| 【発明の名称】 |
高分子薄膜とその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】栗原 和枝
【氏名】水上 雅史
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| 【要約】 |
【課題】50nm未満の超薄膜であってもその形成が容易であって、しかも表面平坦性を確保することができ、機能性膜としての利用性を高めることのできる高分子薄膜を提供する。
【解決手段】固体表面に親和性を有する重合性の液状モノマーを含む多成分系液体に浸漬することにより固体表面に吸着された液状モノマーが重合されてなることを特徴とする高分子薄膜とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固体表面に親和性を有する重合性の液状モノマーを含む多成分系液体に浸漬することにより固体表面に吸着された液状モノマーが重合されてなることを特徴とする高分子薄膜。 【請求項2】 液状モノマーの液体中の濃度が1.5mol%以下である請求項1の高分子薄膜。 【請求項3】 液状モノマーは炭素・炭素不飽和結合の存在によって重合可能とされている請求項1または2の高分子薄膜。 【請求項4】 多成分系液体が重合開始剤、重合触媒ないしは重合促進剤の少くとも1種を含む請求項1ないし3の高分子薄膜。 【請求項5】 固体表面は、ガラス、セラミックス、半導体金属ないしは樹脂のうちの少くとも1種である請求項1ないし4のいずれかの高分子薄膜。 【請求項6】 膜厚が50nm未満である請求項1ないし5のいずれかの高分子薄膜。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかの高分子薄膜の製造方法であって、固体表面に親和性を有する重合性の液状モノマーを含む多成分系液体に固体表面を浸漬し、次いで固体表面に吸着された液状モノマーを重合させることを特徴とする高分子薄膜の製造方法。 【請求項8】 重合は光照射による光重合として行う請求項7または8の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この出願の発明は、高分子薄膜とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、固体センサー、化学物質合成のための担体あるいは触媒、物質分離材、光機能膜、その他の光・電子デバイス等として有用な、ナノメートルオーダーの厚みの高分子薄膜とその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術とその課題】従来より、各種の固体基板の表面に高分子薄膜を形成することが様々の目的のもとに行われてきている。そしてこの高分子薄膜形成のための方法についても様々な試みがなされてきている。たとえば、回転させた固体基板の表面に重合性液体を流下させて架橋重合膜を形成するスピンコート法や、あるいは浸漬法、スプレーコート法等がその代表的な方法である。 【0003】しかしながら、このような従来の高分子薄膜の形成方法においては、形成可能とされる薄膜の厚みはいずれも50nm(ナノメートル)以上のものであって、50nm未満の膜厚とすることは極めて困難であり、しかも形成された薄膜は、膜厚を均一とすることができず、平坦表面とすることが困難で、微細なピンホールの形成を回避することも難しいという問題があった。 【0004】このため、従来の高分子薄膜においては、固体センサー、光・電子機能デバイス、あるいは精密化学合成のための担体や触媒、さらには分離材等の機能性材として用いることには大きな制約があった。そこで、この出願の発明においては、以上のとおりの従来技術の問題点を解消し、50nm未満の超薄膜であってもその形成が容易であって、しかも表面平坦性を確保することができ、機能性膜としての利用性を高めることのできる、新しい高分子薄膜とその製造方法を提供することを課題としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、固体表面に親和性を有する重合性の液状モノマーを含む多成分系液体に接触することにより固体表面に吸着された液状モノマーが重合されてなることを特徴とする高分子薄膜を提供する。また、この出願の発明は、第2には、液状モノマーの液体中の濃度が1.5mol%以下である前記の高分子薄膜を、第3には、液状モノマーは炭素・炭素不飽和結合の存在によって重合可能とされている高分子薄膜を、第4には、多成分系液体が重合開始剤、重合触媒ないしは重合促進剤の少くとも1種を含む高分子薄膜を、第5には、固体表面は、ガラス、セラミックス、半導体金属ないしは樹脂のうちの少くとも1種である高分子薄膜を、第6には、膜厚が50nm未満である高分子薄膜を提供する。 【0006】そしてまた、この出願の発明は、第7には前記いずれかの高分子薄膜の製造方法であって、固体表面に親和性を有する重合性の液状モノマーを含む多成分系液体に固体表面を浸漬し、次いで固体表面に吸着された液状モノマーを重合させることを特徴とする高分子薄膜の製造方法を、第8には重合は光照射による光重合として行う製造方法をも提供する。 【0007】以上のとおりのこの出願の発明は、発明者らによって、多成分系、たとえば二成分系液体中に浸漬した固体表面には、一方の成分の選択吸着膜が形成され、特に、低濃度では表面親和性の成分の場合にナノメートルオーダーの厚みの吸着層が形成されるとの知見を得たことから、吸着成分として重合性のモノマーを用い、このモノマーの選択吸着膜を形成し、これを重合することにより、従来では不可能であった50nm未満の膜厚の高分子薄膜を得ることを可能としたことに基づいて完成されている。 【0008】 【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。まず、この発明の高分子薄膜とその製造方法においては、多成分系液体には、固体表面に親和性を有し、かつ重合性の液状モノマーが含まれているものとする。この場合の固体表面との親和性は、選択吸着能として固体表面の性質に対応している。たとえば固体表面のO(酸素原子)やH(水素原子)、Si−O−結合性、OH結合性、その他表面の元素との親和性として考慮されることになる。この親和性を有する、重合性の液状モノマーは、所要の温度において液状であって、かつ熱や光、さらには放射線、触媒の存在下等の条件のもとでホモ重合、あるいは共重合可能なものである。たとえば代表的には炭素・炭素不飽和結合、より具体的にはエチレン性不飽和結合を有するものが例示される。アクリル酸あるいはそのエステル、アミド、ニトリル等の誘導体、メタクリル酸あるいはそのエステル、アミド、ニトリル等の誘導体、ビニルアルコールもしくは酢酸ビニルエステル等のその誘導体、マレイン酸あるいはそのエステル等の誘導体等がこれらモノマー化合物として例示される。 【0009】液状モノマーは、単一化合物でもよいし、複数種の化合物であってもよい。これらの液状モノマーを含む多成分系液体は、相溶性のない、もしくは相溶性の低い複数種の液体物質によって構成される。より適当には二成分系液体である。液性モノマーを含めて、このような多成分系液体としては、極性(親水性)の固体表面の場合には、極性の高い液状モノマーと、非極性ないしは低極性の液体、より具体的には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素等との組合わせが考えられる。また、たとえば、非極性(疎水性)の固体表面は、極性の低い液状モノマーと、極性の高い液体溶媒との組合わせが考えられる。 【0010】これらの多成分系液体には、微量の重合開始剤、重合触媒、重合促進剤の少なくとも1種を含有させてもよい。そして、この発明の高分子薄膜とその製造方法においては、液状モノマーを固体表面に接触させて選択的に吸着させるためのは、液状モノマーをより低濃とすることが望ましい。液状モノマーの種類によっても相違するが、一般的には、多成分系液体の全体について、液状モノマーの割合は10mol%未満、より好ましくは1.5mol%以下、さらには1mol%以下とするのが望ましい。2mol%以上の場合には、膜厚が50nm未満で均一厚みの表面の平坦な高分子薄膜とすることが困難となる。 【0011】固体表面の種類については特に限定はなく、ガラス、セラミックス、カーボン、半導体、金属ないしは樹脂の各種のものであってよい。もちろん、高分子薄膜の用途、所期の性質等に応じて、これらの固体表面と、前記の液状モノマーとが選択されることになる。高分子薄膜の形成は、基本的には次の手順で行われる。 <1>液状モノマーの選択的吸着液状モノマーを含む多成分系液体に固体表面を浸漬し、固体表面に液状モノマーを選択的に吸着させる。 <2>モノマーの重合選択吸着された液状モノマーを重合し、高分子薄膜とする。 【0012】このような手順において、<1>選択的吸着では、多成分系液体への固体浸漬は、目的対象とする高分子、固体の種類、高分子薄膜の性質によっても相違するが、通常は、多成分系液体の温度は室温ないしその近傍程度、浸漬時間は、数分〜1時間程度でよい。浸漬後中固体の表面には液状モノマーが吸着されているが、この吸着されたモノマーに光照射して重合させるか、もしくはその他の重合手段を適用して液状モノマーを重合させる。重合の反応温度、雰囲気条件、反応時間、光照射の条件等は適宜に選択されることになる。 【0013】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。 【0014】 【実施例】重合試料としてアクリル酸、溶媒としてシクロヘキサンを用いた。アクリル酸を微量添加した混合溶液中に水蒸気プラズマ処理により親水化したガラス基板を1時間浸し、重合開始剤としてAIBNを添加しHgランプにより紫外線を照射して重合反応を行った。アクリル酸濃度0.1〜5.0mol%、反応時間0〜10hにおいて得られた修飾表面をAFMによるイメージング、FT−IRスペクトル測定より評価した。 【0015】それぞれの条件で反応時間とともに、表面に凸部が形成され始め、時間とともにその数が増加するのが観測された。アクリル酸濃度2.0mol%以上の濃度では、不定形で100mnオーダーの凸部が形成された。アクリル酸濃度のより低い条件(0.1,1.0mol%)では、形成される凸部はサイズが揃っており(30〜50nm程度)、適当な反応時間で数μm平方内での凹凸が1.5nm以下の平滑な修飾表面が得られた。 【0016】添付した図1は、アクリル酸濃度1.0mol%の場合の重合表面のAFM像を示したものである。平滑な修飾表面が得られていることが確認された。 【0017】 【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、50nm未満の超薄膜であってもその形成が容易であって、しかも表面平坦性を確保することができ、機能性膜としての利用性を高めることのできる高分子薄膜が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】396020800 【氏名又は名称】科学技術振興事業団
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| 【出願日】 |
平成10年11月11日(1998.11.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093230 【弁理士】 【氏名又は名称】西澤 利夫
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| 【公開番号】 |
特開2000−143705(P2000−143705A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【出願番号】 |
特願平10−321144 |
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