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【発明の名称】 有機合成用リンカ―結合支持体、その製造方法および用途
【発明者】 【氏名】永井 克典

【氏名】三輪 哲生

【要約】 【課題】有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の、異なった置換基を有する多種類の有機化合物を短時間に効率良く製造するための提供。

【解決手段】式【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】式【化1】

[式中、【化2】

は支持体を、Xは脱離基を、Yは結合手またはスペーサーを、Zは2価の基を示し、Zが電子吸引性の2価の基を示すとき、Wは置換されていてもよい芳香環を、Zが非電子吸引性の2価の基を示すとき、Wは電子吸引性基で置換され、さらに置換されていてもよい芳香環を、mは1または2を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項2】Xが(i)ハロゲン原子または(ii)アルキルまたはアリールで置換されていてもよいスルホニルオキシ基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項3】Xが(i)ハロゲン原子または(ii)C1-6アルキルまたはC6-14アリールで置換されていてもよいスルホニルオキシ基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項4】Xがハロゲン原子である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項5】Xが塩素原子である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項6】Yで示されるスペーサーが、置換されていてもよく、炭素原子、窒素原子、水素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選択された1ないし20個の原子で構成される直鎖状の2価の基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項7】Yで示されるスペーサーが、式(i)−(CH2)p−、(ii)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、(iii)−(CH2)q−O−(CH2)r−、(iv)−(CH2)q−S−(CH2)r−、(v)−(CH2)q−SO−(CH2)r−、(vi)−(CH2)q−SO2−(CH2)r−、(vii)
【化3】

(viii)
【化4】

、または(ix)
【化5】

(式中、pは1ないし6の整数を、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す)で表わされる基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項8】Yで示されるスペーサーが、式(i)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、または(ii)
【化6】

(式中、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す)で表わされる基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項9】Yが結合手、−CH2NH−または式【化7】

で表される基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項10】Zで示される電子吸引性の2価の基が、ハメットの置換基定数σ値が正の値を持つ基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項11】Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ハロゲノメテン基またはハロゲノエテン基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項12】Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基またはスルフィニル基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項13】Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基またはスルホニル基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項14】Zで示される非電子吸引性の2価の基が、ヒドロキシ,アミノ,カルボキシル,ニトロ,(モノ−またはジ−C1-6アルキル)アミノ,C1-6アルコキシ,(C1-6アルキル)カルボニルオキシもしくはハロゲンで置換されていてもよい(i)C1-6アルキレン基、(ii)C2-6アルケニレン基または(iii)C2-6アルキニレン基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項15】Zで示される非電子吸引性の2価の基が、メチレン基またはエチレン基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項16】Yが結合手で、Zがスルホニル基またはカルボニル基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項17】Yが−CH2NH−または式【化8】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項18】Wで示される置換されていてもよい芳香環が、(i)ハロゲン原子、(ii)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(iv)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基および(v)水酸基から成る群から選ばれた1ないし2個の置換基で置換されていてもよい、(1)C6-14芳香族環状炭化水素または(2)酸素原子,硫黄原子および窒素原子から成る群から選ばれた1ないし4個のヘテロ原子を含む芳香族複素環またはその縮合環である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項19】C6-14芳香族環状炭化水素がベンゼン環である請求項18記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項20】芳香族複素環またはその縮合環が、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、α―カルボリン、β―カルボリン、γ―カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジンまたはフェナントロリンである請求項18記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項21】Wで示される芳香環に置換する1価の電子吸引性基が、ハロゲン原子、ハロゲノ−C1-6アルキル基、ハロゲノ−C6-14アリール基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、C1-6アルキルスルファモイル基、C6-14アリールスルファモイル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C6-14アリールスルフィニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基またはシアノ基である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項22】
【化9】

で示される支持体が、式【化10】

[式中、【化11】

はポリスチレン支持体を示す。]で表される支持体である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項23】ポリスチレン支持体がスチレンとそれに対し0ないし5モル%のジビニルベンゼンとのコポリマーである請求項22記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項24】式【化12】

[式中、【化13】

はポリスチレン支持体を、Rは低級アルキル基を、nは0ないし4の整数を示し、nが2以上の場合、Rは同一または異なっていてもよく、m+n≦5であり、その他の各記号は請求項1記載と同意義を示す。]で表される請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項25】Xが塩素原子である請求項24記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項26】Yが式−CH2NH−または【化14】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、nが0である請求項24記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項27】
【化15】

で示される支持体が、式【化16】

[式中、【化17】

はポリスチレン支持体を示す。]で表される支持体で、Xがハロゲン原子で、Yが結合手、−CH2NH−または【化18】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、Wがベンゼン環で、mが1または2である請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩。
【請求項28】式【化19】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と(1)ハロゲン化試薬または(2)スルホン酸の活性化試薬とを反応させることを特徴とする、式【化20】

[式中、X1は(1)ハロゲン原子または(2)低級アルキルまたは芳香環で置換されたスルホニルオキシ基を示し、その他の各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項29】ハロゲン化試薬がハロゲン化スルフリルである請求項28記載の製造方法。
【請求項30】式【化21】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とハロゲノスルホン酸とを反応させることを特徴とする、式【化22】

[X2はハロゲン原子を、その他の各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項31】式【化23】

[式中、【化24】

は請求項24記載と同意義を示す。]で表される支持体と式【化25】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化26】

[式中、各記号は前記と同意義を示す]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項32】式【化27】

[式中、記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化28】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化29】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項33】式【化30】

[式中、記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化31】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化32】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項34】式【化33】

[式中、記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化34】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化35】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項35】式【化36】

[式中、記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化37】

[式中、各記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化38】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項36】式【化39】

[式中、記号は請求項24記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とハロゲン化スルフリルとを反応させることを特徴とする、式【化40】

[式中、X2はハロゲン原子を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法。
【請求項37】請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩を使用することを特徴とする有機化合物の合成方法。
【請求項38】式 Ar−OH[式中、Arは置換基を有していてもよい芳香環を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化41】

[式中、各記号は請求項1記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩とを塩基性条件下に反応させ、得られる式【化42】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩のAr上に必要に応じて置換基を導入または/およびAr上の置換基を他の置換基に変換し、得られる式【化43】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を還元反応に付すことを特徴とする、式 Ar’−H[式中Ar’は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩の合成方法である請求項37記載の合成方法。
【請求項39】パラジウムホスフィン錯体触媒存在下、ギ酸塩またはトリアルキルシランを用い、還元反応に付すことを特徴とする請求項38記載の合成方法。
【請求項40】ArおよびAr'で示される芳香環がベンゼン環である請求項38記載の合成方法。
【請求項41】式【化44】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は請求項1記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩。
【請求項42】式【化45】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は請求項1記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を還元反応に付すことを特徴とする、式 Ar’−H[式中Ar’は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩の合成方法。
【請求項43】請求項1記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩を使用して合成される新規有機化合物またはその塩。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物の合成(特にコンビナトリアルケミストリーの分野)において極めて有用な新規支持体、その製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】コンビナトリアルケミストリーの分野において支持体上で有機合成を行う場合には、合成化合物と支持体(例えば樹脂等)の間を共有結合で結ぶ必要がある。この結合様式には様々な化学構造が知られており、例えばG. Jungら(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35巻, 17頁(1996年))により詳しく紹介されている。合成化合物と支持体を結合するこの共有結合部分は当該分野において通常リンカー(linker)と呼ばれている。従来の結合様式では目的の合成化合物を支持体から切り出す際、通常生成物側にリンカー部の化学構造由来の官能基が残った。このような官能基としては例えばカルボキシル基およびその誘導体由来の基、水酸基、アミノ基等が知られている。このような官能基は合成化合物の機能物質の作用発現には必ずしも必要でないか、存在することによって作用発現を妨害する場合が多く、またこれらの官能基が残存することが支持体を使用した合成法によって合成することができる化合物の種類を著しく限定している1つの要因でもあった。しかしながら、最近になってこのようなリンカー由来の官能基を化合物上に残さない方法、すなわちトレースレスリンカーを用いた合成法が報告されている。例えばA. Ellmanら(J. Org. Chem., 60卷, 6006頁(1995年))、D. F. Veberら(J. Am. Chem. Soc., 117卷,11999頁(1995年))により、アリール−シラン結合の性質を生かしたトレースレスリンカーが報告されている。しかしながらこの方法は、いずれもアリール−シラン結合を形成する際にアリール基を強塩基でリチオ化しなければならず、この段階で塩基に不安定な官能基はアリール基側に存在できない。また、アリール基上の置換基の性質により、アリール−シラン結合が切断されにくい場合もある。このような理由により、アリール−シラン型のトレースレスリンカーでは適用できる化合物の種類が限定されていた。一方、D. J. Wustrowら(Tetrahedron Lett., 39巻, 3651頁(1998年))らは、スルホン酸樹脂に結合したフェノール誘導体にパラジウム触媒とギ酸塩とを作用させて、対応するベンゼン誘導体を得る方法を報告している。しかしながら、スルホン酸型イオン交換樹脂由来のリンカー結合支持体を用いたこの方法は、カルボキシル基、カルバモイル基等の電子吸引性基で置換されたベンゼン誘導体の合成に対してのみ適用可能であり、種々の芳香族化合物を得るための汎用性の高い合成法とはいえなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リンカー由来の官能基を目的の合成化合物上に残さず、かつ種々の合成化合物の合成に適用可能な汎用性の高い新規トレースレスリンカーを担持した有機合成用リンカー結合支持体、その製造方法および用途を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討した結果、新しい、式【化46】

[式中、記号は後記と同意義を示す。]で表されるリンカーが結合した支持体を初めて合成し、この支持体がリンカー部分の特異な化学構造に基づいて予想外にも種々の化合物、特に芳香族性水酸基を基質に持つ合成化合物の支持体への担持をが容易にし、様々な有機合成反応条件でも合成化合物を支持体上に安定に担持し、目的の合成化合物を簡便に切り出し可能とし、さらに得られた合成化合物にリンカー部分由来の官能基を残さない等の優れた特徴を有することを見出し、これらに基づいて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1)式【化47】

[式中、【化48】

は支持体を、Xは脱離基を、Yは結合手またはスペーサーを、Zは2価の基を示し、Zが電子吸引性の2価の基を示すとき、Wは置換されていてもよい芳香環を、Zが非電子吸引性の2価の基を示すとき、Wは電子吸引性基で置換され、さらに置換されていてもよい芳香環を、mは1または2を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(2)Xが(i)ハロゲン原子または(ii)アルキルまたはアリールで置換されていてもよいスルホニルオキシ基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(3)Xが(i)ハロゲン原子または(ii)C1-6アルキルまたはC6-14アリールで置換されていてもよいスルホニルオキシ基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(4)Xがハロゲン原子である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(5)Xが塩素原子である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(6)Yで示されるスペーサーが、置換されていてもよく、炭素原子、窒素原子、水素原子、酸素原子および硫黄原子から成る群から選択された1ないし20個の原子で構成される直鎖状の2価の基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(7)Yで示されるスペーサーが、式(i)−(CH2)p−、(ii)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、(iii)−(CH2)q−O−(CH2)r−、(iv)−(CH2)q−S−(CH2)r−、(v)−(CH2)q−SO−(CH2)r−、(vi)−(CH2)q−SO2−(CH2)r−、(vii)
【化49】

、(viii)
【化50】

、または(ix)
【化51】

(式中、pは1ないし6の整数を、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す。)で表わされる基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(8)Yで示されるスペーサーが、式(i)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、または(ii)
【化52】

(式中、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す。)で表わされる基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(9)Yが結合手、−CH2NH−または式【化53】

で表される基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(10)Zで示される電子吸引性の2価の基が、ハメットの置換基定数σ値が正の値を持つ基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(11)Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ハロゲノメテン基またはハロゲノエテン基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(12)Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基またはスルフィニル基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(13)Zで示される電子吸引性の2価の基が、カルボニル基またはスルホニル基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(14)Zで示される非電子吸引性の2価の基が、ヒドロキシ,アミノ,カルボキシル,ニトロ,(モノ−またはジ−C1-6アルキル)アミノ,C1-6アルコキシ,(C1-6アルキル)カルボニルオキシもしくはハロゲンで置換されていてもよい(i)C1-6アルキレン基、(ii)C2-6アルケニレン基または(iii)C2-6アルキニレン基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(15)Zで示される非電子吸引性の2価の基が、メチレン基またはエチレン基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(16)Yが結合手で、Zがスルホニル基またはカルボニル基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(17)Yが−CH2NH−または式【化54】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(18)Wで示される置換されていてもよい芳香環が、(i)ハロゲン原子、(ii)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、(iv)ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基および(v)水酸基から成る群から選ばれた1ないし2個の置換基で置換されていてもよい、(1)C6-14芳香族環状炭化水素または(2)酸素原子,硫黄原子および窒素原子から成る群から選ばれた1ないし4個のヘテロ原子を含む芳香族複素環またはその縮合環である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(19)C6-14芳香族環状炭化水素がベンゼン環である第(18)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(20)芳香族複素環またはその縮合環が、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、α―カルボリン、β―カルボリン、γ―カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジンまたはフェナントロリンである第(18)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(21)Wで示される芳香環に置換する1価の電子吸引性基が、ハロゲン原子、ハロゲノ−C1-6アルキル基、ハロゲノ−C6-14アリール基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、C1-6アルキルスルファモイル基、C6-14アリールスルファモイル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C6-14アリールスルフィニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基またはシアノ基である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(22)
【化55】

で示される支持体が、式【化56】

[式中、【化57】

はポリスチレン支持体を示す。]で表される支持体である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(23)ポリスチレン支持体がスチレンとそれに対し0ないし5モル%のジビニルベンゼンとのコポリマーである第(22)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(24)式【化58】

[式中、【化59】

はポリスチレン支持体を、Rは低級アルキル基を、nは0ないし4の整数を示し、nが2以上の場合、Rは同一または異なっていてもよく、m+n≦5であり、その他の各記号は第(1)項記載と同意義を示す。]で表される第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(25)Xが塩素原子である第(24)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(26)Yが式−CH2NH−または【化60】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、nが0である第(24)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(27)
【化61】

で示される支持体が、式【化62】

[式中、【化63】

はポリスチレン支持体を示す。]で表される支持体で、Xがハロゲン原子で、Yが結合手、−CH2NH−または【化64】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、Wがベンゼン環で、mが1または2である第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩、(28)式【化65】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と(1)ハロゲン化試薬または(2)スルホン酸の活性化試薬とを反応させることを特徴とする、式【化66】

[式中、X1は(1)ハロゲン原子または(2)低級アルキルまたは芳香環で置換されたスルホニルオキシ基を示し、その他の各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(29)ハロゲン化試薬がハロゲン化スルフリルである第(28)項記載の製造方法、(30)式【化67】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とハロゲノスルホン酸とを反応させることを特徴とする、式【化68】

[X2はハロゲン原子を、その他の各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(31)式【化69】

[式中、【化70】

は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される支持体と式【化71】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化72】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(32)式【化73】

[式中、記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化74】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化75】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(33)式【化76】

[式中、記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化77】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化78】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(34)式【化79】

[式中、記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化80】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化81】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(35)式【化82】

[式中、記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化83】

[式中、各記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式【化84】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(36)式【化85】

[式中、記号は第(24)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とハロゲン化スルフリルとを反応させることを特徴とする、式【化86】

[式中、X2はハロゲン原子を示し、その他の記号は前記と同意義を示す。]で表わされる有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の製造方法、(37)第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩を使用することを特徴とする有機化合物の合成方法、(38)式 Ar−OH (XIX)[式中、Arは置換基を有していてもよい芳香環を示す。]で表される化合物またはその塩と式【化87】

[式中、各記号は第(1)項記載と同意義を示す。]で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩とを塩基性条件下に反応させ、得られる式【化88】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩のAr上に必要に応じて置換基を導入または/およびAr上の置換基を他の置換基に変換し、得られる式【化89】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を還元反応に付すことを特徴とする、式 Ar’−H (XXII)[式中Ar’は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩の合成方法である第(37)項記載の合成方法、(39)パラジウムホスフィン錯体触媒存在下、ギ酸塩またはトリアルキルシランを用い、還元反応に付すことを特徴とする第(38)項記載の合成方法、(40)ArおよびAr'で示される芳香環がベンゼン環である第(38)項記載の合成方法、(41)式【化90】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は第(1)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩、(42)式【化91】

[式中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香環を、その他の各記号は第(1)項記載と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩を還元反応に付すことを特徴とする、式 Ar’−H[式中Ar’は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩の合成方法、および(43)第(1)項記載の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩を使用して合成される新規有機化合物またはその塩に関する。
【0006】
【化92】

で示される支持体としては、有機合成化学とりわけコンビナトリアルケミストリーの分野で支持体として用いられる各種担体を用いることができ、例えば、ペプチド合成のための支持体として一般に使用されている合成支持体やシリカゲル等を用いることができるが、商業的調製物として入手可能なポリスチレンが好ましい。なかでも、有機溶剤中における不溶性および安定性を増強するため、スチレンとそれに対し約0ないし約5モル%のジビニルベンゼンとのコポリマー形態にあるポリスチレンからなる支持体が好ましく、約1ないし約2mol%のジビニルベンゼンとのコポリマー形態にあるものがより好ましい。好ましい支持体としては、粒状のものが用いられ、例えば粒径30〜約1500μmのもの等が用いられる。
【0007】
【化93】

の好ましい例のポリスチレンからなる支持体としては、例えば、式(II)で表されるもの等を用いることができ、式(II)中のフェニル基はポリスチレン中のスチレン基由来のものを示し、1つに限られず多数存在するフェニル基を意味するが、本明細書中では便宜上、代表例として1つのみ記載する。従って、式(II)中【化94】

で示されるポリスチレン支持体は、ポリスチレンからなる樹脂からフェニル基を少なくとも1つ除いた残りの部分を示す。また、支持体の形状は特に制限されないが、粒状のもの以外にも樹脂状、ゲル状、ゾル状等が好ましく用いられる。
【0008】XおよびX1で示される脱離基としては、例えば有機合成化学の分野で一般に用いられている脱離基が用いられ、具体的には、例えばComprehensive OrganicSynthesis、第6巻、5.1章(A. Krebsら、Pergamon Press, Oxford, 1991)に記載されているもの等が用いられるが、好ましくは(1)ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、または(2)アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等のC1-6アルキル等)もしくはアリール(例えば、フェニル、トリル等のC6-14アリール、好ましくはC6-10アリール等)で置換されたスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等)等が用いられる。なかでも、XおよびX1としては、塩素原子などのハロゲン原子が好適である。X2で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが用いられるが、塩素原子、臭素原子が好ましく用いられ、なかでも塩素原子などのハロゲン原子が好適である。
【0009】Yで示されるスペーサーとしては、炭素、窒素、水素、酸素、硫黄などから選択された原子で直鎖状に構成され、原子数が1ないし20の、各工程における反応条件下で切断されない、置換されていてもよい2価の基が用いられるが、特に、炭素原子および窒素原子を含有する基が好ましい。該スペーサーとしては、具体的には、式(i)−(CH2)p−、(ii)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、(iii)−(CH2)q−O−(CH2)r−、(iv)−(CH2)q−S−(CH2)r−、(v)−(CH2)q−SO−(CH2)r−、(vi)−(CH2)q−SO2−(CH2)r−などの他、【0010】(vii)
【化95】

、(viii)
【化96】

、(ix)
【化97】

(式中、pは1ないし6の整数を、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す)で表わされる基などの式【化98】

(式中、Q1およびQ2の一方は窒素原子を、他方は窒素原子または炭素原子を、B環はQ1およびQ2と共に5ないし7員環を形成し、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を示す)で表わされる基などが好ましく、なかでも、式【0011】(i)−(CH2)q−NR1−(CH2)r−、または(ii)
【化99】

(式中、qは1ないし3の整数を、rは0ないし3の整数を、R1はC1-6アルキル基を示す)で表わされる基が好適である。Yとしては、結合手、−CH2NH−または式【化100】

で表される基等が好ましい。
【0012】Zで示される2価の基は、本発明の目的が達成される限り特に限定されるものではなく、2価の電子吸引性基または非電子吸引性基のどちらをも用いることができる。ここで2価の電子吸引性基とは水素原子と比べて結合原子側から電子を引きつける力の強い原子(団)をいい、具体的にはハメットの置換基定数σ値(L. P.ハメット(Hammet)、物理有機化学(Physical Organic Chemistry)第2版、McGrow-Hill, New York, 1970.)が正の値を持つ置換基である。このような2価の電子吸引性基としては、例えば、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ハロゲノメテン基、ハロゲノエテン基、等が用いられ、なかでもカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基等が好ましく用いられる。そして2価の非電子吸引性基としては、それぞれ置換可能な位置で1ないし3個が置換されていてもよいC1-6アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基等)、C2-6アルケニレン基(例えば、ビニレン基等)、C2-6アルキニレン基(例えば、エチニレン基等)等が用いられ、メチレン基、エチレン基等が好ましく用いられる。C1-6アルキレン基、C2-6アルケニレン基、C2-6アルキニレン基の「置換基」としては、例えばヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、(モノ−またはジ−C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルコキシ、(C1-6アルキル)カルボニルオキシ、ハロゲン等が用いられる。
【0013】Zが電子吸引性基を示すとき、Wは「置換されていてもよい芳香環」を示すが、該「置換基」は芳香環上の置換可能な位置に置換していてもよく、(1)ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素等)、(2)ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素等)で1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、(3)ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素等)で1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、(4)ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素等)で1ないし3個置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、(5)水酸基などから選ばれた1ないし2個が用いられ、該「置換基」が2個の場合それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0014】該「芳香環」としては、例えば、芳香族環状炭化水素または芳香族複素環もしくはその縮合環が用いられ、好ましくは芳香族環状炭化水素が用いられる。芳香族環状炭化水素としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフタレン等の炭素数6ないし14のもの等が好ましく、中でもベンゼンが好ましい。芳香族複素環としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子または窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環等が用いられる。より具体的には、「芳香族複素環」としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の芳香族単環式複素環などが用いられる。また、芳香族複素環の縮合環としては、例えば、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンズインダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、α―カルボリン、β―カルボリン、γ―カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアントレン、フェナントリジン、フェナントロリン等の8〜14員の芳香族縮合複素環が用いられ、好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環などが用いられる。
【0015】Zが2価の非電子吸引性基を示すとき、Wは1価の電子吸引性基で置換され、さらに置換されていてもよい芳香環を示す。該1価の「電子吸引性基」としては、たとえばハロゲン原子、ハロゲノアルキル基(好ましくは、少なくとも1位の炭素原子がハロゲンで置換されたアルキル基、より好ましくは、ペルハロゲノアルキル基)、ハロゲノアリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基等が用いられるが、なかでもハロゲノアルキル基(好ましくは、少なくとも1位の炭素原子がハロゲンで置換されたアルキル基、より好ましくは、ペルハロゲノアルキル基)、アルキルまたはアリールスルホニル基、カルバモイル基、アシル基等が好ましく用いられる。上記のアルキル基としてはC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピルなど)などが、アリール基としてはC6-14アリール基(例、フェニルなど)などが、アルコキシ基としてはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシなど)が、アシル基としては(C1-6アルキル)カルボニル(例、アセチル、エチルカルボニルなど)などが好ましい。このような電子吸引性基は、W上に1ないし2個以上(好ましくは1ないし4個)存在していてもよく、式SO2X [式中、Xは前記と同意義を示す。]で表される基以外の全ての置換基のハメットの置換基定数σ値(L. P. ハメット(Hammet)、物理有機化学(Physical Organic Chemistry)第2版、McGrow-Hill,New York, 1970.)の総和が約0.35以上であることが好ましい。「さらに置換されていてもよい芳香環」の「置換基」、「芳香環」は、Zが電子吸引性基のときにWで示される「置換されていてもよい芳香環」で述べたごとき「置換基」、「芳香環」と同様なものを用いることができる。
【0016】Rで示される置換基としては、本発明の目的が達成される限り特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの低級アルキル基が用いられ、なかでもC1-6アルキル基が好ましく用いられる。
【0017】ArおよびAr’で示される「置換基を有していてもよい芳香環」の「芳香環」は、本発明の目的が達成される限り特に限定されるものではないが、例えば、上記Wで示される「芳香環」で説明されたもののほか、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、フェノチアジン、クロマン、イソクロマン等を好ましく用いることができる。なかでも、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、チアゾールなどが好ましく、特にベンゼンが好適である。本発明の製造法においは、ArおよびAr’が芳香環であることが特徴であるので、該芳香環の置換基は何ら限定されず、また置換可能な限り置換基の数も限定されない。該芳香環の置換基としては、例えば、Wで示される「芳香環」が有していてもよい前記の「置換基」のほか、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アセナフテニル基等のC6-14アリール基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のC6-14環式炭化水素基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基、またはその構造的に可能な水素化体からなる単環式複素環基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、1,2−ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾピラニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、α−カルボリニル基、β−カルボリニル基、γ−カルボリニル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基等の8〜14員の芳香族縮合複素環基、またはその構造的に可能な水素化体からなる縮合複素環基、カルボキシル基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルアミジノ基、アリールアミジノ基、アシルアミジノ基、アルキルグアニジノ基、アリールグアニジノ基、アシルグアニジノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、モノまたはジアルキルアミノ基、メルカプト基等を用いることができ、置換可能な位置に置換可能な個数、好ましくは1ないし5個置換していてもよい。上記のアルキル基としてはC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピルなど)などが、アリール基としてはC6-14アリール基(例、フェニルなど)などが、アルコキシ基としてはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシなど)が、アシル基としては(C1-6アルキル)カルボニル(例、アセチル、エチルカルボニルなど)などが好ましい。
【0018】上記した置換基の中でも、例えば、アミノ基、(C1-6アルコキシ)カルボニルアミノ基(例、t−ブトキシカルボニルアミノなど)、C7-15アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノなど)、5または6員の複素環で置換されたC1-6アルキルを有するアミノ基(例、(2−チエニルメチル)アミノ、(2−イミダゾリルメチル)アミノなど)、式【化101】

〔式中、Ar2はC1-6アルコキシ(例、メトキシ)またはC1-6アルコキシ(例、メトキシ)を有していてもよいC6-14アリールオキシ(例、フェニルオキシ)などで置換されていてもよい、C6-14アリール基(例、フェニル)または5もしくは6員の複素環基(例、ピリジル,チエニル、イミダゾリル)を、R2はC1-6アルコキシ(例、メトキシ)で置換されていてもよいフェニル基、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)または5もしくは6員の複素環基(例、ピリジル基)を、R2'はC1-6アルキル基(例、メチルなど)を示す。〕で表わされる基などが用いられる。Ar2としては、例えば、フェニル、メトキシフェニル、メトキシフェノキシフェニル、ピリジル、チエニル、チアゾリルなどが好ましい。R2としては、例えば、トリメトキシフェニル、イソプロピル、メタンスルホニル、ピリジルなどが好ましい。R2'としては、メチルなどが好ましい。
【0019】本発明の有機合成用リンカー結合支持体(I)としては、例えば、【化102】

で示される支持体が、式【化103】

[式中、【化104】

はポリスチレン支持体を示す。]で表される支持体で、Xがハロゲン原子で、Yが結合手、−CH2NH−または【化105】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、Wがベンゼン環で、mが1または2である有機合成用リンカー結合支持体が好ましい。
【0020】さらに、本発明の有機合成用リンカー結合支持体(II)としては、例えば、Xが塩素原子で、Yが式−CH2NH−または【化106】

で表される基で、Zがスルホニル基またはカルボニル基で、nが0である有機合成用リンカー結合支持体などが好ましい。
【0021】また、本発明の有機合成用リンカー結合支持体、その合成原料または中間体は、反応の障害とならない限り塩として使用することができるが、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などにすることができる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミンのような有機アミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、フタル酸塩、クエン酸塩、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の有機合成用リンカー結合支持体を用いることは、芳香環基を有する化合物の多種類(例えば、芳香環基を含む特定の基本骨格を有し、置換基の種々が異なる多種類の化合物等)を同時にまたは短時間内に容易に製造するのに有利である。従って、この発明の支持体を用いることにより、異なった置換基を有する多種類の有機化合物を短時間に効率良く製造することができ、同時に少量かつ多種類の類似構造化合物を必要とする分野、例えば定量分析分野、試薬の製造分野等に有利であり、有機合成の自動化にも有用である。また、この発明の支持体は、Chem. Rev.、 97卷、2号、347-509頁(1997年)等の文献に記載の「コンビナトリアルケミストリー」において有利な支持体として使用することができ、例えば感染症治療薬、循環器系疾患治療薬、動脈硬化症治療薬、骨・関節疾患治療薬、中枢神経系疾患治療薬、糖尿病治療薬、消化器系疾患治療薬、アレルギー疾患治療薬等を目標とした生物活性評価の対象となり得る化合物の高効率的な合成において極めて有用である。コンビナトリアルライブラリーの製造と、それから生物活性を有する化合物の選択方法については、特表平9−504511等に記載の方法またはそれに準じた方法が用いられる。
【0023】本発明に係る有機合成用リンカー結合支持体は、式 W−(SO2X)m[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される基が電子吸引性基によって修飾されていることを最大の特徴とする。このような特徴を持つ、本発明の式【化107】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。)で表される有機合成用リンカー結合支持体に、式Ar−OH[式中、Arは前記と同意義を示す。]で表される化合物を反応させることによって、支持体に芳香族化合物をスルホン酸エステルとして担持した、式【化108】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物を、所望によりさらに支持体上において必要な合成反応を行って得られる、式【化109】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表されるとした化合物を還元することにより、支持体に導入するときに用いた芳香族性水酸基(Ar−OHのOH)が水素原子に置換された芳香族化合物【化110】

[式中、Ar’は前記と同意義を示す。]を支持体から切り出すことができる。
【0024】本発明の有機合成用リンカー結合支持体またはその塩は以下に記載する製造法により、またはそれに準じた方法により製造することができる。
A.式(I)で表される本発明の支持体またはその塩は、例えば式【化111】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩の【化112】

で表される基の−OH部分をX(前記と同意義を示す)で表される脱離基に変換することにより製造することができる。
【0025】具体的には(1)化合物(XXIII)またはその塩をハロゲン化することによりXがハロゲン原子である支持体(I)またはその塩を製造することができる。用いられる化合物(XXIII)またはその塩は、市販のものまたは末端がアミノ基である支持体に3,5−ジスルホ安息香酸塩を縮合させる方法あるいはそれに準じた方法により得られるものなどが用いられる。ハロゲン化試薬としては、例えば、クロロスルフリル等のハロゲン化スルフリル、塩化チオニル等のハロゲン化チオニル、クロロスルホン酸等のハロゲノスルホン酸、五塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リン等のオキシハロゲン化リンなどが用いられる。反応は、化合物(XXIII)またはその塩約1モルに対しハロゲン化試薬約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(IV)またはその塩をハロゲン化する方法、あるいは化合物(XVII)またはその塩とハロゲン化スルフリルとの反応は、本反応と同様に行なうことができる。
【0026】(2)化合物(XXIII)またはその塩とスルホン酸の活性化試薬とを反応させることにより、Xが(i)アルキルまたは(ii)アリールで置換されたスルホン基である支持体(I)またはその塩を製造することができる。スルホン酸の活性化試薬としては、例えば、塩化トシル、塩化メシル等を用いることができる。反応は、化合物(XXIII)またはその塩約1モルに対しスルホン酸の活性化試薬約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(IV)またはその塩とスルホン酸の活性化試薬との反応は、本反応と同様に行なうことができる。
【0027】B.(1)式【化113】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とハロゲノスルホン酸とを反応させることにより、支持体(I)に含まれる支持体【化114】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]またはその塩を製造することができる。
【0028】化合物(XXIV)またはその塩は、市販の支持体に、通常液相反応で同様の化合物を製造する際に用いられる反応条件を適用することによって製造できる。例えば支持体がポリスチレンの時は、市販のポリスチレン樹脂と塩化ベンゼンスルホニルと塩化アルミニウムとを反応させる方法またはそれに準じた方法により得ることができる。ハロゲノスルホン酸としては、例えば、クロロスルホン酸などを用いることができる。反応は、化合物(XXIII)またはその塩約1モルに対しハロゲン化試薬約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(VI)またはその塩とハロゲノスルホン酸との反応を、本反応と同様に行なうことにより、支持体(VII)またはその塩を製造することができる。
【0029】C.(1)支持体(II)と式【化115】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、支持体(I)に含まれる式【化116】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0030】この反応において用いられる支持体(II)は市販のものを用いることができ、化合物(XXVI)またはその塩は市販のものまたは対応するスルホン酸化合物とハロゲン化リン等のハロゲン化試薬とを反応させる方法(V. V. Kozlovら、J. Gen. Chem. USSR (Engl Transl)、19巻、740頁(1949年))などにより得ることができる。反応は、支持体(II)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVI)約1ないし約10モルと、塩化アルミニウム等のルイス酸約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、支持体(II)と化合物(VIII)またはその塩とを反応させて支持体(I)に含まれる支持体(IX)またはその塩を得る方法も本反応と同様にして行なうことができる。
【0031】(2)支持体(II)と式【化117】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、支持体(I)に含まれる式【化118】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0032】この反応において用いられる支持体(II)は市販のものを用いることができ、化合物(XXVIII)またはその塩は市販のものまたは対応するカルボン酸化合物とオキシハロゲン化リン等のハロゲン化試薬とを反応させる方法(D. Binderら、J. Med. Chem. 30巻、678頁(1987年))などにより得ることができる。反応は、支持体(II)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVIII)約1ないし約10モルと、塩化アルミニウム等のルイス酸約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。
【0033】D.(1)化合物(X)またはその塩と化合物(XXVI)またはその塩との反応により、支持体(I)に含まれる式【化119】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0034】この反応において用いられる支持体(X)は市販のものまたは市販のMerrifield樹脂とフタルイミドとを反応させ、次いでヒドラジンと反応させる方法などにより得ることができ、化合物(XXVI)またはその塩は市販のものまたは前記の方法などにより得ることができる。反応は、支持体(X)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVI)約1ないし約10モルと、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(X)またはその塩と化合物(VIII)またはその塩とを反応させて支持体(I)に含まれる支持体(XI)またはその塩を得る方法も、本反応と同様にして行なうことができる。
【0035】(2)化合物(X)またはその塩と化合物(XXVIII)またはその塩との反応により、支持体(I)に含まれる式【化120】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0036】この反応において用いられる支持体(X)は市販のものまたは市販のMerrifield樹脂とフタルイミドとを反応させ、次いでヒドラジンを反応させる方法などにより得ることができ、化合物(XXVIII)またはその塩は市販のものまたは前記の方法などにより得ることができる。反応は、支持体(X)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVIII)約1ないし約10モルと、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(X)またはその塩と化合物(XII)またはその塩とを反応させて支持体(I)に含まれる支持体(XIII)またはその塩を得る方法も、本反応と同様にして行なうことができる。
【0037】E.(1)化合物(XIV)またはその塩と化合物(XXVI)またはその塩との反応により、支持体(I)に含まれる式【化121】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0038】この反応において用いられる支持体(XIV)は市販のものまたは市販のMerrifield樹脂とピペラジンとを反応させる方法などにより得ることができ、化合物(XXVI)またはその塩は市販のものまたは前記の方法などにより得ることができる。反応は、支持体(XIV)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVI)約1ないし約10モルと、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(XIV)またはその塩と化合物(VIII)またはその塩とを反応させて支持体(I)に含まれる支持体(XV)またはその塩を得る方法も、本反応と同様にして行なうことができる。
【0039】(2)化合物(XIV)またはその塩と化合物(XXVIII)またはその塩との反応により、支持体(I)に含まれる式【化122】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される支持体またはその塩を得ることができる。
【0040】この反応において用いられる支持体(XIV)は市販のものまたは市販のMerrifield樹脂とピペラジンとを反応させる方法などにより得ることができ、化合物(XXVIII)またはその塩は市販のものまたは前記の方法などにより得ることができる。反応は、支持体(XIV)またはその塩約1モルに対し化合物(XXVIII)約1ないし約10モルと、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基約1ないし約10モルを反応させることにより行なうことができる。この反応は溶媒中で行なうのが有利であり、このような溶媒としてはジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒が用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約100℃で、約0.5時間から約72時間で完了する。また、化合物(XIV)またはその塩と化合物(XII)またはその塩とを反応させて支持体(I)に含まれる支持体(XVI)またはその塩を得る方法も、本反応と同様にして行なうことができる。なお、上記化合物(XXI)またはその塩は、化合物(XXII)またはその塩を製造するための新規な合成中間体である。
【0041】かくのごとくして得られる目的の有機合成用リンカー結合支持体(I)またはその塩は公知の手段、例えば、濾過、洗浄、遠心分離等により単離、精製することができ、支持体(I)が遊離体で得られるときは常法に従って塩に変換して、あるいは支持体(I)が塩で得られるときには遊離体に、あるいは他の塩に変換した後に単離、精製することもできる。また、反応混合物のまま次の工程の原料として使うことも可能である。本発明の支持体(I)またはその塩の製造法の具体例を以下に記載する。ここでは簡便のため支持体としてポリスチレン樹脂を用いた例を記述するが、これは本発明を限定するものではなく、他の支持体からも同様の手法で同様の製造を行うことができる。
【0042】a)スルホン酸樹脂からハロゲノスルホニル樹脂へと導く方法市販のあるいは公知の方法で製造されるスルホン酸基を有する、式【化123】

[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される樹脂とハロゲン化スルフリルおよび3置換ホスフィン(例えばトリフェニルホスフィン等)とを反応させて、末端にハロゲノスルホニル基を有する樹脂を得ることができる。この反応は、通常ジクロロメタン等の非プロトン性溶媒中、約−50℃ないし約50℃で、好ましくは約0℃ないし約25℃で、約0.5時間ないし約24時間で完了する。
【0043】b)樹脂上の置換されていてもよいフェニル基とハロゲノスルホン酸とを反応させてハロゲノスルホニルフェニル基を持つ樹脂を製造する方法ポリスチレン樹脂等置換されていてもよいフェニル基を持つ樹脂にハロゲノスルホン酸を反応させてハロゲノスルホニルフェニル基を持つ樹脂を製造することができる。この反応は通常無溶媒あるいはジクロロメタン等の不活性溶媒中、約0℃ないし約150℃、好ましくは約70℃ないし約110℃で、約1時間ないし約24時間で完了する。
c)樹脂上のアミノ基と1,3−ベンゼンジスルホニルジハライド誘導体とを反応させ、ハロゲノスルホニル基を持つ樹脂を製造する方法例えば、アミノメチルポリスチレンやピペラジノメチルポリスチレン等の1級ないし2級のアミノ基を有する樹脂に1,3−ベンゼンジスルホニルジハライド誘導体を反応させて、ハロゲノスルホニル基を持つ樹脂を製造する。この反応は通常ジクロロメタンあるいはテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基共存下、約−50℃ないし約50℃で、好ましくは約0℃ないし約25℃で、約0.5時間ないし約24時間で完了する。
d)ポリスチレン樹脂と1,3−ベンゼンジスルホニルジクロリド誘導体とを反応させ、ハロゲノスルホニル基を持つ樹脂を製造する方法この反応は通常ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン等の不活性溶媒中、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒存在下、約−50℃ないし約100℃で、好ましくは約0℃ないし約25℃で、約1時間ないし約24時間で完了する。
【0044】e)樹脂上のアミノ基に3,5−ビス(ハロゲノスルホニル)ベンゾイルハライド誘導体を作用させ、ハロゲノスルホニル基を持つ樹脂を製造する方法アミノメチルポリスチレンやピペラジノメチルポリスチレン等1級ないし2級のアミノ基を有する樹脂に3,5−ビス(ハロゲノスルホニル)ベンゾイルハライド誘導体を反応させて、ハロゲノスルホニル基を持つ樹脂を製造する。この反応は通常ジクロロメタンあるいはテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基共存下、約−50℃ないし約50℃で、好ましくは約0℃ないし約25℃で、約0.5時間ないし約24時間で完了する。このようにして得られる本発明の有機合成用リンカー結合支持体(I)またはその塩は、多種類のかつ類似化学構造を有する有機化合物、特に塩基に不安定な官能基を有していてもよい化合物を短期間に製造するのに極めて有用である。その代表的な製造法を以下に例示する【0045】工程1.芳香族水酸基を持つ化合物の有機合成用リンカー結合支持体(I)への担持前記の方法で得た有機合成用リンカー結合支持体(I)またはその塩に、式Ar−OH[式中Arは前記と同意義を示す。]で表される芳香族性水酸基を持つ化合物を反応させることにより該化合物を該支持体またはその塩に担持し、式【化124】

[式中、各記号は前記と同意義をしめす。]で表される化合物またはその塩を得ることができる。
【0046】ここで、上記式で表される化合物の塩としては、反応の障害とならないような塩であればいずれでもよいが、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などを挙げることができる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが用いられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミンのような有機アミンなどとの塩が用いられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などとの塩が用いられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、フタル酸塩、クエン酸塩、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸などとの塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が用いられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が用いられる。
【0047】この反応は通常、塩基存在下で行われ、塩基としてトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、水素化ナトリウム等の金属ヒドリド、t−ブトキシカリウム等の金属アルコキシド、炭酸カリウム等の炭酸塩等が好ましく用いられる。また、反応溶媒としては、該樹脂を膨潤させることができ、かつ反応条件に不活性な有機溶媒を用いることができるが、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等が好ましく用いられる。該反応は通常約−50℃ないし約50℃、好ましくは約0℃ないし約25℃で、約1時間ないし約24時間で完了する。反応終了後、過剰量の基質(上記芳香族性水酸基を持つ化合物)や塩基および反応に伴って生成する塩類は、通常、適当な溶媒で洗い流すことによって除去することができる。
【0048】工程2.上記化合物またはその塩のAr上への置換基の導入または/およびAr上の置換基の他の置換基への変換上記工程1によって得られた化合物またはその塩のAr上に必要に応じて、様々な有機合成反応を適用することによって置換基を導入するまたは/およびAr上の置換基を他の置換基に変換することができる。本発明の有機合成用リンカー結合支持体(I)は一般に化学的に安定であり、酸性、塩基性、酸化、還元、加熱等の多くの合成反応条件に耐えることができるため、このような有機合成反応として、該支持体が切断を受けない反応条件である限り、広範な反応を採用することができる。どのような反応条件に安定であるかは例えばT. W. グリーン(Green)と P. G. M. ワッツ(Wuts)、プロテクティブ グループス イン オルガニック シンセシス (Protective Groups in Organic Synthesis)、第二版、John Wely & Sons Inc. New York (1991年)等に記載されているアリールメタンスルホナート、アリールトルエンスルホナートの安定性から容易に類推することができる。目的の反応を行った後、過剰の試薬、試薬由来の副生物等は、通常、適当な溶媒で洗い流すことにより、あるいは減圧下留去することによって除去することができる。
【0049】工程3.得られた化合物またはその塩の切り出し工程2で得られた式【化125】

[式中、各記号は前記と同意義をしめす。]で表される化合物またはその塩と還元剤とを反応させて芳香族スルホン酸エステルのO−Ar’結合を還元的に切断し、式H−Ar’[式中記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物を得ることができる。
【0050】このような還元剤としてはM. ハドリッキィー(Hudlicky)、レダクションズイン オーガニック ケミストリー (Reductions in organic chemistry)、90頁、John Wely & Sons Inc. New York (1984年)等に記載のスルホン酸アリールエステルを還元的に切断しうる試薬等を用いることができるが、均一系遷移金属錯体触媒とヒドリド源の組み合わせが好ましく用いられる。このような均一系遷移金属錯体触媒としては、パラジウム錯体、ニッケル錯体等が好ましく用いられる。ヒドリド源としては、各種ギ酸塩、各種スズ(IV)ヒドリド、各種シリルヒドリド、各種アルカリホウ素ヒドリド等が用いられるが、より好ましくは、留去によって容易に除くことができるギ酸と有機アミンとの塩、もしくはトリエチルシラン等が用いられる。これらの処理により切り出された式 H−Ar’[式中、Ar’は前記と同意義を示す。]で表される芳香族化合物またはその塩は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留、昇華、再結晶等通常の精製手段によって精製してもよい。H−Ar’が遊離体で得られるときは常法に従って塩に変換して、あるいはH−Ar’が塩で得られるときには遊離体に、あるいは他の塩に変換した後に単離、精製することもできる。
【0051】式(I)で表される有機合成用リンカー結合支持体またはその塩の合成、式Ar'−H[式中、Ar’は前記と同意義を示す。]で表される化合物の合成の各工程において、NH2,OH,COOH等の官能基として存在する場合に保護基を用い、反応後に必要により除去することができる。また、Ar−OH上に保護されたアミノ基、保護されたヒドロキシ基、保護されたカルボキシル基等の保護された官能基が存在する場合、支持体上でこれらの保護基を除去してもよいし、支持体から切り放した後に必要によりこれらの保護基を除去しても良い。本支持体を用いて上記工程を行うことにより、芳香環をもつ種々の有機化合物を合成することができる。特にコンビナトリアルケミストリーと呼ばれる多種類の化合物を同時に合成する手法に適しており、その場合いわゆるスプリット−ミックス法、パラレル法のいずれにも適用可能である。
【0052】以下に、参考例、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。また、文中使用される略号については以下に正式名称を記載する。
Boc : t-ブトキシカルボニルTHF : テトラヒドロフランHOBt : 1-ヒドロキシベンゾトリアゾールDMF : ジメチルホルムアミドDPPP : 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンTFA : トリフルオロ酢酸【0053】
【実施例】参考例1 N-Boc-アミノフェノールの製造【化126】

p-アミノフェノール (10.9 g, 0.1 mol) を乾燥THF (100 ml) に懸濁させ、二炭酸ジt-ブチル (23 ml, 0.12 mol) を加え、室温で一夜撹拌した。減圧濃縮して得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (200 g,酢酸エチル)で精製後、酢酸エチル−ヘキサンより再結晶することにより、表題化合物を淡黄色結晶として20.47 g得た。
IR (KBr) 1693 cm-1; 1H-NMR (CDCl3) d 1.51 (3H, s), 4.86 (1H, s), 6.33 (1H, brs), 6.7-6.8 (2H, m), 7.2-7.3 (2H, m).【0054】参考例2 フェニルスルホニル樹脂の製造【化127】

ポリスチレン樹脂 (1% DVB, 100-200 mesh, 5 g) を乾燥ジクロロメタンに膨潤させ、塩化ベンゼンスルホニル (6.4 ml, 0.50 mmol) と塩化アルミニウム (6.7 g, 50 mmol) を加え、室温で16時間撹拌した。THF (50 ml) を加えて樹脂を濾取後、THF、1N-塩酸−THF (1:1)、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を9.64 g得た。
Anal. S 10.70.【0055】参考例3 ピペラジン-1-イルメチル樹脂の製造【化128】

クロロメチルポリスチレン樹脂(Merrifield樹脂) (20 g) を乾燥ジオキサン(200 ml) に膨潤させ、ピペラジン ( 10.3 g, 0.12 mol) を加えて、70 ℃で 16 時間撹拌した。樹脂を濾取後、THF、1N NaOH-THF、水、THF、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を20.1 g得た。
Anal. N 2.65.【0056】参考例4 1,3-ベンゼンジスルホン酸ジフェニルの製造【化129】

フェノール (19 g, 0.2 mol) の乾燥THF (200 ml) 溶液にトリエチルアミン (28 ml, 0.2 mol) を加え、氷冷下1,3-ベンゼンジスルホニルジクロリド (25 g,91 mmol) を加えて室温で3時間撹拌した。0.5N 塩酸 (200 ml) を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒留去して得られた残さを酢酸エチル−ヘキサンより再結晶することにより、表題化合物を無色結晶として35.5 g得た。
IR (KBr) 1589, 1484, 1380 cm-1; 1H-NMR (CDCl3) d 6.9-7.0 (4H, m), 7.2-7.4 (6H, m), 7.71 (1H, t, J = 8.0 Hz), 8.10 (2H, dd, J = 1.8 and 8.0 Hz),8.3-8.4 (1H, m).【0057】参考例5 3-(フェノキシスルホニル)フェニルスルホニル樹脂の製造【化130】

ポリスチレン樹脂 (1% DVB, 100-200 mesh, 6 g) を乾燥シクロヘキサン (30ml) に膨潤させ、TMEDA (10 ml, 66 mmol) と 1.6M n-ブチルリチウムヘキサン溶液 (50 ml, 80 mmol) を加え、65℃で4.5時間撹拌した。上清をデカンテーションによって除き、乾燥シクロヘキサン、乾燥トルエンで順次洗浄した。得られた樹脂を乾燥トルエン (80 ml) に膨潤させ、1,3-ベンゼンジスルホン酸ジフェニル (9.37 g, 24 mmol) を加え、50 ℃で一夜撹拌した。1N 塩酸 (50 ml) を加えて樹脂を濾取後、THF,1N-塩酸ーTHF (1:1),THF, ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を8.67 g得た。
Anal. S 5.50.【0058】参考例6 3-スルホフェニルスルホニル樹脂の製造【化131】

3-(フェノキシスルホニル)フェニルスルホニル樹脂 (8.45 g) をTHF (30 ml) に膨潤させ、3N 水酸化ナトリウム水溶液 (15 ml) を加えて50 ℃で一夜撹拌した。樹脂を濾取後、水、 1N-塩酸−THF (1:1)、THF, ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を7.60 g得た。
Anal. S 5.74.【0059】参考例7 3,5-ジスルホベンゾイルアミノメチル樹脂 二ジイソプロピルエチルアミン塩の製造【化132】

3.5-ジスルホ安息香酸二ナトリウム塩 (51.4 g, 157.5 mmol) 水溶液 (300 ml) をスルホン酸型イオン交換樹脂 (HCR-W2, 20-50 mesh, 1 l) 充填カラムに吸着させ、水で溶出した。得られた溶出液を減圧濃縮後、N-メチルピロリドン (160 ml)、ジイソプロピルエチルアミン (54.9 ml, 315 mmol)、及びトルエン (300ml) を加え、Dean-Starkの装置を付けて水を除きながら12時間加熱環流した。減圧下トルエンを留去して得られた残さに乾燥N-メチルピロリドン (160 ml)、HOBt (23.4 g, 173 mmol)、アミノメチル樹脂 (1.7 mmol/g, 30 g, 51 mmol)、DIPCI (27.1 ml, 173 mmol)を加え、室温で4日間撹拌した。樹脂を濾取後、DMF、THF-H2O(1:1)、DMF、メタノール、THF、エーテルで順次洗浄し真空乾燥することより、表題樹脂を59.22 g得た。
Anal. N3.72, S 5.64.【0060】実施例1 3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニル樹脂の製造【化133】

参考例2の方法で得られたフェニルスルホニル樹脂 (8.43 g) にクロロスルホン酸 (80 ml) を加え、80 ℃で12時間撹拌した。 得られた樹脂を濾取後、乾燥ジクロロメタン、乾燥THF、 乾燥ジエチルエーテルで順次洗浄後、真空乾燥することより、表題樹脂を11.6 g得た。
Anal. S 15.65, Cl 8.22.【0061】実施例2 N-Boc-アミノフェノールの3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニル樹脂への担持【化134】

N-Boc-アミノフェノール (6.3 g, 30 mmol) とトリエチルアミン (4.2 ml, 30mmol) の乾燥THF (30 ml) 溶液を実施例1の方法で得られた3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニル樹脂 (3 g) に加え、室温で21時間撹拌した。得られた樹脂を濾取後、 DMF、1N-塩酸−THF (1:1)、DMF、メタノール、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、N-Boc-アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂を3.59 g得た。
Anal. N 1.65, S 13.00.【0062】実施例3 N-Boc-アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂からのBocの除去【化135】

N-Boc-アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂 (3.4 g) にTFA-ジクロロメタン (1:1, 20 ml)を加え、室温で2時間撹拌した。得られた樹脂を濾取後、THF、DMF、メタノール、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂を3.06 g得た。
Anal. N 1.75, S 13.78.【0063】実施例4 N-ベンジルアミノフェノキスルホニルフェニルスルホニル樹脂の製造【化136】

(1)アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂 (600 mg) をジクロロメタン (2 ml) に膨潤させ、ベンズアルデヒド (0.16 ml) を加えて室温で3時間撹拌した。得られた懸濁液にジクロロメタン (4 ml) を加え、酢酸 (0.22 ml, 3.8 mmol) と トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (0.8 g, 3.8 mmol)を加えて室温で18時間撹拌した。 得られた樹脂を濾取後、メタノール、DMF、メタノール、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を647 mg得た。
【0064】(2)(1)と同様にして、ベンズアルデヒド(a)の代わりにニコチンアルデヒド(b)、2-チオフェンカルボキシアルデヒド(c)、2-ホルミルチアゾール(d)、p-メトキシベンズアルデヒド(e)、m-メトキシベンズアルデヒド(f)、4-フェノキシベンズアルデヒド(g)、3-(4-メトキシフェノキシ)ベンズアルデヒド(h)と反応させることにより以下に示すような対応する樹脂を得た。
【0065】
【化137】

【0066】実施例5 N-ベンジル-N-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂の製造【化138】

N-ベンジルアミノフェノキスルホニルフェニルスルホニル樹脂 (40 mg) を乾燥THF (0.4 ml) に膨潤させ、ピリジン (0.06 ml, 0.6 mmol) を加えた後、塩化3,4,5-トリメトキシベンゾイル (115 mg, 0.5 mmol) の乾燥THF (0.4 ml) 溶液を加え、室温で14時間撹拌した。 得られた樹脂を濾取後、 DMF、水ーTHF (1:1)、DMF、メタノール、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を46 mg得た。
【0067】実施例6 還元的切断によるN-ベンジル-N-フェニル-3,4,5-トリメトキシベンズアミドの製造【化139】

N-ベンジル-N-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-アミノフェノキシスルホニルフェニルスルホニル樹脂 (46 mg) に、酢酸パラジウム (33 mg, 0.15 mmol) とDPPP (69 mg, 0.17 mmol) を乾燥THFに溶解してトリエチルアミン (1.7 ml, 12 mmol) と ギ酸 (0.45 ml, 12 mmol) を加えることによって得られた溶液を0.3 ml加え、90 ℃で12時間撹拌した。得られた樹脂を濾去しTHFで洗浄後、濾液と洗液を集めて減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.25 g, 酢酸エチル) で精製し、表題化合物を2.7 mg得た。
IR (KBr) 1644 cm−1H−NMR (CDCl) d 3.61 (6H, s), 3.78 (3H, s), 5.13 (2H, s), 6.59 (2H, s), 6.9−7.3 (10H, m).
【0068】実施例7 還元的切断によるN−ベンジル-N-フェニル-3,4,5-トリメトキシベンズアミドの製造【化140】

(1)トリエチルアミンとギ酸を用いる代わりにトリエチルシランを用いる以外は実施例6と同様の操作を行なうことにより、表題化合物を得た。
【0069】(2)(1)と同様にして以下の化合物を得た。
【化141】

(式中、Ar''は以下の基を示す。
【化142】

【0070】1a: 1644 cm-1, 1b: 1644 cm-1, 1c: 1642 cm-1, 1d: 1645 cm-1, 1e: 1642 cm-1, 1f: 1642 cm-1, 1g: 1642 cm-1, 1h: 1644 cm-12a: 1655 cm-1, 2b: 1655 cm-1, 2c: 1655 cm-1, 2d: 1659 cm-1, 2e: 1655 cm-1, 2f: 1655 cm-1, 2g: 1655 cm-1, 2h: 1655 cm-13a: 1335 cm-1, 3b: 1339 cm-1, 3c: 1335 cm-1, 3d: 1343 cm-1, 3e: 1335 cm-1, 3f: 1339 cm-1, 3g: 1341 cm-1, 3h: 1341 cm-14a: 1644 cm-1, 4b: 1644 cm-1, 4c: 1644 cm-1, 4d: 1652 cm-1, 4e: 1644 cm-1, 4f: 1644 cm-1, 4g: 1644 cm-1, 4h: 1646 cm-1【0071】実施例8 3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニル樹脂の製造【化143】

トリフェニルホスフィン (10 g, 38 mmol) を乾燥ジクロロメタン (50 ml) に溶解し、氷冷下塩化スルフリル (3.1 ml, 38 mmol ) と参考例6の方法で得られた3-スルホフェニルスルホニル樹脂 (7.46 g) を順次加え、ときどき振り混ぜながら室温で20時間放置した。得られた樹脂を濾取後、乾燥ジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を8.28 g得た。
Anal. S 4.97.【0072】実施例9 3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニルアミノメチル樹脂の製造【化144】

アミノメチル樹脂 (1 g) を乾燥THF、乾燥ジクロロメタンで順次洗浄後、乾燥ジクロロメタン (10 ml) 、ジイソプロピルエチルアミン (0.63 ml, 3.6 mmol)、塩化1,3-ベンゼンジスルホニル (0.99 g, 3.6 mmol) を順次加え、室温で1昼夜撹拌した。樹脂を濾取後、1N塩酸-THF、THF、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を1.40 g得た。
Anal. S 6.47.【0073】実施例10 4-[3-(クロロスルホニル)フェニルスルホニル]ピペラジン-1-イルメチル樹脂の製造【化145】

参考例3の方法で得られたピペラジン-1-イルメチル樹脂 (1 g) を乾燥THF、乾燥ジクロロメタンで順次洗浄後、乾燥ジクロロメタン (10 ml) 、ジイソプロピルエチルアミン (0.63 ml, 3.6 mmol) 、塩化1,3-ベンゼンジスルホニル (0.99 g, 3.6 mmol) を順次加え、室温で1昼夜撹拌した。得られた樹脂を濾取後、1N塩酸-THF、THF、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を1.26 g得た。
Anal. S 3.10.【0074】実施例11 3,5-ビス(クロロスルホニル)ベンゾイルアミノメチル樹脂の製造【化146】

トリフェニルホスフィン (23.6 g, 90 mmol) のジクロロメタン (150 ml) 溶液を-78 ℃に冷却し、塩化スルフリル (8.0 ml, 100 mmol) 及び参考例7の方法で得られた3,5-ジスルホベンゾイルアミノメチル樹脂 二ジイソプロピルエチルアミン塩 (10 g) を加えて室温で22時間撹拌した。 得られた樹脂を濾取後、THF、THF-1N塩酸 (1:1)、THF、乾燥エーテルで順次洗浄し真空乾燥することより、表題樹脂を8.27 g得た。
【0075】実施例12 3-(クロロスルホニル)-2,4,6-トリメチル-フェニルスルホニル樹脂の製造【化147】

ポリスチレン樹脂 (1 g) を乾燥ジクロロメタン (10 ml) に膨潤させ、2,4,5,6-テトラメチル-1,3-ベンゼンジスルホニル ジクロリド (4 g) と塩化アルミニウム (1.6 g) を加え、室温で1夜攪拌した。得られた樹脂を濾取後、ジクロロメタン、1N塩酸-THF、THF、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥することより、表題樹脂を2.06 g得た。
Anal. S 10.34 Cl 5.47.【0076】比較例1(1)クロロスルホニル樹脂の製造【化148】

トリフェニルホスフィン (47.2 g) のジクロロメタン (100 ml) 溶液に-78 oCで塩化スルフリル (16 ml) をゆっくり滴下し、次いでスルホン酸型イオン交換樹脂(Bio-Rad AG50WX2、五酸化二リン上で乾燥させたもの、10 g)を加えて室温で22時間撹拌した。樹脂を濾取後、乾燥ジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥することによりクロロスルホニル樹脂を11.7 g得た。
【0077】(2)4-アセトアミドフェノールのクロロスルホニル樹脂への担持【化149】

上記(1)で得られた樹脂 (937 mg) に乾燥THF (10 ml)、4-アセトアミドフェノール (2.27 g)、トリエチルアミン (2.1 ml) を加え、室温で16時間撹拌した。反応液に1N 塩酸 (20 ml) を加えて樹脂を濾取し、DMF、1N 塩酸-THF (1:1)、DMF、THF、メタノール、THF、ジエチルエーテルで順次洗浄し、真空乾燥することにより4-アセトアミドフェノキシスルホニル樹脂を1.31 g得た。
Anal. N 3.78, S 9.80.【0078】(3)還元的切断の検討【化150】

上記(2)で得られた樹脂に実施例6と同様な条件で反応させたが、目的とするアセトアニリドは得られなかった。
【0079】
【発明の効果】本発明の有機合成用リンカー支持体(I)またはその塩を用いることにより、異なった置換基を有する多種類の有機化合物を短時間に効率良く製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
【出願日】 平成11年9月9日(1999.9.9)
【代理人】 【識別番号】100114041
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀一 (外2名)
【公開番号】 特開2000−143553(P2000−143553A)
【公開日】 平成12年5月23日(2000.5.23)
【出願番号】 特願平11−255207