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【発明の名称】 4−ジメチルアミノピリジンの回収方法
【発明者】 【氏名】鈴木 順次

【氏名】荻原 敦

【氏名】松下 政幸

【氏名】野口 修治

【要約】 【課題】シクロヘキサンジオン系化合物のO−アシル体からC−アシル体への転位反応で副生する式[1]

【解決手段】式[1]で表される化合物を、水難溶生有機溶媒中、水の存在下に分解させることにより達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】式[1]
【化1】

(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基をX1〜X6はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はその環内に硫黄原子又は酸素原子を含有する複素環基を示す。)で表される化合物を、水難溶性有機溶媒中、水の存在下に分解することを特徴とする4−ジメチルアミノピリジンの回収方法。
【請求項2】X3が低級アルキルチオ低級アルキル基、3−テトラヒドロチオピラニル基又は4−テトラヒドロピラニル基である請求項1記載の回収方法。
【請求項3】有機溶媒がトルエンである請求項1又は2記載の回収方法。
【請求項4】分解を2級アミンの存在下に行う請求項1〜3記載の回収方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4−ジメチルアミノピリジン(以下DMAPという)の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】DMAPは、種々の反応の触媒に利用されており、特にシクロヘキサンジオン系化合物のO−アシル体のC−アシル体への転位触媒として利用されている。そして、副反応としてDMAPとシクロヘキサンジオン系化合物の反応物が生成する。従来、この反応物を130〜140℃で6〜7時間かけて熱分解させ、DMAPを回収していたが、回収率が悪い、シクロヘキサンジオン系化合物が回収できない、分解の温度が高いため、工業的な回収方法とはいえない等の問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、DMAPの工業的に有利な回収方法を鋭意研究した結果、反応物を加水分解することにより前記問題点が解決できることを見出し、本発明を解決した。即ち、本発明は、式[1]
【化2】

(式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基を、X1〜X6はそれぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又はその環内に硫黄原子又は酸素原子を含有する複素環基を示す。)で表される化合物を水難溶性有機溶媒中、水の存在下に分解することを特徴とするDMAPの回収方法である。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明に適用できる化合物としては、特に制限はないが、R1、R2のうち一方が水素原子で他方がメチル、エチル、プロピル等の低級アルキル基である化合物、X1、X2、X4、X5、X6が水素原子でX3がエチルチオプロピル等の低級アルキルチオ低級アルキル、3−テトラヒドロチオピラニル、4−テトラヒドロピラニル等の複素環基を有する化合物が例示できる。
【0005】分解に使用できる水難溶性有機溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等が使用できるが、分解温度等の関係からトルエンが好ましい。分解は、DMAPを使用したO−アシル化合物からC−アシル化合物への転位反応に使用した、実際の反応液を使用して行なう場合、この反応液を塩酸等の鉱酸水溶液でDMAP及び式[1]で表される化合物を抽出し、必要により水難溶性有機溶媒を加え、更に苛性ソーダ等の塩基で中和し、過剰の水を分解した後、90〜130℃、好ましくは、100〜110℃の範囲で行なわれる。分解終了後は、水洗等の処理を行なうことにより、DMAPの有機溶媒として回収することができる。もちろん、必要によりDMAPを単離することは可能であるが、通常は、溶液のまま、次回の転位反応にくり返し使用される。
【0006】また、分解時、ジメチルアミン等のアミン、あるいは、t−ブチルメルカプタン、エチルメルカプタン等のある種のメルカプタン類を存在させることにより、より分解がスムースに進行する。尚、式[1]で表される化合物は、X1〜X6の置換基の種類によっては互変異性体が存在するが、本発明はそれら全ての化合物が含まれる。
【0007】[実施例]以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]25.66gのDMAPを使用して行った転位反応液から希塩酸を用いて抽出したDMAP(18.43g;71.8%)及び式[2]
【化3】

で表されるDMAPと5−(2−エチルチオプロピル)−2−ブタノイルシクロヘキセン−2−オン−1との反応物(APAと略称:7.44g;9.1%相当)を含有する水溶液(ジメチルアミン、0.42gを含む)にトルエン435g及び28%苛性ソーダ水溶液135gを添加し、充分攪拌後静置した。溶液はトルエン層、水層及びAPAを含む中間層に分離した。水層を除いた後、トルエン層と中間層を加熱し内温が100℃になるまで共沸蒸留により水分を留去した。100〜105℃で2時間加熱してAPAを分解させた後、冷却し少量の水(6g)を加え分液、水層は初めの水層と合わせトルエン435gで抽出した。トルエン層を合わせてHPLCで分析した結果DMAP、20.05gを含み回収率は水層中の量に対して108.8%、反応に使用した量に対して78.1%であった。
【0008】[実施例2]式[3]
【化4】

で表される化合物3.87g(10mmol)をトルエン75g中に入れ、水4gと50%ジメチルアミン水溶液0.18g(2mmol)を加えた。内温が105℃になるまで水分を共沸脱水で除いた後、その温度で2時間加熱した。HPLCで分析した結果、DMAP1.20g(9.82mmol:収率98.2%)が生成し、式[3]で表される化合物の残存量は0.01g以下であった。
【0009】[実施例3]7.45gのDMAPを使用して行った転位反応液から希塩酸を用いて抽出したDMAP(5.79g;77.7%)及び式[4]
【化5】

で表される化合物(O−APAと略称:2.85g;13.1%相当)を含有する水溶液にトルエン150g及び28%苛性ソーダ水溶液70gを添加し、充分攪拌後静置した。溶液はトルエン層、水層及びO−APAを含む中間層に分離した。水層を除いた後、トルエン層と中間層にジメチルアミン塩酸塩2.19gを加え内温が95℃になるまで共沸蒸留により水分を留去した。95〜100℃で4時間加熱してO−APAを分解させた後、冷却し少量の水(4g)を加え分液、水層は初めの水層と合わせトルエン150gで抽出した。トルエン層を合わせてHPLCで分析した結果DMAP、6.36gを含み回収率は水層中の量に対して109.8%、反応に使用した量に対して85.4%であった。
【0010】[参考例1]25.66gのDMAPを使用して行った転位反応液から希塩酸を用いて抽出したDMAP(18.43g;71.8%)及び式[2]で表されるAPA(7.44g;9.1%相当)を含有する水溶液(実施例1と同じもの)にトルエン435g及び28%苛性ソーダ水溶液135gを添加し、充分攪拌後静置した。溶液はトルエン層、水層及びAPAを含む中間層に分離した。トルエン層を分離後水層、中間層は更にトルエン435gで抽出した。トルエン層を合わせてHPLCで分析した結果DMAP、17.91gを含み回収率は水層中の量に対して97.2%、反応に使用した量に対して69.8%であった。
【0011】[比較例1]16.6gのDMAPを使用した転位反応液から得られた5.64gのO−APAを含む中間層24.0gに水、トルエンをそれぞれ10ml加えた後塩酸でpHを8〜9に調整した。この溶液を加熱し溶媒と水を留去した後、更に140℃で7時間加熱した。反応液をHPLCで分析した結果、1.27gのDMAP(O−APAからの理論値に対して66%)が生成していたが、副生物が多く単純な手段ではこれらからDMAPを分離できず、次ロットの反応に使用することはできなかった。
【0012】
【発明の効果】本発明の回収方法は、加水分解によりDMAPを回収するので、反応温度は、90〜110℃と比較的低温で反応が進行するので工業的回収方法として有用である。更に、転位反応に使用した有機溶媒溶液として回収できるので、そのまま、次回の転位反応に使用できる、反応物からDMAPを分解させて得られる式[5]
【化6】

で表されるシクロヘキサン系化合物が回収できる等優れた回収方法である。
【出願人】 【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
【出願日】 平成10年11月16日(1998.11.16)
【代理人】 【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
【公開番号】 特開2000−143630(P2000−143630A)
【公開日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願番号】 特願平10−325437