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【発明の名称】 圧電磁器組成物及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中尾 類

【要約】 【課題】フィルタや発振子などの共振子に用いる圧電磁器組成物に係わり、共振させる周波数に応じた結晶粒径の焼結体を、また広い周波数範囲の共振子に使用できる圧電磁器組成物を提供することを目的とする。

【解決手段】(化1)を主成分とし、この主成分1モルの重量を100重量%とし、この主成分100重量%に対して、副成分としてZrO2を5.0重量%以下(0重量%を除く)、かつMnO2を0.05〜2.0重量%の組成となるように調整した原料粉を混合、仮焼した後、粉砕時に主成分100重量%に対してNb25を0.05〜2.5重量%、CuOを0〜2.5重量%添加し、酸素分圧80%以上の雰囲気中で焼成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (化1)を主成分とし、副成分としてNb25とMnO2を含有したことを特徴とする圧電磁器組成物。
【化1】

【請求項2】 Pbの25原子%以下をCa,Sr,Baのうち少なくとも一種以上で置換したことを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器組成物。
【請求項3】 主成分1モルの重量を100重量%としたとき、Nb25の含有量は、0.05〜2.5重量%、MnO2の含有量は0.05〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の圧電磁器組成物。
【請求項4】 副成分としてさらに、ZrO2を含有したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物。
【請求項5】 ZrO2の含有量は、主成分1モルの重量を100重量%としたとき0.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項4に記載の圧電磁器組成物。
【請求項6】 副成分としてさらに、CuOを含有したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物。
【請求項7】 CuOの含有量は、主成分1モルの重量を100重量%としたとき2.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項6に記載の圧電磁器組成物。
【請求項8】 主成分が(化2)の組成となるような原料粉末と、副成分としてMn化合物の原料粉末とを混合した混合物を仮焼する第1の工程と、次にこの仮焼粉に副成分としてNb化合物の原料粉末を混合した後再度仮焼する第2の工程と、次にこの仮焼粉を成形して成形体を得る第3の工程と、次にこの成形体を焼成する第4の工程を備えた圧電磁器組成物の製造方法。
【化2】

【請求項9】 第1の工程において、Mn化合物の添加量は、MnO2に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05〜2.0重量%、第3の工程においてNb化合物の添加量は、Nb25に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05〜2.5重量%であることを特徴とする請求項8に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項10】 第1の工程において副成分としてZrの化合物の原料粉末を添加することを特徴とする請求項8あるいは請求項9に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項11】 Zrの化合物の添加量はZrO2に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、5.0重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項10に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項12】 第2の工程において副成分としてCuの化合物の原料粉末を添加することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項13】 Cuの化合物の添加量はCuOに換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、2.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項12に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項14】 第1の工程において、原料粉末の平均粒径が3μm以下のものを用いることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項15】 第1の工程において、La,Nd,Pr,Ce,Smの化合物として水酸化物を用いることを特徴とする請求項8から請求項14のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【請求項16】 第4の工程において、酸素分圧80%以上の雰囲気中で焼成することを特徴とする請求項8から請求項15のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィルタや発振子などの共振子に用いられる圧電磁器組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の電子部品の小型化、高性能化の要求は高く、そこで使われる電子部品用材料に対しても小型化、高品質化の厳しい要求基準が掲げられる。高周波発振子で用いられる圧電磁器組成物については、従来より小型化に有利な3倍波共振が適用できるPbTiO3系材料でPbの一部をLaで置換したチタン酸鉛や、さらに添加物を加えた材料系が主に使われてきた。特開昭57−47768号公報、特開昭57−47769号公報などによれば、温度特性改善のための各種添加物を加えた材料系が提案、使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圧電磁器組成物の焼結体の結晶粒径は、共振のダイナミックレンジに大きな影響を及ぼす。結晶粒径を小さくすることにより、周波数での共振のダイナミックレンジをより大きくすることができる。しかし、従来の組成では焼結性に問題があり結晶粒径が小さすぎ不揃いになる傾向があった。そのため特に20MHz以下の発振子に用いた場合、厚み縦振動の3倍波共振と同時に5倍波共振のダイナミックレンジも大きくなり、不必要な5倍波共振で発振してしまうという問題点を有していた。さらに従来の組成では焼結反応の均一性に問題があり、すべり振動の基本波における共振周波数の温度特性が悪く、すべり振動の基本波共振を用いた発振子への展開が出来ないという問題点も有していた。
【0004】そこで本発明は上記従来の問題点を解決するもので、厚み縦振動の3倍波共振とすべり振動の基本波共振との両方に利用でき、広い周波数範囲での共振子に使用できる圧電磁器組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明は、(化3)を主成分とし、副成分としてNb25とMnO2を含有したものであり、焼結性と焼結反応の均一性が向上し、使用する周波数に適した結晶粒径の焼結体を得ることができ、厚み縦振動において発振周波数が3倍共振から5倍共振へ移ることがなく、すべり振動においては基本波の共振周波数の温度特性が良好な高信頼性の共振子に適した圧電磁器組成物を得ることができるものである。
【0006】
【化3】

【0007】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、(化3)を主成分とし、副成分としてNb25とMnO2を含有したことを特徴とする圧電磁器組成物であり、焼結性の高いものである。
【0008】請求項2に記載の発明は、Pbの25原子%以下をCa,Sr,Baのうち少なくとも一種以上で置換したことを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器組成物であり、焼結性を高めるという作用を有する。
【0009】請求項3に記載の発明は、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、Nb25の含有量は、0.05〜2.5重量%、MnO2の含有量は0.05〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の圧電磁器組成物であり、焼結性に優れ、厚み縦振動において発振周波数が3倍共振から5倍共振へ移ることなく、すべり振動においては基本波の共振周波数の温度特性を良好にすることができるという作用を有する。
【0010】請求項4に記載の発明は、副成分としてさらに、ZrO2を含有したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物であり、焼結体の結晶粒径を制御できるという作用を有する。
【0011】請求項5に記載の発明は、ZrO2の含有量は、主成分1モルの重量を100重量%としたとき0.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項4に記載の圧電磁器組成物であり、焼結体の結晶粒径を1〜3μmの間で任意の大きさに制御することができるという作用を有する。
【0012】請求項6に記載の発明は、副成分としてさらに、CuOを含有したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物であり、焼結性を高めるという作用を有する。
【0013】請求項7に記載の発明は、CuOの含有量は、主成分1モルの重量を100重量%としたとき2.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項6に記載の圧電磁器組成物であり、焼結性を高めるという作用を有する。
【0014】請求項8に記載の発明は、主成分が(化3)の組成となるような原料粉末と、副成分としてMn化合物の原料粉末とを混合した混合物を仮焼する第1の工程と、次にこの仮焼粉に副成分としてNb化合物の原料粉末を混合した後再度仮焼する第2の工程と、次にこの仮焼粉を成形して成形体を得る第3の工程と、次にこの成形体を焼成する第4の工程を備えた圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結性向上の効果を高めるという作用を有する。
【0015】請求項9に記載の発明は、第1の工程において、Mn化合物の添加量は、MnO2に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05〜2.0重量%、第3の工程においてNb化合物の添加量は、Nb25に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05〜2.5重量%であることを特徴とする請求項8に記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結性に優れ、厚み縦振動において発振周波数が3倍共振から5倍共振へ移ることなく、すべり振動においては基本波の共振周波数の温度特性を良好にすることができるという作用を有する。
【0016】請求項10に記載の発明は、第1の工程において副成分としてZrの化合物の原料粉末を添加することを特徴とする請求項8あるいは請求項9に記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結体の結晶粒径を制御できるという作用を有する。
【0017】請求項11に記載の発明は、Zrの化合物の添加量はZrO2に換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、5.0重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項10に記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結体の結晶粒径を1〜3μmの間で任意の大きさに制御することができるという作用を有する。
【0018】請求項12に記載の発明は、第2の工程において副成分としてCuの化合物の原料粉末を添加することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結性を高めるという作用を有する。
【0019】請求項13に記載の発明は、Cuの化合物の添加量はCuOに換算し、主成分1モルの重量を100重量%としたとき、2.5重量%以下(0重量%を除く)であることを特徴とする請求項12に記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、焼結性を高めるという作用を有する。
【0020】請求項14に記載の発明は、第1の工程において、原料粉末の平均粒径が3μm以下のものを用いることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、均一な焼結反応を起こすことができるという作用を有する。
【0021】請求項15に記載の発明は、第1の工程において、La,Nd,Pr,Ce,Smの化合物として水酸化物を用いることを特徴とする請求項8から請求項14のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、吸水性が低く環境変化に対して安定した原料粉末を用いることで、均一な焼結反応を起こすことができるという作用を有する。
【0022】請求項16に記載の発明は、第4の工程において、酸素分圧80%以上の雰囲気中で焼成することを特徴とする請求項8から請求項15のいずれか一つに記載の圧電磁器組成物の製造方法であり、欠陥生成を抑制することで緻密な焼結体を得ることができるという作用を有する。
【0023】以下、本発明の一実施の形態について説明する。
(実施の形態1)まず化学的に純度99%以上で平均粒径が3μm以下のPbO,TiO2,La(OH)3,Nd(OH)3,Pr(OH)3,MnO2,ZrO2,CaCO3,SrCO3を用いて、(化4)においてPbの25原子%以下をCa,Srの内少なくとも一種以上で置換したものが主成分となるように、またこの主成分1モルの重量を100重量%とし、副成分として主成分100重量%に対して、MnO2を0.05〜1.0重量%、ZrO2を0〜5.0重量(0重量%を除く)を添加して、ボールミルで混合し、混合粉末を得た。
【0024】
【化4】

【0025】次に、混合粉末粉を950℃で仮焼して第一仮焼粉を得た後、この第一仮焼粉に化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のNb25を主成分100重量%に対して、0.05〜2.5重量%の範囲内で添加しボールミルで粉砕し、第一粉砕粉を得た。この第一粉砕粉を800℃で仮焼し、第二仮焼粉を得た後、この第二仮焼粉をボールミルで粉砕し第二粉砕粉を得た。次にこの第二粉砕粉を1000kg/cm2の圧力で成形して成形体を得た後、この成形体を酸素分圧80%以上の雰囲気中で1000〜1300℃の温度で焼成し焼結体を得た。
【0026】得られた焼結体を縦横20mm、厚さ5mmの角板に加工し、両面に銀電極を形成した。これを100℃のシリコンオイル中で、5kV/mm、30分の条件で分極処理した。この後電極を形成した焼結体を10MHzにおいてすべり基本振動するための最適厚みに分極方向と同一方向に切断し、重なり幅1mmの重なり電極を形成した後、幅1mmに切断した。分極後24〜36時間経てから、すべり基本振動のダイナミックレンジと共振周波数の温度特性について測定を行った。その結果、ダイナミックレンジが十分大きく、温度特性が−20〜80℃の範囲で±0.5%以内に収まり、高信頼性のすべり振動の基本波共振子を実現していることを確認した。次に焼結体を電子顕微鏡にて観察し、結晶粒度と欠陥の状態を観察した。平均粒径は1〜3μm程度の粒度の揃った均一な状態で欠陥の少ない緻密な焼結体であることを確認した。
【0027】本実施の形態で示したように主成分原料にLa,Nd,Prを用いることで、すべり振動の共振周波数の温度特性がより優れ、La,Nd,Prの含有量xを0.05≦x≦0.20の範囲内にすると、高いキュリー点となり、耐熱性と温度特性の優れた高い信頼性の共振子を実現できる。さらに、MnO2の添加量が主成分100重量%に対し、0.05〜1.0重量%ではすべり振動の基本波共振子に適したQm値を得ることができる。また第一仮焼粉にNb25を添加することで、最初の原料混合時に添加するよりも効果的に粒子成長を抑制し、抵抗値を下げることなく焼結性を高め、緻密な焼結体を得ることができる。
【0028】なお、(化3)で示される主成分の原料がPb化合物と、Ti化合物と、La,Nd,Pr,Ce,Smのうち少なくとも一種以上の化合物であっても良く、La,Nd,Pr,Ce,Smのうち少なくとも一種以上の含有量は0.01≦x≦0.40の範囲において有効である。更にPbの25原子%以下をCa,Sr,Baのうち少なくとも一種以上で置換しても有効である。その場合は化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のCaCO3,SrCO3,BaCCO3を出発原料として用いることが好ましい。さらに第一仮焼粉に化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のNb25とCuOとを主成分1モルの重量を100重量%とした時、それぞれ0.05〜2.5重量%、0〜2.5重量%(0重量%を除く)添加しても同様の効果を得ることができる。
【0029】また、La,Nd,Pr,Ce,Smの含有量xが0.01より少ないと焼結性が悪く、0.40より多いと焼結体の緻密性が低下し、すべり振動の基本波共振にスプリアスが生じる。次にNb25の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05重量%より少ない場合は焼結性が悪く、Nb25とCuOのそれぞれの添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、2.5重量%を超えると上記主成分に固溶しきれず析出するため、焼結体の緻密性が劣化し共振しなくなる。さらにMnO2の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05重量%より少ない場合は焼結性が悪く、すべり振動の基本波共振のダイナミックレンジが小さくなり、2.0重量%を超えると焼結体の緻密性が低下し共振しなくなる。ZrO2の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.5重量%を超えると結晶粒径の粒成長が進み、すべり振動の基本波共振が劣化するため好ましくない。次に、副成分Nb25を最初の原料混合時に添加すると、仮焼の際に主成分と反応してしまうために、焼結時に液相が結晶粒界に存在し難くなり、焼結性向上の効果が薄れてしまう。さらに、原料粉末の粒径が3μmより大きいと焼結反応が不均一となり、結晶粒径にばらつきが生じ、すべり振動の基本波における共振周波数の温度特性が大きくなるため好ましくない。また原料粉末の粒径が1μm以下のものを用いると、すべり振動の基本波における共振周波数の温度特性が−20〜80℃の範囲で±0.3%以内に収まり信頼性が高く好ましい。さらに、La,Nd,Pr,Ce,Smの化合物として酸化物を使うと、原料粉末の吸水性が高く環境変化に対して不安定な副成分を用いることとなり、均一な焼結反応を起こすのに問題が残る。また焼成工程においては、酸素分圧が80%より低い場合は密度も低く、焼結体内部に気孔や欠陥を有し共振特性のばらつきを発生する原因を内在している状態となり信頼性に欠ける。
【0030】なお、上記実施の形態ではすべり振動の基本波での効果を述べたが、上記圧電磁器組成物の組成と製造方法については、本発明の領域のすべてにおいて厚み縦振動の3倍共振子でも有効である。
【0031】(実施の形態2)原料として化学的に純度99%以上で平均粒径が3μm以下のPbO,TiO2,La(OH)3,Nd(OH)3,Pr(OH)3,Ce(OH)3,Sm(OH)3,MnO2,ZrO2を準備する。
【0032】まず化学的に純度99%以上で平均粒径が3μm以下のPbO,TiO2,La(OH)3,Nd(OH)3,Pr(OH)3,Ce(OH)3,Sm(OH)3,MnO2,ZrO2,CaCO3,SrCO3,BaCO3を用いて、(化5)においてPbの25原子%以下をCa,Sr,Baの内少なくとも一種以上で置換したものが主成分となるように、またこの主成分1モルの重量を100重量%とし、副成分として100重量%に対して、MnO2を0.05〜1.0重量%、ZrO2を0〜5.0重量%(0重量%を除く)を添加して、ボールミルで混合し、混合粉末を得た。
【0033】
【化5】

【0034】次に、混合粉末粉を950℃で仮焼して第一仮焼粉を得た後、この第一仮焼粉に化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のNb25とCuOとを主成分100重量%に対してそれぞれ0.05〜2.5重量%の範囲内で添加し、ボールミルで粉砕し第一粉砕粉を得た。この第一粉砕粉を1000kg/cm2の圧力で成形して成形体を得た後、この成形体を酸素分圧80%以上の雰囲気中で1000〜1300℃の温度で焼成し焼結体を得た。
【0035】得られた焼結体を直径15mm、厚さ0.5mmの円板に加工し、両面に銀電極を形成した。これを120℃のシリコンオイル中で、9kV/mm、30分の条件で分極処理を行った。この後電極を形成した焼結体を、20MHzにおいて3倍共振するための最適厚みに両面研磨し、直径1〜2mmの閉じ込め電極を円板中央部に形成し、厚み縦振動の3倍共振と5倍共振で各々のダイナミックレンジを分極後24〜36時間を経てから測定した。その結果、厚み縦振動の3倍共振時のダイナミックレンジが大きく5倍共振時のダイナミックレンジが抑制された状態であり、発振周波数が3倍共振から5倍共振へ移ることのない高信頼性の共振子を実現していることを確認した。
【0036】本実施の形態で示したように主成分原料にLa,Nd,Pr,Ce,Smを用いることで、厚み縦振動の3倍共振特性がより優れ、La,Nd,Pr,Ce,Smの含有量xを0.05≦x≦0.20の範囲内にすると、厚み縦振動の3倍共振のダイナミックレンジを十分に大きく、5倍共振のダイナミックレンジを十分に抑制することができ、高い信頼性の共振子を実現できる。さらに、MnO2の添加量が主成分100重量%に対し、0.05〜1.0重量%では厚み縦振動の3倍共振子に適したQm値を得ることができる。また第一仮焼粉にNb25とCuOを添加することで、最初の原料混合時に添加するよりも効果的に粒子成長を抑制し、抵抗値を下げることなく焼結性を高め、緻密な焼結体を得ることができる。
【0037】なお、(化3)で示される主成分の原料がPb化合物と、Ti化合物と、La,Nd,Pr,Ce,Smのうち少なくとも一種以上の化合物であっても良く、La,Nd,Pr,Ce,Smのうち少なくとも一種以上の含有量は0.01≦x≦0.40の範囲において有効である。更にPbの25原子%以下をCa,Sr,Baのうち少なくとも一種以上で置換しても有効である。その場合は化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のCaCO3,SrCO3,BaCCO3を出発原料として用いることが好ましい。さらに第一仮焼粉に化学的に純度99%以上で平均粒径3μm以下のNb25とCuOとを主成分1モルの重量を100重量%とした時、それぞれ0.05〜2.5重量%、0〜2.5重量%(0重量%を除く)添加しても同様の効果を得ることができる。
【0038】またLa,Nd,Pr,Ce,Smの含有量xが0.01より少ないと焼結性が悪く、0.40より多いと焼結体の緻密性が低下し、厚み縦振動の3倍共振のダイナミックレンジが得られない。次にNb25の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05重量%より少ない場合は焼結性が悪く、Nb25とCuOのそれぞれの添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、2.5重量%を超えると上記主成分に固溶しきれず析出するため、焼結体の緻密性が劣化し共振しなくなる。さらにMnO2の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.05重量%より少ない場合は焼結性が悪く、厚み縦振動の3倍共振、5倍共振ともにダイナミックレンジが小さくなり、2.0重量%を超えると焼結体の緻密性が低下し共振しなくなる。ZrO2の添加量が主成分1モルの重量を100重量%としたとき、0.5重量%を超えると結晶粒径の粒成長が進み、厚み縦振動の3倍、5倍共振ともにダイナミックレンジが劣化するため好ましくない。次に、副成分Nb25とCuOとを最初の原料混合時に添加すると、仮焼の際に主成分と反応してしまうために、焼結時に液相が結晶粒界に存在し難くなり、焼結性向上の効果が薄れてしまう。さらに、原料粉末の粒径が3μmより大きいと焼結反応が不均一となり、結晶粒径にばらつきが生じ、厚み縦振動の3倍共振にスプリアスが発生するため好ましくない。また原料粉末の粒径が1μm以下のものを用いると緻密性が高まり、厚み縦振動の3倍共振のダイナミックレンジが十分大きくなり好ましい。さらに、La,Nd,Pr,Ce,Smの化合物として酸化物を使うと、原料粉末の吸水性が高く環境変化に対して不安定な副成分を用いることとなり、均一な焼結反応を起こすのに問題が残る。焼成工程においては、酸素分圧が80%より低い場合は密度も低く、焼結体内部に気孔や欠陥を有し共振特性のばらつきを発生する原因を内在している状態となり信頼性に欠ける。
【0039】なお、上記実施の形態では厚み縦振動の3倍共振の効果を述べたが、上記圧電磁器組成物の組成と製造方法については、本発明の領域のすべてにおいてすべり振動の基本共振子でも有効である。
【0040】
【発明の効果】以上本発明によると、焼結性と焼結反応の均一性が向上し、使用する周波数に適した結晶粒径の焼結体を得ることができ、厚み縦振動において発振周波数が3倍共振から5倍共振へ移ることがなく、すべり振動においては基本波の共振周波数の温度特性が良好な高信頼性の共振子に適した圧電磁器組成物を得ることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年6月15日(1998.6.15)
【代理人】 【識別番号】100078204
【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開2000−1367(P2000−1367A)
【公開日】 平成12年1月7日(2000.1.7)
【出願番号】 特願平10−166621