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焼結体用アルミナ粉末の製造方法 - 特開2000−191320 | j-tokkyo
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【発明の名称】 焼結体用アルミナ粉末の製造方法
【発明者】 【氏名】高橋 浩

【氏名】亀田 績

【氏名】小川 透

【要約】 【課題】脱バインダー性が良好であって高密度焼結体が得られるアルミナ粉末の製造方法を提供する。

【解決手段】平均一次粒子径が0.5μm〜5μmであり、BET比表面積が2m2/g以下であり、ブレーン比表面積が9500cm2/g以下であるアルミナを気流式粉砕機を用いて粉砕することを特徴とする焼結体用アルミナ粉末の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均一次粒子径が0.5μm〜5μmであり、BET比表面積が2m2/g以下であり、ブレーン比表面積が9500cm2/g以下であるアルミナを気流式粉砕機を用いて粉砕することを特徴とする焼結体用アルミナ粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼結体用アルミナ粉末の製造方法に関する。詳細にはアルミナ粉末と有機物バインダーを混合し、成形して得られた成形体が、その焼結に際しH2/H2O等の焼結雰囲気においても焼結後の焼結体中に有機物残査が少ない、すなわち脱バインダー性が良好であり、高密度成形体を得ることが可能な焼結体用アルミナ粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルミナ粉末は耐熱性、耐食性、耐摩耗性、電気絶縁性、機械的強度等の物性に優れていることにより、IC基板、透光管、軸受、切削工具等の焼結体原料、あるいはフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等への充填材として使用されている。
【0003】これらの内、焼結体原料、特にIC基板等の有機物をバインダーとして混合し、焼結をH2/H2O等の非酸化性雰囲気中で行う原料アルミナ粉末としては、焼結を阻害するような粗粒が少ないのみならず、脱バインダー性が良好であることが必要となる。
【0004】通常、IC基板等ではアルミナ粉末を成形して得られた、焼結していない生成形体(グリーンシートと称する場合がある。)を基板として、該基板上に配線を印刷した後、焼結する。前記基板を白基板の様に酸化雰囲気下で焼結した場合には配線材料として用いたタングステン、モリブデン等の高融点金属が酸化されるので、基板はH2/H2O等の酸素分圧をコントロールした非酸化雰囲気下で焼結されている。
【0005】しかしながら、前記基板の焼結に際し、非酸化雰囲気下ではアルミナ粉末の成形時に用いた有機物バインダーが、酸化雰囲気下で焼結した場合に比較し、より高温でないと分解せず気体として系外に排出されにくいことが知られている。この結果、焼結時の脱バインダー性が良くないアルミナ粉末から得られた基板を非酸化雰囲気下で焼結する場合には、焼結し得られた基板の内部にポアが残り、高密度焼結体である基板が得られなかった。
【0006】従来より、脱バインダー性が優れ、高密度焼結体となり得るアルミナ粉末としては粒度分布が均一で著しく大きい粗粒が少なく、かつ著しい微粒も少ないものがよいとされている。しかして、該アルミナ粉末としては、商業的観点から、通常、バイヤー法により得られたアルミナをボールミルや振動ミル等の粉砕装置によって粉砕、或いは凝集粒を解砕したものが用いられているが、該粉砕装置により得られたアルミナ粉末を用いる場合には、微粒の発生が多いためか脱バインダー性に劣り、高密度焼結体が得られないとの問題があった。
【0007】他方、ボールミル等を用いた方法により得られたアルミナ粉末であっても、分級機を併用すればある程度微粒を除去することは可能であるが、分級精度の面から満足できるレベルのアルミナ粉末を得ることができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み、本発明者等は脱バインダー性が良好であって高密度焼結体が得られるアルミナ粉末を簡易な方法で得るべく鋭意検討を進めた結果、意外にも特定の平均一次粒子径と比表面積を有するアルミナを特定の粉砕機で処理する場合には上記目的を満足するアルミナ粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、平均一次粒子径が0.5μm〜5μmであり、BET比表面積が2m2/g以下であり、ブレーン比表面積が9500cm2/g以下であるアルミナを気流式粉砕機を用いて粉砕することを特徴とする焼結体用アルミナ粉末の製造方法を提供するにある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いる原料アルミナ(以下、単にアルミナと称する。)は、平均一次粒子径が0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜4μm、さらに好ましくは1.2μm〜3.2であり、BET比表面積が2m2/g以下、好ましくは0.4m2/g〜1.8m2/gであり、ブレーン比表面積が9500cm2/g以下、好ましくは5000cm2/g〜9500cm2/gの範囲であればよく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子の大きさについては、通常、平均二次粒子径が約30μm〜約100μmである。該アルミナの平均一次粒子径が上記範囲を外れる場合またはその比表面積が上記範囲を外れる場合には、たとえ気流式粉砕機を用いて粉砕したとしても、高密度焼結体が得られるアルミナ粉末を得ることができない。また、粉砕後のアルミナ粉末の粒度分布は、アルミナを構成する一次粒子の粒度分布に起因するため、該アルミナは、通常、ロジン−ラムラー(Rosin−Rammler)線図で表すところの傾き(n値)が累積重量20%〜90%の範囲内で約2.5以上のシャープな一次粒子の粒度分布を有するものを用いることが推奨される。
【0011】本発明に用いるアルミナの製造方法としては、例えば、バイヤー法により得られた水酸化アルミニウム(ギブサイト)をロータリーキルン、トンネルキルン等で焼成する方法等が挙げられる。
【0012】本発明は、上記物性を有するアルミナを気流式粉砕機で粉砕することを必須とする。
【0013】本発明に用いる気流式粉砕機としては、例えば、気流衝撃式粉砕機(気流によって粒子同士を衝突させて粉砕する装置)、気流衝突板式粉砕機(気流によって衝突板に粒子を衝突させて粉砕する装置)または対向気流式粉砕機等が挙げられる。微粒の発生を低減できることから気流衝撃式粉砕機の適用が推奨され、また粗粒の残量を低減できることから分級機能が組み込まれている機種の気流式粉砕機の適用が推奨される。特に、粒子同士を衝突させて粉砕し、分級機能により粗粒がリサイクルされる機種の気流衝撃式粉砕機の適用が推奨される。
【0014】粉砕条件は、気流式粉砕機の機種によって異なり一義的ではないが、通常、アルミナの凝集粒が解砕され、一次粒子径近傍になるような条件を選択すればい。かかる条件の設定は、用いる気流式粉砕機の機種、粉砕に供するアルミナが決まれば予備実験により設定し得る。粉砕条件の具体例としては、粉砕空気圧力が約5kg/cm2以上、好ましくは約6kg/cm2〜約8kg/cm2である。また、アルミナ粉末は一般に研磨材として用いられているように高速で流動している場合には、粉砕機内面にある程度の摩耗が発生するので摩耗を受けやすい箇所、例えばノズル等の部分は耐摩耗性の高い材料、例えばアルミナ、炭化珪素等を用いることが望ましい。
【0015】本発明の製造方法を行うに際しては、通常、バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、平均二次粒子径が約30μm〜約100μmであり、平均一次粒子径が約0.5μm〜5μmであり、BET比表面積が約2m2/g以下であり、ブレーン比表面積が9500cm2/g以下であるアルミナを、粉砕空気圧力5kg/cm2以上の条件で気流式粉砕機を用いて粉砕し、該粉砕機から排出されたアルミナ粉末をサイクロンおよび/またはバグフィルター等によって捕集、回収すればよい。
【0016】本発明により得られた焼結体用アルミナ粉末は、通常、平均二次粒子径が0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜4μmであり、+15μm粗粒が約2%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、ロジン−ラムラー(Rosin-Rammler)線図で表すところの傾き(n値)が、累積重量20%〜90%の範囲内で2.5以上のシャープな粒度分布を有する。また、該焼結体用アルミナ粉末は、IC基板等の焼結体原料として用いることは勿論、透光管、軸受及び切削工具等の焼結体原料、フロッピーディスク及び磁気テープ等への充填材、研磨材または耐火物等に用いることができるものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例により制限を受けるものではない。尚、アルミナ及びアルミナ粉末の物性測定は以下の方法で行った。
【0018】アルミナの物性測定平均一次粒子径(μm): 顕微鏡写真により100個のアルミナについて、各々の一次粒子径を測定し、これらの平均より求めた。
平均二次粒子径(μm): 篩別法により測定した。
BET比表面積(m2/g): BET比表面積測定装置QS−9(湯浅−カンタクローム社製)により測定した。
ブレーン比表面積(cm2/g): ブレーン比表面積測定装置SS−100(島津製作所製)を用い、恒圧空気式測定方法により測定した。
【0019】アルミナ粉末の物性測定平均二次粒子径(μm): アルミナ粉末の粒度分布をセディグラフ5000−ET(島津−マイクロメリテックス社製)により測定し、50%径を平均二次粒子径とした。
+15μm量(重量%): アルミナ粉末の粒度分布をセディグラフ5000−ET(島津−マイクロメリテックス社製)により測定し、+15μm量を求めた。
n値(−): アルミナ粉末の粒度分布をセディグラフ5000−ET(島津−マイクロメリテックス社製)により測定し、ロジン−ラムラー(Rosin−Rammler)線図に粒度分布の結果をプロットした。その累積重量が20重量%〜90重量%の範囲の傾きよりtanθを求め、n値とした。
【0020】実施例1バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、平均二次粒子径が45μmであり、平均一次粒子径が3.5μmであり、BET比表面積が0.56m2/gであり、ブレーン比表面積が4950cm2/gであるアルミナを、フィード量30kg/hr、粉砕空気圧力6kg/cm2の条件で気流衝撃式粉砕機(商品名:PJM−280SP型、日本ニューマチック製)を用いて粉砕し、該粉砕機から排出されたアルミナ粉末をサイクロンによって捕集、回収した。得られたアルミナ粉末の物性を第1表に示す。
【0021】次いで、このアルミナ粉末96重量部にSiO2/MgO/CaO組成のフラックス成分を4重量部を加え、バインダーとしてポリビニルブチラール(商品名:B−76、三菱モンサント株式会社製)5.3重量部及び可塑剤としてジブチルフタレート(和光試薬工業株式会社製)2.6重量部を加えて、6hr乾式混合を行った後、トリクレン−パークレン−ブタノール組成の溶媒63.5重量部と分散剤1重量を加えて、更に20hr湿式混合を行った。得られたスラリーを脱泡し、粘度約2000cpsに調整した後、ドクターブレード成形法によりグリーンシートを得た。
【0022】得られたグリーンシートを、H2/H2(モル比7)雰囲気で昇温速度200℃/hrで900℃まで昇温し、そのまま1hr保持して焼結した。焼結前後の減量割合を測定した。結果を第2表に示す。
【0023】また、同じ方法で得られたグリーンシートを、H2/H2O(モル比7)雰囲気で昇温速度200℃/hrで1600℃まで昇温し、そのまま2hr保持して焼結した。得られた焼結体の焼結密度を測定した。その結果を第2表に示す。
【0024】実施例2〜5バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、第1表に示す平均二次粒子径、平均一次粒子径、BET比表面積、ブレーン比表面積を有するアルミナを、実施例1と同じ粉砕装置を用いて粉砕し、該粉砕機から排出されたアルミナ粉末をサイクロンによって捕集、回収した。得られたアルミナ粉末の粉体物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を第1表に示す。また、グリーンシートの焼結前後の減量割合及び焼結体の焼結密度を実施例1と同様にして調べた。その結果を第2表に合わせて示す。
【0025】実施例6バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、平均二次粒子径が45μmであり、平均一次粒子径が3.5μmであり、BET比表面積が0.53m2/gであり、ブレーン比表面積が5150cm2/gであるアルミナを、フィード量10kg/hr、粉砕空気圧力6kg/cm2の条件で気流衝突板式粉砕機(商品名:IDS−2型、日本ニューマチック製、)を用いて粉砕し、該粉砕機から排出されたアルミナ粉末をサイクロンによって捕集、回収した。得られたアルミナ粉末の物性を第1表に示す。また、グリーンシートの焼結前後の減量割合及び焼結体の焼結密度を実施例1と同様にして調べた。その結果を第2表に合わせて示す。
【0026】比較例1〜2バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、第1表に示す平均二次粒子径、平均一次粒子径、BET比表面積、ブレーン比表面積を有するアルミナを、ボール/アルミナ比9、粉砕時間10hrの条件でボールミル(内容積110L)を用いて粉砕した。得られたアルミナ粉末の物性を第1表に示す。また、グリーンシートの焼結前後の減量割合及び焼結体の焼結密度を実施例1と同様にして調べた。その結果を第2表に合わせて示す。
【0027】比較例3バイヤー法により得た水酸化アルミニウムをロータリーキルンで焼成して得た、平均二次粒子径が45μmであり、平均一次粒子径が0.8μmであり、BET比表面積が3.02m2/gであり、ブレーン比表面積が11400cm2/gであるアルミナを、フィード量30kg/hr、粉砕空気圧力6kg/cm2の条件でジェットミル(商品名:PJM−280SP型、日本ニューマチック製)を用いて粉砕し、該粉砕機から排出されたアルミナ粉末をサイクロンによって捕集、回収した。得られたアルミナ粉末の物性を第1表に示す。また、グリーンシートの焼結前後の減量割合及び焼結体の焼結密度を実施例1と同様にして調べた。その結果を第2表に合わせて示す。
【0028】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明は、非酸化性雰囲気においても脱バインダー性が良好であって高密度焼結体が得られる焼結体用アルミナ粉末を簡易に提供する方法であり、その工業的価値は大なるものである。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
【公開番号】 特開2000−191320(P2000−191320A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−370827