| 【発明の名称】 |
ゴム組成物の混練方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢野 雅士
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| 【要約】 |
【課題】配合作業の作業工数およびそれのための段取り時間を低減させるとともに、管理保管する配合組成物の種類を減少させ、また、配合原材料の物性の変動を有効に吸収し、さらに、設備コストの増加を防止する。
【解決手段】半製品練り工程と、加硫剤を加えた製品練り工程とを行うゴム組成物の混練方法であり、半製品状態で予め準備した、相互に異なるゴム特性に適合する複数種類の骨格配合組成物のそれぞれから、所要のゴム特性に応じた骨格配合組成物の種類および量を選択して半製品練りを行うものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半製品練り工程と、加硫剤を加えた製品練り工程とを行うゴム組成物の混練方法であり、半製品状態で予め準備した、相互に異なるゴム特性に適合する複数種類の骨格配合組成物のそれぞれから、所要のゴム特性に応じた骨格配合組成物の種類および量を選択して半製品練りを行うことを特徴とするゴム組成物の混練方法。 【請求項2】 それぞれの骨格配合組成物の適合特性を耐摩耗特性、路面グリップ特性、低燃費特性および汎用特性とするとともに、それぞれの配合組成を表1に示す通りとしてなる請求項1に記載のゴム組成物の混練方法。 【表1】
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ゴム組成物、なかでも、タイヤ用ゴム組成物の混練方法に関するものであり、とくには、タイヤに対する要求性能によって配合組成が大きく相違するトレッドゴム組成物に用いて好適な混練方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】たとえば、空気入りタイヤのトレッドゴムに対する要求性能は、乗用車用タイヤ、重荷重用タイヤ、農業用タイヤ、夏用タイヤ、冬用タイヤ等のようなタイヤの種類、タイヤ構造、タイヤ性能等によって種々に異なることから、トレッドゴムの配合組成もまたその要求性能に対応させて変化させることが必要である。 【0003】そこで従来は、要求性能に適合する、トレッドゴムの配合組成を実現するために、トレッドゴムの所要の配合組成毎に、原料ゴムを含む配合材料の種類、配合量等のそれぞれを、要求性能の異なる他のトレッドゴムの配合組成とは全く独立に処方して、各種配合材料の選択、計量、配合練り等を行うこととしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】これがため、この従来技術にあっては、トレッドゴムの配合組成の変更の度に、全ての配合材料の選択および計量から作業を開始することが必要になって、作業工数が嵩むとともに、段取り時間が長くなるという問題があった他、材料の配合比率が所期した通りであっても、材料それ自体の物性等の変動に起因するトレッドゴムの達成性能の変動が不可避となり、また、配合練りを行うゴム種が多量であって、それらの管理保管のためのスペースおよび工数が嵩み、しかも、場合によっては、配合材料の種類に応じて設備を使い分けることが必要になって設備コストが嵩むという問題もあった。 【0005】この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、とくには、予め準備した、半製品状態の複数の骨格配合組成物を出発材料として所要の配合組成をもたらすことで、作業工数および段取り時間等を有利に低減させることができ、また、骨格配合組成物の段階で、配合原料の物性の変動を予め吸収すること、すなわち、その物性の変動分を予め修正すること、または骨格配合組成物自身の物性ないしはゴム特性を、上記変動に応じて予め変更すること等により、配合原料の物性の変動の影響を十分に除去して、所期した通りのゴム特性の発揮を担保することができ、さらには、管理保管を行うゴム種を、予め配合練りを行った特定の種類の骨格配合組成物だけの少量品種とすることができ、しかも、余剰の設備を不要ならしめたゴム組成物の混練方法を提供するにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明のゴム組成物の混練方法は、一般的には、原料ゴムまたは素練りゴムにカーボン、油類、ワックス等を混練りする半製品練り工程と、上述したところに加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を混練りする製品練り工程とを行うゴム組成物の混練方法であり、半製品状態で予め準備した、相互に異なるゴム特性に適合する複数種類の骨格配合組成物のそれぞれから、所要のゴム特性に応じた骨格配合組成物の種類および量を選択して再度半製品練りを行うものである。なおここで、このような半製品練り工程の終了後は、所要のタイミングをもって製品練りを行う。 【0007】この発明の方法では、複数種類の特定の骨格配合組成物、ひいては、それらのゴム組成物の物性ないしは特性を基準として、それぞれの骨格配合組成物を適宜にブレンドして半製品練りすることで、所要のゴム特性を簡単かつ容易に、しかも確実に実現することができる。 【0008】これがため、半製品練りに当たって、原料ゴム、カーボン、油類等の全ての材料の種類および配合量等のそれぞれの選択および決定から計量までが必要となる従来技術に比して、作業工数を大きく低減できる他、他の種類のゴム組成物を半製品練りするに当たっての段取り換えを短時間のうちに容易に行うことができる。 【0009】しかも、各種の材料の配合比率だけを保証する上記従来技術にあっては、材料それ自体の物性、特性等の変動に起因するゴム特性の変動が不可避となるも、この発明の方法のように、配合の基準となる骨格配合組成物を用いる場合には、常に一定の配合比率を有するその骨格配合組成物の物性、特性等をチェックすることで、材料それ自体の前記変動を、早期にかつ簡単に見い出して、十分な対策を講じることができ、結果として、ゴムの物性、特性等を所期した通りのものとすることができる。 【0010】またここでは、常に変わることのない骨格配合組成物を、予め十分な量だけ準備することで、各種の所要のゴム組成物に迅速にかつ確実に対処することができるので、管理保管を行うゴム種を従来技術に比してはるかに低減させることができ、そのためのスペースおよび作業工数をともに大きく低減させることができる。 【0011】さらにここでは、たとえば、各種の骨格配合組成物のための使用設備を相互に独立させて設けた場合には、特定の配合材料のための独立した半製品練り設備を設けることが不要であるので、設備コストの増加のうれいを十分に除去することができる。 【0012】なおこの方法において、骨格配合組成物の適合特性を、耐摩耗特性、路面グリップ特性、低燃費特性および汎用特性とすることができ、これらのそれぞれの特性のための配合組成は表2に示す通りとすることができる。 【0013】 【表2】
【0014】なお表中の「路面グリップ特性」は、乾燥路面に対する摩擦係数が大きい場合を、また、「低燃費特性」はエネルギロスおよび転がり抵抗が小さい場合をそれぞれ示す。 【0015】ここで、これらの四種類の特性を基準として、所要とする特性をもたらし得るゴム組成物を作り出す場合は、概念的には、たとえば図1に示すような方形の平面図形上で、耐摩耗特性と路面グリップ特性を対角に位置させるとともに、低燃費特性と汎用特性とを対角に位置させたそれぞれの骨格配合組成物A〜Dを観念するとともに、各骨格配合組成物A〜Dの配合内容、特性をコンピュータにインプットし、方形で囲繞される領域内で前記所要特性を選択し、そこで、その選択点Pの、配合を一義的に定め、A〜Dのブレンド比を計算によって求め、求められたブレンド比に従ってそれぞれの頂点の骨格配合組成物A〜Dをブレンドすることで、所期した通りのゴム組成物をもたらすことが可能となる。 【0016】ところで、上述した骨格配合組成物の種類および数は絶対的なものではなく、所要に応じて適宜に変更・増減することができ、たとえば、「低温特性」および「高性能特性」についての骨格配合組成物を、前記骨格配合組成物のうちの二種類に代えることまたは、それらに加えることも可能である。 【0017】 【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。予め半製品練りを施したそれぞれの骨格配合組成物を表3に示す【0018】 【表3】
【0019】表3中、骨格配合組成物Aは、すぐれた耐摩耗特性を有し、骨格配合組成物Bは、乾燥路面に対するすぐれた路面グリップ特性を有し、また、骨格配合組成物Cは、すぐれた低燃費特性を有し、そして、骨格配合組成物Dは、高いトータルバランスを具えたすぐれた汎用特性をもつそれぞれのゴム組成物を示す。 【0020】これらの組成物は、ゴム、オイル、カーボンブラック、シリカを含む場合にはシリカおよびシランカップリング剤を混練りするとともに、レジン、亜鉛華、ステアリン酸およびワックスを添加して半製品練りしたものであり、それぞれの骨格配合組成物それ自体を加硫するに当たっての製品練りに際しては、表3に示した量の硫黄(加硫剤)および加硫促進剤の他、老化防止剤を添加する。なお、老化防止剤は半製品練り工程で添加されることもある。 【0021】表3の下段の物性は、それぞれの骨格配合組成物A〜Dを、ブレンドすることなくそのまま加硫した場合の物性値を示すものであり、耐摩耗性は、ランボーン試験機を用い、加硫ゴム試験片と砥石との相対速度差に基づいてゴム試験片をスリップさせたときの回転接触摩耗を指数評価して求めたものである。この指数値は大きいほどすぐれた結果を示す。 【0022】また、tanδは、スペクトロメータにより、室温での動的ロス特性を測定して指数評価したものであり、数値が低いほどエネルギロスが少ないことを示し、そして300%モジュラスは、室温状態の下での300%伸長時の応力を引張試験機にて測定して指数化したものであり、tanδおよび300%モジュラスの両方の数値が大きいほど路面グリップ力および制動力が高まり、ドライ路面に対する摩擦力が大きくなる。 【0023】以上のようなそれぞれの骨格配合組成物A〜Dを用いて、目的とする特性を発揮し得る配合組成物Xを、より具体的に作り出す場合には、はじめに上記各物性値に基づき、目的の特性をもたらすに足る各種物性値を設定する。 【0024】この設定はたとえば、骨格配合組成物Dに対し、耐摩耗性を若干高め(110)とする一方で、低燃費性(tanδ)はそれと同じ(100)とし、また、路面グリップ力(300%モジュラス)もまた幾分高め(110)にするというように、一もしくは複数の骨格配合組成物A〜Dの物性値を基準として行うことができる。その後は、たとえば図2に示すように、上記各物性値を座標軸とした三次元直角座標系内にそれぞれの骨格配合組成物A〜Dを物性値に基づいてプロットし、各プロット点を頂点とする四面体の内側に、配合組成物Xの設定物性値をプロットする。 【0025】次いで、四面体の四つの頂点のうちの任意の一つ、たとえば頂点Aを選択し、その頂点Aから空間点Xを結ぶ線分を引き、この線分の延長線の、面BCDへの交点Eを求め、そして、頂点A以外の任意の頂点、たとえば頂点Cからその、交点Eを通って引いた線分と辺BDとの交点Fを求める。 【0026】ここで、以上のようにして求めた交点E,Fのそれぞれは、線分AE,線分CFおよび線分BDのそれぞれにおいて、長さの比につき、解かり易く説明するため、AX:XE=1:1、CE:EF=2:1そしてBF:FD=1:1の関係を有するものとすると、配合組成物Xのための第1段階の配合作業として、骨格配合組成物BとDを1:1の割合でブレンドしてブレンド品Fを求め、第2段階の配合作業として、ブレンド品Fと骨格配合組成物Cとを2:1の割合でブレンド品Eを求め、そして第3段階として、ブレンド品Eと骨格配合組成物Aとを1:1の割合でブレンドして、目的物としての配合組成物Xをもたらす。 【0027】ところで、このような図式解法は、コンピュータを用いることでより迅速にかつ正確に行い得ることはもちろんである。またこの一方で、図式解法によらずに、行列式を用いてそれぞれの骨格配合組成物A〜Dのブレンド比を直接的に求めることも可能である。 【0028】 【実施例】図2に示す図式解法に従い、骨格配合組成物A〜Dから、前記配合組成物Xをもたらすべく、前述したように、X=A×1/2+E×1/2E=C×1/3+F×2/3F=B×1/2+D×1/2の各ブレンドを行ったところ、表3の右欄に配合組成物Xとして示すような配合が得られ、その配合組成物Xの各種物性値は所期した通りのものであることが検証された。 【0029】 【発明の効果】かくして、この発明によれば、半製品練り状態の複数の骨格配合組成物を予め準備し、要求性能ないしは特性に応じて、それらの骨格配合組成物を所要の割合でブレンドすることにより、所期した通りの配合組成物を簡単かつ容易にもたらすことができる他、管理保管を行う配合ゴム組成物の種類を大きく低減できるとともに、配合作業に要する作業工数および、それのための段取り時間等を有利に低減させることができる。 【0030】しかも、配合原材料の物性等の変動を、骨格配合組成物の段階にて有効に吸収して、それが製品性能ないしは特性に及ぼす影響を有効に除去することができ、また、特定の配合原材料に専用の設備を不要として、設備コストの増加を十分に防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
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| 【出願日】 |
平成10年11月9日(1998.11.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−143816(P2000−143816A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−317449 |
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