トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 熱収縮性フィルム及びそれを装着した容器
【発明者】 【氏名】奥田 智久

【要約】 【課題】通常実施されているミシン目加工によって縦方向のみならず横方向にも優れたミシン目切断性を有するポリスチレン系熱収縮性フィルムを提供すること。更に、ミシン目切断性を有するポリスチレン系熱収縮性フィルムが装着された見栄えのよい容器を提供すること。

【解決手段】少なくとも1層のポリスチレン系樹脂層を含み、縦方向の引裂き伝播強度(α)と横方向の引裂き伝播強度(β)の比α/βが0.1〜1.2の範囲にある熱収縮性フィルムとする。又、ミシン目を施した前記熱収縮性フィルムを装着した容器とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1層のポリスチレン系樹脂層を含み、縦方向の引裂き伝播強度(α)と横方向の引裂き伝播強度(β)の比α/βが0.1〜1.2の範囲にある熱収縮性フィルム。
【請求項2】ポリスチレン系樹脂層が、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、及びグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂とブタジエン含有量10〜40重量%のスチレン−ブタジエンブロックコポリマーとの混合物を含む層である請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項3】ポリスチレン系樹脂層が、共役ジエン含有量45〜95重量%のスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーをさらに含む樹脂層である請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項4】フィルムが、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、及びグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む中間層(B)と、ブタジエン含有量10〜40重量%のスチレン−ブタジエンブロックコポリマーを含む内外層(A)(C)とが、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルムである請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項5】内外層(A)(C)が、ブタジエン含有量10〜40重量%のスチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部に、ポリスチレンを2〜100重量部混合した樹脂系を含む内外層(A)(C)である請求項4に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項6】中間層(B)が、共役ジエン含有量45〜95重量%のスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーをさらに含む中間層(B)である請求項4又は5に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項7】横方向の自然収縮率が2.5%以下、横方向の熱収縮率が80℃×10秒で20%以上、90℃×10秒で45%以上あり、且つ、その差が25%未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルム。
【請求項8】ミシン目加工を施した、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを装着した容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシン目切断性に優れ、さらには、自然収縮率が小さく、熱収縮特性にも優れ、プラスチックボトルやガラス瓶等のキャップシールやラベル、その他の包装材料として好適なポリスチレン系熱収縮性フィルム及びその容器への使用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックボトル、ガラス瓶等に熱収縮装着されるキャップシールやラベルは、易開封性を付与したり、ボトル、瓶のリサイクル時に容易に剥離できるようにするために予め2本線又は1本線のミシン目加工が施される場合が多々ある。一方、ポリスチレン系熱収縮性フィルムは従来から使用されているポリ塩化ビニルフィルムに代わるものとして期待されているが、ミシン目の端部から他端部に向けてフィルムを破る時にミシン目に沿ってきれいに破れない(即ちミシン目切断性が悪い)という欠点があった。
【0003】この欠点を解決するため特開昭62−109761号公報では、スチレン−ブタジエンブロック共重合体をダイから押出し、キャスティング方向に対して横方向にのみ延伸して得られたフィルムから、横方向を円周方向にして、製造するキャップシールが提案されている。
【0004】しかしながら、前記提案によってもミシン目切断性が充分であるとは言い難いので、さらに特開平6−344440号公報、特開平9−207922号公報の提案がされている。特開平6−344440号公報はミシン目孔の最大長Lと孔と孔の間のフィルムの長さLの比(L/L)が1.3以上であり、且つLが0.8mm以内とするものである。特開平9−207922号公報は2重ライン状のミシン目を入れるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平6−344440号公報ではミシン目孔の長さが長く、ミシン目の孔と孔の間隔が短いために見栄えが悪いという問題がある。また、特開平9−207922では2重ラインのミシン目のためにこれまた見栄えが悪いという問題がある。
【0006】本発明が解決しようとする第1の課題は、ミシン目孔の長さやミシン目とミシン目の間隔に特別の制限を設けることや2重ラインのミシン目等を必要とせず、通常実施されているミシン目加工によって縦方向のみならず横方向にも優れたミシン目切断性を有するポリスチレン系熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0007】第2の課題は、自然収縮率が小さく、熱収縮特性の優れたポリスチレン系熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0008】第3の課題は、優れたミシン目切断性を有するポリスチレン系熱収縮性フィルムが装着された容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するための手段として本発明は、少なくとも1層のポリスチレン系樹脂層を含み、縦方向の引裂き伝播強度(α)と横方向の引き裂き伝播強度(β)の比α/βが0.1〜1.2の範囲にある熱収縮性フィルムとする。
【0010】また、横方向の自然収縮率が2.5%以下、横方向の熱収縮率が80℃×10秒で20%以上、90℃×10秒で45%以上あり、且つ、その差が25%未満である熱収縮性フィルムとする。
【0011】さらに、ミシン目を施した前記熱収縮性フィルムを装着した容器とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳述する。
【0013】本発明でいうポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエンブロックコポリマー等をいう。
【0014】ポリスチレンとは、スチレンやα−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体からなる単独重合体、相互共重合体はもとより、スチレンやスチレン誘導体と共重合可能な単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えばNa、K、Li、Ca、Mg、Zn等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族不飽和カルボン酸やその誘導体との共重合体を含む。
【0015】耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムと前記ポリスチレンとの混合物からなるもの、または、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムに前記ポリスチレンがグラフト重合したものである。
【0016】グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンとは、前記ポリスチレンからなる連続相に、前記ポリスチレンを内部に包含し且つ前記ポリスチレンがポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム成分にグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本とするものである。
【0017】スチレン−ブタジエンブロックコポリマーとは、トータルの重量比においてブタジエンの方が少ない(好ましくはブタジエン含有量が10〜40重量%)、スチレンブロックとブタジエンブロックとからなるコポリマーをいい、例えばS−B−Sや(S−B)−S(Sはスチレンブロック、Bはブタジエンブロック、nは2以上の整数を表す)が例示できる。なお、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーに他の成分を含めた3元、4元コポリマーも本発明に入る。他の成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Zn等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族カルボン酸やその誘導体が例示できる。
【0018】次に、ミシン目加工(切断性)について図1、図2、図3に基づいて説明する。各図は予めミシン目加工を施した熱収縮性フィルム(即ちキャップシール、ラベル)を容器に装着した状態を示す代表的な例の図であり、図1は縦方向(容器の上方から下方への方向)と横方向(容器の円周方向)にミシン目加工を施したものであり、図2、図3は縦方向にミシン目加工を施したものである。
【0019】このようなミシン目加工を施す熱収縮性フィルムに良好なミシン目切断性を付与すべく本発明者らは鋭意検討した結果、熱収縮性フィルムを、少なくとも1層のポリスチレン系樹脂層を含み、縦方向の引裂き伝播強度(α)と横方向の引裂き伝播強度(β)の比α/βが0.1〜1.2の範囲にあるフィルムとすることにより解決することを見出し本発明をするに至った。
【0020】比α/βの範囲は0.1〜1.2、好ましくは0.1〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.8である。0.1未満または1.2を超えると、縦方向と横方向のバランスが崩れ良好なミシン目切断性を得ることができない。
【0021】ポリスチレン系樹脂とは前記した如き樹脂であり、該樹脂層は1層であってもよいし、それ以上であってもよい。また、他の樹脂層を含むものであってもよい。1層からなる熱収縮性フィルムは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエンブロックコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む層からなるフィルムである。
【0022】好ましくは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂とブタジエン含有量10〜40重量%(好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは23〜30重量%)のスチレン−ブタジエンブロックコポリマーとの混合物を含む層からなるフィルムである。ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むものからは自然収縮率が小さく、熱収縮率が大きいフィルムが容易に得られるが、急激な熱収縮を起こしやすいため熱収縮仕上がりにおいてフィルム(キャップシール、ラベル等)にシワやアバタが入りやすい傾向にある。このため、熱収縮特性、即ち、適度の熱収縮速度を有しつつ、最終の熱収縮率が大きいフィルムを得るためには、後述するフィルム製造条件において適切な製造条件幅が狭い。これに対し、前記スチレン−ブタジエンブロックコポリマーを混合すると、低い自然収縮率、高い熱収縮率を維持しつつ、急激な熱収縮が抑えられるため、適切な製造条件幅が広くなるという利点がある。
【0023】スチレン−ブタジエンブロックコポリマーの混合量は前記の群から選ばれる少なくとも1種の樹脂100重量部に対し、20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部、さらに好ましくは60〜150重量部である。
【0024】さらに好ましくは、前記の混合物に加え、さらにエラストマーを含む樹脂層とすることである。エラストマーとしては特に制限はないが、透明性の点からはブタジエン、イソプレン等の共役ジエン含有量45〜95重量%(好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは55〜65重量%)のスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーが好ましい。スチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーの混合量は適宜決めればよい。通常、前記の混合物100重量部に対し1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部である。スチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーを混合すると、縦方向の引き裂伝播強度(α)と横方向の引裂き伝播強度の比α/βを0.1〜1.2の範囲に収めるためのフィルム製造条件幅がさらに広くなるという利点がある。
【0025】他の好ましい熱収縮性フィルム構成として、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、及びグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む中間層(B)と、ブタジエン含有量10〜40重量%(好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは23〜30重量%)のスチレン−ブタジエンブロックコポリマーを含む内外層(A)(C)とが、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルムが例示できる。中間層(B)は主として低自然収縮率、高熱収縮率の付与に寄与し、内外層(A)(C)は主として適度な熱収縮速度の付与に寄与する。積層方法はドライラミ、押出しラミ等公知のいかなる方法でもよいが、共押出しによる方法が簡便で好ましい。
【0026】中間層(B)にはエラストマー、好ましくは前記したスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーを混合すると前記と同様の利点がある。スチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーの混合量は適宜決めればよい。通常、中間層の樹脂100重量部に対し1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部である。また、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーを混合してもよい。
【0027】内外層(A)(C)はさらに好ましくは、ポリスチレンを混合することである。混合量は、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部に対し、ポリスチレンが2〜100重量部、好ましくは7〜50重量部、さらに好ましくは12〜25重量部である。
【0028】キャップシールやラベルの場合、有機溶剤によりセンターシールしてチューブ状とするのが一般的であるが、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは適度の耐溶剤性を有するため、該樹脂を内外層(A)(C)の主成分とすると、センターシール部の白化や亀裂が発生しないという利点もある。内層(A)と外層(C)とは、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーのMI(メルトインデックス)、ブタジエン含有量、構造、ポリスチレンの混合量、あるいは層厚みに相違があってもよいが、フィルムのカール等の点からは、両者が同一である方がより望ましい。
【0029】各層には特性を損なわない範囲で、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、石油樹脂、ゴム類等その他の樹脂や、各種添加剤、例えば、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、着色剤等を合目的に添加してもよい。内外層(A)(C)には印刷性向上等のため、表面処理を施してもよい。表面処理方法としては公知のいかなるものでもよいが、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理が簡便でより好ましい。
【0030】熱収縮性フィルムのトータル厚みは10〜150μm、通常20〜70μmであり、中間層(B)の厚みは、全体の厚みの30〜95%、好ましくは45〜85%である。
【0031】層構成は(A)/(B)/(C)以外に、例えば、(A)/(B)/(A)/(B)/(C)等のようにさらに層の数を増やしたものでもよい。また、内外層(A)(C)の少なくとも1層の外側または内側に、ポリオレフィン、ポリエステル、環状ポリオレフィン等、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂からなる層を(必要なら接着層を介して)積層させたものでもよい。
【0032】次に、熱収縮性フィルムの製造方法の1例を説明する。1台の押出し機を用いてポリスチレン系樹脂を溶融し、Tダイスから押出し、引き取りロールで引き取り、縦方向に1〜3倍ロール延伸し(1倍とは延伸していないという意味)、予熱後、横方向に3〜8倍テンター延伸し、アニールし、冷却して、巻き取り機にて巻き取ることにより、熱収縮性フィルムが得られる。(Tダイスの代わりに環状ダイスを用いてチューブ状に押出す場合には、これを切り開いてフラット状とし、以下同様にして熱収縮性フィルムが得られる。)
【0033】引裂き伝播強度の比は、フィルムを構成する樹脂の内容、フィルムの厚み、押出し温度、引き取りドロー比、引き取り温度、延伸倍率、延伸速度、予熱の温度、延伸時の温度、アニール条件、及び冷却条件が相互に密接に関係し合う。本発明の、縦方向の引裂き伝播強度(α)と横方向の引裂き伝播強度(β)の比α/βが0.1〜1.2の範囲にある熱収縮性フィルムを得るためには、これらの条件を適正なものに選定すればよい。概略定性的に言えば、スチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマーを含まないポリスチレン系樹脂を用いる場合には、引き取り温度は比較的低温の方が好ましく、横方向の延伸倍率/縦方向の延伸倍率の比は比較的小さい方が好ましく、アニール時の熱弛緩率や温度は比較的高めの方が好ましい結果が得られる。但しこの際、横方向の熱収縮率が80℃×10秒で20%以上、90℃×10秒で45%以上あり、且つ、その差が25%未満(好ましくは、80℃×10秒で35%以上、90℃×10秒で55%以上あり、且つ、その差が20%未満)となるよう注意を払う必要がある。横方向の熱収縮率が80℃×10秒で20%未満、90℃×10秒で45%未満の場合には、容器にタイトに装着することができない傾向にある。また、その差が25%を超える場合には、熱収縮が急激に起きるためフィルムにシワやアバタ等が発生し、見栄えが悪くなる傾向にある。(A)/(B)/(C)3層構成のフィルムの製造については、後述の実施例で具体的に説明をする。
【0034】かくして得たフィルムに印刷を施し、キャップシールやラベルの場合には、溶剤や超音波等によりセンターシールし、所定の長さに切断してキャップシールやラベルが得られる。ミシン目加工は通常センターシール加工時にミシン刃を用いて行われる。ミシン目の長さ(以下、カットという)と、ミシン目とミシン目の間隔(以下、ブリッジという)は各々1mm、または各々0.7mmとするのが一般的であるが、アセプティック用大型ペットボトルにおいては落下強度(誤ってボトルを落下させてもフィルムが破れない)の点からカットが約0.7mm、ブリッジが2.5〜3.5mmのものも実施される場合がある。本発明の熱収縮性フィルムによれば、いずれのパターンであっても、縦方向、横方向共に、ミシン目切断性に優れる。
【0035】本発明でいう容器とは、プラスチックボトル、ガラス瓶はもとより、トレー、弁当箱等の各種成形品、その他本発明の熱収縮性フィルムが適用できる全ての容器をいう。
【0036】
【実施例】次に本発明の代表的な実施例を比較例と共に挙げて説明する。
【0037】引裂き伝播強度の測定はJIS P−8116に準拠した。なお、フィルムの縦方向とは、熱収縮性フィルム製造時の流れ方向であり、図1〜3にあっては容器の上下方向に相当する方向をいい、これと直交する方向をフィルムの横方向という。(以下、同様)
【0038】熱収縮率の測定は以下の方法による。即ち、縦方向×横方向=100mm×100mmにサンプルを切り出し、80℃(または90℃)の温水浴に10秒間浸漬させ、すぐに冷水にて冷却した後、横方向の長さL’(mm)を測定する。この測定を10枚のサンプルで繰り返し、L’の平均値Lを算出する。そして100−Lを80℃(または90℃)の横方向の熱収縮率とした。(熱収縮性フィルムを容器に装着する場合、湿熱方式のみならず乾熱方式も採用されるが、本発明では温水浴の熱収縮率だけで両方式の仕上がり状態の目安となるため、オーブン中での(乾熱)熱収縮率は敢えて採用しなかった。)
【0039】自然収縮率は、40℃で7日間フィルムを自然放置したときの、横方向の収縮率を自然収縮率とした。
【0040】ミシン目切断性の評価は以下の方法による。即ち、ミシン目加工を施したキャップシールまたはラベルを容器に熱収縮装着させ、冷却した後、ミシン目を手で引裂き官能にて評価した。
○:ミシン目に沿ってきれいに切れる△:ミシン目に沿って切れかけるが、途中でミシン目からずれて切れる×:ミシン目に沿って切れない【0041】(実施例1)内外層(A)(C)となるブタジエン含有量25重量%、(S−B)−S構造を持つスチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部にスチレン単独重合体を25重量部混合した樹脂系を、2台の押出機を用いて溶融し、更にもう1台の押出機を用いて、中間層(B)となるグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン(旭化成工業(株)製 SS−700)100重量部にスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマー(旭化成工業(株)製 タフプレン126)を24重量部混合した樹脂系を溶融し、195℃のTダイス内で(A)/(B)/(C)の順になるように融着積層してTダイスから押出し、40℃の引き取りロールを用いてドロー比102%で引き取り、温度85℃、延伸速度365%/分で縦方向に2.0倍ロール延伸し、120℃で6秒間予熱した後、第1ゾーン温度105℃、第2ゾーン温度90℃、延伸速度5330%/分で横方向に5.0倍テンター延伸し、テンター出口近辺で、温度80℃、時間2.5秒かけて幅方向に1%弛緩させながらアニールし、75℃の熱風で1次冷却し、30℃の冷却ロールで2次冷却して熱収縮性フィルムを得た。フィルムの厚みは、内外層(A)(C)が共に12.5μm、中間層(B)が25μm、トータルの厚みは50μmであった。縦方向及び横方向の引裂き伝播強度(α)(β)、熱収縮率、自然収縮率を表1に示す。
【0042】(実施例2)実施例1で得たフィルムにグラビア印刷を施し、センターシール加工時にミシン刃を用いて、カット1mmブリッジ1mmで間隔10mmの2本線のミシン目を縦方向と横方向の両方に入れたもの、カット0.7mmブリッジ0.7mmで間隔10mmの2本線のミシン目を縦方向と横方向の両方に入れたもの、及びカット0.7mmブリッジ3.5mmで1本線のミシン目を縦方向のみに入れたもの、計3種類のミシン目を入れた。センターシール加工はフィルムの各々印刷面が内面となるようにしてn−ヘキサン100重量部にテトラヒドロフラン25重量部とイソプロピルアルコール25重量部とを混合した混合溶剤を用いて行い、その後前記したミシン目を入れ、、カットして、折り径100mm、長さ100mmのラベル(1)とキャップシールとを得た。縦方向のみにミシン目が入ったチューブ品から、同様にして折り径100mm、長さ100mmのラベル(2)を得た。次いで前記ラベル(1)とキャップシールとをそれぞれ余裕率が5%のプラスチックボトルに被せ、湿熱で85℃×10秒、または90℃×10秒で熱収縮装着させ冷却後、ミシン目切断性を評価した。また、前記ラベル(2)を余裕率が6.7%の900ml角形ペットボトルに被せ、同様に熱収縮装着して、ミシン目切断性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0043】(実施例3)内外層(A)(C)となるブタジエン含有量25重量%、(S−B)−S構造を持つスチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部にスチレン単独重合体を25重量部混合した樹脂系を、2台の押出機を用いて溶融し、更にもう1台の押出機を用いて、中間層(B)となるポリスチレン(旭化成工業(株)製SC−008)100重量部にスチレン−ブタジエンブロックコポリマー(旭化成工業(株)製 アサフレックス830)67重量部とスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマー(旭化成工業(株)製 タフプレン126)7重量部とを混合した樹脂系を溶融し、195℃のTダイス内で(A)/(B)/(C)の順になるように融着積層してTダイスから押出し、40℃の引き取りロールを用いてドロー比102%で引き取り、温度85℃、延伸速度365%/分で縦方向に2.0倍ロール延伸し、110℃で6秒間予熱した後、第1ゾーン温度95℃、第2ゾーン温度80℃、延伸速度5330%/分で横方向に5.0倍テンター延伸し、テンター出口近辺で、温度80℃、時間2.5秒かけて幅方向に1%弛緩させながらアニールし、75℃の熱風で1次冷却し、30℃の冷却ロールで2次冷却して熱収縮性フィルムを得た。フィルムの厚みは、内外層(A)(C)が共に6.3μm、中間層(b)が37.4μm、トータルの厚みは50μmであった。縦方向及び横方向の引裂き伝播強度(α)(β)、熱収縮率、自然収縮率を表1に示す。次いで実施例2と同様にして、このフィルムを用いて作成したキャップシールとラベルのミシン目切断性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0044】(比較例1)内外層(A)(B)となるブタジエン含有量25重量%、(S−B)−S構造を持つスチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部にスチレン単独重合体を15重量部混合した樹脂系を、2台の押出機を用いて溶融し、更にもう1台の押出機を用いて、中間層(B)となるグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン(旭化成工業(株)製 SS−700)100重量部にスチレン−共役ジエンブロックタイプエラストマー(旭化成工業(株)製 タフプレン126)を8重量部混合した樹脂系を溶融し、195℃のTダイス内で(A)/(B)/(C)の順になるように融着積層してTダイスから押出し、40℃の引き取りロールを用いてドロー比102%で引き取り、温度85℃、延伸速度365%/分で縦方向に2.0倍ロール延伸し、115℃で6秒間予熱した後、第1ゾーン温度105℃、第2ゾーン温度92℃、延伸速度5330%/分で横方向に5.0倍テンター延伸し、テンター出口近辺で、温度85℃、時間2.5秒かけて幅方向に1%弛緩させながらアニールし、80℃の熱風で1次冷却し、30℃の冷却ロールで2次冷却して熱収縮性フィルムを得た。フィルム厚みは、内外層(A)(B)が共に10μm、中間層(B)が30μm、トータルの厚みは50μmであった。縦方向及び横方向の引裂き伝播強度(α)(β)を表1に示す。次いで実施例2と同様にして、このフィルムを用いて作成したキャップシールとラベルのミシン目切断性を評価した。結果を表2に示す。
【0045】(比較例2)内外層(A)(B)となるブタジエン含有量25重量%、(S−B)−S構造を持つスチレン−ブタジエンブロックコポリマー100重量部にスチレン単独重合体を30重量部混合した樹脂系を、2台の押出機を用いて溶融し、更にもう1台の押出機を用いて、中間層(B)となるポリスチレン(旭化成工業(株)製SC−008)を溶融し、190℃のTダイス内で(A)/(B)/(C)の順になるように融着積層してTダイスから押出し、50℃の引き取りロールを用いてドロー比102%で引き取り、110℃で6秒間予熱した後、第1ゾーン温度95℃、第2ゾーン温度85℃、延伸速度4260%/分で横方向に3.0倍テンター延伸し、テンター出口近辺で、温度75℃、時間2.5秒かけて幅方向に4%弛緩させながらアニールし、40℃の冷却ロールで冷却して熱収縮性フィルムを得た。このフィルムの厚みは、内外層(A)(B)が共に20μm、中間層(B)が10μ、トータルの厚みが50μmであった。縦方向及び横方向の引裂き伝播強度(α)(β)を表1に示す。次いで実施例2と同様にして、このフィルムを用いて作成したキャップシールとラベルのミシン目切断性を評価した。結果を表2に示す。
【0046】
【発明の効果】本発明は、以上の構成による熱収縮性フィルムであるので、以下に記載されるような効果を奏す。
【0047】本発明によれば、ミシン目の長さやミシン目とミシン目との間隔に特別の制限を設けたり、あるいは2重ラインのミシン目等を必要とせず、通常実施されているミシン目加工によって縦方向のみならず横方向にも優れたミシン目切断性を有するポリスチレン系熱収縮性フィルムが得られる。
【0048】横方向の自然収縮率が小さいので寸法変化が少なく、印刷時や装着時にトラブルことがない。
【0049】熱収縮率が大きく、且つ、適度の収縮速度を有するので、タイトに装着でき、装着後のフィルムにシワやアバタが発生しない。
【0050】ミシン目切断性に優れ、シワやアバタの無い美麗なフィルムがタイトに装着した容器であるので、商品価値が高くなる。
【出願人】 【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
【出願日】 平成10年11月9日(1998.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−143836(P2000−143836A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平10−356860