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【発明の名称】 熱可塑性樹脂組成物
【発明者】 【氏名】木下 秀雄

【氏名】水城 堅

【氏名】井島 敏郎

【要約】 【課題】耐衝撃性、耐溶剤性、耐水蒸気透過性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。

【解決手段】(a)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%、(b)主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂5〜95重量%、及び前記(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、少なくとも(c)熱可塑性エラストマー0.5〜100重量部及び(d)ポリフェニレンエーテル樹脂0.5〜100重量部、必要に応じて(e)ガラス繊維を10〜150重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%、(b)主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂5〜95重量%、及び前記(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、少なくも(c)熱可塑性エラストマーを0.5〜100重量部及び(d)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.5〜100重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】 (a)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%、(b)主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂5〜95重量%、及び前記(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、少なくも(c)熱可塑性エラストマーを0.5〜100重量部、(d)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.5〜100重量部及び(e)ガラス繊維を10〜150重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂若しくはポリプロピレン系樹脂である請求項1及び2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】 熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項1及び2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】 スチレン系熱可塑性エラストマーが、芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体である請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】 芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体が、芳香族ビニル単量体含有量40〜80%及び/又は数平均分子量10〜30万である請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】 芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体が、芳香族ビニル単量体/ブタジエン単量体の水素添加ブロック共重合体である請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】 オレフィン系熱可塑性エラストマーが、エチレン単量体/α−オレフィン単量体のランダム共重合体である請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】 ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性エラストマーの1種あるいは2種以上が、これら樹脂の一部若しくは全部が無水マレイン酸で変性された樹脂である請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部品であるラジエータータンク、二次電池用バッテリーケース等の用途等に適した耐衝撃性、耐薬品性、耐水蒸気透過性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車部品であるラジエータータンクには、軽量性、加工性の良さ等が考慮され熱可塑性樹脂が使用されている。熱可塑性樹脂をラジエータータンクに使用する為には、耐衝撃性、耐薬品性、耐水蒸気透過性等の性能が要求される。即ち、使用するエンジン冷却の為のクーラントは、定常状態では100℃付近で循環しているが、エンジン停止時には瞬間的には130℃付近にまで温度が上昇する。従って、高温でのクーラントに耐える必要があり耐薬品性及びクーラント液中の水飛散による減少を防止する為に耐水蒸気透過性等が必要となる。又、衝撃等での破壊に対して安全性を向上させる為に耐衝撃性等も必要となる。
【0003】現在使用されている材料はポリアミド系樹脂であり、通常はガラス繊維(GF)で強化された材料が使用されている。このGF強化ポリアミド樹脂は、耐熱性、耐水蒸気透過性、耐衝撃性には優れている。しかしながら、この現状で使用されているポリアミド樹脂は、大きな問題点含みのまま使用されている。それは、高温のクーラント液で加水分解して大きく強度が低下し、長期安定性に欠けるという問題点である。最近は、エンジンの高性能化等が進み現状以上にクーラントの液温が上昇する傾向にあり、現状で使用されているポリアミド樹脂をそのまま使用することはできず、これに代わる長期安定性のある材料が要求されている。
【0004】又、最近、携帯電話、パソコン、ビデオカメラあるいは電気自動車などの普及に伴い充放電可能な二次電池が脚光を浴びている。これらの収納ケースであるバッテリーケース等に使用する為にも、耐衝撃性、耐薬品性等の性能が要求される。即ち、使用する有機電解液の漏出による周辺機器への悪影響防止の為の耐薬品性、衝撃等での破壊に対して安全性を向上させる為にも耐衝撃性等が必要となる。更に、二次電池の種類によっては、耐水蒸気透過性も必要となる。樹脂材料として種々のものがあるが、現在、これらの用途に適した耐衝撃性、耐薬品性、耐水蒸気透過性等の性能を合わせ持った材料が知られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記の如き状況に鑑み、これにごだわる訳ではないが、主として自動車部品であるラジエータータンク、二次電池用バッテリーケース等の用途に適した耐衝撃性、耐溶剤性、耐水蒸気透過性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記特性を有する材料を開発すべく、鋭意検討を重ねた結果、少なくともポリオレフィン系樹脂、主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂及び、これに熱可塑性エラストマー及びポリフェニレンエーテル樹脂を一定量配合することにより、耐溶剤性、耐水蒸気透過性に優れ、長期の高温使用においても機械的強度低下が少なく、且つ耐衝撃強度も優れ、更にガラス繊維強化時、耐熱性、耐衝撃強度、剛性向上の効果も高く、ラジエータータンクあるいはバッテリーケース等の用途に適した材料となることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】又、熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーである場合は、耐衝撃強度向上効果が高く、又、特にスチレン系熱可塑性エラストマーが水素添加芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体であり、オレフィン系熱可塑性エラストマーがエチレン単量体/α−オレフィン単量体のランダム共重合体である時、二重結合を含む熱可塑性エラストマーがゲル化等により成形加工性が劣るあるいは酸化による分子切断で機械的強度が低下するあるいは着色する等で耐候性が劣る等の問題があるのに比して、この芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体あるいはエチレン単量体/α−オレフィン単量体のランダム共重合体は、成形加工安定性に優れ且つ耐候性にも優れ且つ耐衝撃性向上効果も高く、ラジエータータンクあるいはバッテリーケース等に、より適した材料となることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、(a)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%、(b)主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂5〜95重量%、及び前記(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、少なくも(c)熱可塑性エラストマー(好ましくはスチレン系熱可塑性エラストマー及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー、より好ましくはスチレン系熱可塑性エラストマーが芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーがエチレン単量体/α−オレフィン単量体のランダム共重合体)0.5〜100重量部及び(d)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.5〜100重量部含有する熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0009】又、(a)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%、(b)主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂5〜95重量%、及び前記(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、少なくも(c)熱可塑性エラストマーを0.5〜100重量部、(d)ポリフェニレンエーテル樹脂を0.5〜100重量部及び(e)ガラス繊維を10〜150重量部含有する熱可塑性樹脂組成物に関するものでもある。
【0010】以下、本発明を詳しく説明する。まず、本発明組成物の(a)成分であるポリオレフィン系樹脂は、一般にポリオレフィン系樹脂と言われるものはすべて含む。その例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの単独重合体又はこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。代表例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のメタロセン系エチレン−αオレフィン共重合体等のポリエチレン類、ポリプロピレン(PP)、シンディオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレンあるいはプロピレン−エチレンブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリプロピレン類、ポリメチルペンテン−1等を挙げることができる。
【0011】しかしながら、これらの中でも汎用品であり低価格であるHDPE、LDPE、LLDPEよりなるポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの中でもポリプロピレン樹脂が、耐熱性が高く、又自動車材料がポリプロピレン樹脂への統合化の動きの中で最も好ましい。本発明組成物を、例えば自動車部品であるラジエータータンクに利用する場合、使用される不凍液であるクーラントは130℃付近あるいはそれ以上の高温となる。この様な用途に使用する場合は高い耐熱性が要求される。この場合、ポリプロピレン樹脂の中でも、一般のポリプロピレンよりはより高結晶性のポリプロピレン樹脂を使用する時には、この組成物の成型品の耐熱性は高く、より好ましい。
【0012】本発明の(b)成分である主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂は、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明の言う主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂とは、通常はダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはペンタッド(ラセミペンタッド)で30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を挙げることができる。
【0013】なお、ここでポリ(アルキレンスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。又、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等があげられる。これらの内、特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−t−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、更にはスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体が挙げられる。
【0014】本発明の(c)成分である熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。ここでスチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体からなるブロック共重合体、または上記した共役ジエン単量体部分が部分的あるいはすべて水素添加されたブロック共重合体が挙げられる。このブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0015】このブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単量体からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的あるいはすべて水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)m(但し、mは1〜2の整数)のリニアーブロック共重合体や、(SB)pX(但し、pは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体も含む。このなかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好ましい。
【0016】本発明組成物の一つの用途であるラジエータータンクは、屋外で使用されるものである為、耐候性が要求される。ゴム成分としてブタジエンあるいはイソプレンが存在する場合、酸化劣化により分子量低下し、強度低下が起こる。一方、ジエン成分を水素添加した芳香族ビニル単量体/ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体は、耐候性も良く、予想外に耐衝撃性の向上効果があり、特に好ましい。芳香族ビニル単量体/ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体で一般に市販されているものは、数平均分子量10万以下、芳香族ビニル単量体含有量は30%付近のものが多い。これらの材料でも耐衝撃性の向上効果も大きいが、数平均分子量が10万以上のもの、例えば20万のものあるいは芳香族ビニル単量体含有量40%以上のもの、例えば60%のものを単独で使用するあるいは併用すると驚くべきことに顕著に耐衝撃性が上がる。従って、本発明で芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体を使用する場合は、芳香族ビニル単量体の含有量が40〜80%及び/又は数平均分子量が10〜30万のものが好ましい。芳香族ビニル単量体の含有量が40%以下の場合は、顕著な耐衝撃性改良効果がない。芳香族ビニル単量体の含有量が80%以上の場合は、ゴム弾性が低下し耐衝撃性改良効果が低下する傾向にある。数平均分子量10万以下の場合は、これも顕著な耐衝撃性改良効果が低い。又、数平均分子量30万以上の場合も、顕著な耐衝撃性改良効果が低い。
【0017】オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、主としてエチレン単量体にエチレン以外の単量体を共重合させることによりゴム状弾性を示すものであれば特に限定されない。エチレン以外の共重合させる単量体の例としては、α−オレフィン、酢酸ビニル(EVA)、アクリル系化合物(EA)等を挙げることができる。この中でα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデゼン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0018】更に、これらエチレン単量体とα−オレフィン単量体に加えて非共役系ジエン単量体、例えばシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等を共重合したオレフィン系熱可塑性エラストマーも挙げられる。これらの中でもエチレン単量体と炭素数4〜10のα−オレフイン単量体との共重合体、特にエチレン単量体とプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン単量体との共重合体で且つそのエチレン単量体/α−オレフィン単量体の重量比が、90/10〜50/50、好ましくは80/20〜60/40の共重合体がゴム状弾性に富み、工業的にも入手しやすく、二重結合も含まず耐候性に優れ好ましい。
【0019】本発明の(d)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記の一般式を繰り返し単位とし、構成単位が〔a〕又は〔b〕からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
【化1】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5,R6は同時に水素ではない。nは好ましくは50〜500、更に好ましくは100〜450の整数である。)
【0020】ポリフェニレンエーテル系樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0021】ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。本発明の熱可塑性樹脂組成物には、例えば、ラジエータータンクの様に剛性が要求される用途には(e)成分であるガラス繊維を混入させることもある。この際使用するガラス繊維は、一般に樹脂強化用のガラス繊維が使用される。強化用のガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス、ECRガラス等が挙げられる。太さは、この太さに限定はされないが、通常5〜25μ程度のものを使用するのが好ましい。このガラス繊維で強化する場合、樹脂との接着性が大きいことは、剛性、耐衝撃性等アップの為に重要である。
【0022】この樹脂との接着性を向上する為には、例えば、事前に使用するガラス繊維をアミノシラン等のカップリング剤で前処理したものを使用するあるいは使用する樹脂にガラスと接着性の高い材料、例えば無水マレイン酸変性処理あるいはメタクリル酸、アクリル酸等の極性モノマーをグラフトする等極性基を分子内に持つポリマーを併用する方法等が採用できる。これらの方法は単独で実施しても良いし又組み合わせてしようすることも可能である。この中でも特に無水マレイン酸変性処理したポリマーを使用する方法は、(a)成分であれば無水マレイン酸変性ポリプロピレン、(c)成分であれば無水マレイン酸変性芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体の水素添加ブロック共重合体あるいは(d)成分であれば無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテルを各々の成分に併用することができ、同種の成分である為に、マレイン酸化無しの成分とマレイン酸化有りの成分との相溶性もよく且つガラス繊維との密着性も向上させることができる為好ましい。なお、これら無水マレイン酸変性材料は一種を添加しても良いし、又2種以上を組み合わせて添加しても良い。添加量は、各種基本成分材料の0.1〜100重量%である。例えば、(a)成分であればポリプロピレンの0.1〜100重量%を無水マレイン酸変性ポリプロピレンで置き換える。なお100重量%は、使用するポリプロピレンの全部を無水マレイン酸変性ポリプロピレンで置き換えることを意味する。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(a)成分であるポリオレフィン系樹脂、(b)成分である主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂、(c)成分である熱可塑性エラストマー及び(d)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂を主成分としたものであり、又、必要に応じて(e)成分であるガラス繊維を主成分としたものであるが、この内(a)と(b)との配合割合は、(a)成分95〜5重量%、(b)成分5〜95重量%、好ましくは(a)成分90〜10重量%、(b)成分10〜90重量%、更に好ましくは(a)成分80〜20重量%、(b)成分20〜80重量%である。(a)成分が95重量%以上の場合は、耐薬品性付与の効果が充分でない。又、(a)成分が5重量%以下の場合は、水蒸気透過性等の特性付与が充分でない。
【0024】(c)成分と(d)成分は、耐衝撃性を上げる効果がある。個々の成分の添加、特に(c)成分の添加は、耐衝撃性を上げる効果はあるものの、理由は不明であるが驚くべきことに両者を併用した時に、著しく耐衝撃性を上げる効果がある。(c)成分は、(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、0.5〜100重量部、好ましくは5〜75重量部、更に好ましくは10〜50重量部含有することが必要である。0.5重量部以下の場合は、耐衝撃性向上効果が乏しい。100重量部以上の場合は、ゴム状弾性が大きく引張強度に欠ける。(d)成分は、(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜25重量部含有することが必要である。0.5重量部以下の場合は、耐衝撃性向上効果が乏しい。(d)量を上昇していくと耐衝撃性は向上していくが、量が多すぎると逆に低下していく。100重量部以上の場合は、耐衝撃性向上の効果は小さい。
【0025】剛性、耐衝撃性、耐熱性等を更に向上させたい用途で必要に応じて使用する(e)成分は、それを使用する場合(a)成分と(b)成分との合計100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは20〜100重量部、更に好ましくは30〜75重量部含有することが必要である。本発明の組成物は、上記の(a)、(b)、(c)及び(d)必要に応じて(e)を主成分とするものであるが、本発明の目的を阻害しない限り、各種の添加剤あるいは本発明成分と異なる樹脂等を必要に応じて配合することができる。添加剤としては、例えば、亜リン酸エステル系、リン酸エステル系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、脂肪族カルボン酸エステル系、パラフィン系の滑剤、難燃剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。又、ガラス繊維以外の無機充填剤、例えば、ガラスピーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、カーボンブラック、硝酸カルシュウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ、アスベスト、タルク、クレー、マイカ、石英粉、金属粉等も配合することができる。
【0026】本発明成分と異なる樹脂としては、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、耐熱性ポリスチレン(例えば、α−メチルスチレン重合体あるいは共重合体等)等のスチレン系樹脂、6−ナイロン、6,6ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET、PBT等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂等を挙げることができる。特に、ポリスチレン(GPPS)及び耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)は、本発明の樹脂組成物の性能が用途によって過度な場合に稀釈剤として併用するあるいは流動性が劣る場合には流動性改良の補助剤として使用することもある。
【0027】本発明の組成物は、上記の(a)、(b)、(c)及び(d)必要に応じて(e)を主成分とし、更に必要に応じて各種の所望成分を配合し、適宜温度、例えば250〜320℃で混練することによって得ることができる。この際の配合及び混練の方法は、通常実施されている一般的な方法で実施するが、具体的には、ニーダー、ミキシングロール、押出機、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサーや混練ロール等による溶融混練法あるいは溶液ブレンド法を挙げることができる。図1は、本発明の代表的な熱可塑性樹脂組成物のモルフォロジーの一例を示す電子顕微鏡写真であり、左図は100,000倍、右図は25,000倍の写真である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐溶剤性、耐水蒸気透過性に優れる。この組成物は、これを、例えば射出成形機等で成形加工した成形品は、自動車のラジエーター周りの部品、例えばラジエータータンク、二次電池用のバッテリーケース等の他本発明組成物の特性を生かせる種々の用途に使用することができる。
【0028】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例で使用した材料及び評価方法は、下記に示す通りである。
1.材料・ポリプロピレン−A:日本ポリオレフィン(株)製「SSA510B」[結晶化度、60%]
ポリプロピレン−B:チッソ(株)製「HCCP K5016」[結晶化度、70%]
・ポリエチレン:旭化成工業(株)製「サンテックHD・J340」
・シンデオタクティクポリスチレン:下記の方法で製造した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン/ブタジエンの水素添加ブロック共重合体):旭化成工業(株)製「タフテック:商品名」
A;スチレン含有量30%、数平均分子量6万B;スチレン含有量60%、数平均分子量8万C;スチレン含有量33%、数平均分子量20万D:スチレン含有量30%、数平均分子量5万(無水マレイン酸処理品)
・オレフィン系熱可塑性エラストマー:ダウケミカル製「エンゲージ8100」(エチレン/オクテン共重合体、オクテン量24重量%)
・ポリフェニレンエーテル樹脂:旭化成工業(株)製ポリフェニレンエーテルパウダー(ηsp/c0.43<クロロホルム>)
・ガラス繊維:日本板ガラス(株)製アミノシラン処理ガラス繊維(太さは13ミクロン)
【0029】(シンジオタクチックポリスチレンの製造)反応機として栗本鉄工所製KRC(内容積8.6l、ブレード径100mm、シリンダー有効長1000mm、パドル数44組、シリンダー内壁とパドルとのクリアランス1mm)を5度傾斜させ、内部温度を80℃に制御し、回転数を60rpmとした。この反応機にスチレンモノマーを1l/hrの割合で供給するとともに触媒としてメチルアルミノキサンを75ミリモル/hr、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシドを0.15ミリモル/hrの割合で供給しながら5時間重合を実施した。得られたシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は2950gであった。また、重合体のラセミペンタッドでのシンジオタクシティーは97%であった。このシンジオタクチックポリスチレンの数平均分子量は30万であった。
【0030】2.評価方法(1) アイゾット衝撃強度:ASTM−D256(2) 曲げ強さ:ASTM−D790(3) 引っ張り強度:ASTM−D638(4) 耐熱性(HDT):ASTM−D648(5) 耐薬品性:用途としてラジエータータンク用に適性があるかの評価を実施した。具体的には、130℃に加熱したエチレングリコールを主成分とする不凍液(トヨタ純正、ロングライフクーラント)の50%水溶液中に試験片を250時間浸漬した。アイゾットの変化率、即ち[(初期値−浸漬後)/(初期値)]×100が10%以下を○、10%以上を×とした。
(6) 耐水蒸気透過性:用途としてラジエータータンク用に適性があるかの評価を実施した。具体的には、直径3cmの70ccのオートクレープに上記エチレングリコールを主成分とする不凍液の50%水溶液を約50cc入れ、上部を厚み2mmの成形シートで液が漏れない様に治具で固定した。130℃に設定した熱風乾燥機中にこの成形シート面を下にして1週間保持した。この時の重量変化より水蒸気透過性を評価した。不凍液の重量変化率、即ち[重量減量/初期仕込み不凍液重量]×100が、0.1%以下を○、0.1%以上を×とした。
【0031】
【実施例1〜13、比較例1〜4】表1、2記載の成分・組成でブレンドし、ベント付き2軸押出機を使用して樹脂温度280〜300℃で溶融混練しペレタイズした。得られた組成物を樹脂温度280℃、金型温度150℃にて射出成形機を用いて試験片を作成し、物性評価を実施した。結果を表1、2に示す。
【0032】
【実施例14】ポリプロピレンAをポリプロピレンBに変えること以外は実施例12と同一にした。この成形品の耐熱性(HDT)は、129℃であった。一方、ポリプロピレンAを使用した実施例12の成形品の耐熱性(HDT)は、115℃であった。なお、この耐熱性(HDT)の評価条件は、18.5kg荷重、厚み1/8インチ、昇温スピード120℃/hrで実施した。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【発明の効果】ポリオレフィン系樹脂、主としてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂、熱可塑性エラストマー及びポリフェニレンエーテル樹脂を一定量配合することにより、耐溶剤性、耐水蒸気透過性に優れ、長期の高温使用においても機械的強度低下が少なく、且つ耐衝撃強度も優れ、更にガラス繊維強化時には耐熱性、耐衝撃強度、剛性向上の効果も高く、ラジエータータンクあるいはバッテリーケース等の用途に適した材料を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年4月23日(1999.4.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−143891(P2000−143891A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平11−116108