によって異なるが、冷間圧延後表面を清浄にした珪素鋼板に直接蒸着した方がAlは均一に拡散しやすく、磁気特性も向上しやすい特徴がある。つまり、圧延後の結晶粒径は焼き鈍し後の結晶粒径に比べて小さく、また残留結晶歪みが大きいために、Alが粒界拡散し易いということである。 【0035】Alを含浸するための熱処理は、珪素鋼板の組成とAlの付着量、さらに圧延前の平均結晶粒径によって適宜選定する必要がある。この温度は、真空中で熱処理する場合には、1000〜1100℃と低く設定し、不活性ガス雰囲気中で熱処理する場合には、1100〜1200℃の僅かに高い温度に設定することが好ましい。 【0036】さらにこの発明における圧延珪素鋼板は、通常の(110)面を集合組織とする方向性珪素鋼板とは違って、(100)面を集合組織とする方向性珪素鋼板の特徴を有し、圧延面が最密面ではないので、蒸着後の熱処理時に結晶粒内拡散も起こし易い利点もある。 【0037】焼き鈍しすなわち、従来では、圧延珪素鋼板の焼き鈍しは、圧延時のヒビ、ワレ防止のために、何回か圧延した後に必ず行われていが、この発明では、含浸したAlの拡散浸透と磁壁移動の障害となる結晶粒界を減らし、保磁力を低下させて透磁率の向上を目的に、結晶粒径の粗大化を狙ったものである。また、予めTi,V等の非磁性金属元素を単独もしくは複合で0.01〜1.0wt%添加すると、焼き鈍し時にFeリッチ相とSiリッチ相が固溶しやすくなり、また結晶粒の粒成長を促進させることかできる。 【0038】この発明において、焼き鈍しの熱処理温度は、前述のAl含浸熱処理によってAlが拡散浸透した後に、1200〜1300℃の温度に昇温して結晶粒径を粗大化させる。焼き鈍しの熱処理は、Alを含浸させるための熱処理と連続して行うこともできる。 【0039】真空中ではこの焼き鈍し温度が高過ぎると、Alが鋼板から蒸発して拡散浸透し難くなる。Alが拡散した後の温度が高過ぎると、結晶粒が異常粒成長しすぎて鋼板が非常に脆くなり、逆に温度が低過ぎると、粒成長しないために、磁気特性が向上しなくなるので、上記温度範囲が最適温度である。上記温度での焼き鈍しによって平均結晶粒径は、約0.5〜3mmにまで成長させることができる。この焼き鈍しによってセンダスト薄板の磁気特性は、通常の溶製材に近い特性が得られることを確認した。 【0040】従来、センダスト合金は、硬くて脆いことにより、圧延困難で薄板状のシート材を作製することは不可能とされてきた。しかし、この発明では、出発原料としてFe粉とFe‐Si粉末あるいはFe粉とFe‐Si‐Al粉末を所定の割合で配合した混合粉もしくは所望組成の粉末を用いて、焼結後に展延性に富んだFeリッチ相を残存させた薄板を5mm以下の厚みで作製することにより、冷間圧延が可能になった。 【0041】さらにこの発明では、前記圧延珪素鋼板の両面にAlを付着、成膜した後、熱処理してAlの拡散と結晶粒の粗大化を図ることにより、センダスト薄板としての磁気特性は、従来の溶製材とほぼ同等になり、磁気特性の優れたセンダスト薄板が作製できることを確認した。 【0042】また、素材の圧延珪素鋼板は、圧延後の切断、打抜等の加工が可能であり、各種用途に応じて種々の形状のセンダスト薄板の製品が作製できるので、低コストで高特性、高寸法精度のセンダスト薄板の作製が可能である利点を有する。 【0043】 【実施例】実施例1焼結珪素鋼板の原料粉末として、表1に示すような成分のFe‐Si化合物とFe‐Si‐Al化合物になるように高周波溶解してインゴットを作製した後、粗粉砕、ジェットミル粉砕して表1に示すような平均粒度の粉末を作製した。 【0044】また、鉄粉末として表1に示すような成分と平均粒度のカーボニル鉄粉を使用した。Fe‐Si化合物あるいはFe‐Si‐Al化合物とカーボニル鉄粉を表2に示すような割合で配合した後、Vコーンで混合した。 【0045】さらに所望組成の粉末としては、表3に示すような成分と平均粒度のガスアトマイズ粉末を使用した。各原料粉末に表4に示すような添加量でPVA(ポリビニールアルコール)バインダー、水、可塑剤を添加し、スラリー状となし、該スラリーを完全密閉型スプレードライヤー装置により窒素ガスで熱風入口温度100℃、出口温度40℃に設定して造粒を行った。 【0046】平均粒径約80μmの該造粒粉を圧縮プレス機で圧力2ton/cm2で表5に示すような形状に圧粉成形した後、真空中で表5に示すような脱バインダー、焼結温度で焼結を行って表6に示す寸法の焼結体を得た。得られた焼結体の平行度を図6に、鉄リッチ相の含有率、残留酸素量、残留炭素量、平均結晶粒径、相対密度を表7に示す。この鉄リッチ相の含有率は、FeSi化合物の特有の最大X線回折強度と体心立方構造(bcc)を有する珪素鋼の(110)回折強度比で相対評価した。 【0047】表8に示す寸法の焼結体をまず外径60mmの2段ロールで、ロール周速度60mm/secで圧延率50%まで冷間圧延した後、さらに外径20φの4段ロールにより同一ロール周速度で表8に示す厚みまで冷間圧延した。その圧延状態を表9に示す。 【0048】また圧延後、20φ×10φのリングを打ち抜いた後、鋼板の両面にAlを表10に示す厚みで真空蒸着し、表10に示すような焼き鈍し温度で熱処理をして直流磁気特性を測定した。その結果を表10に示す。表9中の圧延状態で、◎は非常に良好、○は良好、△は圧延板の端面にヒビ発生、×は全面にワレ発生を表す。 【0049】比較例磁気特性の比較例として通常のFe-6.5Siとセンダスト合金の溶製材の磁気特性を表10に示す。 【0050】 【表1】
【0051】 【表2】
【0052】 【表3】
【0053】 【表4】
【0054】 【表5】
【0055】 【表6】
【0056】 【表7】
【0057】 【表8】
【0058】 【表9】
【0059】 【表10】
【0060】 【発明の効果】この発明によれば、従来から製造困難とされてきたセンダスト薄板を冷間圧延によって製造することが可能となり、極めて薄いセンダスト板が容易に量産できる。また、溶製材と同等の優れた磁気特性を有するセンダスト薄板が得られる。従って、今後トランスやヨーク材等、広範囲にわたってその用途は飛躍的に拡大する。 【0061】また、この発明によるセンダスト薄板は、圧延後の珪素鋼板が切断、打抜等の加工が可能であり、各種用途に応じて種々の形状のセンダスト薄板の製品が作製できるので、低コストで高特性、高寸法精度のセンダスト薄板の作製が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183417 【氏名又は名称】住友特殊金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月28日(1999.5.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075535 【弁理士】 【氏名又は名称】池条 重信 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−345240(P2000−345240A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月12日(2000.12.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−150784 |
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