トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 樹脂組成物
【発明者】 【氏名】米沢 順

【氏名】仲二見 裕美

【要約】 【課題】軟質性、耐応力白化性、曇り度、耐スクラッチ性、低温衝撃性のバランスに優れるポリオレフィン系樹脂組成物の提供。

【解決手段】ポリオレフィン系樹脂 100重量部に、ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと水素添加された重合体ブロックBから構成され、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体において、(a)ビニル結合量の平均がVaの範囲にある水素添加ブロック共重合体 1〜100重量部Va=(Xa−Ya)*Z+Ya〔Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)、62≦Xa<99、35≦Ya<99〕及び(b)ビニル結合量の平均がVbの範囲にある水素添加ブロック共重合体 1〜100重量部Vb=(Xb−Yb)*Z+Yb〔10≦Xb<62、1≦Yb<35〕を配合してなる樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)ポリオレフィン系樹脂 100重量部、(2)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体において、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均が、以下の式中のXa,Ya,Zで定められるVaの範囲にある水素添加ブロック共重合体(a)1〜100重量部Va=(Xa−Ya)*Z+Ya[ただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、62≦Xa<99であり、35≦Ya<99である。]
(3)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体において、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均が、以下の式中のXb,Yb,Zで定められるVbの範囲にある水素添加ブロック共重合体(b)1〜100重量部Vb=(Xb−Yb)*Z+Yb[ただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、10≦Xb<62であり、1≦Yb<35である。]よりなる樹脂組成物【請求項2】(ア)ポリオレフィン系樹脂 100重量部と(イ)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体 1〜200重量部よりなる樹脂組成物のルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡写真において、染色された粒状粒子が単独で分散する形態(形態1)と、染色された部分が凝集した粒子状の形態(形態2)を同時に有することを特徴とする樹脂組成物【請求項3】(ア)ポリオレフィン系樹脂 100重量部と(イ)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体 1〜200重量部よりなる樹脂組成物のルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡写真において、染色された粒状粒子が単独で分散する形態(形態1)と、染色された部分が凝集した粒子状の形態(形態2)を同時に有し、形態1の数平均粒径が50nm以下であり、形態1と形態2の数平均粒径の比(形態2の数平均粒径/形態1の数平均粒径)の値が1.5以上50万以下であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物【請求項4】 請求項1、2、3記載の樹脂組成物よりなるシート又はフィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定構造の2種類の水素添加ブロック共重合体を添加することにより、または特定の分散形態を達成することによりポリオレフィン系樹脂の軟質性、応力白化性、曇り度、耐スクラッチ性、低温衝撃性のバランスを改良した樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂組成物は、一般に耐薬品性、機械的特性に優れているため、包材、雑貨、機械部品、自動車部品など広範に使用されている。また、最近、環境問題に対する必要性から非ハロゲン系の透明高分子材料の開発が進んでおり、特にシート、フィルム分野においてはポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化させる要求が出ている。ポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化させるためには、ポリプロピレン系樹脂にエラストマーを添加する方法が用いられているが、例えばオレフィン系エラストマーを添加した場合組成物の軟質性は向上するが耐応力白化性、曇り度は満足のいくものではなかった。また、近年自動車内装材の被覆材として非ハロゲン系樹脂であるポリプロピレンを主体とする材料が開発されており、軟質性、低温衝撃性、流動性、耐スクラッチ性が要求されている。一般に軟質性を付与するためにポリプロピレン系樹脂にオレフィン系エラストマーを添加したものが用いられているが、低温衝撃性、耐スクラッチ性に満足いく物が得られていないのが現状であった。
【0003】また、耐応力白化性の改善を目的として特開平6−287365にはポリプロピレンと水添ジエン系共重合体よりなる組成物が提案されている。しかしながら、この方法で得られたフィルムは低温時にフィルムが破れやすい、または射出成型品も低温時に脆性的に破壊してしまうなど、低温衝撃性に劣り改善が要求されており、また軟質性、曇り度も満足のいくものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は軟質性、耐応力白化性、曇り度、耐スクラッチ性、低温衝撃性のバランスに優れるポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ある条件式で規定されるビニル結合量の範囲が異なる2種類の水素添加ブロック共重合体とポリオレフィン系樹脂との樹脂組成物、または、ある特定の分散形態を有する水素添加ブロック共重合体とポリオレフィン系樹脂との樹脂組成物が上記課題を効果的に解決することを見いだし本発明を完成するに至った。即ち本発明における第1の発明は、(1)ポリオレフィン系樹脂 100重量部、(2)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体において、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均が、以下の式中のXa,Ya,Zで定められるVaの範囲にある水素添加ブロック共重合体(a)1〜100重量部Va=(Xa−Ya)*Z+Ya[ただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、62≦Xa<99であり、35≦Ya<99である。]
(3)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、90%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体において、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均が、以下の式中のXb,Yb,Zで定められるVbの範囲にある水素添加ブロック共重合体(b)1〜100重量部Vb=(Xb−Yb)*Z+Yb[ただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、10≦Xb<62であり、1≦Yb<35である。]よりなる樹脂組成物である。
【0006】また第2の発明は(ア)ポリオレフィン系樹脂 100重量部と(イ)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体 1〜200重量部よりなる樹脂組成物のルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡写真において、染色された粒状粒子が単独で分散する形態(形態1)と、染色された部分が凝集した粒子状の形態(形態2)を同時に有することを特徴とする樹脂組成物である。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。本発明はポリオレフィン系樹脂と水素添加ブロック共重合よりなる樹脂組成物において、水素添加前の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量が、ある特定範囲にある2種類の水素添加ブロック共重合体を用いた場合に、軟質性、耐応力白化性、曇り度、低温衝撃性のバランスに優れる組成物が得られることを発見した事による。または、ポリオレフィン系樹脂と水素添加ブロック共重合よりなる樹脂組成物がある特定の分散形態を持つ場合に軟質性、応力白化性、曇り度、低温衝撃性のバランスに優れる組成物が得られることを発見した事による。
【0008】一般にポリオレフィン系樹脂に低温衝撃性を付与するためには、エラストマーを添加する方法がある。しかしながらこの方法を用いて十分な低温衝撃性を付与した場合には、耐応力白化性、曇り度に劣るという問題点を有していた。また、ポリオレフィン系樹脂の軟質性、耐応力白化性、曇り度のバランスを向上させるためには、ポリオレフィン系樹脂と相容性の高いエラストマーを添加する方法がある。しかしながらこの方法を用いた場合には、低温衝撃性が悪化するという問題点を有していた。
【0009】我々は、ある特定構造の2種類の水素添加ブロック共重合体をポリオレフィン系樹脂に添加する事により、低温衝撃性と軟質性、耐応力白化性、曇り度という相反する性質を持たせることに成功した。また、ポリオレフィン系樹脂と水素添加ブロック共重合体よりなる組成物において分散形態をある特定の状態にする事により、低温衝撃性と軟質性、耐応力白化性、曇り度という相反する性質を持たせることに成功した。
【0010】以下本発明を更に詳しく説明する。本発明の第1の発明に使用される(1)ポリオレフィン系樹脂とはエチレン、炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン等から1種以上選ばれる単量体を重合して得られる樹脂であればいずれでもよいが、なかでも、エチレン、ブテン、メチルペンテン、プロピレンの単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体、またはこれらの混合物があげられ、分子量、組成の異なる物を混ぜることもできる。好ましいのはプロピレンの単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂の立体規則性はアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックいずれでもよく、プロピレンのブロック、ランダム共重合体のコモノマーとしてはプロピレン以外のα−オレフィン類、エチレンが用いられる。これら共重合体中のプロピレン含量は55モル%以上が望ましい。エチレンもしくはα−オレフィンをコモノマーに用いたプロピレンブロック共重合体にあっては、ホモプロピレンブロックを連続相としてエチレン/α−オレフィンブロックが分散相を形成しているが、この分散相成分の含量はプロピレンブロック共重合体の5〜30重量%が望ましい。この分散相中にはポリエチレンが含まれていても良い。また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210L条件に準拠)は0.1〜200g/10分の範囲にあることが望ましい。ポリオレフィン系樹脂の重合方法は従来公知の方法いずれでもよく、遷移重合、ラジカル重合、イオン重合等があげられる。
【0011】本発明の第1の発明に使用される(2)の水素添加ブロック共重合体(a)はビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成される。ビニル芳香族化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。上記ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物単量体単位含量は5重量%を越え80重量%未満である事が好ましく、6重量%以上31重量%以下であることがさらに好ましく、11重量%以上15重量%未満であることがとりわけ好ましい。5重量%以下であるとペレットブロッキング性が悪化し成形が困難になり、80重量%以上であると軟質性が極端に低下する。ビニル芳香族化合物単量体単位含量は核磁気共鳴装置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定できる。本発明における「主体とする」という言葉は例えば「ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする」の場合、ビニル芳香族単量体の1種または2種以上からなる場合、もしくはこれらとリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、重合体ブロックAが複数個ある場合はそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。
【0012】共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれる。また、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均は、以下の式中のXa,Ya,Zで定められるVaの範囲になければならない。
【0013】Va=(Xa−Ya)*Z+YaただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、Xaの値は62≦Xa<99の範囲にあり、好ましい範囲としては65≦Xa<99であり、更に好ましくは68≦Xa<99であり、とりわけ好ましくは70<Xa<77である。62未満の場合、耐応力白化性、曇り度に劣り、99以上の場合低温衝撃性に劣る。。また、Yaの値は35≦Ya<99の範囲にあり、好ましい範囲としては45≦Ya<99であり、更に好ましくは48≦Ya<99であり、とりわけ好ましくは50<Ya<99である。35未満の場合、耐応力白化性、曇り度に劣り、99以上の場合低温衝撃性に劣る。また軟質性、耐応力白化性、曇り度、低温衝撃性のバランスの点からZの値は0.1≦Z≦1.0であることが望ましく、0.5≦Z≦1.0であることがさらに望ましく、0.8≦Z≦1.0であることがとりわけ望ましい。
【0014】本発明の水素添加ブロック共重合体(a)は、水素添加される前の重合体ブロックB中のオレフィン性不飽和二重結合のうち80%以上が水素添加されたものであり、好ましい範囲は90%以上である。80%未満であると熱、光などにより劣化をおこしリサイクル性が低下する。また、ブロックA中のビニル芳香族化合物のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物全体において20%までは水素添加されていても良い。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
【0015】本発明の第1の発明に使用される(3)の水素添加ブロック共重合体(b)はビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成される。ビニル芳香族化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。上記ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物単量体単位含量は5重量%を越え80重量%未満である事が好ましく、6重量%以上31重量%以下であることがさらに好ましく、15重量%以上21重量%未満であることがとりわけ好ましい。5重量%以下であるとペレットブロッキング性が悪化し成形が困難になり、80重量%以上であると軟質性が極端に低下する。ビニル芳香族化合物単量体単位含量は核磁気共鳴装置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定できる。本発明における「主体とする」という言葉は例えば「ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする」の場合、ビニル芳香族単量体の1種または2種以上からなる場合、もしくはこれらとリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、重合体ブロックAが複数個ある場合はそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。
【0016】共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれる。また、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけるビニル結合量の平均は、以下の式中のXb,Yb,Zで定められるVbの範囲になければならない。
【0017】Vb=(Xb−Yb)*Z+YbただしZは水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる以下の値である。
Z=(ブタジエン単量体の量)/(ブタジエン単量体の量+イソプレン単量体の量)
また、Xbの値は10≦Xb<62の範囲にあり、好ましい範囲としては20≦Xb<62であり、更に好ましくは33≦Xb<59であり、とりわけ好ましくは40≦Xb<58である。10未満または62以上の場合、低温衝撃性に劣る。また、Ybの値は1≦Yb<35の範囲にあり、好ましい範囲としては1≦Yb<30であり、更に好ましくは1≦Yb<20であり、とりわけ好ましくは1≦Yb<10である。1未満または35以上の場合、低温衝撃性に劣る。また軟質性、耐応力白化性、曇り度、低温衝撃性のバランスの点からZの値は0.1≦Z≦1.0であることが望ましく、0.5≦Z≦1.0であることがさらに望ましく、0.8≦Z≦1.0であることがとりわけ望ましい。
【0018】本発明の水素添加ブロック共重合体(b)は、水素添加される前の重合体ブロックB中のオレフィン性不飽和二重結合のうち80%以上が水素添加されたものである。好ましい範囲は90%以上である。80%未満であると熱、光などにより劣化をおこしリサイクル性が低下する。また、ブロックA中のビニル芳香族化合物のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物全体において20%までは水素添加されていても良い。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
【0019】本発明でいう「ビニル結合量の平均」とはブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体が1,2結合、及び/または3,4結合で重合している量の平均を示し、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックが複数個ある場合は、複数個の重合体ブロックにおける平均を示す。ビニル結合量は赤外分析を用いたハンプトン法、核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。またZの値は、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体を主体とする重合体ブロックが複数個ある場合は、複数個の重合体ブロックにおけるブタジエン単量体の量(モル%)とイソプレン単量体の量(モル%)によって決まる。「ブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする」という言葉には、ブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体とリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、ビニル芳香族化合物単量体、ブタジエンとイソプレン以外の共役ジエン化合物、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、複数個ある重合体ブロックBはそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。また、本明細書中で使用される「主体とする」という言葉は該当単量体単位が重合体ブロックにおいて、少なくとも50モル%を越え、好ましくは70モル%以上を占めることを意味する。
【0020】また、水素添加ブロック共重合体のJIS K7210に準拠し温度230℃、荷重2.16Kgの条件で求めたメルトフローレート値(MFR)は0.1g/10分以上200g/10分未満の範囲にあることが望ましい。本発明において水素添加ブロック共重合体の構造は、例えば線状、分岐状、放射状、櫛形状などいかなる形態をとっても構わないが、少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成される事が好ましい。水素添加ブロック共重合体(a)、(b)の構造は同じであっても異なっていても構わない。また、末端にあるブロックの少なくとも1個が重合体ブロックBであることが更に好ましい。好ましい構造としてはA−B−A−B、B−A−B−A−B、(B−A−B)n−xがあげられる(ここでnは2以上の整数、xはカップリング剤残基を示す)。また、各ブロックの境界がランダム共重合をしている場合、その組成が徐々に変わっていくテーパー構造も含まれる。
【0021】末端にある重合体ブロックBはそれぞれ水素添加ブロック共重合体中で占める割合が、0.1重量%以上9.1重量%未満である事が好ましい。例えばA−B−A−Bの構造をとる場合、末端にある重合体ブロックBが全体に占める割合は0.1重量%以上9.1重量%未満の範囲にある事が好ましい。また例えばB1−A−B2−A−B3(B1、B2、B3:水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロック)の構造をとる場合、末端にある重合体ブロックB1が全体に占める割合は0.1重量%以上9.1重量%未満の範囲にあることが好ましく、また他方の末端にある重合体ブロックB3も全体に占める割合は0.1重量%以上9.1重量%未満の範囲にあることが好ましい。また、カップリングにより本発明の水素添加ブロック共重合体を得る場合、カップリング前の成分は水素添加ブロック共重合体中に50重量%未満含むことができる。50重量%以上になると組成物のフィルムブロッキング性を悪化させる。
【0022】水素添加ブロック共重合体は例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−14979号公報、特公昭49−36957号公報などに記載された方法で本発明の範囲になるように製造することができる。これらは炭化水素溶剤中でアニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、ビニル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン等のエーテル化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミン、必要に応じカップリング剤としてエポキシ化ダイズ油、四塩化ケイ素、ジメチルジクロルシラン、安息香酸エチル、安息香酸フェニル等の多官能性化合物を用い、ビニル芳香族単量体とブタジエン単量体をブロック共重合する方法であり、直鎖状、分岐状、あるいは放射状の構造を有するブロック共重合体として得られる。
【0023】上記のブロック共重合体を、公知の方法、例えば、特公昭42−87045号公報に記載の方法で水素添加することにより、本発明の水素添加ブロック共重合体は得られる。本発明で用いる水素添加ブロック共重合体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応により変性させ、官能基を含有したものを1部、または全部含んでいてもかまわない。また、構造、及びまたは組成が異なる他の水素添加ブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、天然ゴム、スチレンブタジエンランダムゴム、スチレンブタジエンブロックゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、と併用しても構わない。中でもオレフィン系エラストマーとの併用が好ましい。オレフィン系エラストマーとしては、配位アニオン重合を用いてエチレンとα−オレフィン、またはそれらと非共役ジエンとを共重合する事によって得られるエチレン−α−オレフィン系共重合体を挙げることができる。エチレン−α−オレフィン系共重合体としてはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、オクテン、などを共重合したものであればいずれでも良く、これらα−オレフィンは単独でも、2種以上を併せて用いても良い。α−オレフィンの量は10wt%以上90wt%以下である事が望ましい。これらエチレン−α−オレフィン系共重合体の重合方法はいずれの方法でも構わないが、活性点が均一であるメタロセン触媒で重合した物が望ましい。またα−オレフィンと非共役ジエンを共重合させることも可能であり、かかる共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボナジネン、5−メチル−2−ノルボネン、5−エチリデン−2−ノルボネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボネン、シクロオクタジエン、シクロヘキサジエン、ビニルシクロヘキサン、6−メチル−4,7,8,9,−テトラヒドロインデン、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,8−ナノジエン、1,9−デカンジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ナノジエン等が挙げられる。
【0024】本発明の水素添加ブロック共重合体は必要に応じて好ましくはそのペレットに、ペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合する事ができる。ペレットブロッキング防止剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等があげられる。好ましい量としては水素添加ブロック共重合体ペレットにたいして500ppm〜6000ppmである。さらに好ましい量としては水素添加ブロック共重合体ペレットにたいして1000ppm〜5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤はペレット表面に付着した状態が効果が高いが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
【0025】本発明の第1の発明の樹脂組成物は、(1)ポリオレフィン系樹脂、100重量部と(2)水素添加ブロック共重合体(a)、1〜100重量部(3)水素添加ブロック共重合体(b)、1〜100重量部よりなる組成物であり、好ましくは(1)ポリオレフィン系樹脂、100重量部と(2)水素添加ブロック共重合体(a)、1〜80重量部(3)水素添加ブロック共重合体(b)、1〜80重量部よりなる組成物であり、さらに好ましくは(1)ポリオレフィン系樹脂、100重量部と(2)水素添加ブロック共重合体(a)、1〜50重量部(3)水素添加ブロック共重合体(b)、1〜50重量部よりなる組成物であり、とりわけ好ましくは(1)ポリオレフィン系樹脂、100重量部と(2)水素添加ブロック共重合体(a)、1〜30重量部(3)水素添加ブロック共重合体(b)、1〜30重量部よりなる組成物である。水素添加ブロック共重合体(a)、(b)の合計の量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対して2重量部未満であると軟質性に劣り、200重量部を越えると成形後にフィルム同士がブロッキングをおこし成形材料として利用することができない。また、水素添加ブロック共重合体(a)と水素添加ブロック共重合体(b)の量の比率は(a)/(b)が0.01以上100以下であることが好ましく、0.02以上50以下であることがさらに好ましく、1以上20以下であることがとりわけ好ましい。0.01未満であると軟質性、耐応力白化性、曇り度に劣り、100を越えると低温衝撃性におとる。
【0026】本発明における第2の発明は(ア)ポリオレフィン系樹脂 100重量部と(イ)ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、80%以上が水素添加された水素添加ブロック共重合体 1〜200重量部よりなる樹脂組成物のルテニウム酸染色法による透過型電子顕微鏡写真において、染色された粒状粒子が単独で分散する形態(形態1)と、染色された部分が凝集した粒子状の形態(形態2)を同時に有することを特徴とする樹脂組成物である。この分散形態のイメージを図1に示す。
【0027】この特定の分散形態を達成することにより、軟質性、耐応力白化性、曇り度、低温衝撃性に優れる樹脂組成物を供給できる。また本発明の第2の発明である特定の分散形態を達成するための手段の一つとしては本発明における第一の発明があげられる。本発明の第2の発明においては形態1の数平均粒径が50nm以下である事が好ましく、さらに好ましい範囲としては30nm以下である。50nmを越えると軟質性、耐応力白化性、曇り度が悪化する。また形態1と形態2の数平均粒径の比(形態2の数平均粒径/形態1の数平均粒径)の値が1.5以上50万以下であることが好ましく、2以上50万以下であることが更に好ましく、3以上50万以下であることがとりわけ好ましい。1.5未満であると低温衝撃性が悪化し、50万を越えると耐応力白化性、曇り度が悪化する。(ア)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(イ)水素添加ブロック共重合体の量が1重量部未満であると軟質性に劣り、200重量部を越えると成形後にフィルム同士がブロッキングをおこし成形材料として利用することができない。好ましい量としては(ア)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(イ)水素添加ブロック共重合体の量が1重量部以上160重量部以下であり、更に好ましい量としては(ア)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(イ)水素添加ブロック共重合体の量が1重量部以上100重量部以下であり、とりわけ好ましい量としては(ア)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(イ)水素添加ブロック共重合体の量が1重量部以上60重量部以下である。
【0028】本発明の第2の発明に使用される(ア)ポリオレフィン系樹脂とはエチレン、炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン等から1種以上選ばれる単量体を重合して得られる樹脂であればいずれでもよいが、なかでも、エチレン、ブテン、メチルペンテン、プロピレンの単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体、またはこれらの混合物があげられ、分子量、組成の異なる物を混ぜることもできる。好ましいのはプロピレンの単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂の立体規則性はアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックいずれでもよく、プロピレンのブロック、ランダム共重合体のコモノマーとしてはプロピレン以外のα−オレフィン類、エチレンが用いられる。これら共重合体中のプロピレン含量は55モル%以上が望ましい。エチレンもしくはα−オレフィンをコモノマーに用いたプロピレンブロック共重合体にあっては、ホモプロピレンブロックを連続相としてエチレン/α−オレフィンブロックが分散相を形成しているが、この分散相成分の含量はプロピレンブロック共重合体の5〜30重量%が望ましい。この分散相中にはポリエチレンが含まれていても良い。また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210L条件に準拠)は0.1〜200g/10分の範囲にあることが望ましい。ポリオレフィン系樹脂の重合方法は従来公知の方法いずれでもよく、遷移重合、ラジカル重合、イオン重合等があげられる。
【0029】本発明の第2の発明に使用される(イ)の水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成される。ビニル芳香族化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。上記ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物単量体単位含量は5重量%を越え80重量%未満である事が好ましく、6重量%以上31重量%以下であることがさらに好ましく、11重量%以上21重量%未満であることがとりわけ好ましい。5重量%以下であるとペレットブロッキング性が悪化し成形が困難になり、80重量%以上であると軟質性が極端に低下する。ビニル芳香族化合物単量体単位含量は核磁気共鳴装置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定できる。本発明における「主体とする」という言葉は例えば「ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする」の場合、ビニル芳香族単量体の1種または2種以上からなる場合、もしくはこれらとリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、重合体ブロックAが複数個ある場合はそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。
【0030】共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれる。「ブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする」という言葉には、ブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体とリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、ビニル芳香族化合物単量体、ブタジエンとイソプレン以外の共役ジエン化合物、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、複数個ある重合体ブロックBはそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。また、本明細書中で使用される「主体とする」という言葉は該当単量体単位が重合体ブロックにおいて、少なくとも50モル%を越え、好ましくは70モル%以上を占めることを意味する。
【0031】本発明の水素添加ブロック共重合体(イ)は、水素添加される前の重合体ブロックB中のオレフィン性不飽和二重結合のうち80%以上が水素添加されたものであり、好ましい範囲は90%以上である。80%未満であると熱、光などにより劣化をおこしリサイクル性が低下する。また、ブロックA中のビニル芳香族化合物のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物全体において20%までは水素添加されていても良い。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
【0032】また、水素添加ブロック共重合体のJIS K7210に準拠し温度230℃、荷重2.16Kgの条件で求めたメルトフローレート値(MFR)は0.1g/10分以上200g/10分未満の範囲にあることが望ましい。本発明において水素添加ブロック共重合体の構造は、例えば線状、分岐状、放射状、櫛形状などいかなる形態をとっても構わないが、少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の水素添加されたブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成される事が好ましい。
【0033】また(イ)の水素添加ブロック共重合体は、水素添加前のブタジエン単量体及び/またはイソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックのビニル結合量の平均、水添率、単量体の種類及び組成、分子量、MFR、ブロック構造が異なっている2種類以上の水素添加ブロック共重合体の混合物であっても構わない。本発明で用いる水素添加ブロック共重合体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応により変性させ、官能基を含有したものを1部、または全部含んでいてもかまわない。また、オレフィン系エラストマー、天然ゴム、スチレンブタジエンランダムゴム、スチレンブタジエンブロックゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、と併用しても構わない。中でもオレフィン系エラストマーとの併用が好ましい。オレフィン系エラストマーとしては、配位アニオン重合を用いてエチレンとα−オレフィン、またはそれらと非共役ジエンとを共重合する事によって得られるエチレン−α−オレフィン系共重合体を挙げることができる。エチレン−α−オレフィン系共重合体としてはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、オクテン、などを共重合したものであればいずれでも良く、これらα−オレフィンは単独でも、2種以上を併せて用いても良い。α−オレフィンの量は10wt%以上90wt%以下である事が望ましい。これらエチレン−α−オレフィン系共重合体の重合方法はいずれの方法でも構わないが、活性点が均一であるメタロセン触媒で重合した物が望ましい。またα−オレフィンと非共役ジエンを共重合させることも可能であり、かかる共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボナジネン、5−メチル−2−ノルボネン、5−エチリデン−2−ノルボネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボネン、シクロオクタジエン、シクロヘキサジエン、ビニルシクロヘキサン、6−メチル−4,7,8,9,−テトラヒドロインデン、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,8−ナノジエン、1,9−デカンジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ナノジエン等が挙げられる。
【0034】本発明における第1または第2の発明の樹脂組成物は、その各成分の組成比に応じて通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整できる。それら混合装置としては、例えばバンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機、等の混練装置があげられ、押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。また本発明の樹脂組成物は射出成形、押し出し成形、圧縮成型、シート成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、スラッシュ成形等、従来公知の成型方法でシート、フィルム、または射出成型品にすることができる。
【0035】本発明における第1または第2の発明の樹脂組成物は、無機充填剤、安定剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、難燃剤、帯電防止剤等を添加する事が出来る。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。安定剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤等が挙げられる。滑剤としてはステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸の金属塩等が挙げられる。
【0036】以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみによって何ら制限されるものではない。
【0037】
【発明の実施の形態】
【0038】
【実施例1〜4、比較例1〜4】(I)各成分(1) ポリプロピレン系樹脂プロピレン単独重合体である日本ポリオレフィン株式会社製PC600S(MFR 7g/10分)を用いた。
(2)水素添加ブロック共重合体(a)及び(3) 水素添加ブロック共重合体(b)
n−ブチルリチウムを開始剤とし、シクロヘキサン溶媒中で、テトラヒドロフランをビニル結合量調節剤として、スチレンとブタジエンをアニオンブロック共重合することにより、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体を重合した。一部共重合体はスチレン、ブタジエンの順にアニオンブロック共重合後、カップリング剤としてジメチルジクロロシランを用いカップリングを行った。次に得られたスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体を、ジ−p−トリスビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウムとn−ブチルリチウムを水素添加触媒として、水素圧5kg/cm2、温度50℃で水素添加を行った。ポリマー構造は、モノマーの仕込量、順序、分子量は触媒量、ビニル結合量はビニル結合量調節剤量及び重合温度、カップリング率はカップリング剤量、水素添加率は水素添加時間を変化させることによりコントロールした。スチレン含有量は、紫外分光光度計(UV)を、ビニル結合量、水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。
【0039】また、sec−ブチルリチウムを開始剤とし、シクロヘキサン溶媒中で、スチレンとイソプレンをリビングアニオンブロック共重合することにより、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体を重合した。次に得られたスチレン−イソプレン系ブロック共重合体を、ナフテン酸ニッケルとトリエチルアルミニウムを水素添加触媒として、水素圧50kg/cm2、温度50℃で水素添加を行った。ポリマー構造は、モノマーの仕込量、順序、分子量は触媒量、ビニル結合量は重合温度、水素添加率は水素添加時間を変化させることによりコントロールした。スチレン含有量は、紫外分光光度計(UV)を、ビニル結合量、水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。各サンプルの構造及び分析値を表1に示した。
(II)樹脂組成物の調整と物性測定表2に示す(1)、(2)、(3)成分ペレットを表2に示した割合でドライブレンドし、得られた混合物を用いて230℃に設定された30mmTダイ単軸押出機により成形を行い、測定用のシートを作成した。厚さはスクリュー回転数、巻き取り速度を変えることにより調整した。得られたシートの室温で1週間保存後の物性測定結果を表2に示した。
【0040】また、脆化温度測定試験片は(1)、(2)、(3)成分ペレットを表2に示した割合でドライブレンドし、得られた混合物を用いて230℃に設定された30mm2軸押出機により溶融混練を行い、さらに230℃に設定された射出成型器により作成することにより得た。物性測定結果を表2に示した。分散形態は次のようにして測定した。得られた各試験片を三塩化ルテニウムに次亜塩素酸ナトリウムを加えて発生する蒸気に浸して染色後、樹脂流れ方向に垂直な断面の切片を電子顕微鏡観察し写真を撮影した。次に形態1、2の粒子をそれぞれ100個選び数平均粒径を求めた。各試験片の形態1、2の数平均粒径は成型方法によらず同じであった。測定結果を表2に示した。又、図2に実施例2で得られた組成物の電子顕微鏡写真を示し、図3、図4に比較例3及び比較例4で得られた組成物の電子顕微鏡写真を示す。
【0041】以下に物性測定の方法を示す。
ヤング率(軟質性の目安):厚さ70μm、幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、引っ張り速度2mm/minでヤング率(歪み0.5%〜1.0%の範囲)を測定した。
応力白化性:厚さ0.4mmのシートに、荷重0.5kg、高さ30cmの条件で径1/2インチのミサイルを落下させ、落下前後の全光線透過率を測定した。
ΔT%=ミサイル落下前の全光線透過率T1(%)−落下後の全光線透過率T2(%)
ΔT%がより小さい値の場合応力白化性に優れる事を示している。
曇り度:厚さ70μmのフィルムの曇り度をヘーズメータを用い測定した。
脆化温度:JIS K7216に準拠した。
本発明の樹脂組成物が優れていることは表2に示す実施例1〜4、比較例1〜4により明らかである。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は軟質性、応力白化性、曇り度、耐スクラッチ性、低温衝撃性のバランスに優れる。これらの効果により、エアバックカバー、ハンドルカバー、インパネ、ピラー、ドアトリム、等の被覆剤に代表される自動車内装材料、自動車外装材料、チューブ、ホース、各種容器、単層または多層のシート及びフィルム、各種雑貨、文房具、建材用ラミフィルム、として好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
【出願日】 平成10年11月13日(1998.11.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−143889(P2000−143889A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平10−323303