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【発明の名称】 分級細粒フライアッシュによる焼成材、焼成人工骨材、焼成タイル・れんが
【発明者】 【氏名】国久 清司

【氏名】阿部 匡司

【氏名】石井 光裕

【氏名】斉藤 聰

【氏名】鈴木 吉夫

【氏名】春木 隆

【氏名】国島 武史

【要約】 【課題】フライアッシュを焼成して形成した人工骨材等において、より大きな密度で、低吸水率、高強度のものを得ることを目的とする。

【解決手段】石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させて、或いは、その焼成体を更に所要粒度に破砕して形成して成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させて形成して成る分級細粒フライアッシュによる焼成材。
【請求項2】石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させ、かつ、その焼結体を所要粒度に破砕して粒状に形成して成る分級細粒フライアッシュによる焼成人工骨材。
【請求項3】石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分をタイル・れんがとしての所要形態に焼結させて形成して成る分級細粒フライアッシュによる焼成タイル・れんが。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のセメント・コンクリート製品やセメント・コンクリート構造物等に広く利用することができ、或いは、アスファルト・コンクリート舗装及び路盤等に利用することができる、分級細粒フライアッシュ(一定範囲の粒径以下の細粒に分級したフライアッシュ)による焼成材、焼成人工骨材、並びに、建築物等の内外装用のタイル・れんが等に、或いは、道路舗装用のタイル・れんが等に利用することができる、分級細粒フライアッシュによる焼成タイル・れんがに関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを主原料として用いた人工骨材としては、分級してない原粉フライアッシュによる軽量コンクリート用人工軽量骨材が一般的である(例えば、特開昭62-252354 号公報、特開昭62-260742 号公報等)。普通コンクリート用人工骨材やアスファルト・コンクリート舗装用人工骨材としては、粘土を原料として焼成した人工骨材、或いは、主原料として粘土を用い副原料としてフライアッシュ等を用いて、これらを混合した後、焼成した人工骨材はあったが、一定の粒径で分級したフライアッシュを主原料とした人工骨材等は未だ見当たらない。
【0003】なお、上述の分級細粒フライアッシュを、品質改良材として通常のセメント・コンクリート中に混入させたもの(特公平2-49264 号公報)や、フライアッシュの粉末を、骨材としてコンクリートがらの破砕物を用いたコンクリート中に混入させたもの(特許第2684353 号公報)はある。しかし、これらのフライアッシュは単なる混和材として機能するに止まり、吸水率を低下させることはない。殊に後者(特許第2684353 号公報)の場合には、その吸水率が15%以上にもなり、一般的に好ましい吸水率とされている3%にすら遠く及ばない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、原粉フライアッシュを主原料とし、これを焼成して、人工骨材をつくる場合、次の問題があった。
(1) 原粉フライアッシュを主原料として焼成し、吸水率が高く、強度が比較的小さな人工軽量骨材をつくることは容易であり、既に商品化もされているが、焼成後の乾燥密度が小さいために、低吸水率で高強度のものを得ることは困難である。
(2) 原粉フライアッシュを主原料として焼成し、密度が小さいけれども低吸水率で高強度の人工骨材がつくれたとしても、そのような人工骨材を得るためには非常に狭い領域の最適温度幅に厳格にコントロールしながら焼成する必要があり、また、窯の中のどの位置の焼成物も同じ温度条件にするには、限られた焼成窯しか使用できない。本発明は、かかる問題を解決し、フライアッシュを焼成して形成した人工骨材等において、より大きな密度で、低吸水率、高強度のものを得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請求項1の分級細粒フライアッシュによる焼成材の発明は、石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させて形成して成る。
【0006】請求項2の分級細粒フライアッシュによる焼成人工骨材の発明は、石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させ、かつ、その焼結体を所要粒度に破砕して粒状に形成して成る。
【0007】請求項3の分級細粒フライアッシュによる焼成タイル・れんがの発明は、石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分をタイル・れんがとしての所要形態に焼結させて形成して成る。
【0008】ところで、分級細粒フライアッシュにおいては、焼成前の灰粒子間隔は、従来の原粉のフライアッシュの場合よりも小さくなり、粒子間の接点も多くなる。このため、この分級細粒フライアッシュを焼成すると、焼結が早まると同時に、焼結に伴いもともと小さな灰粒子間の気孔の体積が非常に小さなものになる。つまり、焼成体としては緻密な構造となる。したがって、分級細粒フライアッシュを主原料とし、これを焼成して得た焼成材、焼成人工骨材、焼成タイル・れんがは、従来の原粉フライアッシュを用いた場合に比べて、焼成後の乾燥密度が大きく、低吸水率、高強度のものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
その1.実施の形態その1.は、請求項1の発明の焼成材に係るものである。この場合は、石炭火力発電所の電気集塵機で捕集されたフライアッシュを破砕することなく、そのまま95%以上が20μm以下の粒径からなる細粒フライアッシュ(FA−20という。)に分級し、この分級により得られた細粒分を所要形態に焼結させて焼成材を形成する。
【0010】図1に、原材料として用いる分級細粒フライアッシュFA−20と、分級しない原粉フライアッシュとの粒度分布を示す。図1の意味は、例えば、20μmのふるい目では、原粉フライアッシュの場合、約62%がこれを通過し、約38%が残る。また、分級細粒フライアッシュFA−20の場合、約98%が通過し、約2%が残る(大半が20μm以下の粒子で成りたっている。)。したがって、20μmで分級し、分級によって得られた細粒分(分級細粒フライアッシュ)とは、大半が20μm以下の粒子から成るフライアッシュということができる。
【0011】ここにおいて、本発明者等は、分級細粒フライアッシュFA−20と原粉フライアッシュとに関し、焼成体作成及び品質調査に係る実験を行った。この実験の手順を図2に示す。手順の具体的内容は次の通りである。
■ フライアッシュ(原粉又は分級細粒フライアッシュ)の含水比調整含水比15%に調整する。
■ フライアッシュの加圧成型含水比調整したフライアッシュを10MPaで加圧成型して、直径約2.5cm、高さ約5cmの円柱状の成型体を所要数作成する。
■ 成型体の焼成それらの成型体を、4本を1グループとして、最高焼成温度1100〜1300℃の間において25℃のピッチで様々に変えて焼成する。すなわち、小型電気炉(有効容量10リットル、有効寸法:幅200mm×奥行250mm×高さ200mm、AC200V、単層58A)を用いて、各グループの成型体につき、それぞれ試料NO.1を炉内奥左側、試料NO.2を炉内奥右側、試料NO.3を炉内手前左側、試料NO.4を炉内手前右側に配置し、次の焼成プログラム(最高焼成温度1100℃の場合を示す。他の最高焼成温度の場合も同様である。)に従って焼成して、上記寸法(直径約2.5cm、高さ約5cm)の円柱状の焼成体(試供体)を作成する。
〔最高焼成温度1100℃の場合〕
1) 900℃ 上昇2) 900℃ 30分H0LD3) 1100℃ 上昇4) 1100℃ 30分H0LD5) 常温 降下6) END■ 焼成後のフライアッシュ焼成体の品質調査調査項目は、乾燥密度・圧縮強度・吸水率とする。
【0012】この実験から、図3、別紙表1及び表2の結果を得た。図3は、分級細粒フライアッシュFA−20による焼成体の場合と原粉フライアッシュによる焼成体の場合とにおける焼成最高温度とフライアッシュ焼成体の乾燥密度の関係を比較して示すものであり、それぞれの要部を抽出したものである。また、別紙表1は、焼成前・後の分級細粒フライアッシュFA−20と原粉フライアッシュの乾燥密度(焼成後の乾燥密度は、図3の最大乾燥密度である。)を比較して示すものであり、別紙表2は、それらのフライアッシュ焼成体の圧縮強度及び吸水率を比較して示すものである。図3、別紙表1及び表2より、分級細粒フライアッシュFA−20を使用したものが原粉フライアッシュを使用したものに比較して、乾燥密度・圧縮強度が大きく、吸水率が小さいことがわかる。特に圧縮強度は著しく大となることがわかる。一般にこの種の人工骨材では、圧縮強度100MPa以上、吸水率3%以下のことが多いが、分級細粒フライアッシュFA−20による場合はこれを大きく上回っている。また、図3において、例えば乾燥密度が1.9(g/m3 )以上の焼成体を必要とする場合、FA−20では、焼成温度は1110〜1240℃(温度許容幅130℃)と広いのに対して、原粉フライアッシュによる場合は、焼成温度は1235〜1260℃(温度許容幅25℃)と非常に狭い範囲となる。したがって、分級細粒フライアッシュFA−20による場合には、窯の中の厳格な温度コントロールは必要でないことから、焼成は容易であるといえる。更に、分級細粒フライアッシュFA−20による場合、原粉フライアッシュの場合よりも焼成最高温度が低くてよいことから、燃料の節約にもなる。
【0013】よって、上述の実験例に従い、分級細粒フライアッシュFA−20を用いて、含水比を調整し、人工骨材、タイル・れんが等の所要形態に加圧成型し、焼結させることで、上述の優れた乾燥密度、圧縮強度、吸水率を備えた焼成材を得ることができ、人工骨材として、セメント・コンクリート製品やセメント・コンクリート構造物等に、或いは、アスファルト・コンクリート舗装及び路盤等に良好に利用することができ、また、タイル・れんが等として、建築物などの内外装に、或いは、道路舗装等に良好に利用することができる。而して、その分級細粒フライアッシュの分級、含水比調整、加圧成型、焼成の工程は、上述にようにいずれもが容易に行い得るものであるから、連続工程として自動化させることもでき、量産化にも適している。
【0014】その2.実施の形態その2.は、請求項2の発明の焼成人工骨材に係るものである。この場合、まず、95%以上が20μm以下の粒径からなる分級細粒フライアッシュFA−20により図4に示す手順で焼成人工骨材を得る。手順の具体的内容は次の通りである。
■ 分級細粒フライアッシュFA−20の含水比調整含水比7%に調整する。
■ 分級細粒フライアッシュFA−20の加圧成型含水比調整した分級細粒フライアッシュFA−20を30MPaで加圧成型し、縦20cm、横10cm、厚さ3cmのれんが状の成型体を作成する。
■ 成型体の焼成それらの成型体を焼成炉シャトルキンにより、常温から次第に上昇させて最高温度1250℃に達するまで10時間をかけて加熱し、引き続き10時間をかけて次第に常温にまで冷却させて、上記寸法(縦20cm、横10cm、厚さ3cm)のれんが状の焼成体を作成する。
■ 焼成体の破砕それらの焼成体を破砕機(ダブルロールクラッシャ)にて13〜0mmに破砕し、これを13〜5mm(6号砕石相当)と、5〜0mm(7号砕石相当)とに分級し、2種類のサイズの焼成人工骨材を得る。これらのサイズはアスファルト舗装の表層、基層の骨材に適している。
■ 焼成体の品質調査れんが状の焼成体及び破砕後の焼成人工骨材につき、表乾比重、吸水率、圧縮強度、すり減り減量、色を調べる。
【0015】実験によれば、こうして製造したれんが状の焼成体及び焼成人工骨材につき品質調査すると、別紙表3の特性を呈した。これに対し、一般のアスファルト舗装の表層、基層に用いられている骨材は、表乾比重2.45以上、吸水率3.0%以下、すり減り減量30%以下であることから、この焼成人工骨材は、一般のアスファルト舗装の表層、基層に用いられ得る。また、道路の滑り防止や車の騒音防止として用いられる排水性舗装では、骨材は目潰れを起こしやすいために高強度の骨材が要求されており、すり減り減量では15%以下の骨材が用いられている。この要求に対しても、別紙表3の人工骨材は十分に満足している。このことから、この人工骨材は排水性舗装用の骨材として用い得る。更に、交通事故防止、交通渋滞対策としてカラー舗装も最近用いられるようになった。別紙表3に示すように、この人工骨材は茶色の骨材のため、カラー舗装用のカラー骨材として用い得る。
【0016】その3.実施の形態その3.は、請求項3の発明の焼成タイル・れんがに係るものである。この場合、まず、95%以上が10μm以下の粒径からなる分級細粒フライアッシュFA−10により、その1.についての図2の手順と同様の手順で焼成タイル・れんがを得る。手順の具体的内容は次の通りである。
■ 分級細粒フライアッシュFA−10の含水比調整含水比15%に調整する。
■ 分級細粒フライアッシュFA−10の加圧成型含水比調整した分級細粒フライアッシュFA−10を10MPaで加圧成型し、縦20cm、横10cm、厚さ6cmのれんが状の成型体を作成する。
■ 成型体の焼成それらの成型体を焼成炉シャトルキンで次の焼成プログラム(最高焼成温度1175℃)に従って焼成し、上記寸法(縦20cm、横10cm、厚さ6cm)の焼成れんがを作成する。なお、実験では、焼成炉として小型電気炉を使用した。
〔最高焼成温度1175℃〕
1) 900℃ 上昇2) 900℃ 30分H0LD3) 1175℃ 上昇4) 1175℃ 30分H0LD5) 常温 降下6) END■ 焼成体の品質調査絶乾比重、吸水率、圧縮強度についての性状を調べる。
【0017】実験によれば、こうして製造したれんがにつき品質調査すると、別紙表4の性状を呈した。これにより、そのようにして分級細粒フライアッシュFA−10を焼成することで、低吸水率・高強度の焼成体ができ、建築の内外装用、道路舗装用等のタイル・れんがとして、従来に優るものが得られることを確認した。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、フライアッシュを10〜25μmの間のある粒径で分級して当該粒径以下の細粒分を抽出し、この分級細粒分を所要形態に焼結させるので、その焼結体の内部の気孔が極めて少ない緻密な構造のものとすることができて、乾燥密度が大きく、高強度、低吸水率の格段に優れた焼成材、焼成人工骨材、焼成タイル・れんがを提供することができる。また、焼成を容易にすることができ、しかも、焼結を早めることができて、生産性を高めることができ、コストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000180368
【氏名又は名称】四国電力株式会社
【識別番号】594002141
【氏名又は名称】テクノ・リソース株式会社
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
【識別番号】592182698
【氏名又は名称】株式会社竹中道路
【出願日】 平成10年6月19日(1998.6.19)
【代理人】 【識別番号】100068157
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 良夫
【公開番号】 特開2000−7396(P2000−7396A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−189758