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【発明の名称】 1液1固相ケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料の製造方法及び1液ケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料
【発明者】 【氏名】沢本 哲
【課題】従来の有機樹脂系塗料とは異なる水ガラスからなる常温硬化無機塗料を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】ケイ酸塩M2O・nSiO2(M:K,Na,Li,NH4,n:2〜4)の溶液に加熱下重リン酸アルミニウム50%溶液を重量%で1/500〜1/50になるように添加反応させ、未反応水ガラスのナトリウムイオンを亜鉛塩及びアルミニウム塩、または他の金属塩かシュウ酸及びその緩衝液などの有機酸で処理してケイ酸塩ビヒクルを得、このビヒクルに亜鉛及び銅またはその合金微粉末と亜酸化銅、金属酸化物、希土類酸化物、金属リン酸塩、ゼオライト、マグネシア、タルク、カオリン、ケイ藻土及び顔料、硬化剤の混合粉末を加えることを特徴とする1液1固相ケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料の製造方法。
【請求項2】前記ケイ酸塩にミョウバン(アルミニウム、クロム、アンモニウム、カリウムミョウバン)を加熱下重量%で1/500〜1/50になるように添加反応させ、この溶液に亜鉛塩または他の金属塩、シュウ酸及びその緩衝液などの有機酸で処理して得たケイ酸塩ビヒクルに亜鉛及び銅またはその合金微粉末と亜酸化銅、金属酸化物、希土類酸化物、金属リン酸塩、ゼオライト、マグネシア、タルク、カオリン、ケイ藻土及び顔料、硬化剤の混合粉末を加えることを特徴とする1液1固相ケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料の製造方法。
【請求項3】カップリング剤及びプライマーを組み合わせることにより、FRP材(ガラス繊維強化プラスチック材)、ナイロン材などの有機材料からなる船舶、漁網、海洋構築物の防汚を特徴とする請求項1または請求項2記載の塗料及び鋼船、木船用防汚防錆塗料。
【請求項4】ビヒクル中に亜鉛及び銅イオンを結合させ亜鉛及び銅イオンの効果により他の添加物なしに防汚性をもたらした1液ケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料。
【請求項5】請求項1及び2による塗料で、光触媒酸化チタン及び顔料からなるケイ酸塩常温硬化無機塗料。
【請求項6】請求項1または請求項2記載の塗料に、金属亜鉛粉末、リン酸アルミニウム化合物、リン酸亜鉛化合物を加えてなる常温硬化無機防錆塗料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水ガラス−金属微粉末、亜酸化銅または光酸化チタン、無機防錆剤(リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛)、抗菌、防カビ機能を有する化合物等を主成分とする防錆防汚無機常温硬化塗料で一般建築物、船舶、海洋構築物、トンネル、貯水池、浄水場、プール、漁網などに利用されるケイ酸塩ビヒクル常温硬化無機塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水ガラスを利用した無機質塗料は熱硬化性塗料として開発された後、化学硬化剤あるいは後処理を伴う自然処理型などがある。
【0003】水ガラス塗料の硬化剤には、ケイ化物、金属酸化物、ポリリン酸、金属粉末などを使用する数多くの特許が知られているが(特開昭47−42927号公報、特開昭48−34935号公報、特開昭49−16690号公報、特開昭50−151221号公報、特開昭50−2031号公報、特公昭49−10546号公報、特公昭46−26331号公報、特公昭50−25482号公報及び特公昭49−10813号公報)、水ガラス系塗料の本質的欠点である耐水性、速成硬化性問題、白化現象、長期防汚性などはいまだ解決されていない。
【0004】一方、重金属イオン交換ゼオライト化合物を利用した塗料などいくつかの防汚塗料が報告されているが、その利用分野は限られている。
【0005】また、有機ケイ素高分子(メチル、エチルシリケ−ト)を加熱処理することにより無機塗膜を形成させる塗料があるが、加熱及び塗膜の物性の経時変化などの問題が解決されていない。
【0006】一方,船舶用塗料として亜酸化銅または有機硫黄化合物、天然抽質物を含む自己研磨塗料、樹脂膜に亜鉛イオンを結合させた自己研磨塗料が実用化されているが、樹脂膜及び金属酸化物のタレ流しなどにより将来的にみて環境の長期汚染が心配される。
【0007】また、光酸化触媒酸化チタンを利用した有機塗料があるが、酸化チタンにより有機塗料の自己光分解作用により、実用化が非常に困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】発明は水ガラスを変性することにより耐水性と防錆防汚性の高い微少多孔性皮膜を実現し、これに防錆及び防汚の有効成分である上記の防錆防汚剤を効率よく分散させ成分の塗膜表面頭だしを可能にすることにより防錆防汚性の高い無機塗料を提供することである。
【0009】また、特別な硬化剤なしに塗布後乾燥過程で数時間で硬化が進行する優れた常温硬化性を兼ね合わせた不燃性無公害無機塗料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、水ガラスM20・nSiO2(n=2〜4)に重リン酸アルミニウムまたはミョウバンを重量%が1/500〜1/50になるように加熱添加し、反応が終わった時点で亜鉛塩をはじめとする金属塩化合物を反応させ、未反応水ガラスのアルカリイオン処理を行った後、シュウ酸及びその緩衝液を加えpHを10〜11になるように調整した。
【0011】このビヒクルに前記の均一にした顔料混合物をまぜ、防錆防汚性のすぐれた塗料を得るようにした。
【0012】顔料混合物は防錆防汚性がよく発揮されるように亜鉛金属30〜90wt%(またはリン酸アルミニウム化合物),亜酸化銅5〜20wt%,顔料10〜25wt%になるようにできる限り均一に混合した。
【0013】また、亜鉛金属、亜酸化銅の代わりに光酸化チタンを20%〜100%、ゼオライトなどの顔料を適量添加して環境浄化用無機塗料とした。
【0014】光酸化チタンの代わりにリン酸金属化合物を加えることにより一般防錆塗料とした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明する。
【0016】(実施例1)モル比(SiO2/M2O)が4であるケイ酸塩6Lに水6Lを加え加熱する。
【0017】重リン酸アルミニウム50%溶液0.01Lを水0.4Lに加えそれを上記溶液に撹拌しながら加えた。
【0018】十分反応させた後、3%硫酸亜鉛溶液0.2Lを加え加熱濃縮し、全量を12Lにした。この溶液にシュウ酸及びその緩衝液を加え、pHが10〜10.5になるように調整した。
【0019】(実施例2)モル比(SiO2/M2O)が4であるケイ酸塩6Lに水5Lを加え加熱する。
【0020】重リン酸アルミニウム50%溶液0.02Lを水0.6Lに加えそれを上記溶液に撹拌しながら加えた。
【0021】十分反応させた後、3%硫酸アルミニューム0.2Lを加え、加熱濃縮し全量を11Lにした。この溶液に酢酸及びその緩衝液を加えpHを10〜10.5になるように調整した。
【0022】(実施例3)モル比(SiO2/M2O)が3であるケイ酸塩6Lに水6Lを加え加熱する。重リン酸アルミニウム50%溶液0.01Lを水0.5Lに加えそれを撹拌しながら加えた。
【0023】十分反応させた後、0.5%シュウ酸溶液0.1Lを加え、加熱濃縮し、全量を12Lにした。
【0024】(実施例4)モル比(SiO2/M2O)が4であるケイ酸塩6Lに水6Lを加え加熱する。
【0025】アンモニウムミョウバン5%溶液1Lを添加反応させその後硫酸亜鉛0.5%溶液または硫酸銅0.5%溶液200mLを加え加熱濃縮し全量を11Lにした。
【0026】この溶液にシュウ酸、及びその緩衝液を加えpHを10.5〜11.0になるように調整した。これらの主反応は次のとうりである。
【0027】
【化学式1】

【0028】実施例1の変成ケイ酸塩ビヒクルに(表1)に示す組成をもつ塗料を作り、ブラスト処理及び防錆処理した鉄板試片3枚に塗り、塗布12時間後海水に浸隻して試験を行った。
【0029】(表1)

【0030】試験結果を(表2a)、(表2b)、(表2c)、(表2d)に示した。試験結果より、この塗料が対照区と比べて優秀な防汚効果を示している。試験期間中錆発生と剥離現象は見られなかった。
【0031】(表2a)付着生物分析結果
【0032】(表2b)付着生物分析結果
【0033】(表2c)付着生物分析結果
【0034】(表2d)付着生物分析結果
【0035】(実施例5)実施例4のケイ酸塩ビヒクルをつかい表3に示した組成をもつ塗料をつくった。
【0036】FRP板3枚をエチールシリケートアミン系プライマーで表面処理したあと表3の塗料を塗布し、海洋実験を行った。
【0037】(表3)

【0038】海洋実験結果を(表4a)、(表4b)、(表4c)、(表4d)に示した。これらの表4で示すように対照区に比べ優秀な防汚性を示した。また試験期間錆の発生は全くなっかた。尚、これらの試験は12ヶ月間の浸漬結果を示すものである。また、表での+は出現を表し、船底塗料は既存の自己研磨塗料である。
【0039】(表4a)付着生物分析結果
【0040】(表4b)付着生物分析結果
【0041】(表4c)付着生物分析結果
【0042】(表4d)付着生物分析結果
【0043】本発明により、従来の船底塗料とは異なるケイ酸塩塗膜からなる新しい防錆防汚塗料を提供することができる。
【0044】この塗料は防錆防汚塗料として船舶、海洋構築物の広い分野で使用することができる。
【0045】(実施例6)実施例1のビヒクルに光酸化チタンを顔料比率30%添加して塗料とした。
【0046】この塗料をガラス板に塗布硬化した試験板でアセトアルデヒド及びアミン分解反応を行った結果は表5及び図1のとうりである。
【0047】これらの結果から本無機塗料が環境浄化塗料として使用されうることが確認された。
【0048】(表5)

【0049】(実施例7)実施例4のビヒクルにリン酸アルミニウム化合物を加えた塗料の防錆試験結果を表6に示した。試験結果より本無機塗料が優秀な防錆性を持っていることが確認された。また、試験結果より付着性と耐衝撃性もなんら問題がないことが確認された。
【0050】(表6)

【0051】(実施例8)実施例2のビヒクルに光酸化チタンを加えガラス板に塗布して抗菌性試験を行った(表7)。
【0052】(表7)

【0053】これらの結果より、この塗料が優秀な抗菌性を発揮することが確認された。
【0054】(実施例9)実施例4のビヒクルを塗布した透明ガラス板の抗菌性試験を行った結果は表8のとうりであった。
【0055】(表8)試料に滴下した試験菌の生菌数測定結果
【0056】この表8に見られる結果は本ビヒクルだけでも抗菌性をはじめとする防汚性機能を持つことを示している。
【0057】
【発明の効果】水ガラス系無機塗料常温硬化型塗料に関する本発明の効果は次の通りである。
【0058】(1)自然環境破壊が進むなか、環境ホルモン及びホルムアルデヒドを始めとする有機化合物を含む有機塗料の見直しが要求されているが、水ガラス系無機塗料はこれらの問題点を一挙に解決する自然環境にやさしい新規の塗料として現未来において重要な塗料となるものと考えられる。
【0059】(2)水ガラス系無機常温硬化塗料の発明は、それ自体の機能性により、防汚防錆用、防菌防かび用、耐熱用、環境浄化用塗料として、広汎に使用され、全く公害を発生しない利点をもつものである。
【0060】(3)水ガラス系塗料常温硬化塗料の発明により作業中のシンナ−中毒や火災などの問題点が解決され、劣化後の塗膜処理においてもほとんど公害問題などを発生しない。
【0061】(4)本発明により豊富な資源・原料を使用することが可能になった。
【0062】(5)本発明により従来困難視されてきた常温硬化問題が解決され、耐水性のよい塗料を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】598137434
【氏名又は名称】有限会社 グリ−ンケミ−
【出願日】 平成10年10月7日(1998.10.7)
【代理人】 【識別番号】100065260
【弁理士】
【氏名又は名称】谷山 守
【公開番号】 特開2000−109723(P2000−109723A)
【公開日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【出願番号】 特願平10−285486