| 【発明の名称】 |
金属トラップ部材および金属の回収方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 敬
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| 【要約】 |
【課題】廃液などの液中から、金属、特に貴金属を効率よく、かつ簡便に回収することができる金属トラップ部材および金属回収方法を提供する。
【解決手段】硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤の水溶液を水溶性バインダーに分散し、水溶性バインダーの少なくとも一部を架橋することによって固定化したことを特徴とする金属トラップ部材を得、これを用いて金属を回収する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤の水溶液を水溶性バインダーに分散し、水溶性バインダーの少なくとも一部を架橋することによって固定化したことを特徴とする金属トラップ部材。 【請求項2】 硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤が、ジチオカルバミン酸基および/またはチオール基を、高分子主鎖中の2個の炭素に対し0.3〜1個含有し、分子量が数平均分子量で1万〜50万である請求項1の金属トラップ部材。 【請求項3】 請求項1または2の金属トラップ部材を1mm3以上10000cm3以下の容積とし、この容積の金属トラップ部材を少なくとも1個用いて金属含有溶液に接触させ金属を回収する金属の回収方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、金属トラップ部材および金属の回収方法に関する。 【0002】 【従来の技術】最近、環境保全の面から廃棄物処理の問題が大きくなっており、例えば工場廃液においては、金属の排出を最小限にする必要がある。このような廃液としては、メッキ工程や半導体製造工程、あるいは写真処理工程などで生じたものがある。 【0003】また、このような廃液に含まれる金属には有用なものもあり、これを効率よく回収することができれば、資源回収にもつながる。さらには、例えば海中に希薄に存在する高価値な金属を選択的に収集することなども望まれるところである。 【0004】従来、金属含有廃液から金属を回収することについては、例えば写真処理工程で生じた廃液を処理して銀を回収することが行われている。この場合の銀回収方法としては、高分子キレート剤を用いる方法(特開平7−331350号等)やキレート樹脂を用いる方法などが知られている。高分子キレート剤を用いる方法は、廃液から銀を効率よく除去することができ、銀の厳しい排出基準を満たすことも可能であるが、銀の沈殿物を発生させて濾過する工程を含むため、操作が複雑となる。また、廃液量が多くなれば沈殿槽の容量も大きくせざるを得ず、装置が大型化してしまう欠点もある。一方、キレート樹脂を用いる方法は、簡便ではあるが、銀の除去効率が悪い。このような問題は、銀のみならず、他の金属回収においても生じることであり、家電製品のリサイクルの要請も強い今日では、種々の金属、特に高価値な金属を効率よく回収する技術が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、廃液などの液中から、金属、特に貴金属を効率よく、かつ簡便に回収することができる金属トラップ部材および金属回収方法を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記の本発明によって達成される。 (1) 硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤の水溶液を水溶性バインダーに分散し、水溶性バインダーの少なくとも一部を架橋することによって固定化したことを特徴とする金属トラップ部材。 (2) 硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤が、ジチオカルバミン酸基および/またはチオール基を、高分子主鎖中の2個の炭素に対し0.3〜1個含有し、分子量が数平均分子量で1万〜50万である上記(1)の金属トラップ部材。 (3) 上記(1)または(2)の金属トラップ部材を1mm3以上10000cm3以下の容積とし、この容積の金属トラップ部材を少なくとも1個用いて金属含有溶液に接触させ金属を回収する金属の回収方法。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の金属トラップ部材は、硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤を用いたものであり、硫黄を含有する親水性線型構造高分子キレート剤の水溶液を水溶性バインダーに分散し、水溶性バインダーの少なくとも一部を架橋することによって流動性を失い固定化、例えば固形化したものである。 【0008】このようにして得られた金属トラップ部材は水溶性バインダー中に上記高分子キレート剤が包埋されたような構造をとっていると考えられ、このものを金属を含有する水溶液と接触させることによって水を取り込んで膨潤し、この膨潤によって包埋されたキレート剤による金属捕集が効率よく行われると推定される。また、本発明の金属トラップ部材は、水溶液中で膨潤するのみで、溶解することはないので、金属を捕集した後の金属トラップ部材を水溶液から分離回収するのも容易であり、操作性に優れ簡便に金属を回収することができる。本発明の金属トラップ部材は固定化したものではあるが、上述のように、水溶液などが侵入できる部位が存在し、水溶液の侵入などにより膨潤するものであってよく、膨潤する方が好ましい。 【0009】これに対し、従来のキレート樹脂では、水中においてもリジッドな構造であるためか、金属の捕集効率がさほどよくない。一方、液体の親水性線型構造高分子キレート剤をそのまま用いた場合は、沈殿物を生成させて濾過する工程が必要であるため、沈殿槽が必須であり、目的によっては使用できない場合もある。 【0010】なお、捕集対象となる金属は水中において金属イオンとして存在する。 【0011】本発明に用いる親水性線型構造高分子キレート剤は、水溶性の液体の線型構造の高分子であり、水溶性含硫黄基を含むものである。この場合の水溶性含硫黄基としては、チオール基−SM、チオカルボキシル基−C(=O)−SM、ジチオカルボキシル基−C(=S)−SM、チオカルバミン酸基−NHCOSM、ジチオカルバミン酸基−NHS2Mなどが挙げられる。ここで、これらの基は塩を形成していてもよく、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、オニウムなどである。水溶性含硫黄基のなかでも、チオール基、ジチオカルバミン酸基が好ましい。 【0012】また、高分子キレート剤の高分子主鎖は炭素骨格のみで構成されていてもよく、炭素原子に水溶性含硫黄基が結合していてもよいが、酸素、硫黄、窒素などが介在していてもよく、これらの原子が水溶性含硫黄基の一部をなすものであってもよい。さらに、本発明において、高分子キレート剤は、本発明の効果を得る上で、枝分かれがない方が好ましいが、全炭素数の20%以下であれば、枝分かれがあってもよい。枝分かれした部分の炭素数は12以下が好ましく、さらには6以下が好ましく、ベンゼン環を含むものであってよく、この枝分かれした部分にも水溶性含硫黄基が存在していてもよい。 【0013】いずれの場合においても、高分子主鎖の炭素原子2個に対し、水溶性含硫黄基(好ましくはチオール基、ジチオカルバミン酸基)を0.3〜1個含有するものが好ましい。 【0014】また、分子量は数平均分子量で1万〜50万であることが好ましい。 【0015】なお、高分子キレート剤は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、1分子中の水溶性含硫黄基は通常同一であるが、異なるものであってもよい。 【0016】また、高分子キレート剤の水に対する溶解度は、水100g に対し1g 以上、より好ましくは40〜900g であることが好ましい。 【0017】このような高分子キレート剤の具体例としては、特開昭61−249590号、同60−106585号、同62−007492号、同62−065788号、同64−003549号、同56−039358号、同54−154522号、同54−157824号、特開平3−231921号、同6−15280号、同5−129133号各号公報、米国特許第4864075号、同3882092号、同3494945号、同5019274号、同5089227号、同5089619号、号3494945号、同4112191号、同4826625号、同4689177号、同4659801号、同1376288号各明細書、欧州特許第202388号明細書、US230417号等に記載の化合物が挙げられる。 【0018】なかでも、次の式(I)〜(IV)で表されるものが好ましい。 【0019】 【化1】
【0020】また、式(I)〜(IV)の中の構造単位の2種以上で構成されたコポリマーであることも好ましく、上記のなかでもX、X1、X2が−SM、−NHCS2Mであるもの、Y1、Y2が−CS2Mであるものが好ましい。 【0021】なお、上述のようなポリマーにおいて、合成上、構造単位のなかに水溶性含硫黄基をもたないものもあるが、1分子の平均として高分子主鎖の炭素2個に対する水溶性含硫黄基の数が0.3〜1個である条件を満たすものであってよく、本発明では、このような構造である場合も式(I)〜(IV)、あるいはこれらの構造単位のコポリマーに包含されるものとする。 【0022】このような高分子キレート剤は市販されており、市販品をそのまま用いることができる。例えば、エポフロックL−1、L−2(ミヨシ油脂(株)製)、サンチオールNW(中川化学装置(株)製)、ゴスペルM−9、M−10(ゴスペル化工(株)製)などの商品名のものが挙げられる。このなかでは、エポフロックL−1、L−2が最も好ましい。 【0023】本発明に用いる水溶性バインダーとしては、水溶性あるいは水膨潤性のポリマーであれば特に制限はない。例えば、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、アルギン酸、ポリ(ビニルアルコール)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。 【0024】なかでも、高分子キレート剤のバインダーにおける分散性を向上させる上で、水に対する溶解度が、水100g に対し1g 以上、より好ましくは3〜20g のポリマーが好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、にかわ、ヒドロキシエチルセルロース等が好ましく用いられる。 【0025】本発明において、水溶性バインダーを架橋するために用いられる架橋剤としては、水溶性バインダーに応じて選択すればよく、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニルスルホン系化合物などがある。 【0026】本発明の金属トラップ部材の製造方法について述べる。まず、高分子キレート剤の水溶液を水溶性バインダーに分散する。具体的には高分子キレート剤の水溶液に水溶性バインダーの水溶液(あるいは水分散液)を加えて十分撹拌する。この場合高分子キレート剤は水溶性含硫黄基の安定性を保つためにpH13程度のアルカリ性水溶液とされているが、まず、希酸(1〜30wt% 程度の塩酸、等)を撹拌しながら徐々に加え、pHを6〜9程度にすることが好ましい。次に、pHを6〜9程度とした高分子キレート剤の水溶液(高分子キレート剤の濃度20〜100wt% )に水溶性高分子バインダーの5〜20wt% 水溶液を加えることが好ましい。これにより、水溶性バインダーの分解などが生じることなく、両液の均一な混合、分散が可能になる。このとき、高分子キレート剤と水溶性バインダーとは水に完全に溶解した状態であっても、一部溶解せずに水に分散された状態であってもよい。 【0027】さらに、上記の高分子キレート剤を水溶性バインダーに分散したものに対し、架橋剤(硬膜剤と称することもある。)を加え、水溶性バインダーを架橋する。架橋剤は2〜20wt% 程度の水溶液として用いることが好ましい。 【0028】高分子キレート剤の水溶性バインダーに対する割合(水溶性バインダー/高分子キレート剤)は、重量比で、4/1〜1/2であることが好ましい。また、架橋剤の添加量は水溶性バインダーの0.5〜20wt% 程度であることが好ましい。 【0029】上記の架橋を促進するために、35〜70℃程度の温度で1〜40分程度乾燥することが好ましい。 【0030】このようにして得られた金属トラップ部材は所定の形状、大きさに切断するなどして使用される。 【0031】また、架橋剤を加えた高分子キレート剤の水溶性バインダー分散物を支持体に所定厚さに塗布してから乾燥し、塗布物を所定の形状、大きさに切断してもよい。この場合の支持体としては、三酢酸セルロース(TAC)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、あるいはポリエチレンコート紙等のプラスチックコート紙などがあり、水溶性バインダーとして使用されているポリマーの下塗層を設けたものが好ましい。 【0032】金属トラップ部材の形状は、特に制限されないが、切断のしやすさなどを考えると角状であることが好ましく、サイコロ状、直方体状等とされる。支持体を用いるときは短冊状などとしてもよい。1個当たりの大きさは1mm3以上10000cm3以下、30mm3以上1000cm3以下の容積であることが好ましく、複数個(処理条件や1個当たりの大きさなどにもよるが、実際に工場等で排出される廃液を処理するレベルでは、100〜100000個)用いることが好ましい。すなわち、被処理対象である液と金属トラップ部材との接触頻度を増すために、金属トラップ部材の表面積を大きくすることが好ましい。 【0033】なお、支持体を用いるときは支持体の容積も含めて上記範囲であることが好ましく、支持体は下塗層も含めて100〜11000μm 厚のものを用いることが好ましく、塗膜の厚さは20〜10000μm であることが好ましい。 【0034】本発明の金属トラップ部材は、金網などに所定量入れて、廃液が排出される廃液路に設置したり、廃液を満たした容器中に入れて撹拌したりして使用される。また、水中の移動体(例えば船体)に取り付けて使用することも可能である。 【0035】このようにして使用することにより、水中に存在する金属が金属トラップ部材のキレート剤の水溶性含硫黄基によって捕集されて水中から除去され、金属が回収される。この場合、本発明の金属トラップ部材は水によって膨潤するのみで溶解することはない。このため、金属トラップ部材と水との分離が容易である。 【0036】本発明の金属トラップ部材の捕集対象となる金属(半金属も含む)は、Hg、Au、Pt、Ag、Cu、Pb、Cd、Zn、Sn、In、Ga、Ni、Co、Fe、Cr、Mn、Bi、Sb、As、Ba、Sr、Caなど、第1B(11)族、第2B(12)族、第3B(13)族、第4B(14)族、第8(8〜10)族、第6A(6)族、第7A(7)族、第5B(15)族、第2A(2)族に属する金属ないし半金属が対象となる。金属の捕集のしやすさはほぼ上記の順序に従っており、Au、Pt、Ag、Cu、Pbの順に捕集されやすくなり、一般的には貴金属の捕集に適する。また、処理条件にもよるが、一旦金属が捕集されても、より捕集されやすい金属が存在すると、水溶性含硫黄基において金属の置換が生じる。従って、本発明の金属トラップ部材は、貴金属を選択的に回収する場合などに使用することが好ましい。 【0037】 【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。 実施例1高分子キレート剤エポフロックL−2(ミヨシ油脂(株)製:数平均分子量17万、水溶性含硫黄基=ジチオカルバミン酸基(Na塩)、高分子主鎖炭素2個当たりのジチオカルバミン酸基の数0.8個)を100ml(98wt% 水溶液)とり、強く撹拌しながら4wt% HCl水溶液を徐々に加えてpHを13から6.5にした。その後、ゼラチンの14wt% 水溶液を40℃で調製し、この水溶液を40℃のままで150ml加え十分撹拌した。次に、硬膜剤H−1の4wt% 水溶液を80ml加え、金属製の皿(バット)上に10000ml/m2の割合で流し込み、50℃で30分間乾燥した。これを皿から取り出し、5mm×5mm×5mmの大きさのサイコロ状に切断した(1個当たりの重さ0.16g )。これを金属トラップ部材のサンプル1Aとする。 【0038】 【化2】
【0039】また、上記と同様に金属製の皿上に流し込み、皿から取り出し、25mm×3mm×120mmの大きさの長方形状に切断したサンプルを得た(1個当たりの重さ3.1g )。これをサンプル1Bとする。 【0040】実施例2実施例1と同じ高分子キレート剤エポフロックL−2を100mlとり、これに水を100ml加え、さらに4wt% のHCl水溶液を加え、pHを6.5にした。その後、40℃の14wt% ゼラチン水溶液を120ml徐々に加え十分に撹拌した後に、硬膜剤H−1の4wt% 水溶液を20ml加えて、下塗したTAC支持体(270μm 厚)上に260ml/m2の割合で塗布し、60℃で10分間乾燥した。塗膜の乾燥厚みは38μm であった。このものを3cm×12cmの大きさの短冊状に切断した(1個当たりの重さ0.14g )。これをサンプル2Aとする。 【0041】また、支持体を下塗したポリエチレンコート紙(220μm 厚)にかえ、140ml/m2の割合で塗布するほかは同様にしてサンプル2Bを得た(塗膜の乾燥厚み20μm 、1個当たりの重さ0.13g )。 【0042】実施例3メッキ工場の廃液路に、四角形の金網のザルを流路面をふさぐように設置したことを想定して、その廃液量は100リットル/分であったので、その廃液10000リットル中に、実施例1で作製した金属トラップ部材サンプル1A(サイコロ状)を500g 入れた四角形の金網のザルを入れ、液を100分間まんべんなく撹拌して、このザルを入れて100分経過後(処理後)の水のCu、Ni、Cr、Ag量を原子吸光分析法により分析した。またザルを入れる前(処理前)についても同様に分析した。このような操作を3回ほど繰り返し、測定値の平均値を求めた。結果を表1に示す。表1には処理前後の金属の濃度比を併記する。 【0043】 【表1】
【0044】表1から、サンプル1Aの使用により、金属が平均1/100〜1/10000近く除去されることがわかった。また、各測定値のバラツキも少なく一定した除去能力を示すことがわかった。上記の除去能力はかなり維持でき、使用済みの金属トラップ部材を含む金網のザルを再度10000リットル廃液中につけて使用したが、ほぼ同レベルまで除去できることがわかった。この再利用を10回繰り返しても金属の除去率は90〜99%レベルを維持した。さらに、NiやCrに比べ、Cu、Agの貴金属の除去率がよいことも示された。また、廃液と金属トラップ部材とは、金属トラップ部材を含む金網のザルを廃液から持ち上げるだけで分離できるので操作は非常に簡便である。 【0045】以上の結果から、100リットル/分の廃液路中に金属トラップ部材500gを含む金網のザルを設置するとほぼ貴金属を除去できると予想される。実際には廃液路中に金属トラップ部材を500g 入れた金網のザルを3個設置し、10分毎に、廃液路の上流側に設置したものから取り換えて、下流側に新品の金属トラップ部材を入れた別の金網のザルを新たに設置するという操作を繰り返せば、効率良く貴金属を捕集(トラップ)できると予想される。 【0046】実施例4実施例3において、金属トラップ部材として、実施例1のサンプル1Bを500g 、実施例2のサンプル2Aを600g 、サンプル2Bを600g 、それぞれ用いて同様の操作を行ったところ、サンプル1Aを用いた場合と同様の効果が得られた。 【0047】実施例5半導体工場の廃水流路中に、金属トラップ部材を設置することを想定して、実施例1のサンプル1Aを300g と実施例2のサンプル2Aを300g とを混合して金網のザルに入れて、この廃水中に設置する以外は、実施例3と同様の操作を行った。ただし、処理前後の水のAs、Ga、Fe、Zn、Cd、Ag量を原子吸光分析法により分析した。結果を表2に示す。表2には処理前後の金属の濃度比を併記する。 【0048】 【表2】
【0049】表2から、金属トラップ部材サンプル1Aとサンプル2Aとの混合使用により、金属が平均1/100〜1/10000近く除去されることがわかった。また、各測定値のバラツキも少なく、一定した除去能力を示すことがわかった。上記の除去能力は、3回の再使用においてもほぼ同レベルまで維持されることが確認された。また、10回繰り返し使用しても金属の除去率は94〜99%を維持することがわかった。なお、表2から明らかなように、貴金属であるAgの除去率がさほどでないのは、Ag濃度が低く、かつ金属トラップ部材の水溶性含硫黄基のなかに捕集対象となる金属が配位していない基が処理後においてもなお多数存在しているような条件下の処理であるので、より捕集されやすい金属が一旦捕集された金属によって置換されるような状況に至っていないためと考えられる。 【0050】実施例6富士写真フイルム(株)製のカラーペーパー処理剤CP−47Lを用いて、富士写真フイルム(株)製のカラーペーパー(タイプFA09)を1日当たりの処理量15m2で10日間ランニング処理を行った。漂白定着液である処理剤CP−47LのP2のランニング後の希釈廃液(4倍希釈)中のFeとAgを原子吸光分析法により分析した。その後、希釈廃液をビーカーに1000ml採り、金属トラップ部材として、実施例1のサンプル1Aを4.5g 加えてスターラーで30分撹拌した後、FeとAgを同様にして分析した。結果を表3に示す。表3には処理前後におけるFeとAgとの濃度比を併記する。 【0051】 【表3】
【0052】表3から明らかなように、金属トラップ部材を加えて処理することによって、液中のAg(貴金属)は、Fe(通常の金属)よりも著しく除去されることがわかる。これにより、本発明の金属トラップ部材は貴金属に対する選択性が高いことがわかる。 【0053】実施例7実施例6と同じ富士写真フイルム(株)製のカラーペーパー処理剤CP−47Lについて、実施例6と同じランニング処理条件とした場合の模擬ランニング水洗廃液を調製し、この廃液1000mlに対し実施例1のサンプル1Bを15g 加えて、10分撹拌して処理した。実施例6と同様にして処理前後のFeとAgの分析を行い、濃度比を求めた。結果を表4に示す。 【0054】 【表4】
【0055】金属濃度が希薄な条件下においても貴金属が選択的に除去されていることがわかる。 【0056】実施例8実施例2の金属トラップ部材サンプル2Aのバック面に接着剤をつけて、魚船の海に浸漬する腹の部分の約1m2に貼り付けた。魚船は1週間のうち6日間漁のため100km/日稼働した。 【0057】1週間後、この1m2の部分に貼付したサンプル2Aを剥し、さらに次亜塩素酸ソーダを用いてゼラチン塗膜部分を剥し、この1m2分を溶解して200mlとし、貴金属の分析を原子吸光分析法により行った。サンプル2A自体のゼラチン塗膜部分(未処理品)についても同様に分析した。その結果、未処理品についてはAu、Agがともに0.000ppmであったが、海水浸漬後においてはAuが4ppm、Agが15ppmであった。これより、貴金属を選択的に回収できることが実証された。 【0058】 【発明の効果】本発明によれば、液中から金属を効率よくかつ簡便に除去することができ、水の浄化を行うことができる。また、貴金属を選択的に回収することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年7月13日(1998.7.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082865 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 陽一 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−24654(P2000−24654A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月25日(2000.1.25) |
| 【出願番号】 |
特願平10−213485 |
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