| 【発明の名称】 |
光硬化性樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】田村 順一
【氏名】萩原 恒夫
【氏名】大竹 信
|
| 【要約】 |
【課題】体積収縮率が小さく寸法精度に優れ、熱変形温度が高く耐熱性に優れ、透明性及び力学的特性に優れる立体造形物等を製造できる光硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(i)下記一般式(I); |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (i) 下記の一般式(I); 【化1】
(式中、R1は、置換されていてもよい脂環族基、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい脂肪族基、R2はアミノアルコール残基、R3は水素原子またはメチル基、そしてnは1または2を示す。)で表されるイミド化アクリル化合物の少なくとも1種; (ii) 前記のイミド化アクリル化合物以外のラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物;並びに、(iii) 光重合開始剤;を含有する光硬化性樹脂組成物であって、[前記イミド化アクリル化合物]:[前記ラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物]の含有割合が、80:20〜10:90(重量比)であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項2】 イミド化アクリル化合物並びにラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物の合計重量に基づいて、光重合開始剤の含有割合が0.1〜10重量%である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 光学的立体造形用である請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 請求項3の光硬化性樹脂組成物を用いて、光学的立体造形によって立体造形物を製造する方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光硬化性樹脂組成物および該光硬化性樹脂組成物を用いる立体造形物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、光硬化時の体積収縮率が小さくて寸法精度に優れ、熱変形温度が高くて耐熱性に優れ、しかも透明性、引張強度などの力学的特性に優れる成形品や立体造形物などを得ることのできる光硬化性樹脂組成物、および該光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形により造形物を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、液状の光硬化性樹脂組成物は被覆剤(特にハードコート剤)、ホトレジスト、歯科用材料などとして広く用いられているが、近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が特に注目を集めている。光学的立体造形技術に関しては、液状の光硬化性樹脂に必要量の制御された光エネルギーを供給して薄層状に硬化させ、その上に更に液状光硬化性樹脂を供給した後に制御下に光照射して薄層状に積層硬化させるという工程を繰り返すことによって立体造形物を製造する光学的立体造形法が特開昭56−144478号公報によって開示され、そしてその基本的な実用方法が更に特開昭60−247515号公報によって提案された。そしてその後、光学的立体造形技術に関する多数の提案がなされており、例えば、特開昭62−35966号公報、特開平1−204915号公報、特開平2−113925号公報、特開平2−145616号公報、特開平2−153722号公報、特開平3−15520号公報、特開平3−21432号公報、特開平3−41126号公報などには光学的立体造形法に係る技術が開示されている。 【0003】立体造形物を光学的に製造する際の代表的な方法としては、造形浴に入れた液状をなす光硬化性樹脂組成物の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定の厚みに硬化させ、次にその硬化層の上に1層分の液状樹脂組成物を供給して同様に紫外線レーザーを照射して前記と同様に硬化させて連続した硬化層を形成させるという積層操作を繰り返して最終的な形状を有する立体造形物を製造する方法が挙げられる。この方法による場合は、造形物の形状がかなり複雑であっても簡単に且つ比較的短時間で目的とする立体造形物を製造することが出来るために近年特に注目を集めている。 【0004】被覆剤、ホトレジスト、歯科用材料などに用いられる光硬化性樹脂組成物としては、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステルモノマーなどの硬化性樹脂に光重合開始剤を添加したものが広く用いられている。また、光学的立体造形法で用いる光硬化性樹脂組成物としては、光重合性の変性(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、オリゴエステルアクリレート系化合物、エポキシアクリレート系化合物、エポキシ系化合物、ポリイミド系化合物、アミノアルキド系化合物、ビニルエーテル系化合物などの光重合性化合物の1種または2種以上を主成分としこれに光重合開始剤を添加したものが挙げられ、そして最近では、特開平1−204915号公報、特開平1−213304号公報、特開平2−28261号公報、特開平2−75617号公報、特開平2−145616号公報、特開平3−104626号公報、特開平3−114732号公報、特開平3−1147324号公報などには各種の改良技術が開示されている。 【0005】光学的立体造形に用いる光硬化性樹脂組成物については、取り扱い性、造形速度、造形精度などの点から、低粘度の液状物であること、硬化時の体積収縮が小さいこと、光硬化して得られる立体造形物の力学的特性が良好であることなどが必要とされている。近年、光学的立体造形物の需要および用途が拡大する方向にあり、それに伴って用途によっては前記した諸特性と併せて、高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れ、しかも透明性にも優れる立体造形物が求められるようになってきた。例えば、複雑な熱媒回路の設計に用いられる光学的立体造形物、複雑な構造の熱媒挙動の解析に用いられる光学的立体造形物などでは、光硬化時の体積収縮が小さく、熱変形温度が高く且つ透明性に優れるものが重要視されている。 【0006】従来、耐熱性の向上した光学的立体造形物を得ることを目的として、光硬化性樹脂の分子中にベンゼン環を導入する方法や、光硬化物における架橋密度を増加させる方法などが検討されてきた。しかし、その場合でも高荷重下における熱変形温度が高々70〜80℃程度であり、その耐熱性は充分なものではない。しかも、光硬化物の耐熱性を向上させようとすると、その一方で硬化時の体積収縮が大きくなって寸法精度の低下を招く。 【0007】一般的には、光硬化性樹脂組成物における架橋密度を増加すれば耐熱性の向上が期待できるが、同時に架橋密度を増すことによって硬化時の体積収縮が大きくなるという傾向があり、耐熱性の向上と硬化時の体積収縮の低減とは二律背反の関係にある。かかる二律背反の関係を打ち破る一つの方法として、本発明者らは、充填材を特定の光硬化性樹脂に配合した光硬化性樹脂組成物を先に開発して提案した(特開平5−196691号公報、特開平5−196692号公報)。本発明者らによる前記光硬化性樹脂組成物を用いた場合には、前記した二律背反の関係を打ち破って、耐熱性に優れ且つ体積収縮率の小さい造形物が得られるという優れた効果を有する。そして、本発明者らが、前記した発明に基づいてさらに検討を重ねたところ、前記光硬化性樹脂組成物は充填材を含有していることに起因して、粘度が高く、また流動粘性的にチキソトロピック性を示すところから、造形時の取り扱い性の点で改良の余地があることが判明した。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低粘度の液状を呈していて取り扱い性に優れ、短い光硬化時間で硬化でき、光で硬化した際に体積収縮が小さくて寸法精度に優れ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れ、且つ透明性、引張強度などの力学的特性にも優れる成形品、立体造形物、その他の硬化物を得ることのできる光硬化性樹脂組成物およびそれを用いて光学的立体造形を行って立体造形物を製造する方法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定の化学構造を有するイミド化アクリル化合物が上記の目的の達成に極めて有効であり、このイミド化アクリル化合物に他のラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物並びに光重合開始剤を加えると、粘度が低くて取り扱い性に優れる液状の光硬化性樹脂組成物が得られること、そしてその光硬化性樹脂組成物に光を照射すると短い時間で硬化させることができること、硬化時の体積収縮が小さくて、所望の形状および寸法を有する立体造形物やその他の成形品を高い寸法精度で製造できること、しかも光硬化して得られる成形品や立体造形物は高い熱変形温度を有していて耐熱性に優れること、さらに透明性や力学的特性にも優れることを見出して、本発明を完成した。 【0010】すなわち、本発明は、(i) 下記の一般式(I); 【0011】 【化2】
(式中、R1は、置換されていてもよい脂環族基、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい脂肪族基、R2はアミノアルコール残基、R3は水素原子またはメチル基、そしてnは1または2を示す。)で表されるイミド化アクリル化合物[以下「イミド化アクリル化合物(I)」という)の少なくとも1種; (ii) 前記のイミド化アクリル化合物以外のラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物;並びに、(iii) 光重合開始剤;を含有する光硬化性樹脂組成物であって、[イミド化アクリル化合物(I)]:[ラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物]の含有割合が、80:20〜10:90(重量比)であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。 【0012】さらに、本発明は、上記の光硬化性樹脂組成物からなる光学的立体造形用樹脂組成物である。また、本発明は、上記の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形により立体造形物を製造する方法を包含する。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。まず、本発明の光硬化性樹脂組成物で用いるイミド化アクリル化合物(I)について説明する。本発明の光硬化性樹脂組成物で用いるイミド化アクリル化合物(I)において、R1は置換されていてもよい脂環族基、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい脂肪族基である。R1の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基などの置換基で置換されているかまたは置換されていない脂環族ジカルボン酸、テトラカルボン酸またはそれらの無水物に由来する残基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基などの置換基で置換されているかまたは置換されていない芳香族ジカルボン酸、テトラカルボン酸またはそれらの無水物に由来する残基、ハロゲン原子、ニトロ基などの置換基で置換されているかまたは置換されていない脂肪族ジカルボン酸、テトラカルボン酸(好ましくは飽和脂肪族ジカルボン酸、テトラカルボン酸)またはそれらの無水物に由来する残基などを挙げることができる。より具体的には、例えば、置換または非置換のシクロヘキシルジカルボン酸、シクロヘキシルテトラカルボン酸、置換または非置換の水素添加ビフェニルテトラカルボン酸、置換または非置換の水素添加ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、コハク酸などのジカルボン酸、テトラカルボン酸またはそれらの無水物に由来するジカルボン酸またはテトラカルボン酸残基を挙げることができる。 【0014】本発明の光硬化性樹脂組成物で用いるイミド化アクリル化合物(I)において、R2はアミノアルコール残基である。そのうちでも、R2は、一般式:H2N−R4−OH(式中R4は鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す)で表されるアミノアルコールの残基(すなわち炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基)であることが、イミド化アクリル化合物(I)の合成の容易性、最終的に得られるイミド化アクリル化合物(I)の靭性および経済性などの点から好ましく、炭素数が2〜4のアルキレン基(エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基)であることがより好ましい。 【0015】また、イミド化アクリル化合物(I)において、R3は水素原子またはメチル基であり、nは1または2である。nが1であるイミド化アクリル化合物(I)は、イミド化(メタ)アクリレート基を分子中に1個有し、nが2であるイミド化アクリル化合物(I)はイミド化(メタ)アクリレート基を分子中に2個有する。 【0016】本発明で用いるイミド化アクリル化合物(I)の製法は特に制限されないが、代表的な製法としては以下の方法を挙げることができる。 [イミド化アクリル化合物(I)の製法例] 下記の一般式(II); 【0017】 【化3】
(式中、R1およびnは前記と同じ基および数を示す。)で表されるジカルボン酸またはテトラカルボン酸の無水物と、下記の一般式(III);【0018】 【化4】 H2N−R2−OH (III) (式中、R2は前記と同じ基を示す。)で表されるアミノアルコールを反応させて、下記の一般式(IV); 【0019】 【化5】
(式中、R1、R2およびnは前記と同じ基および数を示す。)で表されるイミド化アルコール化合物を製造し、そのイミド化アルコール化合物に、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸ハライドを反応させて、上記の一般式(I)で表されるイミド化アクリル化合物(I)を製造する。 【0020】上記したイミド化アクリル化合物(I)の製造に用いる一般式(II)で表されるジカルボン酸またはテトラカルボン酸の無水物の代表例としては、置換または非置換のシクロヘキシルジカルボン酸無水物、シクロヘキシルテトラカルボン酸無水物、置換または非置換の水素添加ビフェニルテトラカルボン酸無水物、置換または非置換の水素添加ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、コハク酸無水物などを挙げることができる。 【0021】また、上記したイミド化アクリル化合物(I)の製造に用いる一般式(III)で表されるアミノアルコールとしては、例えば、一般式:H2N−R4−OH(式中R4は鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す)で表されるアミノアルコールを挙げることができ、そのうちでもエチルアミノアルコール、n−プロピルアミノアルコール、イソプロピルアミノアルコール、n−ブチルアミノアルコールなどが好ましく用いられる。 【0022】本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記したイミド化アクリル化合物(I)と共に、他のラジカル重合性化合物(以下単に「ラジカル重合性化合物」ということがある)およびカチオン重合性化合物のうちの少なくとも1種を含有する。ラジカル重合性化合物としては、光照射を行った際にイミド化アクリル化合物(I)と反応し、またラジカル重合性化合物同士が反応して硬化物を形成することのできる炭素−炭素間不飽和結合を有するラジカル重合性化合物であればいずれも使用可能であり、そのうちでもアクリル系化合物、アリル系化合物および/またはビニルラクタム類が好ましく用いられる。また、ラジカル重合性化合物は単官能性化合物または多官能性化合物のいずれであってもよく、或いは単官能性化合物と多官能性化合物の両方を併用してもよい。さらに、ラジカル重合性化合物は低分子量のモノマーであっても、オリゴマーであっても、また場合によってはある程度分子量の大きいものであってもよい。本発明の光硬化性樹脂組成物は、1種類のラジカル重合性化合物のみを含有していてもまたは2種以上のラジカル重合性化合物を含有していてもよい。 【0023】限定されるものではないが、本発明の光硬化性樹脂組成物で用い得るラジカル重合性化合物の例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)メタアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、モルホリン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルカプロラクトン、スチレンなどの単官能性ラジカル重合性化合物;トリメチロープロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートなどの多官能性ラジカル重合性化合物を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。 【0024】また、上記したラジカル重合性化合物以外にも、光学的立体造形用樹脂組成物などで従来から用いられている、ウレタン化アクリル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、他のエステル(メタ)アクリレートなどをラジカル重合性化合物として用いることができる。 【0025】本発明の光硬化性樹脂組成物では、ラジカル重合性化合物として、上記した種々のラジカル重合性化合物のうちでも、モルホリン(メタ)アクリルアミド、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、ウレタン化アクリレートが好ましく用いられ、そのうちでもウレタン化アクリレートおよびモルホリン(メタ)アクリルアミドがより好ましく用いられ、その場合には、体積収縮率がより小さくて寸法精度により優れ、熱変形温度が高くて耐熱性に優れ、しかも透明性、力学的特性に優れる成形品、立体造形物、その他の光硬化物を生成する光硬化性樹脂組成物が得られる。 【0026】また、本発明の光硬化性樹脂組成物に用い得るカチオン重合性化合物としては、脂肪族ジエポキシ化合物、脂環族ジエポキシ化合物、芳香族ジエポキシ化合物などのエポキシ系化合物、脂肪族ジビニルエーテル化合物、脂環族ジビニルエーテル化合物、芳香族ジビニルエーテル化合物などのビニルエーテル系化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。カチオン重合性化合物を用いる場合は、イミド化アクリル化合物(I)とカチオン重合性化合物の2者のみを用いずに、イミド化アクリル化合物(I)、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の3者を用いることが、光硬化特性、耐熱性、力学的特性などの点から好ましい。 【0027】そして、本発明の光硬化性樹脂組成物では、[イミド化アクリル化合物(I)]:[ラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物]の含有割合が、重量比で、80:20〜10:90であることが必要であり、65:35〜25:75であることが好ましく、60:40〜35:65であることがより好ましい。光硬化性樹脂組成物において、イミド化アクリル化合物(I)の割合が、イミド化アクリル化合物(I)並びにラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物の合計重量に基づいて、10重量%未満であると光で硬化した際にイミド基に基づく高い耐熱性、引張強度および剛性を有する成形品や立体造形物などが得られなくなり、一方80重量%を超えると光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、取り扱い性、成形性、造形性が低下し、特に光学的立体造形法で用いる場合に目的と立体造形物を円滑に製造できなくなる。 【0028】さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物で用いる光重合開始剤としては、光硬化性樹脂組成物において従来から用いられている光ラジカル重合開始剤および/または光カチオン重合開始剤であればいずれも使用でき特に制限されない。限定されるものではないが、本発明の光硬化性樹脂で用い得る光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)の例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトノ、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、キサントン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾールなどを挙げることができる。 【0029】また、光カチオン重合開始剤としては、その種類は特に制限されず、従来既知の光カチオン重合開始剤のいずれをも使用することができる。一般的には、光カチオン重合開始剤は塩基性化合物の存在下で失活することが知られているが、本発明で用いるイミド化アクリル化合物(I)は、光カチオン重合開始剤を失活させないため、イミド化アクリル化合物(I)と共にカチオン重合性化合物を含む組成物を用いて光重合により硬化物を生成することができる。 【0030】光重合開始剤の使用量は、イミド化アクリル化合物(I)、ラジカル重合性化合物の種類、カチオン重合性化合物、光重合開始剤の種類などに応じて変わり得るが、一般に、イミド化アクリル化合物(I)並びにラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物の合計重量に基づいて、0.1〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましい。 【0031】本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて、レベリング剤、界面活性剤、有機高分子改質剤、有機可塑剤、有機または無機の固体微粒子などを含有していてもよい。前記した有機固体微粒子の例としては架橋ポリスチレン系微粒子、架橋型ポリメタクリレート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリプロピレン系微粒子などを挙げることができ、また無機固体微粒子の例としてはガラスビーズ、タルク微粒子、酸化ケイ素微粒子などを挙げることができる。本発明の光硬化性樹脂組成物中に有機固体微粒子および/または無機固体微粒子を含有させる場合は、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシランなどのシラン系カップリング剤で処理したものを用いると、光硬化して得られる硬化物の機械的強度が向上する場合が多く好ましい。シランカップリング剤処理を施したポリエチレン系固体微粒子および/またはポリプロピレン系固体微粒子を光硬化性樹脂組成物中に含有させる場合は、アクリル酸系化合物を1〜10重量%程度共重合させたポリエチレン系固体微粒子および/またはポリプロピレン系固体微粒子を用いるとシランカップリング剤との親和性が高くなるので好ましい。前記した有機固体微粒子および/または無機固体微粒子を本発明の光硬化性樹脂組成物中に含有させると、光硬化物の耐熱性が一層向上する場合が多い。その際に、耐熱性の更なる向上をはかりながら良好な透明性を維持するためには、前記の固体微粒子をサブミクロンの極めて小さな微粒子状にして、適当な表面処理を施して光硬化性樹脂組成物中に安定に分散せしめ、光硬化性樹脂組成物の粘度の上昇を抑制するようにするのが望ましい。 【0032】本発明の光硬化性樹脂組成物の粘度は、用途や使用態様などに応じて調節し得るが、一般に、回転式B型粘度計を用いて測定したときに、常温(25℃)において100〜100,000センチポイズ(cps)程度であるのが取り扱い性、成形性、立体造形性などの点から好ましく、300〜50,000cps程度であるのがより好ましい。特に、本発明の光硬化性樹脂組成物を光学的立体造形に用いる場合は、常温における粘度を300〜10,000cpsの範囲にしておくのが、造形時の取り扱い性が良好になり、しかも目的とする立体造形物を高い寸法精度で円滑に製造することができる点から望ましい。光硬化性樹脂組成物の粘度の調節は、イミド化アクリル化合物(I)およびラジカル重合性化合物の種類の選択、それらの配合割合の調節などによって行うことができる。 【0033】本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を遮断し得る状態に保存した場合には、通常、10〜40℃の温度で、約6〜18ケ月の長期に亙って、その変性や重合を防止しながら良好な光硬化性能を保ちながら保存することができる。 【0034】本発明の光硬化性樹脂組成物の調製方法は特に制限されず、イミド化アクリル化合物(I)並びにラジカル重合性化合物および/またはカチオン重合性化合物を上記した割合で混合すると共に、更に光重合用開始剤を混合して調製すればよい。 【0035】本発明の光硬化性樹脂組成物は、その優れた特性、特に、光硬化時に体積収縮率が小さくて寸法精度に優れ、高い引張強度を有し力学的特性に優れ、良好な耐熱性および透明性を有するという特性を活かして、各種成形品や立体造形物の製造に有効に用いることができ、特に光学的立体造形法による立体造形物の製造に有用である。 【0036】本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。そのうちでも、本発明では、樹脂を硬化させるための光エネルギーとして、Arレーザー、He−Cdレーザー、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯などからは発生される活性エネルギー光線を用いるのが好ましく、レーザー光線が特に好ましく用いられる。活性エネルギー光線としてレーザー光線を用いた場合には、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮することが可能であり、しかもレーザー光線の良好な集光性を利用して、造形精度の高い立体造形物を得ることができる。 【0037】本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うに当たっては、従来既知の方法や従来既知の光造形システム装置のいずれもが採用でき特に制限されないことは上述のとおりであるが、本発明で好ましく用いられる光学的立体造形法の代表例としては、光エネルギー吸収剤を含有する液状の光硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー光線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでその硬化層に未硬化液状の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層する操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。それによって得られる立体造形物はそのまま用いても、また場合によっては更に光照射によるポストキュアや熱によるポストキュアなどを行って、その力学的特性や形状安定性などを一層高いものとしてから使用するようにしてもよい。 【0038】立体造形物の構造、形状、サイズなどは特に制限されず、各々の用途に応じて決めることができる。そして、本発明の光学的立体造形法の代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を制作するための樹脂型、金型を制作するためのベースモデル、試作金型用の直接型などの作製などを挙げることができる。より具体的には、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデルなどの製作を挙げることができる。特にその良好な耐熱性および透明性という特性を活かして、高温部品の試作、例えば複雑な熱媒回路の設計、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品の製造などに極めて有効に使用することができる。 【0039】 【実施例】以下で実施例等によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定されない。 【0040】《合成例1》[イミド化アクリル化合物(I)の製造] (1) 攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに脱水したトルエン1000gおよびシクロヘキシルジカルボン酸無水物1600gを入れ、一方滴下器に脱水したトルエン300g中にアミノエチルアルコール610gを溶解した溶液を入れ、室温下に撹拌しながら滴下器中のアミノエチルアルコール溶液を三つ口フラスコに1時間かけて滴下した。全量滴下後に、室温で更に2時間撹拌下に反応させた。次に、フラスコ内の内容物をトルエン還流下に3時間加熱して反応させた後、反応混合物からトルエンを分留除去して、反応生成物1624gを得た(反応率80%)。得られた反応生成物の元素分析およびIR分析の結果、下記の化学式で表されるイミド化アルコールであることが確認された。 【0041】 【化6】
【0042】(2) 攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに上記(1)で得られたイミド化アルコール1500gおよび脱水したトルエン1000gを入れ、一方滴下器に脱水したトルエン600g中にアクリル酸クロライド685gを溶解した溶液を入れ、室温下に撹拌しながら滴下器中のアクリル酸クロライド溶液を三つ口フラスコに1時間かけて滴下した。全量滴下後に室温で更に2時間撹拌下に反応させた。次に、フラスコ内の反応混合物からトルエンを蒸発除去して、下記の化学式で表される、目的とするイミド化アクリレート(以下「イミド化アクリレートA」という)1300gを得た。得られたイミド化アクリレートAは室温で700cpsの粘度を有する液体であった。 【0043】 【化7】
【0044】《合成例2》[イミド化アクリル化合物(I)の製造] (1) 攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに脱水したトルエン1000gおよび水素添加ジフェニルテトラカルボン酸無水物1530gを入れ、一方滴下器に脱水したトルエン300g中にアミノエチルアルコール305gを溶解した溶液を入れ、室温下に撹拌しながら滴下器中のアミノエチルアルコール溶液を三つ口フラスコに1時間かけて滴下した。全量滴下後に、室温で更に2時間撹拌下に反応させた。次に、フラスコ内の内容物をトルエン還流下に3時間加熱して反応させた後、反応混合物からトルエンを分留除去して、反応生成物1259gを得た(反応率70%)。得られた反応生成物の元素分析およびIR分析の結果、下記の化学式で表されるイミド化アルコールであることが確認された。 【0045】 【化8】
【0046】(2) 攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに脱水した上記(1)で得られたイミド化アルコール1200gおよびトルエン1000gを入れ、一方滴下器に脱水したトルエン600g中にアクリル酸クロライド551gを溶解した溶液を入れておき、室温下に撹拌しながら滴下器中のアクリル酸クロライド溶液を三つ口フラスコに1時間かけて滴下した。全量滴下後に室温で更に2時間撹拌下に反応させた。次に、フラスコ内の反応混合物からトルエンを蒸発除去して、下記の化学式で表される目的とするイミド化アクリレート(以下「イミド化アクリレートB」という)1148gを得た。 【0047】 【化9】
【0048】《合成例3》[ラジカル重合性化合物混合物の製造] (1) 攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート888g、モルホリンアクリルアミド906gおよびジブチル錫ジラウレート1.0gを仕込んでオイルバスで内温が80〜90℃になるように加熱した。 (2) グリセリンモノメタクリレートモノアクリレート856gにメチルヒドロキノン0.7gを均一に混合溶解させた液を予め50℃に保温しておいた側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を、上記(1)のフラスコ中の内容物に、窒素雰囲気下でフラスコ内容物の温度を80〜90℃に保ちながら撹拌下に滴下混合して、同温度で2時間撹拌して反応させた。 (3) 次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートに仕込んだペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド4モル付加物(ペンタエリスリトールの4個の水酸基にプロピレンオキサイドをそれぞれ1モル付加したもの)366gを素早く滴下して加え、フラスコ内容物の温度を80〜90℃に保って4時間反応させて、ウレタン化アクリル化合物を含有するラジカル重合性化合物混合物を製造し、得られたラジカル重合性化合物混合物を温かいうちにフラスコから取り出した。得られたラジカル重合性化合物混合物は、無色で、常温(25℃)で粘稠な液状を呈していた。 【0049】《実施例1》[光硬化性樹脂組成物の調製] 攪拌機、冷却管および側管付き滴下ロートを備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、合成例1で得られたイミド化アクリレートAの1212g、合成例3で得られたラジカル重合性化合物混合物2020gおよびジシクロペンタニルジアクリレート808gを仕込み、減圧脱気窒素置換した。次いで、紫外線を遮断した環境下に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「イルガキュアー184」;光ラジカル重合開始剤)121gを添加し、完全に溶解するまで温度25℃で混合攪拌して(混合撹拌時間約1時間)、無色透明な粘稠液体である光硬化性樹脂組成物(常温における粘度約2500cps)を得た。 【0050】《実施例2》[光硬化性樹脂組成物の調製] 攪拌機、冷却管および側管付き滴下ロートを備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、合成例2で得られたイミド化アクリレートBの1000g、合成例3で得られたラジカル重合性化合物混合物1010gおよびジシクロペンタニルジアクリレート400gを仕込み、減圧脱気窒素置換した。次いで、紫外線を遮断した環境下に、実施例1で使用したのと同じ1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン75gを添加し、完全に溶解するまで温度25℃で混合攪拌して(混合撹拌時間約1時間)、無色透明な粘稠液体である光硬化性樹脂組成物(常温における粘度約7500cps)を得た。 【0051】《実施例3》[光硬化性樹脂組成物の調製] 攪拌機、冷却管および側管付き滴下ロートを備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、合成例1で得られたイミド化アクリレートAの1400g、モルホリンアクリアミド1400gおよびジシクロペンタニルジアクリレート1200gを仕込み、減圧脱気窒素置換した。次いで、紫外線を遮断した環境下に、実施例1で使用したのと同じ1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン120gを添加し、完全に溶解するまで温度25℃で混合攪拌して(混合撹拌時間約1時間)、無色透明な粘稠液体である光硬化性樹脂組成物(常温における粘度約3800cps)を得た。 【0052】《参考例1》[光硬化性樹脂組成物の調製] 攪拌機、冷却管および側管付き滴下ロートを備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、合成例3で得られたラジカル重合性化合物混合物2020gおよびジシクロペンタニルジアクリレート2020gを仕込み、減圧脱気窒素置換した。次いで、紫外線を遮断した環境下に、実施例1で使用したのと同じ1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン121gを添加し、完全に溶解するまで温度25℃で混合攪拌して(混合撹拌時間約1時間)、無色透明な粘稠液体である光硬化性樹脂組成物(常温における粘度約1500cps)を得た。 【0053】《実施例4》[モールド成形法による光硬化成形品の製造] (1) JIS 7113に準拠するダンベル試験片形状の型キャビテーを有する透明なシリコン型に、上記の実施例1で調製した光硬化性樹脂組成物を注入した後、30Wの紫外線ランプを用いてシリコン型の全面から15分間紫外線照射して樹脂組成物を硬化させて光硬化したダンベル試験片形状の成形品を製造したところ、透明性に優れる成形品(ダンベル形状試験片)が得られた。その成形品を型から取り出して、JIS K 7113に準拠して、その引っ張り特性(引張強度、引張伸度および引張弾性率)を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。 (2) また、上記(1)で得られたダンベル形状試験片の熱変形温度をJISK7207に準拠してA法(荷重18.5kg/mm2)で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。 (3) 更に、この実施例4のモールド成形に用いた光硬化性樹脂組成物の光硬化前の比重(d1)と、得られたモールド成形品(ダンベル形状試験片)の比重(d2)をそれぞれ測定して、下記の数式(1)によりその体積収縮率(%)を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0054】 【数1】 体積収縮率(%)={(d2−d1)/d2}×100 (1) 【0055】《実施例5》[光学的立体造形法による立体造形物の製造] 上記の実施例1で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(帝人製機株式会社製「SOLIFORM500」)を使用して、水冷Arレーザー光(出力500mW;波長333,351,364nm)を表面に対して垂直に照射して、照射エネルギー20〜30mJ/cm2の条件下にスライスピッチ(積層厚み)0.127mm、1層当たりの平均造形時間2分で光造形を行って、JIS 7113に準拠するダンベル試験片形状の立体造形物を製造した。得られた立体造形物をイソプロピルアルコールで洗浄して立体造形物に付着している未硬化の樹脂液を除去した後、3KWの紫外線を10分間照射してポストキュアしたところ、透明性に優れる立体造形物が得られた。その立体造形物(ダンベル形状試験片)の引っ張り特性(引張強度、引張伸度および引張弾性率)をJIS K 7113に準拠して測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、上記で得られたポストキュア後のダンベル形状試験片(立体造形物)の熱変形温度を実施例4と同様にして測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。更に、この実施例5の立体造形法に用いた光硬化前の光硬化性樹脂組成物の比重(d1)と、ポストキュア後の立体造形物の比重(d2)をそれぞれ測定して、上記の数式(1)によりその体積収縮率(%)を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0056】《実施例6》[光学的立体造形法による立体造形物の製造] 上記の実施例2で得られた光硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例5と同様にして光学的立体造形、未硬化樹脂の洗浄およびポストキュアを行って、透明性に優れる立体造形物(ダンベル形状試験片)を製造した。その結果得られたダンベル形状試験片(立体造形物)の引っ張り特性、熱変形温度および体積収縮率を実施例5と同様にして測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0057】《実施例7》[光学的立体造形法による立体造形物の製造] 上記の実施例3で得られた光硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例5と同様にして光学的立体造形、未硬化樹脂の洗浄およびポストキュアを行って、透明性に優れる立体造形物(ダンベル形状試験片)を製造した。その結果得られたダンベル形状試験片(立体造形物)の引っ張り特性、熱変形温度および体積収縮率を実施例5と同様にして測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0058】《参考例3》[光学的立体造形法による立体造形物の製造] 上記の参考例1で得られた光硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例5と同様にして光学的立体造形、未硬化樹脂の洗浄およびポストキュアを行って、透明な立体造形物(ダンベル形状試験片)を製造した。その結果得られたダンベル形状試験片(立体造形物)の引っ張り特性、熱変形温度および体積収縮率を実施例5と同様にして測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。 【0059】 【表1】
【0060】上記の表1の結果から、イミド化アクリル化合物(I)を含有する実施例1〜3の光硬化性樹脂組成物を使用して光照射下にモールド成形または光学的立体造形を行っている実施例4〜7では、引張強度、引張伸度、引張弾性率などの引っ張り特性に優れ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れる成形品または立体造形物を、小さい体積収縮率で寸法精度よく製造できることがわかる。 【0061】 【発明の効果】本発明の光硬化性樹脂組成物は、比較的低粘度の液状を呈していて取り扱い性に優れ、短い硬化時間で硬化できるので、光照射法による各種の成形品、立体造形物、その他の製品の製造に有効に使用することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は光硬化時の体積収縮率が小さいため、寸法精度に優れる成形品や立体造形物を光照射成形や光学的立体造形によって円滑に得ることができる。本発明の光硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる成形品や立体造形物などの光硬化物は、250℃を超える高い熱変形温度を有していて耐熱性に極めて優れており、しかも引張強度、引張伸度、引張弾性率などが高く、力学的特性にも優れている。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000215903 【氏名又は名称】帝人製機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年11月10日(1998.11.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093377 【弁理士】 【氏名又は名称】辻 良子 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−143740(P2000−143740A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−319351 |
|