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【発明の名称】 セメント系水硬性組成物用混和材
【発明者】 【氏名】多田 東臣

【氏名】寺石 弘

【氏名】馬越 唯好

【要約】 【課題】フライアッシュのセメント系水硬性組成物用混和材としての改良を行うことにより、フライアッシュの利用拡大を図ることを課題とする。

【解決手段】本発明のセメント系水硬性組成物用混和材は、フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が10重量部以上100重量部以下で混和されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が10重量部以上100重量部以下で混和されたセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項2】 前記混和材は、フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が20重量部より多く、60重量部以下で混和されたことを特徴とする請求項1に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項3】 前記フライアッシュ及び石灰石粉は、乾燥状態で混合されたことを特徴とする請求項1に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項4】 前記フライアッシュは、粒子径がlμm〜100μmの範囲内にある粒子が全粒子の80重量%以上含み、かつ、平均粒子径が10μm〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項5】 前記フライアッシュは、比重が2.0〜2.4の範囲、ブレーン比表面積が2,400cm2/g〜4,700cm2/gの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項6】 前記フライアッシュは、強熱減量が5%以下であることを特徴とする請求項5に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項7】 前記石灰石粉は、2.5mmのふるいを通過し、かつ、粒子径が10μm〜1200μmの範囲にある粒子が全粒子の80重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項8】 前記石灰石粉は、比重が2.6〜2.7の範囲、ブレーン比表面積が10cm2/g〜2500cm2/gの範囲にあることを特徴とする請求項7に記載のセメント系水硬性組成物用混和材。
【請求項9】 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の前記セメント系水硬性組成物用混和材は、コンテナ、容器又は袋に梱包されて提供されることを特徴とするセメント系水硬性組成物用混和材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フライアッシュと石灰石粉とから構成されるセメント系水硬性組成物用混和材に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所から排出される石炭灰には、排煙処理システム内の電気集塵装置を用いて回収されるフライアッシュ(EP灰とも呼ばれる)と、ボイラ内の炉底に落下するクリンカーアッシュとに大別される。
【0003】ほとんどが0.1mm以下の微粒子であるフライアッシュは、セメント製造の際の原料として、また、コンクリートに混和する混和材等に利用され、残りは埋立処分されている。
【0004】一般にフライアッシュをコンクリートに混和すると、流動性が良好となり、コンクリートの単位水量が低減できるほか、ポゾラン反応により硬化体の組織が緻密になり、耐久性、長期強度が向上し、単位セメント量の低減により水和熱が低減する等の効果が認められている(例えば、コンクリート用混和材、電力土木、No.252第3頁〜第13頁、1994年など)。
【0005】そこで、これらのフライアッシュをコンクリートに混和することが期待され、種々の検討がなされている。
【0006】例えば、特開平7−267697号公報によれば、フライアッシュを主体とする混和材をセメントに対して30〜50重量%の範囲内(内割)で配合することによる初期強度低下の抑制された水硬性組成物が開示されている。
【0007】また、特開平4−321546号公報には、ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末の50〜80%、フライアッシュの0〜30%の範囲の組み合わせの配合からなる高流動コンクリート組成物が開示されている。また、特開平7−277785号公報には、特定の粒度分布を有するポルトランドセメントが50%以上で、かつ、残りが高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石粉末、珪砂粉末から選ばれる少なくとも1種以上の無機粉末からなる高流動水硬性組成物が開示されている。これらの高流動水硬性組成物では、流動性が改善され、振動締固め作業が不要な高流動コンクリートとして利用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】JIS灰を主体とするフライアッシュのコンクリート用混和材としての利用は、主にコンクリートの長期強度の増進、経済的配合を得ることが目的であり、具体的にはセメント代替としての利用であった。そして、そのフライアッシュの使用量はコンクリート1m3当たり、高々100kg〜200kg程度の量での配合であった。
【0009】昨今の社会情勢から、産業廃棄物の処分用地の確保がますます困難となりつつあり、フライアッシュを埋立処分するのには限度がある。また、セメント原料としての粘度代替には限度がある。これにより、コンクリート混和材への適用の拡大が望まれているが、分級機で分級して良質なコンクリート混和材を得るには、高価な分級機や分級する工数(手間)が必要となる。
【0010】そこで、この発明は、フライアッシュのセメント系水硬性組成物用混和材としての改良を行うことにより、フライアッシュの利用拡大を図ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、フライアッシュのみ、又は石灰石粉のみをコンクリートと混合すると、強度の発現が十分でないが、これらを同時に使用することにより強度発現と軽量化とが期待され、結果的にフライアッシュの使用量を増大させることができる。従って、従来技術に較べ、2種類の混和材を混練する新たな設備投資を避けて、プレミックス化し、利用の便に供しようとするものである。
【0012】すなわち、請求項1に記載された発明は、フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が10重量部以上100重量部以下で混和されたセメント系水硬性組成物用混和材である。この石灰石粉の好ましい配合割合は、請求項2の発明に記載されるように、フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が20重量部より多く、60重量部以下である。
【0013】請求項3に記載の発明は、前記フライアッシュ及び石灰石粉は、乾燥状態で混合されたことを特徴とする請求項1に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0014】請求項4に記載の発明は、前記フライアッシュは、粒子径がlμm〜100μmの範囲内にある粒子が全粒子の80重量%以上含み、かつ、平均粒子径が10μm〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0015】請求項5に記載の発明は、前記フライアッシュは、比重が2.0〜2.4の範囲、ブレーン比表面積が2,400cm2/g〜4,700cm2/gの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0016】請求項6に記載の発明は、前記フライアッシュは、強熱減量が5%以下であることを特徴とする請求項5に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0017】請求項7に記載の発明は、前記石灰石粉は、2.5mmのふるいを通過し、かつ、粒子径が10μm〜1200μmの範囲にある粒子が全粒子の80重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0018】請求項8に記載の発明は、前記石灰石粉は、比重が2.6〜2.7の範囲、ブレーン比表面積が10cm2/g〜2500cm2/gの範囲にあることを特徴とする請求項7に記載のセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0019】請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の前記セメント系水硬性組成物用混和材は、コンテナ、容器又は袋に梱包されて提供されることを特徴とするセメント系水硬性組成物用混和材である。
【0020】以上のセメント系水硬性組成物用混和材は、フライアッシュ及び石灰石粉を所定割合で予め混練(プレミキシング)したものであるが、このセメント系水硬性組成物用混和材は、一旦貯蔵され、該貯蔵されたセメント系水硬性組成物用混和材は、コンテナに搭載されるか、または、容器、袋などに梱包されて運搬可能とされる。このセメント系水硬性組成物用混和材は、セメント、骨材、水、高性能減水剤等と適宜の割合に混練用ミキサに投入されて混練されることにより、高流動コンクリート又は高流動モルタルとなる。
【0021】このようにして得られたコンクリート材は、フライアッシュの単位量を300kg/m3〜600kg/m3の範囲内に高めることが可能となる。また、このようして得られたコンクリート材の単位容積重量は、2.1g/cm3程度以下と軽量である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形態について、説明する。
【0023】コンクリートに混和される混和材料として、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカヒューム、もみ殻灰などが挙げられるが、この発明では、フライアッシュに限定される。
【0024】フライアッシュは、火力発電所から排出される一種の廃棄物で、セメント原料あるいはコンクリート混和材として、また路盤材等として全排出量の約45%が利用され、残りは埋立廃棄されているが、本発明においては、これらのフライアッシュの全てが適用可能である。最近はこれらのフライアッシュの性状をさらに向上させるため、微粉砕し、従来よりさらに微粉としたフライアッシュが使用される傾向にあるが、これらも包含される。
【0025】このフライアッシュは、石炭火力発電所においてミルによって微粉砕された石炭が、微粉炭燃焼ボイラで焼成された後、灰分が排煙処理システム内の電気集塵器により捕集されたものであり、その主成分は、シリカ(SiO2)及びアルミナ(Al23)である。
【0026】これらのフライアッシュの内、本発明では、粒子径がlμm〜100μmの範囲内の粒子が全粒子の80重量%以上含み、かつ、平均粒子径が10μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。粒子径がこれらの範囲を超えて大きい場合や、また小さい場合には、流動性の改善効果が小さい。
【0027】また、このフライアッシュの比重は2.0〜2.4の範囲、ブレーン比表面積が2,400cm2/g〜4,700cm2/gの範囲内であることが好ましい。
【0028】このフライアッシュの強熱減量は限定されないが、5%以下であることが好ましい。
【0029】石灰石粉は、近年生コンクリートへの利用が進められているが、まだ研究段階であり、充分に実用化されていない。そして、その場合、使用される石灰石粉は、その粒度範囲がブレーン比表面積で2,500c2/g以上と微粒子径を中心としたものである(例えば、コンクリート用石灰石微粉末品質規格案:「石灰石微粉末の特性とコンクリートへの利用に関するシンポジウム」(社)日本コンクリート工学協会参照。)。本発明において使用される石灰石粉としては、その粒子径は限定されずに微粒子であってもよいが、例えば、2.5mmのふるいを通過し、かつ、粒子径が10μm〜1200μmの範囲にある粒子が全粒子の80重量%以上含むように、粒径2.5mm程度と大きなものを含んでいてもよい。これにより、石灰石の微粉工程を経ることなく製造された、粗粒子を用いることができ、飛躍的に経済性が向上される。また、このような粗粒子を含む混和材は、細骨材の一部代替として利用できるので、枯渇化が進む細骨材の歯止めを掛ける役割をも果たすことができる。
【0030】従って、本発明で適用可能な石灰石粉は、比重が2.6〜2.7の範囲、ブレーン比表面積が10cm2/g〜2500cm2/gの範囲としても特徴づけられる。
【0031】以上のフライアッシュ及び石灰石粉は、乾燥状態で混合することを特徴としている。フライアッシュは通常、その水分率(湿分)が極めて低い状態で提供され、JIS規格においては1%以下と規定されている。一方、石灰石粉は、湿分1%以下が望ましい。また、プレミックス後の混和材の湿分も1%以下とする。フライアッシュと石灰石粉との混合割合は、フライアッシュ100重量部に対して石灰石粉が10重量部以上100重量部以下であることが必要である。石灰石粉が少ないと、高流動コンクリートを得るための高性能減水剤を多量に使用する必要が生じたり、また、十分な流動性改善の効果を得ることができない。
【0032】一方、石灰石粉の混合割合が多いと、コンクリート材の比重(単位容積重量)が大きくなり、軽量化が得られない。また、十分な流動性改善の効果が得られないばかりか、多量の混和材をセメントに配合することができず、結果として、多量のフライアッシュをセメントに混和できなくなりフライアッシュを多量に使用するという本発明の目的に適合しなくなる。
【0033】この石灰石粉の好ましい配合割合は、フライアッシュ100重量部に対して20重量部より多く、60重量部以下である。
【0034】混合方法は特には限定されず、一般的な粉体用ミキサによる混練でよい。混練装置としては、例えば、オムニミキサ、強制2軸ミキサが例示される。
【0035】本発明のセメント系水硬性組成物用混和材の製造装置及び製造例を以下に示す。例えば、ロータリフィーダを備えたフライアッシュ貯蔵サイロとシュートを備えた石灰石粉貯蔵サイロとの双方に所定の各原料を蓄える。シュートから落下した石灰石粉は、搬送ベルトなどを通じて適宜計量されて輸送される。一方、ロータリフィーダからは、輸送管を通してフライアッシュが空気輸送され、定量される。これらの石灰石粉とフライアッシュとは粉体混練用ミキサに供給される。もちろん、石灰石粉砕工場に隣接して製造プラントを設置する場合には、石灰石貯蔵サイロは用いずに、粉砕された石灰石粉を適宜分級して粉体混練用ミキサに直接供給してもよい。
【0036】この粉体混練用ミキサにて均一に混練(ミキシング)されることにより、本発明のセメント系水硬性組成物用混和材を調整することができる。得られたセメント系水硬性組成物用混和材は、ミキサから搬出されて、貯蔵される。運搬の容易性のために、粉体混練用ミキサから直接、ジェットパック車などのコンテナに搬送されてもよい。また、簡便性のために、容器又は袋に梱包されてもよい。この場合の容器又は袋は特には限定されずに10kg、20kg、30kg等の単位であってよく、石灰石粉、フライアッシュ等の運搬の際に用いられる袋又は容器がそのまま採用される。
【0037】以上のようにして調整されたセメント系水硬性組成物用混和材は、セメント及び細骨材、粗骨材、高性能(AE)減水剤などの他の混和材と適宜の配合割合で配合されることにより、高流動コンクリート材、高流動モルタル材となる。例えば、セメント系水硬性組成物用混和材、粗骨材、細骨材、セメントの順にコンクリート調整用混練機に投入し、空練り後、別途に高性能減水剤の所定量を溶解させた水を加えて混練することにより、高流動コンクリート材又は高流動モルタル材を得ることができる。
【0038】セメント系水硬性組成物用混和材の配合割合は、セメント材料100重量部に対して500重量部以下の範囲内で配合させることができるが、基本的には所要の流動性、構造物の設計基準強度に応じて適宜設定することができ、配合量を増加させることにより、組成物の流動性を上昇させることができる。例えば、高流動コンクリート又はモルタルの場合、コンクリート材中で表現すると、100kg/m3〜1000kg/m3、好ましくは120kg/m3〜750kg/m3の単位量で配合することができる。この単位量が少ない場合には、高流動性を有することが困難となる。
【0039】この場合のセメンとしては、特には限定されないが、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱セメント等のポルトランドセメントが例示される。また、これらのセメントは、単独で使用しても、複数種類併用してもよい。
【0040】これらのセメントの使用量は限定されないが、本発明においては、その使用量が少なくても十分な圧縮強度が発現するという特徴を有する。このため、材料中のセメント使用量は、100kg/m3〜500kg/m3、好ましくは200kg/m3〜350kg/m3の単位量で配合されている。例えば、250kg/m3以下と少ない配合量であっても、実用的な高流動コンクリート材又は高流動モルタル材が提供される。
【0041】また本発明において、用いられる細骨材、粗骨材としては、天然骨材、合成骨材、副産骨材又はこれらの混合物のいずれも使用することができる。細骨材としては、例えば、砕砂、川砂、山砂、海砂、軽量骨材等が挙げられる。
【0042】細骨材の配合割合は、コンクリートの場合、セメント材料100重量部に対して100〜500重量部の範囲で配合させることができる。例えば、コンクリート材中で表現すると、400kg/m3〜900kg/m3、好ましくは400kg/m3〜600kg/m3の単位量で配合することができる。本発明で用いられるセメント系水硬性組成物用混和材には石灰石が含まれていることにより、細骨材の相対的な使用割合も減少させることができる。山砂、川砂、海砂、砕砂などの天然細骨材は、資源の枯渇化が問題とされているが、この発明によれば、天然細骨材の使用量が減じられるという効果も有する。
【0043】粗骨材としては、例えば、砕石、玉砕石、川砂利等が挙げられる。この粗骨材の配合割合は、コンクリートの場合、セメント材料100重量部に対して150〜500重量部の範囲で配合させることができる。例えば、コンクリート材中で表現すると、500kg/m3〜1000kg/m3、好ましくは500kg/m3〜700kg/m3の単位量で配合することができる。
【0044】本発明において用いられる高性能(AE)減水剤とは、従来、使用されてきたAE減水剤よりも減水効果が高いものであり、従来の減水剤と同様に生コンプラントで添加し、スランプや空気量の経時変化の少ないことが望まれている。これらは、通常、高性能減水剤あるいは高性能AE減水剤と称されている。例えば、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤、ナフタリンスルホン酸ホルマリン高縮合物が例示されるがこれらに限定されない。
【0045】本発明においては、高性能減水剤の単位量が0.1kg/m3〜10kg/m3、好ましくは、0.5kg/m3〜7kg/m3程度と少ない量でも、流動性が改善されて高流動コンクリート材又はモルタル材が提供されるという特徴を有する。それ故、多量の高性能減水剤を使用する必要はない。以上のようにして調整されたコンクリート材又はモルタル材は、フライアッシュを300kg/m3〜600kg/m3の高単位量の範囲内で配合させることができる。これにより、多量のフライアッシュを使用することができ、また、このようにして調整されたコンクリート材の単位容積重量は、2.1g/cm3程度以下に軽量化されることが可能となる。
【0046】また、このセメント系水硬性組成物用混和材は、フライアッシュが混入されているので、コンクリート材又はモルタル材としての性能が維持され、特に普通コンクリートと同等又は同等以上の強度発現、長期強度の増進、耐久性の改善、水密性の向上などの品質改善効果を有する生コンクリート材又は生モルタル材を得ることもできる。
【0047】本発明のセメント系水硬性組成物用混和材には、その他の界面活性剤、化学混和剤、膨張材、収縮低減剤、ポリマーエマルジョン、増粘剤、発泡剤などを併用することができる。
【0048】また、同様に、本発明のコンクリート材又はモルタル材には、その他の界面活性剤、化学混和剤、膨張材、収縮低減剤、ポリマーエマルジョン、増粘剤、発泡剤などを併用することができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中、断りのない限り組成割合は重量で表現する。
[セメント系水硬性組成物用混和材の調整]使用したフライアッシュ(記号F)は、石炭火力発電所において電気集塵器により捕集されたものであり、その詳細は表1に示した。また、使用した石灰石粉(記号Ca)の詳細を表2に示した。
【0050】なお、表1及び表2において、粒子径はJIS Z 8801の試験用ふるいを用い、平均粒子径は加重平均により、比重はJIS R 5201の6(比重試験)に準じ、ブレーン比表面積はJIS R 5201(比表面積試験)によるブレーン法に準じ、強熱減量はJIS A 6201の強熱減量の試験に準じて求めた値である。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

表1のフライアッシュ(F)の所定量と表2の石灰石粉(Ca)の所定量とを適宜の組成割合でオムニミキサにて混練を行い、種々の組成割合のセメント系水硬性組成物用混和材(A)を調整した。
[コンクリート材の調整]以上のようにして調整されたセメント系水硬性組成物用混和材(A)を用い、粗骨材、細骨材、セメントの順にコンクリート調整用混練機に投入し、空練り後、別途に高性能減水剤の所定量を溶解させた水を加えて混練することにより、目標スランプフロー値が50cm以上の高流動コンクリート材を調整した。
【0053】なお、ここで使用したセメントは市販の普通ポルトランドセメント(比重3.15)であり、細骨材としては香川県産の砕砂(表乾比重2.58)、粗骨材としては香川県産の砕石(表乾比重2.64)、高性能AE減水剤としては、株式会社エヌエムビー社製のレオビルドSP−8N(ポリカルボン酸エーテル系の複合体)を用いた。得られたコンクリート材の流動性と圧縮強度を評価し、結果を表3に示した。
【0054】
【表3】

対照に普通コンクリートの例、フライアッシュ単独で高流動コンクリートを製造した例を示したが、本発明の組成を採用することにより、高性能減水剤を多量に使用することなく、高流動コンクリートが得られることが理解される。また、このときの細骨材としての砂の量や、粗骨材としての砂利の使用割合が少なくでき、かつ、セメントの使用割合が少なくても、初期強度(圧縮強度)の良好なコンクリート材が得られていることが確認できる。これにより得られたコンクリート材の単位容積重量は、2.1g/cm3程度であり、普通コンクリートの単位容積重量に比較して、軽量化が図れている。
【0055】このようにして得られた高流動コンクリートは、生コンクリートの打設時に締め固め不要のコンクリート材として使用できるので、作業性の軽減が図れる。また、全体として、粉体割合が多いので、型枠木目に馴じみがよく、特殊型枠、擬石型枠などの種々の型枠に対して作業性良く流し込むことが可能である。
【0056】これにより、フライアッシュは従来、セメントの製造原料に使用される他は大部分が埋立処分されたり、産業廃棄物とされていたが、これを有効利用することが可能となる。
【0057】以上の結果から、フライアッシュは、石灰石粉とプレミックスしてコンクリートに混和すると、そのコンクリート材としての流動性能が改善され、生コンクリート工場においての高流動コンクリート、高流動モルタルを製造するのに適していることが理解される。また、これにより得られたコンクリート材は、軽量化が達成されると共に、普通コンクリートと同等以上の強度発現、長期強度の増進、耐久性の改善、水密性の向上などの品質改善効果を有する。
【0058】以上は、フライアッシュ及び石灰石粉の一実施例について述べたが、フライアッシュの粒子径や比表面積、石灰石の粒子径や比表面積、及びそれらの組成割合を本発明で開示される範囲内で種々変更しても、本発明は実施可能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、フライアッシュを石灰石粉と予め混練して混合物としてセメント系水硬性組成物の混和材として用いることにより、生コンクリート工場においてフライアッシュと石灰石粉とを個別に貯蔵し、計量する設備が必要ないため、設備投資を軽減できる。また、これにより、廉価にフライアッシュをセメント系水硬性組成物用混和材として用いることができ、フライアッシュの利用が拡大される。また、このセメント系水硬性組成物を一成分として高流動コンクリート又はモルタル材が容易に製造される。この高流動コンクリート材又はモルタル材は、初期強度が高く、ポゾラン反応性を有する実用的な水硬性組成物を得ることができる。これにより、フライアッシュの有効利用を図ることができ、産業廃棄物の発生量を抑制し、骨材の枯渇化を緩和するなどの地球環境の保全に資することが可能となる、という実用上有益な効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000144991
【氏名又は名称】株式会社四国総合研究所
【出願日】 平成10年6月22日(1998.6.22)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
【公開番号】 特開2000−7397(P2000−7397A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−174219