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【発明の名称】 ヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造方法
【発明者】 【氏名】田中 正

【氏名】岡田 直樹

【要約】 【課題】嵩密度が高く、平均粒径の大きなヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造方法を提供する。

【解決手段】ヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムを5〜50重量%含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウムのフッ酸溶液スラリーとアンモニアとを反応させる際に、種晶をヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムを含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウムに対して5〜30重量%添加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムを含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウムのフッ酸溶液スラリーとアンモニアとを反応させる際に、種晶をヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムを含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウムに対して5〜30重量%添加することを特徴とするヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造方法。
【請求項2】 テトラフルオロアルミニウムアンモニウム中のヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの含有量が5〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載のヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造装置等のクリーニングガスとして有用な三フッ化窒素の製造原料として用いられるヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】三フッ化窒素[NF3]は、通常無色のガスで、沸点約−129℃、融点約−208℃の半導体製造装置等のクリーニングガスとして使用されている。このNF3の製造方法としては、種々提案されており、例えば、米国特許第3304248号には、気体窒素を、1000℃を越える温度でプラズマアーク中を通過させ、また、気体フッ素を陽極に出来る限り近いポスト・アーク域に導入することによりNF3を得る方法が開示されている。
【0003】このほか、アジ化水素酸ガスと二フッ化酸素との反応、アンモニアの直接フッ素化等の気相反応が知られている。また、アンモニウム・酸フッ化物の溶融塩電解も知られている。しかし、これらの方法は、いずれも反応が気相であるために、反応の制御が困難であったり、可燃性または爆発性の水素を含有する雰囲気の発生を防止することが必要である。
【0004】さらに、特公昭55−8926号公報には、アンモニア酸フッ化物を溶融状態にて気体フッ素と反応する方法が開示されている。しかし、この方法は、気液反応であるために、反応の制御が必ずしも容易ではなく、装置の腐食が著しく、また、NF3の収率も低く工業的には、十分な方法ではない。
【0005】かかる不都合を解決するものとして、特開昭60−71503号公報には、固体状の金属フッ化物、例えばヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]と元素状フッ素とを室温以上で反応させる方法が開示されている。
【0006】この(NH43AlF6の工業的製造法については、一般的ではないが、少量を製造する方法としては、新生の水酸化アルミニウムをフッ化アンモニウム水溶液に入れて煮沸する、或いはフッ化アンモニウム水溶液と水酸化アルミニウムをフッ酸溶解したものとを反応させて得る方法が知られている。
【0007】しかし、このようにして得られる(NH43AlF6は、粒径が小さく、また、嵩密度が小さいため、NF3を製造するための原料としては必ずしも十分なものではない。具体的には、粒径が小さいと元素状フッ素との反応が急激に進行し、反応系温度の制御が容易ではなくなり、反応温度が大幅に上昇することとなるため、(NH43AlF6が自己分解を起こし、NF3の収率が低下することである。また、嵩密度が小さいと装置容積効率が悪くなるなどの問題がある。その他、粉塵の発生等が生じるなどの取り扱い上の問題がある。
【0008】そのため前記不都合を解決するものとして、特開平6−345421号公報には、テトラフルオロアルミニウムアンモニウム[NH4AlF4]のフッ酸溶液スラリーとアンモニアとの反応において、かかる目的を達成している。しかし、原料のNH4AlF4は、一般には製造されてなく、フッ酸に水酸化アルミニウムを溶解し、アンモニアで中和することで得られるが、そのための製造工程を必要とする。
【0009】従って、NF3の製造において、(NH43AlF6と元素状フッ素を反応させた場合、反応残滓として得られるNH4AlF4を使用するリサイクル工程をとることが好ましい。
【0010】しかし、反応残滓として得られるNH4AlF4には、未反応の(NH43AlF6が残存する。この未反応の(NH43AlF6の含有量は、NF3の製造条件により異なる。すなわち、NF3の生産性及び原料の元素状フッ素の効率を高めるためには、未反応の(NH43AlF6の含有量は高くなる。この未反応の(NH43AlF6を含有するNH4AlF4を原料にして特開平6−345421号公報記載の方法で製造した場合、晶出する(NH43AlF6の粒径及び嵩密度は小さくなり、NF3を製造する原料としては必ずしも十分なものではない。
【0011】
【問題点を解決するための具体的手段】本発明者らは前記問題点を解決するため鋭意検討した結果、(NH43AlF6を含有するNH4AlF4のフッ酸溶液スラリーとアンモニアとの反応において、種晶を添加して反応させることによりかかる目的を達成することができることを見い出し本発明に到達した。
【0012】すなわち本発明は、ヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]を含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウム[NH4AlF4]のフッ酸溶液スラリーとアンモニアとを反応させる際に、種晶をヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]を含有するテトラフルオロアルミニウムアンモニウム[NH4AlF4]に対して5〜30重量%添加することを特徴とするヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]の製造方法であり、そのテトラフルオロアルミニウムアンモニウム[NH4AlF4]中のヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]の含有量が5〜50重量%の範囲であるヘキサフルオロアルミニウムアンモニウム[(NH43AlF6]の製造方法を提供するものである。
【0013】以下、本発明の方法について詳細に説明する。本発明において、使用する原料は、(NH43AlF6を含有するNH4AlF4、フッ酸、アンモニア、種晶である。先ず種晶と水を仕込んだ後、(NH43AlF6を含有するNH4AlF4のフッ酸溶液スラリーとアンモニアとを反応pHが中性になるように同時に添加し、反応させる。反応終了後の(NH43AlF6のスラリーは、固液分離、洗浄し150℃程度で乾燥させる。その結果、平均粒子径200μm以上、嵩密度1.0g/cm3以上の(NH43AlF6が得られる。
【0014】原料のNH4AlF4に含有する(NH43AlF6量は、5〜50重量%の範囲が好ましい。かかる範囲未満では種晶の効果が見られない。またこの範囲を超えると粒子径、嵩密度ともに小さいものとなる。従って、(NH43AlF6含有量がこの範囲を超える場合、200〜350℃で加熱分解させてこの範囲内に調整したものを使用してもよい。
【0015】また、原料の(NH43AlF6を含有するNH4AlF4の粒子径は、特に限定するものではないが、平均粒子径20〜100μmのものを使用することによりNH4AlF4から(NH43AlF6への反応が進みやすく、(NH43AlF6の純度(含有率)が高くなる。
【0016】種晶の添加量は、原料の(NH43AlF6を含有するNH4AlF4の重量に対して、5〜30重量%の範囲が好ましい。かかる範囲未満では効果が少なく、またこの範囲を超えても平均粒径や嵩密度などの粉体物性に顕著な効果は見られない。また、種晶は、純度の面から(NH43AlF6が好ましい。
【0017】アンモニアは、ガス状でも液体状でも特に限定されない。また反応時のpHは、中性付近が好ましく、pHが高いとアンモニアのロスとなり、また母液処理及び環境面においても好ましくない。一方、pHが低いと反応するために必要なアンモニアが不足することになり反応が進行し難くなる。従って、純度が低くなり好ましくない。
【0018】反応温度は、40〜90℃の範囲が好ましい。反応温度が低い場合、粒子径及び嵩密度が小さくなり、純度も低下する。一方、90℃以上においては、純度及び粉体物性の改善は見られず加熱によるエネルギーのロスとなる。
【0019】このようにして得られた反応スラリーを固液分離、洗浄、乾燥することによりNF3の製造原料に適した平均粒子径、嵩密度が大きく、かつ純度の高い(NH43AlF6を得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、かかる実施例に限定されるものではない。
【0021】実施例1〜12、比較例1〜6100lのポリテトラフルオロエチレン製の槽に水50Kgと種晶として(NH43AlF6を仕込み、攪拌しながら反応温度70℃で種々の割合の(NH43AlF6を含有するNH4AlF413Kgを20%フッ酸溶液でスラリー化して反応槽へ10時間で加えた。一方では、反応槽のpHを7±0.5に維持するように25%アンモニア水で調整した。反応スラリーは、固液分離し、水洗後150℃で乾燥した。結果を表1、表2に示した。尚、嵩密度は、JISK5101により測定した。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【発明の効果】本発明の方法により、三フッ化窒素の製造原料となる、高純度で、嵩密度が高く、平均粒径の大きなヘキサフルオロアルミニウムアンモニウムの製造を可能にした。
【出願人】 【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100108671
【弁理士】
【氏名又は名称】西 義之
【公開番号】 特開2000−169141(P2000−169141A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−351001