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【発明の名称】 そば殻堆肥とその製造法
【発明者】 【氏名】菊地虎男

【氏名】大工原敏雄

【氏名】羽毛田正孝

【要約】 【課題】花卉や野菜等の育成に用いる従来の腐葉土は,醗酵でなく腐敗の物,甚だしきは素材のままというものが多いし,堆肥化するのに長期間を要する。産業廃棄物であるそば殻は,短時間で堆肥化するので,堆肥資材として有用であるが,栄養バランス上不十分でありこの点を補いたい。

【解決手段】そば殻に,海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物を加え,それを醗酵させて成るそば殻堆肥とした。なお,そば殻に海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物を加えて,水と共に混合の上堆積し,堆積後適時攪拌切り返しを行い,2ヵ月間程の醗酵で完成させる製造方法とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 そば殻に,海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物を加え,それを醗酵させて成るそば殻堆肥。
【請求項2】 そば殻は一枚皮ものである請求項1記載のそば殻堆肥。
【請求項3】 海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物が,それを更に醗酵させた後,乾燥して粉末状としたものである請求項1又は請求項2記載のそば殻堆肥。
【請求項4】 そば殻に,海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物を加えて,水と共に混合の上堆積し,堆積後適時攪拌切り返しを行い,2ヵ月間程醗酵させて成るそば殻堆肥の製造方法。
【請求項5】 そば殻は一枚皮ものである請求項4記載のそば殻堆肥の製造方法。
【請求項6】 海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物が,それを更に醗酵させた後,乾燥して粉末状としたものである請求項4又は請求項5記載のそば殻堆肥の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,土壌改良資材としての堆肥である。それも,資源有効利用の立場から穀物類の皮殻,特に産業廃棄物であるそば殻を主体として利用したものであり,更に良質堆肥とすべく,海藻類の残渣物を加えて改良したものである。
【0002】
【従来の技術】化学肥料の多用は,人体に対しても懸念されているし,その窒素や燐等が河川や湖沼まで流出して環境上問題になっている。他方,最近の微生物を利用した研究では,微生物が農作物の根から出入りしたり,農作物と共生して窒素,燐やカリ類の他,ミネラル等の栄養分の供給にも関与していることが分ってきた。それゆえ,昨今,有機裁培への関心が高まって,有機質の肥料が見直されているのである。
【0003】例えば,有機肥料としては,昔農家にて行われていた稲藁に畦草等を混ぜたものに,石灰窒素と水等を加えながら積み重ねて半年程寝かせて得た堆肥がある。最近では各種の腐葉土類や,牛・豚・鶏等の糞堆肥や,バーク堆肥等の諸堆肥がある。また,土作り用としては,ピートモス関連資材も多用されている。
【0004】ところで,近年多食されている即席ラーメンのつなぎ材やアイスクリーム等にも多用されているアルギン酸がある。これは,このアルギン酸を多量に含んでいる海藻類から抽出して得るが,その際,発生する残渣物があって,昔は田畑に肥料代わりに用いられていた。ところが,最近アルギン酸の需要量の増加に伴って,残渣物の発生が多量となり,産業廃棄物・資源有効利用の立場から,廃棄されていたこの残渣物を利用して土壌改良材が製造されるようになった。
【0005】この土壌改良材は,海藻(学名レッソニア)類からアルギン酸を抽出して得る時に副生するミネラルや魚介類の死骸である珪藻土を含む海藻繊維,すなわち,残渣物から作られるのである。この海藻繊維を,醗酵プラントにて1〜2カ月の間,自然醗酵させて得たものである。
【0006】アルギン酸は,植物・作物が土壌の栄養素を吸収しやすく,植物の根の発育を促進して,所謂根張りがよくなる。また,各種ミネラル,ビタミン,アミノ酸などがバランスよく入っているので野菜の食味や果物の糖度が向上するとされる。なお,上記の土壌改良材を,家庭でも扱いしやすいようにと,更に乾燥して粉末状にしたものも市販されている。
【0007】この土壌改良材を,10坪当たりの施用量として,畑の根菜類と果根菜類には37.5リットル( 約22.5kg),葉菜類には50リットル(約30kg)程度として,プランターへは有機肥料又は化成肥料を加えた土(プランター培土等)に,30%を目安に混合して使用するようにしている。
【0008】この粉末状の醗酵海藻土壌改良剤を,君津化学工業株式会社製(商品名「レツソニアクイン」・「海力No.1」・「スーパー海藻土」)のものにて,千葉県農業化学検査所で分析した結果を次の表1に示す。
【0009】
【表1】

(注)EC( 乾物:水=1:10)の数値の単位は,mS/cm(25℃)である。
【0010】また,この醗酵海藻土壌改良剤による小松菜の発芽並びに発芽後の生育への支障の有無及びその程度を知るため,幼植物試験を財団法人日本肥糧検定協会にて実施した結果を後出の表3及び表4に示す。
【0011】表3及び表4を見れば分るように,発芽については各試験区とも発芽開始日に差なくほぼ一斉に開始している。その後の生育についても順調に推移し,試験終了時には標準区(試験試料無用)に比べて,同等以上の生育成績を示し,有害物によると考えられる異常症状は認められないとし,容積比1:3において60%の収量増加が認められるとしている。
【0012】また,跡地土壌のpH測定の結果,醗酵海藻土壌改良剤の混合割合が多くなるに従ってpH値が高くなる傾向が見られるので,適量施用に留意する必要があると結んでいる。次に表2として,先ずその供試土壌を示そう。
【0013】
【表2】

(注)表層腐植質黒ボク土(米神統・八街畑土壌)
【0014】この供試土壌に,醗酵海藻土壌改良剤を,容積比を変えて混合し,それぞれの試験区としたのである。なお,改良剤の容積重は66g /100mlである。各試験区には,標準(無施用)区も含めて,N,P2 5 及びK2 Oとして,それぞれ35mgに相当する量の硫酸アンモニア,過燐酸石灰及び塩化加里を施肥し,ポット充てんして平成10年2月温室内にて20/鉢宛て播種した。
【0015】
【表3】

【0016】
【表4】

【0017】以上詳記のように,醗酵海藻土壌改良剤には,海藻特有のアルギン酸などの多糖類を母体に,海中の栄養源である各種ミネラル,ビタミン,アミノ酸など60種以上を含んでいるので,有機栽培に好適であるが,こうした産業廃棄物を利用した商品の開発は未だ少ない。二・三市販されている他の特殊肥料でも,種子の発芽不良であったりで,作物の増収効果に説得力あるものは少ないのが実状である。
【0018】また,発明者も,かって,産業廃棄物であったそば殻に注目し,これの早期醗酵分解に成功して良質な堆肥を得ている。堆肥化するには,醗酵させて分解させる必要があるし,早期に分解させたい。ところが,例えばおが屑では,なかなか芯まで容易には分解せず半年も掛かってしまう。その上,おが屑堆肥ではフェノール性化合物が禍して利用時の発芽率が30%程度と低いのも問題である。その点,そば殻は,炭素率がバーク系材料(例えば籾殻は60〜65%)よりも40〜45%と低いので分解が早く,なんとたった2ヵ月程で済むのである。
【0019】そば殻には,誰でも知っている枕用がある。これは,虫が発生するから極力外皮である殻のみを選別したものであり,製粉業界では三枚皮と称している。それに対して,栄養源である微粉末やふすま様物が,大量に混在して潰れたそば殻に付着しているものを,一枚皮又はそばごみと呼んでいる。
【0020】この一枚皮のそばごみこそが,重要な窒素(N)源となるのである。有機物醗酵の3要素は,水が適量あり,そこに酸素が取り込まれ,微生物の餌となるNが欠かせない。現在,そばごみ一枚皮中に含まれるN量は,それ自体で十分に確保できることが分っている。このそば殻堆肥である有限会社諏訪園芸資材製(商品名「Hu-skyMix」)について,株式会社松本微生物研究所による分析結果を表5及び表6に示した。
【0021】そば殻醗酵堆肥は,もともと塩基置換能にすぐれ,それ自体施用効果の高いものである。その効果の一例として,アブラ菜科植物の根こぶ病(Plasmo-diop- hora brassicae)が,酸性土壌を好み排水の悪い土壌で多発し,圧縮された耕磐層では根張りが悪くなる上,土中のCO2 が揮散し難いためpHの低下を招き,それが菌の繁殖に関わっていると,社団法人日本土壌肥料学会から報告を受けた。
【0022】
【表5】

【0023】
【表6】

(注)分析値は,乾物中の数値である。生菌数は,上記培地による希釈平板法により計算し,乾物1g 当たりで表示した。
【0024】なお,酸性土壌を好むからとて中和させても,繰返し押し付けられた土壌では酸素の通過が悪くなるから連作すると,根こぶ病が発生するのである。では,逆に病菌の嫌うこと,つまりは根こぶ病圃場に石灰を施用してpHを上げて,そば殻醗酵堆肥を6〜7m2 当たり40リットル投与し,土壌の排水と通気性を改善した後,白菜(タキイ優黄)・野沢菜(固定種)を播種してみた。その結果,耕種的方法として最も有効との確信を得たし,平成8年,平成9年と菌株を同一圃場に耕運機で拡散して実験,同様の結果を得たのである。
【0025】なお,上記のそば殻醗酵堆肥の製造方法は,通常の堆肥の製造方法と大差なく次の工程によったものである。
第1工程:そば殻を攪拌機の中に水を加えながら入れて混合する。その際の水分率は約40%である。
第2工程:水と混合されたそば殻を,高さ1.5〜2m位に堆積して行く。
【0026】第3工程:堆積後2〜3日で発熱が始まり,1週間位で温度が45〜50℃に上がる。
第4工程:堆積後温度が65〜70℃位になったら切り返しを行い,酸素の補給と水分の補給を行う。
第5工程:その後,切り返しを行って酸素の補給と水分の補給を,5〜6日間隔で6〜7回行う。
第6工程:約2ヵ月すると,温度は50℃に下がり,醗酵も弱くなってくる。
【0027】第7工程:30℃位になったら,堆積の高さを50cm程に低くし,2〜3回攪拌して乾燥させる。その際,攪拌時にアンモニア臭が無くなれば完成である。なお,一般的によく用いられるオーレス菌などの醗酵促進剤の使用は,自由である。また,通常の堆肥の製造法との違いは,材料の違いと製造期間の短縮にある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】従来の腐葉土は,醗酵(fermentation)でなく,腐敗(rotting)の物,甚だしきは,それ以前の素材のままというものが多い。これらは,本来植物にとって生育阻害物質と言える。実際,真面目に作られた腐葉土には滅多にお目にかかれないのが現状である。
【0029】腐葉土とは,堆積して50℃〜70℃位に醗酵分解を繰り返し,はじめて腐葉土と言えるのであって,単に腐植した落葉では例えば鉢用土とはなり得ない。また,こうした生育阻害物質を用いて下葉の黄変や生理障害を病気と信じて農薬を多用するのは問題であると言えよう。
【0030】堆肥の中でもバーク堆肥は,難分解性の粗大木片や樹皮で占められており,市販のバーク堆肥各片を割ってみると,しばしば茶褐色や白色部分が残っているのが実状である。また,C/N比の高い籾殻,バーク樹皮木挽き糠では,その素材の中心まで分解するのに多くの時間と,絶え間なくN源を補給しなければならず,良質堆肥とするのが困難であった。
【0031】また,土作りとしてよく用いられるピートモス関連資材の場合を,シクラメンの鉢植えの例で見ると,乾いた土を鉢に入れて潅水すれば,小さな土の粒が水と共に流れ,それが表面から1〜2cm下の所に水を通さない層を作る。したがって,水は徐々に鉢の壁面に沿って流れるようになるから,根はこの壁面に集中するようになる。ところが,潅水する度にこの壁面の肥料が流されてしまい,肥料不足,特にカリの不足になって開花遅れの要因となっている。
【0032】特に,ピートモス多用の鉢は,過湿を避けたいため,やや乾燥気味にするせいか,次の潅水では草葺き屋根に水をかけているようなもので鉢の中心まで透水しないこともある。また,このようにピートモス多用の土作りでは,シクラメンの根は分岐せず,太い根張りも見られなく,生育が止ってしまうのである。一般に植物の根は,例えば砂礫のような固い用土では根は走り,ピートモスのように軟らかく細かい用土では細根の群れとなる性質がある。土作りではこの事を充分念頭に置くべきである。
【0033】前記した醗酵海藻土壌改良剤でも,単なるCa,Mg源としか評価でき難い。すなわち,土壌へ散布しても多くは粒子が細かいため,直ちに無機化して植物の体内へ届き難いと思われるのである。また,日本の火山灰土壌では,Caの吸着能が悪く,そのため日本人の食生活でCaが不足しているのもこのことに起因していると言われている。なお,慣行農法では,石灰の投与だけに偏りがちであった。これは,後に大根の硼素吸収の阻害要因ともなった。赤しん大根の発生である。
【0034】それでは,前記したそば殻堆肥について見ると,ピートモス関連資材のように0湿になることもなく,乾いたときの透水性も優れていて,理想的な腐葉土の条件,すなわち通気性,排水と保水性,或いは有機物としての微生物相,各種栄養条件等々全てを満たしていると言っても過言ではない程の優れものである。
【0035】したがって,このそば殻堆肥を,赤玉土・鹿沼土などの用土と混合して鉢物・プランター用土に,野菜の育苗用土に,当然家庭菜園の土壌改良材としても,例えば赤玉土と1:1の等量混合で花類から野菜苗に至るまで利用して,それなりに苗の成育性などに効果を上げてきた。
【0036】良質堆肥の放射菌がフザリウム菌(Fusarium oxysporum)を溶菌したり,各種微生物が病害抑制の源とする研究はかなり進んでいる。発明者は,アブラ菜科植物の根こぶ病(Plasmodiophora b-rassicae)についても,そば殻堆肥と石灰を同時施用し,農薬に依存することなくこれを克服した。残念ながら今のところ,どの菌がPlasmod-iophora抑制に関与しているのか特定されていない。しかしながら,このそば殻堆肥は,表5のようにやや窒素分が多く,しかもこれが有機態Nとあって,長期間効いている。
【0037】また,例えば一部シクラメン農家が従来しているような,キノンドー粒剤の混入や,その他の土壌消毒はすべきではない。すなわち,表6の微生物相(micloflora)で,放射菌や諸々の細菌中には,それぞれの役割分担があり,それらのバランスが保たれている以上,根からの病害抑制効果も充分に期待できるのである。これを農薬で滅菌すれば,より繁殖力の強い病原菌が優占してしまうことはよく知られていることである。
【0038】市販のVA菌根菌も,このような土壌環境でこそ効果を発揮するのであり,多量の元肥,特に燐酸の施用は,VA菌根菌感染の妨げになるという。以上詳記したように,そば殻堆肥には数々の利点を既に有しているが,未だ多少の補いを必要とするし,より効果の高い一層良質な堆肥としようとするのがこの発明の課題である。
【0039】
【課題を解決するための手段】そこで発明者等は,大量に確保できるそば殻と,それに海藻類からアルギン酸を製造する時に生ずる廃出物である残渣物を組合わせることで,短期間に良質な堆肥を作ることに成功したのである。すなわち,この発明のそば殻堆肥は,この発明の基本として,そば殻に,海藻類からアルギン酸を抽出する際に副生する残渣物を加え,それを醗酵させて成るそば殻堆肥としたことにある。
【0040】また,そば殻は,その持つ栄養価の高いそばごみ即ち一枚皮ものであることがより好ましいそば殻堆肥となる。なお,海藻類から生出する残渣物自体を,更に醗酵させた後に,乾燥して粉末状としたものとしてそば殻に加えたものとするもよい。
【0041】そして,このそば殻堆肥の製造方法は,そば殻に,海藻類からアルギン酸を抽出する際に生出する残渣物を加え,水と共に混合堆積し,堆積後適時攪拌切り返しを行って,2ヵ月間程醗酵させて成るそば殻堆肥の製造方法である。勿論,海藻類から生出する残渣物自体を,醗酵させた後に乾燥して粉末状としたものとしてそば殻に加え,以後上記同様にして製造するそば殻堆肥の製造方法とするもよい。
【0042】
【発明の実施の形態】海藻残渣物・アルギン酸は,強粘質であり,醗酵汚泥法では通気性が悪く,好気性微生物による速やかな醗酵は期待できない。また,海藻残渣物を乾燥して粉末状にしたものでも,水を加えると強粘性を示すので,容易には空気を通さないものである。そこで,そば殻を混合すれば,適湿を保つことによって,速やかに微生物は繁殖し,粘性の強いアルギン酸も醗酵分解の後他の物質に変質するのである。
【0043】特に,一枚皮に付着している微粉末は,小麦粉のようには強いグルテンを示さないから,そば殻と海藻残渣物との相性は極めて良好と言えるのである。このようにして,最初の内さえ十分攪拌すれば,約2ヵ月後にはさらさらとした堆肥と化すのである。当然,海藻残渣中のアルギン酸には,その構造よりCa ,Mg ,B等の含有量が高く出来上がった堆肥中に相当量含まれていることになる。
【0044】
【実施例】実施例1,そば殻堆肥として一枚皮を用いた有限会社諏訪園芸資材製(商品名「HuskyMix」)を採用し,それに醗酵海藻土壌改良剤として粉末状の君津化学工業株式会社製(商品名「レツソニアクイン」)を,そば殻堆肥2に対して,醗酵海藻土壌改良剤を1の容積量比にて混合した。
【0045】実施例2,そば殻堆肥は実施例1と同様とし,醗酵海藻土壌改良剤としては生の状態である海藻残渣物を採用し,そば殻堆肥2に対し,海藻残渣物を1の容積量比にて混合した。この2通りのもので,醗酵堆肥を作ってみた。すなわち,そば殻堆肥を作る過程で,粉末状の醗酵海藻土壌改良剤なり,海藻残渣物を混合したのである。
【0046】以下に,このそば殻醗酵堆肥の製造工程を示す。実施例1も実施例2も同様である。
第1工程:一枚皮そば殻と醗酵海藻土壌改良剤とを攪拌機の中に入れ,水分率を約40%となるよう水を加えながら混合する。
第2工程:水と混合された混合材を,高さ1.5〜2m位に堆積して行く。
【0047】第3工程:堆積後2〜3日で発熱が始まり,1週間位で温度が45〜50℃に上がる。
第4工程:堆積後温度が65〜70℃位になったら切り返しを行い,酸素の補給と水分の補給を行う。
第5工程:切り返しを行って酸素の補給と水分の補給を,5〜6日間隔で6〜7回行う。
【0048】第6工程:約2ヵ月すると,温度は50℃に下がり,醗酵も弱くなってくる。
第7工程:30℃位になったら,堆積の高さを50cm程に低くし,2〜3回攪拌して乾燥させる。その際,攪拌時にアンモニア臭が無くなれば完成である。なお,オーレス菌などの醗酵促進剤の使用は自由である。
【0049】その結果は,実施例1,実施例2共に,醗酵に要する時間,完成に要する時間とも差異はなかった。また,外見上共に同じ品質のものが得られた。ただし,醗酵海藻土壌改良剤として粉末状の方が,混合しやすく,その作業能率は遥かに高くなる利点がある。
【0050】この新らしいそば殻堆肥に,無肥培土(アサマシステムソイル)を等量混合したものに,白菜を播いてみたところ,播種からポット育苗に至るまでに,Caを吸収させただけでも,白菜のごま症や芯腐れ病にかなりの改善効果が見られた。更に,6〜7m2 の畝に最低量として40リットルを施用することにより顕著な効果が出た。これは,もともとそば殻堆肥が微生物活性を高め,N,P,Kのみならず,各種微量要素の植物根への消化吸収を促したことによるものと考えられる。
【0051】また,根こぶ病については,0.1アール当りに施用量としてそれぞれ40リットルを,上記実施例1と実施例2について,それに,比較例1としてそば殻堆肥のみを,比較例2としてはそば殻堆肥に炭酸苦土石灰0.1kg加えたもので調べた結果を第7表に示す。
【0052】
【表7】

【0053】上表を見ても明らかに,そば殻に海藻残渣物を加えた両実施例には,他の比較例に対して有意差があることが分かる。また,小松菜のカルシウム含有量は,通常100g中290mgであるが,実施例1,実施例2共に10%程度増加することが確かめられた。
【0054】
【発明の効果】この発明は,そば殻に海藻残渣物を混合して醗酵堆肥としたことによって,理想的な腐葉土の条件,通気性,排水と保水性,或いは有機物としての微生物相,各種栄養条件等々全てを満たしていると言っても過言ではない程の効用を有した堆肥となった。
【0055】したがって,この堆肥を使用すれば,花類から野菜苗に至るまで成育性などに効果を上げて収量向上となるし,根こぶ病についても農薬に依存することなくこれを克服できる。
【0056】しかも,従来廃棄されていたそば殻や海藻の残渣物を利用するから,産業廃棄物・資源有効利用の立場からも社会に貢献できるし,また,従来の通常堆肥とは比べようのない程短期間で製造できるなど,製造経費も節約できて大変有効な発明である。
【出願人】 【識別番号】000125462
【氏名又は名称】笠原工業株式会社
【識別番号】598176835
【氏名又は名称】有限会社諏訪園芸資材
【識別番号】390004329
【氏名又は名称】丸興工業株式会社
【出願日】 平成10年12月8日(1998.12.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−169272(P2000−169272A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−366126